第 4 1 回 世 界 遺 産 委 員 会
(2017 年 ポーランド クラクフ)
審 議 調 査 研 究 事 業 報 告 書
例言
1.
本報告書は、第 41 回世界遺産委員会(2017 年 ポーランド クラクフ)にあたって文化庁から受託し
た「第 41 回世界遺産委員会審議調査研究事業」の成果報告であり、株式会社プレック研究所(担当
部署 世界遺産研究センター)が作成した。
2.
本報告書をまとめるにあたり、本研究事業の過去の報告書や以下のウェブサイトなどを適宜参照し
た。
・ユネスコ世界遺産センター(http://whc.unesco.org)
・文化遺産オンライン(http://bunka.nii.ac.jp/Index.do)
・ICOMOS(http://www.icomos.org/en)
・ICOMOS 日本委員会(http://www.japan-icomos.org/index.html)
・ICCROM(http://www.iccrom.org/)
・IUCN(https://www.iucn.org/)
・IUCN 日本委員会(http://www.iucn.jp/)
3.
本報告書の各世界遺産位置図は、Esri 及び Esri 社製ソフトウェアのライセンス所有者が知的所有権
を有する素材を用いて、ライセンスのもとに作成されている。
裏表紙の写真 「『神宿る島』宗像・沖ノ島と関連遺産群」(福岡県宗像市、福津市) 沖ノ島 沖津宮お き つ み や遥拝所ようはいしょ 宗像大社中津宮 宗像大社辺津宮 新原 しんばる ・奴山ぬ や ま古墳群 写真提供:「宗像・沖ノ島と関連遺産群」世界遺産推進会議。今城秀和氏撮影第 41 回世界遺産委員会が開催された ICE クラクフコングレスセンター
会場内に並べられた委員国 21 か国の国旗
会場から 70km のところにある「アウシュビッツ・ビルケナウ
ナチスドイ
ツの強制絶滅収容所 (1940-1945)」
開会式であいさつするアンジェイ・ドゥダ
ポーランド大統領
開会式であいさつするイリーナ・ボゴバユネスコ事務局長
ヤツェク・ブルフラ議長とメチルド・ロスラー世界遺産センター所長
目次
第 1 章 第 41 回世界遺産委員会概要 ··· 1
1.開催概要 ··· 1
1−1.日時、場所等
1−2.委員国
2.危機遺産及びその他の世界遺産の保全状況の審査概要 ··· 5
3.新規案件の審議概要 ··· 10
4.我が国に関わる案件 ··· 13
5.軽微な境界線の変更 ··· 18
6.その他のトピック ··· 19
6−1.作業指針の改訂 ··· 19
6−2.アップストリームプロセスの継続 ··· 20
6−3.定期報告 第 3 サイクルの開始 ··· 22
6−4.名称の変更 ··· 26
第 2 章 危機遺産及びその他の世界遺産の保全状況の審査 ··· 27
1.全体分析 ··· 27
2.危機遺産保全状況個票 ··· 36
3.その他の世界遺産の保全状況個票 ··· 112
第 3 章 新規推薦案件の審査 ··· 245
1.全体分析 ··· 245
2.新規推薦案件個票 ··· 254
資料編 ··· 309
1.世界遺産条約について ··· 309
2.締約国会議、世界遺産委員会 ··· 310
3.世界遺産センター ··· 310
4.諮問機関 ··· 311
5.世界遺産登録の流れ ··· 313
6.我が国の状況 ··· 315
7.世界遺産関連用語 ··· 318
8.文化的景観リスト ··· 322
7A.20 バグラティ大聖堂とゲラティ修道院(ジョージア)··· 36
7A.21 コソボの中世建造物群(セルビア共和国) ··· 38
7A.22 リヴァプール ‒ 海商都市(英国) ··· 40
7A.23 ポトシ市街(ボリビア多民族国) ··· 42
7A.24 ハンバーストーンとサンタ・ラウラ硝石工場群(チリ共和国) ··· 44
7A.25 パナマのカリブ海沿岸の要塞群:ポルトベロとサン・ロレンソ(パナマ共和国) ··· 46
7A.26 チャン・チャン遺跡地帯(ペルー共和国) ··· 48
7A.27 コロとその港(ベネズエラ・ボリバル共和国) ··· 50
7A.28 ジェンネ旧市街(マリ共和国) ··· 52
7A.29 トンブクトゥ(マリ共和国)··· 54
7A.30 アスキア墳墓(マリ共和国)··· 56
7A.31 カスビのブガンダ王国歴代国王の墓(ウガンダ共和国) ··· 58
7A.32 アブ・メナ(エジプト・アラブ共和国) ··· 60
7A.33 アッシュール(カラット・シェルカット)(イラク共和国) ··· 62
7A.34 ハトラ(イラク共和国) ··· 64
7A.35 都市遺跡サーマッラー(イラク共和国) ··· 66
7A.36 エルサレムの旧市街とその城壁群(ヨルダン・ハシェミット王国提案) ··· 68
7A.37 クーリナの古代遺跡(リビア) ··· 70
7A.38 レプティス・マグナの古代遺跡(リビア) ··· 72
7A.39 サブラータの古代遺跡(リビア) ··· 74
7A.40 ガダーミスの旧市街(リビア) ··· 76
7A.41 タドラット・アカクスのロック - アート遺跡群(リビア) ··· 78
7A.42 イエス聖誕の地:ベツレヘムの聖誕教会と巡礼路(パレスチナ自治政府) ··· 80
7A.43 パレスチナ:オリーブとワインの地−エルサレム南部バティールの文化的景観
(パレスチナ自治政府) ··· 82
7A.44 古都アレッポ(シリア・アラブ共和国) ··· 84
7A.45 古代都市ボスラ(シリア・アラブ共和国) ··· 86
7A.46 古都ダマスクス(シリア・アラブ共和国) ··· 88
7A.47 シリア北部の古代村落群(シリア・アラブ共和国)··· 90
7A.48 クラック・デ・シュヴァリエとカルエッサラー・エル‐ディン
(シリア・アラブ共和国) ··· 92
7A.49 パルミラの遺跡(シリア・アラブ共和国) ··· 94
7A.50 シリア・アラブ共和国の世界遺産に関する一般的決定(シリア・アラブ共和国) ··· 96
