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教員免許状更新講習

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Academic year: 2021

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(1)

Ⅰ 緒言

学習指導要領 における 「体育」 のダンス 領域 は 、 平成10 (1998)年 の 改訂 でそれまでの 「創作 ダンス 」、

「 フォークダンス 」 に 加 えて 、新 たに 「現代的 なリズ ムのダンス 」 が 導入 された 。学習 のねらいは 、中学 校 では 「 リズムの 特徴 を 捉 え 、変化 のある 動 きを 組 み 合 わせて 、 リズムに 乗 って 全身 で 踊 ること 」 1) 、高等 学校 では 「 リズムの 特徴 を 強調 して 全身 で 自由 に 踊 っ たり 、変化 とまとまりを 付 けて 仲間 と 対応 したりして 踊 る こと 」 2) と 示 されている 。 その 指導 に 際 しては 、「一人 一人 の 能力 を 生 かす 動 きや 相手 と 対応 する 動 きなど を 取 り 入 れ 」 て 仲間 とかかわりをもつことや 、「簡単 な 作品 を 見 せ 合 う 発表」、 「一緒 に 踊 り 合 う 交流 の 活動」

などが 例示 されている 2) 。 しかし 、先行研究 によると 、 学習指導要領解説 の 内容 に 反 して 、教師 の 一斉指 導 による 既成技術 や 作品 の 教授 に 留 まった 授業、映 像資料等 を 用 いて 既成作品 を 模倣 させるだけの 放任 授業 が 見受 けられ 、充実 した 実施状況 ではないこと が 報告 されている 4) 6)

また 、体育科教育 の 多 くの 領域 では 、技術習得、

勝敗、記録、 ルール 等 により 、評価基準 が 明確 に 定 められている 一方、 ダンス 領域 は 明確 な 評価基準 が なく 、 そこに 指導 の 難 しさがあるといえる 。他 の 領域 と

は 異 なる 性質 を 有 するダンス 領域 では 、 その 授業内 容 や 展開方法 は 教員 に 任 されており 、特 にダンス 経 験 の 乏 しい 教員 にとっては 、不安 を 感 じるケースも 少 なくないと 考 える 。

このような 状況 の 中 で 、新 たに 加 わった 「現代的 な リズムのダンス 」 の 望 ましい 指導方法 を 提示 すること が 課題 であるといえる 。 この 課題 を 解決 する 方策 の 一 つとして 、全国 で 研修会 や 講習会 が 実施 されている 。

「教員免許状更新講習」 もその 一 つになり 得 るといえ よう 。

平成21 (2009)年 に 導入 された 教員免許更新制 に より 、教員 は 「教員免許状更新講習」 を 受講 すること が 義務 づけられた 。 この 制度 は 、「 その 時々 で 教員 と して 必要 な 資質能力 が 保持 されるよう 、定期的 に 最 新 の 知識技能 を 身 に 付 けること 」 を 目的 としている 3) 。 本学 でも 例年、「教員免許状更新講習」 を 実施 してお り 、筆者 は 、実技科目「現代的 なリズムのダンス 」 を

担当 している 。

本研究 では 、「教員免許状更新講習」受講者 から 得 た 意見 をもとに 、「現代的 なリズムのダンス 」 の 講 習内容 の 評価 を 行 うとともに 、今後 の 課題 を 検討 する ことを 目的 とする 。本研究 で 得 られた 知見 を 、今後 の

指導 の 一助 としたい 。

教員免許状更新講習 における 「現代的 なリズムのダンス 」 の 指導方法 の 検討:受講者 の 記述 から 課題 を 探 る

Considering Teaching Method of “Modern Rhythm Dance” on Certificate Renewal Course:

Looking for a Problems from Participant’s Description

キーワード :動 きの 習得、動 きの 発展、発表、交流、音楽 の 活用、達成感・有能感

長谷川 千里

HASEGAWA Chisato

(2)

Ⅱ 方法 1.調査方法

平成 28 年度及 び 平成 29 年度 に 本学 において 実 施 された 「教員免許状更新講習」 の 実技科目「 ダンス

(現代的 なリズムのダンス )」 (以下、本講習 と 略 す ) の 受講者87 名 のうち 、無回答者 を 除 く 、中学校 およ び 高等学校(中高一貫校 を 含 む )教員65 名 を 対象 と した 。

本講習終了後 の 修了認定試験 において 、「今回 の 講習 を 現場 でどのように 活用 できるか 」 を 自由記述 して もらい 、 その 意見 を 収集 した 。収集 した 意見 は 、 その 文脈 からカテゴリー 化・集計 を 行 い 、傾向 を 明 らかに した 。

