• 検索結果がありません。

経営経済学と経営経済的租税論(経営学) 利用統計を見る

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "経営経済学と経営経済的租税論(経営学) 利用統計を見る"

Copied!
17
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

著者

小野 弓郎

著者別名

Ono Yumio

雑誌名

経営論集

5

ページ

25-40

発行年

1976-12-05

URL

http://id.nii.ac.jp/1060/00005890/

Creative Commons : 表示 - 非営利 - 改変禁止 http://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/3.0/deed.ja

(2)

経営経済学 と経 営経済的租税論

小 野 弓 郎 1. はじめに2. 経営経済学の位置づけ3. 経営経済学と経営概念4. 経営経済的租税論の位置と領域5. むすび t・ はじめに さきに わ れわ れは, ベ ーエ の所 論( 経 営経 済的 租 税論1)」 を手 が か り と し な がら, 経営 経 済学 の一 部 分学 科 どして の経営 経 済的 租 税論 の位 置づけ を検 討 し,経営 経 済的 租 税論 が一般 経 営 経済学 の一 つの 補完部 分 であ る こ とを明 ら かに した2)。 しか しなが らそ こで は, この経営 経 済的 租 税論が そ の一 部分 を構成すべ き経営 経済学 そ の ものの 位置 づけ な らびに そ の本 質が必 ず しも十 分 に 明確で ある とはい えない。 もと より, ベ ーエ の場合, 前 掲 書に おい て は, 文 字 通り, 経 営経 済的 租 税論 その ものを と りあげ てい る のであ って, 一 般経 営 経済学 (AllgemeineBetriebswirtschaftslehre) に つい て は, 別 著( 一 般 経営 経 済学3)』に おい て詳 細に論 述 してい る ので ある。 しか し ながら そこ では逆 に, 一般 経営経 済学 と経営 経 済的 租 税論 との関 係は必 ず し も明確 では ない。 一 般に, 経営 経済的 租 税論 は経 営経 済 学 の→部 分学 科 で ある とい われてい る が, この場合 の経営 経 済学 とは どの よ うな もので あろ うか。 も・と よりこの 問題 を完全に論 究し, 完 全 な理 解 を得 る ことは至 難 のこ とであ りレ また もち ろ ん,本稿 の意図 する ところ で は ない 。 しか し ながら, 経 営経 済的 租税論 の 性 格 を把握 し よう としてい る わ れわ れに とっ て は, それに 必要 な範 囲内に お い て, こ れを理 解 してお かな け れば なら ない で あろ うご べ'''"'エの所 論 の検討

(3)

を通 じて, さらに この よ うな問題 意識 を もっ にい たっ た われ われに とって, ホ ーマ ーの所 論『 経 営経 済的 租税 論の基 礎4』』は示 唆に 富 む もの で ある。 す な わ ち, ホ ーマ ーは, 後 に詳 細に 検討 する よ うに, まず 経営 経 済学 と国民経 済 学 との関 係 を明 らかに し, つい で経 営経済的 租税論 を 経営 経 済学 の一部 分 学 科 とし て とらえ る。 そ してそ の場合, かれは, 経 営経 済学 の 対象 を非 常に 広 く とらえ, ま た経営 概 念の なかに私的 家 計や官 庁 ない し公的 財政 を も含 め, し たが って そ れに 応じ た広い 範 囲の経 営経済的 租税論 を展 開 し, ま た国 民経 済 学 ならび に経 営経 済 学 の構造に もとづい て経営 経済的 租 税論 め体 系 を構成 す る。 そ して か れは, 本 書 の意図 を「 経営経 済学 の課題 と, 全 体的 な経済学 の な かに おけ る その位 置 とから, 経営 経済的 租 税論 の体 系 を, この 部分学科 の基 礎 と して展 開 する こ と5)」に 限定 し, 経 営経 済的 租 税論 が 経営 経 済学の 一 部分 学 科 とし て科学的 に独立 性 を もっ もので ある こ と を主 張 する。 そこで われ われ は, ホ ーマ ーに 従い ながら, まずか れの場合, 経営 経 済学 とは どの よ うな もので あ る か, さらに その範 囲内で経 営経 済的 租 税論 は どの よ うな性 格 と どの よ う な体系 を もっ もので ある かを明ら かに して い く こ とと する。 そ して, ホ ーマ ーのこ の問題 に対 す る見 解 を手が か り とし なが ら, 租 税の存在 が様 々 な経 営 問題 に与 え る影 響 をわれ われは どの よ うに 扱 うべ きであ る かを さぐる こ とが, 本 稿 の意図 する ところで ある。 1)Wohe,Gxinter ;BetriebswirtschaftlicheSteuerlehre,1972.2 ) 拙 稿「経営経済的租税 論の位置づけ とその体系」東 洋大 学経営 研究所報告第1 号。3 )WoheGiinter:EinfiihrungindieAUgemeineBetriebswirtschaftslehre,1970.4 )Pohmer ,Dieter:GrundlagenderbetriebswirtschaftlichenSteuerlehre ,1958.5 )Pohmer,D.,a.a.O. ,S.5. 2. 経営経済学の位置づけ 経 営経 済的 租税論 の位 置づけ に先立 っ て, ホ ーマ ーは, 前 述 の通 り, 経営 経 済 学 の位 置づ け を検 討 する。 その際 に, か れは まず, 「 経 営経 済学 と国民 経 済学 と は, 統一 的 な経済 学 の学 科 とし て, 一 般 経 済理 論 とい う共 通の基盤 の うえに 立 っ てい る1)」 と い う,一 般的 に 承認 さ れてい る見 解 を基 盤 とする。

(4)