7A.51 古都ザビード(イエメン共和国) ··· 98
7A.52 サナア旧市街(イエメン共和国) ··· 100
7A.53 シバームの旧城壁都市(イエメン共和国) ··· 102
7A.54 バーミヤン渓谷の文化的景観と古代遺跡群(アフガニスタン・イスラム共和国) ··· 104
7A.55 ジャムのミナレットと考古遺跡群(アフガニスタン・イスラム共和国) ··· 106
7A.56 ナン・マドール、東ミクロネシアの祭祀場(ミクロネシア連邦) ··· 108
7A.57 シャフリサブス歴史地区(ウズベキスタン共和国)··· 110
その他の世界遺産の保全状況個票目次
7B.34 オフリド地域の自然遺産及び文化遺産(マケドニア旧ユーゴスラビア共和国) ··· 112
7B.35 ブルーマウンテン山脈及びジョン・クロウ山脈(ジャマイカ) ··· 114
7B.36 マチュ・ピチュの歴史保護区(ペルー共和国) ··· 116
7B.37 ロペ- オカンダの生態系と残存する文化的景観(ガボン共和国) ··· 118
7B.38 マロティ- ドラケンスバーグ公園(レソト王国/ 南アフリカ共和国) ··· 120
7B.39 ンゴロンゴロ保全地域(タンザニア連合共和国) ··· 122
7B.40 ベラットとギロカストラの歴史地区(アルバニア共和国) ··· 124
7B.41 ザルツブルク市街の歴史地区(オーストリア共和国) ··· 126
7B.42 ウィーン歴史地区(オーストリア共和国) ··· 128
7B.43 古代都市ネセバル(ブルガリア共和国) ··· 130
7B.44 ムツヘタの文化財群(ジョージア) ··· 132
7B.46 ドナウ河岸、ブダ城地区及びアンドラーシ通りを含むブダペスト(ハンガリー) ··· 136
7B.47 ポンペイ、エルコラーノ及びトッレ・アヌンツィアータの遺跡地域
(イタリア共和国) ··· 138
7B.48 ヴェネツィアとその潟(イタリア共和国) ··· 140
7B.49 ソロヴェツキー諸島の文化と歴史遺産群(ロシア連邦) ··· 142
7B.50 ディヤルバクル城塞とエヴセル庭園の文化的景観(トルコ共和国) ··· 144
7B.51 エフェソス(トルコ共和国) ··· 146
7B.52 イスタンブール歴史地域(トルコ共和国) ··· 148
7B.53 キエフ:聖ソフィア大聖堂と関連する修道院建築物群、キエフ-ペチェールスカヤ
大修道院(ウクライナ) ··· 150
7B.54 コーンウォールとウェストデヴォンの鉱山景観
(英国(グレートブリテン及び北アイルランド連合王国)) ··· 152
7B.55 ウェストミンスター宮殿、ウェストミンスター大寺院及び聖マーガレット教会
(英国(グレートブリテン及び北アイルランド連合王国)) ··· 154
7B.56 ストーンヘンジ、エーヴベリーと関連する遺跡群
(英国(グレートブリテン及び北アイルランド連合王国)) ··· 156
7B.57 フォース橋(英国(グレートブリテン及び北アイルランド連合王国)) ··· 158
7B.58 ブラジリア(ブラジル連邦共和国) ··· 160
7B.59 チロエの教会群(チリ共和国) ··· 162
7B.60 バルパライーソの海港都市の歴史的街並み(チリ共和国) ··· 164
7B.61 キト市街(エクアドル共和国) ··· 166
7B.62 コパンのマヤ遺跡(ホンジュラス共和国) ··· 168
7B.63 パナマビエホ古代遺跡とパナマ歴史地区(パナマ共和国) ··· 170
7B.64 リマ歴史地区(ペルー共和国) ··· 172
7B.65 フライ・ベントスの工業景観(ウルグアイ東方共和国) ··· 174
7B.66 アボメイの王宮群(ベナン共和国) ··· 176
7B.67 グラン・バッサム歴史都市(コートジボワール共和国) ··· 178
7B.68 オモ川下流域(エチオピア連邦民主共和国) ··· 180
7B.69 ラム旧市街(ケニア共和国) ··· 182
7B.70 オスン- オソボ聖林(ナイジェリア連邦共和国) ··· 184
7B.71 サン-ルイ島(セネガル共和国) ··· 186
7B.72 南アフリカ人類化石遺跡群(南アフリカ共和国) ··· 188
7B.73 アルジェのカスバ(アルジェリア民主人民共和国) ··· 190
7B.74 ティパサ(アルジェリア民主人民共和国) ··· 192
7B.75 カルアト・アル- バフレーン−古代の港とディルムンの首都(バーレーン王国) ··· 194
7B.76 古代都市テーベとその墓地遺跡(エジプト・アラブ共和国)··· 196
7B.77 カイロ歴史地区(エジプト・アラブ共和国) ··· 198
7B.78 メンフィスとその墓地遺跡-ギーザからダハシュールまでのピラミッド地帯
(エジプト・アラブ共和国) ··· 200
7B.79 洗礼遺跡(アル・マグタ)「ヨルダン川対岸のベタニア」
(ヨルダン・ハシェミット王国) ··· 202
7B.80 ぺトラ(ヨルダン・ハシェミット王国) ··· 204
7B.81 ウム・エル- ラサス(キャストロ・メファ)(ヨルダン・ハシェミット王国) ··· 206
7B.82 カディーシャ渓谷(聖なる谷)と神のスギの森(ホルシュ・アルツ・エル- ラーブ)
(レバノン共和国) ··· 208
7B.83 ティール(レバノン共和国) ··· 210
7B.84 アイット- ベン- ハドゥの集落(モロッコ王国) ··· 212
7B.85 サウジアラビア・ハーイル地方の岩絵(サウジアラビア王国) ··· 214
7B.86 万里の長城(中華人民共和国) ··· 216
7B.87 マカオ歴史地区(中華人民共和国) ··· 218
7B.88 シルクロード:長安ー天山回廊の経路網
(中華人民共和国 / カザフスタン共和国 / キルギス共和国) ··· 220
7B.89 開城の歴史的建造物と遺跡(北朝鮮) ··· 222
7B.90 ハンピの建造物群(インド) ··· 224
7B.91 バリ州の文化的景観:トリ・ヒタ・カラナ哲学に基づくスバック灌漑システム
