• 検索結果がありません。

醸造03-吉川.indd

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "醸造03-吉川.indd"

Copied!
8
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

醸  協( ) Fish Sauce Production in Hokkaido and its Prospect

Shuji Yoshikawa(Hokkaido Food Processing Research Center, Hokkaido Local Independent Administrative

Agency Hokkaido Research Organization) Corresponding author: [email protected]

1.はじめに  魚醤油は魚に食塩を加え,熟成させて作る発酵調味 料で,東および東南アジア地域ではほとんどの国で魚 醤油が製造されており,特にベトナムのニョクマム, タイのナンプラが有名である1-5)。ヨーロッパではカ タクチイワシを原料としたイタリア南部のコラトゥー ラの他に,数年前よりアイスランドにおいても魚醤油 の製造試験が続けられているに過ぎない。  我が国の魚醤油は長い間秋田の“しょっつる”や能 登の“いしる”など特定の地域で製造,消費される状 態が長く続いたが2),近年,エスニック料理の流行や 消費者の嗜好の多様化により魚醤油の持つ,特有の複 雑かつ後を引く深いうま味(味の伸び)がある天然調 味料として需要が増大している6-8)  北海道は水産資源に恵まれ,中でもシロサケ,ホタ テガイ,スケトウダラは年間 10 万トン,ホッケ,サ ンマも 8 万トン以上の水揚げ量がある9)。これらの大 量漁獲される魚介類を加工する際に排出される水産加 工副産物や加工原料に適さない規格外の魚体の有効利 用が大きな課題となっている。魚醤油製造はこれらの 課題の解決策のひとつとして,脚光を浴びており,筆 者の所属する地方独立行政法人 北海道立総合研究機 構(以下,道総研)食品加工研究センター以外に道総 研 釧路水産試験場,東京農業大学,釧路および根室 市立水産振興センター,北海道立工業技術センターお よび北海道立オホーツク圏地域食品加工技術センター など多くの機関が魚醤油造りの支援を行っている。  本稿では筆者の所属する道総研 食品加工研究セン ターによる技術開発と製造支援の流れ,北海道におけ る魚醤油産業の現状と動向,さらに将来的な展望およ び課題について解説する。 2.北海道における魚醤油製造技術  北海道で行われている魚醤油の製造法を,第 1 表に 示した.魚と食塩のみで長期間発酵させる方法,麹を 加えて発酵を促進する方法,プロテアーゼを使用する 方法,さらに魚介類に食塩,麹および耐塩性微生物を 加える方法に大別される.製造法の差こそあれ,ほぼ 全ての製品において不快な魚臭さの発生を抑制する独 自の工夫がなされていることが北海道の魚醤油の特徴 である。  食塩のみで長期間発酵させる方法は 2 社で採用され ており,そのうち 1 社は魚に塩を加えた後,酸素を遮 断して魚油成分の酸化を防ぎながら発酵する手法がと られている。酵素を利用する手法は 2 社で採用されて いる.北海道では魚醤油製造に麹を使用している企業 は多く,そのことが素材の分解を早め,もろみの塩分

北海道の魚醤油とその将来展望

 本来の魚醤油は魚自身の持つ内臓酵素により,たん白質を酵素分解するが,製造期間が 1 ~ 2 年間の長 期にわたるために,魚油が酸化し,日本人に嫌われる魚臭さが発生する。北海道は水産資源に恵まれ,魚介 類を加工する際に排出される水産加工副産物や加工原料に適さない規格外の魚体の有効利用が大きな課題と なっている。そこで,著者に北海道における魚醤油製造技術としての,原料の細切,加温熟成,麹の効率的 な利用により,発酵期間を短縮し,魚臭さの発生抑制し,スターターによる色調の濃色化・産膜酵母の抑制 について解説いただいた。

吉 川 修 司

(2)

