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1 章身体発達への影響

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(1)

は じ め に

小原 達朗

災害に遭遇 しては生命の危機か ら逃れ ることが,第一義的緊急の対応であ り, この際に精神的動揺や抑圧,疲労や身体的傷害などの一時的なダメージを 受けることは、往々に して起 こることである。近年のわが国での地域住民の大 多数が避難 した代表的災害例は,1986年の伊豆大島三原山火山噴火である。 こ の時には,約 1か月間の避難生活が強い られているが,雲仙普賢岳災害のよう に現段階で26か月にも及ぶよ うな避難生活 は例をみない。

雲仙普賢岳災害による人的,物的,経済的な様々な影響について今後の復興 と合わせて調査研究 されているが避難生活が与える健康‑の影響 も懸念される ところである。斎藤 ら10)や竹本12)は,医学的な側面か ら児童生徒および成人 についてその影響を報告 している。特に,児童生徒の場合には長期間の仮設住 宅に居住 し,学校 も避難状態にあ ったり,その受入校であ ったり,また,仮設 校舎を使用 しているなど生活学習環境に大 きな制限が加え られてお り,発育発 達期で活動的であるだけにその影響が懸念 され るところである。

高石11)は,発育について思春期の成長には遺伝的条件 と環境的条件が挙げ られ,環境条件 として 自然科学的条件 (栄養,運動,気候,国土など)と社会 科学的条件 (両親の職業,地域の経済や国際的各国の経済力)を挙げ, これ ら の極端な破綻現象 と して災害による被災や戦争のよ うな異常事態を挙げてい

る。

一方,身体機能の発達について体力 ・運動能力の面か らその影響をみること がで きる。一般的に成長後の老化 に対 して,成長期の子 どもたちの発達速度 は,老化速度の6倍に相当す るといわれている3)。 したが って,小学校高学年 か ら中学校期に発達を促進す るよ うな刺激が長期間制限されているとした ら何

らかの対策 も必要である。

以上の点か ら,本研究は島原市 と深江町の児童生徒および学校を対象に して 災害や避難 による生活学習環境の変化が形態的発育 と体力 ・運動能力にどのよ

(2)

うな影響を及ぼ しているかを避難度別に分類 して調査 し,その対応を検討 した ものである。

1 研 究 方 法

(1) 研 究 対 象

島原市で対象 とした小学校 (6年生)は,島原第五小学校が 「避難校」で島 原第三小学校がその 「受入校である。島原第一小学校,島原第二小学校,島

1 小学 校 (6年 生 ) の調査対 象校 と人数

平成(5年次 )3年 度 平成(6年次 )4年 度 島原市 立 第‑小学 校 女子 50 50

男子 63 63

島原 市立 第二小 学校 女子 59 59

男子 42 42

島原市立 第三 小学 校 女子 29 29

男子 25 25

島原市立 第 四小 学校 女子 28 28

男子 25 25

島原市立 第 五小学 校 女子 56 56

男子 47 47

深江 町立大野 木場小 学校 女子男子 1l0l

深 江 町立 小林小学校 女子 14 14

男子 8 8

深 江 町立 深 江小 学校 女子 38 38

男子 32 32

女子 274 284 男子 242 253

516 537

236‑

(3)

原第四小学校は避難 も受入れ もしていない 「非避難受入校」である。中学校 は,島原第三中学校が 「避難校で,島原第二中学校がその 「受入校」であ る。島原第一中学校は 「非避難受入校」である。

深江町で対象 とした小学校 (6年生)は, 「避難校」が大野木場小学校でそ の 「受入校」が小林小学校である。深江小学校は一時避難 したが状況 としては

非避難受入校Jに分類 した。中学校は,深江中学校 も約2か月間一時避難 し たが,深江小学校同様に全体の避難期間と比較 して 「非避難受入校」に分類 し

た 。

なお,避難の程度 として避難校を学校の避難度A,受入校を避難度B,非避 難受入校を避難度Cとした。各学校男女の人数は,表1と表2に示 したとお り

2 中学生 (2年生 と3年生 )の調査対象校 と人数

平成 3年度 平成4年度 平成 3年度 平成4年度 (1年次 ) (2年次) (2年次 ) (3年 次 )

