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ブラーフマナ文献の祭式解釈 : 古代インド季節祭 Caturmasya を例として

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ブラーフマナ文献の祭式解釈 : 古代インド季節祭 Caturmasya を例として

著者 永ノ尾 信悟

雑誌名 国立民族学博物館研究報告

巻 10

号 4

ページ 1001‑1068

発行年 1986‑03‑29

URL http://doi.org/10.15021/00004386

(2)

永 ノ尾 ブ ラ ー フ マ ナ文 献 の祭 式 解 釈

ブ ラ ー フ マ ナ 文 献 の 祭 式 解 釈

古 代 イ ン ド季 節 祭C at urm asya を 例 と し て

永 ノ 尾 信 悟 *

The Interpretation of the Caturmasya Sacrifice according to the Ancient Indian Brähmana Literature

Shingo EINOO

The two main sources of information on this ritual of Ancient India are the grautasatras and the Brahmanas. The former provides a detailed description of the sacrifice together with rules for their performance, and the latter hands down the interpretation of the ritual acts.

This paper gives one example of the ritual interpretation of the Brahmana Literature, namely on the Caturmasya Sacrifice.

The Caturmasya, or Ancient Indian Seasonal Sacrifice, is a ritual complex that consists of three sacrifices held three times a year, at the beginning of spring (VaiSvadeva), in the rainy season

(Varunapraghasa) and in the autumn (Sakamedha).

As a fourth element the gunasiriya is mentioned from the young Brahmana Literature onward. Interpretation by the Brahmana literature is in two main dimensions. In the first the Caturmasya itself, as a whole or each constituent sacrifice, is explained mainly with help of mythical episodes. In the second each ritual act which makes up the peculiarity of this Caturmasya is explained in full detail. The first interpretation coincides almost exactly with the second for the detailed ritual acts. The meanings or the effects ascribed by the Brahmana interpreter to this ritual complex are the aggregate of the wishes of the Ancient Indian People, who by means of the Vaiivadeva wished to secure the safe birth of progeny and cattle. The Varunapraghäsa appeases the cruel god Varuna who reigns over social order and moral conduct, so that he would not punish human beings for their immorality and to ensure that social order would be

*国立民族学博物館第 2研究部

1001

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国立民族学博物 館研究報告   10 巻 4号

established. By performing the Sakamedha the institutor of the sacrifice desires to repel his rival (bhratrvya). The ancestral rite (pitryajfia), included in the Sakamedha, is done to satisfy deceased ancestors. The Tryambaka rite is also done to appease the dreadful god Rudra, who causes evil among the people with no reason. The Sunasiriya sacrifice was later embedded into this ritual complex to cover the leap year to complete a safe

annual cycle.

序 論

1。 cat ur m as ya祭 の 概 要 2. cat ur m as ya祭 の 研 究 史

3. Cat ur m as ya祭 の 解 釈 を 伝 え る Brahm a・

r p a 文 献 本 論

1・ cat ur m as ya祭 全 体 に 対 す る解 釈 2. cat ur m as ya祭 を 構 成 す る 各 祭 式 の 名 称

を 列 挙 して の cat ur m as ya祭 全 体 の 解 釈 3. 季 節 ご と の 祭 式 な ど に 対 す る 個 別 的 解 釈

3−1. V ai S vade va 祭 に 関 して

3−2. 各 祭 式 に共 通 す る 五 つ の 献 供 に 関 し て

3−3. V ar ur P apr aghas a 祭 に 関 して 3−4. sakam e dha祭 に 関 して 3− 5. M aha havi sに 関 して 3−6. 祖 霊 祭 に 関 して 3− 7. Tr yam baka 祭 に 関 して

3−8. SunaSiriya 祭 に 関 し て 3−9. ま と め

4. 各 祭 式 の個 々の祭 式 規 定 に対 す る解 釈   4−1. Vai g vade va祭 の 個 々 の 祭 式規 定 に        関 して

    A ・ 分 析     B・ ま と め

  4− 2. V ar upa pr aghas a祭 の 個 々 の 祭 式 規        定 に 関 して

    A ・ 分 析     B. ま と め

  4− 3. Sakam e dha 祭 の 個 々 の 祭 式 規 定 に         関 して

    A・ 分 析     B. ま と め

     B・ I  Sakam e dha 祭 の M ahahavi sま           で に 関 して

      B− I I 祖 霊 祭 に 関 して      B− III  Tr ya m baka 祭 に 関 して

        ジ

  4−4. Sunas i r i ya祭 の 個 々 の 祭 式 規 定 に 関         して

    A. 分 析     B・ ま と め 結 論

1 . 本 論 第 4節 の ま と め

2. H e es t er m an と Thi t eの 解 釈 に つ い て 3. 結 語

序 論

1.   Caturl nasya 祭 の 概 要

  Cat urm as ya祭 は , 古 代 イ ン ドの 祭 式 体 系 に よ れ ば , 新 月 ・満 月 祭 を 基 本 形 とす る

i 頭 タ イ プ に 属 す る祭 式 の 一 つ で あ る1) 。 そ の Caturm as ya 祭 は , 春 の 初 め に 行 な わ

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永 ノ尾   ブ ラ ー フマ ナ文 献 の祭 式 解 釈

れ る V ai 6 vadeva 祭 , 雨 季 の 初 め の V arupapraghas a 祭 , 秋 の 初 め の Sakam edha

       

祭 , そ して 多 分 閏 月 に 行 な わ れ る た め に ,の ち に付 け 加 え られ た で あ ろ う Suna訂撞ya 祭 [O LDENBERG 1970(1923):442; H EEs TERMAN 1957:27]2 )の 四 つ の 祭 式 か ら な

       

る 複 合 祭 式 で あ る 。 一 般 的 に Br乙hm apa 文 献 は ,  Sunas i r iya 祭 を 除 く三 つ の 祭 式 か ら な る も の と し て Caturm as ya 祭 を 考 え て い て 3 ), こ の こ と は , 「四 つ ( catur) の 月

( m asa)毎 に行 な わ れ る祭 式 」 を 意 味 す る Caturm as ya と い う こ の 祭 式 の 名 称 と も 一 致 す る 。

  ノ

  Srauta祭 式 を 規 定 す る 要 素 と して 供 物 と神 格 が あ る [ H I LLEBRANDT l   981(1897):

97]。 そ れ 以 外 に , こ の Cat urm as ya 祭 の 各 祭 式 に は い くつ か の 特 徴 的 な 行 為 な ど が 含 ま れ て い る。 そ れ らを 考 慮 に い れ て , こ の Caturm as ya 祭 を 以 下 の よ う に 記 述 す

る こ と が で き る 。

  こ の C at ur m as ya 祭 は , 四 つ の 異 な っ た 時 期 に 行 な わ れ る 四 つ の 祭 式 よ り な る が , そ れ ら の 統 一 性 を 保 つ た め に , 各 祭 式 ご と に 常 に 五 つ の 共 通 し た 供 物 が 献 じ ら れ る 。 そ れ ら の 五 つ と は , (1) A gni神 に 対 す る 八 皿 の purodaga (米 ま た は 大 麦 の 粉 を こ ね て 焼 い た も の [ 永 ノ 尾 1984b :526−528]), (2) Som a 神 に 対 す る caru (米 ま た は 大 麦 の 粥 [ 永 ノ 尾 1984b :524−525]), ( 3) Savi t r 神 に 対 す る 十 二 皿 の puroda§a・ ( 4)

Sarasvat i神 に 対 す る caru, ( 5) P郎 an 神 に 対 す る caru で あ る 。

  第 一 の 祭 式 で あ る V ai 6vadeva  i 祭 に お い て は ,上 記 の 五 つ の 供 物 の 他 に , ( 6) M arut 神 へ の 七 皿 の puroda6a, ( 7)V i g ve devah へ の am i k§ a ( 凝 乳 ), ( 8) D yavaprt hi vi

に 対 す る 一 皿 の purodag a が 献 じ ら れ る 。

  第 二 の V arupapraghas a 祭 で は , 五 つ の 共 通 な 供 物 の 他 に , ( 6) Indra− A gni両 神 1) 古 代 イ ン ドの Sr aut a 祭 式 の 類 型 に 関 して [ W EBER  l   97 3 (1 870): 32 2−32 6; H I LLEBRANDT   l 981( 1897):1 05−1 66;GoNDA l 982:7 −37 ]を 参 照 。

