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企業担保の理論--企業担保法改正論

著者

小林 秀年

著者別名

H. Kobayashi

雑誌名

東洋法学

31

1・2

ページ

73-115

発行年

1988-01

URL

http://id.nii.ac.jp/1060/00003562/

Creative Commons : 表示 - 非営利 - 改変禁止 http://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/3.0/deed.ja

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企業担保の理論

   i企業担保法改正論1

      もくじ    一 はじめに    二 臨8試⇒閃9鍵αqo      O 惣o響ぎαq9舘鴨の成立過程      ⇔ 騰一8餓夷o富茜Φの概要    三 企業担保の理論    四 企業担保法の課題    五 おわりに   一 はじめに 各国における企業担保制度の形成・発展には、

   東洋法学

林秀 年

近代資本主義経済の発達との相関関係があるも 、 そこにはそれぞれ 七三

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    企業担保の理論      ・    七四 の国固有の法律上の問題点があり、その克服ないし認和という難題が伴うものである。例えば、翼⋮質ッパ大陸諸国       ︵1︶ において企業の担保化を実現することは、理論上まさに至難の業であったと言えるであろう。しかし各国とも経済取 引の必要に応じて、特別の立法を創設することにより各種の集合物抵当や動産抵当を認めて、その要請に応じてきた   ︵2︶ のである。  現在、企業担保制度を採用している諸外国には、イギリス・オ⋮ストラリヤ・ニュ!ジーランド・カナダ・ブラジ ル・アルゼンチンの外にも、西ドイツの鉄道財団法︵○のω簿N菩R象Φ切磐器汐富凶酔臼︶、フランスの営業質︵3鼠ω 留Oo導欝R魯︶、アメゾカ合衆国の総括担保または一般担保︵ω賦三く9巽O窪巽鎮竃象農おΦ︶などがある。なお、 これらの担保制度と関連して社債制度をみると、二種に大別することができる。一つは受託者制度を採用する英米法 系であり、他は受託者制度に該当するものはなく、これに相対応する社債権者団体ないしはその代表者の制度を採用        ︵3︶ する大陸法系である。アルゼンチンは、両法系の折衷的法制を採用している。  わが国においては、一物一権主義が固執せられ﹁独立する物の集合体の上には、独立の所有権は成立しない﹂とい う原則が存在していたが、近代経済取引の発達は必然的に信用の拡大を伴い、素朴な一物一権主義を崩壊させたので  ︵4︶ ある。これはとりもなおさず、わが国民法の担保物権の規定が近代資本主義における立役者として、その役割を十分        ︵5︶ に発揮するには甚しく不十分であったことを物語っている。ここにおいて、財団抵当制度をはじめとして証券抵当・ 動産抵当さらには根抵当に至るまでその法制化がなされ、判例法上も譲渡担保の制度を確立させてきている。財団抵 当制度は、企業を担保する制度として活用されてはいるが、企業担保としての本質および近代的経営形態の企業の担

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      ︵6﹀ 保制度としては、批判を免れないのであるひこの制度の欠陥を除去せんとして立案された点もある企業担保法が昭和 三三年に施行され、はや三〇年を迎えようとしている。しかし、いまだもって同法は、制定当初において懸念された 危惧を指摘されたり、その機能を過大評価することができないという見解が多くあり、さらに、無担保社債発行が可        ︵7︶ 能になることによってその存在意義が根本的に問われたり、金融の自由化・円高などわが国をめぐる経済︵金融︶諸 事状からみて、企業担保法そのものの存在があやぶまれているような現状である。また、近時において発表された同       ︵8︶ 法に関する論文等にょれば、同法の課題は山積みされ、修正ないし改正しなければ将来に対応することができないで あろうことは多言を要しないのである。  企業担保法の展望としては消極論が多数を占めているが、果してそれで、わが国資本主義経済に対応しうるのであ   ︵9︶ ろうか。そこで、本稿においては、わが国企業担保法の母法であるイギリスの廼○舞ぢαqo冨彊①の成立過程および理 論と実状を概観することにより、企業担保の理論を闘らかにするとともに、それを出発点としてわが国企業担保法の 改正︵立法論︶を試みるものである。 ︵1︶ ︵2︶ ︵3︶  例えば、動産抵当と登録質に関する一九一コ年バンベルグにおけるメルヒオール︵鼠望o臼o労︶の提案、一九二六年帝国 議会におけるカイナート︵溶艶2︾↓田︶の提案に対する論議の紛糾、一九二七年第三回ドイッ法曹大会における集合動産の譲 渡担保に対するエルトマソ︵︾諺dピ○国力↓属>22︶の理論構成の失敗は、この理論の困難さを物語るものである。  水島廣雄﹁各国における企業担保制度の概観﹂法律時報二六巻一〇号︵昭和二九年︶参照︵同・特殊担保法要義︵昭和五 四年︶所収︶。  大原栄一﹁アルゼソチン共和国社債法﹂法学協会雑誌七一巻六号五一三頁︵昭和二九年︶。

 東洋法学       七五

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︵4︶

((

65

))

︵7︶ ︵8︶ ︵9︶  企業担保の理論      七六  水島廣雄﹁イギリス浮動担保の素描ー企業担保の理論ー﹂中央大学七〇周年記念論文集四六頁︵昭和三〇年︶︵特殊担保 法要義八二頁︶。  我妻栄・新訂担保物権法︵民法講義皿︶七頁︵昭和四三年︶。  執行秀幸﹁企業担保権の内容・効カー制定過程からみた現行企業担保権の意義ー﹂担保法大系四巻二頁以下︵昭和六〇 年︶、企業担保法が財団抵当制度の欠陥をカバーしているのかいないのかを詳細に検討している。  秦光昭﹁財団抵当と企業担保﹂金融法務事情七〇〇号四五頁︵昭和四八年︶、伊藤進・銀行取引と債権担保一六五頁︵昭和 五二年︶、執行秀幸﹁企業担保権の行方ーフ・ーティングチャ!ジとの比較検討を通してー﹂現代金融担保法の展開︵高島平 蔵教授還暦記念︶一二一頁︵昭和五七年︶。  執行﹁企業担保権の内容・効力﹂、秦光昭﹁企業担保と金融取引﹂担保法大系四巻六一頁以下︵昭和六〇年︶、近藤崇晴 ﹁企業担保権の実行手続上の問題点﹂担保法大系四巻七九頁以下︵昭和六〇年︶、拙稿﹁企業担保法の課題ーイギリス浮動担 保を礎として⋮﹂東法法学二八巻二号一〇一頁以下︵昭和六〇年︶など。  企業担保権付社債のオープソ設定額は二兆円余であり、利用した企業を業種別にみると、鉄鋼・電気機器・輸送用機器. 繊維・化学・瓦斯業・機械・造船・パルプ紙・石油・硝子・商業・不動産業・陸運業・金属製品と多種に及んでいる。 二 識o暮ぎ磯o騨帥塊㎎①  企業担保の制度として国8鉱p閃oぎ績①は、進歩的かつ合理的な制度で、現行比較法制上、最高水準に位置してお ︵1︶      ︵2︶ り、イギリス衡平法の実務家︵2εな賓霧簿δ器誘︶にょり展開せられたものである。しかし、このような制度は、 ・ーマ法上すでにその萌芽が存在していたのである。ρ;マ法の占有質︵もお壼ω︶はイギリスの動産質と同様に、担 保目的物である動産の占有が債権者に移転することから、債務者は担保目的物の占有を喪失するばかりでなく使用・

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収益もできないことから、金融を得るためには生計の手段以外のものは質入しても、生計の手段のものは、質入する ことは考えられなかったのである。この欠陥を補うために抵当︵ξ言爵Φ8︶という担保方法が考案された。すなわ ちげ壱o夢Φ8は、も蒔欝。 。の制約を克服したばかりでなく、その発達に伴いおそらくギリシャ法におけるξ冒夢①箒 の影響をも受けて、担保の客体が大いに拡張され、動産・無体物・集合物・将来の取得財産をはじめ、β々変動す        ︵3︶ るものの総財産でも担保の客体となりうることになった。この絶えず変化する集合物あるいは総財産に設定される       ︵4︶ ξ宕岳Φ8について、イギリスの学者は、これを蟄o簿ぎαqo訂おのと称していたのである。しかじ、多くの国々が採        ︵5︶ 用しなかったこの制度を、イギリスの衡平法︵国ε諦蔓︶ は、いかなる事状から一八七〇年に法的承認︵一畠巴諾? 粛巳鉱窪︶を与えたのであろうか。     一 鵠o算ぎ瞬9鍵騎⑦の成立過程  ゆ○象ぎ窃Qo訂おΦが承認されるまでには、一八世紀前半のイギリスにおける経済取引の要請とコモン占1︵98讐窪 び簿妻︶の関係、そしてそれに対する衡平法の干渉、さらに一八四五年会社条項統合法による羅霞藤おoなどについて 概観する必要があろう。  工業・商業の発展は、一八世紀前半までは極めて顕著であったが、各企業は長期かつ安定した企業資金の調達に苦 慮していた。国会制定法︵︾99評島鋤ヨΦ9︶により設立された比較的大規模な会社は専ら増資の方法によってまか なわれていたが、産業革命の中心的存在であった比較的小規模な法人格なぎ会社︵巷露8暮R象a8簿蜜鼠霧︶で は、増資の方法を有しなかったか、できない状態であった。そこでこれらの会社の企業資金調達方法は、専ら伝統的

