チェスター・バーナードの見解に基づき、創造的リーダーの実践的思考方法を 検討する
磯村 和人
要旨:
本稿は、チェスター・バーナードの見解に基づき、ビジネスにおいてどのように実践的思 考の方法を開発、活用するかを検討することを目的としている。まず、本稿では、知識管 理と思考方法に関する文献を簡潔にレビューし、3 つの実践的思考の方法を特定する。続 いて、それぞれの思考方法について、その特徴、強み、弱みという観点から吟味する。最 後に、それらの思考方法をどのように開発、活用するかを提示する。結論として、本稿は、
3 つの思考方法は、それぞれ強みと弱みをもっているので、創造的リーダーには、それぞ れの強みを高めるために複数の方法をうまく組み合わせ、弱みの排除が求められることを 示唆する。
キーワード:
知識管理、直観的思考、論理的思考、全体的思考、実践的思考の方法
【論 文】
パッシブ運用のエンゲージメント~論点整理と提案
明田 雅昭 要 旨
:資産運用においてパッシブ運用が拡大している。同時にパッシブ運用といえども企業価 値向上に貢献すべきであるとの論調が強まり、
2017年
5月に公表されたスチュワードシッ プ・コード改訂版では「パッシブ運用は積極的に対話や議決権行使に取り組むべきである」
と明記されることとなった。パッシブ運用は市場の効率性を前提とした超低コスト運用が 本質であり、コストがかかる建設的な対話(エンゲージメント)とは相容れない性格がある。
また、運用会社にとってこのコストをどのように回収するかはビジネス上の難題であり、コ スト回収をあきらめて顧客に請求しない場合は利益相反問題等が懸念される。本論文では パッシブ運用のエンゲージメントに関する論点整理を行い、ビジネスモデルの解決策とし て、パッシブファンドがエンゲージメントファンドへ投資することによりエンゲージメン トをアウトソースする方法を提案する。本論文も材料の一つとしてパッシブ運用のエンゲ ージメントに関するビジネスモデルのあり方について活発な議論が行われることを期待し たい。
キーワード
:スチュワードシップ・コード、パッシブ運用、建設的な対話、ビジネスモデル、エンゲー ジメントファンド
1. はじめに
日本株の水準は
1989年末の最高値をいまだに超えることができずにいる。この間、日本 国の名目
GDPも
500兆円前後で推移し、新興国のみならず他の先進国と比べてもその停滞 振りは群を抜いている。この理由として企業の低収益性が問題視され、企業が欧米企業並み の収益性水準になるべきだという声が高まった。企業の収益性改善は単に株価を高めると いうことではなく日本の国富を増やすために必要だという議論である。
2013
年
6月に閣議決定された日本再興戦略を契機に
2014年から企業統治改革が本格化 し、スチュワードシップ・コードとコーポレートガバナンス・コードという行動規範を両輪 として「会社の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上」を求める動きが顕著になった。
運用会社と企業はそれぞれのコードへの準拠をこぞって宣言し、企業統治改革は全員参加
型で始まったが、その実質的・実効的な準拠という観点からはいまだ十分とは言えない状況
である。当初からの予定通り
3年が過ぎたところでコードの見直しが行われ、
2017年
5月
にスチュワードシップ・コードの改訂版が発表された。この改訂で、いくつかの内容が強化
されたが、その一つにパッシブ運用におけるエンゲージメントの推進があり、以下のような
記述が追加された。
「4-2. パッシブ運用は、投資先企業の株式を売却する選択肢が限られ、中長期的 な企業価値の向上を促す必要性が高いことから、機関投資家は、パッシブ運用を行うに 当たって、より積極的に中長期的視点に立った対話や議決権行使に取り組むべきである」
この改訂版は、事前に
10回の「スチュワードシップ・コード及びコーポレートガバナン ス・コードのフォローアップ会議」および
3回の「スチュワードシップ・コードに関する有 識者検討会」の議論の末、パブリック・コメントの受け入れも経て策定されたものである。
フォローアップ会議と有識者検討会では、パッシブ運用のエンゲージメントに関して、その 意義や手法と共にコスト負担(ビジネスモデル)に関する議論も行われたが、後者について は明確な解決策が提示されないまま改訂版の文言の採用となっている。
日本における最大のパッシブ運用スポンサーは年金積立管理運用独立行政法人(
GPIF) である。
GPIFの日本株式パッシブ運用の残高は
2017年
3月末時点で
31.9兆円に達する。
GPIF
はかねてよりパッシブ運用に対してもエンゲージメントの履行を求めてきており、
2017
年
6月
1日制定のスチュワードシップ活動原則では、
「パッシブ運用を行う運用受託機関は、
GPIFの株式運用におけるパッシブ運用比率が高く、
市場全体の中長期的な成長がリターン向上には欠かせないことを踏まえ、パッシブ運用に ふさわしいエンゲージメントの戦略を立案し、実効性のある取組みを実践すること」
と記述している。
GPIFの運用委員会では、数度にわたり、エンゲージメントを行うパッシ ブ運用のコスト負担(ビジネスモデル)のあり方について議論が行われてきたが、ここでも 明確な解決策は提示されていない。
コード改定のためのフォローアップ会議と有識者検討会、および
GPIF運用委員会は議 事録として委員および事務局の発言を逐語的に詳細に開示している。本論文の目的は、これ らの会議での議論を中心にパッシブ運用におけるエンゲージメントの論点整理を行い、ビ ジネスモデルの解決策を模索することにある。本論文はまず第
2章でパッシブ運用(イン デックス運用)の意味を確認する。次に第
3章で日本の株式市場におけるインデックス運 用の現状認識を行う。そして、第
4章でパッシブ運用のエンゲージメントに関する論点整 理を行い、第
5章で解決策としてエンゲージメントファンドへの投資を提案する。
2. インデックス運用の意味
インデックス運用の理論的根拠は
CAPM(
Capital Asset Pricing Model:資本資産評価 モデル)である。やや非現実的かと思われるものも含めていくつかの前提条件の下で、理論 を展開すると、均衡状態における最適なリスク資産ポートフォリオは市場ポートフォリオ
(個別リスク資産の組み入れ数量が発行数量に比例するポートフォリオ)ということにな る。投資家にとって最適な資産ポートフォリオは、投資家のリスク選好に合うように安全資 産と市場ポートフォリオを組み合わせたものであり、リスク資産部分はどの投資家にとっ ても常に市場ポートフォリオである。市場ポートフォリオはリスク調整後リターン指標で
あるシャープレシオが最大になるポートフォリオでもある。
CAPMを否定するためには、
超過リターン(α)が正でシャープレシオが市場ポートフォリオよりも高い資産運用者が存 在すればよいのだが、様々な実証研究ではこのような運用者はなかなか見つからない。
CAPM
は厳密に正しいとは言えないが、概ね間違いでもないというのが共通の認識ではな いだろうか。現に世界中のどの国でも企業金融の投資意思決定分析で必要になる要求リタ ーンは
CAPMに準拠するのが主流だ。
CAPM
を認めるとアクティブ運用の「立つ瀬」がなくなるように思えるかもしれないが、
それは正しくない。
