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保険業界が学会に求めること

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Academic year: 2021

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(1)

■アブストラクト

司会の久保先生からの問題提起を受けて,実務家の立場から発言した。

まず,業界環境・状況の変化と実務家を取り巻く課題・関心事を掲げたう えで,実務家の関心と研究者の接点,共同研究や業界からの大学教育・研究 への情報提供・交換の取り組みを紹介し,双方の求めるテーマと取り組み方 法について考察・提案した。

■キーワード

共同研究,研究者への情報提供,大学への講座提供

⚑.実務家会員減少の背景 事業環境の変化

生損保業界関係者の会員は,ピークであった1997年の971名から350名程度 に減少している。

業界関係者が減少した要因のひとつには,保険会社の統合により,会員の 母集団となる本社管理部門(企画,法務,コンプライアンス,保険金支払い,

商品業務など)の在籍数が減少したこともある。

損保の場合2000年時点の元受24社(生保系および外資を除く)が,2001- 2005の間に16社に統合され,2017年には11グループ14社となっている。

もっとも,会社の統合・再編は会員数減少の要因としてではなく,事業構 造,市場構造の変化,保険会社・実務家を取り巻く環境・課題の変化という

保険業界が学会に求めること

村 田 毅

*平成29年10月28日の日本保険学会大会(滋賀大学)報告による。

/ 平成30年⚑月18日原稿受領。

(2)

文脈でとらえるべきものであるし,会員数の減少も,本質的には学会の研究 活動に関心を持つ保険実務家が減少したということだと受け止めなければな らないだろう。(最近数年をみると実務家会員数は横ばい。賛助会員となっ ている損害保険会社および関係団体の所属が147名(H29)で,H25の141名 と比べてほとんど変わっていない。同期間で実務家全体は541から576で若干 の増加。)

統合・再編に続き,国内市場の停滞のなかで大手グループが海外展開を加 速させ,事業・収益構造は大きく変化した。たとえば収益に占める国内損保 以外のウエイトは次のようになっている。

<大手グループのドメイン別の利益構成比>

MS&AD 東京海上 SOMPO 国内損保 71õ8% 43% 73õ6%

海外事業 16õ2% 41% 10õ9%

国内生保 11õ8% 14% 15õ9%

その他 0õ2% 1% ▲0õ4%

数値は大会報告作成時点の公表資料による。MS&AD,SOMPO が 2016年度実績,東京海上が2017年度予想

大手社の統合の一方,ダイレクト保険会社,ニッチ保険会社,少額短期保 険会社等が登場するなど,国内の損保市場の構造も変化してきた。たとえば ダイレクト保険会社は,1999年のソニー損保を皮切りに,アクサダイレクト,

2000年に三井ダイレクト,2001年に安田ライフダイレクトと続き,現在⚙社,

自動車保険に対するシェアは⚗%程度に伸びてきている。ペット保険,旅行 保険などの種目や特定のマーケットに特化した少額短期保険会社も92社1)

(大会報告作成時点,以下同様)が営業している。

1) 一般社団法人日本少額短期保険協会の会員数によった。2018年⚑月時点では 95社。

(3)

⚒.保険会社,実務家を取り巻く課題,関心事

事業・収益構造,市場構造の変化に加え,社会・経済あるいは技術的環境 変化の下で,実務家の課題意識や関心の対象は変化している。

以下,順不同であるが,実務家にとっての課題・関心事2)を掲げる。シン ポジウムの席では項目を掲げるにとどめたが,かいつまんで説明を加える。

⑴ デジタル技術によるリスクと機会(サイバーリスク)

サイバーアタックによる保険事故のリスクが注目を集めるようになった。

物の損害(例:プラント制御システムの乗っ取りによる爆発),情報の損害

(例:個人情報漏えい,ランサムウエア)双方のリスクが高まっている。

後者のリスクを補償するサイバーリスクの保険は新たな分野の商品である が,米国を中心としてすでに30億ドル規模のマーケットが形成され2020年に は75~100億ドルとの予測3)もある。一方,リスクの評価・計測や軽減に関 する知見の形成・蓄積は途上にある。

