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第 8 章偏微分 , テイラー展開 : 解説と補充問題

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8 章 偏微分 , テイラー展開 : 解説と補充 問題

8.1 多変数の 1, 2 次関数

まず平面だが

z=ax+by+c→ −ax−by+z−c=



−a

−b +1



 x y z−c

= 0

と記述できることから,点 (0,0, c)を通過する,⃗n= (−a,−b,1) を法線とする平面ということが できる. 次に

f =

n i=1

aiix2i +∑

i<j

2aijxixj = (⃗x, A⃗x), A={aij}=tA を座標の回転で標準形

f˜=

n i=1

λix2i にすることは線形代数の定番技巧であるが一応書いておく。

座標の回転は2次元では

x x=ucosθ−vsinθ y y=usinθ+vcosθ

とすればよい. (u, v)は角度θ回転した新しい座標である。 これを代入し,uvの項が消えるよう にすればよい。

問題8.1.1 f =ax2+ 2bxy+cy2 に対しU =

( cosθ sinθ sinθ cosθ

)

をあらわに求めよ。このとき  f →f˜=λ1u2+λ2v2 になるとして,λi をあらわに求めよ。

【略解】tan(2θ) = 2b

a−c である,λiはこの角度からでる. λiは実対称行列U = (

a b b c

)

の固有値 であることは既習であろう. これから特性方程式Φ(x) = det(x−A) =x2(a+c)x+ (ac−b2) = 0 の解として求まることも既習である.

λi=a+

(a−c)2+ 4b2 2

(2)

証明終 線形代数では,Aが実対称行列なので固有値は全て実数1,· · · , λn}で,固有ベクトルは正規直 交系 {u1,· · · , un} をなすということを用いる。U = (u1,· · ·, un)は回転行列(実直交行列)であ り,tU =U1 を満たすことはよく知られている:

(x, Ax)(U x, AU x) = (x,tU AU x) = (x,diag(λi)x) =∑ λix2i 固有値λiは特性方程式 det(x−A) = 0 の解なので

λ1· · ·λn

n i=1

λi= det(−A) = (−1)ndet(A)) トレースの性質TrXY = TrY X を用いると

TrU1AU =∑

λi=∑ aii である.

問題 8.1.2

f =∑

i

aiix2i + 2∑

i<j

aijxixj+∑

i

bixi

xi の並行移動によって一次項が無いように変換せよ。またA の固有値が全て正のとき,f の最 小値を求めよ

【略解】aij =aji だからA={aij}として

f = ∑

i

aiix2i + 2∑

i<j

aijxixj+∑

i

bixi

= ∑

i

xi

∑

j

aijxj

+∑

i

bixi

= ∑

i

xi(Ax)i+ (b, x) = (x, Ax) +bx

= (x 1

2Ab, A(x− 1

2Ab))−1

4(b, A1b)≥ −1

4(b, A1b)

証明終

8.2 多変数関数の微分 C

1

(Ω), C

2

(Ω)

C2(Ω) とは領域Ωでfx, fy およびfxx, fxy, fyx, fyy が全て連続なものをいう。通常

||f||= sup

x,y

(|f(x, y|+· · ·+|fyy(x, y)|) でノルムを導入し、完備な空間になる。 もしf(x, y) =∑

igi(x)hi(y))ならば fxy=

∂y (

∂f )

=

∂y(∑

gi(x)hi(y)) =∑

gi(x)hi(y)) =fyx で順番によらない。一般に

(3)

8.2. 多変数関数の微分C1(Ω), C2(Ω) 3 定理8.2.1 f ∈C(2) ならば

fxy =fyx

【略解】

∆ = f(x+h, y+k) +f(x, y)−f(x+h, y)−f(x.y+k)

= Φ(x+h, y)−Φ(x, y)

= x(x+θh, y)

= Ψ(x, y+k)−Ψ(x, y)