島原市立 第一 中学 校 女子 110 110 116 116 男子 148 148 127 127

島原市立 第二 中学校 女子 64 64 80 80

男子 90 90 85 85

島原市立 第三 中学 校 女子 62 62 62 62

男子 75 75 81 81

深江町立深江 中学校 女子 65 65 71 71

男子 50 50 63 63

女子男子 330163 330163 332596 323596 給計 664 664 685 685

2.3年 合 計 女子 平成633年度0 平成643年度0

男子 719 719

(4)

である。小学生 は,1992年 (平成4年)度の6年次生を対象に し, これ らの児 童の1991年 (平成3年)度の資料があるものだけを分析 に用 いた。ただ し,大 野木場小学校の1991年 (平成3年)度の資料については火砕流により焼失 した ため縦断的比較はで きない。中学生 は,1992年 (平成4年)度の2年次生 と3 年次生を対象に し, これ らの生徒の1991年度 (1年次 と2年次)の資料がある

ものだけを分析に用 いた。

(2)調査項 目と調査対象期間

身長,体重,肥満度について1991年 (平成 3年)度 と1992年 (平成4年)皮 5月の定期測定の資料 について比較 した。肥満度は同測定か ら次のように標 準体重法によって算出 し,肥満度を判定 した。

標準体重 ‑ (身長‑100) ×0.9 ‑・‑ブローカ変法 肥満度 ‑ 実測悪 霊 警 休垂 ・標準体重 ×100(%)

肥満度+20.1%以上 ‑肥満 肥満度 ±10% ‑正常

+10.1‑20%‑肥満 ぎみ ‑10.1%以下‑やせ ぎみ

スポーツテス ト

スポーツテス ト (体力診断 テス ト,運動能 力テス ト) は,1991年 (平成3 年) と1992年 (平成4年)の 5‑ 6月に定期的に実施 されている資料について 調査分析 した。ただ し,1991年 (平成3年)63日の大火砕流によって実施 されていない学校や クラス等があ り,すべての児童生徒の資料が得 られなか っ た。 また,大野木場小学校は,1991(平成 3年)年度の実施資料その ものを焼 失 している。 したが って,1991年 (平成3年)度 と1992年 (平成 4年)度の両 年度の資料のある分について比較検討 した。

a.体力診断テス.卜 (7種 目)

反復横跳び,垂直跳 び,背筋力,握力,伏臥上体そ らし,立位体前屈,踏 み台昇降運動

b.運動能力テス ト(5種 目)

‑238

(5)

50m走,走 り幅跳 び, ソフ トボL)レ投 げ (小学校),‑ ン ドボール投 げ (中学校),連続逆上が り (小学校), (料)懸垂 (中学校),持久走

(3) 分析の基準

避難度の基準

く個人の場合) 避難度A : 仮設住宅入居中

く学校の場合〉

避難校 (仮設校舎) 避難度B: 避難経験有 り,仮設住宅外に居住 受入校

避難度C:避難経験無 し 非避難受入校

形態,スポーツテス トの発育発達の判断基準

低 下 .・1991年 (平成3年)度 に対 して‑ (マイナス)にな った場合。

変 :標準値以下の向上で,標準偏差および測定値の大 きさに対す る増大 の比率の小 さい場合。

向 上 :標準値 と同程度以上の増大で,標準偏差および測定値の大 きさに対 す る増大の比率の大 きい場合。

前年度 との比較がで きない場合 には,それぞれ 「低い」「同等高い」と し て示 した。標準値は, 「日本人の体力標準値第四版」 Iりより引用 した。

2

(1) 形 LT) 身

1に対象校 と全国標準値の小学校 6年生の5年次か ら6年次 までの1年間 の身長の変化を示 した。島原第三小学校 は1992年 (平成4年)皮,大野木場小 学校 と深江小学校は1991年 (平成3年)度が不明である。男女各学校 とも1991 年 (平成3年)度の初期値が異な るが標準値の増加 と同等の増加であ る。

2に中学 2年生 と3年生の変化を示 した。男女で増加量が異なるが,各学 年 ともほぼ標準値 と同等の増加を示 している。ただ し,第二中学校 3年女子 は 4.5cmの増加で,標準値の5.6cmに比較 しやや低い。

(6)

6年生 (α ) 135 140 145 150

全国標準値 島原第一小 島原第二小

島原第三小 l

島原第四小 島原第五小

大野木場小 ?