    東洋法学      七七

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    企業担保の理論       七八        ︵6︶ な借入金によらざるをえなかった。  当時、コモン・頂1が承認していた担保としては、土地または動産に対する鷺雲β鼠oと動産に対する冨①畠oで   ︵7︶ あったが、会社の要求に応ずる担保とはいえるものでなかった。すなわち、コモン・β1が与えていた担保形式は、 会社財産中の特定固定資産の担保化を個別的には可能にしたが、流動資産に担保権を設定することも、まして会社そ のものを担保化することも不可能であった。コモソ・・⋮は、衡平法と異なり債権を人格と深く関連するものとみ       ︵8︶ て、会社所有の金銭債権の譲渡も、その目o旨撃αq①も承認しえなかったのである。これは、コモン・雛1が身分関係        ︵9︶ を媒介として法律関係を構成していたことによる。  コモン・冒ーの欠陥を補正するために、良心︵8霧9窪8︶、信義︵αqo&騰鉱3︶、道理︵器器呂︶を基底とする衡平        ︵鐙︶ 法が干渉を加えた最初のケースは、頃巳8琶<.ζ費魯毘事件であった。貴族院︵類豊器9ピoaω︶は、新しく購 入した機械について新たな行為の介入︵ま毒ω8窪ω酌簿段蔀昆窪ω︶がなかったとしても、担保権者の権利は執行債        ︵11︶ 権者のそれに優先すると判示して、それまで優先権を否定していた大法官︵8巳O富鷺亀R︶O>鷺田響u卿の判決 ︵号R8︶を破棄したのである。この判決は、さらに、将来の取得財産の上に成立する担保の合法性を明確に認めた ばかりでなく、それによってある者の現在そして将来の財産を包括的に担保に供するという担保方法の実現可能性を       ︵犯︶ も提供したものであった。しかし、時期尚早という理由からか、本事件の担保は津o魯ぼαqo冨お①としては認められ       ︵13︶ なかったけれども、担保方式としては自8什ぴσq9餌おのの特質を有した債権の担保として広く利用されていた。  他方、睦o簿営αq9鋤譲のの形成を促したもう一つの要因としては、制定法によって設立せられる会社のために、一

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八四五年会社条項統合法︵Oo欝冨ξΩ欝器ω9霧o涯呂宕︾。台狽o 。齢︶によって認められた欝簿薦おoの方式が考    ︵蕪︶ えられる。同法によると琶留旨躊営ひqということばの定義において、﹃その性質の如何を問わず、︵会社の設立行為︶ により執行せられることを授権されたき血角㌶鉦一薦または≦〇二誘﹄と規定したのみで、担保の客体の具体的内容お        ︵娼︶ よび担保の実行方法については明確にすることなく、裁判所にその判断を委ねたのであった。O鍵号巽くトo民OP        ︵1 6︶ O富導鋤旨餌鼠U薯R知零事件は、企業の担保の一つの効力を確定する判決ではあったが、そこには担保の客体に制 限が存したので、完全な津o舞ぎαqo匿お①の承認があったとは考えられない。       ︵賀︶  評霊讐F2Φ譲N$算鼠きq︾霧貸毘き胃身巴09事件において、大法官控訴裁判所︵O自辞9︾薯①巴ぎ        ヤ  ヤ     ヤ  ヤ  ヤ  ヤ  ヤ  ヤ  ヤ  ヤ       ヤ  ヤ  ヤ  ヤ  ヤ  ヤ  ヤ  ヤ  ヤ  ヤ  ヤ  ヤ  ヤ  ヤ  ヤ  ヤ  ヤ  ヤ  ヤ  ヤ  し  ヤ  ヤ O欝昌8曙︶ は、﹃社債権者は、、、猛留博爵ぎαq.、なる文字によって会社の現在ならびに将来における総財産の上に担保 、、、       ︵18︶ を取得し、一般債権者 ︵αq窪R巴Raぎお︶に先立って会社の総財産から優先弁済を受ける権利を有する﹄と判示 した︵傍点筆者︶。ギファード判事︵9頃︾目い畠︸︶は、﹁私は、本件の担保の意義および目的は、会社がその期間存 続し、かつその期間内は社債権者が中間利益計算を一切請求しないこと、会社の営業が通常である︵〇三ぎ鋤曙8畦器︶ 場合は、社債権者はすべての中間利益計算を請求したり会社財産に干渉したりする権利が存しないことにあると思        ︵19︶ う。私は、この社債券についてこのような結論を下すことに対して何等の困難も不便も認めない﹂と述べ、パーマー ︵勺き蜜男︶は、﹁この判決は、すでに社債のうちに広く用いられてきたρ且①昌爵ぎαQということばに一定の解釈を 与えたのみならず、他の多くの国において承認せられていないところの臨o簿鐵ひqo富おΦの方法によって、現在なら びに将来の会社財産一切に対して包括的な担保︵鶴αQ窪R巴o冨お①︶を設定し得ることの法的有効性︵一罐巴奉ま一な︶     東洋法学       七九

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     企業担保の理論      八○        ︵20︶ を明白に認めた点で、最も重要な判決である﹂と、その特異性を唱えて讃辞を送っている。  ゆo簿ぎαqo冨お①は、右にみた評霊箏僧2①類幕巴鋤呂窪α︾臣霞巴一き幻2巴09事件によって、裁判上初めて承        ︵21︶ 認されたのであり、その後の判例の蓄積により、さらに充実・補充されて、今臼のイギリス法系の国々において利用       ︵器︶ されている健全な社債の担保制度となっている。 ︵1︶ ︵2︶ ︵3︶ ︵4︶ ︵5︶ ︵6︶ ︵7︶ ︵8︶ ︵9︶ ︵10︶  水島廣雄﹁イギリス浮動担保の素描i企業担保の理論⋮﹂中央大学七〇周年記念論文集八頁︵昭和三〇年︶︵同・特殊担保 法要義四二頁︵昭和五四年︶所収︶。  ダρω。のo譲のび↓鵠潤始惣20昭田ω○男竃oご口沁zOO窯男誘竃び︾≦刈o 。︵Go鼠a。お8y  船里孚二・胃ーマ法三巻六七二頁以下︵昭和五八年︶、原田慶吉・冨ーマ法︹下巻︺四五頁以下︵昭和二四年︶。  黄宗楽﹁イギリス浮動担保に関する研究﹂阪大法学九一号五五頁︵昭和四九年︶。  憲薦幣動p鋤欝窒2Φ類N8㌶類鳥鋤爵伽︾霧謹鉱㌶β知○﹃鉱鎧巴一〇〇こ︵一〇 〇8︶じ囲60劉︾勺勺じoo一〇〇●  関口雅夫﹁イギリスにおける曽慧⇒αq9貰αqΦの成立﹂法学新報八一巻一号九七頁︵昭和四九年︶。  水島廣雄﹁イギリス譲渡抵当の変遷とその内容e⇔﹂法律時報第二八巻第二号︵昭和一三年︶、同二九巻三号︵昭和三二 年︶、伊藤正己﹁イギリスの担保制度について﹂︵イギリス法研究︵昭和五三年︶所収︶、小賀野晶一﹁イギリスにおける現 行抵当制度﹂早稲田法学五八巻四号︵昭和五九年︶参照。  水島廣雄・信託法史論︵英法講義一巻︶二六頁以下︵昭和四九年︶参照。  関目﹁イギリスにおける臨○鋤鉱昌αQoゲ舞αq①の成立﹂九八頁。  ︵一〇〇総︶一〇鵠。回。ρお督憎頃F曙類●℃円8艮3図Oq肖嘆︾zO8型萄ぴ>名○憶↓驚qω↓$①︵oo鑓a.一〇凝︶旧塑鼠悔の︾力海磯 ︾zoやく寧じ ご︾緊麟拓↓鵠国幣菊蟹o賠沁轡ω○男国のd電くO o?O o一︵卜o刈9の︵一。一箋o o︶贈9壌。麟糊的802︾2ご劉︾ω鎖麟霞o湊!↓麟濁 び︾≦霧↓開田房おα︵さ些Φ血●ご凝︶、本件の概要は次のとおりである。﹁債務者は、自己の製粉所の機械と設備一式を

