ワルラス慣格決定理論の幾何學的説明(註)
手.塚壽郎課
第一章多歎の商口器間に行はるる交換に就いて
‑私の﹁純粋経濟學要論﹂に於ては︑二つの商品の間の交換の理論から︑多激の商品の聞に行はるる交換
の理論に進み︑また此場合には各交換者によつてなさるる各商品の需要及び供給は管に此商品の儂格の函敷で
あるのみならす︑他の総ての商品の債格の函敏であることを認識したので︑私は代数的表現方法のみを採らね
ばならないと信じ︑そして圖の援けを借りる必要がないと考へてゐた︒然しその後に至つて︑此理論を幾何學
的読明方法を以て打樹つる手段を獲見した︒今其概要を示さうと思ふ︒
今︑︑交換者であると同時に︑一定の期間中商品(︾)℃(切)}(O)︑(U)‑⁝・の夫々の量§込﹃嶋︒込﹃:⁝を所有
する人ありとし︑此らの量は夫々長さO費.O喝90鴫︒陶○含⁝:・(ノ・圖)を以て表はされてゐるとし︑且つ
ワルラス儂格決定理論の幾何學的設明(手塚)一
㌦二
此入は同じ期聞中此ら商品に樹し︑曲線魯袋ご勲酔計噛ご勲黛・⁝:によつて表はさゐる欲望を有してゐると
假定する︒私は︑杜會的富の激學的理論の総ての本質的にして根本的基礎たる此ら曲線の性質を読明し︑此ら
曲線の法則を示さなければなちない︒
圖イ
普通の言葉を用ゐれば︑吾々は次のやうに云ふことが許される︒﹁吾々が物に就いてもつ欲望,即ち物が吾
吾に封してもつ利肘は消費の増加するに從つて遽減する︒ヨリ多く食らへば︑ヨリ少く餓を感することとな
る︒ヨリ多く飲めば︑ヨリ少く渇を感ずる︒ヨリ多くの帽子なり靴なりを所有すれば︑新しい帽子なり靴なり
﹁
をもちたい欲望は減少する︒厩舎に歎頭の馬を所有してゐれば︑更に一頭を求める程度は躬い︒云ふまでもな
くこれは︑一定の場合を除けば︑種々なる誘惑が捨象されてのことであつて︑理論は此捨象をなす椹利を有す
る︒﹂数學者としてならば吾々は﹁充たされた最後の欲望の強度は︑商品の消費量の遽減函数である﹂と言ひ
得よう︒而して吾々は此函激をば︑縦軸たは浩費量を︑横軸には充された最終欲望の強度をとれる曲線によつ
て表はさう︒例へば商品Aに關しては︑我消費者の欲望の張度は消費の當初O皐であb・︑量O黛ρの浩⁝費の(
後にはゼロとなるわけで泌る︒此ゼロとなつた場合には︑此消費者は鞄瀟⁝の⁝状態に蓮する︒簡明を期せんがた
めに,充されたる欲望の最絡の強度を︑私は稀少性(菊碧⑦幕)と名附ける︒英吉利の學者はそれを国写鑑U超H8
6{口巳ξと名附け︑猫逸の學者はΩ器自昌旨N8と名附ける︒それは秤量し得る大いさではない︒純粋経濟學
の大法則の誰明を此遮波の事實の上に樹立するためには︑此稀少性を理念し(∩O旨O⑦<O一円)得れば足るのである︒
(註)此幾何學的観明を溝成してゐる三つの節のうち︑第一は︑一八九〇年十月†七日に巴里のOQo9σ審(5ωζσqσ三︒ロ議9ぐ濠
自・団碧齢でなした報告であり︑若干の修正を加へられて一八九一年此會のbご巳巨ぎに再録されたものである︒但し此修正申に.,
は︑最大満足の定理の基本的謹明を簡明にする目的を以てなされた可成リ重要なものである︒他の二つはローザンヌ大學の開
學記念論集のために作成した論丈に︑前と同様の目的からなされた若干の修正を加へたものから成つてゐる︒樹庇附録第一に
・示されたものと殆んど同じ形で︑‑償絡決定の幾何學的理論は︑﹀暮巴切o{二5>5︒膏導﹀$山⑦白団︒h℃︒影団︒孚︒一彗らo︒︒︒一巴G︒︒一︒二︒3
ワルラス一償絡決定理甑醐の⁝幾何學臨的観明(手塚),三
■ 四
甘首HQ︒Ob9・に英語にて掲載せられてゐるo
