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ブルガリア国際私法の法典化について 利用統計を見る

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ブルガリア国際私法の法典化について

著者名(日)

笠原 俊宏

雑誌名

東洋法学

54

1

ページ

187-243

発行年

2010-07-30

URL

http://id.nii.ac.jp/1060/00000771/

Creative Commons : 表示 - 非営利 - 改変禁止 http://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/3.0/deed.ja

(2)

︽研究ノート︾

ブルガリア国際私法の法典化について

八七六五四三二一

︵参考資料︶ 目 次 緒言 立法化の経緯 新立法の一般的特徴 総則規定の概容 国際家族法規定の概容 国際財産法規定の概容 国際民事訴訟法規定の概容 結語    ブルガリア国際私法

笠 原

俊 宏

緒言

西欧諸国を中心として、大陸型国際私法を有する諸国において、一九八○年代の初め頃から顕著になり始めた国

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際私法規則の改正ないし整備の作業は、当初、具体的妥当性の確保を第一に掲げたアメリカ国際私法の抵触規則に 触発された﹁危機﹂の意識を原動力とするものであったが、四半世紀余まりの年月を経て、一先ず、それを脱した と見られながら、今なお、その改革の気運は途絶えることなく、益々、その勢いを加速させているという様相さえ 呈している。その要因として考えられるのは、連結規則を支配する主たる理念が、ほぼ、﹁弱者保護﹂のための優

遇主義、及び、﹁密接関連性の原則﹂という二つの柱を拠り所とすることに収敏されようとしており、それによ

り、漸く明確な指標が提示された結果、諸国の国際私法が、その潮流に追随しようとして、相次いで改正作業に着 手するに至ったということであろう。  それに対して、同様に大陸型国際私法を有する東欧諸国においては、上述のような傾向に加えて、一九九〇年代 初頭、劇的な政治体制及び経済制度の変化がもたらされたという特別な事情があり、それは、例えば、一早く、新 しいルーマニア国際私法の成立に反映しており︵拙稿﹁外国国際私法立法に関する研究ノート︵1︶ールーマニア国際 私法︵上︶、︵下︶1﹂大阪国際大学紀要国際研究論叢八巻一号八九頁以下、同二号一二一頁以下︶、又、その後における 連邦国家の分離・独立という変動が相次いだことに起因する各国独自の立法の整備もまた、東欧諸国における特別 な事情であり、それが新たな国際私法の法典化を促進させる要因となっていることは明らかである。それらの立法 として、既に紹介されているものだけでも、例えば、エストニア民法典中の国際私法︵拙稿﹁外国国際私法立法に関 する研究ノート︵6︶iエストニアの国際私法規定i﹂大阪国際大学紀要国際研究論叢二巻四号八七頁以下︶、ベラルー シ民法典中の国際私法規定︵拙稿﹁外国国際私法立法に関する研究ノート︵10︶1ベラルーシ民法典中の国際私法規定 1﹂大阪国際大学紀要国際研究論叢一四巻四号六五頁以下︶、スロベニア国際私法典︵拙稿﹁スロベニア国際私法の法典 化について﹂東洋法学四八巻二号二五七頁以下︶、リトアニア民法典中の国際私法︵拙稿﹁リトアニア国際私法の改正に 188

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東洋法学第54巻第1号(2010年7月) ついてー新旧立法の比較1﹂東洋法学五二巻二号二二頁以下︶等が挙げられる︵尚、ハンガリー国際私法の法典化の背 景については、右とは異なるものとして理解されるべきである。杉林信義阿笠原俊宏﹁ハンガリー国際私法︵一九七九年 法・一九六九年草案︶秋田法学三号六二頁以下︶。そして、そのような社会的変動という事情は、ブルガリア国際私法 についても、ルーマニア国際私法などの場合と同様である。  この小稿において言及される二〇〇五年五月四日成立のブルガリア国際私法典︵以下、本法典として引用︶は、ブ ルガリアの最初の体系的な国際私法及び国際民事訴訟法に関する法典であり︵○ぼ耳こ8毘出・算自①ω巨鵬畳き 冒貯簿巴昌①簑昌○轟=餌≦889809さミ餅8沁駄辱\&§鴨焼ミ“ミ貸織ミミ靭ミ︵以下、寄ミ魎8神とし引用︶8ミもω刈伊︶、 同月一七日公布され、そして、同月一二日から施行されている︵冒巳蝉艮四N一38轟\く8ω晋望磐9く餌−呂9①轟 のΦω①gど畠3輿3ω冥Φ旨呂・墨一①霊く弩①魯&①﹃即Φ薯び爵野蒔畳Φp肉&魯N§8ミ慧蕊\§亀§匙8書の−§織賊ミミー ミ融§ミ塁肉象ミ︵以下肉&霧Nとして引用︶80Nω鍵○ 。鼻印家房器<ρU器幕器一導段冨畝9巴①N一色く巽貯ぼ自巽9辟 ω巳鴇匡自ωぼ§註−目α缶き8一ω銘3①拝、ミ獣的魯吻﹄ミ鳴ミ禽賊ミミ§葡註ミ墜§織ささミ§G。ミ魯尉88の謡①律︶。本 法典は一二四箇条の規定をもって構成された包括的な国際私法典であり、先ず、何よりもその条文数の多さにおい て、一九八七年一二月一八日のスイス連邦国際私法及び二〇〇四年七月一六日のベルギー国際私法典に次ぐものと して注目される国際私法典である︵尚、スイス及びベルギーの両法典については、それぞれ、拙編訳﹃国際私法立法総 覧﹄︵冨山房、一九八九年︶コ三頁以下、拙稿﹁ベルギー国際私法︵二〇〇四年︶の邦訳と解説︵上︶、︵下︶﹂戸籍時報 五九三号二〇頁以下、五九四号五七頁以下︶。以下において、本法典中の諸規定について、それを総則、家族法関係、

財産法関係、民事手続法に分けて、その内容を概観し、そして、その特徴ないし注目されるべき点を探究した上

で、それを踏まえて、若干の比較立法的考察を試みることとしたい。

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二 立法化の経緯

 本法典が制定される以前においては、法務省により、一九〇五年にイタリア国際私法の影響を受けた国際私法規

定が仕上げられ、又、一九三六年にイタリア及びドイツの両国国際私法の影響を受けた国際私法典が用意された

が、いずれも実定法化されるに至っていない。その後、数十年の年月を経て、再び法典化のための論議が高まり、 一九七九年、一九八五年、一九九九年には、国際私法のための独立した章を置く民法典草案が法務省によって起草

されている。その一方、国際家族法規定が一九六八年の家族法典、そして、一九八五年五月一八日の家族法典

︵一九八五年七月一日施行︶中に置かれていた︵N匡貰・茜\ω富民Φ話之ぎα①声p9ρ望OR︶。すなわち、その第一一章 ︵渉外的要素を有する家族法関係の準拠法︶中に、婚姻、親子関係、扶養に関する諸規定として、第一二九条︵外国に おける婚姻締結︶、第二二〇条︵ブルガリアの戸籍機関の前におけるブルガリア市民と外国市民の問の婚姻締結︶、第 =三条︵婚姻締結の要件︶、第一三二条︵婚姻の取消しの許容性︶、第二三二条︵夫婦間の身分関係及び財産関係︶、第 一三四条︵離婚︶、第一三五条︵血統︶、第二二六条︵養子縁組︶、第二二七条︵父母と子の間の関係︶、第一三八条︵後 見及び保護︶、第一三九条︵扶養︶の諸規定が置かれ、又、国際私法総則規定としては、第一四〇条︵二重国籍を有 する外国人の本国法︶、第一四一条︵無国籍者の準拠法︶、第一四二条︵外国法の適用の制限︶、第一四三条︵国際条約の 適用︶のみの限られた諸規定が置かれていたが、それらの諸規定とともに、同家族法典補充規定第一条が、﹁本法 典が規定を含まない問題については、民法の規則が家族関係の規則及び社会主義の規律の原則に反しない限り、そ れが準用される。﹂と定めていた︵拙編訳・前掲書三四二頁以下参照︶。尚、これらの国際私法規定は、本法典︵最終