= kΨ(x, y+θk) ここで

Φ(x, y) =f(x, y+k)−f(x, y), Ψ(x, y) =f(x+h, y)−f(x, y) と置いた. ゆえに

h(fx(x+θh, y+k)−fx(x+θh, y)) =k(fy(x+hh, y+θk)−fx(x, y+θk)) もう一度平均値の定理を使えば

hkfxy(x+θh, y+θk) =hkfyx(x+θ′′h, y+θ′′′k) よって,hk で除して,h, k→0とすれば, f ∈C2 より

fxy(x+θ′′h, y+θ′′′k)→fxy(x, y), fyx(x+θh, y+θk)→fyx(x, y)

証明終 問題8.2.1 以下の関数[この例はPeano による]

f(x, y) =

{ xy(x2y2)

x2+y2 (x, y)̸= (0,0) 0 (x, y) = (0,0) において

(1)fx(0, y)を求めよ, (2)yf(x,0) を求めよ,

(3)fxy(0,0),fyx(0,0)をもとめ,fxy(0,0)̸=fyx(0,0)を確かめよ.

【略解】f(0, y) =f(x,0) = 0なので定義から fx(0, y) = lim

h0

f(h, y)−f(0, y)

h = lim

h0

f(h, y) h

= lim

h0

1 h

hy(h2−y2) h2+y2 =−y 同じくfy(x,0) =x. よってfxy(0, y) =1,fyx(x,0) = 1

(4)

問題 8.2.2 多変数関数 f について, (1)f ∈C1, (2)微分可能性, (3)方向微分可能性, (4)偏微 分可能性 は互いに同値ではなく, (1)→(2)→(3)→ (4)の順に弱くなることを証明せよ. (つま り集合として番号の小さいほうが大きいほうの真部分集合になる). 逆がうそであることを示すに は例を挙げればよい.

【略解】略解のみ. (1) (2)と, (2)̸→(1)が一番難しいかも知れない. (1) (2)はスタンダー ド。 他の包含関係は明らかである(ことを望む) 証明終

8.3 合成関数の微分とテーラーの定理

8.3.1 偏微分の鎖則

f(x, y) が x, y について, C1x = x(t), y = y(t)t について微分可能ならばg(t) = f(x(t), y(t))について, α=x(x),β =y(x)として

g(t+h) = f(x(t) +αh+o(h), y(t) +βh+o(h))

= f(x(t), y(t)) +fx(x(t), y(t))αh+fy(x(t), y(t))βh+o(h)

= g(t) +fxx(t)h+fxy(t)h+o(h) すなわち

d

dtf(x(t), y(t)) = dx

dtfx+dy dtfy

同じくf(x, y)がx, yについて,C1x=x(s, t),y=y(s, t)s, tについてもC1ならば,まっ たく同じ方法で

∂sf(x(s, t), y(s, t)) = xsfx+ysfy

∂tf(x(s, t), y(s, t)) = xtfx+ytfy

8.3.2 一次変換

xi=

n j=1

aijuj または ui=

n j=1

aijxj, aij= (A1)ij

このとき

fui =∑

aijfxj, fui,uj =∑

k,ℓ

aikajℓfxk,x

問題 8.3.1 Aが直交変換(tAA=AAt= 1) ならば

∑(fxi)2=∑

(fui)2,

fxi,xi =∑ fui,ui

が成り立つことを示せ.

(5)

8.3. 合成関数の微分とテーラーの定理 5

【略解】Aが直交変換(回転)ならばtAA=AtA= 1 なので∑

iaijaik=∑

iakiaji=δjk. (ここ でi=jならばδij = 1,=jならばδij= 0). よって鎖則を用いて

i

(fui)2=∑

i

(∑

j

aijfxj)(∑

k

aikfxk) =∑

j,k

(∑

i

aijaik)fxjfxk=∑

j,k

δjkfxjfxk =∑

j

(fxj)2

同様にfui=∑

kaikfxk で,もう一度用いて fuiuj =∑

k

aiℓajkfxkx 残りは前と同様である.