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︵n︶ ︵1 2︶ ︵B︶ ︵M︶ ︵焉︶ ︵掲︶ ︵1 7︶ ︵18︶ ︵19︶ ︵20︶ ︵21︶ ︵22︶ 通常の買戻条件付︵箱oξ8属鶏器留昌壱5⇒︶で、自己の債権者を受益者︵冨濤誉莚昌︶として、受託者︵辞霧8Φ︶に譲渡 した。譲渡証書には、これにょって設立された信託︵簿霧誉︶は、初めの品物に付加し、もしくは代替し、その製粉所に持込 まれるその他のすべての機械と設備に及ぶものであることが規定されていた。債務者は製粉所の占有を留保していた。そ して以前からある機械のあるものが売却されて、それに代えて新しい機械が購入された。債務者の執行債権者︵①蓉05一8 嚢①象8穫︶は、強制執行令状︵類簿9箒は欝鼠霧︶のもとに、その新しい機械のあるものを差押えたのである。﹂  ︵一〇 〇〇〇︶鱒Uo9男節8紹9  ωoΦ巴ωo賢甲憶跨い鼠国戸OO鷺︾︸z嘱勺驚図o麟ご国2↓︵勺鋤旨臼︶溢G o︵一〇浮 a●お器︶。  黄﹁イギリス浮動担保に関する研究﹂六三頁。  肯定するものとして、男麟2筈20↓○ヌO§翁蹄毫箋禽驚醤晦Oぎ誌8寓・賛葬80 。ふ駆O︵ご8︶、否定するものとして、ミ“ ○OqoヌOO霞勺︾之くO麟諺菊Q甥刈㌣o 。一︵一箋o 。︶があり、争いのあるところである。執行秀幸﹁企業担保権の行方ーフローテ ィソグチャージとの比較検討を通しでー﹂現代金融担保法の展開︵高島平蔵教授還暦記念︶二一六頁以下︵昭和五七年︶。  蘭q﹁イギリスにおける難○響ぎαgo冨おΦの成立﹂ 一〇八頁。  ︵鵠零︶NO劉︾℃驚8翻担保債権者が鉄道会社の営業を解体し売却する権限を有する驚の8貯Rの任命を申請したケ ース。  ︵一〇 〇8︶ぴ9罰㎝O拝︾辱即認O o。  ρ鍔巧︸いごOo訴 ↓類国い︾項○男嵩○沁膚o︾の霧一8︵卜o呂a.這qO︶旧︾搾↓○憎類香竃︸2ご鐸菊。囲く︾竃ざ OO窺憶︾2磯 い︾≦ω8︵嶺島a●お誤︶・  一ω・男じ o●℃諺び鍵罰POO竃矧>2くい︾≦覇O︵B包a●O,鼠‘ω○頴冨霞↓麟○鵠惹警寓。図︾く鋤猛鐸鼠○霧国お蕊︶“  篤黛鉢  ≦箒簿竃﹃︿’忽鮮ω8蓉Oo毘OO4︵一〇 Qo QO︶8ρO・§㎝旧閏苺霧∼覆く鋤一の鍔巳措O欝三のω”︵一鎗○︶鱒界鮮Oお脳 菊Φ088讐s節Oσ畢い巳こ︵ごに︶一〇げ.3介の9;  水島廣雄﹁担保付社債信託﹂契約法大系V九一頁以下︵昭和三七年︶。  東洋法学      八一

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    企業担保の理論       八ニ  ニ 出o彗導鵬9霞篶の概要       ︵23︶  柚一8鉱瓢αqo菖おΦは、一九世紀においてイギリスで発達した企業担保制度の一種であり、会社が起債する際に社債 権者のために設定する衡平法上の担保 ︵8乱霊露①o富おo︶である。担保の客体は、会社の現在そして将来の財産 ︵夢Φ箕8Φ鱒弩α詮9諾頁8震蔓99①8臼℃磐矯︶であり、一定の結晶原因が発生するまでは担保の客体は浮游 状態︵⇔o象○<段︶を続けており、担保設定会社はその担保により過度の制限を受けることなく、営業の通常過程にお いて︵ぎさ①9島葛蔓8瑛器9どω3霧ω︶自由に行うことができる。しかし、一定の結晶原因が発生することによ り、隣○魯ぎαqo富お①は結晶し︵o曙馨巴房呂窪︶、睡眠状態より目覚めて担保の客体である会社の総財産の上に凝固       ︵以︶ して︵8訂8謹Φh嘗a︶、特定担保として物権的性格を発揮するのである。  イ 頃o暮ご鐙9鎧鷺の特質  特質としては、ω訟o簿ぎ騎o訂茜①設定時における総財産の範囲内で、さらに後日の財産の流出・流入の範囲内で、 すなわち会社の総財産は日々変化するが担保の目的となること、③旨簿欝αq9働おΦが結晶するまで設定会社は営業 を継続し︵80巽貸窪霞ωび霧ぎ窃ω︶、担保の客体である財産を運用でぎる︵8留巴意夢荘Φ霧器房ω呂寄98夢Φ         ︵25︶ 。ぎお①︶ことである。担保の客体である財産は、信託証書や社債券上の文言解釈によるが、設定会社の財産の一部で       ︵26﹀ も全部でもよい。なお、将来の取得財産︵織帯雫碧2嘗a賢o需村蔓︶・未払込資本金︵§。毘&8営欝一︶・資本準備金 ︵お器籍①。8坤巨Yのれん︵αQ8“惹δ・在庫品︵ω8良ぎ簿&ΦY買掛金︵びo爵号耳ωY子会社の株︵房落震窃       ︵27︶ ぎ霊房蕪麩一霧︶そして投資金︵○夢輿ぎ毒馨ヨ窪冨︶なども含むことがでぎる。

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 すなわち、ゆo簿ぎα⇒o富おoの有用な特質は、担保条項︵9①樽段ヨω99Φo欝茜⑦︶により制限されたものを除い        ︵28︶ て、担保が結晶するまで、会社の財産を自由に処分したりすることができることである。ぎ呂”αq。匿おΦ設定会社 と取引する第三者︵簿跨一鼠℃鍵蔓︶からみれば、担保書面における禁止条項︵箕○窪σ三窪︶のほかは津○簿ぎαqo冨お①        ︵29︶ の制限を受けることなく、会社の財産を購入したり不動産に抵当権を設定することもでぎる。しかし、実際には抵当 権のような担保権は、社債権者にとって騰一8鉱轟。言お①の客体の価値を破壊してしまうことになるので、社債権者 は担保条項によって彼の⇔8鉱嵩ひQ。富おのと同一順位または優先順位の担保の設定を厳しく制限したり禁止したり して、一定の価値を確保している。設定会社が右の禁止条項に違背したとぎは、社債権者はこれを阻止するために差 止命令︵ぎ甘琴甑窪︶を求めることができる。なお、無償取得者・悪意の有償取得者に対しては、処分後であろうと もゆ8鉱昌αqo訂茜Φをもって対抗することがでぎる。     P 自8彗ぎ騎畠騨おoの設定  ︵       ︵30︶  原則として自8汁3ひq9鋤茜①の被担保債権は社債に限られており、社債の発行は信託の法理が用いられている。設 定の時期は、原則として社債の成立と同時である。ただし、会社が津8けぎαqo濱おΦ設定後直ちに支払能力があるこ        ︵31︶ とを立証できるほかは、会社の清算開始より二一ヶ月以内に設定せられた駿8叶ぎαqo富おΦは無効とされ、この場合        ︵32︶ の社債は無担保の社債となる。これは、ゆ8鉱轟。冨茜のによって不公正な優先的利益︵毯宣村嘆既R窪8︶を特定 の債権者に付与することを防ぐ趣旨による。なお、会社が業務の通常の処理方法として前貸しを受けるために善意で 自8鉱謬αQoぎおΦ付社債を発行した場合は例外であるが、会社が清算を開始して六ケ月以内に特定の債権者に優先的     東洋法学       八三