記述内容 を 本研究 において 使用 する 旨、受講者 の 同意 を 得 た 。 また 、本学研究倫理審査委員会 によ る 承認 を 得 た (研倫審・平 29 22号)。

2.講習内容概要

本講習 の 所要時間 は1時間 10分 であり 、 その 中 で

(1)実技: ウォーミングアップ 、(2)実技:指導事例、

(3)講義:実技内容 の 解説 と 展開方法等 の 提案 を 行 った 。

(1)実技: ウォーミングアップ

ウォーミングアップでは 、身体各部位 のストレッチ ング 、身体部位(頸部、胸部、腰部) をそれぞれ 前 後・左右 にずらしたり 、回旋 させたりするアイソレーショ ン 、 ダウンやアップのリズムを 取 る 内容 を 行 った 。

(2)実技:指導事例

ここでは 、単 なるステップや 振付 の 習得 ではなく 、筆 者自身 が 振 り 付 けたダンスを 通 して 、次 の ①〜⑤ の 方法 を 事例的 に 展開 し 、指導方法 の 提案 を 行 った 。 筆者 が 振 り 付 けたダンスの 概要 は 表 1の 通 りである 。

①振付 の 構成方法

現代的 なリズムのダンスで 使用 する 音楽 は 、「前 奏→A →B →C → A → B → C → ラスト 」 のように 明 瞭 な 構成 のものが 多 い 。音楽構成 が 明瞭 であれば 、 音楽全体 をとらえることが 容易 になるため 、音楽選定 の 一 つの 基準 になると 考 える 。振付 を 構成 する 際、

パターン 振付 振付内容(ステップ等) 2 人組で行える工夫

(対面で行うための工夫) 音楽を活かした振付

パターン 1

横方向への軽いジャンプとパンチ

V ステップ(変形)と手拍子 V ステップ(変形)の際の手の動きが 対面者と合う

パターン 2

ポーズ(創作) 2 人組でポーズを創作する 音楽に掛け声が入っており、ポーズ のきっかけとなる

後方へのジャンプとターン ターンの際に互いの手をタッチする 音楽に掛け声が入っており、ジャン プのきっかけとなる

スライド 位置交換

ウォーク & ラン 音楽の盛り上がりに向けて、ウォー

クからランへと動きが変化する

パターン 3

ダウンとジャンプ ジャンプの際の手をハイタッチする 音楽の盛り上がりで跳躍的な振付を 用いる

パドブレ

パターン 4

サイドステップ(変形) サイドステップの際の手の動きが対 面者と合う

スリーステップターン 歌詞に合わせた振付

表 1 :振付の内容

(3)

音楽構成 に 合 わせる 、 つまり 、「Aのメロディーでは Aの 振付」 とすることで 、振付全体 をとらえやすくなる 。 本講習 でも 、音楽 の 選定 と 振付構成 はこの 方法 を 用 いた (表 2)。

②振付 の 習得方法

振付 を 覚 えることは 難 しいという 意識 が 、 ダンスに 対 して 苦手意識 を 感 じる 一 つの 要因 であると 考 える 。 振付習得 を 容易 にする 、 もしくは 意欲的 に 取 り 組 める ような 方法 の 一 つの 事例 として 、本講習 では 、2人組 で 振付 を 習得 する 方法 を 用 いた 。具体的 には 、「A の 振付 は Aさんと 、B の 振付 はBさんと 一緒 に 覚 える 」 というように 、A、B、Cという 振付 を 別 の 相手 と 習得 させ 、 その 人 の 顔 を 見 ると 振付 が 想起 しやすくなると いった 方法 である 。 この 方法 を 用 いるため 、振付 は 、

2人組 で 行 うと 位置交換 ができたり 、互 いの 手 を 合 わ せることができるよう 、2人組 での 良 さが 味 わえるような ものにした (表1参照)。 また 、 この 方法 を 用 いることで 、

教 えあったり 、一緒 に 練習 したりと 主体的 な 練習活動 へと 展開 できるのではないかと 考 える 。

③音楽 を 活 かした 振付方法

音楽構成以外 にも 、音楽 の 変化(曲調、抑揚、盛 り 上 がり 等) やメロディーラインをとらえた 振付、歌詞 の 内容 をイメージした 振付 にすることにより 、 ダンス の 独自性 が 生 まれるとともに 、振付習得 の 助 けになる と 考 える 。本講習 でも 、音楽 の 盛 り 上 がりでは 跳躍的 な 振付 を 用 い 、抑揚 や 歌詞 を 意識 した 振付 を 用 いた