⑵ 技術革新がもたらす競争,市場縮小,さらには破壊的イノベーション 保険会社は新技術により業務効率化を図っており,ドローンを活用した損 害調査,ブロックチェーンによる貨物保険の事務処理・保険金支払業務の効 率化,AI による苦情分析・コールセンター対応などに活用が進んでいる。

同時に,テレマティクス保険,InsurTech など新たな商品やビジネスモデル の展開による競争も生じている。

さらには,自動運転車両の開発・普及による事故の減少・責任負担の変化,

シェアリングエコノミーの普及,オンデマンド保険へのシフト等がマーケッ トを変化,縮小・消失させることや,既存ビジネスモデルを無効にする⽛破 壊的イノベーション⽜が登場することに関心が広がっている。

2) 国内外の業界紙に頻出する記事や保険関係のセミナー,シンポジウムで取り 上げられているテーマ等を参考に順不同で列挙した。

3) 大手再保険ブローカーやコンサルティングファームが推計値・予測値を公表 している。

(4)

⑶ 地球環境・気候変動

温暖化に伴う熱帯低気圧の強大化,対流性暴風雨の多発,海面上昇などが 現実化しているほか,新興国の都市化と地盤沈下や森林破壊による洪水リス クの拡大なども含め,世界的に自然災害リスクが増大していくことが懸念さ れている。

⑷ ILS(Insurance Linked Securities)マーケットの拡大

資本市場の潤沢なキャパシティにより,ILS の市場が拡大,2017年上期時 点の ILS 計で US$89bn の資本が形成されている(世界の再保険資本の15%)4) このうち自然災害を対象とする Catastrophe Bond が US$26bn を占めている。

2017年は米国のハリケーン,メキシコの地震,北米の山火事など大規模な 災害が相次ぎ,10兆円を超える保険金支払いも見込まれるが,過去の大規模 ハリケーン後の動向とは異なり,市場のハード化5)は顕著になっていない。

再保険市場に対して資本市場から潤沢なキャパシティが供給されていること が大きな要因とみられている。

⑸ ERM(Enterprise Risk Management)の伸展

保険会計も資本基準も時価ベースの検討が進むとともに,ERM(リスク の定量化とリスク選好に基づくリスクリターン管理)の取り組みが伸展し,

一層のリスク計測手法の高度化・基礎データの精緻化やリスク分散効果の追 求が重要な課題と認識されている。

4) Aon グループの “Insurance-Linked Securities” Alternative Capital Breaks New Boundaries September 2017によった

5) 従来,損害保険市場,特に再保険市場については,保険収支が悪化すると

(再)保険会社が引受額を小さくしたり,保険料を引き上げたりする⽛市場の ハード化⽜,改善局面では逆の⽛ソフト化⽜が繰り返される⽛マーケットサイ クル⽜が見られ,10兆円を超える保険金支払いとなった2005年の Hurricane Katrina の後は顕著なハード化,2012年の Hurricane Sandy の後にも緩やかな がら再保険市場のハード化が見られた。なお,2018年⚑月時点では,ハリケー ン被害のあった財物保険の契約,ハリケーンリスクのある地域を含む契約を中 心に⚕~20%程度の料率上昇がみられたと報じられている。

(5)

⑹ 監督・規制のグローバル化

IAIS(International Association of Insurance Supervisors:保険監督者国 際機構)の策定する国際的資本基準 ICS(Insurance Capital Standard)の検 討が進展,2017年 ICS 1õ0が公表され,2019~2024年の ICS 2õ0の非開示報 告実施6)を目指した検討が進められている。

また,会計基準においても2017年⚕月,保険 IFRS が公表され,2020年度 適用開始に向けて準備が進められている。

⑺ 顧客本位の業務運営に関する原則

金融庁は2017年⚓月30日⽛顧客本位の業務運営に関する原則⽜を公表し,

保険会社を含む各金融機関等にこの原則の採択と取組方針の策定・公表を求 めた7)。顧客,市場,監督者から求められる,あるいは許容される業務運営 の評価基準がどのように変わるのか,コンダクトリスクの観点からも関心が 集まっている8)

