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古河電工時報 第134号

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Academic year: 2021

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1. はじめに 近年,光通信に用いられる光部品には低消費電力化が求めら れている。波長の精密制御のために温調部品を用いる信号光源 モジュールにおいては,レーザチップの使用温度範囲を従来に 比べて上昇させるセミクールド動作は,低消費電力のために有 用である。この場合レーザチップは高温で優れた特性を示すこ とが要求されるため,高温動作に有利なAlGaInAs系材料を信 号光源の活性層に用いることは低消費電力化において有望な技 術となる。一方,PICは,次世代の光通信システムにおいて, 小型かつ低消費電力を実現するためのキーテクノロジーであ る。これまでに,単体素子においては低消費電力かつ高速変調 光源として,AlGaInAs/InP 系の BH レーザが報告されてい る1) しかし,集積素子に関してはGaInAsP/InP系材料の報告は 多くあるものの,AlGaInAs/InP 系材料のBHレーザを用いた 光集積素子の報告例はない。これは,信頼性に影響を及ぼすと 考えられる再成長埋め込み界面のコントロールが困難なためで ある。 今回我々は,高機能光集積素子の実現に向け,単体の1550 nm帯 AlGaInAs量子井戸 BH レーザの開発を行い,AlGaInAs/ InP系材料で初めて12チャネルDFBレーザアレイと半導体光 増幅器(SOA:Semiconductor Optical Amplifier)を集積した 1550 nm帯広帯域波長可変レーザを作製したので報告する。 2. 1550 nm 帯 AlGaInAs/InP BH レーザ 2.1 素子構造及び静特性 AlGaInAs系材料はGaInAsP系材料に比較して,伝導帯のバ ンドオフセットが大きいため,電子のオーバーフローが抑制で きることから,高温度領域での特性向上が期待される。そこで, 光集積素子を作製する前に,まず単体の1550 nm帯 AlGaInAs /InP 量子井戸 BHレーザの作製を行い,その特性を評価し効 果の確認を行った。今回作製した素子の構造は,活性層が AlGaInAs圧縮歪み量子井戸層で構成され,メサストライプ(活 性層含む)をp型とn型のInP層で埋め込んだ,通常のBH構造 である。結晶成長は全てMOCVD (Metal Organic Chemical Vapor Deposition)で行った。また,評価に用いた素子は,共 振器長が300 µmで,両端面は劈開のファブリペロー(FP)レー ザである。 今回作製した素子の電流対光出力(L-I)特性を図1に示す。 動作温度は,それぞれ25, 45, 65, 85℃である。この結果,しき い値電流は,25℃で7.9 mA,85℃で20 mAが得られ,25℃で のしきい値電流密度は,約1.5 kA/cm2となり,同一設計(光閉

高出力AlGaInAs/InP広帯域波長可変レーザの開発

小 林 剛

*

4 Go Kobayashi

木 本 竜 也

*

3 Tatsuya Kimoto

鍛 治 栄 作

*

2 Eisaku Kaji

小 早 川 将 子

*

1 Masako Kobayakawa

向 原 智 一

*

3 Toshikazu Mukaihara

横 内 則 之

*

1 Noriyuki Yokouchi

粕 川 秋 彦

*

1 Akihiko Kasukawa

岩 井 則 広

*

1 Norihiro Iwai

若 葉 昌 布

*

1 Masaki Wakaba

清 田 和 明

*

3 Kazuaki Kiyota

黒 部 立 郎

*

1 Tatsuro Kurobe

High Power AlGaInAs/InP Widely Wavelength Tunable Laser

*1 研究開発本部 コア技術融合研究所 レーザ・オプティクスチーム *2 研究開発本部 先端技術研究所 解析技術センター *3 研究開発本部 情報通信・エネルギー研究所 フォトニックデバイス 開発部 *4 ファイテル製品事業部門 半導体デバイス部 近年,光通信に用いられる光部品には低消費電力化が求められている。波長の精密制御のために温 調部品を用いる信号光源モジュールにおいては,レーザチップの使用温度範囲を従来に比べて上昇さ せるセミクールド動作は,低消費電力のために有用である。この場合レーザチップは高温で優れた特 性を示すことが要求されるため,高温動作に有利なAlGaInAs系材料を信号光源の活性層に用いること は低消費電力化において有望な技術である。一方,光集積素子(PIC : Photonic Integrated Circuit)は, 次世代の光通信システムにおいて,小型かつ低消費電力を実現するためのキーテクノロジーである。 今回我々は,高機能PICの実現に向け,1550 nm帯 AlGaInAs埋込ヘテロ型(BH: Burred Hetero)レー ザの開発を行い,更にAlGaInAs/InP系では初めてとなる,12チャネルDFB(Distributed feedback)レー ザアレイと半導体光増幅器(SOA)を集積した1550 nm帯波長可変レーザを作製したので報告する。 〈概要〉