8.3.3 極座標

x=rcosθ, y =rsinθ または r= (x2+y2)1/2, θ= tan1(y/x) このとき

fr= cosθfx+ sinθfy, fθ=−rsinθfx+rcosθfy

これから連立方程式を解いて逆に

fx= cosθfrsinθ

r fθ, fy= sinθfr+cosθ r fθ

が求められるが,

問題8.3.2 上の式を直接に証明せよ

【略解】

fx= ∂r

∂xfr+∂θ

∂xfθ=x

rfr y

x2+y2fθ= cosθfrsinθ r fθ, fy = ∂r

∂yfr+∂θ

∂yfθ= y

rfr+ x

x2+y2fθ= sinθfr+cosθ r fθ, 問題8.3.3 次式を示せ

∆ = 2

∂x2+ 2

∂y2 = 2

∂r2 +1 r

∂θ + 1 r2

2

∂θ2

【略解】前の計算から

x= (cosθ∂r(sinθ/r)∂θ), y = (sinθ∂r+ (cosθ/r)∂θ) よって

(∂x)2 = cos2θ∂r2(cosθ∂r)(sinθ/r)∂θ((sinθ/r)∂θ) cosθ∂r+ ((sinθ/r)∂θ)2

= cos2θ∂r22(sin 2θ/r)∂rθ+ (sinθ/r)2θ2

+(cosθsinθ/r2)∂θ+ (sin2θ/r)∂r+ (cosθsinθ/r2)∂θ (∂y)2 = sin2θ∂r2+ 2(sin 2θ/r)∂rθ+ (cosθ/r)2θ2

(cosθsinθ/r2)∂θ+ (cos2θ/r)∂r(cosθsinθ/r2)∂θ

これらを加えればよい.

(6)

8.3.4 球座標

この場合,x=rsinθcosϕ, y=rsinθsinϕ, z =rcosθなので,  r= (x2+y2+z2)1/2, ϕ= tan1

(y x )

, θ= cos1 (

z

x2+y2+z2 )

問題 8.3.4 ラプラシアン∆ =∑3

i=12/∂x2i を球座標で示せ.

8.3.5 マクローリン展開

前学期で勉強したように,

f(x+h, y+k) = f(x+th, y+tk)|t=1≡g(t)|t=1

= g(0) +g(0) + 1

2!g′′(0) +· · ·+ 1

(n1)!g(n1)(0) + 1 n!g(n)(θ) ここで

g(t) = d

dtg(t) = (dx dt

∂x+dy dt

∂y)f(x(t), y(t)) = (h

∂x+k

∂y)f(x, y) 特にf ∈C(2)(D)ならば

f(x+h, y+k) =

n1

k=0

1

k!(h∂x+k∂y)kf(x, y) + 1

n!(h∂x+k∂y)kf(x+θh, y+θk)

= f(x, y) +fx(x, y)h+fy(x, y)k+1

2(fxx(x, y)h2+ 2fxy(x, y)hk+fyy(x, y)k2) +o((|h|+|k|)2)

fx=fy = 0とx, yを選ぶと

f(x+h, y+k) = f(x, y) +1 2 <

(h k )

, A (h

k )

>+O(|h|3+|k|3)

行列Aは (

fxx fxy fxy fyy

)

で固有値λ1, λ2λ1+λ2=fxx+fyy,λ1λ2=fxxfyy−fxy2 を満たす.

この行列は実対称で固有値は実, 固有ベクトルは直交する. 回転によってこの部分はλ1h2+λ2k2 と表せる.

8.4 2 次形式の標準形

問題 8.4.1 (1)実エルミート行列A の全ての固有値が正である必要十分条件は全ての非零なベク

トルx∈Rnm に対して< x, Ax >>0

(2) 行列A がエルミートで固有値が全て正である必要十分条件は全ての非零である複素ベクトル xに対して< x, Ax >≥0であることを示せ.