経営経済学と経営経済的租税論n こ の よ う な 見 解 は, ホ ーマ ーに よ れ ば, 典 型 的 に は, コ ジ オ ール に み ら れ る2 )。 す な わ ち, コ ジ オ ール は, 経 済 学 の こ の よ う な 関 係 を分 業 の 原 理 に よ っ て 特徴 づ け る 。 か れ に よ れば , 同 一 の 認 識 対 象( 経済), 同 一 の 方 法 と同 一 の 判 断 立 脚 点( 経済性)に よ っ て, 国 民 経 済 学 は 全 体 経 済 か ら 出 発 し そ れ に 相 応 し て主 と し て マ クロ経 済 的 分 析 を育 て, 他 方 , 経 営 経 済 学 は 経 営 を そ の中 心 に お き, し た が っ て 何 よ り も ミ クロ経 済 分 析 に 従 事 す る 。 そ れ に もか か わ ら ず, 国 民 経 済 学 が ミ タ ロ的 方 法 を完 全 に 放 棄 す る こ と は ほ と ん ど な く, ま た 経 営経 済 学 は マ クロ的 考 察 方 法 を完 全 に 排 除 す べ きで は な い 。 何 故 な らば, 共 通 の研 究 基 盤(gemeinsameForschungsgrundlage ) と経 済 現 象 の 機 能 的 錯綜 性 ( 相互依存 )(funktionaleVerflochtenheit<Interdependenz 〉)を考 慮 す れば, 両 姉 妹 学科 の 問 に 厳 密 な境 界 を 設 定 す るこ と は 実 際 上 不 可 能 な こ とで あ り, ま た 望 ましい こ と で も ない か ら で あ る。 こ のよ う に し て, こ こ で は, 国 民 経 済 学 と 経 営 経 済 学 と は, マ ク ロ的 方法 と ミ クロ的 方 法 とい う分 析 方 法 の 相違 に よ っ て 類 別 さ れ る の で あ る が, こ れ は 絶 対的 な も の で は な く, 相 対 的 な も の に と ど ま る の で あ る。 そ し て ホ ーマ ー の所 論 は, こ の よ う な コ ジ オ ール め 見 解 を 基 礎 に す る も の で あ り, し たが っ て か れ の 経 営 経 済的 租 税 論 乱 経 済 学 の 一 部 分 領 域 と し て 展開 さ れ る こ と と な る の で あ る。 他 方, ホ ー マ ーは また, 「 た し かに , 両 部 分 領 域 は, そ れ ぞ れ の見 通 し か ら の み, 考 慮 に 値 す る 現 象 を残 七 て い る とい う こ と も, ま た 矛 盾 で は ない 。 実 に , こ の 情 況 が, 前 述 の 分 業 と 結 びっ い た 両 学 科 の 独 立 性 を正 当 化 す る も の で あ る3)」 と し て, 両 部 分 領 域 を 分 業 に よ っ て 区 分 す べ き で あ る こ と を主 張 す る。 す な わ ち, 「一 般 経 済 理 論 か ら 発 展 し た 経 営 経 済 体系 とは, 思 考 方 法 に よっ て の み, と くに そ の 結 果 と し て 引 き 出 さ れ る 重 点 の 割 り当 て に よっ て の み, 相 違 す るに す ぎな い の で あ る が, 他 方 , 補 完 的 な 管 理 技 術 的 領 域 (erganzenderverfahrenstechnischBereich ) に お い て は 大 き な 相 違 が 存 在 する の で あ っ て , こ れ は 主 と し て 素 材 選 択 か ら生 じ, し た が っ て ま た 様 々 な 視 点 に よ って 制 約 さ れ る4)」 の で あ る 。 さ ら に , 「 わ れ わ れ は , 管 理 技 術 の位 置 を,“経営 経 済 学 ”ど 国 民 経 済 学 ” とい う両 専 門 領 域 の 内 部 に 見 出 し')」し か も そ の管 理 技 術 の 位 置 を, 「 一 般 経 済 理 論 を土 台 と す る 基 礎 的 体 系 の 外 部

(5)

に おく 。」 そ こで, 経 済学 の体 系的 分 類をつ ぎのよ うに示 す こ とがで きる5)。 統一経済学 経営経済学 り 1 )2 ) 匈0 勾 3 経営経 済的 体系的経 管 理技術 営経 済学 1. 会計学2. 組織学 経 営経 済学と 経営概念 体系的国 民経済学 国 民 経 済 学 \| 国民 経済的 管理技術 1 。 会 計 学 ( 国 民 経 済 的 総 合 計 算, 統 計 な ど )2. ( 国 民 経 済 的 )組 織 学 し た が っ て 基礎的(共通的) 一般経済理論 こ のよ うに して, ホ ー・?■―に よれば, 経済学 を構成 する経 営 経済 学 と国民 経 済学 とは, 相対的 に は ミ クロ的 方 法 とマ クロ的 方法 とい う思 考方 法 の相違 に よって区 分 さ れ, また管 理技 術 の領 域に おい て区 分 さ れる べ き, 相 互に独 立性 を もった二 つ の部 分 領域 で ある とい うこ とが で きる。 そ して こ の管 理技 術 の相違 は, 主 とし て研 究の 素材 選択 に よって生 じ る。 そ れで は経営 経済学 はい かな る素材 を 選択 するの で あろ う か。 こ れを明ら かに す る た めに は, つ ぎに, ホ ーマ ーの経営 概 念 を検 討 する ことが必 要で ある。 ニ Pohmer,D.,a.a.O.,S レ31. ニPohmer,D.,a.a.O. ,S.33 ∼34.Kosiol,E. /WerdegangundWesenderBetriebswirtschaftslehreundihrVerhaltniszudenNachbarwissenschaftenundzurWirtschaftspraxis,DieBetriebswitschaft1940.S.99.WegbereiterderBetriebswirtschaftslehre,1950.S.2f.Pohmer,D.,a.a.O. ,S.34.Pohmer,D.,a.a.O. ,S.34 ∼35.Pohmer ,D.,a.a.O. ,S.35. 経営 経済学 と国民 経 済学 と の分業 関 係を明 らか にす る ために は, 経営 経済 学 の基 本概 念で あ る経 営概 念 を 明ら かに しなけ ればな らない とい うこ とは前 述 の通りで あ る。 ホ ーマ ーは, この経営 概念 に関 してっ ぎの よ う に い う。・ 「経営 ぱ 経 済的 組 織 単位 ”(wirtschaftendeOrganisationseinheit) で あ る。 そ れは全体経済の細胞で あり, そのなかであら ゆる種類 の経済

