マレーシア開発金融機関の改革と貸出動向
著者
中川 利香
著者別名
Rika Nakagawa
雑誌名
経済論集
巻
41
号
1
ページ
1-15
発行年
2015-12
URL
http://id.nii.ac.jp/1060/00008055/
マレーシア開発金融機関の改革と貸出動向
1
)中 川 利 香
1.はじめに 2.アジア通貨危機後の開発金融機関改革 2−1.金融セクターマスタープラン(2001年∼2010年) 2−2.金融セクターブループリント(2011年∼2020年) 3.開発金融機関の規模 4.開発金融機関の活動状況 4−1.資金調達と運用 4−2.貸出の動向 5.むすびにかえて 参考文献1
.はじめに
政策目標を達成するために政府の資金を原資として設立された金融機関は、マレーシアでは「開 発金融機関」とよばれる2) 。マレーシアの銀行システムは比較的よく発展しており、それと比較す ると開発金融機関の規模は小さい。そのため、開発金融機関に注目が寄せられることはあまり多く ない。しかし、相対的に規模が小さくても政府から託された役割というものがあり、それを確実に 実行することが求められる。また、近年は開発金融機関の効率性や貸出の効果などについて、納税 1)本稿は、東洋大学における2015年度長期海外研究の研究成果であるとともに、科学研究費助成事業学術研 究助成基金助成金(基盤研究(C))「中小企業政策における金融支援プログラムの効果―マレーシアのケー ス―」(課題番号26380321)の研究成果の一部でもある。 2)政策目標を達成するために政府の資金によって設立された金融機関は、我が国では政策金融機関ないし政 府系金融機関とよばれるが、マレーシアでは「政策金融機関」にあたる英語あるいはマレー語の表現は使 用されていない。また、「政府系金融機関」については、商業銀行やイスラーム銀行などに政府および政府 系機関(年金基金など)の資本が入っていることもあるため、マレーシアの文脈からみると正確性を欠く 用語である。そのため、本稿では「政策金融機関」、「政府系金融機関」という言葉は使用しない。さらに、 同様の理由で民間金融機関という言葉も読者に誤解を与える可能性が否定できないことから、商業銀行、 イスラーム銀行、投資銀行のようにマレーシアで採用されている銀行の分類に沿った用語を用いる。者に対して説明責任を果たすことも必要となってきている。 中央銀行は、
2001
年から開発金融機関の改革を行ってきた。そのきっかけは、1997
年のアジア 通貨危機である。アジア通貨危機の経済への影響はタイやインドネシアと比較すると軽微ではあっ たものの、中央銀行は外的ショックに強く、競争に耐えうる金融セクターの構築を目指して諸改革 を行っている。開発金融機関も一連の改革の対象となっているのである。 以上の背景より、本稿は次の2つの点を明らかにすることを目的としている。ひとつは、金融セ クター改革の中で中央銀行は開発金融機関に対してどのような改革を行ってきたのかを整理するこ とである。いまひとつは、開発金融機関の活動状況の特徴を明らかにすることである。 本稿の構成は次のとおりである。2では、アジア通貨危機後の金融セクター改革において、金 融セクターマスタープラン(2001
年∼2010
年)と金融セクターブループリント(2011
年∼2020
年) で開発金融機関の改革がどのように描かれているのかを整理する。3では、開発金融機関の規模を 明らかにする。4では開発金融機関の活動状況について資金調達面と運用面から考察する。ここで は、各金融機関の貸出先についていくつか特徴的な点がみられることを指摘する。最後に本稿をま とめ、今後の研究課題について述べ、結論とする。2
.アジア通貨危機後の開発金融機関改革
2−1.金融セクターマスタープラン(2001
年∼2010
年) マレーシアにおいて開発金融機関とは、政府が定めた特定の部門の発展や、社会的目標を達成す るために設立された金融機関のことを指す(Bank Negara Malaysia [2001
], p.87
)。2001
年に発表された金融セクターマスタープラン(以下、マスタープラン)3)
では、開発金融機関の改革において 以下の5つを達成するとしている(Bank Negara Malaysia [
2001
], p.89
)。⑴ 銀行サービスを受けることができない部門を支援するための効率的でショックに強い開発金 融機関の構築 ⑵ インフラプロジェクト、農業、資本および技術集約的産業、サービス業に対する支援を行う ための専門機関への発展 ⑶ 単一の規制当局による効果的かつ状況に応じた監督 ⑷ ターゲット部門に対するアドバイザリー、コンサルタント、マネジメントサービスの提供 ⑸ 簡便で広範なアクセスを可能にするインフラと通信ネットワークを構築するための技術強化 3) 金融セクターマスタープランは、1997年にタイで発生した通貨危機の影響を受けて経済状況が悪化したこ とが契機となり、金融セクター改革を行う目的で策定された。
マスタープランでは以上を達成するために8つの勧告(recommendation)が提示された(表1)。 その最初に示されたのは、開発金融機関の重点業務と役割を明確にするべきであるとの勧告であ る。このことは、従来、開発金融機関の役割があいまいであり、業務の重複を看過してきたことを 示唆する。この点を改善するため、マスタープランでは、開発金融機関は自力で銀行や資本市場か ら資金調達を行うことができる企業には関与せず、銀行部門を補完する役割を担うものであると述 べられている(Bank Negara Malaysia [
2001
], p.89