7B.92 イスファハンのイマーム広場(イラン・イスラム共和国) ··· 228
7B.93 スーサ(イラン・イスラム共和国) ··· 230
7B.94 チャンパサック県の文化的景観にあるワット・プーと関連古代遺産群
(ラオス人民民主共和国) ··· 232
7B.95 カトマンズの谷(ネパール連邦民主共和国) ··· 234
7B.96 ラホールの城塞とシャーリマール庭園(パキスタン・イスラム共和国) ··· 236
7B.97 タッターの文化財(パキスタン・イスラム共和国) ··· 238
7B.98 古都アユタヤ(タイ王国) ··· 240
7B.99 ブハラ歴史地区(ウズベキスタン共和国) ··· 242
新規推薦案件個票目次
8B.1 ヘブロン/アル=ハリール旧市街(パレスチナ自治政府) ··· 254
8B.9 テワカン−クィカタラン渓谷:メソアメリカ文化発祥の地(メキシコ合衆国) ··· 256
8B.10 ムバンザコンゴ、旧コンゴ王国の首都の痕跡(アンゴラ共和国) ··· 258
8B.11 アスマラ:アフリカの近代建築都市(エリトリア国) ··· 260
8B.12 コーマニの文化的景観(南アフリカ共和国) ··· 262
8B.13 アッ=サルトの折衷主義建築(1865-1925) レバント地域の建築的言語の起源と進化
(ヨルダン・ハシェミット王国) ··· 264
8B.14 コール・ドバイ(ドバイ・クリーク)、伝統的商人の港(アラブ首長国連邦) ··· 266
8B.15 古代真臘(イーシャナプラ)の考古遺跡、サンボー・プレイ・クック寺院ゾーン
(カンボジア王国) ··· 268
8B.16 鼓浪嶼:歴史的租界(中華人民共和国) ··· 270
8B.17 アフマダーバード歴史都市(インド) ··· 272
8B.18 ヤズド歴史都市(イラン・イスラム共和国) ··· 274
8B.19 「神宿る島」宗像・沖ノ島と関連遺産群(日本国) ··· 276
8B.20 ハーンの宮殿とシェキ歴史地区(アゼルバイジャン共和国) ··· 278
8B.21 16∼17 世紀のヴェネツィアの防衛施設群:スタート・ダ・テッラ−西部
スタート・ダ・マール(イタリア共和国、クロアチア共和国、モンテネグロ) ··· 280
8B.22 クジャタ−グリーンランド:古代ノース人とイヌイト人の氷原端農業
(デンマーク王国) ··· 282
8B.23 タプタプアテア(フランス共和国) ··· 284
8B.24 シュヴァーベンジュラ山脈の洞窟群と氷河期アート(ドイツ連邦共和国) ··· 286
8B.25 タルノフスキェ・グルィー鉛、銀、亜鉛鉱山と地下水管理システム
(ポーランド共和国)··· 288
8B.26 スヴィヤシュスク島の聖母被昇天大聖堂(ロシア連邦) ··· 290
8B.27 タライオティック文化のメノルカ島(スペイン王国) ··· 292
8B.28 アフロディシアス(トルコ共和国) ··· 294
8B.29 ナウムブルク大聖堂と、ザーレ川とウンストルート川の中世盛期の文化的景観
(ドイツ連邦共和国)··· 296
8B.30 イギリス湖水地方(英国(グレートブリテン及び北アイルランド連合王国)) ··· 298
8B.31 ゲラティ修道院(「バグラティ大聖堂とゲラティ修道院」の重大な境界線の縮小)
(ジョージア) ··· 300
8B.32 ストラスブール、グラン・ディルからノイシュタット、ヨーロッパの都市の景色
(ストラスブールのグラン・ディルの拡張)(フランス共和国) ··· 302
8B.33 ヴァイマール、デッサウ、ベルナウのバウハウスと関連資産
(ヴァイマールとデッサウのバウハウス関連資産の拡張)(ドイツ連邦共和国) ··· 304
8B.35 ヴァロンゴ埠頭の考古遺跡(ブラジル連邦共和国) ··· 306
1
1.開催概要
1-1.日時、場所等
第 41 回世界遺産委員会は 2017 年 7 月 2 日(日)から 12 日(水)まで、ポーランド クラクフにある ICE
クラクフコングレスセンター(ICE Kraków Congress Centre)において開催され、約 2500 人が参加した。
ポーランドでは初めての世界遺産委員会開催であり、開会式には、クラクフ出身のポーランド大統領アン
ジェイ・ドゥダ氏も出席し歓迎スピーチを行った。
ユネスコ事務局長としてイリーナ・ボゴバ氏が出席する最後の世界遺産委員会となり、次回第 42 回世界遺
産委員会からは新事務局長オードレ・アズレ氏(フランス)が出席することとなる。
本世界遺産委員会開催中の 7 月 10 日には、
いわゆる IS に占拠されていたイラクのモスル解放が行われた。
また、7月5日(水)の昼頃から夜にかけて、福岡県から大分県にかけて観測史上最も多い記録的な雨量を観測
した九州北部豪雨災害に対応するため、『「神宿る島」宗像・沖ノ島と関連遺産群』の審査に向けて日本を
出発していた小川洋福岡県知事が、移動途中で日本に帰国することとなった。
次年度(2018 年)に開催される第 42 回世界遺産委員会の開催国、議長国の決定は、立候補者がなかったため
会議中には決定されず、2017 年 11 月 14∼15 日に開催された第 21 回世界遺産条約締約国総会(パリ、ユネス
コ本部)で、委員国半分の改選と合わせて、バーレーン王国・マナーマが選定された(2018 年 6 月 24 日∼7
月 4 日での開催予定)。
バーレーンでの世界遺産委員会開催は初となる(2011 年第 35 回世界遺産委員会開催国になる予定だった
が、反政府運動により国家緊急事態宣言が出されたため、パリでの開催となった。)。第 42 回世界遺産委員
会は、1カ国から最大 2 件の推薦が審査される(自然遺産(もしくは文化的景観)と文化遺産各 1 件)最後
の世界遺産委員会であり、日本から推薦されている「奄美大島,徳之島,沖縄島北部及び西表島」(自然遺
産)と「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」(文化遺産)が審査される。
