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Taro-放射能検出器の製作.jtdc

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Academic year: 2021

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CsI(Tl)シンチレータを使った放射能検出器の製作

Ⅰ マルチチャンネルアナライザー エネルギー教育を実践していた頃、「ガンマースカウト」という商品名の簡易放射線検 知器を授業で利用したことがあった。個人で購入するには高すぎるので、その頃から自 作できないか色々試行錯誤してきた。はじめに手がけたのは空気ガイガーカウンターで あった。高圧発生回路の自作に手こずりながら何とか完成したが、すぐに動かなくなっ て諦めてしまった。PIN ダイオードで放射線を測定出来ることを知っていたが、部品の 入手先が分からず、震災後浜松フォトニクスに連絡したが、納期は未定でしかも高価で あったので先に進まなかった。 そうこうしているうちに、秋月電子でフォトダイオード(S6775)が 500 円で購入出来 るようになった。フォトダイオードでもγ線を検出できるが、シンチレーターが手に入 ればより性能が上がる。そう思ってネットで探しているうち、シンチレーターも秋月で 購入出来るようになった。 はじめは PIC を使ってマルチチャンネルアナライザー(MCA)を作ろうと計画してい たが、パソコンのサウンドカードを使った波高分析ソフト PRA.EXE があることもわか り、結局チャージアンプを作れば MCA が自作できることがわかった。 参考資料 1. MCA を製作するにあたって参考になったサイト、大変詳しく説明されている。 http://www11.plala.or.jp/jk1hrb/

2.エネルギースペクトルを測定できるフリーソフト PRA.EXE はシドニー大学の Marek Dolleiser 氏が公 開しているフリーウェア。以下のサイトからダウンロード出来る。 http://sydney.edu.au/science/physics/~marek/pra/index.html Ⅱ チャージアンプの設計 普通と逆だが、はじめにディスクリート回路で自作した。FET 入力のオーディオアン プを流用した。IC よりローノイズのはずだが、電源電圧を高めに設計したことで電源装 置が必要になった。しかし電源装置からのハムを拾い,無視できない大きさなので結局 今後の課題として,電池動作の OP アンプを使ったチャージアンプを自作した。 1M S6775 OPA2134A 100p 50M 6pF 10k 10k 3V 3V 18V 10μ 330 1S1588 バイアス電源 006P×2 0.1μ C1 R C 2

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フォトダイオードにバイアス電圧を与えるために 006P を 2 個直列で利用したが,電 流は流れないのでスイッチは省略してある。単一電源で設計するのが普通だが,どうせ 電池を4本使うので,2 本ずつ直列に使い、グランド設定用の分圧回路を省略した。 問題は利用する OP アンプである。参考にしたサイトでは C-MOS タイプの LMC662 が使われていた。しかし,C-MOS はノイズが多いので,オーディオ用 FET 入力 OP アン プである OPA2134 を用意し,どの程度ノイズレベルが違うか確認した。 OP アンプのノイズの確認

PRA の setting で Threshold を 0 に 設 定 し , チ ャ ー ジ ア ン プ の PulseHeight Histogram をそれぞれのオペアンプで測定した。時々自然放射線をカウントしてしま うが,OP アンプのノイズ電圧の波高分布を測定した。同時に CountingRate Histogram を 1 秒単位で表示させてノイズを分析した。 グラフを見てわかるように OPA2134 がローノイズで,ノイズ振幅からγ線のエネ ルギー換算で 30keV 程度小さい。またカウンティングレート分布を見ると,300Hz アンプノイズ振幅分布 100 1000 10000 100000 1000000 0 50 100 150 200 250 300 350 400 450 500 γ線エネルギー換算値 keV 頻 度 OPA2134 LMC662 カウンティングレート分布 0 10 20 30 40 50 60 70 800 900 1000 1100 1200 1300 1400 周波数 Hz 頻 度 OPA2134 LMC662

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程度小さいことが読み取れる。このことはサウンドカードを利用して自作アンプの ひずみ率を測定するためにインストールしたソフト WaveSpectra(高速リアルタイ ム スペクトラムアナライザ)のノイズスペクトルを見ても,明らかに LMC662 の 方が高い周波数帯でノイズが多いことと一致した。 以上のことより OP アンプは OPA2134 を利用することにした。 センサーの製作 秋月電子通商で購入した CsI(Tl)固体シンチレ ータ(10x10x10mm)に Si PIN フォトダイオード S6775 をシリコングリスを間に塗って貼り付け, 水道用水漏れシールテープ(カンセキで購入)を 巻いて固定した。シンチレータは潮解性がある ため,薄ゴム手袋をして作業をした。なおシリ コングリスは, オリンパス シリコン O リング用グリス PSOLG-2 を利用した。さ らに遮光のため黒いビニールテープを巻いた。γ線計測用なので全く問題はない。(写 真は CsI(Tl)シンチレータ 5.5x5.5x5.5mm で製作したセンサ ) チャージアンプ 写真がアルミケースに入れたチャージアンプ である。カバーをねじ止めしないとノイズを拾 ってしまう。回路図の C の値で性能が変化する ので,カットアンドトライで決定した。C を小さ くすると得られるパルス信号の波高は高くなる が,ノイズレベルも上がってしまう。結局6 PF で落ち着いた。 測定風景 図は測定時のパソコン画面をキャプチャーしたものである。WaveSpectra でチャ ージアンプの信号をモニターしながら計測している。WS のスペクトルを観察する と,外部からのノイズの混入などが一目で分かり大変重宝する。またパルスの密度 から放射線源の強さが直感的に把握でき,教育的利用価値が高い。

