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中国公共政策研究の現状と課題

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中国公共政策研究の現状と課題

著者 張 親培, 李 ?

雑誌名 明治学院大学法律科学研究所年報 = Annual Report of Institute for Legal Research

巻 27

ページ 197‑205

発行年 2011‑07‑31

URL http://hdl.handle.net/10723/2179

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中国公共政策研究の現状と課題

張 親培, 李 琦 1.発展過程

中国の公共政策研究は台湾地区から始められた。アメリカなどの先進国の影響を受け、アメリ カに留学し帰国した人たちの推進によって、1970年代の中期から台湾大学政治研究所に公共政策 の課程が開設された。同時期に、台湾中興大学でも公共政策研究所が創立された。研究の基礎の 上に、若干の重要な学術的著作と教科書が出版された。そのうちに、朱志宏教授の『公共政策概 論』は台湾公共政策研究の基礎を定めた作だと思われている。林水波・張世賢による共著『公共 政策』、曹俊漢の『公共政策』、丘昌泰の『公共政策』および伍啓元の上下2巻の『公共政策』、

魏鏞の『政策計画の理論と実務』、呉定の『公共政策事例集』などの論著は台湾の公共政策研究 の充実時期の代表作で、これらの書籍の一部分は交流として中国大陸まで至り、大陸地区公共政 策教学の研究参考書の一部になり、中国内陸の公共政策研究に一定の役割を果たした。柯三吉の

『政策実施:理論と台湾の経験』、詹中原の『民営化政策』、林鐘沂の『政策分析の理論と実行』、

丘昌泰の『公共政策―当代政策科学理論の研究』などの論著は台湾公共政策の拡大時期の代表作 である。現今の台湾地区公共行政研究と公共政策研究の一体化、例えば、台北大学には公共行政 および政策の学科があり、そして曁南大学には公共行政および政策の学科がある。当時の開拓者 は依然として研究の舞台で活躍し、新しい研究者も同様に成熟している。例えば、21世紀に曹俊 漢先生は大陸を巡回し、現代の公共政策問題についての報告をした。張世賢先生は2002年にマカ オで開催された「アジア地区公共行政及び社会サービス改革」の国際学術会議で世界的な公共政 策の制定の影響について検討し、詹中原など中堅学者は、公共政策の建設に寄与し、中国大陸の 学術との交流に役割を果たした。

中国大陸の公共政策研究の勃興と発展は二つの契機によって推進された。第一の契機は、20世 紀80年代初めごろの政治学の回復である。20世紀80年代初の政治学は鄧小平「補講」の指示を元 に鼓舞されて、研究は高潮に達するとともに、公共政策研究はこの高潮に伴う産物の一つになっ た。20世紀80年代の末期に、孫光の『政策科学』、姜聖階などの編著した『政策学基礎』、孫効良 主編の『政策研究学概論』、林徳金などの編著の『政策科学の研究方法』はすでに出版され貴重 な資料とされた。政治学の研究発展とともに、20世紀80年代末から90年代まで数多くの外国政治 学の著作や公共政策研究に関連した著作も翻訳された。興味深いのは、朱国斌先生と竺乾威教授 は各々自ら訳した同一の本、即ちC.E.リンドブロム(C.E.  Lindblom)の『The  Policy  Making』

を翻訳し、それぞれが華夏出版社と上海訳文出版社から1988年に出版され、公共政策の訳著の先 駆けになった。公共政策翻訳作品は90年代のものが多い。その中の代表的は林明などの訳した S.S.ナーゲル(S.S. Nagel)の『政策研究百科全書』、商正が訳したS.ケルメン(S. Kelman)の『公

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共政策の制定』、唐亮が訳したJ.E.アンダーソン(J.E.  Anderson)の『公共決定』などである。

西側の政治学と日本の実際を接合した研究成果として東京大学の猪口孝教授が責任編集者の現代 政治学叢書があるが、これらも中国語に訳された。その内、埼玉大学薬師寺泰蔵教授の『公共政 策』、京都大学大嶽秀夫教授の『政策過程』は中国政治学界に日本の公共政策の研究のレベルを 見せた。これは日本公共政策研究の氷山の一角に過ぎない。この一時期、公共政策の専門化と本 土化の研究も試行され始めた。この種の試みの代表的な作品が張金馬教授の『政策科学序論』、