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    企業担保の理論       八四        ︵33︶ 利益を付与するような詐欺的行為をしたときは、その行為は無効となる。  設定の方式としては、社債︵UΦぴ①旨瑛①ω︶の担保設定文言は信託証書︵貫霧け留&︶と社債券の双方に記載される ことから、社債券所持人は信託上の受益者︵幕濤浮鎧昌︶であり、また右の文言により直接に担保目的物上の権利者    ︵34︶ にもなる。  設定の形式は、会社によって形式が完成された証書︵Oo窪謹Φ馨︶であって特別な形式は要求されていない。例え ば、pーン契約では担保付社債に二つの形式が付されており、ぎ身馨曙紅邑齢aに対する霊⇒磐800趨○篤菖9忙 より結ばれたり、当座貸越を保証するo一8江鎚富募によったり、信託証書付社債券︵U①びΦ馨霞①ω8良↓姦馨 UΦ9︶や、会社登記簿︵9簿冨巳Φ。 。幻Φαq巨蔓︶に担保を登記する形式など、多種多様の形式がそれぞれの商業上の       ︵3 5︶ 事情に即応するために、ゆ○象ぼαqo富お①を組み入れている。  ハ 訟o馨ぼ磯oぽ鎧騎⑦の登記  慶o簿露αqo誇旙①は、担保設定の日から二一日以内に会社登記簿に担保の内容について登記しなければ、会社の清       ︵3 6︶ 算人およびすべての債権者に対して無効となる。そこで一九四八年会社法は、担保権者の保護を図るために、担保が        ︵37︶ 登記の欠敏によって無効となった場合は社債を直ちに償還すべぎであるとし、裁判所に登記期間の延長あるいは誤記       ︵38︶ または脱漏の補正を命ずる権限を付与している。イギリスのすべての会社は、会社登記所にファイルされており、        ︵39︶ 第三者であろうともその内容を知ることができるので登記された担保の存在も知ることができる。しかしゆ8鉱鑛 oぎお①が登記されていても、その担保の形式のみが記載されている限りにおいては担保条項について知ることがで

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きないことになる。そのような場合には、第三者は優先的な確定担保を設定して、その唐8鉱畠oぎおのに優先する       ︵⑳︶ 順位を得るこ乏ができる。  二 犠o暮ぎ磯9餌趨①の効力  ︵  鷺○簿ぎ磯9鋤茜のが結晶すると、浮動担保は確定担保となり、警錬ぎαQoざ茜のを有している債権者は会社の一般 債権者︵9①αq窪震毘Raぎお︶および会社への無担保の貸主︵舅ω9弩&8&Φお︶に対しては、常に優先弁済       ︵姐︶ ︵震既RΦ暮一巴℃昌臼霧房︶を受ける権利を有している。特定担保との関係については、ゆ○緯汐ひqo富鑛の設定後であ ろうとも、これに優先する特定担保を設定することは可能である。特定担保をゆ8蔓茜o富菌Φの設定後に設定し た場合に、特定担保権者がゑo簿3αqo鼠お①の存在を知っていたときであろうと、あるいはゆ8齢3αqo訂おΦが第 一順位の担保︵守暮響霞置囲①︶であると定めていたときであろうと、後に設定せられた特定担保は塗○無ぼαqo富おΦ       ︵姐︶ に優先することから、艶o無ぎαqo錺お①は特定担保の後順位に位置する。すなわち、会社がゆ8けぼαqo富茜①を設定 した後、工場に確定担保を設定したような場合、この確定担保は工場については津8けぎαqoざおΦに優先する順位 ︵欝嵩貯ぎ箕δユ蔓8夢o自8鉱昌αqoざ茜①︶となるが、会社の他の資産に関しては効力は及ばないこと当然である。 会社が占有はしているが所有はしていないという条件付売買契約︵8&鼠窪巴ω巴①甜冨。目Φ暮Y割賦購買契約 ︵窯誘唱弩9器①夷器Φ欝の簿Y賃貸借契約︵竃器ぼαQおおΦ謹①馨︶が付された設備には津8酢汐αqo冨菌。の効力が及 ぶのであろうか。この場合、艶○暮3凶o蕃おΦは設備における会社財産の利益についてのみ効力が及ぶのである。な ぜならば、会社がある動産︵9簿芭ω︶を割賦購買契約によって占有する場合、その動産の所有権は依然として会社     東洋 法 学       八五

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    企業担保の理論       八六 に移転していないから、その動産が定着物となったときでもゆ8鉱昌αq9鋤おΦの効力は所有権者に優先することはで       ︵43︶ ぎないのである。つまり塗8け訂αqo匿おΦを有している債権者は、会社が割賦購買契約にょって使用︵占有︶してい       ︵磁︶ る財産から生ずる利益についてのみ、その効力を主張することがでぎるのである。  油o舞ぎoQo富茜Φ相互の関係は、既存の自o讐ぎαqo冨お①と同一順位︵欝昌箆⇒αq窟ユ冨ω雲︶のゆ8賦昌ひqo言茜① を設定することも、既存のぎ鋤江鋤鐙o富鑛①に優先する︵鼠質ごユ蔓︶第二のま暮ぎαqo富おのを設定することも許    ︵妬︶ されない。  ホ 欝暮ぎ磯9畦鷺の結晶  騰一S鉱鑛。富茜①は結晶するまで睡眠を続けているのであるが、この担保は将来の担保ではなく現在の担保 ︵磐 震馨ぎひQoごおの︶であることから、一定の結晶原因、すなわち、特約のないかぎりは、ω会社が営業を廃止したと き ω会社が解散︵清算︶したとき ⑥収益管理人の任命があったときの三事由、しかし実際には特約によって㈲社 債の元利遅滞も含んでいることから右の四事由が発生したときは、睡眠より目覚めてゆ8梓ぎαq。富彊Φの客体となっ       ︵菊︶ ている会社の総財産の上に具体的に凝固して、確定担保となって物権的性格を発揮するのである。この現象を結晶       ︵響︶ ︵o蔓ω富象鋸鉱9︶または固定︵矯㌶︶という。  なお、鵡o葺汐鐙9輿篶の結晶は会社にとって非常に危険な出来事であることから、イギリスでは一般に破産        ︵娼︶ ︵匿涛毎算昌︶と同意義に解されている。  へ 収益管理人

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 ゆ8鉱嵩槻oぎお①が結晶した場合は、社債権者の権能として、通常、担保の客体である財産の収益管理人が任命で きることが、蓼餌鉱嵩αQ鼠震鷺の条項に記載されている。この収益管理人をお8貯段巷も9簿ao暮98瑛けあるい        ︵菊︶ は器8貯Rξ夢Φ留ぴ窪9吋魯o箆霞ωという。たとえ収益管理人を任命できる権能が惣o鯨ぎαq9霞αqΦの条項に記 載されていなくても、社債権者は支払の癬怠等があった場合には収益管理人を任命することを裁判所に訴えることが       ︵50︶ できるのである。このような収益管理人を誘8貯霞8を一暮&菖908震けという。これら収益管理人の任命は、       ︵駆︶ 会社登記簿に七日以内に登記しなければならない。なお、法人︵8∈9呂9︶を収益管理人に任命することはでぎな ︵諺 し  収益管理人︵知ΦoΦ貯R︶は、会社の資産を換価する権能しか有していないが、会社のアンダーテーキング︵巷留学 賦竃β⑰q︶を担保目的物とするゆ○簿汐⑫o嘉お①は、鼠弩鋤αQRを任命する権能も持っている。ζき餌αq段は、営業を継 続することによってゴーイング・コンサーン︵餌αQ9轟8馨①露︶すなわち営業継続中の会社として、会社を売却する 権能を有しているのである。そこで、同一人物が二つの権能を有する菊①8貯巽鋤呂ζ磐品Rとして、常に任命さ      ︵53︶ れるのである。なお、収益管理人は勾9蝕<Rき山ζき濃Rとして、会社を継続そして更生︵器oおき一鋸鉱象︶さ       ︵騒︶ せて、その収益から債務を弁済することもできるのである。  会社が設定した二つのゆ8け3α亀o富葭①が実行される場合は、理論的にはそれぞれの社債権者が別々の収益管理人 を任命することになるが、通常はそれぞれの社債権者が同一人を収益管理人として任命することに同意したり、稀で        ︵55︶ はあるがす馨湘の8貯Rとして二人以上の収益管理人を任命することがある。     東洋法学       八七

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    企業担保の理論       八八  収益管理人︵菊㊦8貯震き自蜜簿塗αq段以後同様︶は、会社の業務を処理する人として取締役の後任となるのであ ︵弱︶ り、通常、津8鉱⇒αqoざ葭①を設定している証書には、収益管理人は会社の代理人であって担保の所持人ではない旨        ︵田︶ が記載されている。収益管理人の職務としては、社債権者に対して会社が負っている債務を弁済するために会社の資 産を十分に換価することであり、そのために会社をゴーイソグ・コンサーンとして売却するために会社の全部または 一部の営業を継続するのである。会社に関するすべての債務は収益管理人によって弁済されるが、塗8齢汐鵬o鍔お① の結晶前に会社が締結した契約については、履行するか否かは収益管理人に任されており、契約の履行を拒んだ場合       ︵駆︶ は、その契約の相手方は収益管理人個人に対してではなく会社に対して損害賠償を請求する権利が与えられている。 収益管理人は会社として新たな契約︵金銭消費貸借契約も含む︶を締結することもできるが、その場合は個人的な責 任を負うことになる。なお、収益管理人は会社財産の管理に園して不明な点があれば、裁判所に指図を求めることが   ︵59︶ できる。  収益管理人は、会社の資産を換価して得た代価から債務を弁済するのであるが、まず最初は一定の優先する債務︹例        ︵60︶ えば、地方税︵莚9ω︶・解散のときから遡って一ケ年分の法人税︵8趨○惹鉱2鑓図︶・付加価値税︵<巴器禽 。&亀鑓図︶       ︵飢︶ ・解散のときから遡って四ヶ月分の賃金あるいは給料︵羅熱し鉱救駕︶︺、次に彼自身の手数料および所要経費、そして 訟8紳ぎαqo言お①によって担保された債務である。これらの債務が弁済されたとき、収益管理人の職務は終了する。  卜 清算        ︵62︶  収益管理人が任命されたときは、一般的には、会社が支払不能になったことを意味するのであり、この場合、会社