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Ⅲ γ線スペクトルの測定 自作した装置で測定したγ線スペクトルを次に示す。図の OPA2134,LMC662 はこの OP アンプ IC でアンプのノイズを測定する目的でバックグランドを測定したスペクトル, マントルとは線源にランタン用マントルを使った場合,カリウムとは商品名「やさしお」 (低ナトリウム塩)を線源に使ったときのスペクトルである。OPA2134,LMC662 で 200keV 近傍にあるピークはアンプのノイズによるものである。しかし PRA には,波形によるデ ジタルフィルターがあり,ある程度ノイズによる影響をキャンセルできる。他のスペク トルは AnalysePulseShape にチェックマークを入れて計測してある。 CsI(Tl) 1cm3 シンチレーター 1 10 100 1000 10000 100000 1000000 0 500 1000 1500 2000 2500 3000 3500 γ線エネルギー カ ウ ン ト OPA2134 LMC662 マントル カリウム バックグランド 福島県土壌のγ線スペクトル 1 10 100 1000 10000 100000 0 500 1000 1500 2000 2500 3000 3500 γ線エネルギー カ ウ ン ト 汚染土 0.25μキューリー 137Cs 基準線源 ランタン用マントル CsI(Tl)1cm3シンチレータ +フォトダイオード 測定時間 1時間 208Tl 2.61MeV 208 Tl 2.10MeV 208 Tl 1.59MeV 228Ac 911keV 208 Tl 583keV 134Cs 796KeV 137Cs 662KeV 真岡での バックグランド チャージアンプのノイズ

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福島県土壌のγ線スペクトルは,福島県で採取した土壌のサンプルをお借りして計測 した。セシウム 137 の 662keV,セシウム 134 の 796keV のγ線が測定されている。エネ ルギーの校正に 0.25 μ Ci(キューリー,1Ci=3.7 × 10 10 decay/s)のセシウム 137 の線源 をお借りして行い,次にランタン用マントルからでるトリウム系列のγ線で校正を行っ た。 なお,0.25 μ Ci の線源を自作装置で測定したときの総カウント数は 175,476 であり, 土壌の総カウント 390,981 であるので単純に比較すると土壌は 0.56 μ Ci,つまりおおよ そ 2 万ベクレルに相当することになる。 Ⅳ 小型シンチレータを使った装置 CsI(Tl)シンチレータ 5.5x5.5x5.5mm を利用して 、性能は落ちると予想したが小型の測定器 を作った。電池寿命を延ばすために、OP アンプは LMC662 をあえて利用した。 このスペクトルが大きさの違うシンチレーターの違いを示している。総カウント数の 違いを比較すると大型(10x10x10mm)と小型(5.5x5.5x5.5mm)のシンチレータでは、 小型は大型の 0.28 倍の感度であった。スペクトルを見てもアンプノイズの影響がないエ ネルギーで、カウント数がほぼ 3 分の 1 になっていることがわかる。 Ⅴ チャージアンプの調整 小型シンチレータ用のチャージアンプを製作し動作確認をしたところ、感度が悪く、 サウンドカードのゲインをかなり上昇させる必要があった。原因は回路図のC2に間違 って 1000pF を取り付けたためであった。100pF に交換したあとは予想した性能が出た。 参考にしたサイトや、トランジスタ技術 2012 年 2 月号の記事などに、帰還抵抗にコンデ シンチレータの体積とカウンティングレートの違い 1 10 100 1000 10000 0 500 1000 1500 2000 2500 3000 3500 γ線エネルギー カ ウ ン ト 10×10×10mm CsI(Tl) マントル バックグランド 5.5×5.5×5.5mm CsI(Tl) マントル バックグランド

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ンサを抱かせて高域を落とした方が、アンプノイズには有利であると判断できる記述が あり、深く考えずにつけたコンデンサーである。よくよく考えてみると、γ線を計測し たときのパルス波は、高域までスペクトルは伸びている。しかし対してアンプノイズは 1/f ノイズが多い。この結果、高域を落とすと、信号がなまりパルスの振幅は落ちるが、ノ イズ振幅はその割には落ちない。あえて高域を落とすと S/N 比の悪化につながることが 予想できる。この点を確かめるためにC2の値を変えてマントルを測定した。 次のスペクトルがそのときの結果である。C2をゼロにすると、信号の振幅が増えるの で PRA の PulseThreshold の値を大きく再調整の必要がある。これはアンプのノイズが増 加したことを意味する。しかし、γ線の信号はより大きくなっているので、スペクトル を見ると、今まで明確には現れなかった 212 Pb の 239keV のピークがはっきり観測できる ようになった。このことから、2 段目のアンプの高域特性を下げる必要はない事がわか る。 続く… チャージアンプ 2段目C=0pF,100pF比較 1 10 100 1000 10000 100000 0 500 1000 1500 2000 2500 3000 3500 γ線エネルギー カ ウ ン ト C=0pF マントル C=0pF バックグランド C=100P マントル 212Pb 239keV

参照

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