6) IAIS は,IAIG(Internationally Active Insurance Group:国際的に活動する 保険グループ)を対象とした資本基準(ICS)の策定を進めてきた。2017年⚗月 に拡大フィールドテストのための ICS Version 1õ0を公表,今後のフィールド テストを経て2õ0を策定し,2019-2024の間,2õ0による非開示ベースの報告

(監督基準として報告を求め,結果を開示するのではなく,さらに検討を進め るためのモニタリングを行う)を求める予定としている。大手損保グループは IAIG としてこの対応を進めている。

7) 2017年10月時点で生損保,少額短期保険会社,乗合代理店等137社が採択し,

取組方針を公表している。

8) 以下のような原則をどのように運営すべきか,具体的に実務を積み上げてい く必要がある。

【利益相反の適切な管理】原則⚓

(注)金融事業者は,利益相反の可能性を判断するに当たって,例えば,以下の事 情が取引又は業務に及ぼす影響についても考慮すべきである。

•販売会社が,金融商品の顧客への販売・推奨等に伴って,当該商品の提供会社 から,委託手数料等の支払を受ける場合

【重要な情報の分かりやすい提供】原則⚕

(注⚑)重要な情報には以下の内容が含まれるべきである。

•顧客に対して販売・推奨等を行う金融商品・サービスの選定理由(顧客のニー

(6)

⚓.法律・制度論議における研究者の参画

商品や実務の変化を法令や制度に反映するよう,今後の審議会等での検討 に対応することを考えれば,学会における体系的・理論的な研究や研究者に よる洞察とそれに基づく助言・提案は不可欠である。下記のように金融審議 会や法制審議会の審議においては,本学会会員である大学の研究者も多数参 画されている。

金融審議会:⽛保険商品・サービスの提供等の在り方に関するワーキン ググループ⽜(2012~2013年)

研究者(大学):⚖名(うち日本保険学会会員⚕名)

その他:⚘名 業界:⚖名

法制審議会(保険法:2006~2008年)

研究者(大学):12名(うち日本保険学会会員⚗名)

その他:13名 業界:⚔名

同 商法(運送・海商関係)部会(2015~2016年)

研究者(大学):11名(うち日本保険学会会員⚒名)

⚔.実務家の関心と大学研究者の接点

実務家の関心との接点をどこに見出すか,先に列挙したような関心事との 関係で考えると,たとえば次のようなものが考えられる。

ズ及び意向を踏まえたものであると判断する理由を含む)

(注⚕)金融事業者は,顧客に対して情報を提供する際には,情報を重要性に応じ て区別し,より重要な情報については特に強調するなどして顧客の注意を促す とともに,顧客において同種の金融商品・サービスの内容と比較することが容 易となるよう配慮すべきである。

(7)

•ビッグデータ,ネットワーク社会への対応 ⇒ データサイエンス

•新たな技術によるリスクと機会,それらへの対応

• ERM,国際資本規制,IFRS ⇒ 定量的分析・リスクモデルの開発

•顧客本位の業務運営 ⇒ (消費者行動・意識等の)実証分析,法令・

制度論議

接点のある分野・領域を捉えることで,共同研究や大学教育への情報提供 といった形で,実務家との連携を深めたり,学生の興味・関心を喚起したり する取り組みを広げられると考える。まずは具体的に実行できること,確実 に前進できることに取り組み,少しずつでも成果を積み重ねることが必要で ある。

⚕.共同研究の取り組み

⑴ 実務家との⽛戦略的共同研究⽜アンケート

久保先生が中心になって2016年に実施された実務家アンケート9)の結果を 紹介する。生損保,共済の実務家を対象としたものであるが,次のように数 多くの関心事が寄せられた。

共同研究希望テーマ:131

*最多は FinTech や IoT などのニューリスク関連で39 研究者に話を聞きたいテーマ:295

*最多のニューリスク関連に加え,自然災害,高齢化,個人情報など が多く含まれる。

⑵ 具体的なテーマの例 テーマの一部を紹介する。

• AI による誤った回答,自動運転車による事故,FinTech による損失な どにかかわる法律問題

9) 久保英也滋賀大学教授を中心に,実務家(生損保,共済)に対しアンケート 方式で調査を実施,2016年12月に結果をまとめたもの。テーマを21に分類し集 計した。