2) Sunas i r i y a 祭 は ま た §unas i r ya祭 と も い わ れ る 。 [ Vl s HvA Bandhu 1973: 1448]に よ 多 と   9 unas i r ya の 形 を 伝 え る の は §BM ,  JB,   PB,   G B そ して M s  4,3,3 [ 42,4]で あ り,   TB・sBK   は ξ unas i r i ya の 形 を 使 う。   K B に つ い て み る と ,   Li ndne r 編 の K B 6・1 5 [ 28・7]に は § una−

s i r i ya と あ る の に 対 して ,   Sar m a 編 の K B  6・1 1・20 で は ξ unas i r ya の 形 毎 採 用 さ な て い 6; 。   Sr aut as at r aの 段 階 に お け る 名 称 の 分 布 は 趣 の よ う に 参 る :9 u要as i r ya( Bhar SS, M anSS,   Var SS,

  S

ahkhSS,  V a i t S);6 unas i r i ya ( ApSS,  H i rSS,  K at ySS,  A6 vSS); 6 unas i r i yahavi s ( BaudhSS,

        ノ

  Vai khSS);6 unas i r i yapar us( BaudhDvai dhaS) 。

3) Cat ur m as ya 祭 が V a i 6 vadeva祭 ,  Varupapr aghas a祭 ,   Saka m edha祭 の 三 つ の 祭 式 か ら構   成 さ れ て い る と い う こ と を 前 提 と した 議 論 を して い る Br ahm aηa文 献 の 個 所 と して は ,, 以 下   の 本 論 2−1で 扱 う M S  1 ,1 0,5 [ 145,4− 7 ];K S  35,20 [ 66, 1 4− 67,2 ]; TB l , 6・8・1 − 2; SB  5・

  2,・ 1 ,1 − 4,そ して 本 論 2− 2.で 扱 う M S 1,10,8 [ 1 48,1 2−1 3];K S  36,2 [ 70,1 0−1 2];TB 1 ,5・   6,

  3− 5;§B  2,   6,4,1− 8,更 に は 2− 4.で 論 じ る TB l,4,9,5 が あ る 。 ま た M S l,1 0, 7 [ 1 47・1 0・

11 ];K S  36,2 [ 69,14− 15 ] は Cat ur m as ya祭 は 三 つ よ り な る ( t r edhavi hi t a− ) と い い ,  TB 1 ・6・

  2,2; 5B  2,6,3,1 ( 本 論 1 − 2.を 参 照 ) は 「一 年 を 三 つ に分 け て 」 Cat urmas ya 祭 を 行 な う と   い う 。 更 に §unas i r i ya 祭 を 排 除 して ,   Cat ur m as ya祭 の 三 つ の 構 成 要 素 を 列 挙 して 議 論 を 行  

な う個 所 と して 次 の も の も あ る :K S  23,7 [ 83,2− 4];M S  S,6,1 0 [ 74,1 0−1 2];TB  3・2・2・3。

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国立民族学博物館研究報告  1 0 巻 4号 へ の 十 一 皿 又 は 十 二 皿 の purodaSa, ( 7)M arut神 へ の am i k§ 混, ( 8)V arupa 神 へ

の 乙m i k§ a, ( 9)K a 神 へ の 一 皿 の purodag a が 加 わ る。

  こ の 祭 式 に は 更 に い く つ か の 特 記 す べ き点 が あ る 。 通 常 の i st iに お い て 供 物 や 祭 具 を お く祭 場 の 一 部 で あ る vediは 東 の 祭 火 ahavani ya の 西 側 に 一 つ 作 られ る だ け で あ る が ,V arupapraghasa 祭 に お い て は ,  ahavani ya の 東 側 に 平 行 し て , 北 と南 に二 っ の vediと ahavani ya が 作 ら れ る。  Adhvar yu 祭 官 は 北 の vediを 中 心 に さ ま ざ ま な 儀 式 を … 執 り行 な い , 南 の vediで は Prat i pras t hat r祭 官 が ,  M arut神 へ の am i kS a に か か わ る さ ま ざ ま な 行 為 を 行 な う 。 両 祭 官 は 大 麦 の 粉 を こね て 牡 羊 と牝 羊 の 像 を つ

く り , そ れ ぞ れ の 性 的 特 徴 を 備 え , V ar upa神 と M arut神 に 捧 げ ら れ て い る am i k§ a と と も に 献 じ る 。 又 , 同 じ く大 麦 の ね り 粉 で 小 さ な 食 器 の 形 の ダ ン ゴ ( karam bha−

pat ra)が , 女 を 含 め た 祭 主 の 家 の 構 成 員 の 数 よ り一 つ 多 く作 ら れ ,そ れ ら を 祭 主 と 彼 の 妻 が 箕 に の せ て 祭 火 に 献 じ る 。 そ の 献 供 の 前 に , Pr ati pras that r祭 官 が 祭 主 の 妻 に 間 男 の あ る な しの 告 白 を 強 要 す る 。 祭 式 が 終 了 して 後 , 普 通 は Som a 祭 の 終 了 時 に 行 な わ れ る沐 浴 ( avabhrt ha)が 行 な わ れ る な ど で あ る 。

  第 三 の sakam edha 祭 は ,そ れ 自 身 が 複 合 祭 式 の 性 格 を 帯 び て い る 。 中 心 に な る 式 日 が 二 日 に わ た り, 第 一 日 の 早 朝 , 日 の 出 と共 に Agni  anlkavatに 八 皿 の purodag a の i §t iが 行 な わ れ , 正 午 に M arut  sar ptapana へ caru が 献 じ られ , 夕 方 に M arut grham edhi n に , 祭 主 が 所 有 す る す べ て の 牝 牛 か ら搾 っ た 乳 で 煮 た caru の 献 供 が 行 な わ れ る 。 祭 式 の 期 間 は 通 常 禁 欲 的 生 活 規 則 が 課 せ られ る が , そ の 夜 は 祭 主 の 家 族 は ア イ シ ャ ド ー や 塗 油 で 身 を 飾 り,豊 富 に 米 粥 を 炊 き ,牛 を 屠 り,盛 大 な 宴 を は る 。ま た 仔 牛 達 も母 牛 と と も に 一 夜 を 過 ご す こ と が 許 さ れ る 。一 夜 明 け た 式 日 第 二 日 目,日 の 出 と

と も に ,M arut   kri 4i n に七 皿 の purodag a が 献 じ られ ,そ の 後 ,  M ahahavi sと 呼 ば れ る Sakam edha 祭 の 中 心 祭 が 行 な わ れ る 。 こ の M ahahavi sは ,  Caturm as ya 祭 に共 通 す る五 つ の 供 物 の 他 に , ( 6)Indra・ Agni神 へ の 十 一 皿 の puroda6 a, (7) I I l dr a 神 へ の caru, (8)V i g vakarm an 神 へ の 一 皿 の purodaS a が 更 に 加 え ら れ る。 こ の M ahahavi s は i §t iの 基 本 形 に 従 っ て … 執 り 行 な わ れ , 終 了 後 ,   Indr a− A gni両 神 へ の pur odag a の 調 理 の 際 に 出 た 籾 殻 を Var 叫 a 神 の た め に水 中 に 献 じ, そ の 同 じ水 で avabhrt ha 沐 浴 が 行 な わ れ る 。

  そ の 午 後 , Pi t ryajf i a/M ahapi t ryajf i a と い う祖 霊 祭 が 行 な わ れ る 。 南 の 祭 火 dak。

§ i pagniの 南 又 は 南 東 の 方 角 に , 中 心 線 が 北 西 か ら南 東 に 走 る 正 方 形 の vediが つ く られ , 囲 わ れ , そ の 中 央 に daks i p乙gniよ り襖 を は こ ん で 火 炉 が つ く ら れ る。   Som a pi trm atに 六 皿 の pur oda6a,   Pi tr  barhi §ad に dhan議, そ し て Pi t r agni Sv2t ta に