(2)

じ込め係数など)のGaInAsP/InP系BHレーザと同等の値が得 られた。これはすなわち,良好な再成長界面が得られているも のと考えられる。 また,しきい値電流及びスロープ効率の温度依存性を図2, 図 3 にそれぞれ示す。比較のために量子井戸数や光閉じ込め係 数などをほぼ同じ設計で作製した,GaInAsP/InP系BHレーザ の 結 果 も 合 わ せ て 示 す。 こ の 結 果, 特 性 温 度(T0)は, AlGaInAs系BHレーザで63 K,GaInAsP系BHレーザで50 K となり,AlGaInAs系材料の方が良好な結果が得られた。また, スロープ効率の悪化も25℃から85℃の温度範囲で,AlGaInAs 系BHレーザで-17%,GaInAsP系BHレーザで-31%となり, AlGaInAs系材料の方が良好な結果であった。これらの結果か ら,AlGaInAs系材料を用いることによる温度特性の改善を確 認することができた。 2.2 信頼性試験結果 一般的に,Alを含む材料は,空気中の酸素や水分などによ り容易に酸化されやすく,再成長界面のコントロールが難しい とされている。今回のようなBHレーザの場合,AlGaInAs系 材料からなる活性層をエッチングによりメサ形状に加工してい るため,AlGaInAs活性層の側面が大気中に暴露されることで, その後の埋め込み成長時に発生する再成長界面の不具合による 信頼性への影響が懸念される。 今回我々は,メサ埋め込み成長前のメサトリートメントを最 適化することで,再成長界面のコントロールを図った。図4に, 今回作製したAlGaInAs/InP系BHレーザのAPC(Auto Power Control mode)試験の結果を示す。試験に用いた素子は,共振 器長が300 µmで,両端面は劈開のファブリペロー(FP)レー ザである。試験の条件は,環境温度85℃で,光出力20 mWで ある。 この結果,10,000時間経過後も駆動電流の顕著な変化はみら れていない。駆動電流の上昇率はおよそ5%以下で,GaInAsP/ InP系BHレーザと同等の結果が得られている。また図5に, 0 5 10 15 0 20 40 60 80 100 P ow er (m W) Current (mA) L=300 µm As-cleaved CW 85˚C 65˚C 45˚C 25˚C 図 1 1550 nm帯AlGaInAs/InP BHレーザのL-I特性 L-I characteristics of the 1550 nm AlGaInAs/InP BH laser. 0.0 0.1 0.2 0.3 0 20 40 60 80 100 S lo p e E ffi ci en cy (W/ A ) ■ AlGaInAs; 17% down ● GaInAsP ; 31% down Temperature (℃) L=300 µm As-cleaved CW 図 3 スロープ効率の温度依存性

Temperature dependence of the slope efficiency.

1 10 100 0 20 40 60 80 100 Th re sh old Cu rr en t ( m A) L=300 µm As-cleaved CW Temperature (℃) ■ AlGaInAs ; T0=63 K ● GaInAsP ; T0=50 K 図 2 しきい値電流の温度依存性

Temperature dependence of the threshold current.

-50.0% -40.0% -30.0% -20.0% -10.0% 0.0% 10.0% 20.0% 30.0% 40.0% 50.0% 0 2000 4000 6000 8000 10000 C ha ng e of Oper at ion C ur re nt (% )

Aging Time (hours) APC 85˚C, 20 mW N=20 L=300 µm As-cleaved 図 4 信頼性試験結果

(3)