)。マスタープランの勧告を受けて、最初に行われた改革は、一部の開発金融機関を中央銀行の監 督下に置いたことである。従来、マレーシアの開発金融機関は管轄省庁の規制・監督下にあった が、これを一元化するため、
2002
年に開発金融機関法(Development Financial Institutions Act2002
)が制定された。この法律の下に置かれた開発金融機関は表2に示した6機関である。
2004
年には、Bank Pertanian Malaysia Bhd.が加えられた(Bank Negara Malaysia [
2005
], p.178
)。2002
年開発 金融機関法が施行されたことにより、開発金融機関の管理・監督は中央銀行に一元化されること となった(Bank Negara Malaysia [2002
], p.155
)。これは、商業銀行等と同水準の情報開示やガバナンス等が求められることを意味する。例えば、流動性管理の義務付けがあげられるだろう。
2003
年、中央銀行は開発金融機関に対する流動性管理に関するガイドライン(Guidelines on Liquidity Management Framework for Development Financial Institutions) を 発 表 し、 そ れ を Bank Simpanan Nasional Bhd.とBank Kerjasama Rakyat Malaysia Bhd.に適用するとした(Bank Negara Malaysia [
2004
], pp.205
-206
)4)。
4)2006年から貧困対策の一環として開始された政府のマイクロファイナンス振興において、Bank Simpanan Nasional Bhd.は、政府の指定金融機関として零細企業や個人事業に対して融資を提供する義務が課されてい る。マイクロファイナンスは、Bank Kerjasama Rakyat Malaysia Bhd.やBank Pertanian Malaysia Bhd.も提供し ている。参考までに、マレーシアのマイクロファイナンスは、個人あるいは零細企業を対象とし、貸出金 表1.開発金融機関の改革に関する勧告 ⑴ 開発金融機関の重点業務と役割を明確に規定する ⑵ 金融機関としての能力と経営構造を強化する ⑶ 業績の計測を強化する ⑷ 資金調達の体系的な枠組みを導入する ⑸ 開発金融機関に対する政府のサポートを継続する ⑹ コーポレートガバナンスを強化する ⑺ 開発金融機関の規制・監督の法的枠組みを確立する ⑻ 開発金融機関を規制・監督する単一の機関を設ける
2004
年には開発金融機関の効率化を目的とした再編が行われた。中央銀行はExport-Import Bank of Malaysia Bhd.とMalaysia Export Credit Insurance Bhd.の統合を発表した(2005
年に統合)。また、 Bank Pembangunan dan Infrastruktur Malaysia Bhd.とBank Industri & Teknologi Malaysia Bhd.の合理化 も発表した(Bank Negara Malaysia [2005
], p.129
)。2005
年10
月、中央銀行はこれらの金融機関から 中小企業に関連する業務を切り離し、Bank Perusahaan Kecil & Sederhana Malaysia Bhd.を設立した (Bank Negara Malaysia [2006
], p.174
)。
2006
年になると、一定の条件を満たす開発金融機関はインターバンク市場に参加することが許可された5)。また、譲渡可能預金証券(
Negotiable Instrument of Deposits)を発行することも可能とな り、開発金融機関が多様な手段で資金調達を行うことが可能となった(Bank Negara Malaysia [
2007
], p.49
)。2009
年には健全経営規制が強化され、信用リスク管理に関するガイドラインが発表された6)。ガイドラインには、開発金融機関が信用リスク管理の際に注意すべき原則や手法が明示されてい る。これに加え、同年、開発金融機関は一部の業務を外部委託することが認められるようになった (Bank Negara Malaysia [
2010
], p.94
)。以上のように、開発金融機関が中央銀行の監督下に置かれることにより、健全経営規制の導入や リスク管理の実施、ガバナンス強化などの取り組みが進められた。また、各開発金融機関の業務の 重複を可能な限り調整し、業務範囲の特徴を明確にすることで専門性の高い金融機関へと再編が行
額は500∼50,000リンギ、商業ベースの金利で提供される。貸出期間は1ヶ月から最大5年であり、基本的 には担保が必要である(Bank Negara Malaysia [2007], p. 54)。マレーシアのマイクロファイナンスの詳細に ついては、稿を改めて論じることとしたい。
5)2006年12月に発表された開発金融機関のインターバンク市場への参加に関するガイドライン(Guidelines on Participation in the Interbank market by DFIs)による。
6) 開発金融機関における信用リスク管理のためのベストプラクティスに関するガイドライン(Guidelines on Best Practices for the Management of Credit Risk for DFIs)。
表2.2002年開発金融機関法の下に置かれた開発金融機関
Bank Pembangunan dan Infrastruktur Malaysia Bhd. Bank Industry & Teknologi Malaysia Bhd.