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永 ノ尾   ブ ラー フマ ナ 文 献 の祭 式解 釈

m ant ha が 献 じ られ る 。 こ の 祖 霊 祭 に は 祭 主 の 妻 は 列 席 し な い 。 こ の 三 種 の 献 供 の 後 に , Pi pdapi t ryajf i a と 同 じ よ う な 儀 式 が 行 な わ れ る。

  こ の 祖 霊 祭 が Adhvaryu 祭 官 に よ り …執 り行 な わ れ て い る 間 に ,   Prat i pr ast hat r祭 官 は , Rudra を 祭 神 と す る Tr yam baka 祭 へ の 供 物 の 準 備 を す る 。 そ れ は 一 皿 の pur oda§ a で ,   V ar叫 apraghasa 祭 の 時 に 祭 主 と彼 の 妻 に よ っ て 献 じ られ た karam − bha− pat ra と 同 様 に , 祭 主 の 家 族 数 よ り一 つ だ け 多 く作 ら れ る 。 そ の 供 物 が 準 備 さ れ , 祖 霊 祭 も終 わ る と , daks i pagniよ り一 本 の 懊 を 取 り 出 し, 供 物 , 祭 具 を も っ て 北 東 の 方 角 に 向 か い , 道 中 , モ グ ラ塚 に 一 皿 の purodaga を 献 じ , 更 に 進 み , 四 辻 の 中 央 に 火 炉 を 作 り , parpa/ pal ag a の 真 中 の 葉 を 祭 匙 と し て 献 供 を 行 な う 。 そ の 後 , 祭 主 の 家 族 は そ の 火 の 周 り を 時 計 回 り に 三 回 , そ し て 逆 回 り に 三 回 ま わ り , 結 婚 適 令 期 の 娘 が い る と , 彼 女 を 祝 福 す る。 供 物 の 残 り を 籠 に 入 れ , 木 に か け , 後 ろ を 見 ず に 参 加 者 は も と の 祭 場 に 帰 っ て く る。 こ の よ う に第 三 番 目 の Sakam edha祭 は さ ま ざ ま な要 素 を 含 ん だ 複 合 祭 で あ る 。

  最 後 の Sunas i rya 祭 の 供 物 は ,   Cat urm as ya 祭 に 共 通 な 五 つ の 供 物 の 他 に , ( 6)

Indra− Agniへ の 十 二 皿 の pur oda6 a,( 7)V i S ve  devabへ の caru,( 8)Indra  6unasi ra へ の 十 二 皿 の purodaS a, ( 9)V ayu へ の 牛 乳 , ( 10)SUrya へ の 一 皿 の purodag a で あ る 。 こ の 祭 式 も 一 般 的 な i 頭 の 基 本 形 に 従 っ て 行 な わ れ る 。 祭 官 へ の 謝 礼 の う ち で め だ つ も の と し て , 六 頭 又 は 十 二 頭 の 牛 に つ な が れ た 梨 が あ る [ 永 ノ 尾 1984a:64−

67]。

2.   C at urm asya 祭 の 研 究 史

  Cat ur m as ya 祭 を 単 独 に 扱 っ た 文 献 と し て Bhi de [1 979] が あ る 。 黒 Yaj   urveda の Tai t t i ri ya 派 に 属 す る H i rapyake甑 Sraut as 枇 ra の 中 の Cat urm as ya 祭 を 記 述 す る第 五 章 の 新 た な テ キ ス ト提 示 が Bhide の 著 作 の 中 心 的 な テ ー マ で あ る 。 し か し,

彼 は そ の 文 献 の 第 二 章 と第 三 章 で そ れ ぞ れ Brahm apa 文 献 お よ び Sr aut as Ut ra 文 献 に お け る Cat urm as ya 祭 の 記 述 を 扱 い, 第 六 章 で 独 立 し て Sunas l fi ya 祭 を 祖 述 して い る。 この Cat urm 乱s ya祭 は ,  i 麺 の 一 タ イ プ と して 独 立 して 年 に 三 回 行 な わ れ る 以 外 に , R 司 as翫ya 祭 に組 み 込 ま れ た り ,  Som a 祭 の パ タ ー ン に従 っ て 行 な わ れ た り と , い ろ い ろ な 挙 行 方 法 が あ る が , そ れ らを 一 括 し て 第 五 章 で 論 じ, ま た 第 四 章 で は , Srautas Utra 文 献 と Prayoga 文 献 の 関 係 を も詳 し く扱 っ た 点 で , 彼 は Caturm as ya 祭 研 究 に大 き な 貢 献 を して い る 。

  こ れ 以 外 に Sraut a 祭 式 の 一 つ と して の Cat urm as ya 祭 を 簡 単 に 紹 介 し た も の と

       1 0 0 5

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      国 立民 族 学 博 物 館 研 究 報 告   1 0巻 4号 し て 以 下 の 文 献 が あ る 。 [G oNDA I   978: 146− − 147], [ H EEs TERMAN l   957: 27−29,

33−34], [H I LLEBRANDT  l   981 (1897): 115−ll9], [ K ANE  l   974 : 1089−1106] ,

[ K EI TH l   970 (1925):321−323], [ O LDENBERG l   970 (1923): 439−442], [ T HI TE 1975 :55−76], [ W EBER l973 (1870): 337−343] 。

  こ れ ら の 研 究 の う ち , Caturm as ya 祭 に 対 す る ,   Brahm apa 文 献 の 解 釈 に も と ず い た 意 味 づ け , 機 能 に つ い て 論 じ た も の は , H eest erm an [1957] と T hi t e [1975] の 二 つ で あ る 。 そ の 両 者 の Caturm as ya  i 祭 の 解 釈 に つ い て は , 結 論 に お い て 論 じ る つ も り で あ る 。

3.   C aturm asya 祭 の 解 釈 を 伝 え る Brahm apa 文 献

  Cat ur m as ya 祭 に 対 し て 解 釈 を 与 え て い る Brahm apa 文 献 は 以 下 の ご と くで あ る 。     M S l,10,5−20 [145, 1 −161,6]。

    K S  35,20−36,14 [ 66,1レ 81,21 ]。

    T B  l,4,9,2−10;1,6,2,1 −7,1,2。

    SB   2,5,1,1 −6,4,9。

    K B  5,1−8 ( 5,5,1 −10,25)。

    G B  2,1,19−26。

  更 に , JB 2,228− − 234 は som a 祭 の パ タ ー ン に 従 っ て 行 な わ れ る cat ur m asya 祭 の 解 釈 を 与 え て い る 。 な お 本 論 文 で 扱 う古 代 イ ン ド祭 式 文 献 は 略 号 に よ っ て 示 して い

る。 そ れ らに つ い て は 論 文 末 の 略 字 解 を 参 照 さ れ た い。

  Brahm apa 文 献 は い ろ い ろ な か た ち で ( ) aturm as ya  i 祭 の 解 釈 を 与 え て い る 。 そ れ ら の 解 釈 を 分 析 す る こ と に よ っ て , Brahm apa 文 献 が Caturm as ya祭 に 与 え て い る 意 味 , 機 能 を 考 察 す る わ け で あ る が , そ の 際 , 次 の よ う な 方 法 を と る。 ( 1)caturm a−

s ya 祭 全 体 に 対 して ど の よ う な 機 能 を 認 め て い る か 。 ( 2)Cat ur m as ya 祭 を 構 成 す る,

各 季 節 毎 の 祭 式 の 名 称 を 一 括 して 挙 げ て , Cat ur m as ya祭 全 体 を ど の よ う に 考 え て い るか 。 ( 3)そ れ ら季 節 毎 の 祭 式 や , Cat urm asya 祭 に共 通 す る五 つ の 供 物 ,   Sakam e−

dha 祭 に属 す る 中 心 i 祭 M ahahavi s ,祖 霊 祭 ,   R udr a 神 に 対 す る Tryam baka i 祭 な ど の ま と ま っ た ト ピ ッ ク を ど の よ う に 意 味 づ け て い る か 。 ( 4)Cat urm as ya 祭 は 上 述 の ご と く i $ tiの タ イ プ に 属 す る 祭 式 で あ る が ,   Brahm ar p a 文 献 は こ の 祭 式 を 解 釈 す る に あ た り , i s tiの 基 本 形 か ら は ず れ る こ ま か な 執 行 規 定 を 挙 げ , そ れ ら に 対 して 逐 一 解 釈 を 与 え て い く方 法 を と っ て い る 。 こ の 種 の 解 釈 が Br乱hm apa 文 献 の 祭 式 解 釈 の 大 部 分 を しめ て い る が , こ れ ら 多 く の 個 々 の 祭 式 行 為 に 対 す る 解 釈 か ら ど の よ う な