規定第五参照︶の施行により、殆ど廃止されているが、国際養子縁組に関する第一三六条第二項、第六項及び第

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一三六h条の規定のみは、存続することとなった。それらの規定は、ブルガリアが一九九三年の子の保護及び国家

間養子縁組に関する協力に関するハーグ条約の批准と関連して、二〇〇三年、家族法典へ追加された規定である

︵冨ω絶山・一磐8鼻一葛。 。。 。9ω8︶。又、ブルガリア人である子を養子にする外国人に対する許可の前提条件及び手 続に関する二〇〇三年九月三日のブルガリア法務大臣政令第三号もブルガリア国際私法の法源の一部を成すもので ある︵冨ω器〒国。一曾8。F葛。 。合N箆巽。話\ω富言Φ︿甲言鳳①舜鉾鉾ρ¢お印︶。因みに、家族法典第一三六条第一項の 適用に関する政令︵一九八六年四月二一日政令第一三三六号︶第一条においては、外国人によるブルガリア人である 者の養子縁組に対する同意は、法務大臣によって与えられることが定められていたが、前記政令第三号も又、それ と同一の規律対象を想定するものであろう︵尚、拙編訳・前掲書三四五頁参照︶。  次に、本法典の制定に向けられた近時の立法作業について言えば、その草案の起草はブルガリアの専門家によっ て行なわれたが、その実質的な作業は、ブルガリア法務省とドイツ国際法律協力財団︵田N−曽嘗轟︶との共同作業 として進められ、そのために設置された作業班は、ブルガリア研究者及び実務家と共に、フィアドリナ︵≦匿匡壼︶ 欧州大学︵ぼ彗ζ霞使○αR︶マルティニ︵99段ζ畳一昌︶教授並びにハンブルク大学マクヌス︵d匡畠ζ禮巨ω︶

教授を交えて、ソフィアとハンブルクとにおいて論議を重ね、そして、その結果、二〇〇四年初頭には、マック

ス・プランク研究所︵ζ學謹き号冒呂εく浮ヨ再茜︶が主体となって、第一次草案が起草されている︵富霧①田・一曾 8−oFP零①︶。

 尚、本法典以外のブルガリア現行実定国際私法の法源について付言すれば、二〇〇七年に改正されている

二〇〇〇年の﹁子の保護に関する法律﹂︵>﹄①樋日きミ言頴&\P国①貰一9H暮Φ毎慧8巴Φ穿Φ−巨α困包零富霰お。拝 ︵一鳶ロ①母§鵬yψ①県︶においては、一九八○年の﹁国際的な子の奪取の民事面に関するハーグ条約﹂、一九九六

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年の﹁子の保護についての父母の貢任及び方法に関する管轄権、準拠法、承認、執行及び協力に関するハーグ条

約﹂、一九八○年の﹁子の監護に関する決定の承認及び施行並びに子の監護の回復に関する欧州条約﹂を施行する ことが定められており︵ぢω絶出・一曾β鼻サ葛。 。巳、特にアムステルダム条約に従い、欧州連合圏へ傾倒しているこ とが指摘されている︵曽盆3轟\ω鐙邑①奉ζ一民①声卑pρ設。ご。更に、多くの国々との間の相互司法共助条約の中 にも準拠法に関する規定が含まれているが、国際私法典を補完する役目を果たしているのは、一九八八年の国際商 事仲裁法、一九九一年の商法典、二〇〇五年の保険法典、そして、二〇〇年欧州連合議会要領第三一号に協調して 起草された二〇〇六年の電子取引法等である︵富昭①田・一曾8鼻︸葛。 。ω◆︶。 一一一新立法の一般的特徴  本法典は、大きく、四つの部分によって構成されている。すなわち、第一に、総則規定、第二に、ブルガリア裁 判所及び他の機関の管轄権及び国際民事事件手続、第三に、準拠法、そして、第四に、外国裁判の承認及び執行で ある。これらの中、とくに準拠法規則については、欧州連合の影響が色濃く認められるが、その規則が存在しない 事項については、様々な立法例が参考とされている。ブルガリアの伝統的な立場は、それが今日の有力な立場と一 致しない限り、受け継がれていない。そして、その規則の現代化の結果、ブルガリアが参加しているか否かに拘わ らず、特に、ハーグ条約を中心とした国際条約によって形成された規則を多く採用した内容になっていることが、 全体的な特徴として指摘されている︵富ωωΦ田・一界8。Fもし 。§︶。  従前、主として家族法の分野に関する抵触規定しか存在しなかったため、数々の新たな抵触規定が初めて導入さ れることとなった。例えば、法律関係の性質決定、反致︵転致︶、強行規定、法人の地位、物権、相続、契約外債 192

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務等がそれらである。そして、家族法関係に関する抵触規定についても重要な改正が行われている︵富霧①田o一曾 86F蔑ミΦ鼠8︶。それらを通じて、本法典に一貫して明らかにされているのは、やはり、密接関連性の原則へ の依拠であり、それは、本法典の基本原則として第二条が明文規定をもって定めているところにほかならない。そ して、各論規定の随所において、本来の準拠法がその原則と必ずしも一致しないときは、本来の準拠法を排してま でも、その原則を貫ぬくべきする規則が、法律関係に即して具体的に定められており︵冒ωω①田・一鈴8葺一呂舜︶、 裁判所は、別の基準に則り、法律関係と最も密接な関連性を有する国を確定しなければならない︵N箆貰○奉\即磐8く甲 言鳳①畠如鉾9ω卜8。︶。  又、本法典の注目すべき特徴の一つとして指摘されているのは、身分関係、相続関係、契約外債権債務関係へ、 当事者自治を定めた規定が拡大されていることであろう︵富ωωΦ一山・一曾ε象うG 。鉢︶。それらの諸規定として挙げら れるのは、それを原則とする契約に関する第九三条のほか、第五三条第四項、第六二条第三項、第七〇条、第七九 条第四項、第八九条第三項、第九〇条第一項、第九三条第一項、第九五条第二項、第九六条第一項、第一〇八条第 一項、第一〇九条、第一一六条、第一二二条第一項等である。  そして、全体として、馴染み易い法典に仕上げることが留意されていることも本法典の特徴の一つとして指摘さ れるべきであろう。しかも、それでありながら、水準の高さを確信させる法典として仕上げられていると評価され ているところである︵冒器①一出・一貫β。霊︶葛挙︶。

四 総則規定の概容

本法典においては、総則規定として、法典の全体に対する総則規定︵第一条ないし第三条︶、及び、準拠法選定規

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則としての総則規定︵第三九条ないし第四七条︶が置かれている。  まず、前者としては、本法典の対象ないし目的を定める第一条、前述のように、密接関連性の原則を宣言した第 二条、そして、条約の適用の優先を謳った第三条が置かれている。それらの中、第二条第二項は、本法典中の準拠 法選定規定によって、準拠法が決定することができないとき、当該規定とは別の基準の下に、最も密接な関連性を 有する国家の法律を決定することに根拠を与える規定である︵富ωω①一出・一界β。芦葛挙&一量8<曽\望き9轟−言鳳Φ声 ppρの蒔○鯉︶。  一方、後者については、前述のように、旧家族法典中の幾つかの総則規定を除いて、本法典において初めて規定 されたものであるが、それらの諸規定も、多くの諸国立法例において一般的に採用されている立場に倣っている。 先ず、反致規定について言えば、狭義の反致も転致も、別段の定めがない限り、原則的に、それを否定することが 明言されている︵第四〇条第一項︶。再致は、それにより、例えば、子の血統を確定することができる場合であり ︵第八三条第二項︶、子の保護の原則と結び付いている︵N一α貰・茜\即き富茜−呂民①く四郵鉾ρ¢お。 ・.︶。又、一定の具体 的な法律関係については、反致を一切認めないことが明らかにされている︵同条第二項︶。法人及び権利能力を有し ない社団の法的地位、法律行為の方式、準拠法の選択、扶養、契約関係、契約外関係がそれらであるが、それらの 法律関係に関する規則について見れば、当事者自治の立場が採用されているか、又は、一定の法の適用を強制する 立場が採用されている場合であり、反致を認めることが準拠法の指定の本来的な理念に反することとなる場合であ ると見られる︵冒ωωΦ田。一曾8・象”葛お①訂β︶Q  又、ブルガリア法又は第三国法への強行的連結へと導く強行規定ないし介入規定︵第四六条︶も導入された。こ れは、スイス国際私法第一六条、及び、一九八○年のいわゆるローマ条約第七条に倣ったものであると指摘されて 194

