Title 地域住民における不安障害の頻度、危険因子および社会生活への影響に関する疫学的研究( はしがき ) Author(s) 川上, 憲人 Report No. 平成10年度-平成11年度年度科学研究費補助金 (基盤研究(C)(2) 課題番号10670346) 研究成果報告書 Issue Date 1999 Type 研究報告書 Version URL http://hdl.handle.net/20.500.12099/428 ※この資料の著作権は、各資料の著者・学協会・出版社等に帰属します。
Ⅰ.はしがき 地域の一般住民において、不安障害は、うつ病やアルコール依存 症にくらべると注目されることが少なかった。しかし近年、地域住 民中の不安障害、特に全般性不安障害(6カ月以上の不安が持続) およびパニック障害(恐怖を伴う発作が頻回に生じる)の頻度が2 ∼8%と比較的高いことが、特に米国での疫学研究から指摘される ようになった(Robinsら,1991;Eatonら,1995)。また社会生活上の困 難や生活の質などの生活面への影響はうつ病に劣らず大きいこと、 虚血性心疾患の発症危険度の増加など身体的健康にも影響を与える ことが明らかになりつつある(Weissmanら,1990)。 しかしながら世界的にみても地域住民における不安障害の有病率 および危険因子に関する研究は少ない。わが国では、申請者(川上) が、米国精神医学会の精神障害の診断・統計マニュアル第3版改訂 版(DSM-Ⅲ-R)に従って、勤労者および青年期男女における不安障 害の頻度を検討し、米国の研究とほぼ同等の頻度を見いだしている。 しかしながら、不安障害の頻度はうつ病よりも低いため、有病率を 安定して推定し、危険因子の解析を行なうためにはこれらの研究の 対象者数では不十分であった。わが国では、不安障害が社会生活上 の困難やその後の身体的疾患の発症に及ぼす影響について明らかに した研究はない。さらに、不安障害の経験者の大部分は医療機関を 受診しないと思われ、彼らがどこでどのような援助を受けているの かは不明のままである。社会変動にともなって精神的問題が増加し ていると言われ、これへの対策が強く求められている今日のわが国 で、地域住民を対象として不安障害の頻度、危険因子、社会生活お よび身体疾患への影響、受診行動パターンを明らかにすることは公 衆衛生学上きわめて緊急性の高い研究課題である。 1)本研究は、最新の精神科診断面接法であるWHO-CIDIを用い た、わが国で最大規模の精神科疫学調査である。本研究により、不 安障害の有病率を十分な信頼度をもって推定でき、不安障害に対す る保健医療サービスの必要性を明確できる。また、この大規模研究
によりわが国の精神科疫学研究の水準が飛躍的に向上すると期待さ
れる。 2)不安障害の危険因子(特に人口統計学的、社会心理的要因) を地域住民を対象として解明するわが国で最初の研究となる。受療 した患者を対象とした研究にくらべ、バイアスの少ない結論を得る-1-ことができる。この結果から、不安障害の予防および早期発見のた めの方法についての指針が得られると期待される。 3)不安障害の経験者の生活上の困難および受診行動の実態をわ が国で初めて明らかとする。この結果から、不安障害に対する保健・ 医療サービスを提供するための指針が得られる。 4)精神疾患と身体疾患との関連(Co-mOrbidity)は精神科疫学の 最先端のトピックスであり、国際的にも先行研究は少ない。不安障 害と身体疾患の発症との関係が明らかになることにより、不安障害 の生理学的メカニズムの解明が進展すると期待される。 Ⅱ.研究組織 研究代表者 研究分担者 研究協力者 Ⅲ.研究経費 平成10年度 平成11年度 計 Ⅳ.研究発表 川上憲人 清水弘之 原谷隆史 岩田 昇 北村俊則 寺田佳代 (岐阜大学医学部助教授) (岐阜大学医学部教授) (産業医学総合研究所主任研究官) (米国フロリダ国際大学研究助手) (国立精神神経センター精神保健研究所部長) (岐阜大学医学部非常勤講師) 1900,000円 800,000円 2700,000円 (1)学会誌等 1)原著論文 1・KawakamiN,IwataN,F両iharaS,KitamuraT:Prevalenceofchronic fatiguesyndromeinacommunitypopulationinJapan・Tohoku JoumalofExperimentalMedicine1998;186:33-41 2・KawakamiN,TakatsukaN,ShimizuH,IshibashiH:Depressive SymPtOmSandoccurrenceoftype2diabetesamongJapanesemen. DiabetesCare1999;22:1071-1076 - 2 -・