1006

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永 ノ尾  ブラー フマナ文献の祭式解釈

祭 式 像 が 生 じて く る か 。 以 上 四 つ の 観 点 か ら考 察 して み る 。

本 論

  1.   Cat urm asya 祭 全 体 に 対 す る 解 釈

1−1. M ai t r帥 a加 Sarhhi t a は そ の 解 釈 の 冒 頭 で ( M S l,10,5 [145,1 −4] ) 次 の よ う に 述 べ る 。

神 々 と As ur a 達 は こ の 世 界 に い た 。 か の Pr a j apat iは 望 ん だ , 「 As ura達 を 駆 逐 しよ う 。 生 類 を 創 ろ う 」 と 。 彼 は Cat ur m … 靭 a 祭 を 見 た 。   Cat ur m d S ya祭 に よ って As ura 達 を 駆 逐 し た 。 Cat ur m as ya祭 に よ って 生 類 を 創 った 。 こ の よ う に 知 って Cat ur m as ya祭 を お こ な う 者 は , 敵 対 者 を 駆 逐 す る 。 子 孫 と 家 畜 が つ ぎ つ ぎ と生 ま れ る 。

こ れ と 同 様 の 解 釈 を K S 35, 20 [ 66,  ll−14] は 伝 え て い る。 こ の 解 釈 に よ る と , Cat urm as ya 祭 に よ り , 神 々 は彼 等 の 敵 As ura達 を 駆 逐 し ・ 生 類 を 創 造 し , こ の 世 に あ っ て 祭 主 は 彼 の 敵 対 者 を 滅 ぼ し, 子 孫 と 家 畜 の 繁 栄 を 獲 得 す る 。

  こ れ に類 似 の 解 釈 を T B 1,4,9,3−5 は 与 え る 。

一… ・ 彼 等 ( 神 々 ) は cat ur m as ya祭 を 見 た 。 そ れ を 献 じた 。 そ れ に よ っ て 彼 等 ( As ur a 達 ) の 滋 養 ( i f r j )を と っ た 。 そ れ で 神 々 は 栄 え た 。As ur a達 は 滅 び た 。Cat ur m as ya 祭 を 行 な う と,

As ur a達 が 手 に い れ た 滋 養 を そ れ で 手 に い れ る 。 自 分 は 栄 え , 彼 の 敵 対 者 は 滅 び る 。cat ur 。 m a s ya 祭 は vi r司 の い さ お し ( vi kr ant i )。

1−2。 Sat apatha  Brahm ar P a は Cat ur m asya 祭 の 章 の 終 わ り に 近 い 2・   6・   3・   1で 「Ca−

t ur m as ya祭 を 行 う者 の 善 行 は 不 滅 」と 主 張 し,以 下 の よ う な 二 つ の 理 由 づ け を行 な う 。

「何 故 な ら彼 は年 を 勝 ち取 るか ら。そ れ 故 彼 の ( 善 行) は不 滅 と な る。 そ れ ( 年) を 三 つ に 分 け て祭 る4 》 。 三 つ に分 けて 勝 ち取 る。年 は一 切 。一 切 は 不 滅 。 これ に よ って 彼 の善 行 は 不 滅 とな る」

「季 節 とな って 彼 は神 々の もとへ 行 く。 そ して 不 滅 は神 々の もの 。 これ に よ って 彼 の善 行 は 不 滅 とな る」

Cat ur m as ya祭 は 一 ・ ・ 一 一 i 年 を 三 つ に 分 け る , 春 と雨 季 と 秋 の 三 つ の 季 節 に 行 な わ れ る の で , こ の 祭 式 の 解 釈 に お い て , 年 や 季 節 は 重 要 な 役 割 を 演 じ る 。 そ の 季 節 と の 関 連 で SB 2,6,4,9 (こ れ は SB の Cat urmas ya 祭 の 一 番 最 後 の 解 釈 ) は 更 に次 の よ う な 解 釈 を 与 え る 。

4) つ ま り Vai 6 vadeva祭 ,  Var upapr aghas a祭 ,  S乞kame dha 祭 の三 つ に分 けて で あ る。

      1 007

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国立民族学博物 館研究報告  10 巻 4号 あ る季 節 にあ の世 に行 った者 を , そ の季 節 は次 の季 節 にわ た す 。 次 の季 節 は次 の 季 節 にわ た

す 。Cat ur mas ya祭 を行 な う者 は最 高 の場 所 ( s t hana)に赴 く。 最 高 の 状 態 ( gat i )に赴 く、

  T B 1,4,10, 10 に も ,   Caturm as ya 祭 を 行 な う も の は ,   vasant a,9鎚 m a,  var §a,

9 ar ad,  hem anta そ れ ぞ れ の 季 節 に 死 ぬ と , そ れ ぞ れ の 季 節 と な り , 年 と な り , 年 と 同 じ で あ る Pra j   apat i と な る と 説 か れ て い る 。

1−3.   K B  5,1 [18,10−11] ( 5,1,10,11)お よ び G B  2,1,19 に よ る と ,   C at urm asya 祭 は 治 療 祭 式 ( bhai s   aj   yaya j   f i a) で あ る と さ れ る 。

2.   Cat ur m as ya 祭 を 構 成 す る 各 祭 式 の 名 称 を 列 挙 して の Ca t ur m as ya    祭 全 体 の 解 釈

2−1. M S l,10,5 [145,4− −7] お よ び K S 35,20 [66,14−67,2] は 次 の よ う な 簡 単 な 解 釈 を 伝 え る 。

Agni S t om a  A か ら V a i 6 vadeva 祭 を 作 り ,  P両 apat iは 生 類 を 創 っ た 。  U kt hya 祭 か ら V ar u−

papr aghasa 祭 を 作 り ,  V ar upa に 生 類 を 択 え さ せ た 。  At i rat r a 祭 か ら S乞 kamedha祭 を 作 り , Indr a は Vrt r a を 殺 し た 。

独 立 した Cat urm as ya祭 で な く ,   R 司 asUya 祭 に く み こ ま れ て い る Cat urm as ya 祭 を 扱 い つ っ , SB  5,2,4,1−4 は これ に 似 た 解 釈 を 示 す 。

… … Vai g vade va祭 で Pr a j   apat iは 繁 栄 を , 生 類 を 創 っ た 。 … … yar ur p a pr aghas a祭 で Pr a−

j apat iは 生 類 を V r uapa の 枷 よ り 解 き放 った 。 彼 の 生 類 は 病 な く , 罪 ( ki l bi S a)な くつ ぎ つ ぎ に 生 ま れ た 。 … … Sakam e dha 祭 で 神 々 は V ;t r a を 殺 し た 。 彼 等 の こ の 勝 利 を そ れ で 勝 ち 取 った 。 そ の よ う に して こ の 者 は こ れ に よ り 悪 し き 憎 む べ き 敵 対 者 を 殺 す 。 そ の よ う に して 勝 利 す る 。 … …

T B 1,6,8, 1 −2 は こ れ ら 三 つ の 祭 式 に 加 え て Sakam edha 中 の T ryam baka 祭 と Pi t ryaj五a を も 考 慮 に い れ , 次 の よ う な 解 釈 を 与 え る 。

    V ai g vadeva 祭 で Pr a j   a pat iは 生 類 を 創 っ た 。 彼 等 を ,   V ar upa pr aghas a祭 で Varupaの 枷     よ り解 き放 った 。 Sakam edha 祭 で 安 定 さ せ た 。   Tr yambaka 祭 で Rudr a に 分 け 前 を 与 え て     宥 め た 。 Pi t ry aj f i a で 天 界 に 行 か せ た 。

こ の あ と , 同 様 の こ と を 祭 主 に つ い て 主 張 し て い る 。

  V ai g vadeva 祭 に 関 して , こ れ ら四 つ の Brahm apa 文 献 は 一 致 し て , そ の 祭 式 に よ る生 類 の 創 造 を 説 く。 更 に V arut P apraghas a 祭 に よ っ て 生 類 を Varupa に 捉 え さ せ た り (M S,  K S), そ の 反 対 に V arur P a の 枷 よ り解 放 し ( SB,  TB),  Sakam edha祭

