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博士論文

成長抑制剤を使用した反応晶析法による 硫酸鉛結晶の単分散微粒子生成手法の研究

Precipitation of monodispersed lead sulfate crystal with a growth modifier

2004 年 2 月

早稲田大学大学院理工学研究科 応用化学専攻 化学工学研究

片山 晃男

(2)

1.1 緒言 1

1.2 反応晶析理論および既往研究 2

1.2.1 結晶核発生の制御に関する理論 2

1.2.2 結晶成長の制御に関する理論 5

1.2.3 生成結晶の分散に関する理論 6

1.3 晶析現象制御のための不純物添加に関する既往研究 7

1.3.1 炭酸カルシウム系での添加剤使用例 8

1.3.2 アパタイト化合物系での添加剤使用例 9

1.3.3 硫酸バリウム系での添加剤使用例 9

1.3.4 硫酸カルシウム系における添加剤の使用例 10

1.3.5 ハロゲン化銀系における添加剤の使用例 10

1.4 本研究の位置づけと意義 12

Nomenclature 13 References 13

第二章 硫酸鉛系における添加剤の成長抑制効果の比較および適した添加剤の 選定

2.1 緒言 15

2.2 実験装置および操作 16

2.3 ゼラチンを添加剤として使用した場合の成長抑制効果 18

2.3.1 実験条件および操作 18

2.3.2 結果および考察 19

2.4 アミノ酸を添加剤とした場合の成長抑制効果 23

2.4.1 実験条件および操作 23

2.4.2 結果および考察 23

2.5 合成高分子電解質を添加剤とした場合の成長抑制効果 25

2.5.1 実験条件および操作 25

2.5.2  PAA使用時の実験結果および考察 26

2.5.3  PVA使用時の実験結果および考察 34

2.5.4  PAM使用時の実験結果および考察 35

(3)

References 44

第三章 操作条件の変化による製品結晶の単分散性変動に対する検討

3.1 緒言 45

3.2 実験装置および操作 46

3.3 実験結果および考察(series-A 47

3.3.1 原料モル供給速度が製品結晶に与える影響の検討 47 3.3.2 初期PEI濃度が製品結晶に与える影響の検討 53 3.3.3  PEI分子量が製品結晶に与える影響の検討 55

3.3.4 結晶粒径の経時変化に対する検討 58

3.3.5 操作条件が結晶の単分散性に与える影響の総括 60

3.4 実験結果および考察(series-B 61

3.5 結言 69

References 70

第四章 ポリエチレンイミンによる硫酸鉛結晶の結晶核生成および成長抑制 機構に対する検討

4.1 緒言 71

4.2 実験装置および操作 72

4.3 実験結果および考察 73

4.3.1 晶析操作中の鉛イオン濃度変化に対する検討 73

4.3.2 晶析操作中のPH変化に対する検討 83

4.3.3  PEI―鉛 イオン間の相互作用に関する検討 88 4.4  PEIを用いた晶析操作における反応機構の検討 94

4.5 結言 101

Nomenclature 102 References 102

(4)

研究業績 謝辞

(5)

第一章

単分散微粒子生成技術に関する理論

および既往研究

(6)

1.1 緒言

 本研究の目的は、液相系での反応晶析法による難溶性無機塩の単分散微粒子

(monodispersed fine particles)生成に関し、高分子電解質を添加剤として用いた 操作の有用性を提案することにある。

単分散微粒子とは、1サンプル中での粒径及び形状の均一性が高い微粒子群 を指す呼び方であり、統一された基準値はないものの、変動係数(coefficient of variation, C.V.)が0.1以下の値を示すサンプルに対して特にこう呼ばれる事が多 い1。この高い均一性のため、個々の微粒子特性からの微粒子群全体の性質の把 握が行いやすく、したがって理論解析や先端科学のモデル物質として用いられ る。また粉体製品としてみた場合でのハンドリング及び管理の容易さに優れる ので、粗原料よりもむしろ工業材料としての場合に、単分散性の高い粉体は重 要となる。

 加えて近年の材料科学のめざましい発達から、より高機能かつ高精度な製品 を生み出すべく、粉体材料については更なる粒径の微細化が求められている。

いわゆる超微粒子と呼ばれるこれらの粉体についても、単分散性の評価値同様 大きさの標準値のようなものはなく、分野あるいは材料によって主に製造の困 難さから基準は大きく異なるのが現状であるが、主としてミクロンサイズ以下 のものがそう呼ばれる事が多い2。このレベルの微粒子は粉砕法で製造すること は一般的に困難であり、凝縮法にて粒子を成長させて生成する必要があるが、

製法に関しては生成する微粒子の構成物質に大きく左右される。このため、単 分散微粒子の生成プロセスは膨大な試行錯誤の末に経験的に確立されたものが ほとんどであると言える。

 本章では、本研究のよる立場を明確にするため、まず極めて多岐にわたるこ れらの単分散微粒子生成技術の中で、研究目的である難溶性無機塩(sparingly soluble saltsあるいはinsoluble salts)の反応晶析による生成法に関して、微粒子 生成に関する理論および研究と、本研究の重要な骨子をなす添加剤による粒 径・結晶形操作に関する既往研究を概観し、それらの中での本研究の位置づけ 及び意義について整理を行う。

(7)

1.2 反応晶析理論および既往研究

 晶析による単分散微粒子生成を行うためには、(1)結晶の核生成、(2)生 成した結晶核の成長、および(3)成長した結晶の分散、の各段階についてそ れぞれ異なった目的での制御を行う1必要がある。本項では単分散微粒子生成と いう観点から、基礎現象および現在までに提出された理論、加えて既往研究の 整理を行う。

1.2.1 結晶核発生の制御に関する理論

 晶析装置として、装置内溶液へ溶質を含む原料溶液を外部から連続的に供給 し、反応させるような装置を用いる開放系を想定する。溶質の供給により装置 内で溶質の過飽和状態が形成されると、溶質分子の衝突により幼核(embryo)

が生成する。幼核は不安定で、一部は溶解して溶質分子あるいはクラスターの 状態に戻るが、残りは更に成長し、臨界径と呼ばれるある粒径以上に成長する と熱力学的に安定な状態となり、再溶解しなくなる。更に結晶が成長し、溶質 が核として固相と見なせる様になった状態が一般的に核発生と呼ばれる3。発生 した核は続いて溶質を消費することで成長し、その一方で新たな核生成も起こ るため、この核生成期では溶液中で核生成と結晶成長とが同時に進行している ことになる。この核生成と結晶成長による溶質消費量が溶質供給量を上回るよ うになった時点で装置内の溶質濃度は減少し始め、過飽和域を脱すると核生成 は事実上停止して、既存核の成長が主として起こる成長期に入る。この様子を 図式化したものがFig. 1.1.1であり、LaMer diagramと呼ばれる4。Fig. 1.1.1でCs

は溶質のバルク濃度または固体の溶解度であり、C*maxおよび C*minは不安定域 の最大濃度および最小濃度を表す。領域Ⅰは不安定核の生成期、領域Ⅱは核生 成期、領域Ⅲは核の成長期である。