の均一化を促進して,うま味の強化や塩分不均一によ り発生する魚臭の抑制に関係していると考えられる。  著者らは麹を加えて発酵を促進する方法,プロテア ーゼを使用する方法,さらに魚介類に食塩,麹および 耐塩性微生物を加える方法に関して企業を支援してき た。本報では後 2 者の技術開発の経緯についてそれら の概略を紹介する。  まず,魚醤油の技術開発に着手するにあたって,北 海道の魚醤油の品質をさらに向上させ,従来の魚醤油 よりも広範囲な用途に使用できるようにするため,従 来の魚醤油の抱える品質上の諸問題とその原因を大き く 3 つに整理した。第一の問題は,品質にバラツキが 多いことである。これまで国産あるいは輸入品の魚醤 油の遊離アミノ酸量だけに着目しても製品によって品 質にバラツキがある2,3,10,11)。品質のバラツキは従来製 法が原料に食塩を加えるだけであるため,もろみ初期 に原料に食塩が十分浸透しないこと,製造期間が 1 ~ 2年の長期にわたるために魚油が酸化することによる ものと推察した。第二の問題としては魚醤油特有の魚 臭さがあげられ,それは先の品質のバラツキとと同様 の原因により発生していると考えられた。第三の問題 点は,色調が濃いことである。原料となる魚は一般的 に糖質含量が少なく,大豆醤油のようにメイラード反 応による色調の濃色化は起きないが,素材の分解を促 進して風味を醸成するために麹を加えると,もろみに 糖質が供給されることで,メイラード反応により色調 が濃色化する12)。醤油において褐変の原因としてメ イラード反応の他に酸化的劣化が挙げられ13),魚醤 油においても熟成時間が長期にわたった場合,酸化的 褐変が起こる可能性がある。  これら品質上の諸問題の解決を図るために行ったの が,原料の細切,加温熟成,麹の効率的な利用である。 当センターではまず魚介類をミンチ状にした後に食塩 と麹を加えて加温熟成することで,素材の分解を促進 して,食塩濃度の均一化とともに発酵期間を短縮する ことで鮮度低下による魚臭さの発生抑制を図った。麹 を加える魚醤油製造法はこれまでにもいくつか報告さ れているが12,14),当センターが製造技術の普及にあた り,留意したのは麹の使用法である。麹は製造工程に おいてコウジカビの増殖に伴い発熱するが,市販の乾 燥麹は乾燥工程を経ており,過度の発熱による品質劣 化を防いでいる。よって,乾燥麹は使用前に水戻しし なければ,麹の酵素のもろみ中への放出が不十分にな り,結果としてうま味を十分に引き出せない。そこで 麹の水戻しと加温醸造によるうま味の強化を図った。  もろみ表面における産膜酵母の発生防止も重要なポ イントであった。産膜酵母は諸味の表面に発生し,見 た目が白っぽく(第 1 図),カビ臭を発生することか ら俗に「白カビ」と呼ばれている15,16)。カビ臭は閾値 が低い不快臭であり,一度カビ臭が発生するともろみ を廃棄せざるを得ず,安定生産を実現する上でその発 生防止は不可欠である。産膜酵母は酸素がないと代謝 経路が変化し,不快臭成分を出さないことが知られて いる17)。そこで,先に述べた塩分の均一化を図りつつ, もろみが液状化するまで撹拌し,液状化後は諸味表面 加塩のみ 酵素利用 麹利用 麹・スターター利用 うま味 薄い (長期熟成で濃厚化) (全体味が強い)濃厚 (うま味が強い)濃厚 (うま味が強い)濃厚 魚臭さ 強い 強い 穏やか 穏やか 色調 淡い (長期熟成で褐変) 淡い 濃い (発酵次第)淡い~濃い 第 1 表 北海道における魚醤油の製造方法 第 1 図 産膜酵母が発生した諸味

(3)

醸  協( ) をシートで覆って,空気との接触を絶つこととした18)  既存の魚醤油には,オリが発生しているものが散見 されたことから,商品価値を損なうオリの発生と除去 のため,オリ下げ工程の導入とろ過工程の改良が必須 であると考えた。オリ下げ剤の種類と濃度や処理日数 などを決定する予備試験を重ね,さらに,オリ下げ後 のオリの層から魚醤油を回収する工程を加えて,ろ過 の精度向上のみならず,工程中の魚醤油の損失を減ら した。  これらの工程の普及により,魚醤油のうま味の強化 や独特の魚臭を低減化した。しかし,麹の使用による 濃色化(メイラード反応に起因する褐変化)への対策 やさらなる魚臭低減の必要性から,引き続き技術開発 を行った。そこで注目したのが,水産加工の世界では あまり馴染みのない微生物スターターを利用した発酵 技術の導入である。筆者らは様々な試行錯誤の末,3 種の耐塩性微生物(Zygosaccharomyces rouxii, Candi-da versatilis お よ び Tetragenococcus halophilus) を