会場となったコングレスセンター(左上写真)は、世界遺産「クラクフ歴史地区」(1987 年記載)の
緩衝地帯(波線)内に位置する(右写真は資産である中央市場広場(右上)とヴァヴェル城(右下))
資産範囲
緩衝地帯
第 41 回世界遺産委員会及び臨時会合における議題の審議スケジュールは表4の通りである。なお、会議
文書は世界遺産センターのウェブサイトで事前に公開され(英語、フランス語)、会議の様子も同ウェブサ
イトにおいてライブ放送された(英語、フランス語、スペイン語、アラビア語(7 日より)の同時通訳言語
選択可)。録画ファイルはウェブサイトにて公開されている(会場の生音声のみ)。
表 第 41 回世界遺産委員会(ポーランド・クラクフ)における議題の審議スケジュール
日時
議題
7 月 2 日 (日) 8:00∼19:00 14:00∼15:00 受付 ビューロー会議 15:00∼17:30 オリエンテーション・セッション 19:30∼ 【議題 1】開会(開会セレモニー) 7 月 3 日 (月) 午前 9:30∼13:00 【議題 2】オブザーバー出席承認 【議題 3】議事の採択 【議題 4】第 40 回世界遺産委員会のラポルトゥール報告 【議題 14】世界遺産基金会計報告 【議題 11】作業指針改定 【議題 12A】 作業メソッドの評価と監査の勧告のフォローアップとアドホッ クワーキンググループの結果 【議題 5A】世界遺産委員会活動報告 若手専門家フォーラム 2017 からのメッセージ 昼休み 13:00∼15:00 午後 15:00∼18:30 【議題 5B】諮問機関報告 【議題 5C】世界遺産条約及び持続可能な発展 【議題 6】世界遺産キャパビル戦略に関するフォローアップ及びカテゴリー2 センターに関する進捗報告 7 月 4 日 (火) 午前 9:30∼13:00 【議題 7】世界遺産の保全状況 【議題 7A】危機遺産の保全状況 昼休み 13:00∼15:00 午後 15:00∼18:30 【議題 7A】危機遺産の保全状況 7 月 5 日 (水) 午前 9:30∼13:00 【議題 7B】世界遺産の保全状況 昼休み 13:00∼15:00 午後 15:00∼18:30 【議題 7B】世界遺産の保全状況 7 月 6 日 (木) 午前 9:30∼13:00 【議題 7B】世界遺産の保全状況 昼休み 13:00∼15:00 午後 15:00∼18:30 【議題 7B】世界遺産の保全状況 7 月 7 日 (金) 午前 9:30∼13:00 【議題 8A】2017 年 4 月 15 日までに提出された締約国の暫定リスト 【議題 8B】新規登録審査 昼休み 13:00∼15:00 午後 15:00∼18:30 【議題 8B】新規登録審査 7 月 8 日 (土) 午前 9:30∼13:00 【議題 8B】新規登録審査 昼休み 13:00∼15:00 午後 15:00∼18:30 【議題 8B】新規登録審査 7 月 9 日 (日) 午前 9:30∼13:00 【議題 8B】新規登録審査 昼休み 13:00∼15:00 午後 15:00∼18:30 【議題 8B】新規登録審査3
日時
議題
7 月 10 日 (月) 午前 9:30∼13:00 【議題 8D】資産範囲境界の確認 【議題 8E】遡及的顕著な普遍的価値の言明 【議題 9A】アップストリームプロセスに関する進捗報告 【議題 9B】複合遺産の経過報告 【議題 10A】定期的報告についての考察(2015 年∼2017 年)に関する進捗報告 昼休み 13:00∼15:00 午後 15:00∼18:30 【議題 10B】定期的報告活動第 2 サイクルのフォローアップ 【議題 12B】外部監査官報告のフォローアップ(Document 38C/23)
【議題 13】国際援助 【議題 7】世界遺産の保全状況(決定文の採択) 【議題 8C】世界遺産一覧表、危機遺産リストの更新 7 月 11 日 (火) 午前 9:30∼13:00 【議題 11】作業指針改定 【議題 14】2016∼2017 年の世界遺産基金の最終報告と 2018−2019 年の 2 年間における世界遺産基金の実施報告 【議題 12A】作業メソッドの評価と監査の勧告のフォローアップとアドホッ クワーキンググループの結果 【議題 15】その他 【議題 16】第 42 回世界遺産委員会(2018 年)議長及び副議長、ラポルトゥ ールの選出 【議題 17】2018 年第 42 回世界遺産委員会の暫定アジェンダ 昼休み 13:00∼15:00 午後 15:00∼18:30 19:30∼ 事務局及びラポルトゥールによる報告書準備 閉会セレモニー 7 月 12 日 (水) 午前 9:30∼13:00 【議題 18】決定案採択 【議題 19】閉会セッション1-2.委員国
議長は、ポーランドのヤツェク・ブルフラ教授(Prof. Jacek Purchla)が務めた。副議長は、アンゴラ(ア
フリカ)、クウェート(アラブ諸国)、ペルー(カリブ海・ラテンアメリカ)、ポルトガル(ヨーロッパ・北
米)、韓国(アジア太平洋)、ラポルトゥール(rapporteur:報告者)はタンザニアのムハンマド・ジュマ氏
(Mr Muhammad Juma)であった。
委員国は、アンゴラ、アゼルバイジャン、ブルキナファソ、クロアチア、キューバ、フィンランド、インド
ネシア、ジャマイカ、カザフスタン、クウェート、レバノン、ペルー、フィリピン、ポーランド、ポルトガ
ル、韓国、チュニジア、トルコ、タンザニア、ベトナム、ジンバブエであった。その地域分布は、欧州・北米
地域 3(地域内締約国数 27)、東欧地域 2(地域内締約国数 25)、南米カリブ海地域 3(地域内締約国数 33)、
アジア・太平洋地域 5(地域内締約国数 44)、アフリカ地域 4(地域内締約国数 47)、アラブ地域 3(地域
内締約国数 19)であった。
前述の第 21 回世界遺産条約締約国総会で、2017 年に任期が切れる委員国 12 か国分(クロアチア、フィン
ランド、ジャマイカ、カザフスタン、レバノン、ペルー、フィリピン、ポーランド、ポルトガル、韓国、トル