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いる︵冒ωω①田・巨8。鼻噛葛挙︶。尚、同条約も又、多くの学説や先例から影響を受けたものである︵N浮δ奉\ ω9鳳①く甲言9Φ舜ρ鉾P︸ω琶じ。  更に、外国法の内容の確定について、原則として採用されているのは職権探知主義である︵第四三条第一項第一 文︶。その原則の下に、法務省又はその他の機関、専門家等を利用して、情報を得ることも可能である︵同項第二 文︶。当事者による情報の提供も利用することができる︵同条第二項︶。これらの方法は、外国法の解釈及び適用の あり方とも関連している︵第四四条第一項及び第二項︶。それに対して、例えば、契約のように、準拠法が当事者に よって選択されている場合には、裁判官は当事者に外国法の内容の証明を義務づけることができる︵第四三条第三 項︶。これは、当事者意思の尊重に由来してのことであろう︵尚、富ω絶山・一聲β。F葛鐸参照︶。しかし、外国法 の内容が確定されることができない場合については、本法典は定めていない。そのため、立法者の意図の推定とし て、抵触規定に従い、他の準拠法を選定するか、又は、最密接関連性の原則に基づいて準拠法を決定することの裁 量が裁判官に与えられていると言われているが、それが実現不可能である場合には、法廷地法の適用に頼らざるを えないであろうとされている︵N一38茜\誓き9轟−言鳳Φ声卑pρ鐙○窪︶。尚、ブルガリアは、一九九一年から、 一九六八年の﹁外国法の情報に関する欧州条約﹂の当事国であり、同条約の下に外国法の内容を確定する途が開か れている︵ぢ霧①一出・一曾8。FOし 。鐸︶。  そして、総則への最後の言及として、公序則︵第四五条︶との関連において言えば、発動基準の明示︵同条第二 項︶とともに、補充法の求め方︵同条第三項︶が注目されるべきであろう。すなわち、先ず、前者については、ブ ルガリア法秩序との関連性の程度、及び、外国法の適用結果の重要性である。次に、後者については、問題となる 法体系の他の然るべき規定であり、そして、かような規定がないとき、しかも、ブルガリア法上の規定が法律関係

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の規律のために必要である限りにおいて、ブルガリア法がそれとされる︵冒霧①一出・一鈴β鼻一葛郵︶。ブルガリア学 説及び実務に見られた公序則の排他的な性格を発展させて、ハーグ条約やローマ条約並びに最近の立法例の公式化 に倣っていると論じられている︵N一量8轟\幹き9奉之言3<鉾鉾9ρψ占ρ︶。

五 国際家族法規定の概容

 旧家族法典中の各論規定に見られた特徴は、それらがブルガリア人の身分の規律、及び、ブルガリア法の適用を 主眼とした一方的抵触規定が多くの割合を占めていたことである。それに対して、本法典中の国際家族法に関する 規定は双方化されることにより、その規律がより広範になっているばかりか、その内容も全体的に現代化され、一 定の身分保護の立場が鮮明になっている。より優利な法の適用は、特に、血統に関する第八三条第二項、親子間の

法律関係に関する第八五条第二項、扶養に関する第八七条第一項において顕著であるが︵ぢ器Φ田・一曾8﹄F

葛。 ・ρ︶、方式の保護については、今や、婚姻挙行︵第七五条︶、認知︵第八三条第四項︶、遺言︵第九〇条第二項及び第 三項︶へも拡大されている︵N錠賃・轟\望き8茜之壁αΦ声鉾99φお9︶。尤も、旧家族法典中にも、婚姻の取消しの

際に、それを許容する法の適用を優先し、又、その効果について、善意の配偶者の利益を保護すべきとした第

二二二条第三号、離婚を許容する法の適用を優先し、その効果について、無責配偶者の利益を保護すべきとした第 一三四条第三号、親子問の法律関係について、子の利益の優先を顧慮した第二二七条が置かれており、それらのい ずれもが、保護されるべき一方当事者の実質的利益の保護が想定されている点において、当時においては格別に注 目されるべき諸規定であった︵拙編訳・前掲書三四三頁以下参照︶。  本法典へ新たに導入された優遇主義の一つとして、婚姻保護が挙げられる。第七六条第二項は、ブルガリア法上 196

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東洋法学第54巻第1号(2010年7月)

の婚姻自由と矛盾する外国法上の婚姻障碍は、ブルガリア婚姻登記所によって無視されることを定めている

︵富器①田・一貫β。Fもω・ 。ρ︶。例えば、外国人当事者の本国法上、宗教の相違によって婚姻を許容しないような場合 である︵N一母3轟\即き盆話−≦鳳①<蝉郵鉾ρ設母︶。婚姻の身分的効力についても、共通本国法がないときは、共通 常居所地法のほか、夫婦にとっての最密接関係法に依ることもできるとして、注目すべき特徴的な立場を定めるの が第七九条第一項及び第二項である。婚姻の財産的効力については、同条第三項が婚姻の身分的効力の準拠法に依 ることを定めているが、その準拠法の選択については、身分的効力の準拠法よって許される場合にのみ、認められ るとするのが同条第四項である。このような制限が定められている理由については、ブルガリア家族法上、未だ夫 婦財産契約が認められていないからであり︵富器Φ田。一鈴β。Foω。 。ρ︶、今日の国際私法の動向に服すると同時に、 ブルガリア法上に存在する基本原則を侵害することがないよう配慮された結果であると論じられている︵N浮8奉\ ω叶彗αΦく甲ζ一鳳Φくρppρψ島9︶。  次に、離婚については、第八二条第一項及び第二項により、夫婦の共通本国法、その共通常居所地法、ブルガリ

ア法の段階的連結の規則が定められている。そこにおいても、ケーゲルの梯子に準じる規則を見ることができる

が、それと共に、準拠外国法が離婚を許容せず、かつ、離婚申立ての当時、夫婦の一方がブルガリア国民である

か、又は、ブルガリア共和国にその常居所を有するときは、ブルガリア法が適用される。これは、離婚保護を密接 関連法としてのブルガリア法の適用の優先によって実現しようとする立場である︵甘ωω①田・算β。FつG 。。 。一①38︶。 法廷地法としてのブルガリア法による介入は、特別公序として機能するものである︵N一鼠3轟\ω鼠鳳①轟−屋民Φ声p PO4¢おご。  養子縁組については、本法典中に抵触規定が置かれているが、家族法典中にも関連する諸規定が存続しているこ

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とは前述の通りである。両者の関係は、本国法主義を採用する本法典第八四条を後者の諸規定が補完するという関 係にある︵富ωωΦ田・ぎβ。F口ω。 。ご。それらの諸規定を通じて一貫している基本的理念は、養子の利益の保護であ る。縁組当事者の本国法の累積的連結︵同条第一項及び第二項︶、法務大臣の同意要件︵同条第三項︶、本国に常居所