ラ2今︑︾も9書⁝⁝は夫々Aを以て表はされた(切)スO)堕,(O)⁝⁝の債格で︑且つ市場に於て偶然に叫ば(
れたものであるとする︒吾々が解決すべき最初の問題は︑(︾)噛(じd)矯(O)スU)⁝⁝,の量きざぷミ⁝⁝を決定する
にある︒此らのうちの正なるものは我交換者が自ら所有する量禽り含為︒..§⁝⁝に附加するところの需要量
を成し︑また其員なるものはそれらの量から取去るところの供給量を成す︒其結果として彼は︑夫々長さ03
0?O︒りP胸⁝⁝にて表はさるる量Q9︒+き孚+ざ嶋︒十ぷ含+塁⁝⁝を消費することとなる︒吾々は︑消
費量が増加するに從つて稀少性が涯減すると云ふ交換者をN般的に假定したと同様に︑ここでも︑交換のうち
ラに自らの欲望の最大満足を求むるところの交換者を一般的に假定する︒.ところで︑例へば商晶Aの量ρによ(
つて充さるる欲望の合計は面積O篭帥皐である︒有敷利用は漕費量との關係に於ける稀少性の定積分である︒
それ故に︑吾々が解決を求めてゐる問題は︑畢意するに︑横線を引いた面積O篶簑ごO智嵩ごO竜︒さ一〇§自や
・⁝⁝の合計が最大となると云ふ條件に基いて︑030︒層O︒﹂O画⁝⁝を決定することにある︒
さて此問題をば極めて簡輩に幾何學的形式を以て解決するために︑私は︑利用曲線即ち欲望曲線鳥もξぎ﹃ξ
勲馳・⁝‑に次の攣化を加へよう︒原瓢0から出嚢して︑水平軸に︑もとの横坐標のー︻ρに等しい新しい夫々の
横坐標を作る︒而して此ら薪しい横坐標の端を通つて引いたところの縦軸に亭行なる線の上に︑横軸から出嚢
して︑もとの縦坐標のρ倍に等しい縦坐標を作る︒圖に於て︑ぎUN㌘H◎︒通母H卵⁝⁝である︒容易に理解し
得るやうに㍉斬しい曲線勧︑も︑ξq︑亀︑ご勅︑も︑噌⁝⁝は夫々(頃)鴇(O)"(U):ξ・に費された勾の利用を表はす︒他の言葉9く
で言へばッ交馨が夫々葦鳩(︒)"(U)⁝㌧を得るため婁す爾についてもつ欲望を示す・窪とに︑面積
ロ○偽もさ○ぶ﹃ご○動馬﹃::・を微分小なる矩形の合計の極限であると考ふれば︑面積○馬︑覧︑ご○哩︑亀︑冒O窃︑も︑H⁝⁝
は底がρ分の﹁で高さが♪倍だけ大なる微分小の矩形の合計(前の合計と等しい)の極限と考へられねばなら
ぬ︒ところで︑前の合計を構成する矩形の各は商品の鴫増し分の有敷利用を示してゐるのであるから︑後の合
畳計を構成する矩形の名は︑商品の此増し分を購ふ所の砕のρ檜し分の有妓利用(前の矩形の有敷利用に等しい)
を表はす︒
曲線昏餐ご届︑も︑ご﹃︑妾︑さ動︑も︑﹃:⁝は何れも他方の上に置かれてあるから︑私は︑夫々便格どぎも︒"箭⁝ラ
魏 蕊 陀 静 (駿 鍔 瓢 雑 い誠 い蕪 い触 講 が議 講 隔髭 翔 塞 桝霧 葺 繍 鎌 鵬
動かし︑以て諸欲望を強度の順序に從つて満足せしめるやうにし︑終にOρ曽が此ら曲線の闇に分たれて︑同
じ横坐標○・・に相鷹してゐる縦坐標が轟津HO斜謎閑110曽︑矯ジOH9︑℃・﹂)"Oへ⁝⁝となるまで績けて行く︒
此横坐標○ジは価︑(諺)"(切)スO)スU)⁝:・の形態をとる劫が有敷利黒の最大を生する場合の此淘の稀少性・"
を示す・墾標29・℃9δ摯⁝は・((熱﹀)︑(切)﹂(o)b(u);●●:の形肇とつて消蓉らるる邸の婁一不す.(
而して浩費せらるべき商品は︑充たさるべき最初の夫々の欲望が武よリョリ大なるもののみである︒ところ
ワルラス債格決定理論の幾何學的説明(手塚).五 も
■
六
で︑もし曲線黛ρ黛ご沁もξ呪灸ひ窃も覧⁝:のうちに︑横坐標O⑤H︑どO・ぴ舗︾ジ"○︑︒1ー笥︑ヨO議11笛﹂⁝⁝をとれ