(6)

経営経済学と経営経済的租税論29 需 要 充 足 目的 の た め の, す な わ ち不 足 原 理 克 服 の た め の 配 慮 とい う 原 則 に 従 つ た 計 画 的 ・組 織的 処 理 が 行 な われてい る」1)。 そ して さらに, かれは こ の経済を つ ぎの ように 区 分す る2)。1. 本来的 経 営 =自己 需 要充足 経 営 =(私的j)家 計 こ れは一見, 消費 がそ の特徴 のよ うで ある が,a 消費経 営” と呼ぶ べきで は ない。 家 庭 で規 則的 に 行な われてい る生 産(料理,洗濯など)は別 として 醜 こ の細胞 を特 徴づ ける経 済計画 は, 消費 と並 んで 剰余所 得 の 利 用( 主として 貯蓄と租税支払),所 得 獲 得, 剰 余 財産 処 分な ど を包括 し てい るか らで ある。2. 派生的 経営。 本 来的 経 営 の需 要充 足に 奉 仕 する も の。 こ れ は(経済の 最終目標としての)消費 を行 な わ れず, 分 業 の結 果 とし て の純粋生 産経 営で あ る。 この場合, 生 産 とは価 値創 造 を意 味 してい る。 そし て こ れは さらに二分 す る ことが で きる。a ) 他人 需 要充 足 経営 =企 業 他人 需 要充 足 のた めに, 対 価を 得 て給付 を生 産 し, 販売 す るす べての 経営。b ) その 他の派生的 経営 =官 庁行 政=公的( 特に国家的)行 政政 治=公的 権力 他人 需 要 とくに 公的 需 要 の充 足 に奉 仕す る経営。 このように, ホ ーマ ーの場合, 経営 概 念 の うちに,家 計, 企 業, 官庁 とい う国民経 済を 構成 する す べて の“ 経済的 組 織 単位 ” が含 まれてお り, 経 営概 念 が非常に 広 く用い ら れてい る のが特 徴 で ある。 もとよ り, 経営概 念の規定 に つい ては, ド イ ツの経 営経 済学 に おい て 様々 な研 究が な されてお り, それ 自体 はわれ わ れにと って示 唆に 富む も ので ある が3) い まここで そ れらを個 個 に吟 味す る余 裕はな く, また そ れは 本稿 の意図 とする ことで もない。 しか し, ホ ーマ ーは, 結論的 に, こ れら の 様 々な概 念規定 は, 実 質的 な成 果に と ぼ しい もの であ る, とい う。 何 故 ならば, か れに よれば , 「広義 に 解釈 する 際 に も, 家 計は, 経 営概 念のな かに 含 まれ てい る に も か か わら ず, 部 分的に 考 察 から しめ 出されてい る から」 で あ り,:ま た「多 く の場 合, 経営 概念 を包 括 的 に限 界づ け る論 者に よっ て も, 根拠 もな しに,十結果 的 に は企 業 の経営 経 済学 が展開 さ れてい る4)」 からで あ る。 経 営概念 の規定にっ い ては, こ の よう に 様 々な観 点 が あ り, ま`た現実に 展

(7)

開 される経 営経 済学 で実 際 に とりあ げら れる経 済 はこの よ うな 経営 概 念と必 ず し も同一 で はない ので ある が, ホ ーマ ーの場合, 上 述 の ように 経営 概念 を 規 定 してい る ので, かれ の経営 経済学 は, まずっ ぎの よ うな体 系に 区 分 され る ことと なる。L (私的)家 計 の経 営経 済学2. 企 業 の 経営経 済 学3. 官庁 行政(その他の派生的経営)の経 営経 済学 こ のよ うな 経営経 済 学 の体系 化 は, 全 体経済 の す べて の細 胞 を 包括 する経 営 概 念 と一 致 す る もので あ って, 経 済学 の一 構成 部分 領 域 として の経 営経済 学 を形式 的 に は き わめて 明確 に体系 化 する もので ある とい う ことがで きるで あ ろ う。 し かし ホ ーマ ーは, この体系 化 に, さら にっ ぎの よ うな 問題点 を見 出 す。 そ れは, 「一 般 経済 理 論 は, 行政 政治 に 関 して は, 経営 経 済的 論述 の た めの家 計 や企 業 の場 合 と類 似 した基 礎を われ われに 提 供 してい ない5)」 と い うこ とであ る 。すな わち,上 述の三 つに区 分 さ れた経 営 概念 は,“経 済的組 織単位 ” と して の共 通 性 を も ち, かつ その経済 活動 の態 様に おけ る相違 性に 応じ て前 述 のよ うに三 分類 され たので あるが, それに も かか わらず, む しろ 新 たに 流 通経 済体 系 (System.derVerkehrenswirtschaft) と, 中 央 統 制経済体 系(SystemderZentralverwaltungswirtschaft) とい う概 念 を こ こに 導入 し て区 分 する こ とが必要 とな って くる ので ある6)。十 まず, 流 通経済 体系 にっ い て み れば, これは, 最 も純 粋 な形 で はレ シ ュナ イ ダ ーの 出発 モデ ル (A リsgangsmodell)'^), すな わち国家 活動 を ともな わない 閉 鎖的 流通 経済 に 具体化 さ れ, コジ オ ールの分 権的 計 画 設 定 原 理 (PrinzipdezentralisierterPlanung )が妥 当す る ものであ る。 ここ で は, 形式 的 に は, 各 個別 経 済が そ の経 済 計画 を 自 ら, また 自らの た めに の み設定 する もので あ る ことが 特徴 で ある。 したが って そ れに 属 する経 営は, 「 そ の経営 計画 を 自己 の経営的 観点 の も とに 設定 する。 この経 済性 追求 は, もっ ぱら個 別経 済 目的 に 奉 仕す る もので あ る8几」そして このよ うな流通 経済 モデ ルは, 市場 経済的 経 営 (marktwirtschaftlicherBetrieb) と も呼ぶ こ とが で きる。 そして こ こで は, 国宗 の活動 は除 か れてい る ので, 前述 の経営 概 念 の三区 分に お ける その 他 の派生的 経 営 は含 まれない こ ととなる。 そ こで, つ ぎの ような体系 が 考え

