冷却速度 と葉体含水量の耐凍性 に及ぼす影響
右 田 清 治
Freeze - Preservation of Porphyra Thalli in Viable State—II.
Effect of Cooling Velocity and Water Content of Thalli on the Frost - Resistance
Seiji MIGITA
From results of the previous work, it had been found that Porphyra thalli are highly resistant to low temperature, and that they can tolerate 4 months' freeze-preservation in half -dried state. In this paper, the author studied on the effect of cooling rate and of water content of thalli on the frost-resistance, through use of P. tenera, P. yezoensis and P. suborbiculata as materials. The surviving cells were determined under the microscope without any treatment.
The results obtained are summarized as follows :
1. When the thalli were frozen in sea water at various cooling rates ranging from 0.02°C/min to 100°C/min and then thawed in room tem- perature, they showed high frost-resistance, but the survival rate of cells frozen in extremely rapid cooling (100°C/min) or slow cooling (0.02°C/
min) more or less decreased.
2. In rapid freezing at temperatures ranging from -10°C to -70°C, the cells of thalli could tolerate without any injury above -20°C, but surviving cells gradually decreased below -40°C. When deep-frozen at - 75°C, the survival of thalli frozen in half-dried state were more than those frozen in sea water.
3. Materials frozen at -75°C after pre-freezing at -20°C for 24 hours showed higher values in cell survival than the other cases without pre-freezing.
4. The water content of thalli is closely correlated with the survival of thalli in freeze-preservation. Materials dried up to about 30 per cent water content showed high resistivity against freeze-injury, and some of them survived during one year's freeze-preservation at about -20°C.
前 報1)にお い て,ア マ ノ リ類 の 葉 体 を凍 結 保 存 した 場 合,か な り長期 に わ た り生 存 し, と くに葉 体 を半乾 燥 状 態 に した 凍 結 で は 海水 中 で 凍 結 した もの よ り耐 凍 性 が い ち じ る し く 増 大 す る こ とが 判 明 した.ま た,こ の ア マ ノ リ葉 体 の凍 結 保 存 に 耐 え る性 質 は,採 苗 海 苔 網 の冷 蔵,乾 海 苔 製 造 工 程 で の 原 藻 の 貯 蔵 な ど産 業 上 に も役 立 つ と考 え た が,そ の後 実 際 の ノ リ養 殖 に お い て採 苗海 苔 網 の短 期 間 の 冷 蔵 が 当 業 者 に よ って 試 験 され,愛 知 ・千 葉 県
下をはじめ各地に普及しつつある.
そこで,今回は凍結保存の条件のうち,耐凍性にとくに関係が深いと考えられる凍結の 際の冷却速度と葉体の含水量などについて実験したので,その結果を報告する.
材 料 と 方 法
材料としては,長崎市内で養殖されたアサクサノリ・Porphyra tenera KJELLM.を主 に用い,そのほか養殖スサビノリP.yezoensis UEDAおよび自生のマルバアマノリP.
suborbiculata KJELLM.も比較実験に使用した,実験は1954,1955年の冬期に行なった が,採集した材料はできるだけ早く研究室に持ち帰り,当日か翌日までに実験を開始する
ようにした.
凍結処理の方法としては,個体による誤差を少なくするため,葉体を切断して数個体の 各1葉片づっを管瓶に入れて凍結した.急速冷却や一一 30。C以下の実験は,ドライアイス
・アルコールを用い,冷却速度は試料を2重,3重壁の容器に入れたりドライアイスの量 を加減したりして変えた.また,緩慢凍結や一20。C以上の凍結保存の実験は,温度を調 節した電気冷凍庫を利用した.なお,温度は容器内の試料の中心に熱電対を設置してサミ
スター温度計で記録し,冷却速度は過冷却の再反転点以下の一5。Cより所定の温度まで の平均速度で表わした。
葉体の含水量は,水分100%の状態を判定するのが個々の実験では困難であるので,平 均値をとって,完全乾燥したときを0%としその重量の5倍の重さの状態を水分量100%
として算出した.実際には,余分の海水滴を游紙で拭きとった葉体を一定量づっ計り分 け,そのうちの対照の乾燥重量を乾燥器を用いてあらかじめ測定しておき,その重量を基 準にして所定の含水量まで蔭博した後で凍結するようにした.
