奈良教育大学学術リポジトリNEAR
順向干渉の形成に及ぼす特定領域の知識の効果
著者 藤田 正
雑誌名 奈良教育大学紀要. 人文・社会科学
巻 48
号 1
ページ 173‑178
発行年 1999‑11‑10
その他のタイトル The Effects of Knowledge about Specific Topic upon Buildup of Proactive Interference
URL http://hdl.handle.net/10105/1477
Bull二(ara Umv Educ l'0148,No.KCult &Soc ),1999
順向干渉の形成に及ぼす特定領域の知識の効果
藤 田 正 (奈良教育大学心理学教室)
(平成11年4月30tJ受理)
辛‑ワード:順向干渉、 BrowiトPetersonパラダイム、特定蝕域の知識
問 題
Keppel and Uildenvood(1962)か、 Brown‑Peterson ノヾラタイムを用いて、短期記憶における忘却にも干渉が 関係していることを検討した,。このパラダイムでは、 3 項目の単語やトリクラムを同時に数秒間提示し、それを 記銘させる,ブ そLJ)後15‑1銅少程度、り‑‑サ)i,妨害作業 が課せられ、続いて再生テストか行われるO これを1試 行として同種f)I)ストについて放試行、記銘・再生する
こ土か繰り返されるQ そC7)結果として、試行を重ねるに つれて次第に再生率が悪<Kる現象である順向上渉 (Prc>actil‑v IIlte1,fビ‑once)か起こることか見出されたっ それ以来、順向い渉の研究を申し、に干渉の形成や解除
に影響する要因や、その′I起メカニズムを検討する多 くの研究が行われてきた(rndelwood, 1982: WlCkenS,
1970)っ
これまてのところ、順向日歩は検素時しり項目弁別の困 賂性に、ほほその原図があることか指摘されてきたCG;卜 rdmei∴et al.,1972;菊野、 1983; nIon、 1979: Wこitkms
& \1'atkms.1975)。,特に、 [臣、られるリ ストかカテコ り‑項目リスト(例えば、各試行で用いられる項「1か動 物のカテコリーに属する項目)である場合には、項目 間に共通するカテゴリ‑者(動物)がra号化や検索の手 掛かりとして機能する。したが一つて、同一‑カテゴリ‑の mHリストを繰り返L記銘・再生Lなければならない場 合に、先行する試行と同じ手掛かりを利用Lなければな らす、試行が進むにつれて弁別的にIfll」を符号化や検索 をする手掛かE̲〕の機能か低下L、効果的fi:再生か困望酎二 なる,。その結栗とLて、試行に伴い再生成績か低卜する。
順向一日3.の形成は、このようなメカニズムて説明され たO なお、この説明は、それぞれの試行の検索時に弁別 的な検索を日用巨にする手掛かり(例えば、卜位カテゴリ‑
名)を提示した条件で、十渉の形成を抑えることを実証 Lた結果によって支持された(藤田, 1994こしlardmer.et al., 1972; Mori, 1979)。
ところで、手掛かりの効果的な利用に影響する要因の ひとっに学習者の知識がある。これまでにも、ある領域 についての知識が豊富で、体制化された知識構造をもっ ている学習者の場合、直面する課題の要求に応じて適切 に自分の所有する知識を使用して材料を意味づけたり、
手掛かりとして利用する"Jfi巨性か大きく、それによって 記憶成績か優れていることか、様々な記憶課題を用いて 検討されてきている(高橋・梅本,1990こ Kuhara‑
KcHimとi & Hatano,1990)c
Kuhai・a‑KoJ1111a & Hatano (1990)は、大学生を用 いて野球の知識、音楽の知識、及ひリストを覚える記 憶術的技能を調へ、その後で音楽に関する情報と野球に 関する情報を記憶させた。,その結果、記憶術的技能uTj種 類に関係なく、野球の知識の多い人は野球に関する項H の記憶得点か高く、音楽の知識が多い人は音楽に関する 項目の記憶得点が高いという結果を得たO この結果は、
高知識 fc」)所有する領域固有の知識は、それと一致す る情報内容を記憶する場合にのみ効果的であることを示 している。
また、高橋・梅本(1990)は、運転免許のW¥酎こより 交通法規に関する知識量の高い大学生と知識量の低い大 学生を選出し、交通法規に関する文の記憶を行わせた。
その結果、記銘の際に記銘文を読むだけの「読み条件」、