(7)

8.4. 2次形式の標準形 7

【略解】十分であることは明らかなので必要性をしめす。つまり< x, Ax >が常に実ならばA=A (または< Ax, y >=< x, Ay >)を示十分である. B = (A+A)/2, C =−i(A−A)/2 はエル ミートで, A =B+iC. < x, Ax >∈ R , とすれば< x, Ax >=< x, Bx > +i < x, Cx > R.

< x, Ax >∈R,< x, Cx >∈Rより,< x, Cx >= 0が全てのxで成立. よってC= 0でA=A.

定理8.4.1 行列Aがエルミート行列で固有値が全て正である必要十分条件は任意のz∈Cnに対

して,< z, Az >>0が成立すること(前問). Aが実エルミート行列ならば これは 

|A1|=a11>0,|A2|=a11a22−a212>0,· · ·, |An|=|A|>0

(全ての主小行列式が正)の成立と同値である.

【略解】「線型代数入門」(東大出版,斉藤正彦)第5章にあります。

A=







a11 a12 · · · a1n

a21 a22 · · · a2n ... ... ... ...

an1 an2 ... ann







, Ak =







a11 a12 · · · a1k

a21 a22 · · · a2k ... ... ... ...

ak1 an2 ... akk







1,2,· · · , n−1で成立するとして, nでも成り立つことを帰納法で示す. a=t(a1n, a2n,· · ·, an1,n) と しさらに,P =

(

En1 An11a

t0 1

)

とすれば

A=tP BP, B≡ (

An1 0

t0 d

)

ただしd=ann−< a, An11a >となり, det(A) = det(An1)×dである。よってAn1が正値で d >0としよう。z=t(x, y)∈Rn,x∈Rn1, y∈R,とすれば

< z, Bz >=< x, An1x >+dy2

よってB は正値で,よってA も又 正値である。(この行列のブロック的対角化をFeshbach 変換

又はKrein変換ということがある。)

注意8.4.1 (シルベスタの慣性則)

<

(h k )

, A (h

k )

>=ah2+ 2bhk+ck2=c(k+b

ch)2+ac−b2 c k2

なので,常に正である条件はc >0,(ac−b2)/c >0. このように条件は変形の手順によって見かけ がことある条件がでてくるが,これらは同値の条件である. これは線形代数における2次形式に おけるシルベスタの慣性則に他ならない.すなわち,yi=∑

kbijxj と線形独立に変数を変更し

n i=1

aiix2i + 2 ∑

i<jn

aijxixj =

n i=1

αiy2i

と線形変換で書き換えたとき,αi で正のものの数p,負のものの数m, 0のものの数 zは不変であ

る. (p, m, z)を指数ということがある. これをシルベスタの慣性則という.

(8)

8.5 最大最小の問題

この問題を考えるにあたって,

df=

n i=1

∂f

∂xi

dxi, d2f =

n i=1

n j=1

2f

∂xixj

dxidxj =< dx, Adx >

とし,df = 0となる点,つまり fxi= 0 (i= 1,2,· · ·, n)となる点を臨界点という.

基本事実

定義 8.5.1 1. Uε(x) ={z;|z−x|< ε}x∈Rnε近傍という.

2. 集合D に対し,x∈DA の内点とは,ε >0 を小さくとればUε(x)⊂D. D に内点の全 体をintD またはDo と表す.

3. 集合D に対し,xD の外点とは,xDc の内点になること. すなわちε >0 を小さく とればUε(x)⊂Dc=Rn\D={x;x /∈D}

4. 内点からのみなる集合を開集合といい,補集合 Dc が開集合のとき,D を閉集合という.

5. xD の内点でも外点でもないとき,境界点という. D の境界点の全体を ∂Dと表す.

(i)内点でない,外点でないということから,∀ε >0, Uε(x)∩D̸=∅, Uε(x)∩Dc̸=と同値.