100 8

(10)

永 ノ尾   ブ ラー フ マナ文 献 の祭 式 解 釈

      ノ

に よ り V rt ra を 殺 した り ( M S,  K S,  SB),祭 主 を 安 定 さ せ る ( TB) と して い る 。 2−2. Caturm as ya 祭 は 4カ 月 毎 に 行 な わ れ る が, そ れ ら 4カ 月 毎 の そ れ ぞ れ の 祭 式

に よ っ て , 4 ヵ 月 を 獲 得 した り , 敵 対 者 か らi 奪 った り す る と い う こ と を , M S 1,10,

       

8 [148, 12− 13ユ,K S 36,2 [70, 10−12],  T B l,5,6,3−5,  SB 2,6,4,1−8 は 異 口 同 音 に 説 い て い る 。

2−3・ 年 は 普 通 s ar pvat s ara と い わ れ る が , そ の ほ か に par i vat sara,   i davat sara,

      ノ

anuvat sar a と 呼 ば れ る 年 も あ り5) ,   Sunas l ri ya 祭 を 含 め た 四 つ の 祭 式 で そ れ ぞ れ そ れ ら四 種 の 年 を 獲 得 す る とい う こ と を TB l,4,10,1− − 3 は 説 い て い る 。 ま た , 年 の 獲 得 に 関 連 して G B 2,1,26 は 次 の よ う な 解 釈 を 伝 え て い る 。

そ れ ら Cat ur m as ya 祭 で 神 々 は す べ て の 願 望 ( kama)を 得 た 。 す べ て の i S t iを , す べ て の 不 死 性 を 。 Cat ur m as ya祭 は Pra j   apat i ,24 か らな る 年 。  Vai g vadeva祭 は 彼 の 顔 。   Varupa pr 。 aghd Sa 祭 は 両 の 腕 。 こ れ ら 三 つ の ( Sakam e dha 祭 前 日 の ) i S t iは prapa,   apana ,  Vyana。

M a hahavi s祭 は 身 体 ( at man) 。  Sunas i r i ya 祭 は 安 定 。  Cat ur m as ya 祭 は Pr a j apat i , こ の 年 。 Pr aj apat iは す べ て 。  Cat ur m as ya 祭 は す べ て 。 こ の よ う に 知 る 者 は , 又 , こ の よ う に 知 っ て cat ur m as ya 祭 を 行 な う者 は , す な わ ち す べ て で あ り , す べ て を 得 る 。

2−4・ TB l,4,9,5 に よ る と ,  V ai 6 vadeva 祭 に よ り こ の 地 上 世 界 に お い て 安 定 し,

V arupapraghas a 祭 に よ り虚 空 に お い て , そ して Sakam edha 祭 に よ っ て 天 界 に お い て 安 定 し, そ の 結 果 , 「こ の よ う に 知 っ て Caturm as ya 祭 を 行 な う者 は 欠 け る こ と な く ( sar vam )栄 え る ( bhavat i )」 と い わ れ る 。

3.   季 節 ご との 祭 式 な ど に 対 す る個 別 的 解 釈

3−1. V a彰 vadeva 祭 に 関 し て

3−1−1・ V ai S vadeva 祭 に 関 し て は , 多 く の テ キ ス トが , そ れ に よ っ て Praj apati が 生 類 を 創 造 し た と 伝 え て い る 。 そ れ を 伝 え る テ キ ス トは 以 下 の ご と く で あ る 。 M S 1,

10,6 [146,9], M S l, 10,10 [150,7]= K S 36, 5 [72, 3],  K S 35,20 [ 67

,2−3],

SB 2・5・2, 1・K B 5,3 [19,  5]= G B  2,1,21・ ま た ,  M S 1, 10,8 [148,22− −149,1]

= K S 36,3 [70, 14−15] に よ る と ,   Caturm as ya 祭 は 繁 殖 の 手 段 ( pr ajanana) で あ

    ノ

り , SB 2,5・1,22 に よ る と ,   Prajapat i は こ の 祭 式 を 行 な い ,   prajat i お よ び S ri を

5) し か し 普 通 こ の よ う な い ろ い ろ な 名 称 の 年 が 列 挙 さ れ る と き , 五 つ の 名 称 が 挙 げ ら れ る。 例 え ば sam vatsara, parivatsara, idavatsara, anuvatsara, udvatsara (K S 13, 15 [198,3]; 39,6

[123・ 22−124・ 1]; 40, 6 [140, 4]), ま た は salpvatsara,  parivatsara, idavatsara, idvatsara,

       

vatsara (V S 27,45;T S 5,5,7, 1−3; SB 8, 1,4,8) ま た は sa卑 vatsara, parivatsara, id盈vats ara・udvatsara・ vatsara (M S 4,9,18 [135,7−8]),更 に は alpvatsara

 parivatsara, idavatsara,

duvatsara, idvatSara, vatsara (T B 3,10,4, 1;T A 4

,19, 1)。

1009

(11)

国立民族学博物館研究報告  10 巻 4号 実 現 し た と さ れ る 。

  神 話 の 世 界 に お け る Prajapatiに よ る生 類 の 創 造 は , 現 実 世 界 に お い て は , 祭 主 が 子 孫 や 家 畜 に 繁 栄 す る と い う事 実 に 対 応 す る 。 そ の う ち 家 畜 の 繁 栄 に 対 す る願 望 と結

び 付 け られ M S 1,10,8 [148,20−22] は 更 に次 の よ うな 解 釈 を 伝 え る 。

家 畜を 望 む者 は Vai ξ vade va祭 を行 な うべ し。   Var upapr agha s a祭 ,   Sakame dha祭 は行 な わ な い。 千 (頭 の牛 ) を持 つ 欠 け る こ とのな い人 間 と して 生 ま れ る 。 しか も更 に彼 の 力の 及 ぷ 限 りの 状態 に達 す る 。

こ れ に 対 応 す る 解 釈 を K S 36,3 [70,13−14] も 伝 え て い る 。 こ の 千 頭 の 牛 の 獲 得 の モ テ ィ ー フ が ,そ れ 以 外 の 要 素 と結 び 付 け られ た 解 釈 を T B l,4,10,3−5 は 以 下 の よ う に伝 え る。

一 切 の神 々は一 緒 に祭 式を 行 な った 。 彼 等 は Agniに対 して 祭式 を 行 な った 。  Agniの いる 世 界 を勝 ち取 った。 Va i g vadeva祭 を行 な うと,  Agniのい る この 世 界 を勝 ち取 る 。  Agniと 一 緒 の状 態 に赴 く 。 も し Vai g vadeva祭 を 行 な う と,す る と年 の家 長 ( 9;hapat i )を 得 る。 も し年 の家 長 を 得 る と, す る と千 (頭 の牛 を報 酬 とす る祭 式 ) を祭 る 者 ( s aha s r ay勾i n)を得 る。

も し千 を祭 る者 を得 る と,家 庭 祭 を行 な う者 ( g rhame dhi n)を 得 る 。 も し家庭 祭 を 行 な う者 を 得 る と, Agniとな る。も し Agniとな ると ,牝 牛 とな る。 これ が Vai g vade va祭 の 大 き さ。

これ は これ らの最 小 。 これ よ り以 上 の栄 え が生 じる 。

3−1−2.   K B 5,1 [18, 9−10] ( 5,1,8− − 9) に よ る と Phal guna 月 の 満 . 月 の 日 G c V ai6 − vadeva 祭 を 行 な う の は , 年 の 始 め に そ の 年 を 満 足 さ せ る こ と で あ る と さ れ る。

  こ の よ う に み て み る と , V ai 6 vadeva 祭 に よ っ て 祭 主 は 子 孫 と 家 畜 の 繁 栄 を 得 る と い う こ と を , Brahm apa 文 献 は ほ ぼ 一 致 し て 主 張 して い る と言 って よ い で あ ろ う。