コ、ベトナム)の選挙が行われ、新たにノルウェー、スペイン、ボスニア・ヘルツェゴビナ、ハンガリー、ブ
ラジル、グアテマラ、セントクリストファー・ネーヴィス、中国、オーストラリア、キルギスタン、ウガンダ
及びバーレーンの 12 か国が選出された。
世界遺産委員会委員国リスト
任期 地域 I 欧州北米 地域 II 東欧 地域 III 南米カリブ海 地域 IV アジア太平洋 地域 Va アフリカ 地域 Vb アラブ 締約国数 27 (14%) 25 (13%) 33 (17%) 42 (22%) 47 (24%) 19 (10%) 2017 年(第 41 回世界遺産 委員会)まで フィンラン ド ポルトガル トルコ クロアチア ポーランド ジャマイカ ペルー カザフスタ ン フィリピン 韓国 ベトナム レバノン 2019 年まで アゼルバイ ジャン キューバ インドネシ ア アンゴラ ブルキナフ ァソ タンザニア ジンバブエ クウェート チュニジア 2021 年まで (新規) ノルウェー スペイン ハンガリー ボスニア・ ヘルツェゴ ビナ ブラジル グアテマラ セントクリ ストファ ー・ネーヴ ィス 中国 オーストラ リア キルギスタ ン ウガンダ バーレーン5
0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 1年 2∼9年 10∼19年 20年以上2.危機遺産の審議及びその他の世界遺産の保全状況の審査概要
第 41 回世界遺産委員会においては、危機遺産となっている 37 件の文化遺産全てについて保全状況が報告
され、そのうち 20 件が個別の審議対象となった。事務局からは、すべての危機遺産について、引き続き危機
遺産リストに掲載する決定案が示されていたが、「バグラディ大聖堂及びゲラティ修道院」(ジョージア)
1 件については、再建による不可逆的な変更が行われた構成資産であるバグラディ大聖堂を除外し、資産名
称を「ゲラティ修道院」とする資産範囲変更が新規資産の審査(議題 8B)にて変更が承認されたことに伴い、
危機遺産リストから除外された。これは、バグラティ大聖堂としてみれば、世界遺産リストからの除外であ
る。
その他の世界遺産については、66 件の文化遺産・複合遺産について保全状況が報告され、10 件が個別審査
対象となった。今回新たに、かねてより保全状況に問題が指摘されてきた「ウィーン歴史地区」(オースト
リア)及び緊急審議案件として審議された「ヘブロン/アル=ハリール旧市街」(パレスチナ)の 2 件が危
機遺産リストに記載された。
事務局による決定案では「カトマンズの谷」(ネパール)、「ラホールの城塞とシャーリマール庭園」
(パキスタン)も危機遺産リストへの記載が勧告されていたが、委員会審議によりいずれも危機遺産化は見
送られた。
以上危機遺産 1 件が解除され、2 件が新たに追加(1 件は新規記載と同時に危機遺産リストにも登録)され
た結果、1 件増加し、危機遺産リストに記載されている文化遺産は 19 か国 38 件となった(なお、複合遺産
で危機遺産になっているものは現在のところない)。
危機遺産リストの有効性
危機遺産リストの審議及び、危機遺産リストに記載すべきか否か議論された際、危機遺産にすることは保
全状況の改善や問題解決のためであり罰ではないと言いながら危機遺産となることに多くの国が抵抗を示す
ことや、危機遺産リストに長年掲載されたまま問題の解決にいたっていないことを問題視し、危機遺産リス
トの有効性についての議論を行うべきとの発言が複数の委員国からあった。
危機遺産の危機遺産リスト記載年数
件(エルサレムの旧市街とその城壁群(ヨルダン提案)1982 年∼現在まで 35 年/チャン・チャン遺跡地帯(ペ
ルー)1986 年∼現在まで 31 年/トンブクトゥ(マリ)1990 年∼2005 年、2012 年∼現在まで通算 20 年)を筆
頭に 10 年以上危機遺産のままであるものが約 1/3 の 12 件ある一方、昨今のテロによる意図的破壊等をうけ
て危機遺産に追加されたものを含め、危機遺産になって間もないものも 10 件含まれている状況である。
HIA(遺産影響評価)
近年世界遺産委員会の保全状況の審議に関連して、個別開発事業や関係法令の変更による世界遺産の顕著な
普遍的価値への影響を評価する「遺産影響評価」(Heritage Impact Assessment)について、具体的な方法論の
議論と並行しつつ(2011 年にイコモスにより ICOMOS Guidance on Heritage Impact Assessments for Cultural
World Heritage Properties という文書がまとめられている)、各国で実施するよう求める決定が目立って採択
されるようになってきている。
第 41 回世界遺産委員会では、危機遺産についてはアブ・メナ(エジプト)、イエス聖誕の地(パレスチ
ナ)、サナア旧市街(イエメン)の 3 件について、それぞれ、ビジターセンター建設、商業施設及び駐車場、
上下水道事業による遺産への影響を評価するよう求める決定が採択された。
その他の世界遺産の保全状況報告については、リマ歴史地区(ペルー)のように遺産影響評価を実施しない
まま事業が進められてしまったことに遺憾の意を表明する決定が採択されたものがあった一方で、バルパラ
イーソ(チリ)、マロティ- ドラケンスバーグ公園(レソト、南アフリカ、複合遺産)やンゴロンゴロ保
全地域(タンザニア、複合遺産)のように遺産影響評価の実施、提出が評価されたものもあった。その他、
遺産影響評価の実施が求められたものは 26 件あった。
なお、新規に世界遺産に記載されたものについても、日本の「神宿る島」宗像・沖ノ島と関連遺産群を含め
た 8 件について、世界遺産リストへの記載にあわせて遺産影響評価の実施が求められている。
オブザーバーの発言機会
第 41 回世界遺産委員会では、議長国ポーランドの裁量により、保全状況の審議の際に、積極的に NGO 等
のオブザーバーに発言の機会が与えられた。