江 小 L

全国標準値

島原第一小 ⊂ 二 二>

島原第二小

島原第三小

島原第四小 「十 二 二)

(7)

2年生

50 155 160 は )

全 国標準 値 島原 第一 中

島 原第二 申

原…三 ;

… ≡喜: ≡

nnnnn

島 原第二 中

L ≡ 原≡三 :

L [ 二二二〉

DD DD

図 2 身長の変化 (中学生)

② 体

3に身長 と同様に体重の変化について示 した。小学 6年生女子は,標準値 と同等の増加である。男子は,標準値の3.8kgの増加に対 レJ林小学校が5.2kg の増加を示 した。大野木場小学校,深江小学校,島原第三小学校が不明である が他の学校は標準値 と同等の増加を示 した。

図 4に中学 2年生 と 3年生の変化を示 した。男女各学校 ともそれぞれ標準値 と同等の増加である。

③ 肥 満 度

5は,身長,体重 と同様に小学6年生の肥満度について示 した。男女 とも 3小学校,大野木場小学校,深江小学校は不明であるが,女子は,各学校 と も標準値が1.0%の変化であるのに対 して‑1.6%〜‑5.1%の変化で全体的 に細長化の傾向にある。男子は,第二小学校 と第四小学校が標準値に比較 して やや細長化の傾向にあるが第五小学校 と小林小学校 はほとんど細長化 してお ら ず,一定の傾向がみ られない。

(8)

30

全国標準値 島原第一小 島原第二小

島原第三小 島原第四小 島原第五小 大野木場小

全国標準値 島原第‑小 島原第二小

島原第三小 島原第四小 島原第五小 大野木場小

ヽ、/

3 体重の変化 (小学 6年生)

‑ 242‑

(9)

2年生

40 45 50 45

三 ‑I; 'l

島原第二 申

し …原≡三 ;

A,.州掠削ttE二二二>島原第一中島原第二申̲̲̲̲>

50 3 55 (紘 )

D

圏珍

l﹀ 「二﹀

L ≡原…三 ; [ 書 [

4 体重の変化 (中学生)

6は,中学 2年生 と3年生の変化を示 した。 2, 3年生 とも女子 は,標準 値の2.3%2.4%に対 して深江中の3年生の1.7%を除いて同等かやや肥厚傾 向にある。男子 は,2年生では第一中学校がやや肥厚傾向にあったが,その他 の学校は標準値 と同様に1年間の変化がほとんどなかった。3年生は,標準値 の +1.0%の変化に対 して,第二中学校がやや肥厚傾向にあ ったが,その他の 学校 は,標準値 と同様に1年間の変化がほとんどなかった。

7は,男女別に小学6年生,中学2年生,中学3年生の避難度別の肥満度 1年間の変化を標準値 と共に示 した ものである。女子 は,5年生か ら6年生 にかけて標準値を含めてそれぞれ細長化が進み,避難度の差 はない。中学 1年 か ら2年,2年か ら3年にかけて肥厚化に転ず るが,1年か ら2年にかけての 避難度A群で肥厚化が大 きか った。

男子は,標準値 としては小学校5年か ら中学 1年にかけて細長化が進み,中 1年か ら3年にかけて細長傾向が持続す る。肥満度の程度は異なるがこの傾

(10)

6年生

‑15 ‑10 ‑ 5

0

5 (% )

全 国標準値 島原第 ‑ 小 島原第二 小 島 原第 三小 島 原 第 四小 島原第 五小 大 野木場 小

全国標準値 鳥原 第‑ 小 島原 第二 小 島原第 三小 島原第 四小 島 原 第五小 大野 木 場小 一 深

q

⊂コ

く二二

く==

く===)

C3

⊂コ

二コ

=⊃

5 肥満度の変化 (小学 6年生)

‑ 244‑

(11)

2年生

‑15 110 5

0

5 (紘 )

三三 l̲=

島原第二申

し …原≡三;

全国標準値 島原第 ‑中

島原第二申

し ≡原≡三 :

「 …≡喜:≡

島原第二 申

し …原≡三:

̲

島原第二申

し ≡原≡三:

匪遜〉

善幸弓

⊂ = ⊃

≒≠嶋コ

卓 幸司

D

P D 4

3年生

‑15 10 ‑ 5

0

歴監珍

D

室幸司 嘩i:

D

q

D

D d

図 6 肥 満度の変化 (中学生 )

5 (qt')

(12)

女子

5年 ‑ 小6 中 1年 ‑ 中2 2年 ‑ 中3 ( A B CS A ら CS A 8 CS A a CS A B CS A A CS

600l

(%)