Malaysia Export Credit Insurance Bhd. Export-Import Bank of Malaysia Bhd. Bank Kerjasama Rakyat Malaysia Bhd. Bank Simpanan Nasional Bhd.
われた。更には、インターバンク市場への参入を許可するなど、資金調達および運用の手段の多様 化も進められた。 2−2.金融セクターブループリント(
2011
年∼2020
年) マスタープランが2010
年に終了すると、中央銀行は2011
年に金融セクターブループリント(以下、 ブループリント)を発表し、更なる改革を進めている7) 。ブループリントには、開発金融機関の役 割として家計と中小企業に対する金融仲介という点(Bank Negara Malaysia [2011
a], p.58
)および、 貧困対策としての金融仲介という点が強調されている(Bank Negara Malaysia [2011
a], p.122
)。ブ ループリントでは、2020
年までに行う改革として以下の5つをあげている(Bank Negara Malaysia [2011
a], pp.63
-86
)8)。 ⑴ 中小企業向けのリースとファクタリングの促進 ⑵ ターゲット部門に対する伝統的融資(特に農業、共同組合、中小企業) ⑶ ターゲット部門に対するリスクキャピタルの提供 ⑷ 政府機関、産業界、資本家などとの協力による情報交換プラットフォームの設立 ⑸ 貧困対策としての小口の貯蓄動員、零細企業向けマイクロファイナンスの役割強化 このことから、開発金融機関の対象となるのは、ターゲット部門、中小・零細企業および、過去に 金融取引にあまり関与していなかった貧困層(もしくは小口預金者)という点に集約されているこ とがわかる。開発金融機関が担うべき「特定部門の発展」と「社会的目標の達成」という役割がよ り明確になったといえよう。 また、開発金融機関の最大の出資者である政府とのリスク分担や説明責任の取り決めを強化する こと、ガバナンスとリスク管理の具体的な手法を導入し、各金融機関が独自に資金調達を行うこと も示された(Bank Negara Malaysia [2011
a], p.128
)9)。中央銀行はこの勧告に沿って改革を順次進めている。
2012
年5月、2つの開発金融機関に適用されていた流動性要件をBank Pertanian Malaysia Bhd.、 Bank Perusahaan Kecil & Sederhana Malaysia Bhd.、Bank Pembangunan Malaysia Bhd.の3行にも適用 することとなった(Bank Negara Malaysia [2013
], p.97
)。また、同年11
月、中央銀行は商業銀行等7)金融セクターブループリントは2011年から2020年までの改革を示したものである。
8)改革の内容は、金融セクターマスタープランと同様に、勧告(recommendation)という形で掲載されている。 本稿にリストアップした⑴と⑵は勧告2.1.1、⑶は勧告2.1.2、⑷は勧告2.1.4、⑸は勧告2.3.2に該当する。 9)勧告4.1.5に該当。
に適用していたデータおよび情報システム管理のガイドラインを開発金融機関にも適用するとした (Bank Negara Malaysia [
2013
], p.100
)。これは、貸出先の経営の健全性やリスク管理において、開発金融機関の内部情報の管理能力を強化するためである。さらに、同年
12
月には、財務報告書および開示に関する要件を強化した10)。開発金融機関の業務の透明性を向上させること、政府と開発
金融機関の間のリスク分担にかかる取り決めを強化することが目的である(Bank Negara Malaysia [
2013
], p.69
)。
2013
年になると、中央銀行は金融機関における取締役会の役割、リスク選好やリスク戦略などに関するガイドライン11)を発表し、資金運用面でのリスクテイクに関する基本的な考え方を示した
(Bank Negara Malaysia [
2013
], p.98
)。このように、中央銀行は金融システム全体の強化を目指し、マスタープランおよびブループリン
トに沿って漸進的な改革を行ってきた。今後は
2002
年開発金融機関法の改正なども含め、開発金融機関の一層の強化が進められることになる(Bank Negara Malaysia [
2015
a], p.85
)12)。
3
.開発金融機関の規模
本節では、まず開発金融機関の規模について確認しておきたい。表3は開発金融機関の総資産の 規模(対GDP比)を示したものである。これをみると、中銀監督下6行は2006
年の時点で14
.4
%で あった。この割合は少しずつ拡大し、2014
年には18
.1
%となった。政府監督下7機関は、2006
年に はわずか4
.7
%であるが、2014
年には6
.6
%に拡大した。開発金融機関全体では、2014
年には24
.7
% となり、経済規模の約4分の1を占めるようになっている。一方で、銀行システムと比較すると、 資産規模は大きな差があることがわかる。2006
年の銀行システム資産の対GDPは183
.1
%であり、 開発金融機関の約9
.6
倍にあたる。この差は年々ゆるやかに縮小し、2014
年には8
.5
倍となった。そ れでも、銀行システムの資産規模に比べると、開発金融機関のそれは相対的に小さいことがわかる。 この点は、1980
年代の分析においても奥田・三重野[2004