CAPMの前提を担保する柱の一つが効率的市場仮説であり、投資情報 は瞬時に価格に織り込まれるというものだ。この役割を担っているのがアクティブ運用で あり、アクティブ運用の機能が弱体化すれば
CAPMが成立するための前提条件が失われる ことになる。 「αを追求するのがアクティブ運用」と言われるが、αを追求するのは目標で あって、目的は市場の効率性を高めて
CAPMが成立するような株式市場を作り維持するこ とにあるはずだ。アクティブ運用が効果的に役割を果たせば、運用報酬控除後で自分が負け るような効率性の高い株式市場が実現し、その結果、企業が必要とする外部投資資金の効果 的な企業間配分や企業が内部資金で行う投資の収益性に対して経営者に適切なシグナルを 発することができ、これが国富の向上に直結する効果を生むのである。
図表-1 黄金郷への競争
(出所)明田雅昭
[2004:
p20]より引用
図表
-1はインデックス運用とアクティブ運用の関係を説明するためのイラストである。
株式市場を「黄金郷を目指すボート」になぞらえている。オールを漕いでいるのがアクティ
ブ運用で、汗をかく分だけ食料(運用報酬)が必要である。ボートの先頭で座っているのが
パッシブ運用であり、ただ乗りでほとんど汗をかいていない。その分だけ食料配給はミニマ
ムである。オールの漕ぎ手が正しく機能している川上のボートは着々と黄金郷に向かって
進んでいる。パッシブ運用者は先頭に座っているため漕ぎ手より黄金郷に近い。
記述が追加された。
「4-2. パッシブ運用は、投資先企業の株式を売却する選択肢が限られ、中長期的 な企業価値の向上を促す必要性が高いことから、機関投資家は、パッシブ運用を行うに 当たって、より積極的に中長期的視点に立った対話や議決権行使に取り組むべきである」
この改訂版は、事前に
10回の「スチュワードシップ・コード及びコーポレートガバナン ス・コードのフォローアップ会議」および
3回の「スチュワードシップ・コードに関する有 識者検討会」の議論の末、パブリック・コメントの受け入れも経て策定されたものである。
フォローアップ会議と有識者検討会では、パッシブ運用のエンゲージメントに関して、その 意義や手法と共にコスト負担(ビジネスモデル)に関する議論も行われたが、後者について は明確な解決策が提示されないまま改訂版の文言の採用となっている。
日本における最大のパッシブ運用スポンサーは年金積立管理運用独立行政法人(
GPIF) である。
GPIFの日本株式パッシブ運用の残高は
2017年
3月末時点で
31.9兆円に達する。
GPIF
はかねてよりパッシブ運用に対してもエンゲージメントの履行を求めてきており、
2017
年
6月
1日制定のスチュワードシップ活動原則では、
「パッシブ運用を行う運用受託機関は、
GPIFの株式運用におけるパッシブ運用比率が高く、
市場全体の中長期的な成長がリターン向上には欠かせないことを踏まえ、パッシブ運用に ふさわしいエンゲージメントの戦略を立案し、実効性のある取組みを実践すること」
と記述している。
GPIFの運用委員会では、数度にわたり、エンゲージメントを行うパッシ ブ運用のコスト負担(ビジネスモデル)のあり方について議論が行われてきたが、ここでも 明確な解決策は提示されていない。
コード改定のためのフォローアップ会議と有識者検討会、および
GPIF運用委員会は議 事録として委員および事務局の発言を逐語的に詳細に開示している。本論文の目的は、これ らの会議での議論を中心にパッシブ運用におけるエンゲージメントの論点整理を行い、ビ ジネスモデルの解決策を模索することにある。本論文はまず第
2章でパッシブ運用(イン デックス運用)の意味を確認する。次に第
3章で日本の株式市場におけるインデックス運 用の現状認識を行う。そして、第
4章でパッシブ運用のエンゲージメントに関する論点整 理を行い、第
5章で解決策としてエンゲージメントファンドへの投資を提案する。
2. インデックス運用の意味
インデックス運用の理論的根拠は
CAPM(
Capital Asset Pricing Model:資本資産評価 モデル)である。やや非現実的かと思われるものも含めていくつかの前提条件の下で、理論 を展開すると、均衡状態における最適なリスク資産ポートフォリオは市場ポートフォリオ
(個別リスク資産の組み入れ数量が発行数量に比例するポートフォリオ)ということにな る。投資家にとって最適な資産ポートフォリオは、投資家のリスク選好に合うように安全資 産と市場ポートフォリオを組み合わせたものであり、リスク資産部分はどの投資家にとっ ても常に市場ポートフォリオである。市場ポートフォリオはリスク調整後リターン指標で
あるシャープレシオが最大になるポートフォリオでもある。
CAPMを否定するためには、
超過リターン(α)が正でシャープレシオが市場ポートフォリオよりも高い資産運用者が存 在すればよいのだが、様々な実証研究ではこのような運用者はなかなか見つからない。
CAPM
は厳密に正しいとは言えないが、概ね間違いでもないというのが共通の認識ではな いだろうか。現に世界中のどの国でも企業金融の投資意思決定分析で必要になる要求リタ ーンは
CAPMに準拠するのが主流だ。
CAPM
を認めるとアクティブ運用の「立つ瀬」がなくなるように思えるかもしれないが、
それは正しくない。
CAPMの前提を担保する柱の一つが効率的市場仮説であり、投資情報 は瞬時に価格に織り込まれるというものだ。この役割を担っているのがアクティブ運用で あり、アクティブ運用の機能が弱体化すれば
CAPMが成立するための前提条件が失われる ことになる。 「αを追求するのがアクティブ運用」と言われるが、αを追求するのは目標で あって、目的は市場の効率性を高めて
CAPMが成立するような株式市場を作り維持するこ とにあるはずだ。アクティブ運用が効果的に役割を果たせば、運用報酬控除後で自分が負け るような効率性の高い株式市場が実現し、その結果、企業が必要とする外部投資資金の効果 的な企業間配分や企業が内部資金で行う投資の収益性に対して経営者に適切なシグナルを 発することができ、これが国富の向上に直結する効果を生むのである。
図表-1 黄金郷への競争
(出所)明田雅昭
[2004:
p20]より引用
図表
-1はインデックス運用とアクティブ運用の関係を説明するためのイラストである。
株式市場を「黄金郷を目指すボート」になぞらえている。オールを漕いでいるのがアクティ
ブ運用で、汗をかく分だけ食料(運用報酬)が必要である。ボートの先頭で座っているのが
パッシブ運用であり、ただ乗りでほとんど汗をかいていない。その分だけ食料配給はミニマ
ムである。オールの漕ぎ手が正しく機能している川上のボートは着々と黄金郷に向かって
進んでいる。パッシブ運用者は先頭に座っているため漕ぎ手より黄金郷に近い。
一方、川下のボートはパッシブ運用が肥大化して、その重みに耐えられず、漕ぎ手のオー ルが乱れボートが蛇行している。最近、
GPIFの水野弘道
CIOが
Wall Street Journal紙の インタビュー
1で表明したパッシブ運用拡大に対する懸念は、まさに日本の株式市場が川上 のボートから川下のボートに移るかもしれないということであろう。
スチュワードシップ・コード改訂版でパッシブ運用者にエンゲージメントを求めている のは、河川管理者が「座っていないでお前もオール漕ぎを手伝え」と言っているのに等しい。
オールを漕ぐ以上、食料配分を増やしてもらうのは当然な要求であろう。
3. 日本株式インデックス運用の現状