諸味の仕込み開始時に接種し,魚醤油を製造する技術 開発により特許を取得した19)。本技術に関しては過 去に本誌他において数度にわたり御紹介したので詳細 は省くが20-24),スターターにより色調の濃色化や産 膜酵母の増殖,および過剰な乳酸発酵が抑制可能とな った。特に本技術は,魚臭さが顕著に改善されるのが 特徴である。第 2 図に醸造会社に勤務する社員 21 名 により,市販の魚醤油および本技術による試作品,全 44品の魚臭さを官能審査した結果を示した。本技術 を用いたサケ醤油(右の矢印,試作品)とタコ醤油 (左の矢印,市販品)が他に比べて著しく魚臭が少な いとの評価を得た。魚臭さの低減のメカニズムの詳細 は不明であるが,筆者らは本技術のスターター接種に より醤油の重要な芳香成分である HEMF(4- ヒドロ キ シ -2(or5)-エ チ ル -5(or2)-メ チ ル -3(2H)-フ ラ ノ ン)および 4-EG(4- エチルグアヤコール)が,魚醤 油諸味に生成することを確認している23)。本技術は 現在,ヤナギダコ,ホタテガイ,サケを素材とした魚 28 14 8 6 21 19 21 20 14 15 14 14 12 20 19 16 14 8 18 14 28 19 14 15 16 22 28 25 16 14 17 1419 17 20 31 11 21 26 10 20 18 20 21 17 16 10 15 17 161715 13 12 11 1013 13 8 9 11 12 16 9 13 16 10 8 12 19 1316 11 11 15 11 10 1312 21 9 14 23 7 16 16 14 18 0 10 20 30 40 50 60 混 合 シ ロ サ ケ ヤ ナ ギ ダ コ バ フ ン ウ ニ ウ バ ガ イ シ ロ サ ケ ホ ッ ケ サ ン マ サ ン マ シ ロ サ ケ シ ロ サ ケ カ ラ フ ト マ ス カ ラ フ ト マ ス ニ シ ン シ ロ サ ケ ホ ッ コ ク ア カ エ ビ シ ロ サ ケ ホ ッ ケ ホ ッ ケ サ ン マ ホ ッ ケ ウ バ ガ イ シ ロ サ ケ シ ロ サ ケ シ ロ サ ケ ハ タ ハ タ イ カ 内 臓 イ ワ シ タ ラ イ カ 内 臓 カ タ ク チ イ ワ シ マ イ ワ シ ト ビ ウ オ レ ン コ ダ イ ウ ニ ト ラ フ グ ア ジ ア ユ ニ ギ ス ベ ト ナ ム 製 シ ロ サ ケ 試 作 品 イ カ 内 臓 イ ワ シ イ カ イ カ 点 数 女性合計点 男性合計点 第 2 図 市販魚醤油および試作魚醤油の官能評価の結果 醸造食品メーカーに勤務する男性 12 名,女性 9 名の計 21 名で,85℃の温浴中に保持した魚醤油の芳香の強さに ついて,4 点法による官能評価を行った。 評点:感じない,0,少し感じる 1,感じる 2,強く感じる 3,強く感じる 4.