バラバラの丈を生成し、記銘する「生成条件」のいずれ においてら知識量の高い者の方か再生率は高かった。
以上Dように、特定領域についての知識量の多い者は、
豊富な知識量に加えて、関連するさまさまな要素が結び ついた体制化された知識構造をもっているので、記憶す る材料か所有する知識と関連する場合は、材料そのもの か熟知されたものとなっていることにより促進効果を生
じたものといえる。
ところで、先に紹介した知識の効果を検討した研究 は、いずれも所有する特定領域の知識をそのままの彬で
1度だけ利用する事態て、熟達者の情報処理特徴を検討
したものてあるO それに対して、繰り返し知識の利用か
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求められる場合においては、さらに熟達者の情報処理特 徴である方略の柔軟性という特徴が関係する可能性が考 えられる。 Brown‑Petersonパラダイムは、先にも述べ たように試行の繰り返しにより、符号化と検索の反復が なされる事態であり、用いている手掛かりが効果的でな いことが分かれば、方略の変更が可能な事態であるので、
方略使用の柔軟性について検討できるパラダイムである。
しかしながら、順向干渉の形成や解除に関係する研究で は、このような手掛かりの利用に最も関係がある学習者 の知識の要田について検討したものは見当たらない。
B1‑OWn‑Petersonパラダイムでは、知識量や知識構造 の分化の違いは、主に各試行における符号化や検索の手 掛かりを弁別的に利用できる能力と結び付くことか予想 される。したがって、特定領域の知識を利用できるリス トの場合には、高知識者は分化した知識を弁別的な項目 の符号化や検索の手掛かりとして効果的に利用できるの で順向干渉か形成されない。 Lかし、特定領域の知識を 利用できないリストの場合には、手掛かりを弁別的な項 目の符号化や検索に効果的に利用できないLJ)で順向十渉 が形成されることか予想される。それに対して、低知識 者は、特定領域の知識が少ないことに加えて、特定領域 の知識構造が分化しておらず、それを利用した弁別的な 符号化や検索かできないので、特定領域の知識を利用で きるリストの場合にも、利用できないリストの場合にも、
試行の反復に伴い、利用している手掛かりの弁別機能か 低ドし、順向干渉か形成されることが予想される。
そこで本研究では、順向十渉の形成における手掛かり の弁別機能と学習者の知識とを関連づけて検討するため に、特定領域における知識量の違いか順向干渉の形成に 及ぼす効果を吟味することを目的としたo
方 法
実験計画 2)ノ2 ×3の要因計画が用いられた。第
正
1の要因は自動車に関する知識で、高知識群と低知識群 であった。第2の安閑はリスト条件で、弁別手掛かり利 用可能リストと弁別手掛かり利用不可能リストであった。
第3の要因は試行数で、第1試行から第3試行であった。
第1の要因は被験者間の要因であった。また、第2の要 因と第3の要因は被験者内の要因であった。
被験者 被験者は、この種の実験に未経験な大学生 48名(男子26名、女子22名)で平均年齢は19歳10プ・}flで あった。これらの被験者は、 7,め行われた知識調査の結 果に基づいて高知識群と低知識群に24名すっ割り当てら
罫SSI
被験者の抽出に際しては、予備調査で大学生109名を 対象に、 4()種類の国産の自動車名を挙げ、そのメ‑カ‑
名と排気量を問う質問(40項目)と、自動車の各部位の 機能を問う質問(20項目)で構成された自動車に関する 知識調査を実施したQ メ‑カー名、排気量、機能につい て正しく解答できた場合に1点を与え、 100点満点で採 点した。,その結果に基づき、 ̲日立24名を高知識群(平均 得点74.05, SD 18.43)、下位24名を低知識群(平均得 点1:う.45. SD 5.79)とした。なお、両群の平均得点を用 いて差を検定Lた結果、有意差(f(26)‑59.12, pく .001)が認められた。
材 料 (1)記銘リスト‑表1に示すような18 個の自動車名がリスト項目として用いられた。手掛かり 利用可能リストでは、項目は試行毎に同じメ‑カーの車 でまとまっているか、手掛かり利用不可能リストでは、
各試行とも同じメーカーの車は含まれていない。なお、
リスト項目を選択するにあた‑'ては、被験者を抽出する ための予備調査の中で、同時に自動車名の熟知度評定 (4段階評定)を行った。さらに、リスト項目の選択に 際しては、高知識群と低知識群の者の問で、項目の熟知 度がリスト間でできるだけ差のないように作成した。