(ii) さらにこれから x∈∂D であるとは数列{xn ∈D},{yn ∈Dc} が存在しlimxn =x, limyn =xとも同値.

6. 有界で閉な集合をコンパクト集合という.

例題 8.5.1 1. A={(x, y);x2+y2<1} は開集合で,∂A={(x, y);x2+y2= 1} 2. A={(x, y);x2+y21} は閉集合で,∂A={(x, y);x2+y2= 1}

3. 集積点を持たない数列{xn∈R}は閉集合である

4. {1/n;n= 1,2,· · · } は閉でも開でもない. {0} ∪ {1/n;n= 1,2,· · · }は閉.

5. Rは閉でもあり開でもある. ϕは閉でもあり開でもある.

定理 8.5.1

D=D∪∂D, intD=D\∂D=D∩(∂D)c 問題 8.5.1

(1)int(Dc) = (D)c, (2)(Dc) = (intD)c

【略解】ド・モルガンの法則 (∪Ai)c=∩Aci, および(∩Ai)c=∪Aci を使う.

(1) (D)c= (D∪∂D)c =Dc(∂D)c=Dc(∂Dc)c= int(Dc)

(2) (1)でD→Dc とし, (Dc)c=DからintD= (Dc)c,もう一度両辺の補集合をとれば (intD)c=Dc

(9)

8.5. 最大最小の問題 9 定理8.5.2 (1) 有界集合D で一様連続な関数は,D =D∪∂D まで一意的に拡張され,そこで一 様連続. (2) コンパクト集合D で一様連続な関数はそこで最大値と最小値をもつ.

よってf(x, y)の領域D での最大,最小を求めるには, intDで極大極小問題を議論し,∂D での 最大最小値と比較する.

例題8.5.2 f =x2+ 2axy+y2 (|x|,|y| ≤1)の最大最小.

【略解】(i) 解法1: 平方完成: f = (x+ay)2+ (1−a2)y2, よって |a| < 1 ならば最小値は 0, 最大値は (1 +|a|)2+ (1−a2) = 2(1 +|a|). |a| > 1 ならば (0,0) は鞍点でそれ以外では df= 2(x+ay)dx+ 2(ax+y)dy̸= 0なので境界で最大最小. 対称性からy= 1 でのみ考えて十分 で,このときf =x2+ 2ax+ 1,これは|x|<1 で単調増加または減少なので,最大値2(1 +|a|),最 小値2(1− |a|).

解法2: π/4 回転すれば,f =x2+y2+a(x2−y2) = (1 +a)x2+ (1−a)y2. これから明らか.

解法3: fx= 2x+ 2a= 0, fy= 2a+ 2y= 0 より,=±1 ならばx=y= 0が臨界点. |a|>1な ら鞍点で境界を考えよ,|a|<1 なら原点で極小.

問題8.5.2 f =x2+ 2axy+y2 (x2+y21) の最大最小.

【略解】これは前問と形状をのぞいて同じ.

(i)解法1: 極座標: x=rcosθ, y=rsinθ(0< r <1) として r2(1 +asin 2θ)[r2(1− |a|), r2(1 +|a|)]

よって,|a|<1 ならば

f =r2(1 +asin 2θ)[0,1 +|a|]

|a|>1 ならば

f =r2(1 +asin 2θ)[1− |a|,1 +|a|] 他に(ii)座標回転, (iii)通常の方法などあり.

例題8.5.3 f =x3+y33xy の最大最小,ただし1/3≤x, y≤2/3 問題8.5.3 ui は与えられているとして, f =∑3

i=1(−pilogpi+uipi)(

pi= 1,0≤pi 1)の 最大値を求めよ。一般のnではどうか。[pi はエネルギーがui の状態が出現する確率でギッブス 分布が答えになる。−∑3

i=1pilogpi はエントロピー]

【略解】p3= 1−p1−p2として代入し, f =

2 i=1

(−pilogpi+uipi) + ((1−p1−p2) log(1−p1−p2) +u3(1−p1−p2)

一般のnではLagrangeの未定乗数法(後でならう)が便利.