(8)

 核生成期において既に結晶の成長が起こっており、装置内では常にこれら二 つの過程が並列して進行することを考えた場合、次のことが結論される。単分 散微粒子生成を行う場合、核生成期をなるべく早期に終了させ、その後の反応 を溶質消費による結晶成長のみを行わせるようにしなければならない。これが 達成されず、連続的な核発生が起こるような系では、不可避的に製品粒径が多 分散化することになる。この条件を達成するために Berry5や Moisar と Klein6な どが提案したControlled double jet反応晶析法は、あらかじめ装置内に張り込ん だ溶液中へ原料溶液を別々の供給管から連続的に供給し、撹拌しつつ反応させ ることで制御を行う。供給された原料は撹拌翼周辺で直ちに反応して一次核を 形成し、その後撹拌によって装置内のバルク領域へと移動する。バルク領域で は、Ostwald-ripening 現象によって比較的小さな粒径の核が再溶解して溶質とな り、比較的大きな核がそれらを消費して成長することで、粒径分布の単分散化 が起こる7。これにより、核生成が主として起こる領域と結晶成長が主として起 こる領域とを装置内で分離することが出来るため、より一層の粒径の単分散化 が可能となる。

 さて、核生成と結晶成長の分離を達成する最も基本的な手段としては、溶質 の供給速度を調節することで核生成速度を抑制することが挙げられる。結晶表 面への溶質の拡散過程と表面反応過程が連続して起こり、各々が過飽和度差に 比例するという最も単純なモデルにおいては、拡散律速状態および表面反応律 速状態での結晶の線成長速度は、それぞれ次式Eq. 1.1および1.2で表される。

Labile zone Metastable zone

Ⅰ Ⅱ Ⅲ

C

s

C

*min

C

*max

Formation of complex and unstable nuclei

Rapid spontaneous nucleation

Crystal growth by diffusion

Figure 1.1.1 LaMer model diagram

(9)

r C DV dt

dr = m (1.1)

C dt kV

dr

m

= (1.2)

ただし、rは結晶粒径、Dは拡散係数、Vmは固相のモル体積、∆Cは過飽和度差、

k は反応速度定数である。過飽和度一定で成長させたときの結晶粒径は、t=0で r≅0とすると、拡散律速と反応律速の場合でそれぞれ

Ct DV 2

r= m (1.3)

Ct kV

r= m (1.4)

となる。したがって、単位時間当たりの溶質の消費速度-dc/dtは、球形粒子を仮 定すると拡散律速と反応律速(一次反応)の場合でそれぞれ

( )

32 12

2 1

m D C t

NV 2 dt 4

dc=

π (1.5)

( )

3 2

2

m k C t NV

dt 4

dc=

π (1.6)

ただし、Nは系内の安定核の個数である。

上式から、特に拡散律速の系においては、新たな核発生を起こさないために は反応が進行するにしたがって溶質供給速度を減少させればよいことが理解さ れる。反応律速の系であれば、溶質消費速度は時間と共に増加するので、一定 速度での溶質供給でも溶液内過飽和が増加することはない。しかしながら、実 操作においてこの供給速度の調節を厳密に行うのは、本研究で扱うような溶質 を連続供給する開放系でのみ達成可能である。前述したControlled double jet法 の場合でも、律速過程が実際には結晶の粒径に依存すること、生成した結晶の 凝集が起こること、また難溶性塩系においては反応速度が極めて速いことなど の理由から、系に応じた溶質添加様式を予めプログラムしておくか、オンライ ンでの濃度測定などによって供給流量をダイナミックに変化させる必要が生じ る。ただし、前者は系内での反応およびその速度が十分に知られている必要が あり、後者はその系において信頼性のあるデータを得られるセンサ類が利用可 能な場合に限られ、上記の条件を満足することは難しい。原料を連続的に供給 しない閉鎖系や、供給速度の動的変化が困難な系では温度、出発塩濃度、pHを

(10)

調節する事に加え、不純物の系内への添加などによって成長期における幼核生 成を抑制する8ことにより、単分散微粒子を得る方法がしばしば採られる。この 手法は次に述べる結晶の成長抑制をも同時に達成できるため、単分散微粒子生 成については効率よい方法であるが、操作条件や添加剤の選定に困難を伴う。

本研究でとられた高分子電解質水溶液中での操作も、一つには結晶成長の抑 制を目的としたものであり、高分子電解質の効果により核生成速度および成長 速度を減少させることが最も大きな要点となる。

1.2.2 結晶成長の制御に関する理論

 前項で述べたとおり、単分散微粒子生成の観点から見た場合、核生成と結晶 成長は互いに関連させて考える必要がある。生成した核が過度の成長を行わな いように制御された条件下で操作することは、すなわち粒径の多分散化につな がる連続的な核生成を抑制することと同時に達成されるからである。

 杉本9は、ヨウ化銀の単分散微粒子をゼラチン水溶液内で生成する系において、

1.2.1 で述べたような結晶の核生成と成長が同時進行するモデルを実験的に確認 したとし、最終的に生成される核の個数N+を次式で得られるとした。

+ =

C V D 8

QRT 567 N 1

σ m

π

. (1.7)

ただし、Qは溶質のモル供給速度、Rは気体定数、Tは絶対温度、σは比表面自 由エネルギー、Cは溶質のバルク濃度、または固体の溶解度である。1.2.1で述 べたように成長期に新たな核化が行われないと仮定すると、操作の全期を通じ て N+は不変である。したがって線成長速度 dr/dt、粒子表面積 Aとすると、溶 質消費速度と供給速度が均衡したときの核個数がN+であるので、

dt Adr N

QVm = + (1.8)

これより、

(

dr dt

)

A

N+ = QVm (1.9)

すなわち、核個数は溶質の供給速度に比例し、成長速度に反比例する。よって

(11)

N+の増加によって原料当たりの最終サイズは減少するから、製品結晶の微細化 を図るためには、溶質の供給速度を増加させると共に結晶の成長速度を減少さ せてやればよい。

本研究で用いた装置は、原料供給速度の精密な調節こそ行っていないものの 杉本の使用したものと同様のDouble jet形式10であり、操作法に関しても類似点 は多いことから、上記の理論は非常に示唆的であると考えられる。一次核発生 現象における核化は三次元核化であり、結晶成長においては主として二次元核 化であるため、これらに要求される過飽和度は異なるものの、核生成速度が過 飽和度に依存することを考えると、一般的には溶質供給速度と成長速度は相関 関係にあると言える。このため、これらを個別に変化させることは困難ではあ るが、ここで結晶内に取り込まれることなく結晶表面に吸着するような不純物 や、溶液内の溶質と前駆体を形成して反応を抑制するような物質を系内に溶解 させておけば、この操作は達成できることになる。したがって、前述のように 本研究で用いた高分子電解質による核化・成長の抑制のような手法は、単分散 微粒子の生成法として一つの選択肢となると言える。