1試行は3項目から成り、項目はスライドで作成され た。ひとつのスライドには、頭文字をひとつずっ右方向
表1 記銘リスト項目 試 行
弁別手掛かり サニー 利用可能 スカイライン
リスト セドリ ック
手掛かり(社名) ニッサン 弁別手掛かり シルビア 利用可能 ミフ‑ソユ
リスト アルト
手掛かり(社名)
カロ‑ラ インテグラ マ‑クII プレリュード クラウン シビック
トヨタ ホンダ トデー カルタス シャレード ソアラ
ファ ミ11ア フェアレディ‑
にずらして、 3項目が縦に並べられた。また、可能な限 り試行問で自動車名や社名の順序効果の影響を相殺する ために、各リストとも提示順序の異なったリストを3種 類用意した。これ以外に、練習用のリストを1試行分準 備した。
(2)装置‑‑‑スライドの提示には Kodak Ektagraphic Slide Projectorを、項目提示時間の制御にはサンワ工 業製Digital Time Regulatorを、把持時間、再生時間、
試行問間隔の測定にはストップウオッチを使用した。
手続き 実験は個別に行われた。 Brown‑Peterson パラダイムについての標準的な教示を与えた後、 練習 を行い課題の理解をさせたC 『では、始めます』のスラ イドが3秒間提示された後、 3項目が同時に3秒間提示 され、記銘か求められた。続いて、リ‑ーサル妨害課題 として3桁の整数か20秒間提示され、その間に提示され た整数から3ずつ減算することが求められた。その後で、
l」頭による自由再生が求められた(10秒間)。,
これを】試行として、 3秒間の試行問間隔を置き、 3
試行が繰り返された。リストの提示順序は、すべての被 験者とも同じで、手掛かり利用可能リスト、手掛かり利 用不可能リストの順で2リストを行った。なお、リスト 間間隔は2分間であった。
結 果
(l)正再生率‑一一一図1は提示川mに関係なくif̲しく再生 された項目の平均正再生率をリスト条件別に示したもの である。個人の正再生率を角変換した値の平均を用いて リスト条件ごとに2 (知識量) x2 (リスト条件) /3 (試行)の繰り返しの要因を含む/分散分析を行ったo その結果、知識(F‑109.54,df‑l/ 46,p‑一、.001)、リス
ト(F‑7.18, (//‑1/230, pく.01)、試行CF‑8.97, df
‑2/ノ230, pく.001)のl二効果、及び知識×リスト(F
‑16 09. df‑1/230, p< 001)、知識×試行(F‑39.礼 df‑c<′ 230, pく.001)、及ひ知識\リスト×試行(F
‑434, df‑2/230, p‑ 05)の2次の交互作用が存意に
1 2 3
図1 各リスト条件における高知識群と低知識群の平均正再生率
表2 誤再生率の内訳(%)
リスト外侵入エラー リ
i 蝣: a
高知識群
iiUi l ,二田nr
弁別手掛かり 0 00 .17 0.00 利用可能リスト
弁別手掛かり 4.17 0.00 0.00 利用不可能リスト
弁別手掛かり 利用可能リスト 弁別手掛かり 利用不可能リスト
O.c 4.17 0.00
0.00 0.c 4.17
スト内侵入エラー
2 3
4.17 4.17
12.50 25.00
4.17 12.50
16.67 16.67
176 藤 田
蝣^sa
2次の交互作用を検討するためにリスト条件別に2 (知識) ×3 (試行)の分散分析を行った。手掛かり利 用可能リストにおいては、知識CF‑20.87, df‑l/46, p
<.OOl)と、試行(F‑19.91, <f/‑2/92, pく001)の主 効果、及び知識×試行CF‑3.85, #‑2/92, p<.01)の 交互作用が有意になったO交互作用が有意になったので
単純効果の検定を行った。
最初に、知識水準ごとに試行に伴う正再生率の変化を 変化を見るためにRyan法を用いて試行間の差を検定し た。その結果、高知識群ではいずれの試行問にも有意差 は見られなかった。それに対して、低知識群ではすべて の試行間において有意差がみられた。
次に、試行ごとに知識群問の差を比較した。第1試行 では両群間に有意差はみられなかったが、第2試行と第
3試行では有意差かみられた。
また、手掛かり利用不可能リストにおいては、試行(F