を有しない養親の常居所地法への加重的連結は、いずれもその理念に基づくものである︵N浮δ話\ω$鳳磐甲

ζ営3く鉾99ρのお窪︶。  そして、扶養に関する第八七条及び第八八条については、一九七三年のハーグ扶養条約からの影響が指摘されて いる。そこに見られる規則は、扶養権利者の常居所地法、扶養権利者と扶養義務者の共通本国法、ブルガリア法の 段階的連結であるが、第八七条第一項は、扶養権利者の本国法が本人にとってより有利であるときは、その本国法 が優先的に適用されるべきとして、扶養権利者に対する保護を更に徹底しており、その点にも本法典の特徴が認め られる。尚、共通本国法の適用のため、それが扶養義務者の常居所地法でもあることが付加的要件であると論じら れている︵圏38奉\望き9奉ζ一鳳①舜勲鉾ρψおε。因みに、ブルガリアは右ハーグ条約の当事国ではない︵冒ωω卑 寓○一ω亘8’9けも。ωo 。ご。  最後に、相続の準拠法についても、家族法関係に含まれるものとして、ここにおいて言及したい。ブルガリア国 際私法において、初めて、相続の準拠法に関する抵触規則が立法化された本法典が採用したのは、動産相続と不動 産相続とを区分する分割主義であり、前者につき、被相続人の死亡当時の常居所地法、後者につき、その所在地法 という立場である︵第八九条第一項及び第二項︶。このような客観的連結とともに、その全相続関係を被相続人の死 亡当時の本国法へ服せしめる主観的連結を選択することが認められている︵同条第三項︶。それと同時に、客観的連 結の場合の準拠法上認められている遺留分の保護についても配慮が払われているが︵同条第五項︶、このような調整 198

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に配慮されている点も本法典の規則の特徴の一つとして指摘されるべき点であろう︵富ω毘出・一聲8ら霊場島。 。一。参 照︶。尚、準拠法選択は、遺言の方式をもって行われる︵同条第四項︶。又、相続人不存在の確定についても相続準 拠法に依る。一方、遺言については、遺言能力を相続準拠法に依らしめている︵第九〇条第一項︶。その結果、相続 分割主義と相侯って、その能力の有無については、統一的に判断されないこととなる︵N一盆8奉\ω富9Φ轟−言9①舜 9鉾ρψ&鐸︶。遺言の方式が、一九六一年の遺言の方式の準拠法に関するハーグ条約第一条に倣っていることは 明白である︵N箆巽・奉\ω鼠鳳雪甲ζぎαΦβp鉾ρ鐙参︶。しかし、ブルガリアは同条約についても批准してはいない ︵旨①ωωΦ田・一ω“8。。拝一巳旨︶。

六 国際財産法規定の概容

 先ず、物権の抵触規則については、比較法的に見て、一般的に所在地法主義が支配的であるが、本法典上の立場

もそれと同一である。運送中の物の物権、輸送手段の物権についても特則規定が置かれている︵第六七条及び第

六八条︶。又、物権の取得地と物権の行使地とが異なる場合のいわゆる動的抵触に関しても、既得の物権に関する 第六六条は、その権利を保護しつつ、物の新たな所在地におけるその権利の行使を規制している。しかし、これら

の諸規定は、比較立法的には必ずしも新規性を有するものではない。本法典における物権に関する諸規定の中に

あって、注目されるべき特異な規定は、文化的遺産の物権に関する第七〇条の規定である。同条は、近年、古代や 中世以来の豊富な文化的遺産の保護に眼が開かれたブルガリアにおいて、違法な発掘や国外持ち出しに苛まれてい る実情を如実に反映した規定である︵ぢωωΦ田・一聲ε。Fob。 。ρ︶。又、知的財産に対する物権について、比較立法的 に最も詳細な立法と評しうる諸規定︵第七一条ないし第七四条Vが置かれていることも、本法典の特徴の一つを成す

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ものである︵冒ωω①田。一界8象一葛・ 。ρ︶。そして、その立場は保護地法主義に基づくものである︵N一α巽。毒\望き3轟− ζ一9Φく鉾鉾鉾ρ¢盒①︶。  次に、契約債務関係について言えば、兼ねてより、ブルガリア国際私法においては一九八○年の﹁EC契約債務 関係の準拠法に関する条約﹂、すなわち、ローマ条約の導入が試みられてきた︵第一〇三条第一項及び第二項参照︶。 しかし、二〇〇八年一月一五日、ブルガリアは同条約の当事国になったため、当然に、同条約が全面的に適用され ることとなった。しかし、将来的には、同条約は、当事国を増やしているローマー条約によって取って代わられる 運命にあると指摘されている︵富霧Φ田・算8。F博ω。 。ご。尚、ブルガリアは、二〇〇七年一月一日から欧州連合に 加盟している︵N一量3茜\ω富鳳①茜−呂鳳Φく餌如鉾ρの直県︶。

 そして、契約外債務関係についても、二〇〇九年一月二日から、契約外債務の準拠法に関する欧州連合規則

二〇〇七年八六四号︵いわゆるローマH条約︶が、直接、ブルガリアにも適用されることとなっていたため、本法 典第二章の諸規定の制定に際しては、既に同条約草案に倣っていたと言われている︵冒霧①田。算β。Fもωo 。ご。 それらの諸規定の中心となる不法行為に関する一般規定︵第一〇五条︶は、損害発生地法を原則としながら︵同条 第一項︶、加害者と被害者の共通法︵同条第二項︶、密接関連法︵同条第三項︶へと優先順位を譲っている︵Nこ震・話\ ω冨鳳Φ轟−ζぎ3く鉾鉾鉾ρ¢aR︶。

七 国際民事訴訟法規定の概容

先ず、国際的裁判管轄権については、次の通りである。本法典においては、ブルガリア裁判所及び他の裁判機関 の裁判管轄権について、第二章が規定している。その総則規定である第四条第一項は、次のように、一般的管轄権 200

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として、ブルガリア裁判所の国際的裁判管轄権のための管轄原因について規定している。すなわち、被告がその常 居所、社団の定款による本拠、若しくは、事実上の管理地をブルガリアに有すること、又は、原告若しくは申立人 がブルガリア人であるか、若しくは、ブルガリアに登録された法人であることがそれである。しかし、旧法から引 き継がれた管轄原因である後者が欧州法において認められている立場と相容れないことは明らかであると指摘され ている︵冒ω塗出・一曾8る霊噂算G 。○ 。P参照︶Q  次に、証拠、文書、司法援助等に関する手続については、第三章が規定している。かつて、ブルガリアにあって は、ブルガリア裁判所へ係属する以前における外国裁判所での事件係属は顧慮されることがなかった。しかし、本 法典第三七条においては、同一の当事者間における同一の請求原因に基づく手続が、外国裁判所においてより早く 開始されていた場合であって、然るべき期間で終了して、確定判決を得られることが期待できる場合には、ブルガ リア裁判所は、職権をもって、手続を中断すべきものとし、そして、当該外国判決がブルガリアにおいて承認・執 行されることができることを明確にしている︵ぢ器①田・算89身ゆ毬・ 。N︶。

 最後に、外国裁判の承認及び執行についてである。その点に関連して、本法典における注目されるべき新規性

は、第一一七条に見られるように、外国裁判の尊重の観点から、その承認要件における相互主義の要件を廃止した 点であり、その大きな飛躍は、例えば、本法典成立後の立法例である二〇〇七年のマケドニア国際私法の法典化に おいても踏襲されている︵冒霧①一出・一曾・P。Fもωo 。9︶。

