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ガスパイプラインの最適運用計画

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Academic year: 2021

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小特集・天然ガスパイプライン圧送ステーション

∪・D・C・る22.る91.4/.5.004.24:[る5.012.122:519.857]

ガスパイプラインの最適運用計画

Cost-minimum

Operation

Planning

of

Gas

Pipelines

近年,エネルギー供給安定化の要請により,天然ガスパイプラインの建設規模は, ますます大形化しつつある。これに伴って,ガス圧送ステーション動力も大容量化 し,その動力コストの削減が,ガスパイプラインの経済性を左右する大きな問題と して重要視されている。 本稿では,所定量のガスを最小コストで輸送するための経済運用法について述べ る。動力コストを-最小にするためには,タービン及び圧縮機の部分負荷特性を考慮 し,各ステーションへの負荷配分を最適化する必要がある。日立製作所は,この間 題を動的計画法によって定式化し,輸送流量に応じて,各ステーションの最適運転

点(運転すべきユニット台数,吸込圧,吐出し庄,軸回転数など)を求める手法を開

発した。 この最適化手法は,ガスパイプライン全系のオンライン運転制御を目的とするだ けでなく,ガスパイプラインの当初計画・設計時での各種代替案の評価や輸送i充量

の年次増加に対する経済的な設備増強案(インベラ交換,ユニット増設,ガス圧送

ステーション増設)などの検討にも用いられている。

口 緒 言 ガスパイプラインシステムの開発に際し,安全性を十分に 考慮すべきことはもちろんであるが,これとともに,経済性 や輸送能力の確保もまた重要な課題である。特に,運転に要 する圧縮動力は,1システムで数百メガワットに達するもの もあり,これをどのようにして最小化するかがガスパイプラ インの経済性を左右する問題として重要視されている1)・2)。ま

た,ガス圧送ステーション(以 ̄F,ステーションと略す)機器

の定期点検あるいは故障停止時にも,一定の輸送能力が維持 されねばならない3)。 これらの課苺は,個々のステーション単位の問題ではなく, ガスパイプライン全系に関するシステム最適化を図る必要が ある4)。更に,ステーション機器の選定や予備機計画,運用の 最適化などの総合的な計画評価技法が要求される。筆者らは このようなシステム代替案の作成・評価手順の体系化を目的 として,ガスパイプラインの計画評価システム"PASLINE''

(Planning

and AppraisalSystem for Gas

Pipelines)

の開発を進めている。図1に"PASLINE''の概要を示すが, 主な機能は次に述べる3点である。

(1)タービンと圧縮機の機櫨選定及び予備機計画に関する各

種の代替案を作成する機能。

(2)各代替案の経済性(設備費,動力費,保守費)と輸送能力

を評価する機能。この評価計算は,輸送ラ充量の変動あるいは タービンや圧縮機の故障停止などの種々の状況設定のもとで 行なわれる。

(3)ステーション機器の構成や輸送流量に応じた最適(動力

コスト最小)な運用法を決定する機能。

これらの機能に必要なデータは,ステーションの間隔とサイ ト条件,管径,輸送流量,最低吸込圧,最高吐出し圧,その 他運用上の制約事項であり,計画担当者が入力する。 以上述べたように,`lpASLINEl'はステーション機器を中 心とした設備計画,及び運用計画のためのシミュレーション

田畑邦晃*

油井兄朝**

久保田道雄***

ステーション数と間隔 サイト条件 管径,ガス輸送量 ステーションの最大所要動力と庄縄比を計算 ステーション機器構成の代替案作成 運用計画 経済性評価 輸送能力評価 分 析 結 果 の

昌L虻吐

距離 7セムαfα 血托fα点i lもf Sんgダe∼omo 肋ム0∼α 〟∼cん`0 ガスタービン, 庄相磯の特性 データ, コストデータ 図l ガスパイプライン計画評価システム"PASLINE” l`pASJINE■'は,ガスタービンなどのステーション機器構成の代替案を作成する とともに.経済性と輸送能力を評価できる。また,輸送流暮に応じた最適運用 計画も決定できる。 書 日立製作所システム開発研究所 ** 日立製作所システム事業部 *** 日立製作所電力事業本部 29

(2)

576 日立評論 VO+.60 No.8(1978-8)