‑37.59, d7‑2/'92, p‑^.OOl)の主効果のみが有意であ り、知識(F<:1)の主効果、及ひ知識六試U (F<1) の交互作用はいずれも有意でなかった。なお、試行の主 効果については第1試行と第2試行、及ひ第3試行の問 にそれぞれ有意差がみられたか、第2試行と第3試行の 間には有意差はみられなかった。
(2)誤再生率‑誤再生については、リスト外侵入工ラ‑
(リストに含まれていない項目の再生によるエラー)と、
リスト内侵入エラー(先行試行の項目の再生によるエラ‑) に分けて算出したLl 表2は、知識群ことに2種類の誤再 生率をまとめたものであるo
その結果、次のような点が明らかになったoリスト外 侵入エラーは、両リスト条件問で違いはなく、また知識 群間の差もほとんどなかった。それに対して、リスト内 侵入エラーは、リスト条件問で違いがみられた。手掛か り利用可能リストよりも、手掛かり利用不可能リストで エラーか多かった。さらに、両リスト条件とも、第3試 行で高知識群よりも低知識群でエラーか多かった。
考 察
本研究の結果は、予想を支持するものであった。弁 別的な手掛かりの利用が可能なリスト条件では、特定領 域についての所有知識の差を反映して高知識郡と低知識 群との間で、試行に伴う再牛率の低下に顕著な差異が見 られた。高知識群では、再生率は高いままで維持され、
試行に伴う再生率の有意な低ト、すなわち順向十渉はみ られなかった。それに対して低知識群では、試行に伴う 顕著な再生率の低下、順向干渉かみられた。他方、弁別 的手掛かりの利用が不可能なリスト条件では、高知識群 と低知識群の問に有意な差異は見られず、両群ともに同
正
程度の試行に伴う顕著な再生率の低下、順向干渉が見ら 'SSm
以上の結果は、次のように解釈できる。弁別手掛かり 利用可能リストでは、高知識群は自動車に関する知識が 豊富で、さまざまな領域についても体制化された知識を もっているので、試行内の項目に共通するメーカー名に 気付き、それを手掛かりに用いた弁別的な項目の符号化 や検索を行う。したがって、各試行で先行試行項目と当 該試行項目との問の弁別的な困難さはなく、効果的な再 生が可能であり、順向干渉か生じるのを防ぐことができ たのである。それに対して、低知識群は自動車に関する 知識か総体的に少ない。特に、多くの領域についての体 制化された知識をもっていないので、試行内の項目に共 通するメ‑カ‑名を手掛かりとして利用できない。その ため、先行する試行で利用したのと同じ手掛かり(「自 動車」というカテゴリ…名)を利用しなければならない。
したがって、試行を繰り返すうちに、弁別的な項目の符 号化や検索ができなくなり、再生率か低下したのである。
他方、弁別手掛かり利用不可能リスト条件では、各試 行ともリスト項目は異なるメーカーの自動車名で構成さ れているので、それぞれの試行では項目間に共通する
「自動車」というカテゴリー名しか符号化や検索の手掛 かりとして利用できない。したがって、高知識碍におい ても自動車に関する体制化、構造化された知識か利用で きない状況にあるので、手掛かり利用の点において、低 知識群との違いかなくなり、両知識群ともに、各試行で 同じ手掛かりしか利用できないので、弁別的な符号化や 検索が困難になり、その結果として、順向十渉が生じた
のてある。
なお、補足的なものではあるか、高知識群と低知識君羊 に見られる弁別的手掛かり利用の差異は、実験後に行っ た内省報告からも裏付けられた。r両りスト条件を比べる と、高知識群では24名中22名か手掛かり利用可能リスト で試行毎のメ‑カ‑のまとまりに気付いており、 メー カ‑名を符号化や検索の手掛かりとして和mした結果、
手掛かり不可能リストよりも思い出しやすかったと報告 している。それに対して低知識群では、手桂トかり利用可 能1)ストでも試行ことの共通するメ‑カ‑名に気‑jいた 者は1名もおらず、両リスト条件とも自動車名を連続し て覚えねばならないので、項目弁別の困難が̲生し混乱し て思い出しにくかったことを報告している。
以上の結果から、特定領域についての高知識者は、
その領域については体制化、構造化された知識をもって いるのて、課題の状況に応じて、それを弁別的な符号 化や検索を行うための手掛かりとして効果的に利用する
ことかできるリスト条件の場合には、順向干渉を被るの
を防ぐことができた。しかし、課題の状況により特定領
域の知識を効果的な手掛かりとして利用できないリスト
条件の場合には、低知識群と同様、順向干渉を被ると言 う結論が導きだされた。
これまでの研究で、高橋・梅本(1990)やKuhara‑Koji‑