八 結語

本法典については、ブルガリア国際私法及び国際民事訴訟法に革命を起こすほどに、ブルガリアの法律家達は

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﹁良い仕事﹂を行なったと高く評価され、前記マケドニア国際私法のみならず、アルバニア等の東欧諸国の国際私 法立法を啓発したとか、そうするであろうことが予想されている︵富ωω①田・一鈴β葺矯葛蕊Φ寓8参照︶。しかし、 その少し前の二一世紀を迎えた当初においては、ブルガリア国際私法立法の欠乏した情況について、悲観的な指摘 がなされたばかりである︵9冨鼠富器①一出・一鈴O霞お日器8睾ほ暮ξΦOR88身89野薗畳蝉⇒冥一く簿巴日Φヨ呂8巴 冨ヨ頴ミ守8神88巳おΦ訂8︶。それに反し、かくも短期間に、ブルガリアが俄に精緻な国際私法典を有するに 至ったことの決定的な要因として、ドイツの国際私法研究者ないし研究機関による協力があったことについては、 前述されたところである。それゆえに、基本的には、ドイツ国際私法と同様な規則ないしその改正のための提案か らの影響が強く、それらの規則や提案がブルガリア国際私法典に顕著に反映されていると考えられるべきところ、 ベルギー、イタリア、スイス、更に、他の欧州諸国の国際私法も参考とされたことが指摘されている︵冒霧①一出・一界 8﹄F葛ヨ参照︶。そのため、本法典の随所には、ドイツ国際私法上においては見られないより進歩的な立場が採 用されている規定も散見されるに至っており、その意味において、このブルガリア国際私法典はドイツ国際私法学 の宝庫であるばかりか、更に、その実験場ともなっていると言うことが許されるであろう。しかし、その一方、文 化財や環境の保護を顧慮した諸規定を始め、ブルガリア国際私法が独自性を有する点が全く見られないわけではな い。今後における推移が注目される所以である。  以下においては、ブルガリアの国際私法に関する二〇〇五年五月四日法典の試訳を掲げて、参考に供することと した。その訳出に際して依拠したのは、沁息霧N808¢合刈中所収の独語訳である。 202

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東洋法学第54巻第1号(2010年7月) ︵参考資料︶ブルガリア国際私法

国際私法に関する二〇〇五年五月四日法典

      ︵二〇〇五年五月一七日付ブルガリア官報第四二号︶ 第一編 総則 第一章 法典の適用範囲 第一条 対象 一 本法典の諸規定は、次に掲げる事項を規律する。  ω ブルガリアの裁判所、他の機関の国際的裁判管轄権、並びに、国際民事事件における手続  吻 国際的要素を有する私法関係の準拠法  ⑥ 外国の裁判及びその他の文書のブルガリア共和国における承認及び執行 二 国際的要素を有する私法関係は、本法典の意味において、二つ又は多数の国家と結び付いている関係とする。 第二条最も密接な関連性の原則 ︸ 国際的要素を有する私法関係は、それが最も密接に結び付いている国家の法に服する。本法典に含まれた準拠法決定の  ための規定は、その原則の表現とする。 二 準拠法が第三編の諸規定に基づいて決定されることができない限り、その関係が他の基準によって最も密接に結び付い  ている国家の法が適用されるものとする。 第一二条 国際法上の条約、国際法上の文書及び他の法律に対する関係 一 本法典の規定は、国際的要素を有する私法関係であって、ブルガリア共和国にとって効力を有する国際法上の条約か、

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 その他の国際法上の文書か、又は、他のいずれかの法律の下に置かれているものの規律に関わらない。 二 国際法上の条約又はその他の国際法上の文書の適用に際しては、その規定の国際的性質、それに割り当てられた権能、  その解釈及び適用の際における一様性を達成する必要性が考慮される。 204 第二編 ブルガリア裁判所及び他の機関の国際的裁判管轄権 国際民事事件の手続 第二章 ブルガリア裁判所及び他の機関の裁判管轄権 第四条 一般的管轄権 一 次に掲げるとき、ブルガリア裁判所及び他の機関の国際的裁判管轄権が存在する。  ω 被告が、ブルガリア共和国にその常居所、その定款に従った本拠、又は、その活動上の管理地を有するとき  吻 原告又は申立人が、ブルガリア国民、又は、ブルガリア共和国において登録された法人であるとき 二 法人に対する訴は、争訟がその支店との直接的な関係から生じており、支店がブルガリア共和国において登録されてい  るとき、ブルガリア裁判所へ提起されることができる。 第五条 身分上の権利に関する事件の管轄権  ブルガリア裁判所及び他の機関は、第四条に基づくほか、次に掲げる事件ないし事項について管轄権を有する。  ω 当事者がブルガリア国民であるか、又は、その常居所をブルガリア共和国に有するときは、氏の変更又は保護に関す   る事件  ω ブルガリア国民の行為能力の制限又は取消に関する事件、更に、ブルガリア国民の行為能力の制限又は取消の廃止に   関する事件

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 ⑥ 後見又は保佐の下に置かれる者がブルガリア国民であるか、又は、ブルガリア共和国に常居所を有するときは、後見   又は保佐の創設及び終了  ㈲ ブルガリア国民であるか、又は、ブルガリア共和国に知られた常居所を有した者の失踪宣告又は死亡宣告 第六条 婚姻締結 一 婚姻を締結する者の一方がブルガリア国民であるか、又は、ブルガリア共和国に常居所を有するとき、婚姻はブルガリ  ア共和国において戸籍官吏の前において締結される。 二 外国国民間の婚姻は、その本国の法が許す限り、ブルガリア共和国において、その国家の外交又は領事の代表者の前に  おいて締結されることができる。 三 外国におけるブルガリア国民は、その外国の法に従って許される限り、その国家の権限を有する機関の前において婚姻  を締結することができる。 四 外国におけるブルガリア国民間の婚姻は、接受国家の法が許す限り、ブルガリアの外交又は領事の代表者の前において  締結されることができる。 五 ブルガリア国民と外国国民との間の婚姻は、接受国家の法及び外国国民の本国法が許す限り、外国においてブルガリア  の外交又は領事の代表者の前において締結されることができる。 第七条 婚姻の訴の裁判管轄権  婚姻訴訟については、夫婦の一方がブルガリア国民であるか、又は、ブルガリア共和国に常居所を有するとき、ブルガリ ア裁判所は裁判管轄権を有する。 第八条 夫婦間の身分関係及び財産関係に関する事件の管轄権  第七条の要件の下に、ブルガリア裁判所は夫婦相互間の身分関係及び財産関係に関する事件においても裁判管轄権を有す る。

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第九条 親子関係事件の裁判管轄権 一 ブルガリア裁判所及び他の機関は、親子関係の確定及び取消に関する手続につき、第四条に基づくほか、子又は当事者  である父母の一方がブルガリア国民であるか、又は、ブルガリア共和国に常居所を有するときも裁判管轄権を有する。 二 その裁判管轄権は、第一項の要件の下に、父母と子の問の身分関係及び財産関係に関する事件についても適用される。 第一〇条 養子縁組事件の管轄権 一 ブルガリア裁判所及び他の機関は、養子縁組の許可、その取消又は終了の許可に関する事件につき、第四条に従う場合  における以外、養親、養子又は養子の父母の一方がブルガリア国民であるか、又は、ブルガリア共和国に常居所を有する  ときも裁判管轄権を有する。 一一ブルガリア裁判所は、養親と養子の間の財産関係に関する事件につき、養親又は養子がブルガリア国民であるか、又  は、ブルガリア共和国に常居所を有するとき、並びに、第四条に従う場合において裁判管轄権を有する。 第二条 扶養事件の管轄権  ブルガリア裁判所は、扶養訴訟につき、第四条に従う場合におけるほか、扶養権利者がブルガリア共和国にその常居所を 有するときも裁判管轄権を有する。 第一二条 物権に関する事件の管轄権 一 ブルガリア共和国に所在する不動産に関する民事訴訟法典第八三条に従う手続、かような物の執行又は保証に関する手  続、及び、それに対する物権の譲渡ないし認証に関する手続は、ブルガリア裁判所及び他の機関の専属的裁判管轄権に帰  属する。 ニ ブルガリア裁判所は、動産に対する物権に関する訴につき、第四条に従う場合におけるほか、物がブルガリア共和国に  所在するときも裁判管轄権を有する。 第=二条 知的財産権の対象に対する権利に関する事件の管轄権 206