]によって指摘されている。1980
年と10)開発金融機関に対して出された財務報告書の要件に関するガイドライン(Guidelines on Financial Reporting Requirements)では、次の3つの公開を求めている。第1に開発金融機関の使命、戦略的目的、行動計画、 主要統計、第2に開発金融機関が実施したスキームの実行状況、第3に支援している戦略部門の展望であ る。
11)Guidelines on Risk Governance for Banking Institutions, Insurance Companies, Takaful Operators, and Development Financial Institutions。
12)中央銀行によれば、2014年10月時点で開発金融機関法2002の改正案は、⑴ガバナンスおよびリスク管理に かかる精度を高めること、⑵政府の指定分野に対する業務の強化、⑶営業効率の改善、⑷シャリーア原則 遵守の確認、⑸効果的な執行と監督の強化、の5項目が焦点になると述べている(Bank Negara Malaysia [2015a], p. 91)。
1987
年の商業銀行総資産に占める政策金融機関総資産の比率は、それぞれ6
.8
%(1980
年)、5
.3
% (1987
年)であった。これより、政策金融機関の比重はそれほど大きくないと言及している(奥田・ 三重野[2004
]、pp.72
-73
)13)。4
.開発金融機関の活動状況
4−1.資金調達と運用1998
年から2014
年までの開発金融機関の資金調達と運用は図1に示した通りである。資金調達 は、1998
年は431
億リンギであったが、2014
年には2
,842
億リンギに大きく増加した(図1(1)①)。2003
年以降の増加率は実質で10
%∼18
%と2桁の伸び率が続いている(ただし2012
年は9
.1
%)。全 体に占める割合が最も大きいのは「預金」で、50
%以上を占める。これを規制監督機関別でみると、 中銀監督下6行の預金による資金調達金額は政府監督下7機関よりも大きい。中銀監督下6行の1998
年と2014
年の資金調達はそれぞれ244
億リンギと1
,935
億リンギであった(図1(2)①)。一方、 政府監督下7機関はそれぞれ187
億リンギと707
億リンギである(図1(3)①)。 特徴的な点は、2013
年から中銀監督下6行が債券を発行して資金調達を行っていることである。 一連の改革の中で独自に資金調達を行うことが可能となった成果であるといえるだろう。 13)ただし、中川[2015]でも明らかにしているように、政策目標を達成するために設置されている中央銀行の特 別ファンドは、開発金融機関だけでなく商業銀行やイスラーム銀行をつうじて提供されている。そのため、 政策的な支援としての資金は、実質的には開発金融機関をつうじて供与されている金額よりも大きいこと に留意する必要がある。 表3.GDPに対する開発金融機関総資産の比率(%)2006
年2007
年2008
年2009
年2010
年2011
年2012
年2013
年2014
年 中銀・6行114
.4
14
.6
14
.0
17
.5
17
.9
18
.1
17
.7
18
.1
18
.1
政府・7機関24
.7
4
.8
4
.7
5
.8
5
.3
5
.2
5
.8
6
.5
6
.6
参考:銀行システム3183
.1
178
.4
169
.1
195
.2
189
.8
197
.0
199
.8
208
.6
210
.5
(注) 1.中銀・6行は、中銀監督下の6行(Bank Pembangunan Malaysia Bhd., Bank Kerjasama Rakyat Malaysia Bhd., Bank Simpanan Nasional Bhd., Export-Import Bank of Malaysia Bhd., Bank Pertanian Malaysia Bhd., Bank Perusahaan Kecil & Sederhana Malaysia Bhd.)を指す。
2. 政 府・ 7 機 関 は、 政 府 監 督 下 の 7 機 関(Malaysian Industrial Development Finance Bhd., Sabah Development Bank Bhd., Borneo Development Corporation (Sabah) Sdn. Bhd., Borneo Development Corporation (Sarawak) Sdn. Bhd., Credit Guarantee Corporation Malaysia Bhd., Sabah Credit Corporation, Lembaga Tabung Haji)を指す。
3.銀行システムは商業銀行、イスラーム銀行、投資銀行の合計。
(出所 )開発金融機関については、Bank Negara Malaysia [2009, 2011b, 2014, 2015a]、銀行システムおよびGDPに ついては、Bank Negara Malaysia [2008, 2015b]を参考に筆者作成。
図1.開発金融機関の資金調達と運用(単位:百万リンギ)
(1) 開発金融機関全体
(2) 中央銀行監督下の開発金融機関(6行)
(3) 政府監督下の開発金融機関(7機関)
資金運用面については、開発金融機関全体では「貸出」が大きな割合を占めており(図1(1)②)、 特に
2007
年以降は50
