1. はじめに 1.1 研究の背景と目的 グローバル化の進展や持続可能な発展の追求、地方分権 化の中、地域の自立的な発展が求められている。そのため の空間的枠組みとして広域都市圏の重要性が指摘されてお り1)、特に地域の競争力を高めるという観点からは、Scott2) によるグローバル都市地域圏(global city-region)、Hall ら3)
による多核的広域都市地域圏(polycentric mega-city region)、 Florida4)によるメガ・リージョンなどが提起されている。こ れらの議論は日本でも注目されており、国土審議会計画部 会広域自立・成長政策委員会中間取りまとめ5)では、メガ・ リージョンの重要性が説かれている。 このような多核的大都市圏では、競争力向上のため企業 や人に対して経済的な付加価値を生み、文化や環境面も含 めた質の高い生活を提供できる空間の質が重視され、分野 別政策を統合した共通の空間戦略の必要性が指摘されてい る3)6)。競争力を生む空間形成のためには、労働・居住環境 を支える良好な住宅や交通インフラの整備、教育・医療な ど社会サービスの充実、土地利用計画による緑地保全など 空間計画分野での連携が求められよう。そして空間戦略の 立案・実施のためには広域ガバナンスの形成が必要と考え られ、フォーマルな政府や制度に基づくものだけでなく、 地方政府や公共・民間セクターによる自発的な連携(イン フォーマルな広域連携)の役割も大きいことが指摘されて いる6)7)。しかし、国、広域政府、大都市と中小都市、経済・ 社会・環境団体など関係者が多岐に渡り、経済成長と環境 保全のバランスや、開発の場所・優先度、政策立案・実施 プロセスにおける主導権などを巡って利害が対立するケー スも考えられ、合意形成が難しいことが予想される。 日本では、地域の自立的発展を目指して、都府県や政令 市、国の地方支分部局、経済団体等から構成される広域地 方計画協議会の検討に基づき国土形成計画広域地方計画が 策定された。しかし、広域地方計画は理念的で即地性がな く、二層の広域圏論(広域ブロック経済圏と日常生活圏) を踏まえた個別都市圏への枠組みを提示する役割が弱いこ とが指摘されている8)。ガバナンスの観点からは、ボトム アップの連携である首都圏サミット(9 都県市首脳会議)、 日本初の都府県レベルの広域連合である関西広域連合の設 立などの動きがみられるが、必ずしも広域地方計画の圏域 とは一致しない問題もある。他方で、国土交通省成長戦略 (2010 年 6 月)では、従来の大都市圏整備法に替えて大都 市圏戦略基本法(仮称)を制定し、国が国家戦略として大 都市圏戦略を策定することが示されている。また、大都市 圏の成長戦略を巡っては、大阪都構想に見られるように広 域行政と大都市制度のあり方も議論になっている。このよ うな状況を鑑みると、日本においても大都市圏域のあり方、 広域空間計画の役割、国と地方・官民によるガバナンスを いかに形成するかが問われていると言えよう。 以上の問題意識のもと、本研究では、EU 統合の進展に 伴い地域の自立的発展の必要性とその対策が先行的に表れ ていると考えられる欧州(1)に事例を求め、多核的大都市圏 における空間計画分野における広域ガバナンスの形成過程 を実証的に明らかにすることで、地域の自立的発展と広域 計画の役割、ガバナンスの形成における国、地方政府、官 民の役割について知見を得ることを目的としている。事例 と し て 取 り 上 げ る オ ラ ン ダ の ラ ン ド シ ュ タ ッ ト (Randstad)(2)大都市圏は、アムステルダム(Amsterdam)、ロッ テルダム(Rotterdam)、ユトレヒト(Utrecht)、ハーグ(Den Haag)の 4 大都市の環状ネットワークに囲まれ、中心部に グリーンハート(Groene Hart)とよばれる広域緑地を抱える 多核的大都市圏における広域計画とガバナンス形成プロセスに関する研究 -オランダ・ランドシュタット大都市圏を事例として
A study on the process of regional planning and governance in polycentric metropolitan region
- Case study of Randstad Metropolitan Region in the Netherlands -
片山 健介 Kensuke KATAYAMA With the progress of globalization and decentralization, it is said that polycentric city-region is useful as a spatial
framework to develop sustainably and independently. To improve competitiveness, regional planning and governance should be important to integrate relating policies and build consensus. This paper aims to discuss the role of spatial planning and formation process of governance through the case study of Randstad, the Netherlands. The Randstad has three tiers of governance: city-region, the North/South-Wings (conurbation) and the Randstad (metropolitan region). Particularly at the Wing-level, shared visions are provided to improve regional competitiveness as the result of integration of top-down and bottom-up process. At the Randstad-level, it is still difficult to cooperate among stakeholders and the role of central government is important to promote spatial policies.