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 ︵63︶       ︵64︶ は清算︵いご巳留鉱9︶を行う。清算人︵甘ε壼8憎︶は裁判所により任命され、会社との間に受託者的な関係が生ず        ︵6 5︶ る代理人であることから、会社の受託者であるともいわれる。清算人の職務は、会社が有する債権の取立・無担保債        ︵66︶ 権者への弁済・株主︵落碧魯○疑Rω︶への残余財産の分配などを行い会社の営業を終えることである。  解散︵註鼠ぎαq巷︶に基づく清算では、解散によって収益管理人の選任があっても、その他に清算人が任命され る。訟o暮嘗騎。匿鑛Φの客体が会社の総財産の場合、収益管理人が菊①8貯段のみのときは会社の総財産の管理等を 行うのであるが、置鋤困αq震も兼務する場合には、清算人は収益管理人の職務が終了するまで、事実上、活動は一時 停止させられるのである。なぜならば、資産を売却したり営業を継続したりする権能を有しているのは、収益管理人 であって清算人ではないからである。        ︵67V  支払不能に基づく清算では、破産債権者による破産管財人の事務執行を監査するための委員会︵9ヨ昆雰80二亭 8Φ&畠︶が裁判所によって任命され、債権者と株主の代表者がその構成メソパーとなる。この場合には、清算人は 職務執行についてOO欝邑算89ぼ89鉱○謡に通知・協議をしなければならない。  収益管理人は、会社が新たな債務を負うような場合には事前に裁判所あるいは清算人の承諾が必要であり、活動に ついては清算人に報告しなければならない。清算人は、収益管理人が職務を終了したのち、会社の清算を完了するた めに介入する。そして、清算人は清算事務が終了したならば、会社財産の処分方法を示した計算書を作成して株主総       ︵6 8︶ 会に提出しなければならない。  チ 小結︵臨o舞ぎ磯9帥鎧②の利点と欠点︶     東洋法学       八九

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    企業担保の理論      九〇  ⇔8けぎひQ。富おoは、巨額な資金調達の手段として、高度でかつ実用的しかも有効的な担保であるとともに、借主・ 貸主の双方にとってもともに魅力的な担保であるといえる。  つまり借主︵会社︶にとっては、  ω 企業自体を担保の客体とすることがでぎることから、会社はより多額の資金を獲得することができること  ③ 睦8けぎαqo富おのの設定手続は簡略かつ費用が安いこと  ⑥ 担保が結晶するまで、会社は営業活動を麻痺させることなく営利追求できること  ㈲ 会社に特定担保の客体となるべき財産が僅かであっても、津○象ぎαqo匿茜oを利用することにより資金調達が    可能であること  貸主︵社債権者︶にとっては、  ω企業経営が危険な状態に陥ったときは、浮蝕嵩αq。富おoを結晶させることにより担保価値を十分に把握でき    ること  ③ ゆo暮露αQo富旙oが実行される場合においても、即座に企業を分解することなくゴーイング・コンサ⋮ンとし          ︵69︶    て会社を売却する、あるいは会社を更生させてその収益から債権の満足を得ることがでぎること ゆo讐ぎαQo匿撚Φは右にみたような利点がある反面、次のような欠点もある。  ω 借主が担保目的物︵鰭醗と︶を支配し続けていることにより、ときに借主が不誠実な場合は、ゆ○簿獣αqo富茜①の    制限を破ることにより貸主を欺くことがでぎること

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 ω 訟o碧ぎαQo富茜Φは一般債権者には優先するが、特定担保権者には劣後すること  ⑥ 連合王国︵夢①d凱瞥亀溶日αQ3導︶以外にある会社の資産に対しては、騰一8鉱欝αqo富お①を実施することが困         ︵70︶    難であること 右の欠点を克服するためにイギリスでは、讐蝕昌αq。富おΦは、このように進歩した担保の理論を支えるに十分な信       ︵質︶ 用あるそして誠実さが公認されている連合王国に存する企業の資金調達に主に利用されているのが実状である。  ︵23︶ ダPじ o●の○≦国ぎ↓誕国勺霞20弓ピ国ω○憶鷺○ご濁幻200竃憎︾2磯い>遜さGo︵薄びa。這刈Oご小町谷操三・イギリス会社法    概説四五五頁︵昭和三七年︶。理論上は個人あるいは組合も讐呂轟o冨鑛。を設定することができるが、実際上は次の二    つの障碍があるので設定できない。一つは、個人や組合の動産には⑦難9ω巴Φ︾9の適用があること、そして他の一つ    は、破産法の表見所有者の規定が自然人の設定する警呂類αqo冨おoの効力を著しく制限することである。  ︵24︶℃匿蜜男︸8。。圃僧ω巷篤きけ①β暮翫貸の○≦男︸oP簿。の唇声8罐貸簿鳶鱒ユ菊●界寄2峯器8700零    ℃>還い︾≦Go刈o o⋮︵藏9a・一箋O︶の8:  ︵25︶ ↓○男鎖︾冨 きα一<︾竃ざ8。鼠け。ω唇峯88一〇 。︾簿G。○貸O鵠>沁島ω譲○知穆譲帥O︾岡!OO竃勺︾Z鴫r︾≦畠○ 。ム8︵津浮    ae一Φミ︶“ミ誌磯o爵の導No≦8一8欝ぴ震ω︾ωω09簿凶oPい&‘属o巳儀ω妻o村9≦嗜o碁鴇一器≦oO一8筐σRω︾o 。ω8㌶・    賦OPび&4︹おOG。︺NO﹃鱒o o舎魯器9  ︵26︶ 睡o暮営磯o富茜Φは一般的には会社の総財産を担保の客体としており、典型的な文言は、、.毘浮①壽留慧蹄ぎαq讐8震な    餌β儀鋤ωω簿ωむ○夢鷺O器馨蝉⇒α霊9誘..である。  ︵27︶ 拙稿﹁企業担保制度の客体﹂東洋法学二七巻二号五九頁以下︵昭和五九年︶参照。  ︵28︶ 勺︾ピ蜜男℃8●o搾鶏冥餌88お”暮臨貸OO≦男︸oや簿●ω琶篤8融鱒Go”簿幾G。ム謹︸水島﹁イギリス浮動担保の    素描﹂六〇九頁︵特殊担保法要義 四八頁以下︶。これは 噛一8けぎαqo富茜Φ の性格であり、臼&5αqo富渥① は衡平法    ︵ω聲廟蔓︶上の担保であるといえる。具体的には、財産の処分は企業の存続と矛盾しない範囲で︵⇒9ぎ8誘韓①馨註窪      東 洋 法 学       九一