(表1 参照)。

④達成感・有能感 につなげていく

①〜③ の 方法 によって 、振付 を 習得 することが 容易 となれば 、「1曲 を 踊 りきることができた 」 という 達成感、

有能感 に 繋 がると 考 える 。達成感 や 有能感 は 次 の 取 り 組 みへと 発展 させるために 重要 な 要素 であると 考 え られるため 、様々 な 場面 で 達成感 や 有能感 を 味 わう

経験 をさせることが 良 いのではないかと 考 える 。

⑤動 きのアレンジ 方法

体 の 向 きを 変化 させて 踊 る 、 ユニゾンやカノン 、 シンメトリー 等 を 用 いる 、2 人組 や 集団 で 踊 ってみる

等、簡単 なアレンジによって 、土台 となる 一 つの 動 き が 様々 に 発展 できることを 伝 え 、実践 を 通 して 、 その 方法 を 提示 した 。

(3)講義:実技内容 の 解説 と 展開方法等 の 提案 講義 では 、指導事例(実技) で 行 った ①〜⑤ の 方 法 について 解説 するとともに 、本講習内容 をどのよう に 各学校 の 実態 に 合 わせていくか 、 どのように 発表 ま で 展開 していけるか 等、 その 方法 を 提案 した 。

表 2 :音楽構成と振付パターン

音楽

パターン

振付パターン

1 2 3 4 5 6 7 8

1 2

前奏

3 4 5

サビ

パターン3

6

7

パターン3

8

9

パターン4

10

11

パターン3

12

13

間奏

14 Aメロ

パターン1

15

16

パターン1

17 18

Bメロ

パターン2

19

20 21 22

サビ

パターン3

23

24

パターン3

25

26

パターン4

27

28

パターン3

29

30

間奏

31 Aメロ

パターン1

32

33

パターン1

34 35

Bメロ

パターン2

36

37 38 39

サビ

パターン3

40

41

パターン3

42

43

パターン4

44

45

パターン3・ポーズ

46

I  I  I  I  I  I  I 

(4)

Ⅲ 結果

本講習受講者 の 意見 を 収集 し 、 その 文脈 から 1. 授 業 の 実態 や 教員 の 意識、 2. 本講習 に 対 する 意見 とい う2つのカテゴリーに 大別 した 。

さらに 、1. 授業 の 実態 や 教員 の 意識 は 、「授業 の 実態」、「教員 の 意識」 の2つのカテゴリーに 分類 し 、 集計 を 行 った 。2. 本講習 に 対 する 意見 は 、「振付 の 構成方法」、「振付 の 習得方法」、「音楽 の 選定・活 用方法」、「動 きのアレンジ 方法」、「授業 の 展開方 法」、「楽 しさや 喜 びを 味 わう ・交流 できる 授業」、「活 用 の 可能性」、 「 その 他」 の8つのカテゴリーに 分類 し 、 集計 を 行 った (図 1)。

1.授業の実態や教員の意識 1–1 .授業の実態

現在、「現代的 なリズムのダンス 」 で 行 われてい る 授業内容 および 生徒 の 実態 に 関 する 記述 は18件

(27.7%) であった 。

授業内容 では 、基本 ステップや 振付 の 習得 から 、 グループでの 創作活動、発表 へと 展開 させていく 実 践例 がみられた 一方 で 、「TV や DVD で 見 たものを 生徒( で 好 きな 子) が 真似 してみんなに 教 える 」、「映 像 を 使 っての 授業 が 中心 になってしまう 」 といった 既 成 の 踊 りの 模倣 に 留 まってしまっているケースもみら れた 。

生徒 の 実態 では 、 ダンスに 興味・関心 を 持 ってい る 生徒 がいるという 意見 と 、 ダンスが 得意・好 きという

者 と 苦手・嫌 いという 者 の 二極化 が 目立 つという 意見 がみられた 。

1–2 .教員の意識

教員自身 がダンスに 苦手意識 を 持 っているという 記述 が 8件(12.3%) みられたが 、「 ダンスが 苦手 な ので 、映像 を 使 っての 授業 が 中心 になってしまうが 、 工夫 すれば 様々 なことができそうだ 」、「基本的 な 現 代 リズムの 取 り 方 は 苦手 ですが 、今回 の 内容 であれ ば 、自分 も 恥 ずかしがらずに 、生徒 も 喜 んで 取 り 組 ん でくれると 思 った 」 というような 前向 きな 記述 が 多 かっ た 。

2 .本講習に対する意見 2–1 .振付の構成方法

振付 の 構成方法 に 関 する 記述 は 11件(16.9%) で あり 、「 サビ 、Aメロ 、Bメロで 分 けるのは 分 かりやす くて 良 い 」、「音楽 の Aメロ 、Bメロで 踊 りの 振付 を 同 じにすることで 覚 えやすい 」、「動作 のパターンを 教 え ると 取 り 組 みやすい 」 という 意見 がみられた 。