(8)

経営経済学と経営経済的租税論 訂 ら れる。 市場経 済的 経営a )本来 的 経営 =家 計b )派生的 経営 =企 業 つ ぎに, 中央 統制経 済体 系にっ い て みれば, そ の最 も典 型的 モ・デ ルに おい て は, ある一 つ の全 体経済(国民経済)のため の経済 計画 が, あ ら ゆる詳 細に い たるまで設 定 されてお り, この 計画 が自ら は決 して 計画 を設 定 しない 他の 経 営 によって 実施 される ので あ る。 この中央統 制経 済体 系 と流 通経 済 体系 と の 限 界は, 一見, 流動的 であ るが, 計画 原理に 従 って見 れば, 計 画設定 権限 の 集中 と分散 とに よ る区 分 が重 要な 意味 を持 ち, コジ オ ールの集 権的 計 画原 理 (PrinzipzentralisierterPlanung) が そ こで は妥 当す る。 ここで は, 全 体経 済 に おい て設 定 さ れる需要 の 最適充足 とい う目的 を指向 し, 経 営 個別的 見地 で はなく, 社 会的 見地 か ら, 生 産 ・配分 の計画 が 設定 さ れ, 実 施 される。 そ して この よ うな 経済 体系 の細胞 を財政 経 済的 経営 (finanzwirtschaftlicherBet-rieb ) と呼 び, これを つ ぎの よ うに分 類 する こ とがで きる。 財政経済的 経 営 。a) (全体的な)計画 設定(同時に執行)経 営 犬 \b )完 全 な執 行経営 っ 現実の国民 経 済にお い て は, これ ら二類 型の 経済 体系 は, い ず れ も完全 な 形 で存在 する ことは な く, 個 々 の場合 にい ずれが 優 位を しめてい る かに よっ て, それが流 通 市場 経 済体系 で ある かあ るい は 財政 経 済体 系 で ある かが判断 されるので ある。 そ こで, 一 般 に, あ る国民 経済 の なかに は, つ ぎのよ うな 経 営 範躊が並 列 し て存在 し てい るとい うことが で きるの で ある。 経 営1. 市場 経済 的 経営(=家計と企業)a )経 営個 別的 計画 設定( ならびに執行)経 営(=独立的市場経済的経営)b )(経営個別的計画設定経営の計画に従う) もっ ぱ ら(実際上は多くの場合 “主としてつ 執行経 営(=非独立的市場経済的経営)2. 財政経 済的 経営(=その他の派生的経営)a )全 体 計画設 定( ならびに執行)経営(=計画設定的財政経済的経営)

(9)

b )(全体計画設定経営の計画に従う)もっ ぱら(実際上は多くの場合“主とし で )執 行経営(=執行的財政経済的経営) そし て, この財政 経 済的 経営 =そ の他の 派生的 経営 の経 済活 動 を理 解 する た めの鍵 は, ミ クロ経 済的 考察 で はな くて マ クコ経済的 考察方 法 の う ちに あ るの で, 財政 経済的 経 営 に関 する経営 経 済学 を展 開する ことは困 難 とな り, こ れに 関 する問題 は 国民 経済学 の領域 に 属す べ きもので ある とい うこ とに な る ので ある。 な 払 この場 合, ホ ーマ ーは, 前 述 の経済 学 の体系 化 との関 連 で, 管理 技 術上 の問題 点 を指 摘 する。 す な わち, 財政経 済的経 営 の組 織技 術 的 な らびに 計算技 術的 問題 つ まり管理 技術的 問題 は, 本 質的 に は個別 経営的 問題 で ある。 し かし なが ら, 国民 経済学 ない し財 政学 の 領域 で, これ らの財 政 経 済的経 営に おけ る管 理 技術上 の問題 を積極的 に 取 り あげ るこ とに よっ て。 経 済 学の分 業体 系を 維持 す る べ きで あ る とい う9)。 ニ この ように して, ホ ーマ ーは, さ きに家 計, 企 業 な らびに 財政 とい う三 者 に区 分し た経 営 概念 を, さらに 市場 経済的 経営 と財政 経 済的 経営 とい う二 つ の 範 躊に区 分 し, 経営 経 済学 の対 象 を前 者 に限 定 する。 かれの場 合, 経営 経 済学 と国民経 済学 との境 界は, 前 述 の通 り, \ミ クロ的 方 法 とマ クロ的 方法 と い う思考 方法 の相違 な ら びに管 理技 術 の領 域に おける相 違 に よる も ので あっ た。 そ して財政 経済的 経営 は マ クロ的 思考 の対 象 で あ り, また そこに は固有 の管理 技術 の展 開が 可 能で ある か らで ある。 そ とで, わ れ われは, ポ ーマ ー め家 計, 企業, 財政 を含 めた経営 概 念を 広義経 営, また そ こから財政 を除外 した企業 と家 計 とを狭 義 経営 と理 解 し, この狭 義 経営 を財政 ない し国家 と対 置 す る もの として とらえ る こ とがで きるで あろ う。 さ らに また, この よ うな ホ ーマ ーの 考 え方に対 して, この市場 経 済的 経 営 と財政 経 済的 経営 とに おけ る共 通 性, とく に管理 技術的 領域 にお け る共通性 を重 視 し, これを この よ うな経 営 経済学 の 体系 から分 離 して別 個 の 研究領 域 と して展 開 する ことが 可能 で ある。 マ ネジ メ ント研究 に おけ る普 遍的 管理原 則論 の立場 が その 典型 で ある とい えよ う。 この考 え方 に立 つ なら ば, ホ ーマ ーの場 合 のよ うに, 管 理 技術上 の問 題を経 営 経済学 と国民経 済 学 と の領域に 積 極的 に取 り入 れて経 済 学 の分業 体系 を維 持 する ので は なく, この問題 を こ の分業 体 系 から積 極的に 分 離 して 独立 し た研究領 域 を確 立 する こ とと なるの