また、1.2.1 で述べた律速過程の違いによって、結晶成長の単分散化への寄与 の度合が異なることも重要である。拡散律速成長の場合、Eq. 1.1 で表されるよ うに線成長速度は粒径に反比例するので、成長につれて微粒子群の標準偏差は 減少する。したがって単分散微粒子生成の観点から見れば拡散律速での成長が 望ましいことになる。ただし難溶性塩での拡散律速成長の例は余り報告されて おらず、塩化銀微粒子11などの一部の物質にとどまっている。

1.2.3 生成結晶の分散に関する理論

 単分散微粒子生成を行う場合、粒径および形状の均一な結晶を生成するだけ でなく、それらが凝集して粗大な凝集晶を形成しないように制御する必要があ る。DLVO 理論によれば、同種コロイド粒子の凝集に際しては、粒子間の凝集 におけるエネルギー障壁は粒子径が小さいほど低くなる12ため、サブミクロンサ イズ以下の超微粒子群に対しては、凝集の抑止は単分散な製品を得るためには 不可欠となる。

 最も普遍的な手段としては、粒子間の電気二重層による反発力を利用するも のがある。これは水系では幅広い系に適用可能な手法であり、実操作への適用 も容易であるが、実際には採られることはあまりない。この理由としては、電 気二重層厚み 1/κを増して粒子間の反発力を上げるためには溶液中の電解質濃 度を薄くする必要があり、これはすなわち収量の低下を意味する事が挙げられ る。電解質濃度を薄くすることで先に述べた核化・成長の抑制もある程度達成

(12)

できるものの、収量の低さから実操作への適用は考えにくい。

 次いで、粒子表面に吸着する高分子や界面活性剤の使用、いわゆる保護コロ イドによる凝集の抑止が挙げられる。この場合は電解質濃度の制約は無くなる が、別の問題点が生じる。すなわち、対象結晶に適した吸着物質および反応条 件の選択と、吸着物質の脱着である。反応条件選定の困難さの一例として、粒 子表面に吸着する物質の濃度に関して、濃度によって凝集状態が変化すること は広く知られており、適切な濃度よりも低濃度の領域ではいわゆる橋かけ凝集 が、高濃度領域では枯渇効果13による凝集が起こる可能性がある。また高分子電 解質や界面活性剤の効果は溶液のpHやイオン強度にも左右されるため、これら の調節も難しい課題である。

 保護コロイドとしての高分子の使用例としておそらく最も有名なのは、写真 用ハロゲン化銀微粒子の生成系におけるゼラチンの使用例であると思われる。

現在、ハロゲン化銀微粒子の生成はその高機能化への要求から核生成と結晶成 長を別の装置内で行い、それぞれに異なる組成のゼラチン溶液が用いられてい ることが多いが、いずれの場合でもゼラチンは粒子の成長を必要以上に妨げる ことのなくほぼ完全に粒子の凝集、二次核発生を抑制している。しかしながら、

主として前述の操作条件の選定の問題などから、他の無機塩の単分散微粒子生 成に保護コロイドとしてのゼラチンを適用した研究はほとんどない。本研究で も添加剤の選択肢の一つとしてゼラチンを使用した研究を行ったが、その結果 に関しては後の高分子電解質の選定結果に関する章で詳細に述べる。

1.3 晶析現象制御のための不純物添加に関する既往研究

  1.2.1および1.2.2において述べたとおり、反応晶析系において系内への不純物 の添加は、核生成・結晶成長の速度を調節し、粒径の単分散化を促す効果が期 待できるため、有効な手段の一つと考えられる。その他にも、1.2.3 に挙げたよ うに、高分子電解質を添加することで生成結晶の凝集抑制を行う目的で用いる ことも可能である。また、これら添加剤は結晶の形状・晶癖の制御、更には多 形制御を行うために用いられることもあり、近年の研究ではむしろこの目的で 高分子電解質が使用されることが多い。

 本研究で採った実験方法も、高分子電解質水溶液内で反応晶析を行うという 点でこれらの手法に類するものである。したがって添加剤を用いた反応晶析法 に関する既往研究を概観し整理することは、現在での本手法における課題を明 確にし、併せて本研究の位置づけと意義を明確にする上で必要なことであろう と考えられる。

 添加剤を使用した反応晶析に関する研究例は膨大な数に上るため、本項では

(13)

比較的最近の研究を中心に、結晶の形状・晶癖や結晶多形、粒径を制御するた めに添加剤を使用した既往研究に限って整理する。また、結晶格子への取り込 みや結晶への包含を伴うような無機添加剤の例も除外し、主として有機物の添 加剤に関するいくつかの研究例を、対象となる無機金属塩の種類別に分類した。

1.3.1 炭酸カルシウム系での添加剤使用例

 バイオミネラリゼーションとは、本来生物が鉱物を作る作用を指すが、これ を利用して生体内で行われる無機化合物の特殊な形成機構を模倣、あるいは類 似の機構を応用することで、高機能・高付加価値な無機/有機複合材料を合成 する操作をもバイオミネラリゼーションの名で呼ぶことが多く、これに関する 研究が近年盛んに行われている。よく知られている例では、真珠貝の貝殻を構 成する炭酸カルシウムの結晶形がある。通常、液中で炭酸カルシウム結晶を晶 析させた場合、三つの多形の内で熱力学的に安定なカルサイト、あるいはバテ ライトが支配的に析出することが多い。アラゴナイトの選択的な生成は高温・

高圧を要するか、マグネシウム、ナトリウムなどの不純物を添加した系でのみ 見られる14が、貝殻の接合部分にはアラゴナイトが選択的に見られ、強固な構造 を構成している。この現象は、接合部分を支える筋肉組織のタンパク質が、ア ラゴナイト析出のためのテンプレートとして機能しているためと考えられてい る。基質タンパク質を構成するアミノ酸のカルボキシル基の間隔が、アラゴナ イト表面のカルシウム原子間隔と一致しており、常温・常圧下においてもアラ ゴナイトの生成が起こりやすくなっている15,16というものである。

 晶析分野においては、炭酸カルシウムの液中での生成に際して有機添加剤を 使用する研究では、カルボキシル基を有する酸性ポリマー17,18,19の使用例が非常 に多い。Reddy と Hoch20は、カルボキシル基を有する数種の環状および鎖状の ポリマーについて炭酸カルシウムの晶析現象への影響を検討し、その結果特に 環状のポリマーは 10-2 - 10-3 [ppm]オーダーの濃度でも結晶の成長を抑制し、1 [ppm]の濃度でほぼ完全に反応を抑止したと報告している。この理由として Reddyらは、環状分子内に近接して存在する複数のカルボキシル基が、効果的に 結晶表面での反応を阻害したためであるとしている。

また多種のアミノ酸やリンゴ酸、クエン酸などの有機酸21を使用した研究例も 多い。Manoliら22は、アラニンなどのアミノ酸モノマーやポリグリシンなどのポ リアミノ酸はカルサイト種晶上にバテライトの生成を促進させ、これは解離し たカルボキシル基上の負極性を帯びた酸素原子がカルシウム原子を引きつけ、

バテライトのテンプレートとなっていたためであるとした。

これらの研究例に見られるように、添加剤の使用目的については主として炭

(14)