現下の日本株式市場におけるインデックス運用の状況を確認する。図表
-2にインデック ス運用の規模と本数をまとめた。日本の委託資産運用は投資信託と年金に二分される。
図表-2 日本株式インデックス運用の規模と本数
投資信託は主として個人投資家向けであり、一般向けの無料情報公開が充実している。投 資信託全体でみると、
2017年
8月
29日時点では
257本のインデックスファンドがあり、
純資産額計は
26.2兆円である。インデックスの種類としては
TOPIX型が
12.5兆円、日経 平均型が
12兆円と各々半分弱を占めており、三番手が
JPX日経
400型である。その他の 指数は
87本あるが合計
5,282億円であり、一本当たりの平均純資産額が
60億円程度と小 粒になる。指数の種類としては、超大型株指数、中小型株指数、高配当株指数、最小分散型
1 James Mackintosh, "World’s Biggest Pension Fund Wants to Stop Index Trackers Eating the Economy", Wall Street Journal, August 17,2017
(単位:億円)
投資信託(公募,ETF,DC,SMA) 主要8公的年金 信託銀行
うちETF うちGPIF 年金合同口
TOPIX型
純資産額計(本数) 125,041 (75) 114,715 (6) 300,454 236,587 (4) 21,216 (9)
最大ファンドの純資産額 54,462 54,462 82,268 6,824
日経平均型
純資産額計(本数) 120,015 (68) 108,175 (8) 0 0 (0) 0 (0) 最大ファンドの純資産額 45,968 45,968
JPX日経400型
純資産額計(本数) 12,177 (27) 11,257 (6) 25,273 22,177 (3) 609 (3)
最大ファンドの純資産額 4,768 4,768 7,553 261
その他指数型
純資産額計(本数) 5,282 (87) 4,915 (69) 66,914 59,939 (4) 3,482 (19)
最大ファンドの純資産額 859 859 17,783 655
合計
純資産額計(本数) 262,515 (257) 239,062 (89) 392,641 318,703 (11) 25,307 (31) 注1)8公的年金:GPIF、地方公務員共済組合連合会、全国市町村職員共済組合連合会、公立学校共済組合 警察共済組合、東京都職員共済組合、国家公務員共済組合連合会、日本私立学校振興・共済事業団 注2)投資信託は2017/8/29時点、主要8公的年金と信託銀行年金合同口は2017年3月末時点
(出所)モーニングスター・ホームページ、年金情報誌から筆者が編集して作成
運用、地域企業特化型など多様な品揃えになっている。
投資信託は公募投信、
ETF、確定拠出用投信(
DC)、ラップ用投信(
SMA)に分類され るが、規模では
ETFが圧倒的に大きく
23.9兆円もある。
ETFの
TOPIX型と日経平均型 は各々
6本、
8本と少数であるが、最大ファンドの純資産額が
5.4兆円、
4.6兆円であるこ とから分かるように少数の超大型
ETFが主力である。その他指数型で多いのは業種特化型
ETF
である。
TOPIX型と日経平均型が突出して大きいのは日銀の
ETF買いの影響もあろ
う。
2017年
6月末の日銀保有
ETFは
14.4兆円に達している
2。
年金市場のパッシブ運用は機関投資家向けで、運用者と顧客年金との間では非常に詳細 な情報提供が行われている。しかし、基本的にはプライベートな情報であるため部外者への 情報開示は極めて限定的だ。図表
-2の主要8公的年金と信託銀行年金合同口は業界情報誌 である「年金情報」から取得したデータを加工したものである。主要8公的年金以外の年金 基金から投資顧問会社が受託しているインデックス運用や年金基金自らがインハウス運用 をしているインデックス運用はこの表には含まれていない。
年金市場での第
1の特徴は日経平均型がないことである。これは第
2章で説明した通り、
インデックス運用として理論的に存在意義があるのは市場ポートフォリオという広範な株 式を含む時価総額型指数であり、日経平均指数はこれに該当しないからである。
JPX日経
400は構成銘柄を
400に絞った時価総額型指数である。その他指数の中にはスマートベー タ型といって市場の微妙な非効率性から超過リターンを狙う特殊指数型がある。
主要8公的年金によるインデックス運用の純資産額合計は
39.3兆円に達し、投資信託の
26.2兆円を凌駕している。しかも、
GPIFは一年金でありながら
31.8兆円と投資信託全体 を上回っている。
GPIFの日本株式インデックス運用は
11本で、最小規模で
7,173億円、
最大規模は
8兆
2,268億円であり、
GPIFがいかに巨大な「鯨」であるかが分かろう。
図表-3
TOPIXインデックス投信の規模、パフォーマンスと信託報酬
インデックス運用の精度、つまりベンチマーク指数とのトラッキングエラーは純資産規 模が小さいほど悪くなるはずだが、規模の影響をどの程度受けるだろうか。図表
-3は公開
2 日本銀行営業毎旬報告(平成 29 年 6 月 30 日)
(単位:億円) 投資信託(2017/8/29)
合計 公募 ETF DC SMA
TOPIX
純資産額計(本数) 125,041 (75) 2,578 (33) 114,715 (6) 5,919 (26) 1,828 (10) 内3年以上の実績 123,105 (61) 2,475 (28) 113,038 (4) 5,918 (25) 1,674 (4)
最大ファンドの純資産額 54,462 507 54,462 867 1,130
平均リターン、標準偏差 10.06% 0.08% 10.06% 0.02% 10.07% 0.04% 10.04% 0.06%
平均信託報酬、標準偏差 0.55% 0.17% 0.09% 0.02% 0.33% 0.19% 0.32% 0.07%
注)「平均リターン」は信託報酬控除前。「平均リターン、標準偏差」は過去3年の実績で年率値
(出所)モーニングスターのホームページよりデータを取得して著者が計算 著
一方、川下のボートはパッシブ運用が肥大化して、その重みに耐えられず、漕ぎ手のオー ルが乱れボートが蛇行している。最近、
GPIFの水野弘道
CIOが
Wall Street Journal紙の インタビュー
1で表明したパッシブ運用拡大に対する懸念は、まさに日本の株式市場が川上 のボートから川下のボートに移るかもしれないということであろう。
スチュワードシップ・コード改訂版でパッシブ運用者にエンゲージメントを求めている のは、河川管理者が「座っていないでお前もオール漕ぎを手伝え」と言っているのに等しい。
オールを漕ぐ以上、食料配分を増やしてもらうのは当然な要求であろう。
3. 日本株式インデックス運用の現状
現下の日本株式市場におけるインデックス運用の状況を確認する。図表
-2にインデック ス運用の規模と本数をまとめた。日本の委託資産運用は投資信託と年金に二分される。
図表-2 日本株式インデックス運用の規模と本数
投資信託は主として個人投資家向けであり、一般向けの無料情報公開が充実している。投 資信託全体でみると、
2017年
8月
29日時点では
257本のインデックスファンドがあり、
純資産額計は
26.2兆円である。インデックスの種類としては