(8)

•自然災害,人為的リスク,気候変動等への対処を巡る防災,経済,保険 各分野の研究者との連携

•水文学,水理学を反映させた洪水発生メカニズムの解析

•地震波の周期と建築物被害の関係を脆弱性曲線に反映させる地震モデル の開発

•ヒューマンエラーの発生原因分析と再発防止

多くの関心が寄せられたが,共同研究の検討・協議まで進んだものは⚘件,

具体的な作業に着手したものはこのうち⚑件にとどまっている。研究者がデ ータ分析に際して保険会社の社内情報に触れることや,分析結果を研究成果 として公表することへの抵抗がハードルとなったようで,これらをクリアす る方法やそうした問題のない領域10)を見出すことができれば,取り組みやす くなると考えられる。

⑶ 試行的な共同研究の取り組み

着手まで至った⚑件は,効果的な契約更改手続のためのアンケート調査の 分析で,Web リサーチ(有効回答約1ó000)によるものであった。性別,年 齢,職業,婚姻,居住地などのプロフィール把握は行われているが,個人を 特定する情報は含まれていない。

個人情報・会社機密情報を含まず,調査受託会社との契約に反しない範囲 でデータを開示し,回答者プロフィールと回答内容の組み合わせを変えて分 析を試行した。結果として新たな結論を得るに十分な分析は叶わなかったが,

同様の調査を行う場合の課題を再認識することができた。

調査結果を回答者属性や居住地等で統制し分析を深めるには,1ó000サン プルでは十分でない。損保会社の蓄積している契約・支払いデータは膨大で あるが,あらかじめアンケート調査等と紐づけしておかないと活用できない

10) 金融機関等の事例では,実務家の間で経験的に広く共有され利用されている 特定の先行指標と企業業績や株価との関係を,研究者が分析・定量化して理論 的整理を行ったものがある。

(9)

し,多くの損害保険契約は職業・年齢・性別・収入などの属性情報11)を伴わ ないため,そのままでは属性による統制を加えた詳細な分析には適さない。

契約者の理解・意識・行動などの実証分析を目的に調査を行うに際しては,

既存の保有契約データと紐づけてデータを補完する工夫などに加え,検証す べき仮説の構築など,研究者と企画段階から協同し,分析を多角化すること が効果的と考えられる。

⚖.実務家から大学教育への情報提供

⑴ ⽛大学への講座提供⽜の活用,見直し

損保業界12)では,損保協会を中心に,大学,高校,消費者等に向けた保険 の講座を提供(大学の場合一学期を通じた連続講座が多い)している。

損保協会が大学向けに実施しているものは授業数で321コマ13)(2016年度実 績,金融広報中央委員会の講座含む)に上る。学期を通じた連続講座として 行っているものが主体で,国立大学を中心に14大学(2017年度実施)で実施 している。その他,個社が単発で提供しているものもある。

協会のミッションである金融・保険のリテラシー教育への貢献として機能 しているが,連続講座の実施校の中には,東北大学経済学部,一橋大学法学 部,日本大学危機管理学部,大阪大学法学部,九州大学経済学部など,将来 保険関係の職業や保険に関係する研究に携わる学生が在籍する法学,経済・

商学系の学部も含まれ,保険研究にも興味を抱かせるよう,もう一段の工夫 11) 自動車保険における運転者の年齢条件のように契約の条件となる場合や,医 療保険や所得補償保険のように年齢や性別によって保険料が異なる場合にはこ れらの情報を取得するが,そうでない場合,契約に際して属性情報を取得した りデータとして保持したりすることはない。

12) 生保業界も同様の取り組みを行っている。生保協会が大学で112コマ,生命 保険文化センターが,大学・短大で147コマ(ともに2016年度実績)を提供し ている。テーマや課題についての具体的な記述は,筆者が属する損保に関する 内容に基づいている。

13) 2016年度の実績は,連続講座(1学期,原則として15回)が246,延べ出席数 31ó154人,単発が75,同8ó191人であった。

(10)

が望まれる。

⑵ 連続講座の実施内容(例)

