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海塩粒子輸送解析モデルの構築 ─送電設備の腐食影響評価と強風時におけるがいし急速汚損予測─

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Academic year: 2021

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(1)主要な研究成果. 海塩粒子輸送解析モデルの構築 ─送電設備の腐食影響評価と強風時におけるがいし急速汚損予測─ 背 景 大気中を浮遊する海塩粒子が架空送電線等の送電設備に付着すると、それらの設備の腐食・劣化が引き起こ される。このため、設備の保守管理の観点から、着目地点の累積的な飛来海塩量を的確に把握することが求め られる。また、台風の通過時には、がいし表面が海塩粒子によって急速に汚染されることにより、絶縁性能が 低下して停電事故に繋がる危険がある。汚染洗浄等のため事前に最適な要員配置を行う等の対策を講じるには、 1 日∼ 2 日先の気象と飛来海塩量の予測が必要である。 大気中の海塩粒子は、発達した波が砕波することにより発生し、風によって輸送され、その一部は地表面お よび雲・雨・雪に取り込まれる。送電設備の腐食影響評価と台風襲来時のがいしの急速な汚損の予測には、こ のような過程を考慮した手法が有効と考えられる。当所では、腐食影響評価に適した海塩粒子輸送解析モデル NuWiCC-ST を開発してきたが、その評価精度は十分明らかになっていない。また、急速汚損予測に有効な手 法は有していない。. 目 的 腐食影響評価に適した海塩粒子輸送解析モデル NuWiCC-ST の評価精度を確認する。また、がいしの急速汚 損予測に適した海塩粒子輸送モデルを新たに開発し、当所の地域気象解析・予測システム(NuWFAS)と本 モデルの組み合わせによる予測手法の適用性を評価する。. 主な成果 1.腐食影響評価に適した海塩粒子輸送解析モデル NuWiCC-ST の精度評価 NuWiCC-ST は、風観測等の統計処理データから海上の海塩量を推定し、複雑地形に対応した風況と海塩 粒子の輸送を解析することにより、地上での飛来海塩累積量を評価するものである(図 1(a))。複数の地点 (秋田市、仙台市、新潟市、松山市)を対象に NuWiCC-ST による解析を実施したところ(図 2)、解析値と 観測値(NEDO、平成 17 年度報告から引用)は概ね良い相関を示し、本解析により、長期的な累積値とし て飛来海塩量の地点間の増減傾向を評価できることが分かった。また、複数の格子解像度の条件下での解析 値と観測値(四国電力(株)提供)とを対比した結果、相関関係に大きな違いは現れなかったこと等から、 起伏が激しい地点や河川の周囲では格子解像度の影響に留意する必要があるものの、周囲が平坦な場合にそ の影響は小さいことが分かった。 2.急速汚損予測に適した海塩粒子輸送解析モデルの開発と精度評価 海塩粒子の生成・輸送・消失の過程を考慮して、大気中の海塩量を計算するモデルを開発した(図 1(b))。 更に、本モデルと当所の地域気象解析・予測システム(NuWFAS)を用いた気象予測を組み合わせること により、時々刻々変化する気中海塩量の予測を可能とした。この予測手法を、既往の観測事例(新潟市)に 適用し、観測結果と比較した結果、強風時における海塩量の急上昇といった時々刻々の変化を良好に再現で きていることが分かった(図 3、図 4)。. 今後の展開 気中海塩量に強く影響する海洋上での海塩生成について、海洋観測等による検討を行い、気中海塩量の絶対 値に対する解析精度向上を図る。また、複雑地形の影響を考慮した急速汚損予測手法についても検討する。 主担当者 関連報告書. 地球工学研究所 流体科学領域 主任研究員 木原 直人、須藤 仁 「海塩粒子輸送シミュレーションによる塩分付着量推定に関する研究(その 2)─評価精度 に及ぼす格子解像度の影響─」電力中央研究所報告: N08017(2009 年 5 月) 「海塩粒子輸送シミュレーションによる飛来海塩量の推定」電力中央研究所報告: N08001 (2008 年 9 月) 「時間変化する気象条件を考慮できる大気中の海塩粒子濃度予測手法の開発」電力中央研究 所報告: N08021(2009 年 6 月). 124.

(2) 9.電力施設建設・保全. ・. (b)急速汚損予測に適した解析モデル. (a)腐食影響評価に適した解析モデルNuWiCC-ST. 図1 海塩粒子輸送解析モデルの概念図 (a)NuWiCC-STでは、風観測等の統計処理データから海上の海塩量を推定し、複雑地形に対応した風況と海 塩粒子の輸送を解析することにより、地上での飛来海塩量を評価する。(b)急速汚損予測に適した解析モデル では、生成過程、地表面および雲・雨・雪に取り込まれることにより除去される過程を考慮して気中海塩量 を計算する。. 図3 新潟市における気中海塩量[μgmー3]の時系列分布. 図2 NuWiCC-STを用いた年平均飛来海塩量の 評価例(秋田市、地上高さ20m). 濃度の急上昇といった時々刻々の変化を良好に再現で きていることがわかる。ただし、計算結果に1/3をか けた値を表示しており、気中海塩量の絶対値の評価に はさらに検討が必要である。. 高濃度の海塩が河川に沿って流入する挙動が見 られる。 (a)2008年1月24日の気象状況. (b)2008年1月24日の気中海塩量. 9 気中海塩量 [μg /m3]. 降水量 [mm / 時間]. 図4 急速汚損予測モデルを用いた気中海塩量の評価例 (a)計算から得られた2008年1月24日の地表面近傍風速ベクトルと降水量の空間分布、及び、(b)同時刻の地表 面近傍の気中海塩量の空間分布。佐渡島の風下側において大気中の海塩粒子が除去され、その風下側での気 中海塩量が低下していることがわかる。. 125.

(3)

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