(10)

経営経済学と経営経済的租税論33 で ある。 さて, ホ ーマ ーは, 上 述 の よ うに して, 一 方 で は経営 概 念を 市場経 済的経 営 と財政 経 済的経 営 とに分 け, 他方 で は, 経 営 経済学 で とりあ げる べ き経営 を前者に限定 する。 したが って , 実際 に展開 され るもの が企業 の経営 経 済学 で あって も, 本質的 に は, 企 業 の経営 経 済学 と家 計の経 営経 済学 とが 併存す る ことにな る。 そ れは,( 経済 は 制約 な しに経営 経 済学 の認 識対 象 であ る10)」 か らであ り, あら ゆる経済問 題 の出 発点 は経 営 で あるか らで あ る。 そして さ ら にっ ぎの よ うに コジ オ ーノレの所 論 を 引用 して こ れを論 証 する。 「市 場形態, 価 格形成問 題, 社 会的 産 物 の配分, 通 貨 問題, 課 税問題 さら に また経済政 策 的 処理」 は経 営経 済研 究の領 域 に入 る もので あ り, また こ の研究 は, こ れら の 複合物 の分析 に際 して, ( そ の出発点 を, 活 動 の中心 あるい は影 響 の中心 と しての経 営 に求 める ので ある11)。」 さきに ホ ーマ ーは, 経営 経済 学 を統一 経 済学 のな かで 位 置づ け, さらに こ こで その経営 経 済学に おい て対象 とす べ き経営 概念 を明 ら かに した。 そこで っ ぎに, こ の よ うに して とらえ ら れた経 営経 済学 の なか で, 経営経 済的 租税 論 はどのよ うな位 置を し め, ま た どの よ うな領域 を おお うものな ので あろ う か。 これこ そが, ま さに, わ れわ れの中 心的 関心事 に は かな らない の である。 1)Pohmer ,D.,a.a.O. ,S.36.2 )Pohmer ,D.,a 。a.O. ,S.36 ∼37.3

) ちなみに,ポ ーマ ベ よ,かれ自身 の このような広い 経営 概念 規定( とく に家計

を含む)に近い ものとして,Kosiol,Hasenack ,Lindhardt,Mahlberg,Nicklisch ,Ruberg,Ley

琵ert などをあげ, また相違する ものとして,Mellerowicz ,Guten-berg,Leitner,Schmidt,Hoffmann,Lehmann ,Prion,Rieger,Schafer,Walther

などをあげてい る。Vgl.Pohraer ,D.,a.a.O.,S.36 ∼38.4 )Pohmer ,D.,a.a.O.,S.39 よ 一5

)Pohmer,D.,a.a.C,S.40.6

)Pohmer,D. ,a.a.o.,s.41 ( 仔)。7

)Schneider,E. ,EinfiihrungindieWirtschaftstheorie ,Bd.1 ,(6Aufl. ),S.34 (任)・8

)Pohmer ,D.,a.a.O.,S.42.9

)Vgl.Pohraer,D. ,a.a.O.,S.48.10 )Pohmer,D. ,a.a.O.,S.48.

(11)

11)Kosiol ,E.,WegbereiterderBetriebswirtschaftslehre.S.3.Vgl.Pohmer 。D.,a.a.O. ,S.48. 4. 経営経済的租税論の位置と領域 以上 の検討 の な かで, さらに注 目す べきで ある のは, 国家(=財政経済的経 営) と狭義 経 営(=市場経済的経営=企業と家計)との間 の関 係が十 分 に考慮 さ れず に残 されてい る とい う点で あ る。 こ の ことは, 経 営 経 済 学に一 般的 に妥 当す る こ とで あ り, 両 者 の関 係が と りあげ ら れる とし て 仏 そ れを 経営に関 す る様 々な事 実 に対 す る制約 要因 の一 つ の デ ータ と して考 慮 す るに とどまっ た。 し たが って そ こで はレ 国家 の 存在が 散在的 に注 目 さ れる だけで あ り, 一 般に 国家 の需 要 と給 付, 国 家 の特殊 性 は捨 象 されてい る のが 普 通で ある とい え よ う。 この よ うな 国家 と経 営 との間 の関 係(7:?一 つ しか も重 要 な一 つ と して, 課 税 が あげ ら れる。 し かし この課 税は, 従来 の一 般 経営 経 済学 ない し特 殊経営経 済学 (SpezielleBetriebswirtschaftslehre) におい て は, せい ぜい ば らば らに と りあげ ら れて きたに す ぎない。 課 税 とい う形 での 国家 に よ る経 営 への干渉 は, ほ と んどあ ら ゆる領域 の経営 内活動 に√ またあら ゆる 形 態 の経 営間 の関 係に 影 響を お よぼ す もので ある。 そ れに もかか わらず, 従 来 の経 営 経済学 の研 究 は, 基 本的 に は, 非課 税的 事態 (nichtsteuerlicheSachverhalt) に重点 を 置い て きた ので ある。 したが っ て, 従来 は, この課税 とい う国家 と経営 との間 の 関 係を 包括的 に とりあげ る べ き経営 経済的 税 租論 の展 開 は, 決 して十 分 とい え る もので は なか ったの で ある。 そ の理 由 の一 つ と│して, 経営 経済的 租 税論 と隣接諸 科学 で あ る財政学, 税法学 とくに会 計学 との 限 界づ け, な らびに経 営 経済学 内 に おけ るそ の位 置づ けが不 明確で あ った こ とが あ げら れる1)。 ま た, 他の理 由 と して は, 上 述の経 営径 済学 にお ける 国家 と経営 との結 びっ き, 関係 が軽 視 され て きた こと もあ げ られる。 租 税問題 は, 他の あら ゆる経 営問 題 に影 響 す る。 しか し, 開題 を基本的 なもの に限定 し, 抽象 性を 高 めれば高 める ほ どに この 租税 とい う現実 の非 常に 重要 な影 響要 因 が, 考 察の 領域 から し め出 されて し ま うこ とに な るので ある。 た しかに, 現代 の租 税制 度, したが っ て租税問 題 は 複雑 で ある。 し かしな