問題8.5.4 S=√

s(s−a)(s−b)(s−c),s= (a+b+c)/2 の最大値を求めよ(a, b, c >0).

(10)

【略解】(1)√ 相加相乗を使うと s(s−a)(s−b)(s−c) =

3(s/3)(s−a)(s−b)(s−c)≤√

3((10s/3(a+b+c))/4)2= 3(s/3)2 等号はa=b=c= 2s/3のとき(正三角形).

(2)または,c= 2s−a−bとして

f(a, b) = (s−a)(s−b)(a+b−s)

の最大値を探す. (a, b)は三角型領域0≤a≤s, 0≤b≤s,s≤a+b の内部で境界で零. よっ て領域内で極値を探せばよい. 次式からa=b= 2s/3 で極大と分かる:

fa = (s−a)(s−b)−(s−b)(a+b−s) = (s−b)(2s−2a−b) fb = (s−a)(2s−a−2b)

8.6 極大極小

前学期で勉強したように,

f(x+h, y+k) = f(x+th, y+tk)|t=1≡g(t)|t=1

= g(0) +g(0) + 1

2!g′′(0) +· · ·+ 1

(n1)!g(n1)(0) + 1 n!g(n)(θ) ここで

g(t) = d

dtg(t) = (dx dt

∂x+dy dt

∂y)f(x(t), y(t)) = (h

∂x+k

∂y)f(x, y) 特にf ∈C(2)(D)ならば

f(x+h, y+k) =

n1

k=0

1

k!(h∂x+k∂y)kf(x, y) + 1

n!(h∂x+k∂y)kf(x+θh, y+θk)

= f(x, y) +fx(x, y)h+fy(x, y)k+1

2(fxx(x, y)h2+ 2fxy(x, y)hk+fyy(x, y)k2) +o(h2+k2)

fx=fy = 0とx, yを選ぶと

f(x+h, y+k) = f(x, y) +1 2 <

(h k )

, A (h

k )

>+O(|h|3+|k|3)

行列Aは (

fxx fxy

fxy fyy

)

で固有値λ1, λ2λ1+λ2=fxx+fyy,λ1λ2=fxxfyy−fxy2 を満たす.

この行列は実対称で固有値は実, 固有ベクトルは直交する. 回転によってこの部分はλ1h2+λ2k2 と表せる.一般に全ての固有値が正である必要十分条件は,全ての主小行列式が正であこと.

問題 8.6.1 上の展開において<(h

k

), A(h

k

)>が任意の (h, k) に対して正である必要十分条件は, 二つの主小行列式が正,すなわちfxx>0, fxxfyy(fxy)2>0 であることを示せ。

(11)

8.7. レポート問題 11

【略解】解法(i)fxx=a,fyy=c,fxy=fyx=b とおけば

<

(h k )

, A (h

k )

>=ah2+ 2bhk+ck2=a(h+ b

ak)2+ac−b2 a k2 これが常に正なので, a >0, (ac−b2)/a >0.

解法(ii)又はAの固有値が全て正なので,固有値方程式x2(a+c)x+ac−b2= 0の解と係数の 関係からa+c >0, ac−b2>0. ac >0すなわち(ac >0 なので)a >0, ac−b2>0.

注意8.6.1 (シルベスタの慣性則)

<

(h k )

, A (h

k )

>=ah2+ 2bhk+ck2=c(k+b

ch)2+ac−b2 c k2

なので,常に正である条件はc >0,(ac−b2)/c >0. このように条件は変形の手順によって見かけ がことある条件がでてくるが, これらは同値の条件である. これはすでに述べた2次形式におけ るシルベスタの慣性則に他ならない.すなわち,yi=∑

kbijxj と線形独立に変数を変更し

n i=1

aiix2i + 2 ∑

i<jn

aijxixj =

n i=1

αiy2i

と線形変換で書き換えたとき,αi で正のものの数p,負のものの数m, 0のものの数 zは不変であ る. これはエルミート行列の固有値の正負の数そのものであることは言うまでもない。

8.7 レポート問題

問題8.7.1 次の関数の極値を求めよ. 