Keywords: regional planning, regional governance, polycentric metropolitan region, the Netherlands 広域計画、広域ガバナンス、多核的大都市圏、オランダ
地域である。本地域は、ドイツ・ルール地域などとともに 多核的圏域構造を持つ都市地域圏と言われ 3)、前出の中間 取りまとめにおいても「広域都市間の連携の典型的成功事 例」として紹介されている。 1.2 既往研究のレビューと本研究の位置づけ 日本における広域ガバナンスに関する既往研究として、 城所ら9)は、広域都市圏に関する代表的議論をレビューし た上で、日本の広域都市圏域を抽出し、地域イノベーショ ン政策に着目して広域ガバナンスの萌芽がみられることを 論じている。本研究は同様の問題意識を持ちつつ、前節で 指摘した、競争力向上の観点からみた空間計画分野での連 携に着目して欧州の事例から示唆を得ようとするものであ る。 ランドシュタットは、国土政策のもとでの成長管理の事 例として日本でも既往研究10)11)がある。また、オランダの 広域計画に関しては、港湾開発と空間計画における位置づ け12)、新空間計画法に基づく広域調整13)に関する論文があ るが、広域ガバナンスについては詳しく論じていない。 英語論文では、ランドシュタットのガバナンスについて 論じたものが複数見られるが14)15)16)17)、特に最近の動向を踏 まえて、空間計画と関連づけた広域ガバナンスの形成プロ セスを詳細に考察した研究はまだ少なく、以上の点で本論 は事例研究としての新規性を有するものである。 1.3 研究の構成と方法 まず2 章で、ランドシュタットに関わるフォーマルな枠 組みとして、地方行政制度と空間計画の概要を整理する。 次に3 章で、ランドシュタットにおけるインフォーマルな 広域連携と複層的空間構造の全体像を示す。その上で4 章 では、異なる層で形成されるそれぞれの連携の枠組みにつ いて、広域連携が必要とされた背景、共通ビジョン策定と 広域ガバナンスの形成プロセス、インフォーマルな連携の 実現に着目して、その実態を明らかにする。5 章で考察を 加え、6 章で知見をまとめ今後の研究課題を述べる。 研究の方法として、海外の英語文献のレビュー、インタ ーネットを通じた情報収集に加え、現地ヒアリング調査(3) を行った。 2. ランドシュタットにおけるフォーマルな枠組み 2.1 オランダの地方行政制度と空間計画体系 オランダは3 層の地方行政制度を持ち、12 の州(provincie) と418 の基礎自治体(gemmente)からなる(2011 年1 月1 日時 点)。州と基礎自治体の間には、共同規約法(WGR、1950 年 制定)に基づく広域行政があるが、アムステルダム、ロッテ ルダム、ユトレヒト、ハーグを含む8 都市地域圏(stadsregio、 city-region、plus-region とも)(4)では、共同規約プラス法 (WGR+、2005 年)に基づく広域連携が義務づけられている。 次に、オランダの空間計画体系の概略を述べる(5)。2008 年7 月の新空間計画法(Wet ruimtelijke ordening(Wro)、Spatial Planning Act)に基づき、国、州、基礎自治体は、自地域での 空 間 発 展 の 方 向 性 と 戦 略 を 示 し た 構 造 ビ ジ ョ ン (structuurvisie)を策定する。構造ビジョンは自己拘束的(6)で あり、下位政府や私権を拘束しない(7)。基礎自治体はその 全 域 を 対 象 に 、 私 権 を 拘 束 す る 土 地 利 用 計 画 (bestemmingsplan)を策定する。都市地域圏は、以前は地域 構造計画(regionaalstructuurplan)を策定する権限を持ってい たが、新空間計画法ではその権限はなくなり、現在では交 通・運輸政策などで権限を有する(8)。 2.2 ランドシュタットにおける行政制度と空間計画 ランドシュタットは、TNO(2010)18)によれば、人口約710 万人、GRP は 2701 億ユーロ(2008 年)で、欧州の大都市圏 ではロンドン、パリ、ライン・ルール、ミラノに次ぐ5 番 目の経済規模を有する。圏域は北ホラント(Noord-Holland)、 南ホラント(Zuid-Holland)、ユトレヒト、フレヴォラント (Flevoland)の 4 州に跨ると言われているが(9)、圏域の境界を 示す明確な定義はなく、ランドシュタットに相当する広域 政府も存在しない。 法定計画については、ランドシュタットを含む、もしく は対象とする空間計画として、国が策定した国土空間戦略 (Nota Ruimte、National Spatial Strategy)と Randstad 2040(10)が