TOPIX型が
12.5兆円、日経 平均型が
12兆円と各々半分弱を占めており、三番手が
JPX日経
400型である。その他の 指数は
87本あるが合計
5,282億円であり、一本当たりの平均純資産額が
60億円程度と小 粒になる。指数の種類としては、超大型株指数、中小型株指数、高配当株指数、最小分散型
1 James Mackintosh, "World’s Biggest Pension Fund Wants to Stop Index Trackers Eating the Economy", Wall Street Journal, August 17,2017
(単位:億円)
投資信託(公募,ETF,DC,SMA) 主要8公的年金 信託銀行
うちETF うちGPIF 年金合同口
TOPIX型
純資産額計(本数) 125,041 (75) 114,715 (6) 300,454 236,587 (4) 21,216 (9)
最大ファンドの純資産額 54,462 54,462 82,268 6,824
日経平均型
純資産額計(本数) 120,015 (68) 108,175 (8) 0 0 (0) 0 (0) 最大ファンドの純資産額 45,968 45,968
JPX日経400型
純資産額計(本数) 12,177 (27) 11,257 (6) 25,273 22,177 (3) 609 (3)
最大ファンドの純資産額 4,768 4,768 7,553 261
その他指数型
純資産額計(本数) 5,282 (87) 4,915 (69) 66,914 59,939 (4) 3,482 (19)
最大ファンドの純資産額 859 859 17,783 655
合計
純資産額計(本数) 262,515 (257) 239,062 (89) 392,641 318,703 (11) 25,307 (31) 注1)8公的年金:GPIF、地方公務員共済組合連合会、全国市町村職員共済組合連合会、公立学校共済組合 警察共済組合、東京都職員共済組合、国家公務員共済組合連合会、日本私立学校振興・共済事業団 注2)投資信託は2017/8/29時点、主要8公的年金と信託銀行年金合同口は2017年3月末時点
(出所)モーニングスター・ホームページ、年金情報誌から筆者が編集して作成
運用、地域企業特化型など多様な品揃えになっている。
投資信託は公募投信、
ETF、確定拠出用投信(
DC)、ラップ用投信(
SMA)に分類され るが、規模では
ETFが圧倒的に大きく
23.9兆円もある。
ETFの
TOPIX型と日経平均型 は各々
6本、
8本と少数であるが、最大ファンドの純資産額が
5.4兆円、
4.6兆円であるこ とから分かるように少数の超大型
ETFが主力である。その他指数型で多いのは業種特化型
ETF
である。
TOPIX型と日経平均型が突出して大きいのは日銀の
ETF買いの影響もあろ
う。
2017年
6月末の日銀保有
ETFは
14.4兆円に達している
2。
年金市場のパッシブ運用は機関投資家向けで、運用者と顧客年金との間では非常に詳細 な情報提供が行われている。しかし、基本的にはプライベートな情報であるため部外者への 情報開示は極めて限定的だ。図表
-2の主要8公的年金と信託銀行年金合同口は業界情報誌 である「年金情報」から取得したデータを加工したものである。主要8公的年金以外の年金 基金から投資顧問会社が受託しているインデックス運用や年金基金自らがインハウス運用 をしているインデックス運用はこの表には含まれていない。
年金市場での第
1の特徴は日経平均型がないことである。これは第
2章で説明した通り、
インデックス運用として理論的に存在意義があるのは市場ポートフォリオという広範な株 式を含む時価総額型指数であり、日経平均指数はこれに該当しないからである。
JPX日経
400は構成銘柄を
400に絞った時価総額型指数である。その他指数の中にはスマートベー タ型といって市場の微妙な非効率性から超過リターンを狙う特殊指数型がある。
主要8公的年金によるインデックス運用の純資産額合計は
39.3兆円に達し、投資信託の
26.2兆円を凌駕している。しかも、
GPIFは一年金でありながら
31.8兆円と投資信託全体 を上回っている。
GPIFの日本株式インデックス運用は
11本で、最小規模で
7,173億円、
最大規模は
8兆
2,268億円であり、
GPIFがいかに巨大な「鯨」であるかが分かろう。
図表-3
TOPIXインデックス投信の規模、パフォーマンスと信託報酬
インデックス運用の精度、つまりベンチマーク指数とのトラッキングエラーは純資産規 模が小さいほど悪くなるはずだが、規模の影響をどの程度受けるだろうか。図表
-3は公開
2 日本銀行営業毎旬報告(平成 29 年 6 月 30 日)
(単位:億円)
投資信託(2017/8/29)
合計 公募 ETF DC SMA
TOPIX
純資産額計(本数) 125,041 (75) 2,578 (33) 114,715 (6) 5,919 (26) 1,828 (10) 内3年以上の実績 123,105 (61) 2,475 (28) 113,038 (4) 5,918 (25) 1,674 (4)
最大ファンドの純資産額 54,462 507 54,462 867 1,130
平均リターン、標準偏差 10.06% 0.08% 10.06% 0.02% 10.07% 0.04% 10.04% 0.06%
平均信託報酬、標準偏差 0.55% 0.17% 0.09% 0.02% 0.33% 0.19% 0.32% 0.07%
注)「平均リターン」は信託報酬控除前。「平均リターン、標準偏差」は過去3年の実績で年率値
(出所)モーニングスターのホームページよりデータを取得して著者が計算
情報が豊富な投資信託で確認してみたものである。信託報酬控除前の過去
3年の実績リタ ーンをみると、
TOPIX型では、公募
28本のリターンは
10.06±
0.08%、
ETF4本は
10.06±
0.02%、
DC25本は
10.07±
0.04%、
SMA4本は
10.04±
0.06%である。
ETFの
4本は最
小でも
7,453億円で、他の
3本は
2兆円を超える巨大ファンドであるが、他の
3分類では
平均純資産額は公募が
88億円、
DCが
237億円、
SMAが
419億円に過ぎない。このデー タは、十分に精度の高いインデックス運用を行うためには数百億円程度の純資産があれば よいことを示唆しているように思える。
4. パッシブ運用エンゲージメントに関する論点
本章ではフォローアップ会議と
GPIF運用委員会の議事録を主たる材料としてパッシブ 運用のエンゲージメントについてどのような議論が行われてきたかの論点整理を行う。
1)原則論の違い
最初の論点は、そもそもパッシブ運用にエンゲージメントは必要かということである。市 場ポートフォリオは前述の通り、
CAPM理論に立脚すれば最も効率的なポートフォリオで あり、インデックス運用は、効率的な価格形成を信じてコストもかけず何もしない運用であ る。そして、膨大な運用実績分析によれば、通常のアクティブ運用やエンゲージメントの極 地であるアクティビズム・ポートフォリオが総体として長期的にインデックス運用を安定 的に超えるパフォーマンスを投資家に提供できているとは言いがたい。そうならば、極限的 な分散投資と低運用報酬の下で何もしないことが正当化されるのではないか。個別企業を 見ない(分析しない)のがパッシブ運用の特徴であるため、今まで個別企業分析を行うスタ ッフを擁していなかった。ここでコストをかけてエンゲージメントに加わるのではアクテ ィブ運用への変貌であり、コスト分だけ投資家の手取りリターンが減少することになる。こ れはパッシブ運用の否定ではないかという議論である。