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︵29︶ ︵30︶ ︵3 1︶ ︵3 2︶ ︵33︶ ︵3 4︶ ︵3 5︶ ︵36︶ ︵37︶ ︵3 8︶ ︵3 9︶ ︵如︶  企業担保の理論       九二 蔚8昌鉱豪§8霧簿αqo貯αq8鋤8鰐︶、そしてその目的遂行上必要な行為に限られている。  OO≦切ぎoやo凶鉾霊蜜餌昌9Φ鱒Go︸暮鳶麟.  勺>ピ窯濁ぎoワ9鉾巽も声β9①お︾魯含曾譲︾びUOO訴o︸︶.o一けあq鷺鋤”o富一〇〇︸彗μ認◎  爵ΦOoB冨鉱Φω︾9一窯G o︸¢G o旨Ψ勺︾いζ鍔ぎOO竃勺︾2鴫勺潟切o膨o切2↓ω悶O継o一︵嵩9&・一80︶旧︾︾ピ竃国P8。o一糞 段冥餌鐸08這い馨&ピ  勺︾い鷺勝ぎOO鎮勺︾2磯U>≦鱒零︵竈夢&。一濾り︶旧︾拶↓○勺閏>ざ菊趨︾い憎労○鵠%↓艇o。器︵G。乱a,一8一︶.  浮ΦOo導窟鉱Φω︾9一緯O oいω・o o8︵一︶。  社債がご①びo馨瑛①ω8鼻の方式で発行される場合は、旨鋤謡謬αqo鼠茜Φの設定はただ信託証書に記載するのみであるが、 社債券︵OoぴΦ簿癸①ω8畠oR什窪88︶には単に所持人が信託証書にょり設定せられた担保につき受益権を有する旨を記載 するに過ぎない。  拙稿﹁イギリス浮動担保の理論と実状し東洋大学大学院紀要一八集二八○頁。  露おOOg冨鉱霧︾9一虞o o鳩。うゆ3︵一︶旧○巷禅鉱男ぎ窪80ρゼけα●︿’ω8ぎω︵お8︶一〇﹃霧おρ︾:  簿のOo葺9鉱のω︾9お轟Oo︸ω。3︵一︶旧Oo≦四菌8電o答ω薯欝添08ωω,馨戯o o㌣藤o 。9  導oOoき冒鉱oω︾9一総o o︸o っ5一〇凝勺︾導繭麟菌OP9謄象嘆鋤⇒9Φお”簿鳶錦OO≦濁Poワ息鉾雲R鋤欝9Φ鱒oo”暮 藩G O鱒ー群O Q伊  水島廣雄﹁イギリス浮動担保の観念とその現況﹂金融一二四号一九頁︵昭和三〇年︶。会社登記簿についての登記事項に関 しては推定悪意︵8蕊貸8鉱お8餓8︶または現実の認識︵89鎮⇔&8︶の原則により、第三者は登記事項の不知を根拠 として自己の権利の擁護を主張することはできない。  20幻↓顕濁磯欝び曽98碧↓幻OodO嚢02↓OOo竃憎>竃ピ︾≦GoOO疑・嵩︵ぎ畠亀。おo o一︶︸8鵠●司鋤霞簿び ↓諒偽O遷篭ミ、ト 鶏織§黛黛ミ暑識醤偽O趣ミ箋矯きO舅くる鶏︵おまy正反対のものとしては、ぎ鳶ζ磐賛①≦簿↓鍔霧8苫ピ巳’︵ぎ 諾8一<R警甘y︹おβ︺Z。N,い刃08σ

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︵岨︶ 勺わい鼠国餌8.o狩の琶篤瓢08ωρ魯8S この優先弁済における制限については、ωのρ9①OO簿短凱窃︾9一逡G 。︸    90ド ︵犯︶OO毒男︾8。。霊ω昌鍔ぎ審鐸暮禽樫 ︵43︶§ミ霞・鼠ωoP︸。器ω働鼠↓亀一・触算群︹お建︺一9曾㎝ρ ︵必︶宙z呂器87β。需.ω唇鍔88黛暮G。・ 。・。﹂ ︵菊︶の○≦男”8●警の巷鍔88鐸薄遺本蚕。h叶冨o・暑鼠Φω︵男一・蝕轟9”轄。 っ鋤邑響8ぎ邑︵ω。。欝注︶︾g    一〇認︾ωぴ︵ω︶鋤邑︵麻︶● ︵妬︶○○項男矯8。o罫ω唇鍔3帯貸無幾ω。 ︵留︶  ↓○憎類︾冨 鋤P伽 H<︾ζ嘱︾ Oも。O凶鉾ω¢唱同鶴 β○脅Φ 一〇 Q︸ 餌け ωOO, ︵48︶男国ω田同田uρ↓函害○︾↓髪OO蟹困ヨ窯閏器瓢。 D頃冒︸≦o 。︵ご凝︶9 ︵49︶○○類男︸。P畠。ω唇鍔き畠鐸暮藤・ 。浮↓○田︾鋸鋤鼠笥>窯ざ8・良’ω琶嬉8審掛㌶も 。N。。・ ︵50︶舞、讐o 。鐸20胃臣磯俸雷お簿o℃,簿・ω葛嵩8鼠腿ρ簿。。F ︵51︶誓のOo臼冨巳霧︾9一逡・ 。﹄・一。㌣20嫡H由磯俸欝釜88。簿。ω唇鍔88β跨ω・P ︵5 2︶ 簿のOoき冨鉱霧>9ご蕊”ωω●o。8欝αo。0300≦国P8δ答撃冥餌8$8︾馨島o 。,回避の実例としては、拙稿﹁イ    ギリス浮動担保の理論と実状﹂二七七頁参照。 ︵酪︶  ︵甲O<﹃国即︸ O℃露O一登ω賃唱吋餌 欝OけΦ 鱒QO︸ 鋤酔 腿oQGQゆ ︵駆︶やき鎧男︸oワ。搾ω唇莚き8β霧お○鋤疑罵○旧弓○嬉門︾ζ器αH<>ζざ8、簿。ω巷欝ぎ審一・ 。層馨。。鱒。 。6鐸 ︵茄︶  男沁国ω綴閃一国︼Uごも D︸ OO。 O一貧 のqも村p o βO酔Φ 恥O Q︸ 働け Φ。 ︵56︶&翼旧OO≦男鳩oPo霊ω巷建ぎ8鐸暮轟・ 。o 。. ︵留︶  男労的ω頃男H国ピUω︸ O噂。 O一芦 の信℃周鋤 βO樽O 轟○ Ov 餌醇 一〇旧 の○<﹃切菊︸ OO。 O一φ の鶴唱憎餌 ⇒○け① 鱒OQ︸ 鋤樽 麟O QO O● ︵58︶N猟暮群・ 。緯

      東洋法学      

九三

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︵5 9︶ ︵6 0︶ ︵6 1︶ ︵6 2︶ ︵63︶ ︵6 4︶ ︵6 5︶ ︵6 6︶ ︵6 7︶ ︵6 8︶ ︵6 9︶ ︵70︶ ︵臓︶  企業担保の理論       九四 9ΦOo臼︶餌鉱①ω︾9一鐸o O”9Qo8︵一︶い男涛麟ω頃国国いO即○や巳紳,象鷲鶴謬o審森c o”暮一9  甚①Oo露も餌巳①ω︾愈一総O o樽ω。ωお︵一︶鉾 浮①Oo営唱②巳窃︾9一逡o o︸ωo。ωお︵湛y ︵㎝︶餌瓢②︵③︶。  けび①Ooヨ℃餌添一霧︾9お蒔O o鳩ω﹄鱒G o、 ωΦρOOゑ国押8。o霊撃嘆岱き8器︸跨凝璽イギリスでは、清算と解敵とを概念的に区別していない。  けび①Ooきも鋤⇒一①ω︾9お蒔O o”器●浅o oー。  20沁↓訟国属卸び臼○鍔8’o搾6 。償鷺鋤β08腿ρ簿Goo o舘ド押Oo導講ぐ。○出お霞凶戸び践こ︹ごOGo︺鱒︾嵩彰㌍一〇〇9  ω①ρ窪ΦOo導℃鋤鉱①o o︾9お魁G o︾ω9Q o8ー︸20幻↓矯国く節ピ霞○蝉o囲︶愚o霊ω麟も声謬○帯恥ρ簿ωお.  ωoρ簿ΦOO鱒唱鶴鉱①ω︾9一逡o o”ω・謡曾O畿︸男ピじ肇も o≦○菊↓鵠陣O識70マ9齢。象嘆鋤訪○$黙o釦暮①簿餌¢α①お。 舅幻誘畿国田uρoやo搾ω昌簿8$蕊サ暮一?類・小町谷・イギリス会社法概説 五〇七頁。 黄﹁イギリス浮動担保の研究﹂一七〇頁にょれば、﹁社会経済上有意義でもある﹂と指摘するが、その点もあろうが、むし ろ債権者・債務者間の信義を重んずる相互信頼に基づくイギリスの伝統的な観念によるものと思われる。  勺>ぴ竃国菌o㌻鉱世鶏嘆餌謬08お︾簿齢o Q旧誉誌︾鄭oぴ○疑ピ欝①︵缶霧号誘o⇒じ ご3警①湊︶い&こ︹おGo己O搾蕊ω讐麟G o8 ρo讐鉱登ω鍔唱欝⇒08藤o o”暮一鱒● 三 企業担保の理論  右に概観してきたイギリスの⇔○暮ぎαQ9鋤茜①の成立過程そして理論および実状を通して、企業担保の根本理論が 如何なるものであるかを知ることができよう。  そもそも企業は、⑥動産・不動産等の企業施設、加工材料・生産用具・商品等無数の物的要素、㈲顧客との間の売

