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デジタルで現場と経営,サプライチェーンをつなぐ ソリューション

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Academic year: 2022

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COVER STORY Industry Solutions in the New Normal Era

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デジタルで現場と経営,サプライチェーンをつなぐ ソリューション

業務・企業の垣根を越えてバリューチェーンの全体最適化を実現

産業界における最新ニーズ

産業界においては,顧客のニーズが多様化・高度化す るとともに,新型コロナウイルスの感染拡大によって,

自動化・非接触・リモートによる従業員の安全性確保と 生産性向上の両立,サプライチェーン分断リスク下にお ける事業継続性といった新たな課題が出てきている。こ うした課題に対応するにあたり,現場と経営,サプライ チェーンにおける業務・企業の間に存在する最適化を阻 むギャップ,いわゆる「際(きわ)」の課題がこれまで以 上に顕在化する。

日立のインダストリーセクターでは,Lumadaを活用 し,サイバー空間とリアル空間をデジタル技術でつなぐ ことによって,こうした「際」の課題を解決し,バリュー チェーンの全体最適化と新たな事業価値の創出を図る トータルシームレスソリューションを提供している

(図1参照)。ここでは,その一角を担うソリューション と協創の最新事例を紹介する。

現場と経営の間の「際」をつなぐ事例

小型無人搬送ロボット「Racrew」と 倉庫制御システム

新型コロナウイルスの感染拡大によりEC(Electronic  Commerce)の需要が急拡大する中,物流業界では多種 多様な商品を迅速かつ効率的に配送することが求められ ている。中でも物流倉庫においては,先進技術を活用し たオペレーションの自動化や省力化,配送リードタイム

の短縮に向けた取り組みが積極的に行われている。

日立は2015年より,工業用間接資材の通信販売大手 である株式会社MonotaROとロジスティクス分野での 協創を進めており,同社の物流倉庫向けに株式会社日立 インダストリアルプロダクツの小型無人搬送ロボット

「Racrew(ラックル)」を受注・納入している(図2参照)。 Racrewは,工場の製造ラインや配送センターにおけ る部品や商品の保管量,工場内レイアウトの変更に柔軟 に対応しつつ,商品を積載した棚やパレットを指定の位 置まで自動搬送する小型無人搬送ロボットであり,収集 したデータを基に利用頻度の高い棚を短時間で配置した り,渋滞の少ない搬送ルートを選択したりするなど,搬 送効率の改善に貢献する。

今回,MonotaROが新たに兵庫県川辺郡猪名川町に 開設する,同社として最大規模の物流倉庫 「猪名川ディ ストリビューションセンター(仮)」 向けに,約400台の Racrewを含む搬送設備と,倉庫内の搬送設備全体の制 御を行う倉庫制御システム(WCS:Warehouse  Control  System)を受注した。カート台車を使用した従来のピッ キングと,1時間当たりの作業量(想定値)を比較した 結果,3倍超の作業効率向上を実現し,さらにWCSと 連係させることで,新常態(ニューノーマル)に対応す る先進の物流倉庫として大幅な効率化と生産性向上に貢 献する。

将来的には,現在導入検討を進めている倉庫管理シス テム(WMS:Warehouse Management System)やロボ ティクスのさらなる活用により,最適な作業指示や人・

設備などのリソースコントロールを行う機能を強化する など,システムの高度化をめざす。

A ctivities 1

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ニューノーマル時代に挑む産業ソリューション

Vol.102 No.06 692-693 31

サプライチェーンの間の「際」をつなぐ事例

需要変動に即応する生産・販売計画の 立案・実行支援ソリューション

消費者ニーズの多様化に伴って需要がダイナミックに 変動する近年,製造業は生産の遅延や欠品による機会損 失,過剰生産など,サプライチェーン全体でさまざまな 課題を抱えている。中でも化学品は需要変動が激しく,

かつ多品種生産を行うため,製造から販売まで部門間で 調整を行い,状況に応じた製造・販売施策を検討し,週 ないし日単位で実行可能な生産計画を立案して迅速に実 行することが重要である。しかし,グローバルに散在す

る製造・販売拠点について,販売価格や販売・生産量,

設備稼働率,生産能力,関税などの多数のパラメータを 販売先や製品ごとに考慮し,利益,売上,キャッシュフ ローといったKPI(Key  Performance  Indicator)の最大 化に向けた製造・販売施策や生産計画を経営視点で立案 することは難しく,人手による作業では膨大な時間と経 験・ノウハウが必要である。

これに対し,日立はダイキン工業株式会社と共に,

2018年9月から同社のフッ素ゴム製品を対象として,

モノづくりプロセスの革新をめざした新たなソリュー ションの創生・実用化に向けた協創を進めている。

今回,ダイキン工業の事業計画立案業務のノウハウと ニ ー ズ を 基 に, 日 立 がLumadaの 協 創 ア プ ロ ー チ

「NEXPERIENCE」を通じて施策パターンを具現化し,

株式会社日立ソリューションズのSCM(Supply  Chain  Management)最適化シミュレーション技術を適用して 事業計画の立案・実行を支援するソリューションの実証 実験を行った。その結果,利益を最大化する調達・生産・