%を超えた。貸出の割合が大きい点は、中銀監督下6行も同様の傾向を示して いる(図1(2)②)。2007
年の割合は62
.3
%と6割を超えた。ところが、政府監督下7機関をみ ると傾向はやや異なっていることがわかる。図1(3)②をみると、最も大きな割合を占めるのは 「投資」であり、国債や株式などで運用されている。「投資」は1998
年の時点で45
.1
%を占めており、2002
年には36
.7
%までシェアが縮小したが、2010
年以降は50
%を超えるようになった。 4−2.貸出の動向 (1) 時系列でみた傾向 開発金融機関の貸出は、2005
年∼2014
年の間、平均13
.5
%で増加し、2005
年の475
億リンギから2014
年には1
,368
億リンギとなった(図2)。部門別に分類すると、大きなシェアを占めるのは消費 者金融と広義の不動産である。消費者金融の中でも伸び率が顕著であったのは、クレジットカード (41
.0
%、10
年間平均)であった。広義の不動産には、建設、居住用不動産購入、非居住用不動産 購入、その他不動産の4部門が含まれ、この中では特に建設と居住用不動産購入の割合が大きい。10
年間の伸び率はクレジットカードの伸び率よりも小さいが、建設業は13
.4
%、居住用不動産購入 は6
.8
%であった。 図2.部門別貸出(単位:百万リンギ)(2) 開発金融機関別の動向
ここでは、開発金融機関別の貸出の特徴をみてみたい。データの制約から
2014
年のみの観察となることをあらかじめ記しておく。まず、中銀監督下6行の部門別貸出を示した表4をみると、各
開発金融機関の貸出先には特徴がみられ、ある程度の棲み分けができていることがわかる。消費者 金融はRakyat(Bank Kerjasama Rakyat Malaysia Bhd.、
549
億リンギ)とSimapanan(Bank Simpanan Nasional Bhd.、117
億リンギ)の2行が提供している。これらの開発金融機関にみられるもうひ とつの特徴は、居住用不動産購入の貸出が多いことである。Bank Kerjasama Rakyat Malaysia Bhd. は、1948
年協同組合法令(Cooperative Ordinance1948
)14)に基づき、1954
年に組合員の貯蓄動員と融資を目的として設立された。
1978
年には非組合員に対する融資が解禁され、2002
年からはイスラームベースでの業務を行っている15)。
Bank Simpanan Nasional Bhd.は
1974
年に個人かつ少額貯蓄者に対する金融サービスを提供するために設立された。また、これらの2行は、貧困対策として
マイクロファイナンスの提供機関に指定されている(本稿脚注4参照)。このことから、Rakyatと
Simpananはリテールを中心とした業務を行っており、消費者金融や居住用不動産購入に対する貸 出が多いものと考えられる。
次に特徴的な金融機関はAgrobank(Bank Pertnian Malaysia Bhd.)である。Agrobankは、
1969
年 に農業の発展を目的として設立された。金融サービスの対象は、農林水産業関係の中小・零細企 業、個人事業主である。このことからも明らかなように、貸出は農林水産業に限定されている。 Agrobankの年次報告書によると、2013
年の貸出の内訳は食料作物33
.5
%(12
.5
億リンギ)、パーム 油27
.1
%(10
.1
億リンギ)、家畜18
.7
%(7
億リンギ)、漁業11
.7
%(4
.4
億リンギ)、農業関連加工業(1
.2
億リンギ)、林業0
.9
%(3
,450
万リンギ)であった(Bank Pertanian Malaysia Bhd. [2014
], p.51
)。 残る3行は企業向けの貸出が中心となる。Bank Pembangunan Malaysia Bhd.は、1973
年に国家開 発政策に則ったインフラプロジェクトや海事産業、資本集約型産業、ハイテク産業などに中長期の資金を提供することを目的として設立された。このことから、建設業(
88
.6
億リンギ)、交通・倉庫・通信(
83
.3
億リンギ)、公益事業(20
.7
億リンギ)といったインフラに関連する部門への貸出が多い ことがわかる。また、海事産業(24
.0
億リンギ)や製造業(22
.8
億リンギ)への貸出も他の金融機 関より多い。EXIM Bank(Export-Import Bank of Malaysia Bhd.)は、
1995
年に貿易に携わる企業あるいは、海 外プロジェクトに関与する企業に対して融資を行うために設立された。貿易や海外投資の保険や保14)後の1993年協同組合法(Cooperative Societies Act 1993)。
15)Bank Kerjasama Rakyat Malaysia Bhd.ウェブサイト(http://www.bankrakyat.com.my/milestones、2015年4月30日 アクセス)。
証の提供も行っている。貸出が多い部門は、建設業(
18
.0
億リンギ)、金融・保険・ビジネスサー ビス(16
.2
億リンギ)、製造業(152
.2
億リンギ)となっている。SME Bank(Bank Perusahaan Kechil & Sederhana Malaysia Bhd.)は、
2005
年に業務の合理化と専門化により誕生した中小企業向けの専門銀行であり(第2節参照)、特にブミプトラ起業家を重点 的にサポートする。比較的貸出が多い部門は、卸・小売り、レストラン・ホテル(
12
.9
億リンギ)、 製造業(9