一方、アクティブであるかパッシブであるかを問わず、すべての投資家は所有者として投 資先企業に対して責任があり、忠実義務として経営に対して可能な限りエンゲージメント を行うべきだという主張がある。運用の哲学や手法、受益者特性等の違いという多様性を認 め、各々に相応しいエンゲージメントを実施すべきであると主張する。つまり、アクティブ かパッシブか、あるいは年金運用か投信運用かヘッジファンドか、あるいは伝統的な運用か クオンツ運用かなどによってエンゲージメントの中身が異なってもよいが、いずれの運用 でも受益者と投資先企業に対する責任としてエンゲージメントすべきであるという考え方 だ。そして、パッシブ運用の場合には、問題がある企業であっても売却する選択肢がない以 上、アクティブ運用以上にエンゲージメントが重要になるという認識である。
この論点の違いは論争というレベルまでに行かず、明らかにエンゲージメント不要論が 劣勢で、すぐに一掃された感があった。
2)パッシブ運用エンゲージメントは世界的潮流
新聞や業界専門誌などによると、欧米を中心に古くから議決権行使の方針をもつ投資家 や運用マネジャーがエンゲージメントの度合いを増してきている。そして、パッシブ運用 を行っていたサイレント投資家も新たに予算を確保するなどしてエンゲージメントに積 極的に関与する姿勢を示しているという。欧米の大手年金や大手生保、国富ファンドでも その傾向が顕著に現れているそうだ。フォローアップ会議や有識者検討会の議論では
CALSTRS
(カリフォルニア州教職員退職基金)やノルジェスバンク、
AP4(スエーデンの
年金)などのアセットオーナーに加えて、
BlackRock、
Vanguard、
Legal & General(LGIM)、
State Street、
Standard Life(Aberdeen)などインデックス運用を行うマネジャーも最も活 発な推進者であると紹介されている。
CALSTRSは第
9回フォローアップ会議に出席し、
自らのエンゲージメント活動のプロセスや方法を説明し、エンゲージメントの重要性を説 いた。
世界の主要な投資家、企業・アドバイザーで構成される
ICGN(
International Corporate Governance Network)という団体が
2016年
6月の年次総会で「
ICGNグローバル・スチ ュワードシップ原則」を採用した。この中の指針
2.5(スチュワードシップの監督)では「特 に機関投資家のインデックス連動型のポートフォリオには、しばしば多くの銘柄が含まれ ていることから、パッシブ又はインデックス連動型の戦略をとるアセットオーナーは、運用 機関のスチュワードシップ能力を考慮に入れるべき」としている。このように世界の主要な 投資家の間ではパッシブ運用のエンゲージメントはもはや行って当然というのが共通認識 なのである。
日本ではインデックス運用はトラッキングエラーを小さくして、インデックスに効率的 に連動していれば運用会社の責任は果たしたと考えて、対話に全く関与しないのが主流で あっただろう。しかし、世界的にみれば、これはスチュワードシップが導入される前の状態 にあると解釈される。つまり、日本のパッシブ運用業界は周回遅れだという指摘である。
3)アクティブとパッシブでのエンゲージメントの違い
アクティブ運用とパッシブ運用ではエンゲージメントの質と量が違うという議論も多々 行われた。どういうエンゲージメントが適切であるかは、投資マンデートとタイムホライズ ンによるのだが、これらについてアクティブ運用とパッシブ運用は非常に異なる。
アクティブ運用では投資先企業に不満があれば株を売却すればよいが、パッシブ運用は 定義上保有し続けなければならない。このため企業の長期的な価値向上に対してはアクテ ィブ運用よりも強い関心があるべきだと考える。一方、企業は長期投資家を求めているはず だから協力して自らの価値向上を目指す相手としてパッシブ運用の方が親和性が高いと考 えられる。また、市場全体の価値を上げることについても、アクティブ運用よりもパッシブ 運用の方が直接的で切実なニーズがある。
アクティブ運用ではエンゲージメントして半年あるいは一年経過しても改善が見られな
情報が豊富な投資信託で確認してみたものである。信託報酬控除前の過去
3年の実績リタ ーンをみると、
TOPIX型では、公募
28本のリターンは
10.06±
0.08%、
ETF4本は
10.06±
0.02%、
DC25本は
10.07±
0.04%、
SMA4本は
10.04±
0.06%である。
ETFの
4本は最
小でも
7,453億円で、他の
3本は
2兆円を超える巨大ファンドであるが、他の
3分類では
平均純資産額は公募が
88億円、
DCが
237億円、
SMAが
419億円に過ぎない。このデー タは、十分に精度の高いインデックス運用を行うためには数百億円程度の純資産があれば よいことを示唆しているように思える。
4. パッシブ運用エンゲージメントに関する論点
本章ではフォローアップ会議と
GPIF運用委員会の議事録を主たる材料としてパッシブ 運用のエンゲージメントについてどのような議論が行われてきたかの論点整理を行う。
1)原則論の違い
最初の論点は、そもそもパッシブ運用にエンゲージメントは必要かということである。市 場ポートフォリオは前述の通り、
CAPM理論に立脚すれば最も効率的なポートフォリオで あり、インデックス運用は、効率的な価格形成を信じてコストもかけず何もしない運用であ る。そして、膨大な運用実績分析によれば、通常のアクティブ運用やエンゲージメントの極 地であるアクティビズム・ポートフォリオが総体として長期的にインデックス運用を安定 的に超えるパフォーマンスを投資家に提供できているとは言いがたい。そうならば、極限的 な分散投資と低運用報酬の下で何もしないことが正当化されるのではないか。個別企業を 見ない(分析しない)のがパッシブ運用の特徴であるため、今まで個別企業分析を行うスタ ッフを擁していなかった。ここでコストをかけてエンゲージメントに加わるのではアクテ ィブ運用への変貌であり、コスト分だけ投資家の手取りリターンが減少することになる。こ れはパッシブ運用の否定ではないかという議論である。
一方、アクティブであるかパッシブであるかを問わず、すべての投資家は所有者として投 資先企業に対して責任があり、忠実義務として経営に対して可能な限りエンゲージメント を行うべきだという主張がある。運用の哲学や手法、受益者特性等の違いという多様性を認 め、各々に相応しいエンゲージメントを実施すべきであると主張する。つまり、アクティブ かパッシブか、あるいは年金運用か投信運用かヘッジファンドか、あるいは伝統的な運用か クオンツ運用かなどによってエンゲージメントの中身が異なってもよいが、いずれの運用 でも受益者と投資先企業に対する責任としてエンゲージメントすべきであるという考え方 だ。そして、パッシブ運用の場合には、問題がある企業であっても売却する選択肢がない以 上、アクティブ運用以上にエンゲージメントが重要になるという認識である。