張国慶教授の『現代の公共政策序論』、それに陳慶曇の『公共政策分析』、陳振明の『政策科学』

である。こうした試みも外国の公共政策著作の翻訳に裨益を受けた作品といえよう。

以前の訳著の大半は、政治学に便乗したものであり、系統立てられたものではなかった。それ で上海遠東出版社が1990年代に出版した政策翻訳の模範は張金馬教授などの意義ある作品であっ た。イェヘッケル・ドロア(Yehezkel  Dror)の『逆境中の政策制定』(Policymaking  Under  Adversity)の中国語訳本はその一つで、本来、この翻訳叢書は、最新著作12巻のものであったが、

残念なことに、全部は出版されなかった。当時の大学の現状を見れば、北京大学、復旦大学、南 京大学のような少数の政治学、行政学の比較的発展していた大学では学部生と大学院研究生に公 共政策方面の課程が設置され、併せてこの方向の大学院生が募集されていた。政府の方から見る と、公共政策に十分な関心を持ち、政策科学はすでに国家哲学社会科学計画の中で社科基金項目 と重点研究項目に入っていた。国家研究機関である中国社会科学研究院は1995年に政治学研究所 内に白鋼教授を主任とする公共政策研究センターを設置していた。政権を握る共産党の系統内で も政策研究室を設立していた。しかし、実際上は、書類を起草し、若手幹部の後備職能を果たす 機関であった。党員養成学校と行政カレッジの教育には政策科学の内容が盛り込まれた。だが理 論研究方面の貢献には限りがあった。行政系統内部に設立された発展研究センター、例えば国務 院の発展研究センターとそれぞれの省の発展研究センターは、実際の政策形成と評価に確かに効 果があるが、これらの機構と大学との研究には相互の協力関係がなかった。国民の立場から見る と、一部の発達した省では半政府、半民間の政策諮問研究機構が湧出し、半営利と営利を目的と する政策諮問産業がひっそりと成長した。1992年山東省曲阜で政策科学研究会の成立大会が行わ れ、中国行政管理学会の研究支部と存在となった。1999年10月、蘇州市で全国政策科学研究会の 第2回代表大会、理論研究検討会が開かれた。

もう一つの契機によって、公共管理修士(MPA)の教育が勃興した。21世紀に入って、中国 内陸ではMPAを試験的にやってみることから始まり、国務院学位事務室の2001年8月の「養成 方案」によって、実験校の大学は公共政策分析のコースを開設しなければならなかった。すると 公共政策教育と研究が、以前は少数の大学であったものが、24の重点大学に展開され、それとと もに公共管理とMPA教育を設定した他の大学の公共政策の教育研究も盛んになった。2001年11 月MPA公共政策コース研究討論会が北京航天航空大学で開催された。その間、MPAに向けに編 著されたり訳されたりした教科書は相当な数に上った。そのうちに、公共政策の教材の中で代表 的なのは、劉伯龍先生と竺乾威の両先生が主編した『当代中国公共政策』、陳振明主編の『公共 政策の分析』、C.V.パットン(C.V.  Patton)とD.S.シヴィツキ(D.S.  Sivicki)の『公共政 策と計画の初歩的方法』およびT.R.ダイ(T.R. Dye)の『上から下への政策制定』である。

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ここ数年の教学と研究状況から見ると、中国大陸の公共政策研究はすでに着実に上昇しつつあ る。張金馬、陳慶雲、張国慶、厳強などの教授が次々と新しい教材を出版した。第一に創設され た公共政策学科――北京大学政府管理学部公共政策学科は新世紀に正式に設置され、清華大学の 公共管理学部も設置され、公共政策研究所も設立された。清華大学、北京大学、復旦大学、吉林 大学、中国人民大学、南京大学、中山大学などの大学には既に公共政策研究方面の博士課程の院 生が募集されている。毛寿龍教授の制度分析と公共政策サイト(http://www.wiapp.org/)など の公共政策的ホームページが普及に従って社会から注目されるようになった。主な国外公共政策 の著作も印刷版と中文翻訳版も出てきた。中国人民大学出版社と三聯出版社はほとんど同時に公 共政策の翻訳叢書を作り出した。そういう翻訳の仕事も整然と秩序立って行われている。中国社 会科学院公共政策研究センターと香港都市大学公共管理及び社会政策比較研究センターが共同編 集した『中国公共政策分析2001年版――2008年版』、既に政策問題の各分野は研究され、政策研 究はますます現実に近づいている。公共政策過程の領域はいっそう関心を引き、政策の事例研究 はますます重視され、政策研究の細分化と深化が進んでいる。例えば、丁煌教授の著作『政策実 施阻害機制とその防治対策――行為と制度の分析』、金太軍教授の著作『政策実施の梗阻と解消』、

