伊藤 文子 論文内容の要旨
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(2) 目の VFA と SFA の変化率の中央値によりそれぞれ 2 群に分け、治療前の臨床的項目と VFA、SFA 増加との関連を比較した。. 結 果 治療 6 ヶ月後に、体重 (54.3±10.3 vs. 58.0±11.2 kg, p<0.001)、VFA(47.1±21.3 vs. 54.7 ±23.4 cm2, p=0.004)、SFA(159.8±85.9 vs. 182.3±82.9 cm2, p=0.008)は、有意に増加した。 体重、VFA、SFA のそれぞれの変化量の相関を検討すると、体重と SFA にのみ有意な正の 相関を認めた(r=0.591, p=0.002)。体重と VFA(ρ=0.078, p=0.712)、SFA と VFA(ρ=-0.189, p=0.365)には相関を認めなかった。VFA 変化率が大きい群は小さい群より治療前 VFA (33.9(22.7-47.5) vs. 54.5 (45.2-64.0) cm2, p=0.011)が少なかったが、その他の治療前各種 検査項目については両群に有意差は認めなかった。一方、SFA 変化率については、変化 率が大きい群では治療前収縮期血圧が低く(117.5(111.3-123.3) vs. 127.0 (120.0-136.5) mmHg, p=0.047)、ALP が低い(221.5(185.5-358.8) vs. 362.0 (264.0-563.0) U/L, p=0.041)と いう結果がえられた。その他、有意差はないものの、変化率が大きい群では、治療前皮下脂 肪が少ない、甲状腺ホルモン値が低い、TRAbが低い、TG が高いという傾向があった。また、 治療 6 ヶ月時点での甲状腺ホルモン値と治療開始からの甲状腺ホルモンの変化量につい ては両群に差はなかった。治療後 SFA 変化率が大きいことを目的変数とし、FT3 と ALP を 説明変数として多変量解析を行うと、FT3 のみ有意であった(OR 0.83, 95%CI: 0.61-1.00, p=0.043)。. 考 察 バセドウ病治療後に体重、VFA、SFA は増加し、体重と SFA 変化には正の相関を認めた。 VFA ではなく SFA が、バセドウ病治療後の体重増加に影響しており、未治療時の FT3 が低 い症例で治療後に SFA が増加しやすいことが示唆された。 内臓脂肪の増加は、代謝疾患や心血管疾患に対して悪影響を及ぼすが、皮下脂肪増加に よる影響は一定の見解を得ていない。バセドウ病では甲状腺ホルモン値が改善した後も代 謝疾患や心血管疾患のリスクが高いことが知られているが、バセドウ病治療後の体重増加に は皮下脂肪増加が影響しているとすれば、バセドウ病治療がこれらの疾患へ悪影響を及ぼ しているかは今回の検討では明らかにならなかった。 また、T3 は白色脂肪細胞から代謝亢進に関与する褐色脂肪細胞への変換に影響を与える ことが知られている。未治療時の FT3 が高いバセドウ病患者では、治療前より褐色脂肪細胞 量が増加していることで、治療後の体重増加や皮下脂肪の蓄積が生じにくいという可能性 がある。 今回の研究では、主な対象が邦人若年女性であり、症例数が少なく、比較的フォローアップ 期間が短いなどの制限があった。バセドウ病治療による皮下脂肪量変化の代謝疾患、心血 管疾患への影響を検討するには、多国籍の症例を対象としたより大きな規模での研究が望 まれる。.
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