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一 ブルガリア裁判所は、著作権及び著作権へ適用される権利に関する訴につき、保護がブルガリア共和国の領域において  要求されるとき、裁判管轄権を有する。 ニ ブルガリア裁判所は、産業上の財産権の対象に対する権利に関する訴につき、ブルガリア共和国において特許権が付与  されたか、又は、登録が行われたとき、専属的に裁判管轄権を有する。 第一四条 相続事件の管轄権  ブルガリア裁判所及び他の機関は、民事訴訟法典第八四条に従う訴、及び、相続と関係した他の手続につき、被相続人が その死亡の当時ブルガリア共和国に常居所を有したか、又は、ブルガリア国民であったとき、並びに、その者の財産の一部 がブルガリア共和国に所在するとき、裁判管轄権を有する。 第一五条 契約関係による権利に関する事件の管轄権  ブルガリア裁判所は、契約関係による訴につき、第四条に従う場合におけるほか、義務履行地がブルガリア共和国に在る か、又は、被告がブルガリア共和国にその主たる営業所を有するときも裁判管轄権を有する。 第一六条 消費者事件の管轄権 一 ブルガリア裁判所は、消費者の訴につき、第四条に従う場合における以外、その者がブルガリア共和国にその常居所を  有し、かつ、第九五条第二項に従う条件が満たされるときも裁判管轄権を有する。 二 裁判籍の合意は、それが争訟の発生後に締結されるときのみ許される。 第一七条 労働紛争の管轄権 一 ブルガリア裁判所は、労働争訟につき、労務者又は勤務者がブルガリア共和国において平常的にその労務を遂行すると  き、並びに、第四条に従う場合において裁判管轄権を有する。 二 裁判籍の合意は、それが争訟の発生後に締結されるときのみ許される。 第一八条 不法行為による権利に関する事件の管轄権

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一 ブルガリア裁判所は、不法行為による損害に関する訴につき、第四条に従う場合におけるほか、不法行為がブルガリア  共和国において行なわれたか、又は、損害の全部又は一部がブルガリア共和国において生じているときも、裁判管轄権を  有する。 二 第一項に従う裁判管轄権は、責任を追及される者の保険者に対する被害者の直接の訴についても成立する。 第一九条 ブルガリア共和国において登録された法人の法的地位に関する事件の専属的裁判管轄権 一 ブルガリア裁判所は、民事訴訟法典第八○条第一項第d号に従う訴につき、法人がブルガリア共和国において登録され  ているとき、専属的裁判管轄権を有する。 二 第一項は、社団又は他の法人の無効又は解散、その機関の行為の取消、社員の地位の保護、並びに、会社の転換の取  消、及び、転換の際の資金調整に関する訴につき、社団又は他の法人がブルガリア共和国において登録されているとき、  適用される。 第二〇条 多数の被告に対する訴の裁判管轄権  多数の被告に対する訴につき、裁判管轄権のための事由が被告のいずれかの者に関して存在するとき、ブルガリア裁判所 は裁判管轄権を有する。 第二一条 事件間の関連性による裁判管轄権 一 ブルガリア裁判所が、原告によって提起された訴のいずれかについて裁判管轄権を有するときは、事件間の関連性がそ  の共同の取扱いを求める限り、それはその余の訴についても裁判管轄権を有する。 ニ ブルガリア裁判所が最初の訴について国際的裁判管轄権を有するときは、それは、反訴についても、民事訴訟法典第  一〇四条の条件の下に裁判管轄権を有する。 第二二条 専属的裁判管轄権  ブルガリア裁判所及び他の機関の国際的裁判管轄権は、それが明らかに定められているときにのみ専属的とする。 208

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第一一三条 外国裁判所への事件の移管 一 事件が財産権を対象とし、かつ、争訟がブルガリア裁判所の専属的裁判管轄権に属さないときは、それは、当事者の書  面による合意により、外国裁判所へ移管されることができる。そのような合意が存在する際に、ブルガリア裁判所へ訴え  られたときは、被告の責問は、遅くとも、事件のための最初の開廷の終結まで、かつ、その者が事件における争訟に対し  て態度を決定する前に提出されなければならない。第一文は、扶養訴訟について適用されない。 二 第一項第一文の条件の下に、外国裁判所の裁判管轄権に属する事件は、ブルガリア裁判所へ移管されることができる。  これは扶養訴訟について適用されない。 三 合意から別段の結果が生じない限り、それは、それが締結された争訟につき、ブルガリア裁判所又は外国裁判所へ専属  的裁判管轄権を付与するものと認められる。 第二四条 ブルガリア裁判所の管轄権の暗黙的根拠  ブルガリア裁判所の裁判管轄権が第二三条第一項に従った合意によって合意されることができるときは、被告が、事件の 最初の開廷の終結までに、訴訟事件のための行為をもってそれを明示的又は黙示的に受け入れるとき、当該裁判管轄権はか ような合意がなくとも基礎付けられる。 第二五条 訴の保全の場合の管轄権  ブルガリア裁判所は、審理がその国際的裁判管轄権に属さない訴の保全についても、保全措置の対象がブルガリア共和国 に所在し、かつ、外国裁判所の裁判がブルガリア共和国において承認及び執行されることができるとき、裁判管轄権を有す る。 第二六条強制執行の場合の管轄権  ブルガリアの執行機関は、強制執行措置の実行につき、義務がブルガリア共和国に常居所を有するいずれかの者によって 履行されるべきであるか、又は、その措置の対象がブルガリア共和国に所在するとき、専属的管轄権を有する。

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第二七条 事情変更の場合の管轄権 一 国際的裁判管轄権についての原因が手続の開始の際に存在したとき、後の手続の進行中における原因の欠落の場合に、  裁判管轄権は存続する。 二 手続の開始の際に国際的裁判管轄権が付与されない場合に、手続の進行中、裁判管轄権の原因が存在しているとき、そ  れは基礎付けられることとなる。 第二八条 裁判所の審査  国際的裁判管轄権は職権をもって審査される。その存在又は不存在の決定は控訴審及び上告審の抗告に服する。

   第三章手続

第二九条 準拠法  ブルガリア裁判所及び他の機関はブルガリア法に従う事件を取り扱う。 第三〇条 証明 一 証明責任の分配は、証明すべき事実の結果を規律する実質法に服する。 二 事件において情状へ適用すべき法が、民事訴訟法典第一三三条に従い、人証を許す限り、事実が基準となる法が帰属す  る国家の領域において発生しているとき、その証明は許される。 三 ブルガリア共和国に所在する証拠の保全は、ブルガリア裁判所が裁判のためにその証明が必要である訴訟について権限  を有しないときであっても、それによって実行される。相手側は、それが猶予を許さないのでない限り、保全日を通知さ  れる。 第一一二条 外国訴訟行為の査定  ブルガリア裁判所及び他の機関は、外国訴訟行為が行なわれたか、又は、公的文書が発行された国家の法に従い、それら 210