この論点の違いは論争というレベルまでに行かず、明らかにエンゲージメント不要論が 劣勢で、すぐに一掃された感があった。
2)パッシブ運用エンゲージメントは世界的潮流
新聞や業界専門誌などによると、欧米を中心に古くから議決権行使の方針をもつ投資家 や運用マネジャーがエンゲージメントの度合いを増してきている。そして、パッシブ運用 を行っていたサイレント投資家も新たに予算を確保するなどしてエンゲージメントに積 極的に関与する姿勢を示しているという。欧米の大手年金や大手生保、国富ファンドでも その傾向が顕著に現れているそうだ。フォローアップ会議や有識者検討会の議論では
CALSTRS
(カリフォルニア州教職員退職基金)やノルジェスバンク、
AP4(スエーデンの
年金)などのアセットオーナーに加えて、
BlackRock、
Vanguard、
Legal & General(LGIM)、
State Street、
Standard Life(Aberdeen)などインデックス運用を行うマネジャーも最も活 発な推進者であると紹介されている。
CALSTRSは第
9回フォローアップ会議に出席し、
自らのエンゲージメント活動のプロセスや方法を説明し、エンゲージメントの重要性を説 いた。
世界の主要な投資家、企業・アドバイザーで構成される
ICGN(
International Corporate Governance Network)という団体が
2016年
6月の年次総会で「
ICGNグローバル・スチ ュワードシップ原則」を採用した。この中の指針
2.5(スチュワードシップの監督)では「特 に機関投資家のインデックス連動型のポートフォリオには、しばしば多くの銘柄が含まれ ていることから、パッシブ又はインデックス連動型の戦略をとるアセットオーナーは、運用 機関のスチュワードシップ能力を考慮に入れるべき」としている。このように世界の主要な 投資家の間ではパッシブ運用のエンゲージメントはもはや行って当然というのが共通認識 なのである。
日本ではインデックス運用はトラッキングエラーを小さくして、インデックスに効率的 に連動していれば運用会社の責任は果たしたと考えて、対話に全く関与しないのが主流で あっただろう。しかし、世界的にみれば、これはスチュワードシップが導入される前の状態 にあると解釈される。つまり、日本のパッシブ運用業界は周回遅れだという指摘である。
3)アクティブとパッシブでのエンゲージメントの違い
アクティブ運用とパッシブ運用ではエンゲージメントの質と量が違うという議論も多々 行われた。どういうエンゲージメントが適切であるかは、投資マンデートとタイムホライズ ンによるのだが、これらについてアクティブ運用とパッシブ運用は非常に異なる。
アクティブ運用では投資先企業に不満があれば株を売却すればよいが、パッシブ運用は 定義上保有し続けなければならない。このため企業の長期的な価値向上に対してはアクテ ィブ運用よりも強い関心があるべきだと考える。一方、企業は長期投資家を求めているはず だから協力して自らの価値向上を目指す相手としてパッシブ運用の方が親和性が高いと考 えられる。また、市場全体の価値を上げることについても、アクティブ運用よりもパッシブ 運用の方が直接的で切実なニーズがある。
アクティブ運用ではエンゲージメントして半年あるいは一年経過しても改善が見られな
い場合は(あるいは目的が達成された場合も)株を売却すればよいが、パッシブ運用は株の 途中売却が出来ないので粘り強く長期的な価値向上を目指すエンゲージメントになる。例 えば、内部留保資金の扱いについてアクティブ運用では増配や自社株買いなどの投資家還 元に重きをおいたエンゲージメントになるかもしれないが、パッシブ運用では研究開発や 投資に重点を置いたものになるだろう。このため、同じ運用会社でもアクティブ運用とパッ シブ運用で、同一企業の同一議案に対する議決権行使の判断が反対になることも、理論上は ありえる。
アクティブ運用のエンゲージメントは企業固有の問題に重きが置かれるだろうが、パッ シブの方は市場全体に共通的な課題に重きを置くことになるだろう。このため、企業統治上 の問題や社会や環境といった世界の持続性に関わる
ESG/
SDGs課題、他の企業への波及 効果が高いものが重視される。また、株式の売買を伴わないためエンゲージメント内容を必 ずしも未公開にする必要がなく、ある程度公開することで市場全体への波及効果を狙うこ とも可能である。こういうアプローチはアクティブ運用では取りにくいものであろう。
4)パッシブ運用エンゲージメントの実施上の課題
パッシブ運用のエンゲージメントで最も戸惑いが大きかったのは対象企業の多さについ てである。日本の年金が採用している日本株インデックス運用の主たる対象指数は東証株 価指数(
TOPIX)であるが、
2017年
8月末現在
2,020銘柄で構成されている。アクティブ 運用よりも企業分析要員が少ないパッシブ運用ではおそらく十倍以上になる対象企業のエ ンゲージメントはとてもできないという反応であった。しかし、これは誤解である。実際、
欧米のパッシブ運用では、比較的少数の企業に絞ってエンゲージメントが行われている。市 場全体の価値の底上げを目指すという観点から時価総額が大きな企業(指数構成ウエイト が大きく指数へのインパクトが大きい企業)を中心に、不祥事案件があったり、象徴的な問 題を抱えていて企業価値向上の度合いが大きそうな企業にフォーカスしているようだ。
ICGN
原則の指針
3.2(リスク分析)は、
「投資家は、より深度ある分析や対話を行う投資先企業の特定・優先付けのための手法や リスク・ベース・ツールを開発すべき。分析や対話には、環境・社会・ガバナンスの問題が 含まれうる。これは、特にポートフォリオに含まれる企業数が多いパッシブ運用を行ってい るアセットオーナー・運用機関にとって重要である」
としている。低報酬であるからこそ、ターゲット企業の絞り込みは効率的かつ効果的に行い、
活動水準はリソース(予算)に応じて決まるのでよいと思われる。有名な
CalPERSの
Focus Listは毎年
10社程度であることが参考になるだろうとの指摘もあった。
上記のような議論があっても、やはり
TOPIXの
2,000銘柄超は多すぎるという声は消え なかった。対話については対象企業を絞り込むとしても議決権行使については全構成企業 に対して行わなければならない。これは議決権行使を形式的なものにしかねない。欧米のイ ンデックス運用は
S&P500や
FTSE100など構成銘柄は数百程度のものが多い。構成銘柄
を絞った指数にした方が、投資家にとっても企業にとっても対話が高度化する上で重要だ という声が根強く、マネジャーからアセットオーナーに対してベンチマークを構成銘柄が 少ない指数に変更してほしいという発言もあった。具体的な銘柄数としては
200から
500程度、例えば
JPX400の
400や
MSCI World Index Japanの
300などを目処にすればよい のではないかとの意見が出ていた。銘柄数の議論に関連して、
TOPIXの中には投資対象と して、あるいはエンゲージメント対象として価値があるとはとても思えない企業や、対話意 思が全くなく協力して企業価値向上を目指す考えがみられない企業は、構成銘柄から外す 仕組みが必要だという主張が複数の委員からでるほどであった。
エンゲージメントの形骸化への警鐘も少なからず指摘されている。まず、議決権行使にお ける議決権行使助言会社の利用である。米国で投資家責任を求める規制が強化された結果、