男子

5年 ‑ 小6 中 1年 ‑ 中2 2年 ‑ 中3 (遵軌 麦) A BC S A BC S A 8 CS A a CS A B CS A B CS

0

2

4

‑6

8

(%)

S:標準値

7 避難度別の肥満度の1年 間の変化

向はおおむね各避難度群 とも同様である。しか し,小学6年生の避難度A群だ けが肥厚化 している。

(2)スポーツテス ト

体力診断テス ト

3は,小学6年生の体力診断テス トの各項 目の 1年間の変化を 「低下」 た もの, 「変化のない (不変)」もの, 「向上」 した ものについて分類 した もの である。第一小学校の男子の握力は,1991年 (平成3年)度 と比較 して明 らか に低下 した。小学校 は,全体的には男女 ともに垂直跳び,反復横跳 び,立位体

246 1

(13)

3 小学6年生の体力診断テス トの 1年間の変化の程度 による分類

・握 ・垂直跳 び ・反復横跳び 避受難入・校 ・伏臥上体そ らし・立体体前屈 ・背筋力

・反復横跳び ・垂 跳び

・握 ・背筋力

′ト ・立体休前屈 ・伏臥上体そ らし・踏 み台昇降運動

※小林小 との比較( い) (同 等 ) ( い)

・反復横跳び ・背筋力

・立体体前屈 ・握力・垂直跳 び・伏臥上体そ らし・踏 み台昇降運動(同 等 )

千 非 ・垂直跳 び ・反復横跳び

避受 ・ゴ筋

難入・校 ・立体体前屈 ・伏臥上体そ らし

・反復跳 び ・背筋力

・垂直跳 び ・立体体前屈・握・伏臥上体そ らし・踏 み台昇降運動

※小林小 との比較( い) (同 等 ) ( い)

・反復横跳び ・垂直跳 び・踏 み台昇降連動・背筋力・握・伏臥上体そ らし(等 )

前屈がさほど変化がな く,その他は向上 していた。大野木場小学校は,近隣で 避難校 と受入校 という関係か ら小林小学校 と比較 して, ほぼ同様の結果であ

中学校 も小学校と同様な基準で比較 した結果,表4の中学2年では男女とも 低下あるいは近隣の学校と比較 して低か った項 目はな く,ほとんど向上 してい た。表5の中学3年では男子で低下あるいは他校 と比較 して低か った項目はな かったが,女子では反復横跳び,背筋力で低下 した項目もみ られた。

(14)

4 中学2年生の体力診断テス トの1年間の変化の程度 による分類

避受難入・校 ・踏み台昇降運動 ・垂直跳び・伏臥上体 そ らし・立位体前屈・反復横跳 び・背筋力・握

※深江中との比較( い) (同 等 ) (高 い)

・踏み台昇降運動 ・反復横跳び・垂直跳び・背筋力・握・伏臥上体そ らし・立位体前屈(同 等 )

・垂直跳び ・反復横跳 び

避受難入・校 ・伏臥上体そ らし ・背筋力・握・立位体前屈・踏み台昇降運動

※第二中との比較( い) (同 等 ) (高 い) 避受難入・校 中 . ・握 ・垂直跳び・背筋力・反復横跳 び・伏臥上体 そ らし・立位体前屈・踏み台昇降運動(同 等 )

・垂直跳び ・反復横跳び

小学校,中学校 ともに避難校,受入校,非避難受入校による差 はなか った。

踏み台昇降運動など中学生の年代で横這いにな り変化 しないもの もあるが,発 育発達期の この時期に低下す る項 目があることは注 目しなければな らない。

② 運動能力テス ト

6は,体力診断テス トと同 じく小学校6年生の運動能力テス トの各項 目の 1年間の変化について分類 した ものである。男子は,非避難受入校の第一小学 校ではソフ トボール投げと連続逆上が りの 2項 目が不変であ り,その他の項 目

‑ 248‑

(15)

5 中学3年 生 の体 力 診 断 テ ス トの 1年 間 の変 化 の程 度 に よ る分 類

避受難入・校 ・踏 み 台昇 降運 動 ・背 筋 力・握・反 復 横 跳 び・垂 直跳 び・伏 臥上 体 そ ら し・立 位 体 前 屈

※ 深 江 中 との比 較( い) (同 等) (高 い)

・踏 み 台昇 降運 動 ・反 復 横 跳 び・垂 直跳 び・背 筋 力・握 力・伏 臥上 体 そ ら し・立 位 体 前屈(同 等)