システムであるが,本稿では,上記(3)の運用計画面に重点を

おき,概要を説明する。 6

ガスパイプラインの最適運用計画

2.1 運用最適化問題 本稿で考察する問題は,所定量のガスを最小の動力コスト で輸送するための経済連用法を決定する問題である。具体的 には,運転すべきユニット台数,吸込庄,吐出し圧, ̄軸回転 数などのこ殴適値を,各ステーションについて求める。ただし, ガスの流れは定常i克として扱う。 ガスパイプラインの圧力損失式5)から明らかなように,各ス テーションの吐出し圧が許容最高庄を維持するように運転す れば,管路抵抗による圧力低下は貴小になる。しかし,反面, 設計点以下のガス流量によっては,タービンや圧縮機が部分 負荷になり,低効率で運転する可能性がある。したがって, 動力コストを最小にするためには,管路抵抗による損失と, タービン及び圧縮機の動力壬員失をバランスさせる必要がある。 この問題は,タービンと圧縮機の部分負荷特性を考慮し,各 ステーションに対する動力負荷の配分を最適化することにほ かならない。今までにも,動力コストを最小とする運用の手 法は検討されているが,ガスパイプライン全系を対象とし, タービンと圧縮機の部分負荷特性まで考慮している例は少ない。 2.2 動的計画法による最適化 最適運用計画は,図2に示す手順により決定する。各ステ ーションの所要動力は,輸送流量を既知とすれば,吸込庄と 圧縮比及びユニットの運転台敷から定まる。この動力計算で は,タービンと圧縮機の部分\負荷時の効率特性が考慮されて 入力データ .⊥_J ⊥1 竪 臼1 -R 扁ま 流量 軸回転数 いる。また,ガスパイプラインの圧力手員失式に示されるよう に,任意のステーションのロ及込圧は,その隣接する上流ステ ーションのq及込圧と圧縮比によって定まる。これらの関係に 注目すれば,隣接ステーション間の一最適運転条件に関して, 次の漸化式を得る6〉。

ん(βノ)=min†gJ(gj,γJ,mノ)+カ+1(βル.))

5山1=んJ(ざJ,γJ)

ここに,ステーションノ(ノ=1,…〃)の吸込庄をざJ,圧縮比 をγJ,運転台数をmJで表わす。関数gJはステーションノの動 力コストを示し,んJは圧力損失式に対応する。また関数力は, 最適運用計画のもとで,ノ以降のすべてのステーションにつ いての動力コストの総和を表わす。この最適解は,動的計画 法によって容易に得られる6)。 なお,上記の最適化計算では,タービン及び圧縮機の軸回 転数の上下限や最大出力,最低吸込圧,一疑高吐出し庄などの 制約が考▲慮されており,これらの制約条件によって,変数

(γノ)と(椚J)の実行可能域が設定されている。

2.3 運用計画プログラムの!特長 上記の最適化手法をプログラム化しているが,これは次に 述べるような特長をもっている。

(1)圧縮機及びタービンの部分負荷特性を考慮

圧縮機及びタービンの各部分負荷特性が考慮されているの で,最適負荷配分を精度よく計算できる。また,タービンの 特性は,外気温度やガス温度によって変化するが,このよう なサイト条件や季節による影響も考慮されている。

(2)モデルの汎用性

モデルが汎用化されており,各種の幹線ガスパイプライン ニイ 流 管 _巨∃. 径 ′ステーション間隔 / 最高吐出し庄 最低吸込庄 ソト設置台数 タービン・圧相磯 横種 吸 込 圧 管路抵抗モテル 圧 縮 比 次ステーションの吸込庄 吸 込 庄 圧縮特性 効率特性 出力特性 効率特性 ■圧縮機モ デ ル 軸回転数 ガスタービンモデル 圧 縮 比 運転台数 所要動力 '最適野の探索 ′(動的計画法) 図2 最適運用計画の決定手順 ガスタービンと圧縮機の部分負荷特性を考慮し,動力コストが最小の 運用計画(各ステーションの運転台数.吸込庄,吐出し凪 軸回転数など)を決定する。 30 画 計 用 運 遠 景 数数圧庄 台転 L 込 転回 出 道軸吸吐

(3)

ガスパイプラインの最適運用計画 577 の分析に適用できる。例えば,圧縮機の接続方式は,直・並 列のいずれも可能であり,また,任意の機種のタービンや圧 縮機が扱える。