酸カルシウムの多形制御、あるいは結晶形状の制御であり、単分散微粒子の生 成を指向した成長制御や凝集抑制の例は余り見られない。この理由としては以 下のようなものが考えられる。これらカルボキシル基を有するモノマーやポリ マーは、特にカルサイト生成が支配的となるアルカリ性領域において強く結晶 表面に吸着するか、溶液中でカルシウムイオンと錯体を形成する。このため、

ppm オーダーの低濃度の使用でもこれら添加剤は結晶の核生成・成長の速度を 大幅に遅らせる効果を持ち、条件によってはほぼ完全に核化を抑止してしまう ケースも見られる。このことから、単分散微粒子生成という観点からは成長抑 制効果が強すぎる上、微粒子生成が行われたとしても脱着操作が必要であるの で使いづらいため、粒径制御に用いられることがないものと考えられる。

Wei ら23はノニオン性高分子であるポリビニルピロリドン(PVP)を使用し、

炭酸カルシウムの晶析現象への影響を検討した結果、PVP は中間体として生じ るアモルファス状態の粒子に非常に弱く吸着し、バテライトからカルサイトへ の転移を促進したこと、また特に高濃度(100 [g/L])のPVP存在下ではカルサ イトの粒径は数µm のオーダーとなるが、高濃度の PVP の影響で強く凝集し、

結果として50 - 100 [µm]程度の粗大な凝集晶が得られたことを報告している。

1.3.2 アパタイト化合物系での添加剤使用例

  M5(ZO4)3Xの構造をとるアパタイト化合物の中でも、カルシウムハイロドキシ アパタイト(HAP)は骨や歯の主成分として知られているが、骨形成プロセス、

特に筋組織との相互作用や骨形成の開始機構に関しては未だに不明な点が多い。

したがってバイオミネラリゼーションの観点から多くの研究が行われており、

晶析分野においても有機添加剤と核化現象との関連を中心に、研究事例は炭酸 カルシウム系と同様に数多い。

  van der Houwenら24はクエン酸および酢酸がHAP結晶の生成過程に及ぼす影 響を検討し、特にクエン酸存在下において、クエン酸のHAPの核上への吸着に より核化および成長が阻害され、粒径の減少、結晶化度の低下および不純物包 含の増大を招くことを見出した。また Koutsopoulosと Dalas25は弱アルカリ性条 件下で、リシン存在下でのHAP結晶の生成を行い、同様に結晶表面への吸着に よって表面核化が阻害された結果、HAP の成長速度が大きく減少したが、影響 したのは成長速度のみであり結晶形状および晶癖に大きな変化はなかったと述 べている。

1.3.3 硫酸バリウム系での添加剤使用例

(15)

  Jones ら26は亜リン酸基を含む数種の低分子化合物が存在する環境下での硫酸 バリウム結晶の晶析操作について検討し、これらの化合物の存在下では結晶は 丸みを帯びた形となり粒径は不均一であったとし、また成長抑制効果はpH依存 であり、分子内の亜リン酸基の数および解離度に依存したと報告している。pH が非常に高い条件下では、逆に抑制効果は低下し、Jonesらはこれを負に帯電し た抑制剤と結晶表面との静電反発により、吸着が阻害されたためとしている。

 また Thompson27は油田プラントの配管内での硫酸バリウムスケーリング防止 のため、ポリアクリル酸(PAA)およびポリビニルスルホン酸(PVS)を使用し たところ、PVSの方が低pH、高イオン強度条件下においてより解離度が高いた め、種晶表面に強く吸着してより高い成長抑制効果を発揮したとしている。

1.3.4 硫酸カルシウム系における添加剤の使用例

  Boisvert ら28は、ポリアクリル酸ナトリウム存在下での硫酸カルシウム半水塩 から二水塩への水和による転移反応の速度について研究を行った。添加剤は半 水塩の溶解には何ら影響を与えないものの、半水塩の表面に吸着することで二 水塩の表面核化速度を減少させ、結果として転移速度を遅らせること、また反 応速度に影響を与えるのは結晶表面の吸着密度であり、高分子のバルク濃度は 影響しないことを報告している。更に添加剤の分子量が大きいほど、カルシウ ム塩の生成量の増加とポリマーの脱着の起こりにくさから反応抑制効果が大き いとしている。

 また Öner ら29はカルボキシル基を持つ数種のホモポリマーおよびコポリマー の存在下で硫酸カルシウムの核化現象について検討を行っている。反応溶液の 導電率をオンラインで測定することにより核化現象を観察し、ポリマー間での 反応抑制効果の比較を行った結果、いくつかのポリマー使用時には導電率が全 く下がらず、核生成が完全に抑止されていたと報告している。一方、比較的か さ高いアクリル基を持ったコポリマーを使用した場合、1〜2 時間ほど一定値を 保った後に導電率が急激に減少するという現象が観察されたしており、硫酸カ ルシウムの核生成の抑制効果は、添加剤の分子構造および分子量に大きく依存 すると述べている。

1.3.5 ハロゲン化銀系における添加剤の使用例

  1.2.3 で述べたとおり、写真用乳剤の生成プロセスにおいては、ハロゲン化銀 微粒子の保護コロイドとしてゼラチンが古くから用いられており30、有機添加剤 を積極的に単分散微粒子の生成に利用した数少ない工業的利用例である。通常、

(16)

この用途にはアルカリ処理した等電点分布の狭いゼラチンが用いられる。ゼラ チン分子はハロゲン化銀結晶の表面に吸着することで凝集をほぼ完全に抑制し、

また反応速度を適度な値にまで低下させることで、極めて単分散性の高い結晶 を得ることを可能にしている。生成した結晶を含む懸濁液は、ほぼそのままフ ィルム上に塗布されるので脱着の問題も考える必要がなく、理想的な添加剤で あると言える。ただし、操作条件によってゼラチンの吸着度や成長抑制効果は 大きく変化するため、最適な効果を得るために非常に多くの研究が行われてき た31,32

 現在では、ゼラチン以外にも数種のアミノ酸や電解質を加えることでより結 晶の微細化を図り、併せて晶癖の制御も行っており、極めて高い単分散性を持 った平板上のサブミクロン微粒子を生成している。このため、ゼラチン以外の 物質を用いた研究もまた数多い。

  Maskasky33は、弱酸性条件下で臭化銀結晶の微粒子を生成する際に、臭化銀の 特定面に吸着する10種類以上の物質を用いて、その溶液内で種晶の成長を行わ せることにより、臭化銀結晶で実現可能な全ての晶癖を持たせることに成功し たと報告している。さらにMaskaskyは添加剤が吸着する結晶面と添加剤の分子 構造との関連についても半経験的な面から言及しており、一例としてチオアミ ド基の硫黄原子と窒素原子の間隔が、{110}面の銀原子間隔とほぼ等しいことか ら、この官能基を有する物質は、二つの銀原子にまたがるように吸着し{110}面 の成長を抑制するので、その結果として斜方晶系の12面体結晶に成長している 可能性があると論じている。