2,500時 間 経 過 後 の サ ン プ ル を 平 面TEM (Transmission Electron Microscope)にて観察を行った結果を示す。今回観察 を行った,メサストライプ方向約100 µmの範囲において,活 性層内部やメサ側面などに転位は観察されなかった。すなわち, 当初懸念された再成長界面の信頼性への影響を抑えることがで きたものと考えている。 3. 1550 nm 帯 AlGaInAs/InP BH 波長可変レーザ 3.1 低消費電力化に向けた AlGaInAs 系材料を 用いるメリット 当社では,GaInAsP/InP系材料を用いた1550 nm帯の広帯 域波長可変レーザモジュールを商品化している。キーパーツで ある波長可変光源は,12チャンネルのDFBレーザアレイ,曲 げ導波路,多モード光干渉(MMI:Multi-Mode Interference) カプラ,及び半導体光増幅器(SOA)で構成され,熱による波 長可変で1チャンネルあたり約4 nm,チャネルを切り替える ことでトータル40 nm以上の波長可変範囲を実現している2) この場合,波長可変に必要な温度の変化範囲は約40℃となる。 このように熱により波長を可変させる構成においては,温調 機(TEC: Thermoelectric Cooler)により,DFBレーザの温度 をコントロールしており,レーザモジュールとしての消費電力 は,チップの消費電力に加え,TECの消費電力が加味される ことになる。図6に,レーザモジュールのトータルの消費電力 と環境温度及びレーザチップ温度の関係イメージを示す。外部 環境温度が低温の場合には,TECによりチップ温度を上昇さ せるため,チップの設定動作温度の上昇とともにトータルの消 費電力は増加する。一方,外部環境温度が高温の場合には, TECによりチップ温度を低下させるためチップの設定動作温 度の低下とともにトータルの消費電力が増加する。このように 外部環境温度によりモジュールトータルの消費電力はトレード オフの関係となるが,実際はチップの自己発熱による温度上昇 の影響で,外部環境温度が高くチップの設定動作温度が低い方 がモジュールトータルの消費電力は大きくなる。当社の現行製 品の例では,チップの設定動作温度は15 ~ 55℃の範囲で制御 している。これは,GaInAsP系材料ではチップの動作温度の 上昇にともないレーザ特性の劣化が大きいためである。すなわ ち,ここで高温特性に優れるAlGaInAs系材料を用い,チップ の設定動作範囲を30 ~ 70℃と高温側に設計することで,モ ジュールトータルの消費電力を低減することが可能である。 3.2 1550 nm 帯 AlGaInAs/InP BH 波長可変レーザの構造及 び特性 AlGaInAs/InP系BHレーザの光集積素子への応用として,波 長可変レーザの作製を行った。今回作製した波長可変レーザ素 子の写真を図7に示す。素子構造は,AlGaInAs-MQW(Multiple Quantum Well) BHからなる12チャンネルDFBレーザアレイ, 曲り導波路,多モード光干渉(MMI)カプラ,およびAlGaInAs-MQW BHからなるSOAで構成されている3),4)。 素子サイズは500 µm×3600 µmであり,DFBレーザの長さ は1200 µm,SOAの長さは1400 µmである。端面は曲げ導波 路と無反射コーティングを施して,端面からの反射を抑制して いる。また,DFBレーザそれぞれのグレーティングピッチを 調整し,温度制御により36 nm以上の広波長域をカバーできる ように設計した。 AlGaInAs 量子井戸活性層 図 5 平面TEM写真 Plan view TEM image.

従来使用温度範囲 15~55˚C レーザチップの動作温度 0 10 20 30 40 50 60 70 80 モ ジ ュ ー ル消費電力 = チッ プ電力 + 温調電力 外部環境温度高温 (75˚C) 消費電力最適範囲 30~70℃ 外部環境温度低温 (ー5˚C) 図 6 レーザモジュールの消費電力のイメージ Power consumption of the laser module.

曲げ導波路 MMIカプラ 半導体光増幅器

12チャネルDFBレーザアレイ

図 7 1550 nm帯AlGaInAs/InP BH波長可変レーザ素子の写真

(4)