葉体細胞の生死は,短期間の凍結保存の場合は顕微鏡観察により容易に判定できるので 無処理のまま調べたが,長期間保存した葉体では融解直後の判定がやや困難なものもある ので1日間送気培養した後で識別した.
実 験 結 果
冷却速度の影響 アマノリ葉体を海水中でドライアイス・アルコールを用いて,いろい ろの冷却速度で凍結し直ちに融解したときの結果をTable 1に示した. 5〜100QC/min の冷却速度の範囲では,融解後の葉体細胞の生存率はかなり高く速度による大きな相違は なかったが,100。C/minのような急速凍結では凍死細胞がやや多い傾向がみられた.
一一方,電気冷凍庫を用いた0.02〜0.8。C/minの緩慢な冷却速度で凍結した場合, Ta−
ble 2に示すように,葉体の生存細胞は0.2〜0.8。C/minの冷却速度で多く,とくに遅 い0.02。C/血inで幾分少なくなっている.
葉体を半乾燥状態にして同様な実験を行なったが,この場合アマノリの耐凍性が高いた め,表示できるほどの生存率の差はみられなかった.ただ,0.02。C/minの遅い冷却速度 で葉体の一部細胞に凍死がみられたが,その生存率も平均値では100%に近い値であった.
凍死細胞の形態変化は,色素体の分離・拡散・退色に次いで原形質の凝固,細胞の膨大
・萎縮という過程がみられ,前報1)の観察とほとんど変らなかった. しかし,きわめて緩 慢な速度で凍結したものでは空胞ができた傷害細胞が出現した.これは高濃度:施肥などで
Table 1. Effect of cooling velocity・ on cell survival of PorPhyra thalli rapidly frozen in sea water.
Material
P. tenera
/!
P. suborbicztlata 11
Minimum
temp.
一20℃
一20℃*
一20℃
一 400C
soc/min.
Cooling velocity
200C/min. 50℃/min.
1000c/min.
100 o/,
100 100 90
︵UOO﹁D
∩︶00︵︾11﹁⊥100
95
100 70
90
95
Warming at about 1℃/min.
* Thawed after 10 days free2e−preservation.
Table 2. Effect of cooling velocity on cell survival of PorP.hyra thalli slowly frozen in sea water.
Material
PPP
leneraニソegoθnsZS
suborbiculata
Minimum
temp.
一20ec
−200C
−200C
O. 020C/min.
Cooling velocity
O. 10C/min. O. 50C/min.
O. 8℃/min.700/0
90 100
100 100
︵UOO︵UOO
1⊥−⊥−⊥
95100
100Warming at about 10C/min.
致死濃度に達しない場合の薬害にみられる空胞細胞と形態的にはよく一致する.また,こ の空胞細胞は冷蔵庫内で4。C前後の温度に長期保存したものにも現われた.
凍結において,過度の低 温が葉体の凍死にどのよう
loor o
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0 5
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一20
一30 一40 一50[1]emperature c
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,
一60 6一
一70
Fig. 1 Cell survival of thalli, PorPhyra tenera, fro−
zen at various low temperatures.
A: Freezing of half−dried materials (30 per cent water content), cooling at about 100C/
min, B: Freezing in sea water, cooling at about 100C/min, C: Freezing in sea water,
cooling at about 50℃/min,
に影響するかをみるため,
一70。Cまでの段階的な温
度で.急速凍結 (10,50。C/
min)を行なった.所定の 温度に達した後で,直ちに 融解レた結果は.Fig・1の
ようになり, 一一 20。Cまで
は凍死はほとんどみられ ず, 一30。Cでも高い生存 率を示すが,それ以下の温 度では低温になるほど凍死 細胞が増加した.とくに海 水中凍結では半乾燥状態で の凍結に比べて一40。C以 下の凍死が顕著であった.