(12)

経営経済学と経営経済的租税論 お が ら, だか ら とい って, 経済 分析 にお ける租 税問 題の影 響に 関 す る研究 は, 租 税の専 門家 に まかせる べ きで はない。 こ の問題 は, 経 営経 済 の 専門家 によ っ て, 経 営経 済学 の領域 におい て とりあげ ら れる べきで あ る。 前 述の通 り, 基 礎的研 究 におい て は, 租 税問題 の よ うな個別的 で繁雑 なも のは捨 象 される こ とに なる。 しか しなが ら, 経 営問 題全 体 から見 れば, 租 税 とい う形 態 によ る経営に対 する 国家 の影 響 それ自体 は無 視す る ことはで きない 。 た しかに, 一 般経営経 済 学 ない し経 営経 済学 の その他の 部分 領域 に おい て, 経営 に対 す る 国家活動 の 意 味に もっ と考慮 が はら われ るなら ば, 経 営経 済的 租 税論 とい う独立 した研 究領 域 は存 在 しな くて もよい とい うこ とも で き るであ ろ う。 し か し, この場 合 に も, 経営経 済学 の各 部 分領域 に 散在 す る租 税 問題 の総合化, 体 系化が必 要 と なる。 そこ で, 従来 の経営 経済 研 究が十 分 と りあげ なかっ た こ とによ って生 じ てい る 国家 と経営 との 間の す き間 を総 合的, 体 系的 に埋 め るために, 経営 経 済的 租税 論が生 成 する こ ととな るので ある。 も ちろ ん, 経 営 経済的 租税論 の 課題 は, 国家 が存在 す るこ とに よって 生 じ る経 営現象 の す べてを研 究 す るこ とで は なく, 基 本的 に は, 国家 と経営 との間 の経 済的 過程 が 問題 と なる のであ る。 す な わち, ホ ーマ ーは経 営経 済的 租 税論 の課題 をつ ぎのよ うに規 定 す る。 「経営経 済的 租 税論 の 領域 におい て は, そ の他 の派生的 経 営が, 一 方 では家 計に, また 他方 では 企業 に結 びっ く経 済的 過 程 と, 経営 内 部な ら びに経 営相 互 間の現象 に 及 ぼ す影響 とを, とくに ミ クロ経済的 考 察 に よ る経済 学的 方法 を利用 して 研究 す るので あ る2)。」 こ こで注 目す べ きこ とは, まず, ホ ーマ ーの この定義 が, そ の研 究領域 を 租 税問題 の みに限 定 す るも のでは ない とい う一 つ の特徴 で あ る。 ホ ーマ ーに よ れば, その 根拠 は, まず第1 に, 租税 問題 に限定 す る こ とが 体系的 に支持 で きない こ と, 第2 に, 租税問 題 の孤立的 説 明 は誤 っ た 結果 へと導 く もので あ り, 国家 と経 営 と の間 の関 係は, 両者 を有 機的 にとら えて 研 究 しなけ れば なら ない とい うこ とで あ る3)。 また, ホ ーマ ーの上 述 の定義 の も う一 つの 特徴 は, 家 計 が経営 経 済的 租税 論 の領域に 含 まれ てい るとい うこ とであ る。 こ れは前述 し たか れ の経 営 の概 念規定か らの 必然的 結果 であ る ことはい うまで もない が, 同 時 に, こ れに よ

(13)

つ て, 個人 企 業 に 対 す る 課 税 問 題 が 考 察 か ら 閉 め 出 さ れ る の を 防 止 で き る こ と と な る こ と に よ る。 家 計 が 経 営 経 済 的 租 税 論 の 領 域 に 含 ま れ な い 場 合 に は, 個 人 企 業 に 対 す る租 税 を法 人 企 業 に 対 す る租 税 の 下 位 に お き, 個 人 企 業 を法 人 企 業 に 擬 制 す る とい う方 法 を と ら な け れば な ら ない こ と と な る。 経 営 経 済 的 租 税 論 の 領 域 ない し 課 題 を こ の よ うに と ら え る な ら ば , こ れ は 経 営 経 済 学 の 体 系 的 分 類 の な か で ど の よ うに 位 置 づ け ら れ る べ き で あ ろ う か。 こ の 問 題 を, ホ ー マ ーは 特 殊 経 営 経 済 学 な ら び に経 営 経 済的 職 能 論(Betriebs-wirtschaftlicheFunktionslehre ) と の 関 連 で 考 察 す る4)。 ホ ーマ ーに よ れば , ま ず, 経 済 分 野(Wirtschaftszweig )に 従 っ て 成 立 す る特 殊 経 営 経 済 学 (い わ ゆ る業種別経営経 済学) とい う伝 統 的 分 類 か ら は 経 営 経 済 的 租 税 論 は 出 て こ なV `5)。 そ こで っ ぎ に, 職 能 論 と し て の 位 置 づ け は ど うで あ ろ う か。 ホ ーマ ーは 「 国 家 の 経 済 活 動 は,経 営 の 観 点 か ら 見 れ ば ,ま ず 第1 に 財 務 問 題(Finanzier-ungsproblem ) と し て 考 察 さ れ る6)」 とい う。 し か し な が ら, だ か ら とい っ て , 直 ち に 経 営 経 済的 租 税 論 は, 職 能 論 と し て の 経 営 経 済 的 財 務 論 な い し そ の一 部 分 で あ る の で は ない 。 す な わ ち, 「 経 営 経 済 的 租 税 論 は, 伝 統 的 に 財 務 (Finanzierung ) の 範 囲 内 で 論 じ ら れ て き た 問 題 の な か に 完 全 に 包 含 さ れ る も の で は な く, 経 営 経 済 学 の全 領 域 に 直 ち に 結 びっ く も の で あ る7)」 か ら で あ る 。 こ の こ と は , と く に ,市 場 経 済 的 関 係( 経営内部ならび に経営相互間 の過程 ) に 対 す る 財 政 経 済 的 関 係( 国家 と経営 との経済的 結び つき) の反 作 用(Riickwirk-ung ) の 考 察( 経営経済的租税影響論, (BetriebswirtschaftlicheSteuerwirkungs-lehre ) に っ い て 妥 当 す る。 こ の よ う に し て, ホ ーマ ーに よ れ ば , 経 営 経 済 的 租 税 論 は, 特 殊 経営 経 済 学 と して も, また 経 営 経 済 的 職 能 論 と し て も, 経 営 経 済 学 の な か に 位 置 づ け る こ と は で き ない 。 そ れで は ど の よ う に 位 置 づ け た らい い の で あ ろ う か。 ホ ー マ ーは , 経 営 経 済的 租 税 論 の 研 究 領 域 を, 経 営 経 済 学 の そ れ以 外 の 研 究 領 域 と対 応 さ せ て つ ぎ の よ う に 位 置 づ け る。 す な わ ち, か れ は 「 財 政 経 済的 過 程 な ら び に 市 場 経 済的 過 程 に 対 す る そ の 反 作 用 に 関 す る 経 営 経 済 的 研 究 に, 市 場 経 済 的 ( したがって経営内的ならび に経営 相互的 )過 程 に 関 す る 経 営 経 済 的 研 究 と し て の “ 残 余 の ” 経 営 経 済 学 総 体 を 対 応 さ せ る 」 の で あ り, した が っ