牟傑、楊誠虎の『公共政策の評価:理論と方法』、陳潭の『公共政策事案分析』。中山大学政治与 公共事務管理学部も『中国公共政策評論』を刊行。専門的に公共政策の研究を掲載し、現在3巻 を出版されている。人々を喜ばせているのは、社会学領域の研究者が社会政策研究を推し広め、

彼らの主催による何回もの「社会政策国際論壇講座シリーズ」が開かれ、量と質とにおいて価値 ある研究成果を作り出し、公共政策研究が充実したことである。法学、経済学などの学科は日増 しに公共政策問題に関心を持ち始めている。こうしたことはすべて、未来の中国の公共政策研究 が充実と生気に満ちていることを表している。

2.知識領域

近年における中国の公共政策研究者は、中国公共政策の知識系譜の基礎を作りあげた。下記の 文は、現在の中国学者の求めてきた公共政策知識状況の初歩的な総括である。

⑴ 公共政策の概念:理解の差異

中国の大勢の研究者は行為基準を基本的な内容とする境界を定めることに賛同する。一部の研 究者は、違った視点から公共政策の概念を解釈している。

第一は、現代の政治学の理念に基づいて、公共政策は政府が社会公共利益の分配の動的な過程 だと考える。この分配の基礎は政府が利益を選択すること利益を総合することにある。分配のポ イントは、利益を実行することである。

第二は、制度経済学に基づいて、現代の市場の経済制度を背景として、公共政策は政府自らの 機能を生かし、経済行為を誘導し、市場主体と私的行為、有効に社会経済の資源を利用し、公平 と効率という目標を実現する。

第三は、公共管理の理念に基づいて、公共政策は政府を主とする公共機構であることを認識し、

社会を正しい方向に発展させるために、広範な各層の参与と連続的な選択および具体な実質に

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よって効果を生かし、社会公共の問題を解決し社会公衆の調和と利益という目的を達成すること である。

⑵ 政策研究、政策分析と政策科学との関係:視覚の広狭

政策研究は広義的な概念であり、2つの考えに概括されると研究者によって指摘された。

第一に、政策研究は、科学を基本とし、技芸の知識と芸術の総合である。第二に、政策研究は 各種の具体的社会問題を解決するために、同じではない公共政策の性質、原因と効果についての 研究である。

政策分析に関しては、第一に、政治学の意義上の広義の政策分析、政策問題の確認、政策計画、

政策執行、政策合法化、政策評価、政策フィードバック、政策終結などの総合的政策過程の分析 である;第二に、系統分析の基礎の上に狭義の政策分析、政策、政策目標の間の関係に基づいて、

各種の予備草案の中で最大限度にこの目標を達成するための最も優れた方案を決める過程である。

政策科学は、系統的知識、合理的な構造の理性、構成、組織創造性の一体化したものだと学者 が指摘している。いかに優れた政策を制定するかを研究し、危ない政策を避ける学科領域だと考 えられる。

三者の相互関係においては、ある研究者は狭義の政策分析を政策研究と政策科学方法論の内容 として扱う。そのほかに、政策科学の主な内容は原案となる政策を決める。つまり政策研究によっ て作り出された政策のことである。それに政策の評価と政策制定の系統の改善と未来研究に分け られる。政策分析は直接的な行動には繫がらないが、基礎研究よりもっと技術的である。政策研 究は直接的に問題に直面する行動によって、基本な社会問題を解決できる特徴を持っている研究 活動である。

