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[特集]
熊本震災と 法 ・ 政策
本企画の趣 旨について
熊本大學教授
岡田行雄
法学 セミナ ー 2017/06/no.749
2016年4月14日 、16日 と立 て 続 け に 震 度7。 そ し て 、 そ の 間 とそ の 後 も断 続 的 に 大 きな 揺 れ に 襲 わ れ た 熊 本 地 方 。 「熊 本 地 震 」 と一 般 に 呼 ば れ る こ と と な っ た が 、 これ ま で に な い 大 きな 揺 れ を体 験 した 者 の 一 人 と して は、 大 地 震 と呼 ば れ るべ き もの と今 で も確 信 して い る。 しか も、 あ れ か ら1年 が 経 過 し て も、 熊 本 地 方 で は 毎 日の よ う に小 さ な 地 震 が 続 い て い る。
熊 本 で 見 聞 す る大 地 震 の 被 害 は 、 阪 神 淡 路 大 震 災 や 東 日本 大 震 災 と は 異 な り、 例 え ば 、 建 物 が どの よ うな も の で あ っ た か 、 あ る い は 、 そ の 建 物 が どの よ うな 地 盤 の 上 に あ っ た か な どで 、 全 く異 な る。 つ ま り、 同 じ地 域 の 中 で も、 大 き な被 害 が 出 た と こ ろ と そ れ ほ どで もな い とこ ろ が 、 あ た か も ま だ ら模 様 の よ う に生 じた の で あ る 。 ま た 、 東 日本 大 震 災 以 降 の 情 報 機 器 の 発 達 に 伴 い 生 じた と考 え ら れ る 、 被 災 者 の 間 で の 自助 の格 差 も痛 感 した 。 ス マ ホ を 用 い て 迅 速 に 正 確 な 情 報 を把 握 し、 適 時 に行 動 で きた 者 と、
既 存 の メ デ ィ ア を通 した 情 報 しか 得 られ ず 、しか も、
適 時 に行 動 す る こ と が で き な か っ た 者 と の 問 で 生 じ た格 差 が そ れ で あ る。
こ う した 被 害 か らの 立 ち 直 りに 向 け た 法 学 ・公 共 政 策 学 の 課 題 につ い て 、 熊 本 大 学 法 学 部 全 体 で 取 り 組 も う と い う こ とか ら企 画 さ れ た の が 、2017年1月 21日 に熊本大 学法学 部 とそ の同窓会組 織で ある武夫ぷ ふ げん
原 会 主催 で 開 催 さ れ た シ ン ポ ジ ウ ム 「熊 本 地 震 が 提 起 す る 法 的 ・政 策 的 課 題 」 で あ る。
本 特 集 は、 この シ ン ポ ジ ウ ム に お け る 基 調 講 演 と そ れ を受 け たパ ネ リス ト及 び フ ロ ア ー か らの 発 言 な
どか ら成 り立 っ て い る。
まず 、 熊 本 県 副 知 事 と して の 任 期 を数 日後 に終 え よ う と して い た 矢 先 に 今 回 の 大 地 震 に遭 遇 し、 行 政 の側 か ら被 災 者 対 応 に 当 た っ た 村 田 信 一 元 熊 本 県 副
知 事(現 熊本 空 港 ビ ルデ ィ ング株 式 会 社 代 表 取 締役) に は 、 行 政 の側 か ら見 た 課 題 を提 起 して い た だ い た (21頁 以下)。
次 に 、 大 地 震 後 、 被 災 者 へ の 的 確 な 法 的 助 言 の 提 供 に 向 け て 動 い た熊 本 県 弁 護 士 会 の 中 で 、 県 内 の 各 地 に 出 向 い て 多 くの被 災 者 か らの 相 談 を受 け た 松 村 尚美 弁 護 士 か ら は、 そ う した 経 験 を通 し て 明 らか と な っ た 課 題 を提 起 して い た だ い た(25頁 以 下)。
そ して 、 熊 本 大 学 法 学 部 で行 政 法 を担 当 して い る 大 脇 成 昭 准 教 授 と、 政 治 学 を担 当 して い る鈴 木 桂 樹 教 授 か らは 、 法 学 と政 治 学 の 研 究 者 と して 、 実 務 か ら提 起 さ れ た 課 題 に対 して 一 定 の 答 え を出 して い た だ い た(30頁 以 下、32頁 以 下)。
また 、シ ンポ ジ ウ ム 当 日 の フ ロ ア ー か らの発 言(35 頁 以下 参照 〉 を 通 して 、地 震 発 生 直 後 か ら、熊 本 大 学 に避 難 して こ ら れ た 方 々へ の 支 援 に、 熊 本 大 学 法 学 部 な どの 学 生 た ち が 率 先 して 当 た り、 そ の 学 生 た ち の支 援 活 動 を 適 切 に指 導 した 熊 本 大 学 の教 員 が い た こ とが 明 らか に な った 。 そ こ で 、 この 特 集 で は、 熊 本 大 学 の 避 難 所 で 様 々 な活 動 に従 事 さ れ た 、 熊 本 大 学 政 策創 造 研 究 教 育 セ ン ター の 安 部 美 和 助 教 に も、
当 時 の 避 難 所 の 状 況 や そ こか ら得 られ た経 験 の 共 有 の 方 法 な ど に つ い て 執 筆 して い た だ い た(40頁 以下)。
実 は 、 地 震 は 日本 の 各 地 で 毎 日の よ う に発 生 して い る。 し たが っ て 、 震 災 は 決 して他 人 事 で は ない 。 この こ と を学 ん だ 熊 本 大 学 法 学 部 の ス タ ッ フ に は、
これ か ら も地 震 が 引 き起 こ す 法 的 課 題 に取 り組 む こ とが 求 め られ て い る と言 え よ う。
本 誌 で 、 本 号 を皮 切 りに 、 熊 本 大 学 法 学 部 の ス タ ッ フ に よ る 、 大 地 震 に よ る被 害 救 済 に 向 け た法 的 課 題 に 関 す る 連 載 も予 定 され て い る 。 そ ち ら も ご 一 読
い た だ け れ ば と思 う。
(お か だ ・ゆ きお)