また,海水中凍結でも冷却
速度約10。C/minと50。C/minを比較すると,前者が低温での凍死が少なくなってい
る.
高等植物の木本類をはじめ,多くの生物で一定時間予備凍結をしてさらに低温にする と,そのまま冷却した場合より低温に耐えうることが知られている2)國5). そこで,アサク サノリ葉体を約0.50C/minの冷却速度で一20。Cまで凍結し,その温度に24時間おき,
その後一750Cまで急速凍結する実験を行なってみた.その結果はTable 3のようにな り,一20。Cで予備凍結したものは,そのまま一75。Cまで急速凍結したものより生存率 がかなり高く.なっており,明らかに予備凍結の効果が認められる.
融解速度に関しては,葉体を海水中で Table 3・Cell survival of thalli・ 一20。Cに凍結し直ちにいろいろの速度
黎留駕溜津饗 で融解したが・解氷までの時間が2・秒一
after pre−freezing. 30分の範囲では・細胞の生存率にはほと んど相違が認められなかった.また,半 E・p・・im・n・M
ユm Su瑳 va 乾燥状態の賭では融解瀬を正獣潰H
(騙馬温ズ騨55 鷺趨勢夏霧響響響
Contro1 −75。C** 2
めにとくに傷害は現われなかった.
一20。C* 95
含水量と耐凍性 前報i)で葉体をあら *Cooling at about O 5℃/min● かじめ半乾燥状態にして凍結すると耐凍
** 50℃/min.
Warming at about 1℃/min. 性が高まることを報じたが,生ノリの状 態を基準にしたため含水量でやや不正確 な点があった.そこで,この実験
llタぐこ難1辮l1
6 重量を1とした場合,葉体面の水 ●
滴を瀕紙で拭きとった生重量は平 \
均5倍の重さであり,また当業者 の摘取直後の葉体間に海水を含む 0
Fig. 2
20 40 60 80 100
Water collte堪%
Relation between cell survival and water content of Porp勿ra thalli freeze−preserved for 2 months at』
about−20。C.
A:P.suborbiculata, vegetative cell.
B:1).夕e20ensis, ,in adult thalli.
C:P.tenera, , D: , ,in young thalli(about l cm in length).
状態では約10倍の重さである.こ こでは方法の項でも述べたよう に,乾燥重量の5倍の重さを生ノ リの重量として取扱い,含水量100
%とみなした.
葉体の含水量と耐凍性の関係 は,一200Cで2ヵ月間凍結保存 した場合,Fig.2のようになり,
葉体の水分量で細胞の生存率はか
騒囎贈.箋︑戴鑑鋲
庵
懸盤
麟瞬㌔7灘
灘騨、
器Q櫓澗。曜鰯
ゆil.1・ 》・礪鄭)環鵯瀕
Fig. 3
麟鷺
騨、
醸渇灘
Survived cells of PorPhyra thalli after freezing and freeze−preser−
vation.
A, B: P. tenera, A; cells injured by rapid freezing at 一70℃.
B; vacuole in cells slowly frozen at 一200C. C: P. suborbiculata,
liberation of monospores after 1 year s freeze−preservation at
about 一20℃. D: P. yezoensis, after 7 months freeze−preservation.
なり違っている.すなわち,生存率は20〜40%の含水量で高く,それ以上乾いた状態や水 分を含む状態では低い傾向がうかがわれる. しかし,水分100%の状態でも海水中の凍結 に比べると,生存細胞は多かった.また,同じアサクサノリでも1cm以下の幼芽は成体 より凍結に対する抵抗性が幾分劣るようである.