作製した波長可変レーザは,DFB レーザを定電流で駆動し, SOA 電流で光出力を制御している。波長可変のための温度制 御は低消費電力化を想定して30 ~ 70℃とした。波長可変レー ザの電流対光出力特性を図8に示す。ここでは,各温度に対し て12 チャネルのDFB レーザの代表的な3素子(短波長,中波 長および長波長)の特性を示している。集積素子中の全ての DFB レーザにおいて,30℃で90 mW以上,70℃で50 mW以 上の光出力が得られた5),6)。 また,図9に,SOA動作電流の温度依存性の結果を示す。 DFB動作電流は200 mA一定で,光出力を40 mW一定となる ようにSOA動作電流を制御している。比較のためにGaInAsP 系波長可変レーザの結果も合わせて示す。この結果,SOA動 作電流は,20 ~ 30℃の低温域では両者に差はみられないもの の,動作温度30 ~ 70℃の範囲においてAlGaInAs系材料の方 が低減できていることが確認できた。特に動作温度70℃にお いては14%ものSOA動作電流低減が確認できた。 図 10 に,DFB電流200 mA,動作温度70℃における出力飽 和特性を示す。比較のために,GaInAsP系波長可変レーザの 結果も合わせて示す。この結果,GaInAsP系波長可変レーザ では,飽和電流及び飽和出力がそれぞれ,700 mA, 75 mWに 対して,AlGaInAs系波長可変レーザでは,750 mAにおいて 90 mWと優れた値が得られた5)。これは,DFBアレイ集積型 の波長可変レーザとしては,これまでの報告で最も高い光出力 であるとともに,集積型素子においてもAlGaInAs系材料の高 温度・高電流注入における優れた特性を実証することができた。 次に,信号光源として重要な項目となる波長特性について説 明する。波長可変レーザの発振スペクトルを図11に示す。サ イドモード抑圧比(SMSR: Side mode suppression ratio)は, およそ40 nmの広い波長域で45 dB以上と高い値が得られた。 また,代表的な3素子のスペクトル線幅のDFB電流依存性を 図 12 に示す。線幅は,SOA電流を150 mA一定,動作温度は 30℃で,自己遅延ヘテロダイン法にて測定を行った。この結果, DFB電流200 mA以上にて全ての波長帯において,300 kHz以 下のスペクトル線幅が得られた。これらの値はGaInAsP系波 長可変レーザの特性と比較して同等の結果が得られており, AlGaInAs系材料を用いることによる波長特性への悪影響がな いことを確認できた。 100 150 200 250 300 10 20 30 40 50 60 70 80 SO A C ur rent (m A ) GaInAsP : 40 mW AlGaInAs : 40 mW Operation Temperature (℃) 図 9 SOA動作電流の温度依存性

Temperature dependence of the SOA operation current. 0 20 40 60 80 100 0 100 200 300 400 P ow er (m W)

SOA Current (mA) Idfb= 200 mA

30℃

70℃

図 8 波長可変レーザの電流対光出力(L-I)特性

L-I characteristics of the wavelength tunable laser. 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 0 100 200 300 400 500 600 700 800 900 Output Power (mW) GaInAsP AlGaInAs Idfb=200 mA T=70℃

SOA Current (mA) 図 10 70℃における電流対光出力特性の比較

(5)

3.3 1550 nm 帯 AlGaInAs/InP BH 波長可変レーザモジュー ルの特性 より実使用に近い条件での光出力と消費電力低減の効果を確 認するために,バタフライ型の簡易モジュールを作製し,今回 開発したAlGaInAs/InP BH波長可変レーザの評価を行った。 図 13 に,今回作製した波長可変レーザモジュールの代表的 な3波長(短波長,中波長および長波長)の光出力特性を示す。 DFBの動作電流は200 mA一定とし,LD温度を30,50,70℃ でファイバ端光出力の測定を行った。この結果,ファイバ結合 出力は全ての波長のSOA電流1000 mAにおいて,30℃で130 mW,50℃で100 mW,そして70℃においても80 mW以上の 出力が得られた。前項の素子評価での結果と比較して,飽和電 流が高いのは,モジュールに組み込むことで,素子の自己発熱 の放熱性が改善されているためである。 また,図14にTEC消費電力とSOA動作電流のLD動作温度 依存性の結果を示す。モジュールの動作条件は,光出力が 40 mW,ケース温度が80℃である。この結果,LD動作温度の 上昇とともにモジュールのTEC消費電力が低減していくこと がわかる。これはLD動作温度の上昇にともない,一定出力を 得るためにSOAの動作電流が上昇し,その自己発熱により TECの出力が抑制されているためである。また,TEC消費電 力はLD動作温度15℃で3 W,30℃以上では1.7 W以下となり, LDの動作温度を高温側にシフトさせることで,TECの消費電 力を約半分と大幅に削減できることがわかった。これらの結果 から,AlGaInAs/InP系材料は光集積素子の低消費電力化に有 望な技術であると言える。 -70 -60 -50 -40 -30 -20 -10 0 1520 1530 1540 1550 1560 1570 1580 Intensity (dBm) Wavelength (nm) 図 11 波長可変レーザの発振スペクトル

Lasing spectrum of the wavelength tunable laser.

DFB Current (mA) 0 100 200 300 400 500 100 200 300 400 Linewidth (kHz) 短波長 中波長 長波長 Isoa=150 mA, Tc=30℃ 図 12 スペクトル線幅のDFB電流依存性 Characteristics of the spectrum line width.