世界遺産委員会での発言機会は、委員国、委員国以外の締約国、諮問機関等の関係機関に優先的に与えら
れ、その後、NGO 等のオブザーバーに発言の機会が与えられることがある。また、事務局は、保全状況報告
に際し、各締約国からの報告、諮問機関によるミッション報告の他、特に紛争等により情報の入手が困難な
場合など、NGO や個人専門家等による情報を含めた様々な情報源を考慮している。
今回オブザーバーの発言により世界遺産委員国の審議内容や決定に変更が加えられることはなかったが、
今後の世界遺産委員会において、今回同様に NGO 等に発言の機会が与えるかどうか注目される。
7
表 議題 7A(危機遺産の保全状況)審議結果一覧表(文化遺産、複合遺産)
No. 締約国 資産名称 決定案 決定 危機遺産 リスト 保全状況 報告書の 提出期限 危機遺産 リスト 保全状況 報告書の 提出期限 1 ジョージア バグラティ大聖堂とゲラティ修道 院 引き続き記載 2018/2/1 解除 2019/12/1 2 セ ル ビ ア 共 和 国 共 和 国 コソボの中世建造物群 引き続き記載 2018/2/1 次回まで議論 を延期 ― 3 グ レ ー ト ブ リ テ ン 及 び 北 ア イ ル ラ ン ド 連 合王国 リヴァプールー海商都市 引き続き記載 2018/2/1 引き続き記載 2018/2/1 4 ボ リ ビ ア 多 民 族 国 多 民族国 ポトシ市街 引き続き記載 2018/2/1 引き続き記載 2018/2/1 5 チリ共和国 ハンバーストーンとサンタ・ラウ ラ硝石工場群 引き続き記載 2018/2/1 引き続き記載 2018/2/1 6 パナマ共和国 パナマのカリブ海沿岸の要塞群 引き続き記載 2018/2/1 引き続き記載 2018/2/1 7 ペルー共和国 チャン・チャン遺跡地帯 引き続き記載 2018/2/1 引き続き記載 2018/2/1 8 ベネズエラ・ボリバル 共和国 コロとその港 引き続き記載 2018/2/1 引き続き記載 2018/2/1 9 マリ共和国 ジェンネ旧市街 引き続き記載 2018/2/1 引き続き記載 2018/2/1 10 マリ共和国 トンブクトゥ 引き続き記載 2018/2/1 引き続き記載 2018/2/1 11 マリ共和国 アスキア墳墓 引き続き記載 2018/2/1 引き続き記載 2018/2/1 12 ウガンダ共和国 カスビのブガンダ王国歴代国王の 墓 引き続き記載 2018/2/1 引き続き記載 2018/2/1 13 エジプト・アラブ共和 国 アブ・メナ 引き続き記載 2018/2/1 引き続き記載 2018/2/1 14 イラク共和国 アッシュール(カラット・シェルカ ット) 引き続き記載 2018/2/1 引き続き記載 2018/2/1 15 イラク共和国 ハトラ 引き続き記載 2018/2/1 引き続き記載 2018/2/1 16 イラク共和国 都市遺跡サーマッラー 引き続き記載 2018/2/1 引き続き記載 2018/2/1 17 パ レ ス チ ナ 自 治 政 府 (ヨルダン・ハシェミ ット王国提案) エルサレムの旧市街とその城壁群 ― ― 引き続き記載 ― 18 リビア クーリナの古代遺跡 引き続き記載 2018/2/1 引き続き記載 2018/2/1 19 リビア レプティス・マグナの古代遺跡 引き続き記載 2018/2/1 引き続き記載 2018/2/1 20 リビア サブラータの古代遺跡 引き続き記載 2018/2/1 引き続き記載 2018/2/1 21 リビア ガダーミスの旧市街 引き続き記載 2018/2/1 引き続き記載 2018/2/1 22 リビア タドラット・アカクスのロック - アート遺跡群 引き続き記載 2018/2/1 引き続き記載 2018/2/1 23 パレスチナ自治政府 イエス生誕の地:ベツレヘムの聖 誕教会と巡礼路 引き続き記載 2018/2/1 引き続き記載 2018/2/1 24 パレスチナ自治政府 パレスチナ:オリーブとワインの 地−エルサレム南部バティールの 文化的景観 引き続き記載 2018/2/1 引き続き記載 2018/2/1 25 シリア・アラブ共和国 古都アレッポ 引き続き記載 2018/2/1 引き続き記載 2018/2/1 26 シリア・アラブ共和国 古代都市ボスラ 引き続き記載 2018/2/1 引き続き記載 2018/2/1 27 シリア・アラブ共和国 古都ダマスクス 引き続き記載 2018/2/1 引き続き記載 2018/2/1 28 シリア・アラブ共和国 シリア北部の古代村落群 引き続き記載 2018/2/1 引き続き記載 2018/2/1 29 シリア・アラブ共和国 クラック・デ・シュヴァリエとカル エッサラー・エル‐ディン 引き続き記載 2018/2/1 引き続き記載 2018/2/1 30 シリア・アラブ共和国 パルミラの遺跡 引き続き記載 2018/2/1 引き続き記載 2018/2/1No. 締約国 資産名称 危機遺産 リスト 保全状況 報告書の 提出期限 危機遺産 リスト 保全状況 報告書の 提出期限 シリア・アラブ共和国 シリア・アラブ共和国の世界遺産 に関する一般的決定 ― 2018/2/1 ― 2018/2/1 31 イエメン共和国 古都ザビード 引き続き記載 2018/2/1 引き続き記載 2018/2/1 32 イエメン共和国 サナア旧市街 引き続き記載 2018/2/1 引き続き記載 2018/2/1 33 イエメン共和国 シバームの旧城壁都市 引き続き記載 2018/2/1 引き続き記載 2018/2/1 34 アフガニスタン・イス ラム共和国 バーミヤン渓谷の文化的景観と古 代遺跡群 引き続き記載 2018/2/1 引き続き記載 2018/2/1 35 アフガニスタン・イス ラム共和国 ジャムのミナレットと考古遺跡群 引き続き記載 2018/2/1 引き続き記載 2018/2/1 36 ミクロネシア連邦 ナン・マドール、東ミクロネシアの 祭祀場 引き続き記載 2018/2/1 引き続き記載 2018/2/1 37 ウ ズ ベ キ ス タ ン 共 和 国共和国 シャフリサブス歴史地区 引き続き記載 2018/2/1 引き続き記載 2018/2/1