連続講座の内容はさまざまであるが,おおむね次のような構成となってい る。

(前半,基礎編)

保険の仕組み・歴史,保険の基本的な事項(用語,約款,販売方法,監督 法制など),リスクの概観(個人のリスク,企業のリスク),リスクマネジ メント,各保険の内容(交通事故と自賠責・自動車保険,火災保険,地震 保険など)のような基本事項

(後半,応用編)

企業分野の多様なリスクと保険・再保険の仕組み,ERM,損害保険会社 の経営など,保険リテラシー教育より踏み込んだ内容

⑶ 大学生に保険研究に興味を抱かせるテーマ

大学生に保険研究に興味を抱かせるには,先端的な内容や専門性を反映し て知的好奇心を刺激するようなカリキュラムを工夫する余地がある。協会が 連続講座を実施している大学の担当教授を中心にテーマについてヒアリング した結果を以下のとおりまとめた。

①知的好奇心に訴えるテーマ

•保険の変化:予測・分析の精度が向上し,既存保険分野の不確実性が狭 まる一方,新たな不確実性が生まれ,保険が変化していくことは興味を 引く

•企業分野の先端的な保険,専門的な保険

•リスク・コンサルティングの具体的活動・リスク軽減効果(定量的分 析):顧客企業と一体となって行う具体的活動が定量化と結び付けられ れば面白い

•再保険の仕組みとマーケット:伝統的な分野だが,ART(Alternative Risk Transfer)とも組み合わせ興味を引くテーマとなる

•金融技術やリスクモデルを活用した ART(ILS,デリバティブ)

(11)

•リスクの定量化(リスクモデルの仕組みと活用)

• ERM・資本配賦(リスクテイク)の最適化:定量化から保険会社の所 要資本(監督)や戦略的リスクテイク(経営)に直結した内容に展開で きる

②技術革新や保険の周辺のテーマ

•自動運転と保険:自動運転技術とともに保険との関係もテーマであり,

責任主体が不明確になることで責任保険構成による自動車保険の限界が 論議になる

•テレマティクス:運転特性等によるリスク・料率細分の論点はもとより,

ビッグデータの利活用とプライバシー保護など,取り巻く論点は多い

• AI,ロボットと保険:新技術により生み出される新たなリスクと保険 の関係は興味深いが,加えて保険の本質論を絡ませるなどの工夫により 一層興味深いものになる

• InsurTech:小集団による少額損害の保有と保険の組み合わせといった 従来になかった仕組みも登場し,保険の本質との関係も興味深い

•苦情分析やコールセンター業務における AI・ロボットの活用:新技術 による新たなリスクと保険の関係のほか,AI やロボットの利活用によ る業務効率化,ドローンによる損害調査やドライブレコーダーによる事 故状況確認なども興味深い

•貨物保険や再保険の実務等におけるブロックチェーンの活用:同上 テーマについては⽛専門的ではあるが,学生を惹きつけるプログラム⽜を 大学教員と実務家で検討し,実務家のみならず,先端領域の研究を行ってい る教員を講義に招き入れることも必要とする意見が寄せられた。

また,テーマに加え,教え方の工夫として,最近の話題を導入として保険 のコアの問題につなぐ,そのために,AI やロボットのように結論の出てい ない問題で考えさせ,意見を述べさせることが有効といった意見や,進路を 決める前の段階で興味を持たせるよう1,2 学年のプログラムに組み入れたい とする意見もあった。

(12)

上記のテーマを一般的な連続講義に追加するイメージを試みに作成したの で末尾に掲載する。

⚗.まとめ

シンポジウムの席上では,大学における研究・教育環境や制度に関する本 質的な指摘も示され,それぞれ正鵠を射たものであったと思うが,本稿では,

研究者と実務家が自ら具体的に検討・提案し,確実に実現できる取り組み課 題として共同研究と学生を引き付けるプログラムについて取り上げた。それ ぞれの領域での取組事例や意見が,今後の検討に少しなりとも役立てば幸い である。

(筆者は三井住友海上火災保険株式会社勤務)

(13)

15 1~3

AI, InsurTech:

AI・ AIや 調

4~6

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7~12

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