長期保存の結果として, これまでに実施した実験のうち含水量を約20〜30%にして 一20。Cの温度で凍結した場合の生存率をFig.4に示した.葉体細胞の生存率は凍結保存 の期間が長くなると徐々に低下する傾向がみられるが,それでもなお1年間の凍結で80%
以上の高い生存率で生き残ったものが少なくない.また,耐凍性は種類によって幾らか相 違し,岩ノリのマルバアマノリはアサクサノリ・スサビノリに比べてきわめて高い生存率 を示している. なお,一10。Cでも凍結保存してみたが,長期の保存になると生存率は
一一@20。Cに比べて不安定であり,全般的に凍死細胞が増加するようである.
これらの実験を通じて,凍結融解後の葉体で生細胞と死細胞群が縞状にはっきりした区 画をなす場合があった.このよう
100
90
8 0
0 7
§ 冨鳶出βの
撃︒㌔9色B 3
9
臣︶QUO●● ●
e
●●
o
○○
QuOOo
3 6 9 12
Storage time(months)
Change in cell survival of Por−
ph二yra thalli during freeze−preser−
vation at about 一20℃ under half−
dried state.
O…P. tenera, e…P. yezoensis,
O…P. suborbiczalata.
な葉体を謄葉標本にすると,生細 胞部は明らかに光沢があるが死細 胞部は光沢がない.これは凍死の 場合に限らず,高温や薬品などに よる死細胞でも同様な現象がみら
れた.
考 察
o
Fig. 4
存率は低下することが報告されている8).
この実験では,
凍結における冷却速度について は,冷却速度を小さくすると氷晶 は大きく成長するので組織学的な 見地からは冷却速度はできるだけ 大きい方がよいが,細胞の機能を 維持するためには冷却速度は小さ
い方がよいと考えられている6)『8).
また,微生物などの凍結では,
ある冷却速度で生存率が高く,そ れより速度が速くても遅くても生
アマノリ葉体を半乾燥状態より凍死し易い海水中で凍結し,しかも0.02
〜100。C/minというかなりの速度差をつけて冷却したにもかかわらず,細胞の生存率は 各速度で大きな値を示した.このようにアマノリ類は強い耐凍性を持つため,効果的な冷 却速度は明確には把握できなかった.ただ,100。C/minのような急速凍結で凍死細胞が やや多かったことは,部分的な凍結条件の相違も考慮しなければならないが, 過度の冷却 速度の害とも考えられる.また,0.02。C/minのような緩慢凍結では生存率が低下する傾 向がみられた.採苗海苔網を冷蔵する際,原藻の量が多いと一20。C前後の保存温度に達
するまで長時間を要し,中心部が部分的に死滅したりする場合があることも同じ理由によ ると推測される.これに関連したことでは,すでに殖田9)がアサクサノリ原藻の冷蔵試験 で,冷蔵温度に応じて三二の厚さを加減しなければならないと述べており,これもおそら
く冷却速度に関係があると考えられる.過度の緩慢凍結で,凍死細胞のほかに空胞ができ る細胞が現われた. この空胞細胞は,殖田9)の2。Cにおける原藻の冷蔵でも多数出現し ており,また海で養殖中のものにもまれにみられ,薬害によってもよく現われるので,単 に凍結の原因によるのではなく,過冷却までの外囲条件が影響していると考えられる.
この冷却速度に関する実験は,凍結保存による誤差を少なくするため,凍結直後または 10日後に融解した場合の結果を調べたもので,さらに長期の凍結保存における冷却速度の 影響についても究明する必要がある.
急速凍結により一70。Cまでの段階的な温度で凍結した場合,一20。Cまでは葉体細胞 はほとんど100%生存したが,それ以下の温度では低温ほど凍死細胞は増加するようであ る.アマノリ各種類の凍死温度は未だ明確でなく,照本10)はスサビノリで一350C 24時間 の凍結で約50%生存し,一一70。Cではわずかの細胞が生存するに過ぎないと報じたが,同 じく照本のその後の研究11)では一 196。Cの超低温で空気中の葉体ではあるが100%生存す るといっている.このように,アマノリ類では,種類葉体の活力,凍結条件などで耐凍 性はかなり相違すると考えざるをえない.