  Leubner34はDouble jet反応晶析装置を用いた塩化銀結晶の生成実験で、成長抑 制剤として分子内に窒素を多数含有するメルカプト化合物をゼラチンと併せて 使用することにより、生成結晶の粒径を操作する試みを行った。抑制剤濃度100 [ppm]では結晶粒径は約30%に減少し、それに伴い結晶個数は約 90倍に増加し たが、この理由として、抑制剤の存在が過飽和領域を拡大し、核化時間が長く なることで結晶個数が増加したため粒径が減少したと論じている。更に、100 [ppm]以上の濃度では晶癖の変化が著しいが、結晶形に関わらず抑制剤濃度と結 晶個数との間には良好な相関が見られたと報告している。

 また、木村35はチオール類を成長抑制剤として使用し、バッチ法で原料溶液と 抑制剤とを直接混合することで、数nmレベルのヨウ化銀超微粒子の生成に成功 したとしている。

(17)

1.4 本研究の位置づけと意義

 以上、添加剤を使用した難溶性塩の反応晶析法に関する既往研究についてそ のごく一部を概観したが、本研究の目的である単分散微粒子の生成およびその 操作法の提案という観点から見ると、余り研究例が多くないことが見て取れる。

工業製品として長い歴史を持つハロゲン化銀系に関しては、成長抑制と単分散 微粒子生成に成功している例は先に挙げたものを含め数多いが、それ以外の炭 酸塩、硫酸塩などの難溶性塩系に対しては、工業的応用例のみならずラボスケ ールの操作においても、効率の良い単分散微粒子生成法は非常に数が少ない。

この原因は先に述べたように、単分散性を向上させる目的のため、初期塩濃度 を低くしたことによる生産性の低下に起因しているものと思われる。

 また、研究例の多い炭酸カルシウムやアパタイトでは共沈を避けるためにア ルカリ性条件下での晶析が行われるが、この条件下では添加剤として用いられ るカルボキシルポリマーや有機酸は解離して強く結晶表面に吸着し、成長を必 要以上に妨げてしまうことがしばしばある。これも生産性を下げる原因となっ ていると言える。

 本研究でモデル物質として取り上げる硫酸鉛は、反応速度が速く、常温で安 定な化合物であり、結晶多形を持たないなど、モデル物質として扱いやすい性 質を持つが、アルカリ性条件下では水酸化鉛結晶の共沈が起こるため、炭酸カ ルシウムなどとは逆に酸性条件下での晶析操作を前提とする。この条件下で、

既往研究で用いられているような様々な抑制剤が有効に結晶成長を抑制できる かを検討するのが、本研究の骨子の一つとなる。また、他の研究例では塩基性 高分子電解質はほとんど用いられていない。この理由としては塩基性高分子電 解質の選択肢が酸性のそれに比べて少ないことに加え、アルカリ性条件下では 電荷をほとんど持たないので結晶に吸着しないことが容易に予測されることか ら、使用するメリットがないと判断されたものと考えられる。しかしながら、

本研究の酸性領域では塩基性高分子電解質の使用も視野に入れる事ができるの で、興味あるデータが得られるものと期待される。

 以上のことから、本研究では酸性条件下での有機系添加剤、特に塩基性高分 子電解質による硫酸鉛結晶の核化・成長抑制効果の検討と、それを利用した単 分散微粒子生成プロセスの提案を目的とした。これに加えて鉛イオン濃度やpH のオンライン測定のデータなどから、高分子電解質を用いた晶析操作で効率の 良い操作法を提案し、他物質への本法の適用を容易にするための反応モデルの 検討を行った。

(18)

Nomenclature

A:粒子表面積 [m2]

C:溶質のバルク濃度、または固体の溶解度 [mol⋅m-3]

c:溶液濃度 [mol⋅m-3]

∆C:過飽和度差 [mol⋅m-3]

D:拡散係数 [m2⋅s-1]

k:反応速度定数 [m⋅s-1]

N:核個数 [-]

N+:最終結晶個数 [-]

Q:溶質のモル供給速度 [mol⋅s-1]

R:気体定数 [J⋅mol-1⋅K-1]

r:結晶粒径 [m]

T:絶対温度 [K]

t:操作時間 [s]

Vm:固相のモル体積 [m3⋅mol-1]

σ:比表面自由エネルギー [J⋅m-2]

References

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(20)

第二章

硫酸鉛系における添加剤の成長抑制効果の比較

および適した添加剤の選定

(21)

2.1 緒言

 前章で述べたように、反応晶析法にて硫酸鉛結晶の単分散微粒子を作成する にあたっては、添加剤の使用により結晶の核化速度および成長速度を制御し、

かつ成長した結晶の凝集をも抑制する手法が有効であるが、対象物質、対象系 に即した添加剤の使用が重要となる。したがって本章では、硫酸鉛系において 最も核化・成長速度抑制効果の高い添加剤を選定するための検討を行った。

 検討対象となる添加物質は、他の研究例での結果との比較を容易にするため、

前章で挙げた例を含む多くの既往研究で使用されている物質を中心に選択し、

更に 1.4 において述べたように既往研究ではほとんど使用されていない塩基性 高分子電解質も検討対象とした。

本研究で検討対象とした添加剤は以下の通りである。

アミノ酸:L-グルタミン酸、グリシン、L-アルギニン ポリアミノ酸:ゼラチン

酸性高分子:ポリアクリル酸(PAA)、ポリビニルアルコール(PVA)

中性高分子:ポリアクリルアミド(PAM)

塩基性高分子:ポリエチレンイミン(PEI)

 これらの添加剤を溶解した水溶液内で硫酸鉛結晶を核生成、成長させ、生成 した結晶の結晶写真や粒径および形状の単分散性、また実験結果の再現性など から各物質の抑制効果と添加剤としての有効性を比較した。なお、結晶写真な どから明らかに単分散性が低く、成長抑制剤として適さないと思われるような 場合は、その物質に関する詳細な検討は省略した。

(22)

2.2 実験装置および操作

 本研究では、Stavekら1が使用したものと同様の形式の装置を使用し、Double jet 法による晶析操作を行った。あらかじめ所定の組成に調整した有機添加剤水溶 液(以下初期溶液と呼称)を晶析槽(7)に張り込み、恒温槽(8)内にセット した。更に晶析槽内にアクリル製邪魔板(6)を設置し、これをガイドとして原 料供給管(4,4’)およびガラス製撹拌翼(5)を固定した。ここに、原料となる 硝酸鉛(Ⅱ)および硫酸ナトリウムの水溶液をそれぞれ原料タンク(1,1’)から ローラーポンプ(2,2’、古江サイエンス製 RP-NE)を用いて液溜め部(3,3’)に 送り、供給管から等モル反応となるように初期溶液内へ供給した。その後原料 溶液を一定流量で供給し続け、撹拌しつつ反応させた。

実験装置の模式図をFig. 2.2.1に、邪魔板付き晶析槽とガラス製撹拌翼の寸法 をFig. 2.2.2と2.2.3にそれぞれ示す。

1. Feed tank 2. Roller pump 3. Buffer tank 4. Inlet tube 5. Impeller 6. Baffle

7. Crystallizer 8. Thermostat bath 2

2’