3−2. 各 祭 式 に共 通 す る 五 つ の 献 供 に 関 して       、

  Caturm as ya 祭 を 構 成 す る各 祭 式 に お い て 常 に 行 な わ れ る五 つ の 献 供 6 、に 関 して 大 き く分 け て 二 種 の 解 釈 が 与 え ら れ て い る 。 第 一 の グ ル ー プ は生 類 の 創 造 に 関 す る も の で あ り , 第 二 は V rt ra 殺 し の神 話 を め ぐ る も の で あ る 。

3−2−1. M S l,10,5 [1 45,  7−10] は 先 ず 次 の よ う な 解 釈 を 伝 え る 。

あ る生 類 は創 られて いた 。 あ る もの は創 られて いな か った。 そ こで Pr aj apat iは望 ん だ,「生 類 を創 ろ う」 と。祭 式 は年 。・   Pr a japat iは祭 式 。 彼 は この一 対 の乳 を 自分 の 中 に置 い た。 乳 房 の乳 と bahya( ?)を 。 そ こで これ らの諸 神 格 に これ らの供 物 を分 け前 と して 取 り出 した 。

それ らに よ って 生類 を 創 った。

K S 35,20 [67,3−6] も 同 様 の 解 釈 を 伝 え る。

6)各 祭 式 に共通 す る五 つ の献 供 に関 して は p.1 003を 見 よ 。

1010

(12)

永 ノ尾   ブ ラー フマ ナ文 献 の 祭 式 解釈

  ノ

  SB 2,5,1,1−7 は Praj apat iに よ る生 類 の 創 造 に 関 し て か な り 長 い神 話 を つ た え て い る 。 そ れ に よ る と , Pr ajapatiは 最 初 三 回 に わ た っ て 生 類 の 創 造 を 行 な っ た が , そ の つ ど創 造 さ れ た 生 類 は ま と も に 育 た ず に , 鳥 に な った り , 蛇 に な っ た り した 。 食 物 が な い こ と が そ の 原 因 で あ る と知 っ た Pra japat iは , 自 分 の 乳 房 に乳 を 満 た し, そ

の 後 再 び 生 類 を 創 造 す る と , 食 物 を 得 た 生 類 は 滅 び る こ と な く育 っ た と さ れ る 7 )。

  こ れ ら二 つ の 神 話 と五 つ の 供 物 と の 関 連 は 明 確 で は な い が , そ れ ぞ れ の 文 献 の 五 つ の 供 物 の 解 釈 の 冒 頭 に あ る た め , 一 応 こ こ で 紹 介 す る 。

3−2−2. 生 類 の 創 造 に 関 す る 第 二 の 解 釈 は M S l, 10,5 [145,  ll−12],   K S 35,20

[ 67,6−8] の 伝 え る よ う に , ご く簡 単 な も の で あ る 。

季 節か らそ れ ら生 類 は生 ま れ た 。 これ ら五 つ の 供物 は季 節 。何 故 な ら季 節 は 五つ だか ら。 そ こか ら生 ま れ る。

3−2−3. 生 類 の 創 造 に 関 す る第 三 の 解 釈 は , 五 つ の 供 物 の 各 祭 神 が 生 類 の 創 造 に ど の よ う に 具 体 的 に 係 わ る か に 関 し て で あ る 。 先 ず M S l,10,5 [145,12−19] は次 の よ

う な 解 釈 を 与 え る 。

Agniは ( 精 液 を ) 放 出 し た 。   Som a は 精 液 を ( 母 体 内 に ) 置 い た 。  Agniと Som a は 一 対 。 Savi t r は 出 産 ( pr a j   anana)へ と 促 した 。  Savi t rは 一 年 。 一 年 は 十 ニ カ 月 。 そ れ ゆ え 十 二 皿 。 更 に 又 , 十 二 皿 は 一 切 神 に か な う た め 。 小 声 で 献 供 す る 。 何 故 な ら一 年 は 名 状 し難 き も の 。

Sar as vat iは 創 られ た (生 類 )に 言 葉 を 置 い た 。PU§ an を 安 定 の 基 礎 と して 創 ら れ た 。Sar as vat i は 言 葉 。 Pt t s an は 家 畜 。 言 葉 と家 畜 は一 対 。 中 央 の と こ ろ で (?)Pr a j apat iに よ り 創 ら れ た 。 終 り の と こ ろ で (?) 一 対 よ り さ ま ざ ま な 方 向 へ と生 み 出 さ れ た 。 そ こ で , 今 , 中 央 の と こ ろ で Pr a j apat iに よ り 創 られ る 。 そ こ で , む こ う で , 終 り の と こ ろ で (?) 一 対 よ り さ ま ざ ま な 方 向 へ と生 み 出 さ れ る 。

対 応 す る解 釈 は K S 35,20 [ 67,8−15] に も伝 え られ て い る 。

  T B l,6,2,1 −2 は こ れ ら五 柱 の神 格 を 繁 栄 の 主 ( pu§ t i pat i) と 呼 び , 次 の よ う な 解 釈 を 伝 え る 。

Vai 6 vadeva祭 で Pr a j apat iは生 類 を創 った 。創 られ た 彼等 は繁殖 しな か った 。か の Agniは 望 ん だ , 「私 が これ ら を 繁 殖 させ よ う」 と。 彼 は Pr a japat iに苦 痛 ( 9 uc) を 置 いた 。 彼

( Pra j apat i ) は生 類 を 望 みつ つ苦 しん だ。 そ れ故 生 類 を 享受 す る 場合 で も, しない 場合 で も,

いず れ の 場合 で も生 類 を望 む者 は苦 しむ。 彼 等 ( 生 類) } C  Agniを 元 に戻 した 。彼 等 を Agni 7) これ に 対 応 す る 神 話 は JB  2,228− 230 に も 伝 え ら れ て い る 。 そ して sB,   JB と も に Rv  8,90,

14 ( 8,1 01 1 4)の 解 釈 の 形 を と って い る 。 そ れ ら二 つ の 神 話 の も と に な る R V の 詩 は 以 下 の よ う な も の :pr a j a ha  t i s r 6 at y益 yam i yur  ny anya ar kam  abhi t o  vi vi § r e/brha d  dha   t as t hau bhUvane S v  ant ah  pavam ano   har i t a  a  vi vd 丞a〃  「 三 つ の 生 類 は 過 ぎ 去 って しま っ た 。 他 の も の

は 賛 歌 の 回 り に座 って い る 。 彼 は 高 く世 界 の 中 に 立 っ て い る 。 清 め ら れ つ つ 彼 は 黄 金 色 の も の た ち の 中 に は い って い った 」。

1011

(13)

国立民族学博物館研究報告  10 巻 4号 は求 めた 。 Somaは精 液 を 置い た 。  Sa vi t rは生 ま れ さ せ た。  Sar as vat iは言 葉 を 置 い た。

PUs an は栄 え させ た 。 これ ら繁栄 の主 た る神 々は一 年 に三 回用 い られ る。  Pr a j apat iは一 年 。 す なわ ち一 年 によ って 彼 の た め に生 類 を生 み 出 した の で あ る。

SB  2,5,1,8−11 の 伝 え る 解 釈 は次 の よ うで あ る 。

… … 諸 神 格 の 顔 は Agni 。 彼 ( Agni )は 生 む 者 と して の Pr aj apat i 。 … … Som a は精 液 。 生 む 者 と して の Agniに Som a を 精 液 と して 注 ぐ。 そ れ が 第 一 の 生 産 的 一 対 。 … … Sa vi q は 諸 神 格 の 中 で 鼓 舞 i す る者 と して の Pr a ja pat i 。 ま ん 中 の 生 む 者 。 ・ … ・ ・ Sar as vat iは 女 。  M S an は 男 。 そ れ は 再 び 生 産 的 一 対 。 こ の 二 種 の 生 産 的 一 対 か ら Pr a j apat iは 生 類 を 創 っ た 。

  こ れ ら四 つ の Brahm apa 文 献 に お い て そ れ ぞ れ の 神 格 に 付 与 さ れ て い る 機 能 は 同 じで は な い が , こ れ ら五 柱 の 神 々 が な ん ら か の か た ち で 誕 生 の 過 程 に 参 加 し て い る と い う こ と は ,等 し く主 張 さ れ て い るi . 。従 っ て こ れ ら五 柱 の神 々 へ の 献 供 は , Pr ajapat i に と っ て は 生 類 の 創 造 の 機 能 を 持 ち , 祭 主 に と っ て は 子 孫 や 家 畜 の 誕 生 を 助 け る と い う 役 割 を 演 じ る 。