・反 復横 跳 び ・立 位 体 前屈 ・垂 直跳 び

避受難入・校 ・踏 み 台 昇 降運 動 ・背 筋 力・握 力・伏 臥上 体 そ ら し ・背 筋 力 ・垂 直跳 び ・反 復 横 跳 び

・握 ・伏 臥上 体 そ ら し

は向上 している。受入校の小林小学校は,走 り幅跳び,斜懸垂,連続逆上が り 3項 目が低下 し,50m走とジグザグ ドリブルが不変であ り,向上 したのはソ フ トボール投げのみである。避難校の大野木場小学校は,前年度 との比較資料 がないが生活学習環境の近い小林小学校 と比較 して低下,不変,向上 ともにほ とんど同等の傾向である。女子は,第一小学校では連続逆上がりが低下 してい るがその他の項 目は向上 している。小林小学校 は,男子と同 じく走 り幅跳び, 斜懸垂,連続逆上が りの3項 目が低下 しているが,50m走, ソフ トボール投 げ, ジグザグ ドリブルは向上 している。大野木場小学校は,小林小学校 と比較 して50m走 と斜懸垂は低 く,走 り幅跳びと連続逆上が りはやや高 く, ソフ ト ボール投げとジグザグ ドリブルは向上 している。全体的にはソフ トボール投 げ, ジグザグ ドリブルは向上の傾向にあるが,斜懸垂や連続逆上が りなどは低 下傾向にある。

(16)

6 小学6年生の革動能力テス トの1年間の変化の程度 による分類

・ソフ トボ‑ル投 げ ・50m

難入避受・校 ・連続 逆 上 が り ・斜懸垂・ジグザ グ ドリブル・走 り幅跳 び

・走 り幅跳 び ・50m ・ソ フ トボ ール投 げ

・斜懸垂・連続 逆 上が り ・ジグザ グ ドリブル

(同 等) (同 等 ) ( い)

※小林小 との比較・斜懸垂・連続 逆 上が り ・50m ・走 り 古跳 び

・ジグザ グ ドリブル ・ソ フ トボ ‑ル投 げ(同 等 )

避受難入・校 ・連続 逆上 が り ・5・走 り幅跳 び・ソ フ トボ ール投 げ・斜懸垂・ジ グザ グ ドリブル0m

・走 り幅跳 び ・50m

・斜懸垂 ・ソ フ トボ ‑ル投 げ

・連続 逆 上が り ・ジグザ グ ドリブル

( い) ( ) (同 等 )

・50m ・走 り幅跳 び ・ソ フ トボ ール投 げ

表 7と表8は,中学2年と3年生について示 した。測定された項 目や比較 し た項 目のなかで低下 した項目は,2年女子第‑中学校 と第二中学校および3 女子第二中学校の‑ ン ドボール投 げと3年女子第二中学校の走 り幅跳びであ

る。男子は,測定 されていない項 目もあるが,おおむね向上 している。

250‑

(17)

7 中学2年 生 の運 動能力 テ ス トの1年 間の変 化 の程 度 によ る分類

避 受難入・校 f <持 久走 は,未測定 > ・5・走 り幅跳び・ハ ン ドボール投げ・懸0m

※深江中との比較 <懸垂 .持久走 は,未測定 >・5・走 り幅跳び・‑ ン ドボール投げ(同0m等)

避 受難入・校 <持久走 は,未測定 > ・5・走 り幅跳び・‑ ン ドボール投げ・斜懸垂0m

(低 い) (同 等 ) ( い )

避 受難入・校 ※第二 中との比較<,・‑ ン 卜ホール投げS斗懸垂 は,比較資料 なl・持久走 し>l・走 り幅跳 び・5(同0m等)

・‑ ン ドボール投げ ・走 り幅跳 び ・50m

(18)

8 中学3年生の運動能力 テ ス トの1年間の変化 の程度 による分類

避受難入・校 <持久走は,未測定> ・5・走り幅跳び・ハ ン ドボール投 げ・懸 垂0m

事 ※深江中との比較 軽重 .持久走は,未測 定>・5・走り幅跳び・ハ ン ドボ‑ル投 げ0m(同等 )