SOA current (mA) 0 20 40 60 80 100 120 140 0 200 400 600 800 1000

Fiber Coupled Power (mW)

30℃

50℃

70℃

図 13 バタフライ型波長可変レーザモジュールの光出力特性 L-I characteristics of the tunable laser module.

0 0.5 1 1.5 2 2.5 3 3.5 4 0 50 100 150 200 250 300 350 400 0 20 40 60 80

TEC Power Consumption (w)

SOA Current (mA)

Pf = 40 mW, Heatsink = 80℃

LD Temperature (˚C)

図 14 TEC消費電力及びSOA動作電流の動作温度依存性 Operation temperature dependent of TEC power consumption and SOA current.

(6)

4. おわりに 高機能光集積素子の実現のため,1550 nm帯AlGaInAs/InP 系材料を用いたBHレーザの開発を行った。まず単体FPレー ザにおいて,初期特性及び信頼性の確認を行い,その結果, GaInAsP/InP系材料に比べて温度特性が良好であること,ま た,信頼性においてはGaInAsP/InP系材料と同等であること を確認した。次に,これらの技術を用いた光集積素子への応用 として,AlGaInAs/InP系材料で初めて12チャネルDFBレー ザアレイとSOAを集積した1550 nm帯波長可変レーザを作製 した。その結果,12チャネル全てにおいて,30℃で90 mW以上, 70℃で50 mW以上の光出力を得ることができた。更に,光出 力飽和特性では,750 mAにおいて90 mWが得られDFBアレ イ集積型の波長可変レーザとしては,これまでの報告で最も高 い光出力を得ることができた。更に,レーザモジュールを作製 し,動作温度を15℃から30℃以上に設定することで,TEC消 費電力約50%程度削減できることが確認できた。 以上の結果から,AlGaInAs/InP 系材料を用いたBH構造は, GaInAsP系材料を用いたBH構造に比べ,高温度及び高電流注 入時の光出力特性に優れていること,また,光集積素子の一例 として作製した波長可変レーザ及び波長可変レーザモジュール において,高温度,高出力動作及び消費電力が大幅に削減でき ることを実証した。すなわち,AlGaInAs/InP系材料は,高機 能化光集積素子の実現に有望な技術であることが確認できた。 参考文献

1) T.Yamamoto, K. Takada, M. Matsuda, S. Okumura, S. Akiyama, and M. Ekawa, "1.55-um-Wavelength AlGaInAs M u l t i p l e Q u a n t u m W e l l S e m i I n s u l a t i n g B u r i e d -Heterostructure Lasers" Conf. Dig., ISLC 2006, p.p. 15-16. 2) T. Mukaihara, T. Kurobe, T. Kimoto, and A. Kasukawa,.; Proc.,

ECOC 2003, We.4.P.81, pp. 718-719,Sept. 2003.

3) N. Iwai, M. Wakaba, M. Kobayakawa, K. Kiyota, T. Kurobe, G. Kobayashi, T. Kimoto, S. Tamura, T. Mukaihara, N. Yokouchi, H. Ishii, and A. Kasukawa, "1550 nm AlGaInAs/InP Widely Tunable BH Laser based on Arrayed DFB" Conf. Dig., ISLC 2012, TuA2.

4) 若葉昌布,岩井則広,小早川将子,清田和明,黒部立郎,小林剛, 木本竜也,田村修一,向原智一,横内則之,石井宏辰,粕川秋彦, "1.55um AlGaInAs埋込構造を有するDFBアレイ集積型波長可 変光源"2012年電子情報通信学会 ソサイエティ大会,C-4-17. 5) M. Wakaba, N. Iwai, K. Kiyota, H. Hasegawa, T. Kurobe, G.

Kobayashi, E. Kaji, M Kobayakawa, T. Kimoto, N. Yokouchi, and A. Kasukawa, "High Power Operation at High Temperature of AlGaInAs/InP Widely Tunable BH Laser" Conf. Dig., OECC 2013, MK2-4.

6) 清田和明,若葉昌布,岩井則広,黒部立郎,小林剛,鍛治栄作, 小早川将子,木本 竜也,横内則之,"AlGaInAs系BH構造を有 するDFBアレイ集積型波長可変レーザ" 2013年電子情報通信学 会 総合大会 C-4-1.

図 7  1550 nm帯AlGaInAs/InP BH波長可変レーザ素子の写真
図 8  波長可変レーザの電流対光出力(L-I)特性
図 13  バタフライ型波長可変レーザモジュールの光出力特性 L-I characteristics of the tunable laser module.

参照

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