Title
小動物臨床におけるX線防護に関する研究( 内容の要旨 )
Author(s)
中川, 光義
Report No.(Doctoral
Degree)
博士(獣医学) 甲第010号
Issue Date
1994-03-14
Type
博士論文
Version
URL
http://hdl.handle.net/20.500.12099/2064
※この資料の著作権は、各資料の著者・学協会・出版社等に帰属します。
氏
名(本籍)
学
位
の種
類
学
位
記
番
号
学位
授 与 年 月
日学位
授 与
の要件
研究科
及 び専 攻
研究指導を受けた大学
学
位
論
文
題目
審
査
委
員
中
川
光
義
(北海道)
博士(獣医学)
獣医博甲第10号
平成6年3月14日
学位規則第4条第1項該当
連合獣医学研究科
獣医学専攻
帯広畜産大学
小動物臨床におけるⅩ線防護に関する研究
主査
帯広畜産大学
教
授
広
瀬
恒
夫
副査
岩
手
大
学
教
授
金
田義
宏
副査
東京農工大学
教
授
小久江
栄
副査
岐 阜
大
学
教
授
鈴
木
義
副査
岐 阜
大
学
教
授
武
脇
副査
帯広畜産大学
教
授
山
田明
一孝
義
夫
論
文 の内
容
の要
旨 獣医師の主要な業務分野である診療業務、とりわけ、近年一層高度な技術が要請されて いる小動物診療獣医師においては、その多くが診療上不可欠な診断装置としてX線装置を 設置、使用しているものと思われる。しかし、X線装置の使用に伴う放射線障害防止対策 については、小動物診療施設の開設等を定めている獣医師法の中にも放射線防護に関する 規制が定められていないことから、真真上野放し状態であるとの批判もある。これに対し てアメリカ、イギリス、ドイツ等においては、1969年の国際放射線防護委員会(Inlerna-tionEIIConln-issiononIb(liologicalProtecli()一l)から出された獣医学上における特別の防護を 配慮した電離放射線の診断ならびに治療への利用に関する勧告に基づいて、獣医痍のX線 装置取り披いに関する規制力く行われている。また、小動物診療獣医師がX椴診断を行う場 合には、医療分野とは異なり、枚検動物を保定することが必要不可欠であるために、保走 者の被曝が最も問題となると考えられる。そこで、本研究では、日常の診療業務における ×線被曝の低減と共に、被曝防護に立脚した詳細なX椴検査を莫施可能とすることを目的 として検討を行った。 先ず、小動物臨床におけるX検診断法の現状をX線装置とX線室を中心に調査し検討し た。現在、ほとんどの小動物個人診療施設ではX線撮影装置が設置使用され、X線透視装 置の設置、使用も増加の傾向にある。しかし、動物用としてのX線装置の承認基準が規定 -90一されていないことから、多くのX娘装置は医療用の装置であり、中古で購入された装置も しばしば見られた。またX根室については、法的規定を考慮したものが非常に少なく、さ らに小動物個人診療施設の多くではX線発生装置と制御装置が同一室内に併設されている のが現状であった。したがって、獣医療で使用されるX線装置自体の防護については、医 療法等の関係法令で定められている基準との整合性を図る観点から、これらの基準に準拠 したものとする必要があり、さらに、獣医療では保定の問題が存在することから、装置自 体を箱状の遮蔽物で囲むような構造を有する専用のX線装置の開発が必要と考えられた。 次に小動物臨床におけるX娘防護と被曝の硯状について検討を加えた。X線検査に際して は必要な体位を確保するために用手保定が一般に行われているが、用手保定時の防護用具 の使用は決して十分とは言えず、さらに、被曝線圭のモニターを実施している施設も少な いのが現状である。したがって、日本の小動物臨床におけるX強制用に伴う適性な利用と その防護対策は、他の領域に比べて著しく遅れており、ICRPの電離放射線の診断ならび に治療への利用に関する勧告に添えるようなものとするために、獣医師自らがその対策に 努力する必要があり、獣医師法に適性な法令を定める必要があると考えられた。これらの 現状を踏まえ、X線管、撮影台、透視および撮影機横糸を一体化し、X線発生装置ならび に撮影台を全方向防護筐休内に収納することにより、獣医師および共同作業従事者の被曝 を極力防止することを目的とした小動物用全方向防護X線透視・撮影装置を開発し、検討 を加えた。この×繰装置は、通常の×線透視・撮影検査下において充分な被曝防護がなさ れており、故検動物の状態をX娘照射中においても被曝することなく観髪することが可能 であった。したがって、従来の開放型装置に比べて、械業被曝や公衆被曝の問題が著しく 改善され、現時点では小動物臨床に最も遺したX線装置と考えられた。 