販売経路の変更など,KPIに寄与する製造・販売施策や,

現場制約を加味した生産計画を複数かつ自動的に提示す ることができた(図3参照)。

本ソリューションでは,従来,担当者が手作業で作成 していた製造・販売施策の約60倍のパターン数を自動 的かつ短時間に作成することができ,それらの定量的な 図1│ インダストリーセクターのめざす姿

図2│ 株式会社MonotaROの

笠間ディストリビューションセンターで稼働中の 小型無人搬送ロボット「Racrew」

顧客トータルプロフィット最大化 環境価値最大化 社会価値最大化

サイバー空間

リアル空間

現場4Mデータ

経営

経営 データ

現場4Mデータ 経営

経営現場 データ

現場4Mデータ Method Material

Machine

経営 データ

現場4Mデータ Human Method Material

Machine

経営 データ

現場

現場4Mデータ Material Machine

データ Material ne

タルシーーシ 経営現場

Mデータ

現場4Mデータデ タ 経営 データ

経営 データ

現場4Mデータ Human Method Material

Machine

経営

環境価値最大化 社会価値最大化 サイバー空間

サイバー空間

現場現場

現場4M

経営

トーソリ

Mデ M chi

M n

現場現場

現場4M Mac

グローバルSCM ネットワーク

サイバーとリア ルをつなぐ4 M データ活用強化

ロボティクスSI

現場

注:略語説明

4M(Human,Machine,Material,Method),SI(System Integration),SCM(Supply Chain Management)

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COVER STORY Industry Solutions in the New Normal Era

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シミュレーション結果に基づいて迅速な合意形成を図る ことで,パターン創出数,需要が判明してから生産可否 を判断するまでの意思決定に要する時間を約95%短縮 できる。ダイキン工業は2020年6月より世界各地のフッ 素化学製品に関するグローバルの5か所の製造拠点,

9か所の販売拠点において,取り扱う数百品目を対象と して本格運用を開始している。

今後,ダイキン工業のその他の製品にも適用拡大を図 るとともに,本ソリューションと製造現場データの収集 基盤を連係させることで,よりタイムリーかつ高精度な 分析と経営判断につなげていく計画である。

異なる企業間の「際」をつなぐ事例

再生医療等製品の

バリューチェーン統合管理プラットフォーム

新しい治療の道を開くと期待される再生医療等製品※1)

の細胞採取・生産・輸送・投与までのバリューチェーン 全体の細胞・トレース情報を統合管理するプラット フォームを開発・構築した。これは,医療用医薬品卸を 手掛けるアルフレッサ株式会社や製薬企業,医療機関な どの関係各所との協創を通じて構築したもので,再生医 療等製品のバリューチェーンに関わるさまざまなステー

クホルダーが利用可能な国内初※2)の共通サービス基盤 として,2021年から実運用を開始する予定である。本 プラットフォームの詳細については,今号掲載の技術論 文「個別化医療時代に向けた再生医療DXソリューショ ン(57ページ)」を参照されたい。

今後の展望

ここでは,日立が長年にわたり培ってきたプロダクト,

OT,ITの経験とノウハウに加え,先進のデジタル技術を 活用して,現場と経営,サプライチェーン間の「際」の課 題を解決するソリューションと協創の事例を紹介した。

今後は,調達,生産,販売,保守サービスまでのサプ ライチェーンから,製品の企画・設計,試作評価,生産 設計,設計保守までのバリューチェーン全体をシームレ スにつなぎ,経営視点での事業最適化をめざす次世代ソ リューションの提供に取り組むとともに,顧客やパート ナーとの協創を通じて,「産業分野のお客さまに対する ベストソリューションパートナー」をめざしていく。

※1) 細胞治療・遺伝子治療・再生医療に用いる細胞加工物のうち,企業の責 任の下で加工が施されたもの。

※2) 2020年8月31日現在,日立調べ。

図3│ 生産・販売計画の立案・実行支援ソリューションの全体イメージ

SCM最適化 シミュレーション

最適化エンジン

複数の製造・販売施策 シナリオ立案

施策シナリオパラメータ 生産地

入れ替え シナリオ 1

シナリオ 1

人員増&

増販 シナリオ 2

販売 売価

利益

充足率 在庫金額

在庫数 稼働率

販売量

製造 原材料単価 設備稼働率 シナリオ反映

最適化された 製造・販売施策と評価結果

試算結果

生産・販売計画

余力活用,

高収益品増産

入れ替え製造可,

ボトルネック解消

益品増産   出力

参照

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