(14)

て , 結論 と して, 経営 経済 学 経 営経 済学 と経 営経 済的租 税論37 つ ぎ の よ う な 体 系 的 位 置 づ け に 到 達 す る8)。 1. 経 営 経 済的 市 場 経 済 学2. 経 営 経 済 的 財 政 経 済 学 そ して, こ の 経営 経 済的 財 政 経 済学(betriebswirtschaftlicheFinanzwirtschafts-lehre) こ そ が, 経 営 経 済 的 租 税 論 に ほ か な ら な い の で あ る。 さ きに わ れ わ れ は, ホ ー マ ーの 経 済 学 の 体 系 的 分 類 に 従 っ て, 経 営 経 済 学 を 体 系的 経 営 経 済 学 と経 営 経 済的 管 理 技 術 と に 分 類 す べ きで あ る こ とを 明 ら か に し た。 い ま こ の 分 類 と, 上 述 の 市 場 経 済 的 経 営 経 済 学 と経 営 経 済的 租 税 論 との対 応 と を 組 み 合 わ せ れ ば, 経 営 経 済 的 租 税 論 を 経 営 経 済 学 の な か で, つ ぎ の よ うに 位 置 づ け る こ と が で きる9)。 経営経 済学 体系的 経済学 体系的経営 経済 体系的経営経 的市湯経 済学 済的租税論 j 経営経済的市場 経済管理技術 そして この体系 構造 を, 専門 領域 の明確 化 とい う観点 から整 理し なお すと, 経営 経済的 租 税論 のっ ぎの ような位 置づけ が 得 られ る。 経営経済学 | 経営 経済的市場経済学j | | 体系的経営 経済 経営経済的市場 的市場経 済学 経済的管理技術 体系的経営 経 経営経済的財政 済的 租税 論 経済的管理技術 しかも, さきに述 べたホーマ ーの経済学の体系的 分類に よれば,体系的経 営経済学 と体系的 国民経済学とは,共通の基礎 として一 般経済理論をもっも のであった。 そしてこの場合, 両者の関 係は, そのまま, 体系的経営経済的 租税論と体系的 財政学 との関係にあてはめることができ る。 したがって,両 者の関係をつ ぎのように表示することがで きる。

(15)

経営経 済的 租税論 | | ト 経営経済的 体系的経営経 租税技術 済的租税論 財政 学 | 体系的 財政技術 とくに財 財政学 紋学的租税 技術 経営経済的 租税技術 共通基礎一般経済理論 さらに,犬経済学ない し財政学ならびに経営経済学との関連でこのような位 置をしめる経営経済的租税論は, それ自体,つぎのような構造をもっ もので あり,これに よってその全領域が示 されることととなる。 経 営経済 体系的 経営 経 済的租 税論 |11 経営経済的財政 経営経済的 経済的関係論 租税影 響論 的 租 税 論 | 1)Vgl.Pohmer,D.,a.a.O. ,S.28.2 )Pohmer,D.,a.a.O. ,S.51. 犬3 ) そ こで ,ホ ーマ ーは。こ の研究領 域はむしろ経営経済的財政経済 学(betriebs-wirtschaftlicheFinanzwirtschaftslehre ) と呼ぶべ きであるが ,定着 した名称 に したがって ,経営経 済的租 税論 とい う名称 を使用 するとい う。Vgl.Pohmer,D.,a.a.O.,S.51 ∼52.4 ) 経営経済的租税 論と特殊経営経 済学ならびに経営経済的 職能論 との関 係につい ては ,拙稿「経営 経済的租 税論の 位置 づけとその体系」東洋大 学経営研究所報告 第1 号 参照。5 )Vgi.Pohmer ,D.,a.a.O.,S.55.6 )Pohmer,D.,a.a.O. ,S.55.7 )Pohmer,D.,a.a.O. ,S.55.8 )Pohmer,D.,a.a.O.,S.56.9 )Pohmer ,D.,a.a.O. ,S.72 ∼73. 5. む す び このようにして, われ われは, ホーマ ーに従いながら, まず経営概 念を, 家計, 企業, 財政を含むすべての経済的組織単位ない し全体経済の細胞とし てとらえ, またこれを家計と企業 すなわち市場経済的経営ない し狭義経営と 財政経済的経営 との二つの範躊に区 分したのである。 このように経営概念を