避受難入・校 ・斜懸垂 <持久走は,未測定>・5・走り幅跳び0m ・ハ ン ドボ‑ル投 げ ( い) (同 等) なし>

3

(1)形態について

発育 に影響を及ぼす条件 と して,高石11)は,栄養,運動,気候,国土な ど の環境条件の極端な破綻現象 と して災害を挙げている。 これ らの条件が どれ く らいの期間持続 し, どの程度損なわれた ら, どのような影響が表れ るのか, こ のよ うな調査例 はほとん どみ られない。

本対象者 は,避難校で は 1年以上 にわ ったて仮設校舎で学習 し,受入校では 避難校 を受 け入れて きた その後,本校での生活 に戻 ったが,避難校,受入 校,非避難受入校の全ての学校が降灰や灰の巻 き上げなどによる活動の制限を 余儀 な くされている。特 に,大野木場小学校 は今 日で も仮設校舎での生活が続 いている。 また,家庭 にあ って も一時仮設住宅等 に居住 した り,今 日で も仮設 住宅で生活 を している子 どもたち もいる。 いずれに しろ,島原市 と深江町の子

2 5 2

(19)

ど もたちにとって通常の生活学習環境でない状態が続いている。竹本12)は, 雲仙普賢岳災害による学童生徒の健康調査のなかで,避難校,受入校 ともに仮 設住宅が狭い,遊び場所がない,外で遊ぶ ことが減 った,就寝時間が遅 く睡眠 時間が少な くな った点などが児童生徒に高率に表れており,なおかつ避難校に 高い傾向にあると報告 している。

このような状況のなかで形態に及ぼす影響についてみると,身長に対 しては 影響があるとは言えない。体重に対 しては,小林小学校の増加がやや大きい傾 向にあるが顕著な影響 とは考え られない。 したが って,解剖学的構造的な面に 対 しては現時点では影響は少ないと考え られる。

肥満度 は,細長化傾向にある学校や多少肥厚 ぎみにあ る学校があるが避難 校,受入校,非避難受入校による一定の傾向はない。 しか し,個人の避難度別 にみると女子では中学 1年か ら2年にかけて,男子では小学5年か ら6年にか けて避難度Aの仮設住宅に居住中の子どもに肥厚化の傾向がみ られる。代謝や 生理的な面では多少の影響があるものと考え られる。

川原 ら1) 2)は,小学生の 日常身体活動 と皮脂厚が逆相関の関係にあ り,活動

性の低い子 どもが皮脂厚が高 くなると報告 している。朴 ら9)は,体格 と生活環 境条件 との関連を主成分分析を用いて明 らかに し,体格発育には,遺伝,栄養 摂取状態 とともに身体活動が影響す ると述べ,大山7),松浦5),八木14)らの 報告 と一致 した見解を報告 している。本結果とこれ らの報告か らすると学校や 家庭を含めて子 どもたちが屋外で活動で きるような状況を設定す る必要がある

と考え られる。

(2)スポーツテス トについて

スポーツテス トの中で一般的に体力診断テス トは,技術的な要素の少ない単 純な基礎的潜在的な身体能力を表 してお り,運動能力テス トは,潜在的な能力 をある種の技術を用いて具体的な運動 として発現す る身体能力を表 している。

川原 ら‑) 2)は,小学校3年生か ら身体活動性 と運動機能の関連性が高 くなると

述べている。朴 ら9)は,児童生徒の体力により高い関与を示す条件変量 は運動 実施状況 と遊び状況であると述べ,大山8),森下6),松浦4), らの報告 と一致 していると報告 している。以上のように遊びや身体活動が体力や運動機能に密 接に関連 していることは一致 した見解であろう

(20)

体力診断テス ト

(潜在能力)

(遊)

<制 限 >

()

運動能力テス ト

・50m

・走 り幅跳 び

・ソフ トボール投 げ (小)

・‑ ン ドボール投 げ (中)

・連続逆上が り (小)

(料)懸垂

・持 久走

(発現能力)

子 ど もの発達 (教育) が保証 されてい るか

‑ ‑ irJ# (不足)

図 9 スポーツテス トの結果の意味するもの

本結果の体力診断テス トは,避難校,受入校,非避難受入校に関係な くほと んどが 1年間に向上 していた。ただ し,小学6年第一小学校男子の握力と中学

3年深江中学校女子の反復横跳び,第 2中学校女子の背筋力は低下 してお り, 今後,活動の制限が長期化す るとさらに基礎的な身体能力に も影響の及ぶ可舵 性がある。