⑶ 公共政策の学科の定位:周縁から主流へ

ある学者の認識によれば、一つの学科を構成する標準、あるいは主要な条件は、独立した研究 対象の有無、完全な知識体系の有無、規範的学科編制の有無である。これを根拠にすれば、公共 政策学科の専門は、公共政策のすべてを自らの研究内容とし、しかも公共政策の理論構造、運行 過程、計画分析及び具体的な公共政策の実行を課題として研究し、他の学科と異なる独立した研 究対象を有する。自らの独立した研究対象を中心とし、公共政策学科は発展しながら系統的な知 識を形成してきた。現代の公共政策学科は基本的に4つの方面に分けられる。公共政策理論の知 識、公共政策過程の知識、公共政策分析の知識と公共政策実行事例の知識である。現代西側政策 科学の事例と知識体系に対する緻密な実地調査によって、公共政策学科の独立性を論証した研究 者もいる。

一方、一部分の研究者の考えによると、公共政策学科は部門別ではなく公共問題を根拠とし作 り出された学際的な科学とソフトサイエンスの特徴を持っている応用学科である、と認識してい る。その主旨は学科自身を改善することにかかっているというわけではなく、政策を道具として 公共の問題を解決することにかかっている。これは公共政策学科の本質的な特徴である。

⑷ 科学的な戦略と民主的な戦略:解釈の更新

科学的な戦略の研究について、一部の研究者は、科学戦略の一つの観点は戦略の方法や手順な どが科学の要求に適っているかであり、もう一つ観点は戦略の結果が客観的な規律と一致してい

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るかどうか、という考え方である。それ故、科学的な戦略の定義を下す時には、慎重に扱うべき だと思われる。即ち、戦略方法の科学上の観点からのみつかわれるべきであり、その意義を延伸 し戦略の結果から論じるべきではないだろう。ある研究者は非常に独特な角度から中国政府の戦 略推進のために意見を出している。

民主戦略の研究に対して、真の民主の戦略を実現するため国民の役目を発揮し、国民と政府の 相互利益を得た上で、いかに相互影響しあったほうがいいかという本質的な問題を解決しなけれ ばならない、という指摘もある。政府戦略の民主化の問題は制度配置における現在管理型の民主 モデルの中の重要な課題である。管理型の民主を政策の立場から見ると、参与が政策の結果にか かわるかどうかを研究することであり、同時に、参与と政策過程、参与と政策産出の関係を研究 する。政府が社会に提供する公共財とサービスを研究し、社会の各層と団体グループの利益をバ ランスよく取り利益を実現するのを表すことにかかわる。

⑸ 市場経済と公共政策:拡張した公共性の角度

政府、市場と公共政策間のロジック関係を論じた時、ある研究者は以下の3つの問題を集中的 に討議したという。

第一に市場は自身で不完全な競争を解決できず、市場の外部性と公共財の供給も解決できない ような市場の失敗は、公共政策形成のロジックの起点となる。第二に市場の経済的な失敗が政府 の役割を否定するか肯定するかにかかわらず、どのように政府の関与(主なのは公共政策で)と 市場の関係をうまくやり遂げることができるかにある。第三に市場の失敗なら政府の介入が必要 である。だがこの介入は限定的である。一定の境界を逸脱したら、政府の行為は市場と同じく失 効する。

また一部分の研究者は公共選択論という原則から着手し、政策失敗の原因を分析した。市場経 済条件による公共政策について、ある研究者は特に「公共性」を強調し、体制の移転過程を通し て公共政策の特徴を分析し、「公共性」を定位した。それに現代の市場経済条件の下にできた公 共政策の特点を分析し、この状態からできた公共政策の出発点は市場を基礎として、公共政策の 制定は法律を基準とし、公共政策は効率と公平と発展という目標を定めるものだと思っている学 者もいる。