パッシブ投資家を中心に助言会社に頼る流れが加速した経緯をみるにつけ、日本でも運用 会社が自ら行うことが予算的に困難なら助言会社の役割は重要ではないかとの指摘があっ た。しかし、助言会社の助言のままに議決権行使をするだけでは投資家として責任を果たし たことにならないと反論されている。また、マネジャーが十分な体制を作れない状態でアセ ットオーナーから強いプレッシャーをかけられると、経営者に何回面談したとかの回数に こだわる形式的で表面的なエンゲージメント活動が増える危険性がある。パッシブ運用者 が深く十分な検討がないまま見当外れの「物言う株主(アクティビスト)」になるようなこ とがあれば、企業にとっては迷惑この上もないとの指摘もあった。
5)日本におけるパッシブ運用エンゲージメントの現状
投資顧問業協会のアンケート
3によれば、インデックス運用商品を含む全商品でエンゲー ジメント活動を行っていると答えた日本株投資マネジャーは
2015年
10月で
16社、
2016年
10月で
22社であった。
GPIFは企業向けに機関投資家のスチュワードシップ・コード 導入後の活動に関する評価を問うアンケート
4を行っている。第
1回調査(
2016年
1月実 施)では、パッシブ運用におけるエンゲージメントには改善余地が大きいという結果であっ たが、第
2回調査(
2017年
2、
3月実施)では、前回と比べて全体的に5割弱の機関投資 家に好ましい変化があったと評価していた。その中でも特に日系パッシブ運用会社の改善 を挙げた企業が多かったという。
GPIFのパッシブ運用受託機関の中にはエンゲージメント の対象を
900社程度まで広げることを表明した機関もあるという
5。
このように日本においてもパッシブ運用でのエンゲージメント活動は着実に進み始めて いる。しかしながら、
GPIFの第
2回調査ではミーティング内容はアクティブ運用会社の方 がパッシブ運用会社よりも参考になったという回答が目立ったという。パッシブ運用にお いてはエンゲージメントを行う専任者を配置するなどの体制整備が不十分であると様々な 機会に指摘されている。運用業界の中では「総合型運用機関ではアクティブ運用でカバーし
3 「日本版スチュワードシップ・コードへの対応等に関するアンケートの結果について」の第 2 回と第 3 回
4 「機関投資家のスチュワードシップ活動に関する上場企業向けアンケート集計結果」の第 1 回と第 2 回
5 GPIF、第 113 回運用委員会資料「平成 28 年度スチュワードシップ活動報告」、平成 29 年 1 月
い場合は(あるいは目的が達成された場合も)株を売却すればよいが、パッシブ運用は株の 途中売却が出来ないので粘り強く長期的な価値向上を目指すエンゲージメントになる。例 えば、内部留保資金の扱いについてアクティブ運用では増配や自社株買いなどの投資家還 元に重きをおいたエンゲージメントになるかもしれないが、パッシブ運用では研究開発や 投資に重点を置いたものになるだろう。このため、同じ運用会社でもアクティブ運用とパッ シブ運用で、同一企業の同一議案に対する議決権行使の判断が反対になることも、理論上は ありえる。
アクティブ運用のエンゲージメントは企業固有の問題に重きが置かれるだろうが、パッ シブの方は市場全体に共通的な課題に重きを置くことになるだろう。このため、企業統治上 の問題や社会や環境といった世界の持続性に関わる
ESG/
SDGs課題、他の企業への波及 効果が高いものが重視される。また、株式の売買を伴わないためエンゲージメント内容を必 ずしも未公開にする必要がなく、ある程度公開することで市場全体への波及効果を狙うこ とも可能である。こういうアプローチはアクティブ運用では取りにくいものであろう。
4)パッシブ運用エンゲージメントの実施上の課題
パッシブ運用のエンゲージメントで最も戸惑いが大きかったのは対象企業の多さについ てである。日本の年金が採用している日本株インデックス運用の主たる対象指数は東証株 価指数(
TOPIX)であるが、
2017年
8月末現在
2,020銘柄で構成されている。アクティブ 運用よりも企業分析要員が少ないパッシブ運用ではおそらく十倍以上になる対象企業のエ ンゲージメントはとてもできないという反応であった。しかし、これは誤解である。実際、
欧米のパッシブ運用では、比較的少数の企業に絞ってエンゲージメントが行われている。市 場全体の価値の底上げを目指すという観点から時価総額が大きな企業(指数構成ウエイト が大きく指数へのインパクトが大きい企業)を中心に、不祥事案件があったり、象徴的な問 題を抱えていて企業価値向上の度合いが大きそうな企業にフォーカスしているようだ。
ICGN
原則の指針
3.2(リスク分析)は、
「投資家は、より深度ある分析や対話を行う投資先企業の特定・優先付けのための手法や リスク・ベース・ツールを開発すべき。分析や対話には、環境・社会・ガバナンスの問題が 含まれうる。これは、特にポートフォリオに含まれる企業数が多いパッシブ運用を行ってい るアセットオーナー・運用機関にとって重要である」
としている。低報酬であるからこそ、ターゲット企業の絞り込みは効率的かつ効果的に行い、
活動水準はリソース(予算)に応じて決まるのでよいと思われる。有名な
CalPERSの
Focus Listは毎年
10社程度であることが参考になるだろうとの指摘もあった。
上記のような議論があっても、やはり
TOPIXの
2,000銘柄超は多すぎるという声は消え なかった。対話については対象企業を絞り込むとしても議決権行使については全構成企業 に対して行わなければならない。これは議決権行使を形式的なものにしかねない。欧米のイ ンデックス運用は
S&P500や
FTSE100など構成銘柄は数百程度のものが多い。構成銘柄
を絞った指数にした方が、投資家にとっても企業にとっても対話が高度化する上で重要だ という声が根強く、マネジャーからアセットオーナーに対してベンチマークを構成銘柄が 少ない指数に変更してほしいという発言もあった。具体的な銘柄数としては
200から
500程度、例えば
JPX400の
400や
MSCI World Index Japanの
300などを目処にすればよい のではないかとの意見が出ていた。銘柄数の議論に関連して、
TOPIXの中には投資対象と して、あるいはエンゲージメント対象として価値があるとはとても思えない企業や、対話意 思が全くなく協力して企業価値向上を目指す考えがみられない企業は、構成銘柄から外す 仕組みが必要だという主張が複数の委員からでるほどであった。
エンゲージメントの形骸化への警鐘も少なからず指摘されている。まず、議決権行使にお ける議決権行使助言会社の利用である。米国で投資家責任を求める規制が強化された結果、
パッシブ投資家を中心に助言会社に頼る流れが加速した経緯をみるにつけ、日本でも運用 会社が自ら行うことが予算的に困難なら助言会社の役割は重要ではないかとの指摘があっ た。しかし、助言会社の助言のままに議決権行使をするだけでは投資家として責任を果たし たことにならないと反論されている。また、マネジャーが十分な体制を作れない状態でアセ ットオーナーから強いプレッシャーをかけられると、経営者に何回面談したとかの回数に こだわる形式的で表面的なエンゲージメント活動が増える危険性がある。パッシブ運用者 が深く十分な検討がないまま見当外れの「物言う株主(アクティビスト)」になるようなこ とがあれば、企業にとっては迷惑この上もないとの指摘もあった。