運動能力テス トは,学年が上が って向上 しているもの もあるが,身体機能の 発達の最 も著 しいこの年代で1年間に変化 しない能力や逆に低下す る能力少な か らずみ られる。 この傾向は,受入校や推測ではあるが避難校に顕著である。

運動能力の発達 と活動性の関連についてのこれまでの報告 と,本結果か らス ポーツテス トの変化の意味す るところを考察す ると図9に示すような構造が考 え られる。体力診断テス トで測定 されるような基礎的潜在能力には,活動の利

一 254‑

(21)

限の影響は直ちに現れていない。 これは,本来な らばスポーツクラブ,体育活 動や屋外活動などの具体的運動経験によって技術や動 きを身につけて運動能力 として発現 され ると考え られる。 しか し, これに活動を制限するような狭 さ, 降灰,精神的抑圧などの状況が加わ り発育発達の刺激の不足を招 いた ものと考 え られる。一方で,体育活動や体育的行事を通 じて教師と子 どもたちが,灰を 掃 きなが ら,マスクを付けなが ら,運動の可能なグラン ドへ通いなが らなん と か活動を続けようとしている様子を本調査の補足資料のなかで知 ることがで き る。それで も,教育 として子 どもの発達が保証 されているのか,困難を承知で このような問題を提起す る次第である。

災害が さらに拡大 し,長期化す る中で今後の対策 として,スポーツクラブに その多 くが参加 している男子中学生でスポーツテス トの成績がほとんど向上 し ていることか ら,体育の教材にダイナ ミックな補助運動を加えること,屋外に ある体育施設に類似 した運動ので きる施設 ・器具を屋内や体育館に設置するこ と,体育館を可能な限 り開放す ること,その学年や男女に応 じた遊びや教材を 開発 したり指導することなどを通 じて楽 しく積極的な活動環境を整えることな どが考え られる。 さらに,教師の学校を越えた情報交換 と仲間づ くりが望まれ る。

4 まとめと提言

雲仙普賢岳災害による長期避難 と活動の制限が,島原市 と深江町の児童生徒 の発育発達に及ぼす影響を形態 とスポーツテス トの1991年度か ら1992年度まで 1年間の変化か ら調査 した。その結果以下のような点が明 らかにな り,それ に基づいてひとつの対応を提言す る

(1) 身長,体重のような解剖学的構造的な面については,現時点では影響 は 少ない。肥満度のような代謝や生理的な面では仮設住宅に長期に居住 しそいる 児童生徒に肥厚化の傾向として多少ではあるが影響が現れている。

(2)基礎的潜在的身体能力を示 している体力診断テス トは,わずかに影響が み られるがほぼ発達 している。 これに対 し運動能力は,発達期の 1年間に低下 ない し向上のみ られない能力が少なか らずみ られ,具体的な身体活動によって

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形成 される発現能力への影響が明 らかにな った。

(3) そのために,今後の対策 として体育の教材 にダイナ ミックな補助運動を 加えること,屋外にある体育施設に類似 した運動ので きる施設 ・器具を屋内や 体育館 に設置す ること,体育館を可能な限 り開放す ること,その学年や男女に 応 じた遊びや教材を開発 した り指導す ることなどを通 じて楽 しく積極的な活動 環境を整え ることなどを提言 したい。

謝辞 本研究を行 うに当た り,島原市教育長,深江町教育長並びに島原第‑

小学校,島原第二小学校,島原第三小学校,島原第四小学校,島原第五小学 校,島原第一中学校,島原第二中学校,島原第三中学校,大野木場小学校,小 林小学校,深江小学校,および深江中学校の各校長,先生方 に多大な ご協力を 頂 きま した。 ここに記 して深 く感謝いた します。

参 考 文 献

1)川原 ゆ り,畠山 トミ,石川悦子,山下陽子,安藤慶子,船川幡夫 :児童の体格 お よび運動能力の発育 ・発達 な らびに 日常 の活動性 に関す る縦断的研究. 日本女子 大学児童研究所紀要,7,1985.

2)川原 ゆ り,畠山 トミ,石川悦子,山下陽子,安藤慶子,船川幡夫 :児童の体格お よび運動能力の発育 ・発達 な らびに 日常 の活動性 に関す る縦断的研究. 日本女子 大学児童研究所紀要,8,1987.

3)万井正人 :老化 と連動機能.医学 のあゆみ,97(9),652‑655,1976.

4)松浦義行 :体力発達 に関与す る生活環境条件の追跡的研究.昭和57年度科学研究 費補助成果報告書,9‑17,1983.