1 1’

3

3’

6

5 4’ 4

8

7 Pb2+ SO42-

Growth restrainer solution

Figure 2.2.1 Schematic diagram of double jet crystallization

(23)

Figure 2.2.3 Geometrical parameters of 4-pitched impeller

50mm

14mm 45°

14mm

10mm 10mm

190mm

134mm 50mm

14mm 5mm

29mm 14mm

147mm

5mm

Figure 2.2.2 Geometrical parameters of baffled crystallizer

(24)

 原料供給開始時をもって操作時間0 [min.]とし、所定の操作時間において懸濁10 [mL]を採取し、以下に述べる洗浄操作を行って結晶サンプルとした。採取 した懸濁液をイオン交換水で希釈し、遠心分離器(国産遠心器製H-103N)にて 3500 [rpm]で40分間、遠心分離操作を行った。その後、上澄み溶液を取り除き、

再びイオン交換水を加え、超音波洗浄機を用いて再分散させた。この操作を 3 回繰り返すことでサンプルから添加剤成分を除去し、40 [℃]で温熱乾燥させて顕 微鏡観察可能な状態とした。サンプルの観察は結晶粒径に応じて光学顕微鏡(オ リンパス製 BH-2)またはSEM(日立製S-2500CX)を用いて行い、撮影した顕 微鏡写真から結晶粒径の測定を行った。

 原料には前述の通り硝酸鉛(Ⅱ)および硫酸ナトリウムの特級試薬を関東化 学(株)より購入して使用した。また、初期溶液のpH調整には酢酸を用い、同 じく特級のものを関東化学(株)より購入し使用した。

2.3 ゼラチンを添加剤として使用した場合の成長抑制効果

 ゼラチンは1.3.5において述べた通り、ハロゲン化銀微粒子の生成プロセスに おいて極めて高い凝集抑制効果を示し、かつ粒子の成長を過剰に抑制しないこ とから、単分散微粒子生成のための添加剤としては理想的な性能を持つと言え る。本実験では、実プロセスで用いられているものと同種のゼラチンを使用し、

硫酸鉛系における有用性の検討を行った。

2.3.1 実験条件および操作

 実験条件をTable 2.3.1に示した。酢酸200 [mL]、イオン交換水800 [mL]を混 合した溶液(酢酸濃度3.48 [mol/L])に硝酸鉛(Ⅱ)0.01 [mol]を溶解した。この 溶液にゼラチン40 [g]を加え、60 [℃]に保って撹拌し完全に溶解させ、これを初 期溶液とした。ゼラチン溶解後の溶液pHは、約2.1であった。原料溶液濃度は 0.3 [mol/L]、原料供給流量は0.02 [L/min.]とし、撹拌速度300 [rpm]の条件下で 反応させた。操作温度は、ゼラチン溶解時と同じ333 [K](=60 [℃])とした。

初期溶液内にあらかじめ硝酸鉛(Ⅱ)を添加する操作は、後に述べる他の成 長抑制剤を使用した実験でも行っており、溶解させた鉛イオンを本論文を通じ て過剰イオンと呼称する。過剰イオンに関しては、誘導期間を安定化させる効 果があるほか、Stavekら10.01 [mol]の過剰イオン存在下では硫酸鉛結晶は整 った形状を有する菱面体板状晶になるとしている。この過剰イオンによる晶癖 制御効果はハロゲン化銀系においても同様の現象が報告されている2

使用したゼラチンは写真用アルカリ処理ゼラチンであり、(株)新田ゼラチン

(25)

より供与いただいたものである。本実験ではゼラチンが天然物由来の高分子電 解質であることを考慮し、同製品で異なる複数のロットサンプルを使用するこ とで、ゼラチンのロット差に基づく実験結果の再現性についても検討を行った。

2.3.2 結果および考察

  Fig. 2.3.1(a)〜(c)にゼラチン水溶液内で成長させた結晶の顕微鏡写真を示す。

写真に示されるように、製品粒径は均一な形状を持つ斜方晶系板状晶であった。

一例として、粒径分布測定の結果Fig. 2.3.1(b)のサンプルの平均粒径は23 [µm]、

変動係数は0.065 [-]であり、ゼラチンを成長抑制剤として使用することで、良い 単分散性を持つ微粒子が得られることが示された。

10 µm

Figure 2.3.1(a) Crystals precipitated in a solution of gelatin; sampled at 1 [min.]

Table2.3.1 Operation conditions (using gelatin)

Concentration of reactant solution [mol/L] 0.3

Feed rate [L/min] 0.02

Agitation rate [rpm] 300

Operation temperature [K] 333

Growth restrainer Gelatin

Concentration of restrainer [g/L] 40

Concentration of AcOH [mol/L] 3.48

Concentration of excess Pb ion [mol/L] 0.01

(26)

 しかしながら、異なるロットサンプルのゼラチンを用いて全く同じ条件で実 験を行った結果、製品結晶の形状、粒径、単分散性に大きな相違が見られた。

他の三つのゼラチン溶液内で生成させた結晶の写真をFig. 2.3.2(a)〜(b)に示した。

使用した3つのロットサンプルの内、Fig. 2.3.1 に示した結晶生成に用いたゼラ チン(ゼラチン A とする)のみが良好な単分散性を持つ微粒子を生成させる結

10 µm

Figure 2.3.1(b) Crystals precipitated in a solution of gelatin; sampled at 5 [min.]

Figure 2.3.1(c) Crystals precipitated in a solution of gelatin; sampled at 20 [min.]

10 µm

(27)

果となり、他のゼラチン(ゼラチン Bおよび Cとする)を使用した際は、結晶 の成長が不良である、単分散性が低いなどの問題点が生じた。3つのロットサ ンプルは、全て製品区分上同一と見なされるものであるにも関わらず結果が安 定しないことから、ゼラチンにはロット間に原料の性状の季節差などに起因す る物性値のばらつきがあり、これが結晶の成長現象に与える影響を異ならせる 原因となっているものと考えられる。

 新田ゼラチン(株)の協力を得て各ゼラチンの組成を分析した結果、ゼラチ ンAとBおよびCとの間には、アミノ酸組成にほとんど相違はないが、分子量 分布において有意と認められるほどの分布差が存在した。Fig. 2.3.3 に、ゼラチ ンAとBのGPC測定による分子量分布を示す。保持時間25 [min.]付近のピーク が分子量約1×105のα鎖フラクションに対応するが、10 [%]程度の差が出ており、

これが成長抑止効果の相違の原因になっていると考えられる。なお、ゼラチンB とCの分子量分布にはほとんど差が認められなかった。

10 µm

Figure 2.3.2(a) Crystals precipitated in a solution of gelatin B; 5 [min.] elapsed

(28)

10 µm

Figure 2.3.2(b) Crystals precipitated in a solution of gelatin C; 5 [min.] elapsed

Figure 2.3.3 Molecular weight distribution of gelatin A and B

0 0.05 0.1 0.15 0.2 0.25 0.3 0.35 0.4 0.45 0.5

0 10 20 30 40 50

Retention time [min.]