(3)パラメータ修正の容易さ

タービン機種,ユニットの設置台数,管径,ステーション 間隔などのパラメータの修正が容易であり,これらの設備条 件の変更による感度解析が迅速に行なえる。特に,ユニット 故障時の運用法の検討,タービン機種別の動力コストの評価,

輸送妻充量の年次増加に対する経済的な設備増強案(インベラ

交換,ユニット増設,ステーション増設)の選択などに有効 である。 8

運用計画の最適化例

3.1 ガスパイプラインのモデル 以上に述べた運用計画70ログラムを用いて,図3に示すよ うなガスパイプラインの運用法を考察する。ただし,ステー ションのタービンは出力33,550HPの日立-GE二軸形ガスタ

ービン(MS5332形)とし,圧縮機はガスパイプライン専用の

日立-NP形2段遠心式圧縮機(PCLlOO2形)7)を採用するも

のとする。同図の条件では,ステーション当たりの最大所要 動力が85,000HPとなるので,各ステーションには3ユニッ

ト(予備機を含まず)ずつ設置されている。これらのユニット

は並列に接続されている。 3.2 最適化例 最大設計享定量の70%相当のガスを輸送する場合,動力コス トが最小の最適運用法は図4,5に示すようになる。ここで 図4は,各ステーションの吸込圧と吐出し圧,及び運転すべ きユニット台数を,図5は,圧縮機とタービンの運転点を示 す。本稿の運用計画プログラムは,圧縮機とタ叩ビンの部分 負荷特性を考慮する点に特長があるが,ニのようなモデルの 精密化による効果を検討するために,図4,5には,タービ

ンの部分負荷特性を無視(圧縮機の部分負荷特性は考慮)した

モテリレの計算結果をも示している。 タービンの部分負荷特性を無視した単純なモデルでは,吐

出し庄を■_L限値(100kg/cm2)に維持するように,No.12以外の

仝ステーションを運転する。このような運用法は,管路抵抗 による圧力損失が最小になるという点では有利であるが,反 面,圧縮機とタービンの運転効率が低下する場合がある。こ れに対して最適運用法では,No.3,6,9,12の各ステーションを バイパスすることによって,運転効率を高めている。その結 果,前述の単純な運用法に比べて,ユニットの運転台数は22 台から16台にi成少し,動力消費量は約7%(6×107kcal/h) が削さ成される。これは,1,000kcal当たりの動力コストを3円 と仮定すれば,年間14億円以上の節約になる。 この計算例に示すように,ユニットの運転台数と運転点

(吸込圧,吐出し庄,軸回転数など)をステーション間で調整

することによって,動力コストの削減を図ってし-るが,特に, ステーションバイパスの有無により,動力コストが左右され る。そこで,次に述べる三つの運周パターンA,B,Cについ て,動力消費量を比較して示したものが図6である。ここで, パターンAとは,全ステーションを運転する方法であり,パ ターンBは1ステーション間隔,パターンCは2ステーショ ン間隔にそれぞれ運転する方法である。どのパターンも,運

転すべきステーションの吐出し庄は,上限値(100kg/cm2)を

維持する。これらの三つのパターンを比較すれば,管路抵抗 による圧力‡昌夫はAが最′トで,Bがこれに次ぐ。しかし,輸

送流量が72%(最大設計流量に対する比率)未満の場合,パタ

ステーション No.1 No.2 供給端 声===⇒ 輸送方向 No-11 No.12 需要端 ステーション数 12 ステーション間隔 288km 管 径 5(∋in 最高吐出 L庄 100kg/om2 寮低 吸 込 庄 50kg/cm2 供 給 端 庄 60kg/cm2(No.1ステーションの吸込庄) 需 要 端 庄 60kg/cm2 最大輸送流量 1,084Nmりs 図3 ガスパイプラインのモデル 分析の対象とするガスパイプライ ンは,lZのステーションで構成される。ガスタービンは,MS5332形であり,圧 縮横はガスパイプライン専用のPCし1002形と呼ばれるターボ形である。 -ンAは低負荷運転のため,パターンBよりも多くの動力を 消費することが分かる。動ブJコストが最′トとなる運用パター ンは図6に示すように変化するが,本稿の運用計画プログラ ムでは、輸送流量に応じて最適パターンを選択することがで きる。 タービン,圧縮機の運転台数

亘二亡亘工コニ互工互⊂工互工互二[二工亘工互亡二二]

nU n) 0 ∩〕 0 0 0 9 8 7 6 5 (N∈0\豊)世+ヨガ心増税密 0 0 ∩) 0 0 0 <U 9 8 「/ (】U 5 (M∈0\豊)也+召甘心出瑠意 1 2 3 4 5 6 7 8 9 101112 ステーションNo. (a)