3− 2−4. Caturm as ya祭 に 共 通 す る 五 つ の 献 供 に 想 定 さ れ る 第 二 の 機 能 は 「V rt ra 殺 し」 で あ る 。 こ の 点 に 関 し て は M S l, 10,5 [145,19−146,2] に 次 の よ う な 神 話 的 主 張 が 伝 え ら れ て い る 。

こ れ ら の 供 物 は Vrt r a 殺 し。  Agniを 前 衛 ( ani ka) と し て I ndr a は V   t r a を 殺 した 。  Som a を 王 と して , Savi t ; に 鼓 舞 さ れ ,   Sar as vat iを 物 見 ( c et ;) と して 。   PaS an は 勇 気 を も っ て 彼 を 助 け た 。

こ れ に対 応 す る解 釈 を K S 35,20 [ 67,15−68,2]8 ) も伝 え て い る 。

SB 2,5,4,3−7 は Sakam edha祭 の 解 釈 の 冒 頭 で , こ れ ら五 柱 の 神 々 が V rt ra 殺 し に ど の よ う に 係 わ っ て い る か を 教 え る 。

Agniを 光 輝 ( t e j as ) と して 彼 ら ( 神 々 ) は そ れ ( VT   t r a>を 殺 した 。 か の 光 輝 た る Agniは 動 揺 し な か った 。 … … Som a を 王 と して 彼 ら は そ れ を 殺 した 。 彼 ら は Som aを 王 とす る 。 … … Savi t r は 神 々 の 中 の 鼓 舞 者 。  Savi t rに 鼓 舞 さ れ 彼 ら は そ れ を 殺 した 。 … … Sara s vat iは 言 葉 。 言 葉 が 実 に 声 援 を 送 っ た , 「打 て , 殺 せ 」 と 。 … … PUs an は こ の 大 地 。 こ れ ( 大 地 ) は そ れ を 殺 さ れ る よ う に 差 し出 し た 。 そ れ ( 大 地 ) に よ って 差 し 出 さ れ た そ れ ( Vrt ra)を 彼 ら は 殺

した 。

M S,  K S に よ る と ,   R V 以 来 の 神 話 と 同 様 ,   V rt ra を 殺 す の は Indra で , こ れ ら 五 柱 の 神 々 が Indra の V rtra 殺 し の 援 助 を す る と い う こ と に な っ て い る が ,   SB に よ 8) KS 35,20 [ 68,1 − 2] で は s a ras vat ya cai t ryam と な って い る 。 つ ま り 「 Sar a svat iと と も に   Cai t ra月 の 満 月 の 日 に 」 と 解 釈 さ れ る 。 な お Vai g vadeva  A は St r aut as t t t r a の 規 定 に よ れ ば   Phal guna 月 , ま た は Cai t r a 月 の 満 月 の 日 に 行 な わ れ る と さ れ る 。

101 2

(14)

永 ノ尾  ブラー フマナ文献 の祭式解釈

る と , V rt ra を 殺 す 主 体 と して の Indra は 姿 を 消 し , こ の V rt ra 殺 し と い う神 話 的 偉 業 は神 々 の 共 同 作 業 と な る 。

  TB l,6,2,5−7 は こ の 五 つ の 献 供 の 解 釈 に ,   V rt ra 殺 し の モ テ ィ ー フ を 用 い ず , 神 々 と As ura 達 の 争 い と い う場 面 を 設 定 して , こ φ 五 つ の 献 供 の 解 釈 を 行 な う 。

神 々 と As ura達 は争 って い た 。 か の Agniは言 った , 「私 を 始 め に祭 れ 。 私 を顔 と して あ な た達 は As ur a達 に勝 つ だ ろ う」 と。「私 を 二番 目に」 と Somaは言 った ,「私 を 王 と して あ な た達 は 勝 つ だ ろ う」 と。 「私 を 三番 目 に」 と Sav i t vは言 った , 「私 に鼓 舞 さ れ あな た 達 は 勝つ だ ろ う」 と。 「 私 を四 番 目 に」 と Sar as vat iは 言 った , 「lndr aの 力を あ な た達 に私 は 置 くだ ろ う」 と。 「私 を 五番 目 に」 と pas an は言 った , 「私 を 安定 の 基 盤 と して あ なた 達 は勝 つ だ ろ う」 と。 彼 ら (神 々) は Ag n五を 顔 と し て As ur a達 に勝 った ,   Somaを王 と して , Savi t Fに よ り鼓舞 され ,  Sara s vat iは I ndr aの 力 を 置 いた 。  PUS an は安定 の 基 盤 であ った 。 そ こで神 々は完 全 に勝利 した 。 これ らの 供物 が 献 じられ るの は ,完 全 な勝 利 の た めで あ る。

  Indra に よ る V rtr a 殺 し,神 々 に よ る V rt ra 殺 し,神 々 と Asura 達 の 争 い と , 神 々 の 世 界 の 話 と し て は 各 々 多 少 異 な った 話 素 を 示 す が , こ れ らの 話 素 は 祭 主 の 世 界 に 移 さ れ る と , 祭 主 が 敵 対 者 を 滅 ぼ す と い う こ と と な り , こ れ ら, 四 Brahm apa 文 献

は 結 果 と して 同 じ機 能 を 五 つ の 献 供 に 付 与 して い る こ と に な る 。

  cat urm as ya 祭 に 共 通 す る 五 つ の 献 供 に 想 定 さ れ た 機 能 と して の 生 類 の 創 造 と V rt ra 殺 し は , 全 く別 な も の と して 素 直 に 解 釈 す べ き で あ ろ う。 生 類 の 創 造 と い う機 能 は V ai≦ vadeva 祭 の 解 釈 に う ま く対 応 す る。  V rt ra 殺 し, あ る い は Asura に 対 す る 勝 利 と い う解 釈 を M S も K S も TB も ,  Cat urm as ya 祭 の 解 釈 の 冒 頭 で , 生 類 の 創 造 の 解 釈 に 続 け て 行 な っ て い る た め 奇 異 な 印 象 を 与 え る 。 他 方 , SB が こ の 第 二 の 解 釈 を Sakam edha 祭 の 章 の 冒 頭 の と こ ろ で 与 え , しか も , そ の Sakam edha 祭 自 体 に V rt ra 殺 し と い う 機 能 が 付 与 さ れ て い る こ と を 考 え る と ,   M S,  K S,  TB は , Sakam edha 祭 の 解 釈 の 際 に 想 定 さ れ る ,   V rt ra 殺 し な ど の 五 つ の 共 通 献 供 の 機 能 を , caturm as ya 祭 の 解 釈 の 冒 頭 に , 先 取 り し て 与 え て い る と見 な して よ い で あ ろ う。

3− ・ 2− 5. K B 5,2 [18,1   7− −2  1 ] ( 5,2,   1−12)お よ び そ れ に 対 応 す る G B 2,1,20 [157,

4−9] は こ の 五 つ の 献 供 に よ っ て 五 柱 の 神 々 を 満 足 させ る と い う解 釈 を 行 な う。

3−3. V arup, apr aghas a  i 祭 に 関 し て

  V ar upapraghasa 祭 の 効 果 と し て Brahm apa 文 献 は , 主 と して 二 つ の こ とを 挙 げ て い る。 一 つ は ,M S,   K S の い う祭 式 に よ る困 窮 ( at hhas)の 除 去 ( aves1 i )で あ り,い ま 一 つ は ,TB,  SB,  K B,  G B の い う V arupa の 枷 ( varUnapa§ a)か ら の 解 放 で あ る9 )。

9) r Vl s HvA Bandhu l   962: 27 61] に よ る と,  M S,   K S は と も に 他 の 章 に お い て は V ar upa の 枷 ( v ar upapag a)か ら の 解 放 と い う解 釈 を 行 な っ て い る が , 両 文 献 と も こ の cat u rm as ya 祭 を 扱 う章 に お い て は , Br ahm apa文 献 を 通 じて 広 く知 られ て い る こ の テ ー マ を 用 い て い な い 。

101 3

(15)

国立民族学博物館研究報告   10 巻 4号

3−3−1.