.1
億リンギ)、コミュニティ・社会・その他サービス(7
.9
億リンギ)交通・倉庫・通信(7
.7
億リンギ)である。 次に、政府監督下7機関の状況を確認してみよう(表5)。中銀監督下6行と比較すると、貸出 の規模はそれほど大きくはない。そのうち最も貸出金額が大きいのは、SDB(Sabah Development 表4.中銀監督下6行の部門別・金融機関別貸出(2014年、単位:百万リンギ)Rakyat BSN Pembangunan Agrobank EXIM SME 合計 農林水産
437
.2
− −6
,866
.6
392
.8
10
.8
7
,707
.4
鉱業87
.3
− − − −38
.3
125
.6
製造業299
.3
155
.3
2
,275
.3
−1
,522
.3
910
.2
5
,162
.4
公益事業100
.1
−2
,073
.7
−1
,363
.4
17
.1
3
,554
.3
卸・小売、レストラン・ ホテル164
.8
317
.6
1
,119
.3
−518
.2
1
,292
.2
3
,412
.1
広義の不動産3
,663
.1
6
,436
.3
8
,857
.4
−2
,146
.8
637
.2
21
,740
.8
建設業1
,403
.8
−8
,857
.4
−1
,804
.8
575
.0
12
,641
.0
居住用不動産購入1
,119
.6
6
,384
.4
− − − −8
,296
.0
非居住用不動産購入159
.6
51
.9
− − − −211
.5
その他不動産188
.1
− − −342
.0
62
.2
592
.3
海事産業 − −2
,401
.2
−41
.3
−2
,442
.5
交通・倉庫・通信297
.3
4
.0
8
,329
.8
−829
.6
773
.8
10
,234
.5
金融・保険・ビジネス サービス2
,009
.7
115
.1
− −1
,624
.9
365
.7
4
,115
.4
消費者金融54
,920
.4
11
,736
.0
− − − −66
,656
.4
自動車購入1
,118
.5
338
.2
− − − −1
,456
.7
クレジットカード468
.8
335
.5
− − − −804
.3
コミュニティ・社会・ その他サービス41
.1
…1
,996
.5
− −788
.3
2
,825
.9
証券購入84
.1
0
.9
− − − −85
.0
その他 −1
.3
11
.3
−346
.7
29
.3
388
.6
合計62
,104
.4
18
,766
.5
27
.064
.5
6
,866
.6
8
,786
.0
4
,862
.9 128
,450
.9
(注)…は金額が極めて少ないことを意味する。Bank Bhd.)の
57
.2
億リンギである。SDBは、1972
年にサバ州政府の開発銀行として設立された。 州政府の開発プロジェクトの資金調達や、州政府に対する助言、州政府の資金運用を行ってい る16) 。表5からも明らかなように、建設業(18
.9
億リンギ)とその他不動産(13
.0
億リンギ)の比 重が大きいが、SDBの対象が商業・居住用不動産開発業、農業、製造業、インフラ関連産業17)で あることと関係している。次に貸出金額が大きいのは、SCC(Sabah Credit Corporation)の
22
.8
億リンギである。SCCもサ バ州政府の金融機関であり、1955
年にNorth Borneo Credit Corporationとして設立された。1972
年に 現在の名称に変更し、農業、軽工業、農村および都市の住宅開発、公益事業の開発を目的として活 動するとされている18) 。ところが、表5を見る限り、消費者金融が圧倒的に多く(21
.6
億リンギ)、 設立目的とやや相違があるように見受けられる。SCCは住宅ローンや起業ローンなど、設立目的と 合致する貸出を提供しているが、実は個人向けローンも提供しているのである。近年は、この個人 ローンを利用する顧客が増加してきたものと推測される19) 。CGC(Credit Guarantee Corporation Malaysia Bhd.)は比較的多様な部門に貸出を行っているが、
その総額は
2
.6
億リンギにとどまっている。CGCの主要な業務は中小企業に対する信用保証の供与であるが、ブミプトラ起業家向けに直接貸付も行っている。
MIDF(Malaysian Industrial Development Finance Bhd.)の場合、貸出金額はCGCの半分以下であ る(
1
.2
億リンギ)。そのうち、製造業が6
,750
万リンギ、卸売・小売、レストラン・ホテル向け貸出 が2
,670
万リンギであった。MIDFは、1960
年、製造業の中小企業に対する融資を行うことを目的と して設立された。アジア通貨危機後の金融再編により、いくつかの金融機関と合併・統合し、現在 は投資銀行業務やアセットマネジメントも行っている。また、製造業のみならずサービス業向けに 中長期の融資を提供している20)。このことが関係し、製造業とサービス業向けの融資実績がある ものと考えられる。16)Sabah Development Bank Bhd.ウェブサイト(http://www.sabahdevbank.com/company-background/、2015年4月 30日アクセス)。