存在する(11)。ランドシュタットの一部については各州が策 定する構造ビジョンと、各市町村が策定する構造ビジョン および土地利用計画があり、これらが組み合わさって圏域 を覆うことになる。旧制度に基づく地域構造計画も策定さ れているが、これらは現行制度のもとではインフォーマル な位置づけとなった。 国土・広域計画におけるランドシュタットの位置づけを 見ておく。 国土空間戦略は、1958 年の第 1 次以降第 4 次補遺まで 5 度に渡って策定されてきた国土政策文書(National Policy Document on Spatial Planning)に代わるものとして、2006 年 に策定された。同戦略では、ネットワーク社会経済を目指 して異なる機能を持つ都市や地域をインフラで結束させる 考え方により6つの都市ネットワークと13の経済中心地域 が設定されている。ランドシュタットについて見ると、ア ムステルダム都市圏、ユトレヒト都市圏、さらにロッテル ダム・ハーグを中心とする都市圏がそれぞれ経済的中心地 域に指定されており、ランドシュタット全域でひとつの都 市ネットワークとして位置づけられている。この圏域では 新たな政府層を創設するのではなく、地域・地方関係者に よる自発的、柔軟かつ実践的なパートナーシップが期待さ れている19)。 Randstad2040 は、当時の上院において、国土空間戦略で は経済や気候変動が重要な課題となる中でランドシュタッ トに関する言及が十分でないという問題が提起されたこと を受け20)、国の(法定)構造ビジョンとして2008 年に策 定された。国際競争力の観点からは、各都市が持つ特性を 高めつつ、公共交通や道路網などアクセシビリティを改善 することによって、日常的な都市システムを都市地域(北 部であればアムステルダム地域、ユトレヒト地域、アルメ ール地域という単位)から北部/南部ランドシュタットへ
とスケールアップさせることが目指されている21)。 3. ランドシュタットにおけるインフォーマルな枠組み 3.1 ランドシュタットの複層的空間構造 既に述べたように、ランドシュタットは多核的大都市圏 として認識されているが、金融(アムステルダム)、交通・ 大学(ユトレヒト)、港湾(ロッテルダム)、政治(ハーグ) など各都市が持つ機能が異なっており、それぞれの機能で みれば単核(モノ・セントリック)構造を持つという見方 がある。また、通勤(雇用)から見れば、4 大都市間のフ ローも一定程度見られるものの、通勤圏の単位としては4 大都市を中心とした都市地域圏が相当する。一方、企業へ のインタビューでは、ランドシュタットでひとつの地域と して捉える認識がある3)。さらに環境面では、マース川、 ライン川流域、グリーンハートや都市間のバッファ・ゾー ンの緑地を一体的に捉える見方もある20)。このように、社 会、経済、環境の側面から、複層的な空間として捉えるこ とができよう。 ランドシュタットにおける広域ガバナンスについても、 異なる複数の空間スケールで捉えることができる16)17)22)。 第1 の階層は、都市地域圏(city-region, urban agglomeration) である。これは、日常生活圏に相当する社会的な広域都市 圏であり、4 大都市それぞれが別個の都市地域圏を形成し ている。この圏域においては、共同規約プラス法に基づく 都市地域圏が設置されていれば枠組み自体は法定と言える。 第2 の階層は連担都市圏(conurbation)であり、ノース・ウ ィング/サウス・ウィング (Noordvleugel/Zuidvleugel, North-Wing/South-Wing of Randstad)(北部/南部ランドシュ タット)と呼ばれる圏域が認識されている。