タービン,圧縮機の運転台数 m 圧 .L 出 一吐

-\嗣

一 ●

● 4 3 2 5 (5 7 8 9 101112 ステーションNo. (b) 図4 ステーションの吸込庄と吐出L庄及びユニットの運転台数 (a)動力コストを最小にする最適運用法,(b)タービンの部分負荷特性を無視L た運用法を示す。 31

(4)

578 日立評論 VOL.60 No.8(1978-8) 0 〈U 2 0 0 0 8 6 (訳)+トく 0 4 20 100 90 80 ざミ 70 ギミ 蘇 裔 60 50 40 ′/ %川 0 数 川

棚\

0 9 〇 八uU 0 丘U 0 7 注 / / / 2▲/ / / / △/ 3∼11 / / / / / / / ーーー 等効率曲線 ● 最適運用法 △ タービンの部分負荷特 性を無視Lた運用法 10 / / / / L / / / 40 注 60 80 100 吸込流量(%) (a) 一山 等ヒートレート曲線 ● 最適運用法 △ タービンの部分負荷特性を 無視した運用法 0 4 0 2 \ \ \ \\\1▲ \ \ ●\、∼一 \\ 4・7・10 \ \ \  ̄、 ▲・・▲-・__,◆▲-一-I,._...__一〆一 ̄/ / / / / / \・、 ⊥._.._⊥ニユ=.i.=.:こ+..._..._._+ 70 80 90 100 50 60 軸回転数(%) (b) 図5 圧縮機とタービンの運転点 動力コストを最小にする最適運用 法では,ステーション・バイパスによって.圧縮機とタービンの運転効率を高 めている(●印横の数字は,ステーションNo.を表わす)。 田

吉 本稿では,所定量のガスを最小の動力コストで輸送するた

めの経済運用法について考慮した。動力コストを最小にする

には,ガスパイプライン金糸にわたる運用問題として,各ス テーション間の負荷配分を最適イヒする必要がある。日立製作 所は,この間題を動的計画法によって定式化し,輸送i充量に

応じて各ステーションの最適運転点(運転すべきユニット台

数,【吸込庄,吐出し庄,軸回転数など)を求める手法を開発

した。特に,従来手法との相違点は,圧縮機及びタービンの 各部分負荷特性を考慮したことにあり,これによって,最適 負荷配分を精度よく計算することができた。 32 0 0 0 0 4 3 2 1 (三雲さ○こ甫裔 0 7 ハU 瓜U 0 ハリ 5 4

′碓井ソ△

㌢ダ

溜り/

60 70 輸送流量.(%) 図6 運用パターン別の動力消費量の比較 80 90 A,B,Cの三つの運用パ ターンについて,動力消費量を比重交Lたものを示す。動的計画法による最適化 プログラムは,輸送流量に応じて動力消費量が最小の運用パターンを選択する ことができる。 この最適化手法は,ガスパイプライン全系のオンライン運 転制御を目的とするだけでなく,ガスパイプラインの当初計 画・設計時における各種代替案の評価や輸送流量の年次増加

に対する経済的な設備増強案(インベラ交換,ユニット増設,

ステーション増設)などの検討にも用いられている。 今回のモデルは,幹線形ガスパイプラインを対象にしてい るが,今後はギャザリング・ラインへも拡張する予定である。 更に,輸送の信束副生確保の面から,輸送能力評価を予備機計 画の検討も含めて,ガスパイプライン全系に関する計画評価 システムの開発を進めたい。 参考文献

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2)G.E.Grabam:Optimizing Gas-System Design,Oiland GasJournal,170(NovembeI・13,1972)

3)p.C.Heilmann,N,L.Bryan:How To Use Probability

4)

5)

6)

7)

TheoryIn Pipeline Design,

71¶74(1978-3)

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S.T.Robinson:Powering of

Pipeline and GasJollrnal,

ンシステムの計画と制御,日 (昭52-11)

NaturalGas Pipelines,

Journalof Engineering for Power,181(July1972)

田畑ほか2名:ガスパイプラインにおける最適運用計画プロ グラム,電気学会全国大会(昭52-7)

久保凹,山本:天然ガスパイプライン・ブースタ・ステーシ

参照

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