(1)f(x, y) = 2x3+xy2+ 5x2+y2, (2)f(x, y) =xy(a−x−y),(a̸= 0)

【略解】(1)fx= 6x2+y2+ 10x, fy= 2y(x+ 1). さらにfxx= 12x+ 10, fyy= 2(x+ 1), fxy= 2y.

fx=fy= 0から(x, y) = (1,±2),(0,0),(5/3,0)D=fxxfyy−fxy2 として, (1,±2)でD <0, よって鞍点, (0,0)で D >0, fxx>0なので極小, (5/3,0)では D >0, fxx<0なので極大, (2) fx =y(a−2x−y), fy =x(a−x−2y) さらにfxx= 2y, fyy = 2x, fxy = a−2(x+y).

fx =fy = 0から, (x, y) = (0,0),(0, a),(a,0),(a/3, a/3) (x, y) = (0,0),(0, a),(a,0) ではD <0 で全て鞍点. (a/3, a/3) ではD >0,fxx=2a/3なので 極大(a >0) 又は極小(a <0).

問題8.7.2 以下の関数の指数を求めよ.

(1)f = x2+ (x−y)2+ (y−z)2−z2 (2)f = (x−y)2+ (y−z)2+ (z−x)2

【略解】固有値を求めるか,あるいは平方完成を行う。後者の方が楽である。レポート問題につき解 答なし.

(12)

-2

0

2

-2 0

2

0 0.5

1

-2

0

2

-4 -2

0 2

4 -4 -2

0 2

4

-0.5 0 0.5

-4 -2

0 2

図 8.1: 問8.7.4 (1),(2)概形

問題 8.7.3 以下の関数の極大値,極小値,鞍点(峠点)があるならば全て求めよ.

[2014年 京大院入試],

f(x, y) =x4+y42x2+ 4xy2y2

【略解】レポート問題に付き解答無し

問題 8.7.4 以下の関数の極大値,極小値,鞍点(峠点)を求めよ,ただし0< a < b. (1) f(x, y) = (ax2+by2) exp[−x2−y2]

(2) f(x, y) = sinxsinysin(x+y) sin(x−y) (3) f(x, y) = sinaxsinbx a, b >0

【略解】(1)レポート問題に付き解答無し (2)fx= sinysin(2x+y), fy = sinxsin(x+ 2y)

よって fx =fy = 0 から, (x, y) = (mπ, nπ) または (x, y) = ((2n−m)π/3,(2m−n)π/3) であ る(m, n 整数). fxx= 2 sinycos(2x+y), fyy = 2 sinxcos(x+ 2y)fxy = sin(2(x+y)). よって

(mπ, nπ)2階微分が全て であるが, 3階微分は0にならない. ゆえにこれらは鞍点で極値ではない.

(x, y) = ((2n−m)π/3,(2m−n)π/3)では,極大と極小がおこる. この分類は学生に任す.

(3) fx=acosaxsinby, fy =bsinaxcosby,よって cosax= cosby= 0, sinby= sinax = 0の二 つの可能性があり順に(1)x= (π/2 +mπ)/a, y= (π/2 +nπ)/b, (2)x=mπ/a, y=nπ/b また

fxx=−a2sinaxsinbx, fyy =−b2sinaxsinbx, fxy=abcosaxcosby

よって(2)の点は全て鞍点であり, (1)の点はfxy= 0なので,m.nが共に偶ならfxx<0, fyy <0 で極大, m.nが共に奇ならfxx>0, fyy >0で 極小,m, nが偶と寄ならfxxfyy <0で鞍点.

参照

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