2–2. 振付の習得方法

振付 の 習得方法 に 関 する 記述 は17 件(26.2%) で あり 、「踊 りの 種類 ごとに2 人組 の 相手 を 変 え 、「 この 踊 りはこの 相手」 と 覚 えながらできるのは 非常 にわかり やすく 、授業 の 中 でもぜひ 活 かしていきたいと 思 った 」、

「基礎 の 練習 が 単調 になりやすいので 、 ペアなどで 踊 りながら 身 につけると 楽 しみながらできると 感 じた 」、

「動 きがA・B・決 めポーズとあり 、複数回、繰 り 返 すことで 覚 えやすかった 」 という 意見 がみられた 。 2–3 .音楽の選定・活用方法

音楽 の 選定方法 や 活用方法 に 関 する 記述 は14件

(21.5%) であり 、「曲選 びはとても 重要 なポイントだ と 改 めて 実感 した 」、「生徒 が 関心 を 持 てるような 選 曲 をして 指導 していく 」、「身近 な 曲 にすることで 生徒 もやる 気 が 出 てきて 楽 しく 活動 することもできる 」 といっ た 音楽選定 のポイントに 関 する 意見 や 、「 どんな 曲 に も 応用 できると 思 った 」、「音楽、 ペア ( グループ )、

振付 をリンクさせて 生徒 たちで 作 ったり 、考 えるダン スの 授業 を 行 いたい 」 といった 本講習 を 発展 させるよ うな 意見 がみられた 。

2–4 .動きのアレンジ方法

動 きのアレンジ 方法 に 関 する 記述 は10 件(15.4%)

であり 、「 テンポをゆっくりにしたり 、動 きを 少 し 簡単 にすれば 使 えるものがたくさん 得 られた 」、「振付 を 簡単 なものに 変 える 」 といった 生徒 の 実態 や 個々 の レベルに 合 わせて 動 きを 変 えていく 方法 や 、「同 じ 動 きでも 向 き 合 ってやるだけで 感 じが 違 うものにもなる 」、

「隊形 を 変 えて 行 ってみたい 」 といった 一 つの 動 きを 発展 させていく 方法等 の 意見 がみられた 。

2–5 .授業の展開方法

授業 の 展開方法 に 関 する 記述 は25 件(38.5%) で

あり 、本講習 の 内容 をどのように 授業 で 展開 していく

かについて 、 その 具体的 な 方策 がみられた 。

(5)

その 内容 は 、「 クラスを 何 グループかに 分 けて 、 そ れぞれ1曲 ずつ 発表 するではなく 、 それぞれのグルー プの 作品 を 全 てつなげてクラスで 1曲 を 仕上 げるとい うのもよいのかと 思 った 」 といった 発表形式 を 発展 させ るような 工夫、「 ベースのダンスを 教 えた 後、 ステッ プや 手 の 振 り 、隊形 など 、生徒 にアレンジさせてみ るのも 良 いと 思 った 」、「工夫 できる 場面設定 により 、

思考的 な 活動 も 入 り 、 ただ 踊 るだけではなく 活動 の 工夫 ができるリズムダンスをやってみたい 」 といった 生徒 が 主体的 に 取 り 組 める 工夫、「同 じ 曲 でもテーマ を 持 ち 、表現 していく 」、「他 のグループを 見 て 表現 の 面白 さに 気 づかせる 」、「生徒同士 で 表現法 を 変 え たり 、人数 を 増 やしたりするように 課題設定 を 毎回変 えることで 、自然 に 一 つのフレーズやダンスから 、 グ ループ 化 したときの 豊 かな 表現 や 工夫 を 身 につけて いけると 感 じた 」 といった 表現 に 繋 げる 工夫等 がみら れた 。

2–6 .楽しさや喜びを味わう・交流できる授業 踊 る 楽 しさや 喜 びを 味 わう ・交流 できる 授業 に 関 す る 記述 は19件(29.2%) であった 。

踊 る 楽 しさや 喜 びを 味 わう 授業 では 、「楽 しく 明 る い 笑顔 で 行 えるのが 一番 であると 感 じたので 、 その 点 を 中心 におき 指導 したい 」、「難 しい 動 きでなく 、生徒 が 体 で 感 じ 、楽 しい 気持 ちを 持 てるように 工夫 したい 」、