(4)

醤油において実用化している。  最後に北海道は国内他地域や国外の生産地と比べて 様々な素材が水揚げされることから,素材毎に魚醤油 製造技術の最適化が必要であった。味噌や醤油の醸造 においては水分と塩分の比率が発酵の成否を左右し17,25) 油分がろ過を妨げるが,魚醤油にも同様の傾向がある。 したがって,原料魚種によっては水分や油分を多く含 むものもあり,そのような場合は製法を微調整した26)  以上のように,魚醤油造りでは原料素材と技術移転 先の企業の設備,さらには目標とする品質によって, それぞれの企業にあわせた製法を組み立てて提供して いる。これまで述べてきた例を含め,現在,北海道沿 岸各地で,シロサケ,カラフトマス,サンマ,ホッケ, アラスカキチジ,ホッコクアカエビ,ホタテガイ,バ フンウニ,ホッキガイ(ウバガイ)など様々な魚介類 を原料にして魚醤油がつくられ,新たに参入する企業 も増え続けている(第 3 図)。  また,北海道の魚醤油産業の特色として,単に魚醤 油を生産するだけでなく,魚醤油の利用も積極的に行 われていることが挙げられる。多くは自社製品の調味 に利用され,他社製品との味の差別化に活用されてお り,魚醤油特有の奥深い風味を利用した魚卵製品や漬 け魚,練り製品,加工調味料,鍋物のつゆなどの製品 やご当地グルメが開発され,年々そのアイテムが増え ている(第 4 図)。 3.北海道における魚醤油の普及活動の現状  広大な北海道では製造企業同士が遠く離れており, 情報交流や統一的な PR 活動などを行いにくい状況で, 製造者が一同に会する場として,2005 年度に著者が 勤務する道総研食品加工技術センター(当時:北海道 立食品加工研究センター)が道内の魚醤油製造者およ び関連企業,公設試験研究機関よりなる「魚醤油研究 会」を設立した。現在,その研究会を母体として事務 局を企業に移管した業界任意団体「北海道魚醤油生産 組合」が設立され,より一層の技術力向上と製品 PR のために活動している。  北海道には,道庁が設立した食品の原材料の由来 (トレース可能でできる限り道産品を用いること),製 造工程の衛生度合い,食味の官能評価の 3 つの認証基 準がある「北海道産食品独自認証制度」というシステ ムがある27)。本組合は自ら魚醤油の規格を設定する ために率先して協力し,現在 7 品が登録されている。 単に品数が多いだけではなく,品質を追求する業界の 姿勢の表れである。  北海道の魚醤油産業は品質の向上に向けた組織的な 取り組みと技術開発が進展し,順風満帆に思われるが 大きな課題を抱えている。まず,秋田や能登など古く から魚醤油の製造を行っている地域に較べれば後発地 であり,道外は無論,道内においてもその認知度が低 いことである。次に,魚醤油が地域の伝統食として製 造消費されてきた地域と異なり,北海道を含め国内の 多くの地域では魚醤油の用途 ・ 用法が一般化しておら ず,魚醤油単体での販売は業務用であっても売り上げ が伸びにくいことである。  そこで,道産魚醤油やその加工品について認知度を 高めるとともに,その的確な使用法を広く普及して販 売促進を図るため,北海道より戦略的食クラスター先 導的モデル事業の指定を受け,道産魚醤油の PR 事業 (北の魚醤油発信!プロジェクト)が行われた。まず, 魚醤油,およびそれらを使用した関連製品を効果的に PR するとともに差別化を図るため,統一ブランド名 を公募し,北海道産魚醤油の統一ブランド名「雪ひし お」(ゆきひしお)を選出した。さらに,幅広い消費 者層に対して道産魚醤油の認知度を高めるため,デザ イナーに依頼し,ロゴとキャラクター「雪ひしおく ん」を設定した(第 5 図)。  魚醤油の消費が伸びない理由の一つに最適な使用方 法が周知されていないことが挙げられる。そこで,地 元の光塩学園調理製菓専門学校に魚醤油の特性を活か したレシピ開発を委託し,レシピ集を刊行して配布す るとともに,生産組合ホームページからも利用可能と することで販路拡大に向けた用途普及を行った28) リーフレットには消費者が用途に応じて魚醤油を選択 する参考となるように,素材別の魚醤油の活用図も掲 載した。  さらに,首都圏の居酒屋で北海道産魚醤油を使用し たレシピを開発すると同時に,そのレシピを用いた料 理教室を開催し,参加者からは「魚醤油を加えること でコクが加わった。」など好評価を得た。今回の料理 教室に参加した消費者による口コミが強力な情報発信 源となると期待している。  魚醤油の消費拡大のためには魚醤油単品のみならず, 魚醤油を用いた各種加工品の消費拡大も重要である。