予備凍結の効果は,細胞外凍結が十分に進み細胞内の凍り易い水が脱水され,それ以下 の低温で凍結しても細胞内凍結がおきないためと考えられている2)一5). アマノリ葉体でも
一20。Cで24時間予備凍結した場合は,生存率は高くなり,多くの生物で確かめられてき た予備凍結の効果はアマノリなどの海藻にも適用できるようである.ただ,効果的な予備 凍結では,ある温度に耐えるようになった後ではさらに低い温度にさらしても,生存率に 大きな相違はないといわれている3)4).しかし,この実験では予備凍結後でも凍死が増えて おり,これは予備凍結が不十分であったためか,溶液中の凍結のためか,またはアマノリ の本来の性質によるものか,なお今後の検討をまたねばならない.
融解速度に関しては,急速融解(約60。C/min)したものも緩慢融解(約0.7。C/min)
したものでも,葉体細胞の生存率にはほとんど相違がないように思われる.
葉体の含水量と耐凍性の実験では,工高1)の結果と同様に深い関係がみられ,葉体含水 量20〜40%の状態で凍結したとき生存が多いようである.一般にアサクサノリ・スサビノ
リなどの養殖ノリでは,含水量20〜40%とは生重量の約1/3〜1/2の重量,当業者のいう 生ノリの約1/6〜1/4の重量に乾燥した状態に相当する.実際に採苗旧約1ヵ月を経過し た海苔網をこのような状態まで天日乾燥し,一20。Cで凍結保存し20日および40日後にそ れぞれ海に張込んだところ,凍結の被害はほとんどみられず順調に生育した.短期聞の凍 結で,融解後の葉体が正常に生育することは,最近の山本11)の酸素消費量を調べた研究で 実証されているが,6ヵ月とか1年間の長期凍結保存をした場合は,生育がしばらく停滞 することがある.これについては,生育段階による耐凍性の相違などと共に別の機会に報 告する予定である.
長期間にわたり凍結保存した場合,凍死細胞は徐々に増加するが,6ヵ月〜1年の長期 保存でも80%以上の良好な生存率を示す例があり,今後保存条件などを検討することによ
り,さらに安全に長期の生体保存が可能になると考えられる。
凍 結 融 解 後 の葉 体 で凍 死 細 胞 部 は 乾 燥 後 光 沢 か な い の は,き わ め て興 味 深 い こ と て,こ れ は凍 死 に 限 らす大 量 標 本 の 生 死 の 判 定 に も利 用 て き る よ うて あ る ま た,こ の こ とか
ら,凍 結 貯 蔵 した原 藻 よ り乾海 苔 を製 造 す る場 合,凍 死 して い な い葉 体 て も製 造 工 程 の淡 水 処 理 て乾 燥 初 期 ま て に枯 死 し易 い こ とか 考 え られ,凍 結 保 存 て 単 に 生 存 す る た け て は な く強 い活 力 を保 持 す る こ とか 要 求 され るて あ ろ う この 製 造 を 目 的 と した冷 蔵 に つ い て は,す て に古 く殖 田12,13)らの詳 細 な 試 験 か 行 な われ て い るか,や は り品 質 の点 て企 業 化 さ れ す に 現 在 に至 っ て い る これ に つ い て は,著 者 の予 備 的 な実 験 て も満 足 て き る結 果 は え
られ て い な い か,今 後 品 質 の面 か ら追 試 した い と思 って い る
摘 要
ア マ ノ リ葉 体 の 凍 結 保 存 に お い て,冷 却 速 度 や 葉 体 の 含 水 量 な どの凍 結 条 件 か 葉 体 細 胞 の耐 凍 性 に 及 ほ す 影 響 に つ い て実 験 した
1 ア マ ノ リ葉 体 を海 水 中 て 各 種 の冷 却 速 度 て 凍結 した 場 合,葉 体 細 胞 は002〜100°
C/minの 広 い速 度 範 囲 て凍 結 に対 し強 い抵 抗 性 を示 すか,1000C/minの 急 速 凍 結 や002
° C/minの 緩 慢 凍結 て は 生 存 率 か や や低 下 した
2 ‑70°Cま て の 段 階 的 な温 度 て急 速 凍 結 す る と,‑30°Cま て は 生 存 率 はか な り高 い か,そ れ 以 下 の温 度 て は 低 温 に な る ほ ど生 存 細 胞 は 少 な くな る しか し,半 乾燥 状 態 の凍 結 て は海 水 中 に比 へ て よ り多 くの 細 胞 か 生 き残 っ た
3海 水 中 の凍 結 に お い て,‑20°Cて24時 間 予 備 凍 結 した もの は,そ の後‑75°Cま て急 速 冷 却 して も生 存 率 が 高 く,予 備 凍 結 の 効 果 か 認 め られ た
4.凍 結 前 の 葉 体 の含 水 量 は 耐 凍 性 と深 い 関 係 が あ り,含 水 量20〜40%て 生 存 細 胞 か 多 く,そ れ 以 上 の 水 分 量 て も過 度 に乾 燥 した もの て も凍 死 細 胞 か 増 加 す る傾 向 か み られ た.