*
エルサレムの旧市街とその城壁群(パレスチナ自治政府(ヨルダン・ハシェミット王国提案))は、決定案が事前に公表 会場において委員国のみに配布されたため、空欄とした。9
表 議題 7B(世界遺産保全状況)審議結果一覧(個別審議対象となった文化遺産、複合遺産)
No. 決定番 号 締約国 資産名称 決定案 決定 危機遺産 リスト関係 進捗状況 報告書の 提出期限 保全状況 報告書の 提出期限 1 7B.39 タンザニア連合共和国 ンゴロンゴロ保全地域 ― ― 2018/12/1 決定案どおり 2 7B.42 オーストリア共和国 ウィーン歴史地区 危機遺産登録 ― 2018/2/1 危機遺産登録 3 7B.49 ロシア連邦 ソロヴェツキー諸島の文化と 歴史遺産群 ― 2017/12/1 2018/12/1 決定案どおり 4 7B.68 エチオピア連邦民主共和国 オモ川下流域 ― 2017/12/1 ※SEA の提 出 期 限 が 2018/2/1 2018/2/1 SEA の提出期限 が 2018/2/1」の 記述削除 5 7B.69 ケニア共和国 ラム旧市街 ― 2017/12/1 2018/2/1 決定案どおり 6 7B.71 セネガル共和国 サン-ルイ島 次 回 危 機 遺 産 検討 ― 2018/2/1 保全状況報告書 の 提 出 期 限 2018/12/1 7 7B.78 エジプト・アラブ共和国 メンフィスとその墓地遺跡-ギ ーザからダハシュールまでの ピラミッド地帯 ― ― 2018/2/1 決定案どおり 8 7B.88 中華人民共和国、カザフス タン、キルギス シルクロード:長安ー天山回廊 の経路網 次 回 危 機 遺 産 検討 2018/12/1 までに管理 計画を提出 すること。 また、この 進捗状況を 2017/12/1 までに報告 すること。 2018/2/1 構成資産タルガ ルの再建事業の 詳細な報告書を 2017/12/1 まで に、保全状況報 告 書 を 2018/2/1 ま で に 提 出 す る こ と。 9 7B.95 ネパール連邦民主共和国 カトマンズの谷 危機遺産登録 ― 2018/2/1 危機遺産登録見 送り 保全状況報告書 を 2018/2/1 ま でに提出するこ と。 10 7B.96 パキスタン・イスラム共和 国 ラホールの城塞とシャーリマ ール庭園 危機遺産登録 ― 2018/2/1 危機遺産登録見 送り 視覚影響調査を 2017/12/1 まで に、保全状況報 告 書 を 2018/2/1 ま で に 提 出 す る こ と。3.新規推薦案件の審査概要
21 件の資産が新たに世界遺産一覧表に加えられた(昨年も 21 件)。その内訳は、文化遺産が 18 件(昨年
は 12 件)、自然遺産が 3 件(昨年は 6 件)、複合遺産が 0 件(昨年は 3 件)であった。
文化遺産若しくは複合遺産には 31 件が推薦されていたが、事前に 3 件が取り下げられ、直前に 1 件が取
り下げられた(昨年は事前取り下げ 5 件、直前取り下げ 2 件)ため、世界遺産委員会で最終的に審査された
文化・複合遺産は 27 件であった。
イコモスは記載延期(deferral)を 7 件に対して勧告していたが、その内 6 件が記載(inscription)となり、
テワカン−クィカタラン渓谷:メソアメリカ文化発祥の地(メキシコ)1 件が情報照会(referal)となった。
イコモスによる情報照会勧告はクジャタ−グリーンランド:古代ノース人とイヌイト人の氷原端農業(デ
ンマーク)1 件のみであったが、委員会の審議により記載となった。
不記載勧告が 4 件に勧告されていたが、3 件が情報照会、1 件が記載延期勧告に変更された。最終的に、イ
コモス勧告の変更は 27 件の内 12 件で行われた。
我が国の推薦資産である「『神宿る島』宗像・沖ノ島と関連遺産群」にも、イコモスは構成資産 8 件中 4
件のみの記載及び「『神宿る島』沖ノ島」への名称変更を勧告していたが、委員会の審議により全ての構成
資産及び名称変更なしで記載された(評価基準は ii, iii, vi から ii, iii へ変更)。
特筆すべきものとしては、イスラエル当局の反対により現地調査が実施できず、世界遺産委員会史上初め
てイコモス勧告が示されないまま委員会審議に持ち込まれた「ヘブロン/アル=ハリール旧市街」(パレス
チナ)、不記載勧告でありながら委員国から記載を支持する修正案が提出され、別途協議の上で情報照会と
なった「コール・ドバイ(ドバイ・クリーク)、伝統的商人の港」(アラブ首長国連邦)、初の世界遺産 2
件(「ムバンザコンゴ、旧コンゴ王国の首都の痕跡」/アンゴラ、「アスマラ:アフリカの近代建築都市」
/エリトリア)、文化的景観カテゴリーの議論の鏑矢となった「イギリス湖水地方」(英国)が挙げられる。
これにより、世界遺産の数は 1073 件(文化遺産 832 件、複合遺産 37 件、自然遺産 206 件、危機遺産 54
件)となった。
文化的景観(100 件突破)
第 41 回世界遺産委員会では、4 件の文化的景観(クジャタ(デンマーク)、タプタプアテア(フランス)、
コーマニ(南ア)、イギリス湖水地方(イギリス))が記載され、文化的景観の数が 102 件となり 100 件を
超える年となった。
なお、カンボジアの「古代真臘(イーシャナプラ)の考古遺跡、サンボー・プレイ・クック」は、文化的
景観として推薦されていたが、推薦範囲の一部分のみの記載となり最終的に文化的景観としての記載は認め
られなかった。
1992 年に米国ニューメキシコ州サンタフェで開催された第 16 回世界遺産委員会において文化的景観が文
化遺産のカテゴリーとして正式に追加されてから、1995 年以降毎年数件が着実に記載されてきた。25 年間
で 100 件を超え、文化遺産及び複合遺産の約 1 割を占めるまでとなった。
11
表 議題 8B(新規記載)審査結果一覧(文化遺産、複合遺産)
網掛け:審議取り下げ