(5)

醸  協(第 3 図 北海道の魚醤油産地および素材(上)と製品(下)

(6)

しかし,魚醤油を使用した加工品は魚醤油自体に比べ PR がなされていなかった。そこで,魚醤油とそれを 用いた関連商品の写真入りリストを作成して配布した。  以上のように,北海道産魚醤油の認知度向上と製品 PR を目的とした諸活動を近年加速的に行った結果, 北海道内外での報道機会が増加し,その認知度は次第 に高まっている。 4.おわりに 北海道における魚醤油産業の将来 展望  本稿では北海道における魚醤油製造の現状について 紹介した。これまで我が国では魚醤油を利用する食習 慣が地域限定的であるなどから,「不快な魚臭さがあ る」,「使い方が不明なので使えない」というイメージ が強かった。そのような中で北海道においてはうま味 を強化するとともに,魚臭に代表される特有のクセを 抑え,一般消費者や食品加工業者,外食産業などにと って使いやすい品質を実現するための技術開発がなさ れてきた。その結果,魚醤油,およびそれらを用いた 加工品が数多く開発されるに至った。各種 PR 活動が 功を奏し,知名度は上昇傾向にあるが,未だに魚醤油 は馴染みの薄い調味料であることは否めない。今後も 魚醤油製造の灯を絶やさぬためには,魚醤油とその適 切な使い方を継続して PR すると同時に,魚醤油の特 性を生かした加工食品をさらに開発していく必要性が あると考えている。  今年 8 月末に札幌で日本食品科学工学会北海道支部 第 4 図 北海道の魚醤油を使用した加工品およびご当地メニュー 第 5 図 北海道魚醤油のロゴとキャラクター

(7)

醸  協( ) と魚醤油生産組合が共催した公開ランチョンシンポジ ウムには,120 名を超す参加者が集まり注目を集めた。 その他展示会に出展する中で,北海道産魚醤油のクセ のなさやおいしさ,関連する企業が一致団結して PR を行う様子にも注目が集まった29)  「北海道から世界の調味料を!」というキャッチフ レーズが生産組合で時折語られる。国際的な状況を見 るとタイとベトナムが提案国となり,CODEX におい て魚醤油に関する国際規格案が審議され,最終段階の STEP8 で議論が進んでいる30)。規格案の主要項目を 第 2 表に示したが,魚と塩を原料として使用すること 以外の要件として,全窒素は 10g/l 以上で,アミノ酸 窒素は全窒素の 40%を下回らないこと,pH は原則 5.0 ~ 6.5(発酵を補助する添加物が入った場合でも 4.5 を下回らないこと),塩分は食塩換算で 20%以上, ヒスタミン含有量は 40mg/100g を超えないこととな っている。過去の北海道産魚醤油の成分分析データを 見る限りでは,この規格が採用となった場合,道内の 魚醤油製造者のほとんどは技術的に対応可能であると 考えられるが,既にアジア地域の展示会に出展してい る製造者もあり,CODEX 規格の設定による魚醤油の 国際化をにらんだ戦略も必要となってくると推察され る。  魚醤油は加工食品に心地よい後味を付与するだけで なく,水産加工副産物や低利用資源の有効活用方法と しても優れており,今後より普及が進み,将来的に雪 ひしおが「北海道発!世界の調味料」として,多くの 人に末永く愛される調味料になればと願う次第である。 5.謝 辞  北海道魚醤油生産組合加盟企業各社,北の魚醤油発 信!プロジェクトチーム関係各位,(独)水産総合研 究センター 中央水産研究所の里見正隆博士に深く感 謝申し上げます。 6.参考文献 1) 任 恵峰,林 哲仁,遠藤英明,渡辺悦生:醸 協,59,1929-1935(1993) 2) 野田文雄:醸協,88,(7),531-536(1993) 3) 柳田藤治,小泉幸道,村 清司,田中秀夫:醸 協,89,(9),698-703(1994) 4) P.C.Sanchez: 日 本 乳 酸 菌 学 会 誌,10,19-28 (1999) 5) W.R. Aryanta:日本乳酸菌学会誌,10,90-102 (2000) 6) 太田静行:魚醤油の知識,1-20,(幸書房,東 京)(1996) 7) 食品と開発 編集部:食品と開発,37,(12), 31-38(2002) 8) 安藤弘志:ジャパンフードサイエンス,535 (9),26-31(2002) 9) 北海道水産林務部:平成 22 年度 北海道水産 現 勢。http://www.fishexp.hro.or.jp/marinein-fo/internetdb/index.htm 10) 太田静行:魚醤油の知識,52-67,(幸書房,東 京)(1996) 11) 藤井建夫:魚の発酵食品,57-75,(成山堂書店, 東京)(2001) 12) 竹島文雄,鍋島裕佳子,舩津保宏,川崎賢一: 富山県食品研究所研究報告,4,1-8(2001) 13) 太田静行:魚醤油の知識,68-90,(幸書房,東 京)(1996) 14) 小島登貴子,尾畑賢一,大島貞雄:埼玉県工業 技術センター報告,1,188-192(1999) 15 ) 富田 実,山本澄人:醸協,92,(12),853-859(1997) 16) 恩田 匠,乙黒親男,飯野修一,後藤昭二:日 食科工,44,463-469(1997) 17) 門脇 清:醸造,「醤油の科学と技術(増補 , 主な項目 規格案 全窒素 10g/l を下回らないこと アミノ酸窒素 全窒素の 40%を下回らないこと pH 5.0 ~ 6.5(伝統的な製法による場合) ※発酵を補助する添加物を加えた場合であっても 4.5 を下回らないこと 塩分 食塩換算で 200g/l を下回らないこと ヒスタミン 40mg/100g を超えないこと この他,添加物等の詳細な規格があるが省略した 第 2 表 魚醤油に関する CODEX 規格案