この研 究 を行 な うに あ た り御 指 導,御 鞭 睡 をい た た い た長 崎 大 学 高 良 夫 教 授 に深 く感 謝 す る
文 献
1)右 田 肩 治 ア マ ノ リ葉 体 の 生 体 凍 結 保 存 一1海 水 中 お よ ひ 半 乾 燥 状 態 て 凍 結 保 存 した ア サ ク サ ノ リ葉 体 の 生 存 能 力 に つ い て,長 崎 大 水 産 学 部 研 究 報 告,17,44〜54(1964)
2)酒 井 昭 超 低 温 に お け る 植 物 組 織 の 生 存,低 温 科 学,生 物 篇,14,17〜24(1956) 3)酒 井 昭 超 低 温 に お け る 植 物 組 織 の 生 存11低 温 利 学,生 物 篇,16,41〜53(1958)
4)酒 井 昭 超 低 温 に お け る 栢 物 組 織 の 生 存 皿 耐 凍 性 の 大 き さ と効 果 的 予 備 凍 結 温 度 と の 関 係,低 温 科 学,生 物 篇,21,1〜16(1963)
5)ScHoLANDER,PF,FhAGG,W,HocK,RJandIRvINGLStudlesonthephyslology
offrozenplantsandanlmalsmarctlc,ノCθ 〃Co吻 ρP勿szo1,42,supp 1,1〜56(1953)
6)兼 平 信 一 生 物 学 的 材 料 の 凍 結 乾 燥 法 第7報 組 織 標 本 製 作 法 と して の 凍 結 乾 燥 法 に つ い て,低 温 科 学,生 物 篇,10,137〜162(1953)
7)根 井 外 喜 男 他 生 物 学 的 材 料 の 凍 結 乾 燥 法,第9報 予 備 凍 結 条 件 の 検 討,低 温 科 学,生 物 篇,12,63〜70(1954)
8)荒 木 忠 ・根 井 外 喜 男 微 生 物 の 凍 結 の 機 構1低 温 処 理 酵 母 の 生 存 に つ い て,低 温 利 学,生 物 篇,20,57‑68(1962)
9)殖 田 三 郎 生海 苔 冷 蔵 試 験,水 産 講 習 所 試 験 報 告,23(1),1〜8(1927)
10)照 本 勲 冬 の 潮 間 帯 に 生 育 す る海 藻 の 耐 凍 性,低 温 科 学,生 物 篇,22,19〜28(1964) 11)照 本 勲 ス サ ヒ ノ リの 凍 結 と乾 燥,低 温 科 学,生 物 篇,23,11〜20(1965)
12)殖 田 三 郎 あ さ く さ の り 冷 蔵 試 験 ト其 製 品 二 就 テ,水 産 講 習 所 試 験 報 告,24(1),16〜18 (1928)
13)殖 田 三 郎 ・三 善 清 旭 あ さ く さ の り真 空 乾 燥 試 験,水 産 講 習 所 試 験 報 告,24(1),18〜21 (1928),