⑹ 実質的な公共政策の分析:制度と技術的知識の欠乏

研究者たちは中国の実質的な公共政策の現況と存在を分析した。多くの学者は新中国の成立以 来、特に改革開放以来の公共政策の発展を分析し、経験を総括し、中国政策科学を研究した。そ れに中国の改革開放、市場経済の発展や現代化の建設と密接に関係する経済的社会政策が研究者 によって選び取られ、研究された。体制を変える時期の政策に対して調整と完備な調査と分析に 工夫を凝らした。中国の人々に公共政策について、形でなく実質的な認識をさせるためにある学 者は政策評価をした。報告を行い、実質的な政策運行の事例を分析した学者も少なくない。その 上、経済学、社会学とその他の学者たちは同様に各学科の理論と方法から出発し、実質的な公共 政策のある方面に創造的な研究をした。

⑺ 政策過程の現状分析:憲政秩序の探求

研究者は政策制定と政策執行の中に存在している問題を分析した。政策制定の主な問題は、情

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報が事実と相応していないこと、手順が狂うこと、価値観を失うことである。政策執行の過程で 存在した主な問題は、上の「政策」と下の」「対策」の攻防である。また、具体的に中央部門の 政策と地方政府の衝突と調節法についても詳しく研究された。政策実績評価の法治課題にも言及 された。また、政策実績評価の法律の役割をはっきりさせるべきだとも指摘された。政策制定の 主体と政策評価の主体の権利と義務を把握すべきである。政策評価の原則、手順と方法を定め、

処罰の方法と細則もはっきりさせるべきである。政策制定の細則についてのシンポジウムも学者 によって行われた。政策制定の中で、中国はいまのところ異なった種類の政策研究組織が出てき た。つまり、行政型の政策研究組織、学術型の政策研究組織、産業型の政策研究組織である。こ れらの組織が政策制定の中で各方面の役割を演じている。ある研究者は政策執行の各時期の役目 を課題として研究した。彼らの研究によると、公共政策の執行は政府と政策との相互影響の結果 として出てきたものなので、国民が参加権を持ち参与すべき公の制度である。

⑻ 理論研究の動向:問題を解決するための知識

ある研究者は、マルクス主義の利益理論と利益分析法を指導理念として系統的に政策の制定と 実施の規則を研究し、「利益政策学」を作り出すことが必要だと指摘した。しかも公共政策の実 質から、過程、目標などの分野を基本として「利益政策学」の枠組みを探求され始めている。中 国の現実の政策調整も具体的に研究された。

公共事務の対策パターンの制度のアレンジを中心として、穏健で有効的な公共政策を制度的に 分析し、治理変革を中心とした制度分析と公共政策研究の枠組みを作り出された結果として、政 府制度の質と公共政策の質の関連を求める学者もいる。さらにある研究者は、比較的に完備した 経験と資料から出発し、中国の県政府レベル政策決定過程の進行について研究した。

3.問題点

中国の公共政策科学の研究が、20年の発展を経て積み重ねてきた成果は衆目の認めるところで ある。十分的に是認すべきだと思う。しかし、実際に即して見ると、発展途上の一つの学問分野 で、未成熟だということを認めなければならない。それ自身に弱点も存在している。主な点は以 下の通りである:

⑴ 長年間の発展を通して、中国公共政策科学はいまだに導入の段階である。中国の公共政策の理 論における研究レベルは西側に比べて、はるかに後れている。いくつかの「政策科学」と名づ けられた著作は大体が既定政策の論述、総括と宣伝に限られ、政策過程の規律性の把握に欠け る。それに、科学的な政策分析と研究方法も不足である。

⑵ 改革開放以来の公共政策科学の研究は、実り多い成果をあげた。政策科学と公共政策研究につ いての著作と教科書が盛んに出されている。しかし、これらの著作と教科書には重複した内容 と体系が数多く、新機軸を打ち出すことに欠けている。しかも、西側と中国の政策環境及び政 策過程の異同性の認知も不十分である。

⑶ 現在までのところ、中国政策研究の組織はすでに、行政型、半行政型、学術型、民間型の4つ の類型に分けられる。だか、これらの組織が自ら体系を成すような力を集中できず、低いレベ

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ルと重複した現象も起こっている。

⑷ 公共政策研究方法は単一と後れである。中国公共政策研究法が後れる表現:第一に、定性分析 が多く、定量分析が少ない。コンピューター、統計学、オペレーションズリサーチ、計量経済 学などの方法と手段での定量分析が充分ではない。第二に、総括的分析が多く、予測研究が少 ない。しかも中心は、歴史的総括と現状分析で、未来に対する予測が少ない。第三に、学際の 総合性的研究がまれである。経済と技術の要素のみ重んじ、政治と社会の要素の思量が不十分 である。第四に、ある領域の全体の系統的な一致した方法論に乏しい。