(8)

栃倉辰六郎編)」,日本醸造協会,東京,pp.121-151(1994) 18) 吉川修司:生物工学,85,500-501(2006) 19) 北海道:特許 第 3834774 号(2003.4.10) 20) 吉川修司,田中 彰,錦織孝史,太田智樹:日 食科工,53,281-286(2006) 21) 吉川修司:醸協,102,(9),642-648(2007) 22) S.Yoshikawa, K.Yamazaki, H.Kurihara, A.

Tanaka, T.Nishikiori, T.Ohta and Y.Kawai: Food Microbiol., 27, 509-514(2010)

23) S.Yoshikawa,H.Kurihara, Y.Kawai, K.Yamaza-ki, A.Tanaka, T.Nishikiori and T.Ohta:J. Ag-ric. Food Chem., 58, 6410-6417(2010) 24) 吉川修司:醸協,106,(8),515-527(2011) 25) 全国みそ技術会:みその製造法.「みそ技術ハ ンドブック 付 基準みそ分析法」, 全国みそ 技術会,東京,pp.14-32(1997) 26) 吉川修司:Techno-Innovation, 75, 24-28(2010) 27) 北海道農政部食の安全推進局食品政策課:道産 食品独自認証制度ホームページ.http://www. pref.hokkaido.lg.jp/ns/shs/shokuan/ninshou/ seido.htm 28) 北海道魚醤油生産組合ホームページ:http:// www.kitano-gyosyoyu.com 29) 日本食品科学工学会北海道支部:公開ランチョ ンシンポジウム講演要旨.「日本食品科学工学 会第 59 回大会講演集」,日本食品科学工学会第 59回大会事務局,石狩,pp.49-53(2012) 30) STANDARD FOR FISH SAUCE(CODEX