「生徒 が 楽 しくリズムにのって 、体 を 動 かすダンスを したい 」 という 意見 がみられた 。

交流 できる 授業 では 、「動 きをペアで 行 うことで 、 コ ミュニケーションも 取 れるので 良 いと 思 う 」、「仲間 とコ ミュニケーションをとったりしながら 、 ダンスの 楽 しさ を 伝 えていきたい 」、「生徒同士 でコミュニケーション をとったり 、思 いやりにもつながると 思 ったので 、授業 で 試 したい 」 といった 生徒間 のコミュニケーションに 関 する 意見、「 パートナーを 変 えることで 、 お 互 い 振 付 の 確認 をし 合 えたり 、自然 と 協力 できることが 、 とて も 良 いことだと 思 った 」、「個人、 グループを 上手 に 組 み 合 わせることで 生徒達 が 主体的 に 取 り 組 んでい ける 授業 になると 思 った 」 といった 生徒 の 主体的 な 学 びに 関 する 意見 がみられた 。

2–7 .活用の可能性

本講習内容 について 、現場 での 活用 の 可能性 に

関 する 記述 は 30 件(46.2%) であり 、本講習 の 内容 を

「授業 に 取 り 入 れてみたい 」、「授業 に 活 かしていき たい 」、 「授業 で 試 したい 」、 「多 くのヒントを 得 られた 」 という 意見 がほとんどであった 。

Ⅳ 考察

1.授業の実態や教員の意識

本講習受講者 の 意見 を 集約 した 結果、生徒 の 実 態 としては 、 ダンスに 興味・関心 を 持 っている 生徒 が いるという 意見 がみられた 。先行研究 においても 、 「現 代的 なリズムのダンス 」 は 男女 ともに 生徒 の 興味関 心 が 高 いことが 報告 されている 4) 6) 。一方、 ダンス の 好嫌 の 二極化 が 目立 つという 意見 もみられた 。 し かし 、「現代的 なリズムのダンス 」 は 恥 ずかしがらな いで 取 り 組 める 内容 であることから 、「創作 ダンス 」 や

「 フォークダンス 」 に 比 べて 実施率 が 高 いことも 報告 されている 6)

「現代的 なリズムのダンス 」 は 、 その 実施率 は 高 い ものの 、本研究 において 、 ダンス 指導 に 苦手意識、

不安 を 感 じている 教員 がいることも 明 らかとなった 。 ダ ンス 指導 に 対 する 不安 に 関 して 、現職中学校教員 111 名 を 対象 とした 調査 10) では 、61名(55.0%) がダ ンス 指導 に 対 して 不安 を 抱 えていることが 明 らかにさ れ 、不安 を 感 じる 具体的 な 内容 は 、「自身 のダンス 技術 に 関 する 不安」、「 ダンスの 知識不足 に 対 する 不安」、 「自身 が 師範 することに 関 する 不安」 であった 。 また 、 ダンス 授業 の 実施状況等 について 、東京都

公立中学校 227校(637校 のうち 、回答 のあった 中

0

11 17 14 10

25 19

30 7

5 10 15 20 25 30 35

振付の構成 振付の習得 音楽の選定・活用 動きのアレンジ 授業の展開 楽しさや交流 活用の可能性 その他

図 1 :本講習に対する意見 1 1 1 

"

三、^

(6)

学校) を 対象 とした 調査 6) では 、 ダンス 指導 の 問題 点 として 、「実技経験・指導経験 がなく 指導 に 自信 が ない 」、「専門 でない 教員 にはダンス 指導 は 難 しい 」、

「運動技能・表現技法 など 的確 な 助言 ができない 」、

「 ダンスは 他 の 競技種目 と 違 い 到達目標 が 一定 では ないので 評価 が 難 しい 」 といった 実技経験不足、指 導経験不足、知識 や 技術不足、他 の 領域 とは 異 な るダンス 領域 の 性質 に 関 する 難 しさが 挙 げられてい た 。 このようなダンス 指導 を 行 う 教員 の 状況 から 、 ダ ンスの 授業内容 が 「既成 の 踊 りの 模倣 に 留 まってしま う 」 ことに 繋 がっていると 考 えられる 。中村 4) も 指摘 す るように 、「現代的 なリズムのダンス 」 では 、「映像資 料 による 既成作品 の 模倣」 の 定形型運動習得学習 が 多 く 展開 されており 、本来 の 意図 としている 非定形型 の 創出学習 が 行 われていないことが 分 かった 。 さらに 、

「現代的 なリズムのダンス 」 を 通 して 、生徒 が 主体 的 に 活動 することを 目的 としながら 、 ダンスの 得意 な 生徒 がグループをまとめていくような 、生徒 に 「丸投 げ 」 の 授業 を 行 っている 教員 がいることも 分 かった 4) 。 これらのことから 、 ダンスに 興味・関心 を 抱 く 生徒 が 増 え 、「現代的 なリズムのダンス 」 を 取 り 入 れる 学 校 が 増加 している 一方 で 、教員 は 実技経験、指導 経験、知識・技術不足 を 感 じていることが 分 かった 。 そのための 「現代的 なリズムのダンス 」 の 指導方法、