⑸ 手薄な比較研究である。海外の公共政策理論、思想、方法と技術についての紹介はされている が、歴史的角度から運用系統分析的方法で比較研究を深めたとしても、一部の問題は今なお解 決されていない。結果として、研究の視野が広いとは言えないだろう。

⑹ 政策研究者の素質を高める必要がある。数多くの研究者は政治学、行政学、社会学、哲学、中 国語と歴史が専門である。経済学、情報、コンピューター、数学、経営学、系統分析学が専門 である研究者が極めて数少ない。このような専門の構成は、異なる角度から一つの政策問題を 進める場合、研究が制限されて複雑な社会問題の解決に十分に役立つことができない。

⑺ 学際整合に達しない。現代公共政策科学と政策研究は総合性を持つ学際的な新しい研究領域で ある。系統的で総合的な特徴があるが、中国の政策科学は現在の段階では大体政治学と公共行 政学の領域のみに限定されている。中国公共政策科学研究が伝統から現代へ進化する途中での 大きな障害である。

⑻ いま、公共政策科学の宣伝と普及にまだ力を入れていない。政策科学の学術的価値と現実的な 意義、特に科学化と民主化の戦略の根拠というところがまだ十分に見定められていない。政策 科学とはいったい何かをよく知らない学者と役人が多いので、それを重視するとは言えない。

4.今後の課題

⑴ 政策科学の本土化の達成である。その一は、政策科学研究の価値論理、つまり研究者は客観的 な事実を解析する際に価値志向と価値基準を尊重する論理的な基礎である。まず、政策科学の 本土化の問題は政策科学学術共同体の主観的な価値と研究志向との関係が密接している。本土 化の実質というのは、特定の社会の中の政策現象と政策問題を研究するとき、部外者としてあ れこれいうというわけではなく、ローカル意識で研究志向と価値の判断を確立すべきである。

その二は、ローカル研究を展開する。つまり、ローカルの政策実行にオリジナルで経験的な研 究を行う。文化の特性と社会構造には違いがあるため、西側が蓄積した実証調査研究とこれに よって生み出した実質的な理論解説はそのまま中国の実質的な政策分析に適合しない。した がって、ローカル経験に適用する理論方法を探すために、われわれはローカルの経験的な研究 と実証的な調査に根ざす必要がある。ある科学者は中国の公共政策の分析について、経験的な 調査研究を実行したが、ほとんど西側の理論モデルと研究設計を使い、中国の政策分析に当て はめている。それは西側の理論をテストするとか、証拠するとかを言えるだけで、まだ中国の 特徴を反映できる実質的な理論と方法は提出できていない。中国の政策科学の発展はローカル

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公共政策経験的な研究の深刻な不足に大幅に制限されている。したがって、中国の学術界で公 共政策の実証調査と研究を大規模に行い、ローカルの公共政策に根ざした経験的な知識を蓄積 することに必要がある。第三、本土化に関する研究。つまり政策科学の概念、範疇、理論解説 と方法に関する本土化とイノベーションの問題である。ローカル実証研究は、地域の理論によっ て、導かれる必要がある。現在中国の政策科学は基本の概念、範疇、理論解説と分析の方法に おいて、西洋学術システムに構成的に依存している。それによって、中国の政策科学の研究の 発展もたくさんの方面において制限されている。西側の政策科学の中の多くの理論は、本国の 特定の実質的な政策の実証研究についての概要と総括で、一部のマクロ理論も西側社会政策の 経験的な基礎から確立された。こういう理論(概念、仮説、分析パターンと理論解説などを含 めている)を中国の同類の政策問題の研究と分析に用いると、間違った結論を下しがちだ。

⑵ 学際的な研究を強化し、体系的かつ科学的な政策研究理論と方法システムを構築する。学際的 な研究は政策科学と政策研究という学科の性質に決定されるもので、同時に現代社会の公共政 策に対する要求にも決定されている。そこで、さらに学際的な研究を強化し、これに基づき、

