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2019 年 救急センター活動報告 利用統計を見る

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2019 年 救急センター活動報告

麻酔科・救急センター長

下 舘 勇 樹

は じ め に

本稿では最近の救急車受け入れ状況を振り返りなが ら、地域の現状を分析してみたい。

⚑.救急車受け入れ状況

図⚑と図⚒に過去の市内二次医療機関の受け入れ件数 を示す。西胆振で最も多くの救急車を受け入れていた当 院は 2015 年度に製鉄記念病院にその座を譲り、両者の 差は次第に広がっていった。しかし 2019 年に入ってか ら製鉄記念病院の受け入れ数が突如 2/3 に減少、当院と の差が縮小したのが明らかであろう。当院・日鋼記念・

大川原脳外は多少の月変動はあるものの、概ねコンスタ ントに推移していると言える。

製鉄記念病院の受け入れ数が減少した原因として考え うるのは 2019 年早々に起こった整形外科の撤退である。

正確に言うと常勤医が「減少した」ということになるの だが、少なくとも整形外科手術が非常に実施困難になっ

た。このため比較的軽い外傷患者すら受け入れができな くなり、今なおそのような患者群は他の病院、特に当院 へ搬送、手術されている。

⚒.2019 年度のトピック

昨年度までの本稿では、「西胆振は各二次医療機関が それぞれ補完しあう形で救急医療を担っている」と記し ていたが、その構図に綻びを生じてきた(あるいは顕在 化した)のが 2019 年度ではないだろうか。室蘭市内の 二次医療機関は各々診療科に偏りがあるだけでなく、そ のベッド数・医師数にも以下のような隔たりがある。主 なものを以下の表⚑に記す。

単科病院である大川原を除き、端的に表現すれば当院 は少ない医師数で多くの患者を診療する施設である。マ ンパワー不足の中で日常診療も救急医療も行われている と言えよう。

ところで救急患者は単一疾患でなく、むしろ複数の病 態が混在していることが多い。特に高齢患者では基礎疾

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室蘭病医誌(第 45 巻 第⚑号 令和⚒年⚙月)

図⚑ 二次医療機関の救急車受け入れ件数(月毎) 図⚒ 二次医療機関の救急車受け入れ件数(年毎)

表⚑ 各二次医療機関のプロフィール

病床数/医師数 常勤医の特長 常勤医の弱点

市立 549/49 脳外・整外あり 循内なし

製鉄 347/58 循内・心外あり 脳外⚑名のみ・整外(?)

日鋼 479/53 地域唯一の NICU あり 循内なし・整外⚑名のみ 大川原 137/ 7 基本的に脳外のみ

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患に加えてそれを悪化させる契機があり、事態をいっそ う複雑にさせる。例えば高齢者の転倒による大腿骨骨折 を考えてみると、根本治療は言うまでもなく整形外科手 術である。しかし仮に短時間で終わる手術であっても、

併存する循環器疾患や呼吸器疾患、さらに脳疾患が周術 期に悪化する可能性は大きく、これらに対応できる医療

機関が理想的な搬送先になる。残念ながらもはや西胆振 にはこのような理想的な医療機関は存在しない。救急患 者を搬送する救急隊も受け入れる病院側も、その選択に 迷いながら日常の救急業務を続けているこの現状を可と するか、あるいは抜本的な改善を目指すのか? 病院再 編の今後を注視したい。

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参照

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