R e la ti ve f re q u e n c y [- ]

gelatin A

gelatin B

(29)

2.4 アミノ酸を添加剤とした場合の成長抑制効果

 本実験では、ゼラチン分子を構成する約20種のアミノ酸の中から、酸性のL- グルタミン酸、塩基性の L-アルギニン、中性のグリシンを選択し、それらを成 長抑制剤として使用した。2.3で述べたようにゼラチンの実験結果の不均一さが 分子量分布に起因すると考えられることから、モノマーの使用により良好な結 果が得られる可能性があると考えた。

2.4.1 実験条件および操作

 実験条件をTable 2.4.1に示す。使用したアミノ酸はL-グルタミン酸およびL- アルギニンは関東化学製の特級のもので、グリシンは Acros Organics から純度 98%のものを購入した。

2.4.2 結果および考察

 グルタミン酸、アルギニンおよびグリシン溶液中で生成させた結晶の写真を Fig. 2.4.1(a)〜(c)にそれぞれ示す。結晶写真に見られるように、生成する結晶は 不定型な凝集晶であり、粒径の均一性もほとんどなく、単分散微粒子生成の観 点からして不適であった。なお、本論文にはアミノ酸を用いた実験に関してこ れ以上の結果は掲載しないが、アミノ酸濃度などの操作条件を変化させても、

不定型な粗大結晶、あるいは凝集晶のみが得られ、単分散性の向上は全く認め られなかった。

Table2.4.1 Operation conditions (using amino acids)

Concentration of reactant solution [mol/L] 0.1

Feed rate [L/min] 0.02

Agitation rate [rpm] 300

Operation temperature [K] 333

Growth restrainer (L-)Glutamic acid

(L-)Arginine Glycine

Concentration of restrainer [ppm] 30

Concentration of AcOH [mol/L] 3.48

Concentration of excess Pb ion [mol/L] 0.01

(30)

Figure 2.4.1(a) Crystals precipitated in a solution of (L-)glutamic acid; sampled at 3 [min.]

10 µm

Figure 2.4.1(b) Crystals precipitated in a solution of (L-)arginine; sampled at 3 [min.]

10 µm

(31)

2.5 合成高分子電解質を添加剤とした場合の成長抑制効果

 本実験では、試薬として市販されている高分子電解質を成長抑制剤として使 用した。ゼラチンと異なり分子量分布にロット差が少なく、かつ溶液の粘度を 上昇させることでアミノ酸よりも高い凝集抑制効果を示す事が期待できる。市 販の高分子電解質の中から、成長抑制効果を考えやすくするため分子構造の比 較的簡単なものを中心として、酸性、中性、塩基性の高分子電解質それぞれ1

〜2種類について検討を行った。

2.5.1 実験条件および操作

 実験条件をTable 2.5.1に示す。使用した高分子電解質は、PAAは(株)和光 純薬より1級試薬を購入、PVA、PAMはAldrichより購入した。またPEIについ ては、日本触媒(株)より供与いただいた製品(エポミン®、P-1050)のサンプ ルを使用した。Table 2.5.2に高分子電解質の分子量などのデータを示す。分子量 に関してはカタログデータを使用している。PEI使用時のみ実験条件における原 料溶液濃度、高分子電解質濃度が異なる理由に関しては2.5.5で詳述する。

Figure 2.4.1(c) Crystals precipitated in a solution of glycine; sampled at 3 [min.]

10 µm

(32)

2.5.2  PAAの結晶成長および凝集抑制効果に対する検討

 本実験では水溶液中での電気的性質が異なる数種の高分子電解質水溶液中で 晶析操作を行い、成長抑制効果の比較を行った。1.3で述べたようにPAAは成長 抑制効果に関する既往研究例、実験データが多く、本系における高分子の影響 を判断する基準として有用と思われる。

  Fig. 2.5.1(a)〜(c)に、初期PAA濃度1050100 [ppm]の初期溶液中で晶析さ せた結晶の写真を示す。原料濃度 0.1[mol/L]、供給流量 0.01[L/min.]で実験を行 い、PAAは平均分子量250000のものを用いた。これらの写真に見られるように、

PAA濃度10 [ppm](Fig. 2.5.1(a))ではデンドライト状の粗大な結晶が生じてお り、単分散微粒子としては不適であった。またPAA濃度100 [ppm] (Fig. 2.5.1(c)) の場合、逆に結晶の成長が大幅に阻害され、極めて微細な結晶が生成する一方、

一部粗大な粒子が混在していた。これに対しPAA濃度50 [ppm] (Fig. 2.5.1(b)) の場合、比較的単分散性の高い菱面体結晶が得られた。このことから成長抑制 剤としてのPAAの濃度には最適値が存在し、それより高濃度、低濃度いずれの 条件下においても単分散性の高い結晶は生成しないと思われる。既往研究にお いてはPAAは0.1 - 1 [ppm]の低い濃度においても十分な抑制効果を発揮し、そ れ以上の濃度では効果は変わらない例が多い3。したがって以上の結果は、本系 におけるPAAの成長抑制効果が他の研究例、特にアルカリ性条件下でのそれと 異なるものであることを示唆している。本研究の pH≈2 という条件下では PAA はほとんど解離していない4ため、結晶表面への吸着は極めて弱い5ものと考えら

Table 2.5.1 Operation conditions (using polyelectrolytes) 0.05, 0.1, 0.2

Conc. of reactant solution [mol/L] 0.5

0.005, 0.01 0.05, 0.1, 0.2

Feed rate [L/min] 0.005, 0.01 0.01

300

Agitation rate [rpm] 300 300

Operation temperature [K] 298 298

Growth restrainer PEI

298 10, 50, 100 [ppm]

PAA, PVA, PAM

Conc. of restrainer 10, 50, 100 [ppm] 50 [g/L]

3.48

Conc. of AcOH [mol/L] 3.48 3.48

0.01

Conc. of excess Pb ion [mol/L] 0.01 0.01

Table2.5.2 Examined polyelectrolytes and their properties

Acidity and charge Mw or Mn note

PAA acidic, anionic 5000, 25000, 250000 (ave. Mw)

PVA acidic, anionic 89000〜98000 (Mw) 99+% hydrolyzed

PAM neutral, nonionic 10000 (ave. Mw) 50wt% aq. Solution PEI basic, cationic 320000 (ave. Mw), 14000 (ave. Mn) 50wt% aq. Solution

(33)

れる。また、結晶の過度の成長を充分に抑制するのに必要なPAA濃度が既往研 究例におけるそれの約50倍という値であることからも、PAAは結晶への吸着に よってではなく、溶液中に存在する鉛イオンと錯体を形成することによって反 応速度を下げているものと推察される。

Figure 2.5.1(b) Crystals precipitated in a solution of PAA;

PAA conc. = 50 [ppm], sampled at 3 [min.]

10 µm

Figure 2.5.1(a) Crystals precipitated in a solution of PAA;

PAA conc. = 10 [ppm], sampled at 3 [min.]