展開方法 を 提示 していく 必要 があると 考 える 。本講習 受講者 の 中 でダンスに 苦手意識 を 感 じていた 者 が 、

「踊 るのは 難 しいと 感 じていたが 、授業内 での 実施 が 可能 だと 思 った 」、「 ダンスが 苦手 だが 、工夫 す れば 様々 なことができそうだ 」 という 前向 きな 意見 を 述 べていたことから 、本講習受講 により 、何 らかの 指導 方法 のヒントが 得 られたのではないかと 考 える 。

2 .本講習に対する意見

本講習 では 、①構成方法、②習得方法、③音楽 を 活 かした 振付、④達成感・有能感、⑤動 きのアレ ンジ 、 これらの 展開方法 について 、実技 と 講義 によっ て 、 その 事例 を 示 した 。 これらを 通 して 、本講習 で 意 図 したことは 、「現代的 なリズムのダンス 」 を 指導 す るにあたり 、指導不安 を 感 じている 教員 を 含 め 、指 導 に 携 わる 教員 が 、現場 で 活用 の 可能性 を 見出 せる 方法 を 提案 することである 。具体的 には 、次 の1)〜4)

の4つの 観点 で 本講習 を 構成 した (図 2)。

1 )振付構成と音楽、及びその助言について この 観点 は 、「選曲 と 振付 の 構成」、「動 きと 音楽 の 調和」、「動 きの 創出、創作 における 助言」 につい てである 。 どのような 音楽 を 選 び 、 どのように 動 きを 構 成 していけばよいか ( あるいは 、生徒 にどんな 音楽 を 選 ばせ 、動 きを 構成 させるか )、 どのように 動 きと 音楽 を 調和 させていくか 、生徒 に 即興的 な 動 きや 振付 を 考 えさせる 上 でどのように 助言 していくかについて 提案 したものであり 、「①構成方法」、「③音楽 を 活 かし た 振付」 で 示 したつもりである 。

図 2 :講習内容と講習意図の観点との関連

講習の内容 講習の意図とした観点

(7)

受講者 の 意見 から 、音楽構成 に 合 わせた 振付 に することで 、分 かりやすさ 、習得 しやすさに 繋 がる 記 述 がみられたこと (11件、16.9%)、音楽選定 のポ イントに 関 する 記述、振付構成 に 関連付 けた 音楽 の 選択 に 配慮 するような 記述 がみられたこと (14件、

21.5%) から 、「選曲 と 振付 の 構成」 について 、講習 の 意図 が 伝 わった 受講者 がいたことがうかがえる 。 し かし 、「動 きと 音楽 の 調和」 や 「動 きの 創出、創作 に おける 助言」 に 関 する 記述 がみられなかったことから 、 本講習 では 、動 きと 音楽 をどのように 調和 させていくか という 方法 や 、生徒 に 即興的 な 動 きを 創出 させたり 、

動 きを 創作 させる 際 の 助言 に 繋 がるような 内容 は 伝 わっていなかったと 考 えられる 。

2 )動きの習得における『つまずき』の解消

この 観点 は 、「動 きの 習得 における 『 つまずき 』 の 解 消」、「達成感・有能感」 についてである 。 どのように 動 きの 習得 における 「 つまずき 」 を 解消 させられるか 、 また 、「 つまずき 」 を 解消 した 上 で 、達成感 や 有能感 を 得 るためにはどうしたらよいかについて 提案 したも のであり 、「②習得方法」、「④達成感・有能感」 で 示 したつもりである 。

本講習 では 2人組 で 振付 を 習得 する 方法 を 用 いた 。 受講者 の 意見 から 、習得 しやすさに 繋 がる 記述 がみ られたこと (17 件、 26.2%) から 、講習 の 意図 が 伝 わっ た 受講者 がいたことがうかがえる 。達成感 や 有能感 に 関 する 記述 は 見 られなかったが 、本講習受講者 の 中 でダンスに 苦手意識 を 感 じていた 者 が 、前向 きな 意見 を 述 べており 、本講習 において 何 らかの 達成感 や 有能感等 に 繋 がったのではないかと 考 える 。 さらに 、