(16)

経営経済学と経営経済的租税論39 一 方では財政 を含 めて広 く規定 し, 他方 では そ の広義 経営 を この二つ の範躊 に 区分 する ことに よ り, 狭 義経 営 と 国家 との関 係が浮彫 りに され ること とな る。 さきに みた通 り, 従来 の経 営 経 済学に おい ては, 一 般 に この経 営 と国家 との関係 したが って その重 要 な一 つ として の租 税 の問 題 は せい ぜい 散 在的 に しかと りあ げ られず, 基 本的 に は非 租 税的 事 態 に重点 を お く ものであ って, 租税問題 の体系的 ・総合 的 研 究は 決 して十 分 であ る とはい えない ものであ っ た。 しかしな が ら, 租税 は経営 内 部 なら びに 経営 相互間 のほ と んどあ ら ゆる 経 営活動 に影 響を与 え るもの であ り, この租 税 とい う形 での経 営 と国家 との 関 係を 包括的 に と りあげ る べ き固 有 の研 究領 域 として, 経営経 済的 租 税論が 展開 されるの であ る。 このよ うな固有 の研究 領域 そ れ自体 の成 立 なら びに そ の重 要性 は, われ わ れ も積極的 に 承認 する こと ので きる もので ある。 しかし ながら, その ことは これ までに検 討 して きた ホ ーマ ーの経営 経 済的 租 税論を その まま承認 する こ とを意味 する もので はない。 ここで われ われ が注 目す べ きであ るの は, ホ ー マ ーが租税問 題 を狭義経 営(したがって家計と企業)と国家 との関 係 とし て 把 握 してい る点 て あ る。 もとよ り ポ ーマ ーの場 合, す べて の経済的 組 織単位 な い し全体経 済 のす べての 細胞 す な わち経 営(広義)が経営 経 済学 の対 象 で あ り, その 意味で は上述 の よ うな問 題 の把 握 は論 理的 に一 貫 性 を もっ も のであ り, 形式的 に は疑問 の余 地 もない。 しか し ながら, 現代 の社 会におい て, こ の租 税問 題が 最 も典型 的 な形で 存在 し,◇し たが って その 研 究が最 も重要 な意 味 をもってい る のは, この よ うなす べての 経 営( 狭義) と国家 との問 におい て ではない。 そ れは国家 と企業, とくに 現代 を代表 する 大規 模化, 複雑 化し た, また資本 と経 営の分 離 と専 門 経 営者 の生 成 とを 基盤 として成 立 する, 主 体的 活動 を営 む 社会的 存在 と して の経営 体 ともい うべき 現代 の企業 との間に こそ, 固有 の意 味を もって成 立 する 問題 領域 で あ る。 ホ ーマ ーは, さきに, 体系的 経営 経 済的 租 税論 を, 経 営経 済的 財政 経済的 関 係論 と経 営経 済的租 税影 響論 との二 つ の領域 に 分け た。 こ こ で こ め 「関 係 」 と「影 響」 とを, どのよ うな立 場 から 取 り上 げ るの であ るか が重要 な意 味 をもって くる。 ホ ーマ ーの場 合 に は, 科学 として の経 営経 済学 し たがっ て 経 営 経済的 租 税論 の, し かも体系的 ・理 論的 領 域に お い て こ の「関 係」 と

(17)

「 影響 」 とが と りあげら れる のである から,それ は, 客 観的 な立場 から の「関 係 」 と「 影 響」 との論述 を 内容 とす るもので ある。 し か し ながら, この「 関 係 」 と「 影 響」 との現代的 意義 を重視 する なら ば, こ の よ うな客 観的 論述 そ れ自体 の必 要性 は 承認で きて も, そ こに とどまる こ とは で きない。 さらに, 前 述の主 体的 活動 を営 む現 代の企業 経 営 と呼 ぶこ との で きる も ので あろ う これこ そ, 最狭 義, 固 有の 意味で の の主 体的 立場 から, この「 関係」 と「影響」とをとりあげ, それらがこの現代の企業に対 して もつ意味を理解 し, さらにそれに対する対応を明確にすることが重要となって くる。 そして このような課題に十分答 えるためには,経済学ない し経営経済学の一部分学 科としての経営経済的租税論では十分ではない こととなるのである。 本稿におい ては, 国民経済学と経営経済学との厳密な境界の存在ない しそ の必要性を否定するホーマーの所論に従い ながら,経営 経済的租税論の性格 を把握しようと試 み, それを通じて, 様々な経営問題に対する租税の影響を どのよう に扱 うべきであるかとい うことをさぐってきた。しかしこめ課題の もつ現 代的 意義を十分に理解し, この課題 を現代的に取 り上げるためには, 経営経済学したがって経済学の一部分学科としての経営 経済的租税論では十 分ではない。 さらに経済学 からは区別された固有の経営 学の一 部分学科とし ての経営租税論ない し経営税務論の展開が必要となってくるとい うことがで きるであろう。 レ

参照

関連したドキュメント

ア  入居者の身体状況・精神状況・社会環境を把握し、本人や家族のニーズに

経済学研究科は、経済学の高等教育機関として研究者を

  憔業者意識 ・経営の低迷 ・経営改善対策.

Whenever the Commission considers that the safety and pollution prevention performance records of a recognised organisation worsen, without however justifying the withdrawalof

アクション 「計画」の 審議・決定 定例調査審議 定例調査審議 上半期中途. 振返り 定例調査審議 上半期総括 定例調査審議

これらの状況を踏まえて平成 30 年度に策定した「経営計画」 ・

1アメリカにおける経営法学成立の基盤前述したように,経営法学の

労働者の主体性を回復する, あるいは客体的地位から主体的地位へ労働者を