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の有効性を査定する。 第一一一二条 文書による呼出し及び送達 一 外国における通知及び文書による呼出し及び送達は、ブルガリアの外交若しくは領事の代表者、又は、権限を有する外  国機関に対して行なわれる。ブルガリア機関は、法務大臣によって定められた規則に従い、法務省に対してそれを依頼す  る。 ニ ブルガリアの外交及び領事の代表者の協力は、ブルガリア国民に対する行為についてのみ要求される。 第三一一一条裁判所の宛名 一 外国における知られた宛名を有する当事者は、呼出状中に、その者がブルガリア共和国におけるいずれかの裁判所の宛  名を指示しなければならないことの言及の下に、その宛名に対して呼び出される。 二 第一項による義務は、いずれかの者が外国へ行っているとき、ブルガリア共和国におけるその者の法定代理人、保佐人  ないし任意代理人へも行なわれる。 三 第一項及び第二項による義務の不履行の場合には、当事者にとっての活動のために定められた次の呼出状及び他の文書  が受け取られ、かつ、送達されたものと見倣される。 第三四条 代理人への呼出し  当事者が外国における知られた宛名を有するときに、ブルガリア共和国におけるその代理人が、それらの者の名の下に、 提起されている訴訟が関連する法律行為を締結したとき、それらの者はその者に対して召喚されることができる。 第三五条 公示による呼出し 一 当事者が外国における知られた宛名を有し、かつ、その宛名へその者の呼出しが効力なく試みられているとき、その者  は、開廷日の少なくとも一か月前に発行すべき﹁ブルガリア官報﹂の非公式な部分における公示によって呼び出される。 二 当事者が公示にも拘わらず開廷に出頭しないとき、裁判所はその者のために代理人を任命する。

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第三六条 司法共助 一 ブルガリアの機関は、外国の機関からの司法共助を提供すべき依頼に対し、依頼の遂行がブルガリアの公の秩序に反し  ない限りにおいて義務を有する。 二 求められた行為はブルガリア法に従って遂行される。外国法がブルガリア法と一致する限り、外国機関の申立てに基づ  き、それはその法に従って遂行されることができる。 三 ブルガリアの機関が外国における司法共助を求めるとき、それは、行為がブルガリア法に従って遂行されることを要求  することができる。 第三七条 訴訟係属の責問  外国裁判所に、同一の当事者間において、同一の原因に基づき、かつ、同一の請求に関し、先行して係属した訴訟が存在 しており、かつ、それが、然るべき期間内に、ブルガリア共和国において承認かつ執行されることができる最終的な裁判を もって終結されることが期待されることができるとき、ブルガリア裁判所は職権をもってそれに提起された訴訟を中止す る。 第三八条 先取り法律関係の管轄権 一 ブルガリア裁判所は、争訟の開始のための先取りした法律関係についても、それがそれに関連した事件について管轄権  を有しないときであっても、態度を決定する。 二 先取りした法律関係につき、外国における訴訟が係属しているとき、ブルガリア裁判所は、外国裁判がブルガリア共和  国において承認されることになるという仮定のための根拠が存在する限り、それに提起された訴訟を中止することができ  る。 212 第三編 準拠法

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第四章 総則 第三九条 性質決定 一 準拠法の決定が、事実又は法律関係の性質決定に懸かるとき、それはブルガリア法に従って行なわれる。 二 問題となる法制度又は法概念がブルガリア法に知られておらず、かつ、それがブルガリア法によれば解釈によって決定  されることができないとき、その性質決定に際しては、それを規定している外国法が考慮に入れられるべきものとする。 三 性質決定の実行に際しては、規律される法律関係における国際的要素及び国際私法の特質が考慮されるべきものとす  る。 第四〇条 送致 一 本法典の意味において、本法典又は他の法律において何か別段に定められているとき以外は、一定の国家の法とは、当  該国家の抵触規定を除くその法規と解すべきものとする。 ニ ブルガリア法への反致、及び、第三国法への送致は、次に掲げる場合には許容されない。    法人及び権利能力を有しない社団の法的地位    法律行為の方式    準拠法の選択    扶養    契約関係    契約外関係 第四一条多数法秩序を有する国家の準拠法 三 第一項に従った場合において送致が行なわれるときは、  ︵  6 ラ  ︵ 5    ︵  4    ︵  3    ︵  2 ラ  ︵  1 ブルガリア実質法ないし第三国の実質法が適用される。

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一 本法典によって適用を援用される法が帰属する国家が、固有の法秩序を有する多数の地域的統一体によって構成される  ときは、当該国家の法が、それらの秩序のいずれが適用されるべきであるかを決定する。 一一問題となる国家が、契約上及び契約外の債務関係につき、それぞれがその固有の法規則を有する多数の地域的統一体を  含むとき、第一〇章及び第一一章に従って適用されるべき法の決定につき、それぞれの地域的統一体は固有の国家と見倣  される。 一一一本法典によって適用が援用される法が帰属する国家が、異なる人的類型について基準となる多数の法秩序から構成され  るときは、同国家の法が、その秩序のいずれが適用されるべきであるかを決定する。 四 第一項及び第三項に従った国家の法が、適用すべき法秩序の決定につき、いかなる基準も含まないときは、法律関係が  最も密接に関係している法秩序が適用されるべきものとする。 第四二条 連結基準の変更  適用すべき法の決定が基づいている情況の後発的変更は、遡及効を有しない。 第四三条 外国法の内容の調査 一 裁判所又はその他の法適用機関は、職権をもって外国法の内容を調査する。それは、国際法上の条約に定められた手  段、法務省又は他の機関の情報を利用し、又、専門家及び専門研究所の見解を求めることができる。 二 当事者はそれらの者がその提訴又は抗弁の拠り所とする外国法の規定の内容を確定する文書を提出することができる  が、さもなければ、他の方法をもって、裁判所又は他の法適用機関が補助することができる。 一一一準拠法の選択の場合に、裁判所又は他の法適用機関は当事者にその内容の調査の際に協力すべきことを義務付けること  ができる。 第四四条 外国法の解釈及び適用 一 外国法は、それがその本源国家において解釈かつ適用されると同様に、解釈かつ適用される。 214

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二 外国法の不適用並びにその誤った解釈及び適用は、上訴の理由となる。 第四五条 公序 一 本法典によって基準となるものと決定される外国法の規定は、その適用の結果が明らかにブルガリアの公の秩序と一致  しないときにのみ適用されない。 二 不一致は、法律関係のブルガリア法秩序との関連性の程度、及び、外国法の適用の結果の重要性の考慮の下に判断され  るQ 一一一第一項において言及された不一致が確認されるときは、同一の外国法上の他の然るべき規定が適用される。かような規  定がないときは、ブルガリア法上の規定が法律関係の規律のために必要である限り、それが適用される。 第四六条 介入規定 一 本法典の規定は、ブルガリア法上の強行法規の対象及び目的を顧慮して、外国法への送致に拘わらず適用されるべきで  あるそれの適用に関わらない。 二 裁判所は、本法典の抵触規定により、いずれの法が適用されるものと決定されるかに拘わらず、法律関係が密接に関係  している他の国家の強行法規が、その本源国家の法に従って適用されるべきである限り、その法規を考慮することができ  る。かような介入規定が考慮されるべきであるか否かを裁決するために、裁判所は、その性質及びその対象並びにその適  用又は不適用の結果を考慮しなければならない。 第四七条 相互性 一 外国法の適用は、相互性の存在に拘わらない。 二 法規定が相互性の存在を求める場合には、その現存は反対の証明があるまで推定される。