審議 順番 締約国 資産名称 締約国 評価基準 イコモス 勧告 決定 文化遺産タイプ 1 パレスチナ自治 政府 ヘブロン/アル=ハリール旧市街 (ii)(iv)(vi) なし I (ii)(iv)(vi) 同時に 危機遺産 歴史的都市 2 メキシコ合衆国 テワカン−クィカタラン渓谷: メソアメリカ文化発祥の地 (iii)(iv)(vi)(x) D R 複合遺産 文化的景観 3 アンゴラ共和国 ムバンザコンゴ、旧コンゴ王国 の首都の痕跡 (iii)(v)(vi) I (iii)(iv) 初の世界遺 産 I (iii)(iv) 考古遺跡 (歴史的都市) 4 エリトリア国 アスマラ:アフリカの近代建築都 市 (ii)(iii)(iv) I (ii)(iv) 初の世界遺 産 I (ii)(iv) 近代建築 5 南アフリカ共和 国 コーマニの文化的景観 (iii)(iv)(v)(vi) D I (v)(vi) 文化的景観 6 ヨルダン・ハシ ェミット王国 アッ=サルトの折衷主義建築 (1865-1925) レバント地域の建 築的言語の起源と進化 (ii)(iii) N D 近代建築 7 アラブ首長国連 邦 コール・ドバイ(ドバイ・クリ ーク)、伝統的商人の港 (ii)(iii)(vi) N R 歴史的都市 8 カンボジア王国 古代真臘(イーシャナプラ)の 考古遺跡、サンボー・プレイ・ クック寺院ゾーン (ii)(iii)(vi) D I (寺院地域 のみ) (ii)(iii)(vi) 考古遺跡 (古代都市) 文化的景観 9 中華人民共和国 鼓浪嶼:歴史的租界 (ii)(iii)(iv) I (ii)(iv) I (ii)(iv) 歴史的都市 10 インド アフマダーバード歴史都市 (ii)(v)(vi) D I (ii)(v) 歴史的都市 11 イラン・イスラ ム共和国 ヤズド歴史都市 (ii)(iii)(iv)(v) D I (iii)(v) 歴史的都市 12 日本国 「神宿る島」宗像・沖ノ島と関連 遺産群 (ii)(iii)(vi) I (ii)(iii) I (ii)(iii) 考古遺跡 (祭祀遺跡) 13 アゼルバイジャ ン共和国 ハーン宮殿とシェキ歴史地区 (ii)(iii)(iv)(v) N R 歴史的都市 14 イタリア共和 国、クロアチア 共和国、モンテ ネグロ 16 17 世紀のヴェネツィアの防 衛施設群:スタート・ダ・テッ ラ−西部スタート・ダ・マール (ii)(iii)(iv) I (iii)(iv) I (iii)(iv) 土木遺産 (軍事) 15 デンマーク王国 クジャタ−グリーンランド:古 代ノース人とイヌイト人の氷原 端農業 (v) R I (v) 文化的景観 (農業景観) 16 フランス共和国 タプタプアテア (iii)(iv)(vi) I (iii)(iv)(vi) I (iii)(iv)(vi) 文化的景観 17 ドイツ連邦共和 国 シュヴァーベンジュラ山脈の洞 窟群と氷河期アート (i)(iii) I (iii) I (iii) 考古遺跡 (旧石器時代) 18 ポーランド共和 国 タルノフスキェ・グルィー鉛、 銀、亜鉛鉱山と地下水管理シス テム (i)(ii)(iii)(iv) D I (i)(ii)(iv) 産業 (鉱山)、 土木遺産 19 ロシア連邦 スヴィヤシュスク島の聖母被昇天 大聖堂と大聖堂 (ii)(iv) I (ii)(iv) I (ii)(iv) 建造物群順番 締約国 資産名称 評価基準 勧告 決定 文化遺産タイプ 20 スペイン王国 タライオティック文化のメノル カ島 (iii)(iv) D D 考古遺跡 (巨石墓、 居住地他) 21 トルコ共和国 アフロディシアス (ii)(iii)(iv)(vi) D I (ii)(iii)(iv)(vi) 考古遺跡 (古代都市) 22 ドイツ連邦共和 国 ナウムブルク大聖堂と、ザーレ 川とウンシュトルト川の中世盛 期の文化的景観 (i)(ii)(iv) N R 建造物群 (教会建築) 文化的景観 23 英国(グレート ブリテン及び北 アイルランド 連合王国) イギリス湖水地方 (ii)(v)(vi) I (ii)(v)(vi) I (ii)(v)(vi) 文化的景観 24 ジョージア ゲラティ修道院(バグラティ大聖 堂とゲラティ修道院の重大な境界 線の縮小、(iv), 1994年) (iv) OK (iv) OK 建造物群 25 フランス共和国 ストラスブール、グラン・ディ ルからノイシュタット、ヨーロ ッパの都市の景色 (ストラス ブールのグラン・ディルの拡張 (i)(ii)(iv), 1988 年) (i)(ii)(iv) OK (ii)(iv) OK 建造物群 26 ドイツ連邦共和 国 ヴァイマール、デッサウ、ベル ナウのバウハウスと関連資産 (ヴァイマールとデッサウのバ ウハウス関連資産の拡張、 (ii)(iv)(vi), 1996 年) (ii)(iv)(vi) OK (ii)(iv)(vi) OK 建造物群 記念物 27 ドイツ連邦共和国 中央ドイツのルターの建造物群 (アイスレーベンとヴィッテン ベルクにあるルターの記念建造 物の拡張) (iv)(vi) NA 審議取り下げ 建造物群 28 ブラジル連邦共 和国 ヴァロンゴ埠頭の考古遺跡 (iii)(vi) I (vi) I (vi) 考古遺跡 I: 記載、R: 情報照会、D: 記載延期、N: 不記載、OK: 拡張承認、NA: (拡張を)認めない 文化遺産タイプについては、決まった分類が存在するわけではないが、便宜上タイプを示した。
表 事前に取り下げられた推薦案件(文化遺産、複合遺産)
No 締約国 資産名 推薦国 評価基準 タイプ 構成資産数 1 バーレーン ディルムン墳墓Dilmun Burial Mounds
(iii)(iv) 考古遺跡 (墳墓)
23 2 大韓民国 漢陽都城、ソウル城壁
Hanyangdoseong, the Seoul City Wall
(iii)(iv)(v) 考古遺跡 (都城)
21 3 モルドバ共和国 オルヘイウベキ考古景観
Orheiul Vechi Archaeological Landscape
(v) 文化的景観 (考古遺跡) 1