る 。

aM has の avc§ ti と い う 解 釈 を M S  l, 10, 10 [150, 7−ll] は 次 の よ う に 伝

Vai S va deva 祭 に よ っ て Pr a jipat iは 生 類 を 創 っ た 。   M ar ut神 達 は 彼 の 供 物 を 奪 っ た 。 そ れ で 困 窮 に と り つ か れ て 彼 ら ( 生 類 ) は 創 ら れ た 。 彼 ら ( 生 類 ) の た め に 癒 す 手 段 ( bhe s a j a)

を 彼 ( Pra j apat i )は 求 め た 。 彼 は こ の 乳 を 自 分 の 中 か ら 作 り だ した 。 そ れ で 彼 らか ら 困 窮 を 除 い た 。 V ar uηapraghas a 祭 は 困 窮 を 祭 に よ っ て 除 く も の 。  V ar upapra ghas a祭 を 行 うの は , す べ て の 困 窮 を 祭 に よ っ て 除 く た め で あ る 。

K S の こ れ に 対 応 す る 個 所 は 36,5 [72,3−6] で あ る 。 こ の ar hhas の avcSt i と い う 解 釈 は 更 に M S l,10,8 [1 49, 1 −2]= : K S 36,3 [70, 15−17] や M S l,10, 1 4 [153,

18]=・ K S 36,8 [75, 12〕 に お い て も 言 及 さ れ て い る 。

3−3−2. T B 1,6,4, 1 −2 に よ る と V arupa の 枷 か ら の 解 放 と い う 解 釈 は 次 の よ う で あ る 。

Pra j apat iは Sav壇 と な って 生 類 を 創 っ た 。 そ れ ら ( 生 類 ) は 彼 ( Pr a japat i )を 侮 った 。 そ れ ら は 彼 か ら 出 て い っ た 。 そ の 生 類 を ( Pr aj apat iは )Var ur p a と な り ,  Var u腿 に襲 わ せ た 。 そ れ ら 生 類 は Varur p a に 捕 え られ ,   Pr aj apat iの も と に 再 び 助 け を 求 め て 行 っ た , 守 護 を 求 め て 。 か の Pr aj apat iは V ar ur P apr aghas a  4. を 見 た 。 そ れ を 行 な っ た 。 そ れ に よ っ て , 彼 は 生 類 を Var upa の 枷 よ り 解 い た 。  V ar upapr agha Sa祭 が 行 な わ れ る の は , 生 類 が Var upa に 捕 え られ な い た め 。

  SB 2,5,2,2−3 に よ る と V arupa に 捕 え られ た 生 類 達 は , た だ 息 を す る だ け で , ぐ った り と し て しま っ た 。 そ こ で Pra japat iは こ の V arupapraghasa 祭 で 癒 し,

「そ こで 彼 の 既 に生 ま れ て い る 生 類 , そ し て ま だ 生 ま れ て い な い生 類 そ の 二 種 (の 生 類 )を V arupa の 枷 か ら解 き は な っ た 。 彼 の そ れ ら生 類 は 病 もな く災 も な く繁 栄 し た 」 と さ れ る 。

  ま た K B 5,3 [19,5−10] ( 5,3,1 −9)お よ び G B 2,1,21[158,1−8] に よ る と,生 類 達 は V arupa の 許 可 な く Var叫 a の 大 麦 を 食 べ た た め ,  V ar叫 a の 枷 に 縛 ら れ た 。 助 け を 求 め ら れ た Praj apat iは こ の V arupapraghasa祭 を 行 な い , 「V arupa を 満 足

させ た 。 満 足 した か の Varupa は V arupa の 枷 か ら , す べ て の 罪 か ら生 類 を 解 き は な っ た 」 と さ れ る。

  困 窮 ( ar hhas)が ,   V arupa が 生 類 に も た ら す 災 で あ る と す る と10 ), そ の ar hhas を 祭 る こ と に よ っ て 取 り除 く こ と は , 生 類 に 対 す る V aruna の 悪 い 影 響 を 排 除 す る こ と で あ り , V ar叫 a の 枷 ( varupapaSa) か ら の 解 放 と軌 を 一 に し, こ の 二 種 の 解 釈

1 0) at nhasに 関 して は [ GoNDA 1957]を 参 照 。

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(16)

永 ノ尾   ブラー フマナ文献の祭式解釈

は 同 じ も の と考 え られ る。 そ して , V arupa が arbhasを 生 類 に も た らす の も , 枷 に よ っ て 生 類 を 捕 え る の も , 生 類 が 犯 した 罪 ( enas ) の 故 で あ る と す る と ,  al hhas の 除 去 お よ び varmPapaS a か ら の 解 放 の 結 果 は 罪 ( enas ) の な い状 態 と な ろ う。 そ の こ と を M S l,10,10 [150,12−13]ニ K S 36,5 [72,7−8ユ は 「V arupapraghasa 祭 を 行 な う者 に お い て 罪 は , 生 ま れ た ば か り の 子 供 に あ る 程 の 罪 に な る 」 と 表 現 す る 。 3− 3−3, TB 1,4,1 0,6 の 伝 え る V arur P apraghas a  4 を 行 な う と Adi t ya 神 (太 陽 )

の い る世 界 を 勝 ち 取 り , Adi tya神 と一 緒 に い る 状 態 に 赴 く と い う解 釈 は か な り 思 弁 的 傾 向 の 強 い解 釈 で あ ろ う 。

3−4.   Sakam edha祭 に 関 して

3−4−1 . Sakam edha 祭 の効 果 と し て 先 ず 挙 げ る べ き は V rtra 殺 し と い う こ と で あ る 。 そ の こ と を K S 36,8 [ 75,16] は 端 的 に 「Sakam edha 祭 は Vrt ra 殺 しで あ る 」

         

と 表 現 し , SB  2,5,3,1 は 次 の よ う に 言 う 。

そ こで この Sakamedha祭 を ( 行 な う)。 これ によ って 神 々は Vrt r aを 殺 した 。 こ れ によ っ て 彼 らの この完 全 な勝 利 ( v i j i t i )を 獲得 した 。 そ の よ う に この者 ( 祭主 ) は これ によ って 悪

しき,憎 むべ き敵 対者 を 殺す 。そ の よ う に完全 に勝 利 す る。

SB に よ る と Sakam edha 祭 に よ っ て V rt ra を 殺 す こ と は 完 全 な 勝 利 ( vi ji t i ) を 獲 得 す る こ と と さ れ る が , そ の こ とを 強 調 して SB 2,5,4,1 0 は 更 に次 の よ う に 述 べ る 。

sakamedha祭 を行 な い , 完 全 に 勝利 し た 神 々に と って一 切 の行 為 が成 就 した 。す べ て が勝 ち取 られ た 。 saka m e dha祭 を行 な い ,完 全 に 勝利 した この者 ( 祭 主) に と って 一 切 の行 為 が 成 就す る。す べて が 勝 ち取 られ る。

3−4−2.   K B  5,5 [ 20,3−4] ( 5,6, 1 −3)= G B 2, 1,23 [159,13−15] は Sakam edha 祭 を Indra 神 と 関 係 づ け , 次 の よ う な 解 釈 を 伝 え る 。

Sakame dha祭 は I ndr aに 対す る祭 式。 大 王 は先 ず 初 め に軍 の前 衛 を 派遣 して , そ の後 で恐 れ のな くな った 道 を行 くよ う に, まず 初 めに これ らの諸 神 格 を祭 るの で あ る 。

3−4−3.   K B 5,5 [20,5] ( 5,6,4−5)=:G B 2,1,23 [159,15− −16] は 更 に こ の i 祭 式 を M ahavr ata 祭 と 等 置 す る。

3十 4. TB 1 ,4,10,6−8 は こ の 章 に特 有 な 思 弁 的 傾 向 の 強 い 解 釈 の 続 き と して , sakam edha 祭 を 行 な う者 は 月 の 輝 い て い る世 界 を 勝 ち 取 り , そ の 月 と一 緒 に い る 状 態 に 赴 く と い う解 釈 を 挙 げ る。

3−5. M ahahavi s に 関 して

Sakam edha 祭 の 二 日 目 に行 な わ れ る , こ の 祭 式 の 中 心 祭 で あ る M ahahavi sに 対 し

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参照

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