北部はアムス テルダムとユトレヒトを、南部はロッテルダムとハーグを 含む圏域である。 第3 の階層は大都市圏(metropolitan region)であり、4 大都 市とグリーンハートを含むランドシュタット全域に相当す る。 次節では、この3 つの階層に着目しながら、ランドシュ タットにおける広域ガバナンスの経緯と状況を整理する。 3.2 ランドシュタットにおける広域ガバナンスの変遷 (1) 広域行政の必要性と都市地域圏 日常的生活圏の拡大に伴い、基礎自治体と州との中間レ ベルの広域行政の議論は古くから行われており、1950 年に は基礎自治体間の広域連携を促す共同規約法が制定されて いる。また、都市化と都市問題の解決のため、基礎自治体 の合併も推進されてきた23)。 1980 年代には、中心都市とその周辺基礎自治体との間の 社会的な不均衡の問題が生じ、中心都市は周辺自治体へと 権限を拡大する形での行政機構改革を志向したものの、周 辺自治体はそれを嫌った。1990 年代には、中央政府が都市 州(city province)の設置を検討したが、1995 年にアムステル ダムとロッテルダムでの住民投票で否決された。市民にと っては基礎自治体の規模が拡大して遠い存在となることに 抵抗があったと言われる24)。 このことを受けて、基礎自治体間の広域連携の必要性が 再認識された。また、1990 年代には、グローバル経済下で の都市の社会的・経済的な地位が問われ、地域の競争力を 高めるべく広域連携の動きが進んだ。アムステルダムでは、 そのためには既存の都市地域圏(Stadsregio Amsterdam, 16 基 礎自治体)では規模が小さいという認識から、空間的な経済 開発の調整を行うため、より広域な圏域を対象に、アムス テルダム市長と北ホラント州知事の共同議長によるアムス テルダム地域連携(Regionale Samenwerking Amsterdam: RSA) が設置された(1998 年)。 (2) ランドシュタット・レベルのガバナンス ランドシュタットは計画コンセプトとして1960 年代か ら国土政策の中で言及されており、中心部に広がる広域緑 地グリーンハートの保全、コンパクトシティ政策、都市ネ ットワークなどの政策がとられてきた11)。 他方で、国際競争力の観点から、ランドシュタット・レ ベルのガバナンスが必要であるとの主張もなされてきた。 1991 年には、協議の場としてランドシュタットにかかる 4 州によってランドシュタット評議会(Regio Randstad)が設立 され、2002 年には 4 大都市と都市地域圏も参加した。1998 年には、デルフト大学教授と4 大都市の空間計画担当助役 によってデルタ・メトロポリス(Deltametropool、Delta Metropolis Association)が設立された。 これらの組織はボトムアップによるインフォーマルな協 議の場であるが、そこでランドシュタット全域を対象とし た共通の空間計画が策定されたことはない。しかし、デル タ・メトロポリスのロビー活動は国土政策にも影響を及ぼ し、1990 年代末に検討されていた第 5 次国土政策文書(The Fifth National Policy Document on Spatial Planning)には、6 つ の都市ネットワークのうち最大の地域としてデルタ・メト ロポリスが位置付けられ、ランドシュタットを中心とした EU における空間政策の強化が謳われた。 (3) 北部/南部ランドシュタットへの分割 第5 次国土政策文書は政権交代によって策定が完了せず、 2006 年の国土空間戦略では、デルタ・メトロポリスの考え 方は失われ、北部(North-Wing)、南部(South-Wing)、ユトレ ヒト圏、グリーンハート(12)の 4 地域に分割された。 Randstad2040 では、グリーンハートの周りの環状都市ネッ トワークという形態学的空間像を転換し、緑・水の構造と 都市構造を機能的に捉えることが目指された(13)。 しかし、ランドシュタット・レベルのガバナンスを必要 とする議論も依然としてあり、2006 年には 4 大都市市長と 4 州知事(Holland 8 と呼ばれる)がランドシュタットの空間 政策を調整し実施する国の組織の設置を要望した。これを 受けて設置されたコック(Kok)元首相を座長とする委員会 が、ランドシュタット大都市圏政府の設立を提言したが、 OECD レポート22)、同時期に提言された国土空間計画機関 の報告書の影響もあって、政府は2007 年に提言を不採用と することを決定した。これによって、ランドシュタットで