「現代的 なリズムのダンス 」 を 取 り 組 むことのできる 単元 としてとらえることができたのではないかと 考 える 。 3 )動きの発展の仕方

この 観点 は 、「動 きの 発展」 についてである 。即興 的 な 動 きや 創作 した 動 きの 組 み 合 わせをどのように 発 展 させられるのかについて 提案 したものであり 、「⑤ 動 きのアレンジ 」 で 示 したつもりである 。

本講習 では 、土台 となる 一 つの 動 きが 様々 に 発展 できることを 実践 を 通 して 提示 した 。受講者 の 意見 か ら 、同 じ 動 きでも 向 きや 人数 を 変 えることで 変化 が 生 まれるといったような 記述 がみられたことから 、講習 の

意図 が 伝 わった 受講者 がいたことがうかがえる 。 しか し 、本講習 で 意図 したことは 、筆者自身 が 振 り 付 けた ダンスを 通 して 、指導方法 の 提案 を 行 うことであった が 、本講習 を 単 なるステップや 振付 の 習得 のようにと らえていた 受講者 もいたことが 、記述内容 からうかが えた 。

4 )発表や交流への展開

この 観点 は 、「発表 や 交流 への 展開」 である 。学 習指導要領解説 に 示 されている 「発表」 や 「交流」 に 繋 げていくためにはどうしたらよいかについて 提案 した ものであり 、「⑤動 きのアレンジ 」 や 講義 において 示 したつもりである 。

受講者 の 意見 から 、本講習 をどのように 展開 して いくかについて 、 その 具体的 な 方策 がみられるとともに

(25 件、38.5%)、発表 につなげていくような 記述 が 多 くみられた 。 また 、生徒間 のコミュニケーションに 関 する 記述 がみられたことから 、講習 の 意図 が 伝 わっ た 受講者 がいたことがうかがえる 。 また 、生徒間 のコ ミュニケーションをとるような 指導 を 行 うことで 、生徒 の 主体的 な 学 びに 繋 がるといった 記述 もみられた 。 し かし 、単 に 楽 しさを 感 じられる 授業内容 を 目指 してい る 受講者 もみられた 。学習指導要領 に 示 されている

「踊 る 楽 しさや 喜 びを 味 わう 」 ところから 、「 それぞれ 特有 の 表現 や 踊 り 」 を 通 して 、「交流 や 発表」 に 発展 できるように 授業展開 を 立案 する 方法 を 示 す 必要 が あったと 感 じた 。

本講習全体 を 通 して 、現場 での 活用 の 可能性 を 示 していた 記述 がみられたこと (30 件、46.4%) から 、 本講習 において 、現場 での 授業実践 に 何 らかの 形 で ヒントを 与 えられたのではないかと 考 える 。 しかし 、前 述 したように 、本講習 を 単 なるステップや 振付 の 習得 のようにとらえてしまっているような 受講者 がみられた ことから 、本講習 で 習得 した 振付 をそのまま 、現場 の 授業 で 行 っては 、中村 の 指摘 4) のように 、中学校学 習指導要領解説 に 示 されている 「既存 の 振 り 付 けなど を 模倣 することに 重点 があるのではない 」 1 という 内容 とは 反 して 、既成作品 の 模倣 になってしまうことが 危

惧 される 。

(8)

3 .本講習の評価と課題

受講者 の 意見 を 集約 した 結果、本講習 において は 、4 つの 課題 が 挙 げられる 。

一 つ 目 の 課題 は 、動 きと 音楽 を 調和 させていく 方法 についてである 。「現代的 なリズムのダンス 」 では 、 リズムの 特徴 ととらえたり 、強調 して 踊 ることが 必要 で

あり 、 そのリズムを 掴 むために 音楽 の 使用 が 非常 に 効果的 である 。 また 、作品 としてまとめ 、発表 につな げていく 際 には 、必 ずと 言 っていいほど 音楽 が 使用 さ れる 。音楽 のリズムをとらえて 、強調 して 踊 るために は 、 その 音楽独自 の 音楽変化(曲調、抑揚、盛 り 上 がり 等) や 、 メロディーラインをとらえ 、動 きを 導 いてい くことが 必要 であると 考 える 。 また 、 それによって 踊 りも 特徴 あるものになっていくと 考 える 。 そのため 、 どのよ うに 動 きと 音楽 を 調和 させていくか 、 その 方法 をより 明

確 に 提示 し 、説明 する 必要 があったといえる 。 二 つ 目 は 、動 きを 創出 したり 、創作 する 際 の 助言 についてである 。生徒 たちが 全身 で 自由 に 踊 ったり 、 動 きをまとめる 過程 において 、教員 の 助言 は 生徒 の 活動 を 円滑 にする 指針 となる 。 どのような 助言 をすれ ば 、生徒 が 主体的 に 活動 することができるのか 、 その 視点 からの 説明 が 必要 であったといえる 。