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第五章 主体の法的地位 216 第一節 自然人の法的地位 第四八条 一般規定 一 本法典の意味において、人の本国法とは、その者が帰属する国家の法とする。 二 二つ又は多数の国籍を有する者であって、その一つがブルガリア国籍である者の本国法はブルガリア法とする。 三 二つ又は多数の外国に帰属する者の本国法は、それらの中、その者の常居所が所在するものの法とする。その者がその  帰属する国家のいずれにも常居所を有しないときは、その者が最も密接に関係する国家の法が適用される。 四 本法典の意味において、無国籍者の本国法とは、その者の常居所が所在する国家の法とする。 五 本法典の意味において、難民の地位を有する者、及び、収容所が提供された者の本国法とは、その者の常居所が所在す  る国家の法とする。 六 第三項、第四項及び第五項に従う場合において、その者が常居所を有しないか、又は、かようなものが確認されること  ができない限り、その者が最も密接に関係する国家の法が適用される。 七 本法典の意味において、自然人の常居所とは、その者が、滞在又は営業のための登録又は許可の必要性と結合されるこ  となく、主に生活するために定住した場所と解される。その場所の決定については、特に、その者の当該場所への継続的  な結合、又は、かような結合を確立すべきとするその者の意思に由来する個人的な事情、又は、職業上の特性が考慮され  るべきものとする。 第四九条 権利能カ 一 人の権利能力は、その者の本国法に服する。

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東洋法学第54巻第1号(2010年7月) 二 外国人及び無国籍者は、ブルガリア共和国において、法律が何か別段に定めるとき以外、ブルガリア国民と同一の権利  を有する。 第五〇条 行為能カ 一 人の行為能力は、その者の本国法に服する。問題となる法律関係に適用すべき法が、 行為能力について特別な条件を  設定するときは、その法が適用されるものとする。 二 同一の国家に所在する者たちの問における契約が締結されているとき、その国家の法によれば行為能力を有する者は、  契約の相手方が契約締結の当時その行為無能力を知っていたか、又は、過失に基づいて知らなかったのでない限り、他の  いずれかの国家の法に従い、その者の行為無能力を援用することはできない。 三 第二項の規定は、家族関係及び相続関係における行為、並びに、行為の実行が異なる国家に所在する不動産に対する物  権に関する行為について適用されない。 第五一条 既得の権利能力及び行為能力  本国法に従って取得された権利能力及び行為能力は、国籍の変更によって影響されない。 第五二条 商人の行為能力  人が法人を設立することなく商人の活動を実行するための行為能力は、その者が商人として登録されている国家の法に 従って決定される。登録が必要でないときは、その者がその主たる営業所を有する国家の法が適用される。

第五三条氏

一 人の氏及びその変更は、その者の本国法に服する。 二 国籍の変更の氏に対する効力は、人が取得した国籍が帰属する国家の法に従って決定される。人が無国籍者であると  き、その常居所の変更の氏に対する効力は、その者がその新しい常居所を創設する国家の法に従って決定される。 三 氏の保護は、第二章の規定に従って基準とされる法に服する。

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四 氏及びその変更は、ブルガリア共和国に常居所を有する者によって主張されるとき、ブルガリア法に従って規律される  ことができる。 第五四条 行為能力の制限及び取消 一 人の行為能力の制限又は取消の要件及び効力は、その者の本国法に服する。人がブルガリア共和国の領域にその常居所  を有する限り、裁判所はブルガリア法を適用することができる。 二 第一項に従って適用される法は、行為能力の制限又は取消の終了の要件をも規律する。 第五五条 失踪宣告及び死亡宣告 一 失踪宣告及び死亡宣告の要件及び効力は、人がその者に関する最後の情報の際に帰属した国家の法に服する。人が無国  籍者であるとき、失踪宣告及び死亡宣告の要件及び効力は、その者がその最後の常居所を有した国家の法に服する。 二 人のブルガリア共和国の領域に所在する財産の保存のための暫定的措置は、ブルガリア法に服する。 一ニ ブルガリア共和国に常居所を有した者は、然るべき利害関係を有するいずれかの者によって申し立てられる限り、ブル  ガリア法に従い、失踪又は死亡を宣告されることができる。 第二節 法人、権利能力無き社団及び国家の法的地位 第五六条 法人 一 法人については、それが登録されている国家の法が基準とされる。 二 法人の設立につき、登録が必要でないか、又は、それが多数の国家において登録されている限り、その定款に従い、そ  の本拠が所在する国家の法が適用される。 三 第二項による場合に、定款に従った本拠地が、法人の活動上の管理地と一致しないときは、その活動上の管理が所在す  る国家の法が適用される。 218

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東洋法学第54巻第1号(2010年7月) 四 法人の支店については、支店が登録されている国家の法が基準とされる。 第五七条 権利能力無き社団  法人でない団体又は組織は、それが登録されているか、又は、設立されている国家の法が基準とされる。 第五八条 準拠法の適用範囲  第五六条及び第五七条に従う法人又は社団に適用すべき法は、次に掲げる事項を規律する。 (9)(8)(7)(6)(5)(4)(3)(2)(1) 第五九条  他の国家への本拠の移転、 なわれたときに.のみ効力を開始する。 第六〇条  本法典の規定は、 当事者である場合にも適用されるものとする。 設立、法的性質及び法的・組織的形態 名称及び商号 権利主体及び管理体制 機関の構成、権限及び機能 代表 社員資格の取得及び喪失、並びに、それと結合された権利及び義務 債務に対する責任 法律又は定款の違反による効果 変更及び解散  本拠の移転及び法人の変更       及び、異なる国家における本拠を有する法人による変更は、それが当該国家の法と一致して行   渉外的要素を有する私法関係への国家の関与       法律によって別段に決められていない限り、渉外的要素を有する私法関係であって、いずれかの国家が

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第六章 法律行為、代理及び時効 第六一条 法律行為の方式  法律行為の方式は、行為に適用すべき法に服する。但し、行為の実行地の国家法上の方式要件の遵守をもって足りる。 第六二条 任意代理の場合の本人と第三者の間の関係 一 本人と第三者との問の関係において、代理人の代理権の存在及び範囲、並びに、代理権の活動上又は表見上の行使のた  めのその者の行為の効力は、代理人が行為の実行の当時その主たる営業所を有した国家の法に服する。 二 第一項の規定に拘わらず、次に掲げるときは、代理人が行為をなした国家の法が適用されるものとする。  ω 当該国家に本人の主たる営業所若しくはその常居所があり、かつ、同国において代理人が本人の名において行為をな   したとき、又は、  ω 当該国家に第三者の主たる営業所若しくはその常居所があるとき、又は、  ㈹ 代理人が証券取引所において行為をなしたか、若しくは、競売に参加したとき、又は、  @ 代理人が主たる営業所を有しないとき 三 本人又は第三者は、書面の方式をもって、第一項に従う問題について基準とされるべき法を選択することができる。法  選択は、相手方当事者によって明らかに受諾されなければならず、かつ、代理人の利害関係に触れてはならない。 第六三条 時効  時効については、問題となる法律関係を規律する法が基準とされる。 220 第七章 物権及び知的財産の対象に対する権利

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    第一節 物権 第六四条 一般規定 一 動産及び不動産に対する占有、所有権及びその他の物権は、それらが所在する国家の法に服する。 二 いずれかの物が動産又は不動産のいずれと見倣すべきであるか、並びに、物権の種類は、第一項において指示された法  に従って判断される。 第六五条 物権の取得及び消滅 一 物権及び占有の取得及び消滅は、取得又は消滅の原因となる行為の実行又は事実の発生の当時の物の所在地国の法に服  する。 二 取得時効による所有権及び他の物権の取得は、物が取得時効期間の満了の当時に所在した国家の法に服する。他のいず  れかの国家における占有の期間は考慮される。 第六六条 既得権  物の所在地の変更の際には、物が所在した国家の法に従って取得された権利は、その新しい所在地の国家の法を侵害して 行使されてはならない。 第六七条 運送される物 一 運送される物に対する物権の取得及び消滅は、その仕向地の国家の法に服する。 二 旅行により、本人に携行される個人的使用の物に対する物権は、その者の常居所が所在する国家の法に服する。 第六八条 輸送手段  輸送手段に対する物権の取得、譲渡及び消滅は、次に掲げる法に服する。  ω 運行する船舶の旗が帰属する国家の法

参照

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