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掛代金・その他継続的供給等の債権関係、雇人との雇傭関係、地主あるいは家主との賃貸借関係等の無数の法律関 係、⑥商号・商標・特許等のいわゆる無体財産権に基づく特殊な利益、⑥その企業に特有の技能もしくは熟練とこれ       ︵1︶ に基づく顧客間の名声︵グッドウィルY金融上の信用等というような事実上の利益などが、一つの目的のために統 合せられた有機的組織体︵○茜器綜醇δ口︶である。しかもこの組織体は、それを構成する物的要素とその他の無形の 要素が個別的に有する価値の総和以上の独立の価値︵命藩V鋤+び+。+α︶を有し、かつこの企業独特の統一的価値は 近代的企業の形態においては、もはや特定の人格に不可分のものではなく客観的な存在を有するものとみることがで ︵2︶ ぎる。このように構成要素の単独価値の集計を超える企業の超過価値の存在と企業の客観的存在性は、企業が特殊な        ︵3︶ 担保権の客体となる可能性を暗示するものである。  しかし企業そのものを担保とする問題も、企業について一個の権利すなわち﹁企業所有権﹂ないし﹁企業権﹂が認 められるならば、この﹁企業所有権﹂ないし﹁企業権﹂と抵当権というような組合せによって一応の解決がでぎるよ うにも考えられるが、企業運営途上の構成物の流出・流入と担保の関係、担保権の客体を如何に把握してその登記を       ︵4︶ どのようにするか、またその担保の実行方法を如何にするか等の諸点に考えをめぐらせば問題はこの上もなく難しい。       ︵5︶ 元来、一物一権主義・物権確定主義を鉄則として集合物の観念を認めない大陸法系の法律観においては、企業という 生きた総合体の上に単一な権利の成立を認めることは到底不可能なことに属するものである。この点に関しては、例 えば、物権の客体をドイッ法の有体物に加えてロ⋮マ法の従物の観念によって企業組織を包括的に把握する理論を構       ︵6︶ 成しようとするパンデクチストの意見、従来の民法概念とは別に企業中心の権利概念の明確化につとめるオピコハー     東洋法 学      九五

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    企業担保の理論       九六         ︵7︶ ︵○譜頻○鵠幻︶の主張、企業中心の権利の概念の内容を公示すべき登録制を採用することにより企業全体を担保とす        ︵8︶ ることを提唱するイザイ︵冨ω鷺︶の提案などを回顧することができる。しかしこれらの諸学者の説も、物権とLそ企        ︵9︶ 業の全体を単一に把握することについては、一般的に承認せられる段階には至っていないのである。  つまり、右のように企業の統一的把握が困難であることは、もともと抵当権の本質は交換価値に存すると説かれて おり、しかもその前提として物権の確定性が厳然としているからである。  思うに、信用授受の面から考察した場合、物権の確定性ということは絶対的に必要なことなのであろうか。水島廣 雄博士は、この点について、物権の確定性は﹁時期的な問題であり、担保設定の当初より絶対的なものではありえな ︵憩︶ い﹂と言われているが正に至言である。なぜならば、純理論的にいえば﹃物の特定﹄ということは、﹃価値の特定﹄に        ︵n︶ 進展していくのであるからである。しかし純粋に企業の担保という問題を考える場合は、物にせよ価値にせよ﹃特定﹄ ということが担保権の前提であるということでは、問題は永遠に解決しないのである。換言すれば企業の担保につい        ︵犯︶ ては、物ないし価値の﹃特定﹄は物ないし価値の﹃流動﹄に進展しなければならないことを知るべぎである。すなわ ち、企業が順調に運営せられるかぎりにおいて、債権者︵与信者︶は﹃物の特定﹄ないしは﹃価値の特定﹄をも必要 としないであろう。この場合、債権者にとって必要なことは、常に一定量の交換価値が優先的に把握でぎることの確 .     .● ●       ︵1 3︶ 保または裏付けの存在することであろう。  企業担保の理論は、正にこの点から出発すべぎではないであろうか。  イギリスにおけるゆ8叶ぎαqo訂お①にあっては、企業を構成する財産の自由処分の可能性を認めるとともに、担保

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権の概括的登記を要求しているのであるが、この二面性は現代の法律制度において右のことがらを実証する唯一無二 の存在である。  要するに、企業の担保ということは、企業の収益機能が停止するか、企業が不振に陥り取得対価が流出財産の価値 よりも低下するに至るまで、換言すれば、企業が普通に運営されるかぎり、つねに交換価値の必要量を収め得る前提       ︵M︶ の下に資本主義経済が付与する信用を基盤とするものである。 ︵1︶ ︵2︶ ︵3︶ ︵4︶ ︵5︶  水島﹁イギリス浮動担保の素描﹂二五頁︵特殊担保法要義 六〇頁以下︶参照。マックノートン卿は、↓講αqo<。訟磐只あ霧︶ 事件で、﹁営業を樹木にたとえれば、αqO&三にはその樹液である﹂と説いたといわれている。αqO&三一一︵グッドウィル・ 暖簾︶について、イギジスでは次のように考察されている。︵1︶一八世紀中期より漸次、幾多の判例が種々の法理を発展 させたことにより、αqOa≦箆の文字は成文法︵破産法・会社法等︶にもさかんに使用されている。︵∬︶一九世紀初期の説 明によれば、αq・a≦馨は文字通り営業の繁栄が顧客の好意にょるものとする思考から患た語である。︵皿︶αQo&&にをも って営業の核心となし、他の企業財産はむしろこれに従属するという見解が支配的である。  企業の非人格化︵国pε段8巳一9窪︶・企業の物化︵くR鶏o霞9琶αQ︶といわれることであり、法律は企業主︵ご馨Φ導簿 ヨ霧︶を対象とせず企業そのもの︵¢嘗Φ疹3臼窪︶を対象とするに至っている。  水島廣雄・小林英雄﹁企業担保の本質について﹂商事法務研究四〇号三頁上一段︵昭和ゴニ年︶。  水島・小林﹁企業担保の本質にっいて﹂三頁上一段。  企業の非人格化が進行し、一個の社会的存在の認識が深まるにつれて、このような基本的原剣に対する例外的現象があら われている。フランスの営業質では、企業に特殊な技術および顧客に対する事実上の利益等をも包含し、企業の無形的要素 も担保の客体として捉えている。将来の営業財産は認められていないが、質権設定後、経営の常態において離脱する施設  東 洋 法 学      九七

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企業担保の理論 九八   は、担保の拘東から脱することを認めている。ドイッの鉄道財団法では、特定の企業を一個の財団として、その上に担保権   の成立を認めている。しかし、目的物は現存かつ法定の確定財産に限られており、目的物の流出・流入は認められていない。   なお、近年ドイッにおいてもイギリスの⇔8鉱pαqo9茜Φに関する研究が行われている。くαq一h費餌箆け段鼠Φ蕊①P蒙o   竃○簿貯αqO誇茜のー①営腔o一pR毯αQω器o簿鋤奪くRき鼠窪鉱器村撃αq嵩ω9窪Ooき窓昌︵お8︶。 ︵6︶ 水島・小林﹁企業担保の本質にっいて﹂三頁上二段。 ︵7︶ 我妻栄・近代法における債権の優越的地位 一二五頁以下参照︵昭和二八年︶。 ︵8︶ 我妻・近代法における債権の優越的地位 二一五頁以下参照。 ︵9︶ 水島・小林﹁企業担保の本質にっいて﹂三頁上二段。 ︵王0︶ 水島﹁イギリス浮動担保の素描﹂四六頁︵特殊担保法要義 八三頁︶。 ︵11︶ 水島廣雄・浮動担保の研究 一巻一九一頁。 ︵招︶ 水島・小林﹁企業担保の本質にっいて﹂三頁上二段。 ︵13︶ 水島﹁イギリス浮動担保の素描﹂四七頁︵特殊担保法要義 八三頁︶。 ︵U︶ 水島﹁イギリス浮動担保の素描﹂酋七頁︵特殊担保法要義 八三頁・八四頁︶、同﹁企業担保としての英国浮動担保について﹂   私法一三号四三頁以下︵昭和三〇年︶参照。 四 企業担保法の課題  大陸法系に属するわが国において英米法系の法律・制度を導入することには種々の難問が存したのであった。そこ で識者は、﹁財団担保から浮動担保へ﹂そして﹁浮動担保から企業担保合と唱えて、企業担保法への途を開いたので ある。そこには、一物一権主義の崩壊・近代抵当権の特質の一つとされる特定性の止揚等法律的には正に驚くべき点