三 つ 目 は 、交流 や 発表 への 展開 についてである 。 踊 る 楽 しさや 喜 びを 味 わうことは 、 ダンス 領域 にとっ て 重要 な 内容 であるといえるが 、 そこから 交流 や 発表 に 発展 させていくことで 、互 いのよさを 認 め 合 ったり 、 共感 し 高 めあおうとする 態度 や 、役割 や 責任 を 果 たそ うとする 態度 につなげていくことができると 考 えられる 。 そのため 、交流 や 発表 に 発展 できる 授業展開 の 方法 を 具体的 に 提示 することや 、 その 意義 を 伝 える 必要 が あったといえる 。

四 つ 目 は 、本講習 を 単 なるステップや 振付 の 習得 のようにとらえていた 受講者 がいたことである 。本講 習 の 意図 は 、筆者自身 が 振 り 付 けたダンスを 通 して 、

「現代的 なリズムのダンス 」 の 指導方法 や 展開方法 を 提示 し 、現場 での 活用 の 可能性 を 見出 してもらうこ とであり 、振付 を 習得 してもらうものではない 。本講習 で 習得 した 振付 をそのまま 現場 の 授業 で 行 ってしまっ ては 、既成作品 の 模倣 にとどまった 授業 になってしま い 、 その 後 の 展開 が 臨 めないのではないかと 考 える 。

そのため 、講習 の 意図 を 受講者 に 明確 に 伝 えるととも に 、授業 の 中 でどのように 展開 していけるか 、 その 方 法 をより 具体的 に 提示 する 必要 があったといえる 。

Ⅴ まとめ

本研究 では 、受講者 の 意見 を 集約 することにより 、

「現代的 なリズムのダンス 」 の 授業 の 実態 やダンス に 対 する 教員 の 意識 についての 知見 を 得 ることができ た 。 また 、現場 での 活用 の 可能性 が 示唆 されるととも に 、本講習 の 課題 を 確認 することができた 。 そのため 、 本講習内容 を 見直 し 、改善 していく 必要 があると 考 え る 。

本講習 を 通 して 、「現代的 なリズムのダンス 」 のよ りよい 指導方法 を 提示 していくことの 必要性 を 改 めて 実感 した 。 さらに 、指導方法 の 提示 だけでなく 、生 徒 の 実態 にどのように 合 わせていけるのかや 、 ダンス に 苦手意識 を 感 じている 教員 の 不安 を 解消 し 得 る 授 業 の 進 め 方 や 展開方法 についても 検討 していくべきだ と 考 える 。

今後、教員養成機関 としての 本学 において 、学生 教育 の 充実 を 図 るためにも 、実践 を 重 ねながら 、研 究 を 進 めていきたいと 考 える 。

Ⅵ 参考文献

1) 文部科学省(2017):中学校学習指導要領解説,

pp. 168 188

2) 文部科学省(2009):高等学校学習指導要領解 説 保健体育編 体育編, pp.8 1 90

3) 文部科学省:教員免許更新制,

http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/

koushin/ (accessed 2017 Nov. 15)

4) 中村恭子(2013):日本 のダンス 教育 の 変遷 と 中 学校 における 男女必修化 の 課題, スポーツ 社会 学研究 21 (1), pp. 37 51

5) 中村恭子(2010):中学校体育全領域必修化 に 伴 うダンス 授業 の 変容 と 展望 東京都公立中学 校 を 対象 とした 調査 から ,順天堂 スポーツ 健康 科学研究 1 (4), pp. 472 485

6) 中村恭子(2009):中学校 ダンスの 男女必修化

(9)

の 課題―中学校教員 を 対象 とした 調査 にもとづ いて ―,順天堂 スポーツ 健康科学研究1 (1),

pp. 27 39

7) 中村恭子(2009):中学校体育 の 男女必修化 に 伴 うダンス 授業 の 変容―平成 29 年度, 20 年度,

21 年度 および 24 年度 の 年次推移 から ―, (社)

日本女子体育連盟学術研究26, pp. 1 16 8) 中村恭子,武井正子,浦井孝夫(2003):「現代

的 なリズムのダンス 」 の 実施状況 と 教員 の 意識 に 関 する 研究―教育目標 と 学習内容 の 検討―,

日本体育学会第 54 回大会号, p. 616

9) 東京都教育委員会(2011):武道・ ダンス ・体 育理論 指導事例集, まこと 印刷, pp. 114 144 10) 山口莉奈,正田悠,鈴木紀子,阪田真己子(2017) :

体育科教員 のダンス 指導不安 の 探索的研究,

日本教育工学会論文誌 41 (2), pp. 125 135

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