5)日本におけるパッシブ運用エンゲージメントの現状
投資顧問業協会のアンケート
3によれば、インデックス運用商品を含む全商品でエンゲー ジメント活動を行っていると答えた日本株投資マネジャーは
2015年
10月で
16社、
2016年
10月で
22社であった。
GPIFは企業向けに機関投資家のスチュワードシップ・コード 導入後の活動に関する評価を問うアンケート
4を行っている。第
1回調査(
2016年
1月実 施)では、パッシブ運用におけるエンゲージメントには改善余地が大きいという結果であっ たが、第
2回調査(
2017年
2、
3月実施)では、前回と比べて全体的に5割弱の機関投資 家に好ましい変化があったと評価していた。その中でも特に日系パッシブ運用会社の改善 を挙げた企業が多かったという。
GPIFのパッシブ運用受託機関の中にはエンゲージメント の対象を
900社程度まで広げることを表明した機関もあるという
5。
このように日本においてもパッシブ運用でのエンゲージメント活動は着実に進み始めて いる。しかしながら、
GPIFの第
2回調査ではミーティング内容はアクティブ運用会社の方 がパッシブ運用会社よりも参考になったという回答が目立ったという。パッシブ運用にお いてはエンゲージメントを行う専任者を配置するなどの体制整備が不十分であると様々な 機会に指摘されている。運用業界の中では「総合型運用機関ではアクティブ運用でカバーし
3 「日本版スチュワードシップ・コードへの対応等に関するアンケートの結果について」の第 2 回と第 3 回
4 「機関投資家のスチュワードシップ活動に関する上場企業向けアンケート集計結果」の第 1 回と第 2 回
5 GPIF、第 113 回運用委員会資料「平成 28 年度スチュワードシップ活動報告」、平成 29 年 1 月
ている投資先企業については協力してエンゲージメント、カバーしていない企業について は、パッシブ運用にとって重要な企業を絞り込んでエンゲージメントするのがよい」という のが一般的な考え方であろう
6。現実に、多くのパッシブ運用ではアクティブ運用の一環と してエンゲージメントが行われているが、パッシブ運用がアクティブ運用と異なる視点で 対話や議決権行使を行っているというよりも、単に「貸株」しているだけだと批判する者も いる。
一方、機関投資家の中にはパッシブ運用のエンゲージメント活動の一部をアウトソース する動きも出てきている。企業年金連合会
7は
2016年
10月に、アセットマネジメント
One8は
2017年
5月に、海外のエンゲージメント最大手会社と提携して集団的エンゲージメント のかたちで対話力の強化・ノウハウの取得を行っていく旨を公表している。
6)暗中模索のコスト負担とビジネスモデル
パッシブ運用でエンゲージメント活動を行うことは従来なかったコストの発生を意味し、
このコストを誰がどのように負担すべきかが問題になる。単純に運用報酬を値上げすれば よいのか、アセットオーナーはそれを認めるのか、値上げ幅はどの程度にすべきかが論点に なると思うかもしれない。しかし、実はそれほど単純な問題ではない。
コスト負担のあり方の検討の必要性はフォローアップ会議や
GPIF運用委員会でも繰り 返し声が上がっていた。フォローアップ会議の検討結果としてまとめられた有識者検討会 向け意見書
9の中では「パッシブ運用におけるエンゲージメントの具体的な手法やコスト負 担のあり方などについては、関係者において検討が進められるべきであるとの指摘があっ た」と記されていた。有識者検討会の中でも議論されたが、フォローアップ会議での議論を 上回る進展はないまま、スチュワードシップ・コード改訂版が発表された。
GPIFでも「ス チュワードシップ時代の新しいパッシブ運用のビジネスモデルに対応した評価方法や手数 料体系の検討」が平成
27年、
28年と連続して「残された課題」になっている
10。
GPIFの 運用委員会
11では、委員からのパッシブ運用エンゲージメントに関するいくつかの課題の指 摘と「パッシブ運用機関にスチュワードシップ活動を強要しないほうがいいのではないか」
との発言を受けて、事務局は「エンゲージメントをするリソースを持っていないが、どこよ りもコストを低くするというビジネスモデルがあってもいい」と答えている。しかし、エン ゲージメントしないパッシブ運用が本当に許容されるのかについて運用会社は懐疑的であ ると思われる。このようにコストの負担のあり方(ビジネスモデル)が定まらないため、パ ッシブ運用会社の戸惑いが解消されないままとなっている。
6 スチュワードシップ研究会「スチュワードシップ・コードの改訂に向けて投資家の意見」、2017 年 3 月 21 日
7 企業年金連合会、濱口大輔「実効性重視で先陣、対話は投資家目線で」、年金情報誌、2017 年 5 月 15 日号
8 アセットマネジメント One「パッシブ運用におけるエンゲージメント強化」、2017 年 5 月 25 日
9 金融庁「スチュワードシップ・コード及びコーポレートガバナンス・コードのフォローアップ会議」意見書(3)、平成 28 年 11 月 30 日
10 GPIF、第 113 回運用委員会資料「平成 28 年度スチュワードシップ活動報告」、平成 29 年 1 月
11 GPIF の第 113 回運用委員会(2017 年 1 月 20 日開催)の議事録
この問題は何が難しいのか。今まで指摘されてきた問題点を著者の考察も加えて体系的 に整理してみると以下の通りである。
① パッシブ運用エンゲージメントを(事実上)必須にする場合
(a)
エンゲージメント・コストを報酬に反映する場合、巨大ファンドは報酬率が極めて 低くて済むが、ファンドの規模が小さくなるにつれ報酬率は高くならざるを得ない。
報酬控除後リターンは小規模ファンドになるほど低くなって競争力を失う。結果、
小規模ファンドは淘汰されてしまうだろう。巨大ファンドしか生き残れなくて本当 によいのだろうか。
(b)
エンゲージメント・コストを報酬に反映しない場合、アクティブ運用顧客からの収 入の一部でパッシブ運用のエンゲージメントを賄っていることになる。これはアク ティブ運用顧客とパッシブ運用顧客の間の利益相反ではないのか。コスト未反映が パッシブ運用顧客からの要求なら優越的地位の乱用ではないのか。
② 一部のパッシブファンドにエンゲージメントしないことを許容する場合
(a)
エンゲージメント実施ファンドの報酬にエンゲージメント・コストを反映する場 合、エンゲージメント実施ファンドの報酬控除後リターンは必ずエンゲージメン ト未実施ファンドの報酬控除後リターンに劣後する。この場合、アセットオーナ ーはどちらのファンドを採用するべきかという受託者責任上の問題に突き当たる。
報酬控除後リターンが高い方を選択するとしたら、実施ファンドは生き残れず、
パッシブ運用のエンゲージメントは存在できないことになる。
(b)
エンゲージメント実施ファンドの報酬にエンゲージメント・コストを反映しない 場合は、①
(b)と同じく利益相反と優越的地位乱用が懸念される問題になる。
このようにどの類型においても難しい問題に突き当たってしまう。
・①(a)
と②
(a)の問題は、インデックス運用が報酬控除前リターンでは差別化ができないコ モディティであり、報酬控除後リターンでの差別化は運用報酬の水準だけという特徴に起 因する。このような状況は、報酬控除前リターンがどれも必ず異なるアクティブファンドで は起こりえない。
・