10 µm

(34)

 つづいて、PAA 水溶液中で結晶の成長を継続した場合の単分散性の変化につ いて検討した。PAA濃度50 [ppm]での結晶成長の様子をFig.2.5.2(a)〜(c)に示す。

使用したPAAはFig. 2.5.1のサンプルと同様、平均分子量250000のものである。

この条件下では、操作開始後5 [min.]程度までに回収された結晶は、先にも述べ たように比較的良好な単分散性を有していた。しかし更に原料供給を続けた場 合、10 [min.]以降にサンプリングされた結晶では凝集や不定形晶の析出が目立っ た。この結果から、PAA 水溶液中での晶析操作にて単分散微粒子を生成する場 合、装置内白濁による結晶発生の確認後、出来る限り早く結晶を回収するのが 望ましいと言える。また、PAA の濃度が比較的低く溶液粘度の増加があまりな いこと、先に述べたように結晶へのPAAの吸着がほとんどないと考えられるこ とから、本実験の条件下ではPAAによる成長・凝集抑制効果は、既往研究で報 告されている例と比較すると弱く、PAA の濃度増加によってより成長を協力に 抑制することは難しいと考えられる。

Figure 2.5.1(c) Crystals precipitated in a solution of PAA;

PAA conc. = 10 [ppm], sampled at 3 [min.]

10 µm

(35)

Figure 2.5.2(b) Crystals precipitated in a solution of PAA;

PAA conc. = 50 [ppm], sampled at 10 [min.]

10 µm

Figure 2.5.2(a) Crystals precipitated in a solution of PAA;

PAA conc. = 50 [ppm], sampled at 3 [min.]

10 µm

(36)

 次に、PAA の分子量の相違が成長抑制効果に及ぼす影響について検討した。

ゼラチンを成長抑制剤として使用した実験で確認されたように、抑制剤の分子 量の違いは結晶への吸着度に大きく関わると考えられる。高分子の分子量およ び水溶液中での分子鎖の広がりが小さいほど結晶の単位表面積あたりの吸着量 は多くなるが、一方で分子量が大きいほど溶存イオン種と錯体を形成しやすく、

かつ吸着後の脱着が起こりにくいため、高い抑制効果を示す場合3もある。した がって異なる分子量のPAAを使用することで、製品結晶の単分散性に何らかの 改善が見られる可能性があると考えた。Fig. 2.5.3 (a)および(b)に、分子量 5000

および 25000 の PAA 水溶液中で生成させた結晶の写真を示す。分子量 5000の

PAA を使用した場合では粒径、単分散性共に分子量 250000 の PAA 使用時とさ ほど変化がなかった。一方分子量 25000 の場合には微細な結晶が多く混じった サンプルが得られた。ただし、どちらの高分子を使用した実験でも結果(本論 文では省略)の再現性に乏しく、操作条件と結果のばらつきの関連を見出すこ ともできなかったため、本系において分子量の小さいPAAを使用する利点はな いと思われる。

Figure 2.5.2(c) Crystals precipitated in a solution of PAA;

PAA conc. = 50 [ppm], sampled at 15 [min.]

10 µm

(37)

 次に、PAA 使用時に特に結晶が成長してからの過成長や凝集が目立つことか ら、原料モル供給速度を低くしての単分散性の改善を試みた。Fig. 2.5.4(a)〜(b) に原料溶液濃度 0.05[mol/L]の場合、Fig. 2.5.5(a)〜(b)に供給流量0.005[L/min]の 場合の製品結晶の経時変化を示す。どちらの条件でも、Fig. 2.5.2 に示したサン

Figure 2.5.3(a) Crystals precipitated in a solution of PAA, Mw of PAA = 5000;

Reactant conc. = 0.1 [mol/L], Feed rate = 0.01 [L/min.] PAA conc. = 50 [ppm], sampled at 3 [min.]

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Figure 2.5.3(b) Crystals precipitated in a solution of PAA, Mw of PAA = 25000;

Reactant conc. = 0.1 [mol/L], Feed rate = 0.01 [L/min.] PAA conc. = 50 [ppm], sampled at 3 [min.]

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プルと同様に、操作初期での結晶の単分散性は高いものの、成長するにつれて 微結晶が発生するなどにより単分散性が低下した。また、逆に原料供給モル速 度を大きくしての実験では、かなり早い段階から微結晶の発生や結晶の過成長 が起こり、単分散性は明らかに低下していたため、ここでは結果を省略する。

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Figure 2.5.4(b) Crystals precipitated in a solution of PAA, low reactant concentration Reactant concentration = 0.05 [mol/L], sampled at 10 [min.]

Figure 2.5.4(a) Crystals precipitated in a solution of PAA, low reactant concentration Reactant concentration = 0.05 [mol/L], sampled at 5 [min.]

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 以上の結果から、PAA の使用によりある程度の単分散性を持つ結晶を得るこ とは可能であるものの、生成結晶の凝集抑制作用が低く、操作条件の変化によ り製品結晶の単分散性を改善することは困難であると考えられる。

Figure 2.5.5(b) Crystals precipitated in a solution of PAA, low feed rate Feed rate = 0.005 [L/min.], sampled at 10 [min.]

10 µm

Figure 2.5.5(a) Crystals precipitated in a solution of PAA, low feed rate Feed rate = 0.005 [L/min.], sampled at 5 [min.]

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2.5.3  PVAの結晶成長抑制効果に対する検討

 本実験では、PAAに付いての実験と同様にPVAによる成長抑制効果の検討を 行った。PVAはアルコールであるので、PAA と同様酸性条件下ではほとんど電 離しないだけでなく、官能基の極性もはるかに弱い。したがって結晶への吸着 だけでなく鉛イオンとの錯体形成も非常に起こりにくいと考えられるので、PAA との効果の比較により成長抑制効果の機構に関して何らかの知見が得られるも のと考えた。

Fig. 2.5.6(a)〜(b)にPVA溶液中で生成させた結晶の写真を示す。Fig. 2.5.6に見 られるように、初期の段階から非常に微細な結晶が多数生成しているが、凝集 やデンドライト状の粗大結晶が既に見られ、結晶成長と共に粗大結晶のみが成 長するように粒径が変化した。操作開始後早い段階での粒径は小さいことから、

PAAおよび PVAの成長抑制効果は低pHで電離がほとんどない状態でも現れて おり、PVAの成長抑制効果もPAA同様、表面への吸着によるものでは無いと考 えられる。PVA は水への溶解度が PAA に比べて低いため本実験では濃度 10 [ppm]で使用しており、使用濃度差を考慮すればPVAの方がPAAよりも抑制効 果は強いと言える。しかしながら、PVA においても操作条件を変化させること で粗大結晶の発生を抑制することは出来ず、本系における成長抑制剤としての 有用性はPAAと比較して優位であるとは言えないと結論された。

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Figure 2.5.6(a) Crystals precipitated in a solution of PVA;

Reactant conc. = 0.1 [mol/L], Feed rate = 0.01 [L/min.] PVA conc. = 10 [ppm], sampled at 3 [min.]

参照

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