5)松 浦 義 行 :発 育発達 に関 与 す る諸 条 件 の検 討. 体育 学 研 究,17.459‑461, 1967.

6)森下 は るみ :幼児期 の運動能力の発達 に及 ぼす内的外的要因の影響.体育科学, 7,154‑163,1979.

7)大山良徳,小西博喜 :現代人の発育発達 と体力.三和書房,145‑215,1980.

8)大 山良徳 :児童 の身体発達 に関与 す る主要因 の選定 に関す る基礎 的研究 ( 1 報)。体育学研究,19,87‑98,1974.

‑ 256‑

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9)朴 党渉,松浦義行,稲垣 敦 :児童 ・生徒 における身体的発育発達 に影響す る 生活環境条件の検討.体育学研究,34,345‑358,1990.

10)斎藤 寛,遠藤晋介,住友美智代 :1993年雲仙普賢岳噴火活動の降灰 による学童 の健康への影響.雲仙火山災害 の調査研究 (2報),98‑101,1993.

ll)高石昌弘 :思春期 と成長促進現象.か らだの科学 (113),38‑43,1983.

12)竹本泰一郎 :火山噴火災害の学童生徒の生活 と健康 への影響. 日本衛生学雑誌,

48(1),292,1993.

13)東京都立大学身体適性学研究室編 :日本人の体力標準値 (第四版 ),不味堂 出版, 東京,1989.

14)八 木 保 :体格 の発達 に関す る諸要 因 の分 析.学校保健研究,12(2),62‑66,

1970.

表 3 小学 6年生の体力診断テス トの 1年間の変化の程度 による分類 低 下 不 変 向 上 男 千 非 第 ・握 力 ・垂直跳 び ・反復横跳び避受難入・校小・伏臥上体そ らし・立体体前屈・背筋力受小・反復横跳び・垂直跳び入柿・握力・背筋力校′ト・立体休前屈 ・伏臥上体そ らし・踏 み台昇降運動 避 大 ※小林小 との比較(低い) (同 等 ) ( 高 い)難野・反復横跳び・背筋力校木場小・立体体前屈・握力・垂直跳 び ・伏臥上体そ らし・踏 み台昇降運動(同等 ) 千 非女 第 ・垂直跳 び ・反復
表 4 中学 2 年生の体力診断テス トの 1 年間の変化の程度 による分類 低 下 不 変 向 上 千男 非 避受 難入・校 深 江中 ・踏み台昇降運動 ・垂直跳び ・伏臥上体 そ らし・立位体前屈・反復横跳 び・背筋力・握力 受 第 ※深江中との比較(低い) (同 等 ) (高 い)入校亭・踏み台昇降運動 ・反復横跳び・垂直跳び・背筋力・握 ・伏臥上体そ らし・立位体前屈(同 等 )力 千女 非 深 ・垂直跳び ・反復横跳 び避受難入・校江中・伏臥上体そ らし・背筋力・握・立位体前屈 ・踏み台昇降運動力
表 5 中学 3 年 生 の体 力 診 断 テ ス トの 1 年 間 の変 化 の程 度 に よ る分 類 低 下 不 変 向 上 千男 罪 避受難入・校 潔江中 ・踏 み 台昇 降運 動 ・背 筋 力・握 ・反 復 横 跳 び・垂 直跳 び ・伏 臥上 体 そ ら し・立 位 体 前 屈力 受 第 ※ 深 江 中 との比 較(低い) (同 等) (高 い)入校亭・踏 み 台昇 降運 動・反 復 横 跳 び・垂 直跳 び・背 筋 力・握 力 ・伏 臥上 体 そ ら し・立 位 体 前屈(同等) 女 千 非
表 6 小学 6 年生の革動能力テス トの 1 年間の変化の程度 による分類 低 下 不 変 向 上 千男 非 第 ・ソフ トボ‑ル投 げ ・5 0 m 走難入避受・校小・連続 逆 上 が り ・斜懸垂 ・ジグザ グ ドリブル・走 り幅跳 び隻小・走 り幅跳 び・50m走・ソ フ トボ ール投 げ入校小柿・斜懸垂・連続 逆 上が り・ジグザ グ ドリブル避大(同等)(同等 )(高い) 野 ※小林小 との比較・斜懸垂・連続 逆 上が り ・5 0m 走 ・走 り 古跳 び校場小木・ジグザ グ ドリブル ・ソ
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参照

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