STAN 302-2011) 吉川修司< Shuji Yoshikawa> 昭和 43 年 5 月 15 日生まれ<勤務先とその所在地>地 方独立行政法人北海道立総合研究機構食品加工研究セ ンター 〒 069-0836 北海道江別市文京台緑町 589-4 <略歴>平成 3 年北海道立工業試験場入庁,平成 4 年 北海道立食品加工研究センター,平成 9 年北海道立オ ホーツク圏地域食品加工技術センター,平成 11 年北 海道立食品加工研究センター,平成 22 年地方独立行 政法人北海道立総合研究機構食品加工研究センター, (平成 23 年北海道大学大学院水産科学院博士後期課程 修了博士(水産科学)社会人博士課程),現在に至る。 <抱負>発酵食品とそれに関わる微生物について研 究・発信していきたい。<趣味>ドライブ,ホームペ ージ作成,そば打ち,釣り。 米元俊一< Toshikazu Yonemoto> 昭和 27 年 11 月 12 日生まれ<勤務先とその所在地> 薩摩酒造㈱開発研究部 〒 898-0025 鹿児島県枕崎市 立神本町 26 番地<略歴>昭和 53 年九州大学大学院農 学研究科修了,昭和 54 年薩摩酒造㈱入社,平成 5 年 同社研究室長,平成 12 年鹿児島大学非常勤講師(現 職),平成 19 年同社執行役員,開発研究部長兼研究所 長,平成 23 年農学博士,現在に至る。<抱負>芋焼 酎の魅力を追求したい。芋焼酎を世界の酒に!<趣 味>食べ歩き,飲み歩き。酒処巡り。 松丸克己< Katsumi matsumaru> 昭和 38 年 6 月 3 日生まれ<勤務先とその所在地>独 立行政法人酒類総合研究所 〒 739-0046 広島県東広 島市鏡山三丁目 7-1 <略歴>昭和 61 年茨城大学農学 部農芸化学科卒,同年国税庁入庁,平成 11 年広島国 税局主任鑑定官,平成 13 年金沢国税局主任鑑定官, 平成 16 年大阪国税局主任鑑定官,平成 18 年国税庁鑑 定企画官補佐,平成 20 年関東信越国税局主任鑑定官, 平成 21 年福岡国税局鑑定官室長,平成 23 年独立行政 法人酒類総合研究所品質・安全性研究部門長,現在に 至る。<抱負>酒類の品質向上への取り組みを通じて, 酒類業界の発達に貢献したい。<趣味>写真撮影。 杉中茂之< Shigeyuki suginaka> 昭和 37 年 10 月 12 日生まれ<勤務先とその所在地> 上野製薬株式会社 〒 541-8543 大阪市中央区高麗橋 2丁目 4 番 8 号<略歴>平成元年 鳥取大学大学院農 学研究科農芸化学専攻修了,化粧品会社を経て,平成 17年上野製薬㈱入社,現在に至る。<抱負>食品の 衛生・保存技術を活用し,食の安全に貢献したい。 <趣味>ウォーキング。 高畠令王奈< Reona takabatake> 昭和 46 年 12 月 1 日生まれ<勤務先とその所在地>独 立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構食品総合 研 究 所  〒 305-8642 茨 城 県 つ く ば 市 観 音 台 2-1-12 <略歴>平成 13 年京都大学大学院農学研究科応用生 物科学専攻博士課程修了(農学博士),平成 13 年独立 行政法人農業生物資源研究所特別研究員,平成 19 年 岡山県生物科学総合研究所流動研究員,平成 21 年食 品総合研究所食品分析研究領域研究員,現在に至る。 <抱負>抽象的ですが,様々な基礎研究成果を,可能 な限り,社会に還元できるような仕組み作りに従事し たいと思います。<趣味>読書,天体観測,子供と散歩。 執筆者紹介(順不同・敬称略) ────────────────────────────────────

参照

関連したドキュメント

を軌道にのせることができた。最後の2年間 では,本学が他大学に比して遅々としていた

(実被害,構造物最大応答)との検討に用いられている。一般に地震動の破壊力を示す指標として,入

テキストマイニング は,大量の構 造化されていないテキスト情報を様々な観点から

我が国においては、まだ食べることができる食品が、生産、製造、販売、消費 等の各段階において日常的に廃棄され、大量の食品ロス 1 が発生している。食品

界のキャップ&トレード制度の最新動 向や国際炭素市場の今後の展望につい て、加盟メンバーや国内外の専門家と 議論しました。また、2011

このような環境要素は一っの土地の構成要素になるが︑同時に他の上地をも流動し︑又は他の上地にあるそれらと

と判示している︒更に︑最後に︑﹁本件が同法の範囲内にないとすれば︑

金属プレス加工 電子機器組立て 溶接 工場板金 電気機器組立て 工業包装 めっき プリント配線版製造.