ば︑消費すべき(︾)スじσ)"(O)り(U):⁝・の量を示す縦坐標030斜Q劇O賊⁝⁝が得られる︒(註)故に結局︑
砕ノ
交換者は夫々費職為︒ら:::によつて表はさるる(﹀)"(O)⁝⁝の量きN・⁝:を供給し︑夫々§い鴇含へ⁝・:によつ
て表はさるる(切)‑(O)⁝⁝の量ざ塁⁝⁝を需要する︒だから︑最大満足の歌態に於ては一方程式
︑9︑ぴ︑oμ㌻︾
訓 二
によつて︑夫々の稀少性は債格に比例する︒
(註)ω暴匿︒.・目曼三・一塁︒募でなし姦告に私がなしたやうに︑曇(︒)も)あ部分的利用曲線の壁形せられたも
のを総て鋤の部分的利用出線に累積して︑即ち同じ横坐標に相鷹してゐる各縦坐標を総て加へて全盤曲線を作ることも出搬(る る︒ここでも極めて理解し易いやうに︑託全膣曲線は(卜)"(閑と(O)"(UY:に用ひられた伍の総利用を示す︒換言すれば︑交換 者が(︾)"(切γ(O)"(U)⁝を獲得するために費さる.る値の充ず総欲望を表はす︒まことに︑もし部分曲線の面積を微分小の矩
形の合計の極限と考ふれば︑全騰曲線の面積は(横坐標の長さの順序に從って積み重ねられた此ら総ての矩形の合計の極限と
考へられる筈である︒とこるで︑此全禮曲線に縦坐標Oρ曽をとれば︑(諺)"(b⇔ご(O)"(UY:⁝の形態をとりうっ有数利用の
最大忙相鷹してゐる助の稀少性即︑簿を表はす横坐標○書が得られる︒此曲線の構造ぼ︑多藪の商品の問に行はるる交換の揚('合のみでなく︑生産物と用役の交換の場合にも作られ得るのであるが︑交換及び生産によつて得られる利用の利得を精密に一
目瞭然たらしめ得る利便をもつてゐる︒〜1
3商品の所有量と利用とが與へられで︑交換者に於ける此ら商品の各の需要と供給とが︑偶然に叫ばれた レ
6
︑ 債格で︑欲望の最大満足を目的として如何にして決定せらるるかは明らかになつたゆ偶然に叫ばれた債格で総・
ての交換者がなす所の商品の需要と供給とが與へられてゐるときに︑有敷総供給と有敷総需要との均等を目的
として干衡の市債倉ユx8霞彗窃傷.3亀ぎ器)を決定することだけが淺つてゐる︒
今暫らく㌘"母⁝⁝を捨象し︑先づ伽を暫定的に決定することを研究して見る︒此ために茅︾箭:・⁝がコ
ランスタントであると假定し︑伽の攣化が如何にしてBの需要及び供給に影響を及ぼすかを問ふのである︒M'もしyが正であるとすると︑換言すれば交換者がBの需要者であるとすると鴇拓の増大はyを減少せしめざ(
るを得ない︒まことにもし此交換者がヨリ大なる債格にて今までと同じ量を需要するとしたら︑(︾)り(O)螂
(O)⁝⁝の量を減少せしめて支佛はねばならぬ差額が生する︒然しかやうにすれば︑此ら商品の稀少性は大な
●
らしめられ︑從つて最大満足の條件がそれだけ充されないこととなる︒需要ツは︑恥よのヨリ大なる債格にて
は︑過大である︒夫故に︑需要の曲線は遽減する︒
ラもしyが員であるとすると︑即ち交換者がBの供給者であるとすると︑可能なる三つの場合がある︒儂格が(
大となつても此交換者は今までと同じ量を供給すると假定しても︑そこに差額が生するわけであり︑此差額に
擦つて彼は(︾)鴇(O)℃(O)⁝⁝の量を増加することが出來︑從つて此らの稀少性を小にすることが出來る︒そこ
で︑三つの場合の何れか}つが起る︒即ち此差額が最大満足の條件を同復するに不充分であるか︑それとも是を
同復するに嚴密に充分であるか︑それとも之に充分である以上に大であるかである︒從りて伽よリヨリ大なる
ワルラス債絡決定理論の幾何學的観明(手塚)・七