システム化、科学的な政策研究理論と方法システムを組み立てるのが、今後の公共政策研究発 展のポイントのひとつである。それゆえ、学科の壁を超える研究をさらに深める。これに基づ き、システム化、サイエンス化された政策研究理論と方法、体系を打ち立てることが今後の公 共政策研究課題の一つである。この過程で、政策科学と政策分析の理論成果を実際政策分析に 生かすことを重視すべきである。公共政策理論研究と実践とが繋がるようになり、お互いに促 進し、共に発展する。

⑶ 公共政策研究の総合化という特性を強化し、現有の組織と人員の組み合わせを改善し、政策の 組織と研究員の素養を基本的に高める。学科の総合化、組織の総合化、人員の知識の組み立て の総合化、と言う三つの方面は公共政策研究の総合化に含まれている。目下、中国にある種の 政策研究組織において、特に専門性と部門型の政策研究組織の中にある人員の専攻が単一的と いう問題で、研究員の老齢化問題を解決すれば、複雑で大きな政策の問題に直面する時、対応 し使いこなせると思う。

⑷ 政府体系の中での行政政策研究組織の地位と作用をさらに促進し、行政型、学術型、産業型の 政策研究組織を互いに調整したり、協力したりすることも高める。中国政策研究の主力として の行政型政策研究組織は公共政策を定める鍵を握る重要な役割を持っている。行政型政策研究 組織は直接与党、政府と全国人民代表大会部門の管轄範囲に入る。政府と全国人民代表大会部 門は国家の組織体系において、重要な部分である。公共政策の質を高めるために、行政型政策 研究組織の地位と作用を確実に高めなければならない。行政型政策研究組織の優勢を十分に発 揮し、公共政策研究の成果の質とレベルを保証することを有効にするだろう。

  さらに、行政型、学術型、産業型の政策研究組織を互いに調整したり、協力したりし、行政 政策組織の主導的な役割を保つことと同時に、学術型と産業型政策研究組織が持っている各自 の役割と潜在的な能力の発揮を重視する。確かに、行政型政策研究組織を中心とし、さまざま な範囲や階層における、公共政策研究体制を樹立することは、21世紀の公共政策研究発展にお ける、ひとつの重要な方面である。

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⑸ 世界の政策科学の最前方の把握と追跡を続け、中国の実際の状況に合わせ、中国の改革開放以 来の政策環境と政策過程を研究する。日本も含め、先進諸国の政策研究の追跡と学習及び系統 の分析を続ける。科学化、民主化及び関係がある政策をめぐって定めた理論モデル、規範、原 則と方法などの研究を重視するほか、理論の更新に適応するために、中国政策研究がさらなる 高度化に必要な道を探すために、政策実践領域の方法、技術、成果学習も強化すべきである。

そうすることによって、中国公共政策科学の発展と創造はいっそう促進されるであろう。

  要するに、中国政策科学は二十年ほどの発展を経、数多くの問題があるにもかかわらず、真 摯に経験をまとめ、各国の政策学者及び政策実践者との交流を強め、効果的措置を確り採用す ることによって、これらの問題はうまく解決できるだろう。希望に満ちる21世紀に、中国政策 科学はさらに注目される発展を成し遂げられるとわれわれは信じている。

参考文献

王立京「中国公共政策科学研究20年の回顧と思考」『江漢論壇』、2002年、第10期。

大嶽秀夫著『政策過程』東京大学出版会、1990年。

胡象明「政策科学の中国化と理論創新」『北京行政学院学報』、2000年、第1期。

徐湘林「中国政策科学の理論困境及び本土化の進路」『公共管理学報』、2004年、第2期。

陳振明「21世紀中国政策科学の研究方向」『北京行政学院学報』、2000年、第1期。

薬師寺泰蔵『公共政策』東京大学出版会、1989年。

劉雪明・楊芳「中国政策科学発展の問題と対策研究」『社会科学論壇』、2008年、第6期。

Thomas R. Dye. Top Down Policymaking, Chatham House Publishers. 2001.

注記:本稿は、中国国家社会科学基金項目「促進社会公正的公共政策分析」(10BGL028)の研究成果で ある。

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