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    ︵三a︶ が多く存する。さらに両国における経済事情そして国民性の違いなどから、同法の運用に際して識者は、慎重な態度 を望んだのであった。その慎重な態度すなわち運用にあたり、企業担保権の被担保債権が社債である︵紬鱗噸鰍きことか       ︵lb︶ ら、受託銀行がそのリーダーシップをとってきたことは以前検討した如くであるが、その反面、企業担保法の本質・ 機能もイギリス浮動担保に比べて遙かにスケールの小さなものになっていることは否めないことであろう。そこで企        ︵2︶ 業担保法制定に際して問題とされた点を中心に再検討して、今後の企業担保法︵改正企業担保法︶の方向性を探りたい。  イ 企業担保法を適用しうるもの  企業担保法のねらいは、当初においては、日本製鉄株式会社法が所謂ゼネモを認めていたが︵当時社債については、 昭和一〇年頃の社債浄化運動の結果として、社債権者保護のため必ず物的担保が必要であった︶、日本製鉄がその後 八幡・富士に解体された結果、ゼネモをやめて財団抵当制度を利周せざるをえないことになったので、その不便を何 らかの方法によって補うことがでぎないかというところから出発したのである。しかし、その後、かような間題から 離れたもっと一般的な法律として考えられるようになったのである。        ︵3︶  それでは何故に、現行企業担保法において企業担保権の適用が﹁株式会社﹂となったのであろうか。  企業担保というからには、企業の中には個人企業から超大企業までを含むわけであるが、個人企業は単なる個人の 固有財産と企業財産との区別がはっぎりとしないこと、合資・合名・有限の各会社なども企業の担い手の比重が重く いわば主観的な色彩が強いものであること、それに比べて株式会社は一般的に企業の所有と経営の分離が行なわれて おり、企業自体の独立性あるいは客観性が強いのである。そこで企業を担保とする即ち客体が企業そのものであるこ     東洋法学       九九

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    企業担保の理論       一〇〇 とから、客観的にみて企業そのものが企業主体から分離・独立している株式会社に限定されたのである。さらにわが 国の伝統的担保制度と相当性格の異った全く新しい担保制度を導入することとも相侯って、需要資金の巨額性そして 長期性という点に鑑みて、制定当時において利用希望の多い株式会社にまず認めたのである。       ︵4︶  次に株式会社のなかでも、さらに限定した理由は何故であろうか︵現行法においては社債発行会社に限っている︶。 株式会社といっても個人企業と同様なものからいろいろあるので資本金によってさらに限定しよう︵これは、企業担 保権の効力と相関的になっている︶という考え方も存した。しかし資本金の額によって限定するという根拠には、企 業担保権の拘束力が従来の特定担保と比べて弱いことから、信用及び財政状態の貧弱な企業にこの制度を利用させる        ︵5︶ ことは妥当でないという点であろうが、仮にそうだとしてもこの主張には根拠がないのである。第一に、企業の信用 度は資本金の大小によって測定することは不可能であり、現在われわれは巨大な資本金を有する企業が必ずしも信用       ︵6︶ に値しないことを目のあたりにしている、第二に、債権者たる金融機関が貸付先の信用度を測定して、貸付先を選択        ︵7︶ すればよいのであって、そのために貸付先の規模の制限を法律において行なう必要はないのである。それでは社債発 行会社という制限は妥当であろうか。社債発行会社となれば、所謂信用度も高くまた株式会社のうちでも大きな企業 が対象となるので、まずもって妥当であろうという考え方が強かった。あるいは企業担保の対象会社を財団抵当を付 けにくいような超大企業に、または非常に危なっかしいような会社だけを除外した会社を対象会社に、との声もあっ た。しかし結局会社更生法の運用例からも、当面は株式会社しかも社債発行会社としたのである。  つまり企業担保法適用会社については、同法利用希望の多い株式会社についてまず認め、その利用の実績をみて漸

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次他の種類の企業に適用を拡大していくことが妥当であり、また会社更生法も同趣旨であることから、差し当って株 式会社について適用するのが妥当であるということから﹁株式会社﹂となったのであると言われている。  イギリス浮動担保においては特別法などで設定者の範囲を限定した例もなければ、判例においても制限するものも みあたらない。そこで個人あるいは組合も理論的には浮動担保を設定することは可能であるが、実際上は二つの障害 が存するごとによって会社となっている。会社のうち小規模な会社が利用した例としては、三千ポンド位の会社の例   ︵8︶ がある。  わが国においては、企業担保権を設定しうるものは、前述の如く担保の客体となる財産︵企業︶が客観的に判断し うるもの、すなわち株式会社が適当であろう。条文上は社債発行会社となっていても、受託銀行会の規準に依ってい る実情を思うと、さらにその規準を下げる︵広げる︶ことによって産業界の二ーズに応えるべぎであろう。金融界は 非常に慎重であることは結構なことであるが、産業の育生・発展を願うならば、さらに検討の余地もあろう。中小企       ︵9︶ 業においても同法の適用を受けることができないであろうかという指摘もあるが、﹁高利貸的な債権者が企業を乗っ 取る﹂あるいは﹁企業を破壊する﹂等の虞れが十二分にあるので、制定当初においても中小企業は適用を望まなかっ たこともあり、現在においても同様の危惧がなきにしもあらずなので、これらの企業については企業担保法の枠外で         ︵廻︶ 考慮すべきであろう。  難 被担保債権の範囲  この問題は前記の問題と関連するところである。なぜならば、企業担保法を対象とする企業︵株式会社︶をさらに     東洋法学       一〇一

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    企業担保の理論      一〇二 制限するといっても、技術的にも非常に難しいし、かつ合理的な根拠も見出せないので、そこでむしろ被担保債権を 限定することによって、結果的に利用でぎる企業を制限する方法をとれないだろうかということと、政策的な見地︵企 業担保を外国資本に利用される、外資のためにこれを使うことが適当かどうかなど︶から、原則として社債に眼った のである。しかしさらに、将来ある程度の見通しがつき、あるいは同法が熟してきた場合においては、経済界で必要 とされるような債務を逐次被担保債権に入れて行こうということから、法案では、﹁社債﹂を原則とし﹁政令で定める       ︵n︶ 債務﹂を加えることで、右趣旨を表わしたのであるが、現行法においては、﹁社債﹂のみとなったのである。昭和三〇 年代における経済事情の下では、社債に限定すべぎであったであろう。法律上の理由としては、社債は増資と共に株 式会社の長期多額の資金獲得手段であり企業担保のように長期信用付与を前提とする担保制度の被担保債権は社債に 限定すべぎであること、企業担保を株式会社に限定した権衡上も社債のみに限ることが妥当すること、イギリス浮動        ︵捻︶︵捻︶ 担保の沿革にも副うことなどがあげられているが、後者二点においては是認しうるが、現在の諸事情からは、被担保 債権の範囲に﹁借入金﹂についても考慮の余地があるであろう。法案の段階においても、金融機関においては社債に 限るのであれば借入金にも認めるべぎではないか、立法者側においても確かに社債だけだというのは果してどれだけ 合理的な理由があるか若干疑間があるが、ただ制限の仕方として、あるいは社債の現在︵昭和三〇年前後︶の実情を 背景にして、社債に限れば当初の滑り出しとしては結果において制限された形になるのではないか、そして社債の現 在︵昭和三〇年前後︶の運用を前提として、しかも形式的には長期設備資金の調達方法として社債は優れている、さ らに合理的な説明としては難しいが、社債を企業担保付で発行できるような会社はすべて借入金も企業担保権で出す

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       ︵M︶ という意味で、企業担保権付ぎの社債を発行している会社の借入金に限って認めようという方向にあった。産業界に       ︵1 5︶ おいては、社債に限らず広く認め短期借入金についても認めてほしいという要望であった。  短期借入金については、企業担保法の性格、特にイギリス浮動担保が長期借入金、特に社債を原則とすること、そ して仮に短期借入金を認めたとすると、その結果企業の金融能力に債権者側が著しい制約を加えることとなり、所謂        ︵焔︶ 融資の系列化という望ましくない状態が生ずる虞れがあることから、これは除外すべぎである。  長期借入金については、商法二九七条の制限がないことによって、長期借入金を被担保債権とする場合に社債と異 なり発行限度に制約がないことから、金融能力の不当な制約になるという難点が生ずることは否定できない。しかし 長期設備資金が社債によらず長期借入金の形で調達されているならば、被担保債権の範囲は社債のみでよいが、仮に このような変態現象でないならば、社債についての実績からみて、商法二九七条の制限等をも考慮して、被担保債権        ︵∬︶ の範囲を長期借入金にも拡張することが適当であろう。しかし金融機関は、一般の借入金と関連して、無担保の債権 者は担保を取っているわけではないが、実際は流動資産を見返りとして無担保の融資をしていることを顧慮してか、       ︵綿︶ 被担保債権として長期的設備資金を予定するならば担保目的物を固定資産に限定すべきであろうと述べている。  ハ 企業担保権の客体  生きた企業、所謂αqOぎひq8轡8鰐を担保化するということは、企業を構成する個々の財産の担保価値の集合を問 題にするのではなく、それによって構成され、しかもそれらの構成物件の価値を超える企業の持つ収益力︵8旨賞の 宮≦震︶を担保の客体とすることであり、それは具体的には暖簾という無形資産も客体に含むことになるのである。

    東洋法学       一〇三

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