ma &王Iatano (1991)では、 特定領域における熟達 者と非熟達者の記憶特徴について検討しているO その結 果、熱達者は自分のエキスパートである特定領域に関し ては、豊富で、体制化された知識を所百しているので、
それと‑一致する情報「ノっ容を記憶する場合には効果的な再 生か行われるが、特定領域以外の不・致射青報内容に関 しては非熟達者と再生は違いかないことが明らかにされ ているC,
本研究においても類似する結果か得られたが、先の研 究で用いられた実験ノヾラダイムは、情報の符号化や検索 の繰り返しかなく、 1回だけ知識の関連づけや利用を行 えばよい事態であった。それに対して、本研究で用いら れたノぐうダイムは、符号化や検索が繰り返され、先行試 行の情報と現試行の情報との情報問の弁別が可能か、不 可能かによって再生成績に違いか生しる事態である。
もL、先行試行からの影響により現試行との情報問の 弁別か因幣になれは後続する試行で再生の低下、すなわ ち順向r渉がHiじる。したがって、先に引用Lた2つの 研究のように、単純に対応する知識の関連っけや当ては めを行うだけで効果的な再生か行われるのではない。こ の事態では、さらに細分化したレベルの知識を利用する ように方略(手掛かり利用の仕方)を柔軟に変更するこ とにより、情報問の弁別が効果的に行えるという問題か 関係してくる。つまり、特定領域の知識が手掛かりの効 果的な利用に影響するのてある。
本研究のように、高知識者は同じ手掛かりを利用した 符1ブイヒや検索を行っていたのでは、 ‑「渉が起こりそうな 第2試行以降、主体的に所有する知識を点検し、弁別的
な符号化や検索に利用できる効果的な手掛かりとなる特 定領域の知識を利用して「渉の事態に対処したものと思
われるC,
なお、検索I二渉の現象てあるFan 効果(:\nderson, 1974)と呼ばれる現象においても、概念を説明する情 報の間に意味的な関連性があり、情報が構造化され、統 合されている場合には、概念を説明する情報の数が増加
しても情報の正誤判断か遅くならなかったという干渉の
‑ラ トソクスが兄いた、されている(Simith, Adams, &
Schorl・、 1978)c このパラダイムは、複数の情報の中か ら該当する情報の弁別判断を求めており、容易に弁別が できる場合には判断時間も短いか、弁別が困難な場合に は判断に時間がかかると言うように、検索時間でもって 検索時の十渉を検討しているO パラダイムこそ翼なるか、
検索時に利用する手掛かりか知識の統合や構造化によっ て弁別的に機能するか杏かか、正誤判断を促進するか、
干渉を引き起こす要因となっている点ては関連する部分
を含んでいる。
知識が豊富で、体制化、構造化されている程、多様な 手掛かりの利用可能性があり、方略の柔軟性と結び付く。
高知識者のこのような特徴は、野村(1977)のいう「干 渉への抵抗(resistance to interference)」という主体 の心的活動に類似するものと考えられる。この心的活動 は、生活体か何か十渉を受けるような課題に直面した際、
それに積極的に対処してLJ)く過程で形成され、 あるい は獲得される対処能力であると説明されている。
要 約
特定領域の知識(自動車)において差の見られる大学 生48名を用いて、知識の差か順向r渉の形成に及ぼす効 果について検討した。 Brown‑Petersonパラダイムを用 いて被験者には、特定領域の知識を手掛かりとして利用 可能なリストと、それの利用不日拍巨なリストの記銘と再 生をそれぞれ3試行行わせた。その結果、高知識者は手 掛かり利用可能リストでは順向干渉は形成されなかった が、手掛かり利用不可能リストでは川酢il干渉か形成され たO それに対して、低知識者は両方のリスト条件とも順 直子十渉が形成された。以上の結果から、高知識者では、
課題の状況に応じて特定領域の知識を符号化や検索時の 手掛かりとして弁別的に機能させるので、それが利用で きる場合には、順向干渉の形成を防ぐことかできること か明らかにされたo
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[付記:実験の実施と資料の統計的処理に際して石本 (木下)美奈子さんの協力を得た。]
The Effects of Knowledge about Specific Topic upon Buildup of Proactive Interference