17)Sabah Development Bank Bhd.ウェブサイト(http://www.sabahdevbank.com/service/、2015年4月30日アクセス)。 18)Sabah Credit Corporationウェブサイト(http://www.sabahcredit.com.my/about_us.html、2015年4月30日アクセ
ス)。
19)ただし、SCCの個人向けローンの借入が可能であるのは、⑴サバ州政府の公務員であること、⑵政府関連 企業の従業員であり返済にあたり給与天引きが可能であること、⑶サバ州から設立許可を得た民間企業 の従業員であること、という3つの資格要件がある(Sabah Credit Corporationウェブサイト、http://www. sabahcredit.com.my/iEXECUTIVE.html、2015年4月30日アクセス)。
20)MIDFウェブサイト(http://www.midf.com.my/index.php/about-us-our-profile/about-us-our-profile、2015年4月30 日アクセス)。
5
.むすびにかえて
以上、マレーシアにおける開発金融機関の改革とその活動状況についてまとめてきた。アジア通 貨危機後の金融セクター改革の流れは開発金融機関にも影響し、避けられないものであった。中央 銀行は、金融セクター全体の強化を目指して開発金融機関の改革を行ってきた。特筆すべき点は、 開発金融機関の一部を中央銀行の管理・監督下に置き、商業銀行やイスラーム銀行、投資銀行など と同水準の規制を課してきたことである。これにより、開発金融機関はガバナンスやリスク管理、 健全な経営の追及が求められるようになった。また、ブループリントでは、開発金融機関の役割と して、家計と中小企業、さらに貧困層に対する金融仲介機能を果たすものと明示された。このよう な中央銀行の認識のもと、一連の改革の中で開発金融機関の再編も行われ、各金融機関の役割が明 確になったといえる。 表5.政府監督下7機関の部門別・金融機関別貸出(2014年、単位:百万リンギ)LTH CGC SDB MIDF SCC BDC Sarawak BDC Sabah 合計
農林水産 −
4
.2
268
.4
−0
.2
− −272
.8
鉱業 −0
.6
37
.0
− − − −37
.6
製造業 −53
.2
392
.0
67
.5
− − −512
.7
公益事業 −0
.6
468
.0
− − − −468
.6
卸・小売、レストラン・ ホテル −96
.8
…26
.7
− − −123
.5
広義の不動産 −69
.4 3
,193
.5
−116
.2
2
.9
1
.8 3
,383
.8
建設業 −69
.4 1
,890
.9
− −2
.9
−1
,963
.2
居住用不動産購入 − −0
.5
−87
.7
−1
.8
90
.0
非居住用不動産購入 − − − −28
.5
− −28
.5
その他不動産 − −1
,302
.1
− − − −1
,302
.1
海事産業 − − − − − − − − 交通・倉庫・通信 −7
.2
28
.3
5
.0
… − −40
.5
金融・保険・ビジネス サービス −14
.6
291
.7
16
.0
− − −322
.3
消費者金融 − − − −2
,159
.7
− −2
,159
.7
自動車購入 − − − −1
.9
− −1
.9
クレジットカード − − − − − − − − コミュニティ・社会・ その他サービス −6
.1
− − − − −6
.1
証券購入 − − − − − − − − その他 −3
.7 1
,039
.9
5
.0
− − −1
,048
.6
合計 −256
.4 5
,718
.8
120
.2 2
,276
.1
2
.9
1
.8 8
,376
.2
(注)…は金額が極めて少ないことを意味する。では、マレーシア経済において、開発金融機関の規模はどの程度のものなのであろうか。開発金 融機関の総資産の大きさは銀行システムに比べると小さいが、
2014
年の時点で24
.7
%(対GDP比) であることが判明した。 開発金融機関は、資金調達の大部分を預金で賄い、主に貸出によって運用していることも明らか になった。ただし、中銀監督下6行と政府監督下7機関に分けると、後者の運用は投資が主であっ た。2005
年∼2014
年の貸出総額は次第に増加しており、2014
年には1
,368
億リンギとなった。部門 別に分類すると、大きなシェアを占めるのは消費者金融と広義の不動産である。消費者金融の中で も伸び率が顕著であったのは、クレジットカード(41
.0
%、10
年間平均)であった。広義の不動産 には、建設、居住用不動産購入、非居住用不動産購入、その他不動産の4部門が含まれ、この中で は特に建設と居住用不動産購入の割合が大きい。10
年間の伸び率はクレジットカードの伸び率よ りも小さいが、建設業は13
.4
%、居住用不動産購入は6
.8