しかしながら、このX線装置を使用しても、椒検動物を従来通りに用手保定によって検 査するのであれは、手指の被曝低減は望みがたい。そこで、従来一般的に採用されてきた 撮影法によって得られる体躯の背腹倣、腹背倣、左一右側像、右一左側俄に加え、斜位 の透視・撮影検査が遠隔操作によって可能な保定装置として、ウレタンスポンジの内枠と 紙筒の外枠を組み合わせて作製した小動物用360度回転型保定装置を開発した。本装置を 小動物用全方向防護×綿透視・撮影装置と組み合わせることにより、明らかな被曝の低減 が可能となり、ポジショニングの適正化と共に多くの生体情報を鮮明な透視・撮影検査所 見として短時間内に確実に得ることが可能であった。さらに故検動物の組織構築の立体的 認識が容易となり、臨床例への応用性は広いことが明らかとなった。 以上の研究結果から、小動物用全方向防護X線透視・撮影装置と360度回転型保定装置 を組み合わせて使用することにより、小動物診療獣医師が被曝防護に立脚した詳細な×娘 透視、撮影検査を圭施することが可能となることが確かめられた。
審
査 結 果 の 要 旨 近年一層高度な技杭が要請されている小動物診療獣医師においては、その多くが診療上 不可欠な診断装置としてX線装置を設置、使用している。しかし、X線装置の使用に伴うー91-放射線障害防止対策については、獣医師法の中に国際放射線防護委員会の勧告に基づいた 放射線防護に関する規制が定められていない0また、小動物診療獣医師がX線診断を行う 場合、医療分野とは異なり椒検動物を保定することが必要不可欠であるため、保走者の被 曝が最も問題となる。これらの観点から、著者は日常の診療業殊におけるX線被曝の低減 と共に、被曝防護に立脚した詳細なX娘検査を実施可能とすることを目的として本研究を 立案した。先ず、小動物臨床におけるX娘装置と×娘垂を中心に調査し検討した。現在、 ほとんどの小動物個人診療施設ではX線撮影装置が設置使用され、X油送視装置の設置、 使用も増加の傾向にある。しかし、動物用としてのX線装置の承認基準が規定されていな いことから、多くのX椴装置は医療用の装置であり、中古で購入された装置もしはしば見 られた。またX鰻重については、法的規定を考慮したものが非常に少なく、X線発生装置 と制御装置が同一室内に併設されているのが現状であった。したがって、獣医痍で使用さ れる×線装置自体の防護については、医療法等の関係法令で定められている基準に準拠し たものとする必要があり、さらに、獣医療では保定の問題が存在することから、装置自体 を箱状の遮蔽物で囲むような構造を有する専用の×線装置の開発が必要と考えられた。 次に小動物臨床におけるX線防護と被曝の現状について検討を加えた。X線検査に際し ては、用手保定が一般に行われているが、用手保定時の防護用具の使用は決して十分とは 言えす、さらに、被曝綿圭のモニターを重施している施設も少ないのが現状である。した がって、日本の小動物臨床におけるX線利用に伴う適性な利用とその防護対策は、他の領 域に比べて著しく過れており、獣医師自らがその対策に努力する必要があり、獣医師法に 適性な法令を定める必要があると考えられた。これらの現状を踏まえ、獣医師および共同 作業従事者の被曝を極力防止することを目的として、×線装置自体を全方向防護筐体内に 収納した小動物用全方向防護X浪速視・撮影装置を開発し、検討を加えた。このX線装置 は、通常のX絶遠視・撮影検査下において充分な被曝防護がなされており、椴検動物の状 態を×線照射中においても被曝することなく観察することが可能であった。したがって、 従来の開放型装置に比べて、機業椒囁や公衆被曝の問題が著しく改善され、現時点では小 動物臨床に最も適した×線装置と考えられた。しかしながら、このX線装置を使用しても、 用事保定によって検査するのであれは手指の被曝低減は望みがたい。そこで、体軸に対し て360度方向からの透視・撮影検査が遠隔捜作によって可能な小動物用360度回転型保定装 置を開発した。本装置を小動物用全方向防護X線透視・撮影装置と組み合わせることによ り、明らかな被曝の低減が可能となり、多くの生体情報を鮮明な透視・撮影検査所見とし て短時間内に確実に得ることが可能であった。さらに被検動物の粗描構築の立体的認識が 容易となり、臨床例への応用性は広いことが明らかとなった。以上、本研究により、小動 物用全方向防護X線遠視・撮影装置と360度回転型保定装置を組み合わせた使用により、小 動物診療獣医師が被曝防護に立脚した詳細なX線透視、撮影検査の尖施が可能であること が明らかとなった。 平成6年1月12日における発表会及び論文提出、ならびに既発表論文(学杭誌相戦6短) を6人の学位論文巷査員が慎重審議した結果、連合獣医学講座の学位論文として十分にふ さわしいことを認めた。