%であった。 さらに、開発金融機関別の貸出状況からは、それぞれの金融機関により特徴があることがわかっ た。個人向け金融サービスを主要な業務としている金融機関は、消費者金融や居住用不動産の購入 に対する貸出が多く、インフラ開発を主体とする金融機関は建設や交通・倉庫・通信への貸出が多 い。本稿の観察から明らかになったのは、改革により開発金融機関に期待される役割が明確になり、 その下で各開発金融機関の貸出先(業種等)の棲み分けも明確になった点である。 では、改革の結果、開発金融機関の経営は効率的になったのであろうか。本稿でも説明したよう に、一部の開発金融機関は中央銀行の監督下に置かれ、商業銀行等と同水準のルールが導入され た。その結果、経営面の効率性が改善すれば、納税者への説明責任を果たすことが可能となるだろ う。政策目標の達成を課されている開発金融機関と、コマーシャルベースで活動する商業銀行等を 同等に論じることは困難であるかもしれない。しかし、政府の資金を投入して活動する以上、開発 金融機関は税金の効率的な使用という側面から、ある程度の経営の効率化を追及することが求めら れる。これらの議論については、今後の研究課題としたい。 〔参考文献〕 【和書】 奥田英信・三重野文晴[2004],「東南アジアの金融発展―開発金融パラダイムの変化と多様性―」,『国際協力論 集(神戸大学)』, 第12巻第1号, pp. 57-84. 中川利香 [2015], 「マレーシア中小企業の資金調達環境に関する考察―2000年以降を中心に―」, 『経済論集(東 洋大学経済研究会)』, 第40巻第2号, pp. 37-54. 【洋書】― [2002], Annual Report 2001, Kuala Lumpur: Bank Negara Malaysia. ― [2003], Annual Report 2002, Kuala Lumpur: Bank Negara Malaysia. ― [2004], Annual Report 2003, Kuala Lumpur: Bank Negara Malaysia. ― [2005], Annual Report 2004, Kuala Lumpur: Bank Negara Malaysia. ― [2006], Annual Report 2005, Kuala Lumpur: Bank Negara Malaysia.
― [2007], Financial Stability and Payment Systems Report 2006, Kuala Lumpur: Bank Negara Malaysia. ― [2008], Monthly Statistical Bulletin, May, Kuala Lumpur: Bank Negara Malaysia.
― [2009], Financial Stability and Payment Systems Report 2008, Kuala Lumpur: Bank Negara Malaysia. ― [2010], Financial Stability and Payment Systems Report 2009, Kuala Lumpur: Bank Negara Malaysia. ― [2011a], Financial Sector Blueprint 2011-2020, Kuala Lumpur: Bank Negara Malaysia.
― [2011b], Financial Stability and Payment Systems Report 2010, Kuala Lumpur: Bank Negara Malaysia. ― [2013], Financial Stability and Payment Systems Report 2012, Kuala Lumpur: Bank Negara Malaysia. ― [2014], Financial Stability and Payment Systems Report 2013, Kuala Lumpur: Bank Negara Malaysia. ― [2015a], Financial Stability and Payment Systems Report 2014, Kuala Lumpur: Bank Negara Malaysia. ― [2015b], Monthly Statistical Bulletin, January, Kuala Lumpur: Bank Negara Malaysia.
Bank Pertaian Malaysia Bhd. [2014], Annual Report 2013, Kuala Lumpur: Bank Pertanian Malaysia Bhd. (http://www. agrobank.com.my/home/corporate-info/annual-reports/より2015年6月30日ダウンロード).
〈ウェブサイト〉
Bank Kerjasama Rakyat Malaysia Bhd. http://www.bankrakyat.com.my Bank Pembangunan Malaysia Bhd. http://www.bpmb.com.my/ Bank Pertaian Malaysia Bhd. http://www.agrobank.com.my Bank Simpanan Nasional Bhd. http://www.mybsn.com.my/ Export-Import Bank of Malaysia Bhd. http://www.exim.com.my/ Malaysian Industrial Development Finance Bhd. http://www.midf.com.my Sabah Development Bank Bhd. http://www.sabahdevbank.com Sabah Credit Corporation http://www.sabahcredit.com.my Small Medium Enterprise Development Bank Bhd. http://www.smebank.com.my