表-1 ランドシュタットにおける広域連携・広域計画(注 1) 国(Rijk) 主体 住宅・空間計画・環境省(VROM)、農業・自然・食糧省、運輸・公共事業・水管理省、経済省(注 2) 計画 国土空間戦略-発展のための空間の創出-(Nota Ruimte)(2006 年) 概要 1) オランダの国際競争力の強化、2) 強く活力ある都市と農村の形成、3) 国レベル・国際レベルで重要な空 間的価値の保全と創出、4) 国民の安全の保障を主要目標に掲げる。国レベルで重要性を持つ経済・インフ ラ・都市化と水・自然・ランドスケープについて国土空間構造を示す。都市ネットワークのひとつとしてラ ンドシュタット全域を位置づけており、その中でアムステルダム大都市圏、ノース・ウィング・ユトレヒト、 サウス・ウィングの3 つが経済的中心地域として位置づけている。地域別発展展望でも Randstad Holland と して取り上げており、ランドシュタット全体としての国際競争力の向上を図るとともに、北部・南部ランド シュタット都市圏(northern and southern wings of Randstad urban agglomeration)、ユトレヒト地域(Utrecht region)、グリーンハートに関する国の特別な政策選択によってそれを補うとしている。 ランドシュタット (Randstad) 主体 住宅・空間計画・環境省(VROM)(注 2) 計画 Randstad2040 (2008 年) 概要 国の構造ビジョンとして策定。ランドシュタットを持続的かつ国際的に競争力のある主導的な役割を果たす 地域とすることを目的とする。1)安全で気候への弾力性がある緑と青のデルタ地域に住む、2) ランドスケー プ(緑)と水(青)と都市化(赤)の相互作用による質の創出、3) 既にある国際的な強みを強化する、4) 力強く持 続的な都市と地域のアクセシビリティという4 つの主要目標のもとで、12 の空間政策選択を提示。 主体 デルタ・メトロポリス(Deltametropool/Deltametropolis Association) 構成 団体 9 政府機関(フレヴォラント州・南ホラント州、アムステルダム・ライデン・デルフト・ユトレヒト・ハーグ各 市、2 水管理委員会)、13 公的機関(住宅協会、鉄道、環境団体、大学など)、11 民間企業(金融、開発など) 活動 ライン川とマース川流域に位置するデルタ・メトロポリス(ランドシュタット)の発展(繁栄、国際競争力 強化)が目的。自治体単位で行われがちな政策を空間計画によってデルタ・メトロポリス・レベルで統合し、 国際的に認知される水準に高めるため、研究、市民意見の反映、提携による関係者間の協力促進などを行う。 共通空間 ビジョン なし(共同宣言の中では、「多様性・国際競争・相乗作用の中での発展」がビジョンとして示されている) ウィング 圏域・ 主体 ノース・ウィング (Noordvleugel/North-Wing) サウス・ウィング(Zuidvleugel/South-Wing) (Wing) ノース・ウィング・ユトレヒト (Noordvleugel Utrecht/ North-Wing Utrecht) アムステルダム大都市圏 (Metropoolregio Amsterdam/ Amsterdam Metropolitan Area)
サウス・ウィング・プラットフォーム (Bestuurlijk Platform Zuidvleugel/ South-Wing Administrative Platform)
規模 人口約112 万人(2010 年) 面積約100km2(2006 年) 人口約229 万人(2010 年) 面積約258km2(2006 年) 人口約350 万人、面積約 3,400km2 (南ホラント州のデータ、2010 年) 構成 団体 ユトレヒト州、ユトレヒ ト、アーメルスフォート (Amersfoort)、ヒルバーサ ム(Hilversum)各市、ユトレ ヒ ト 都 市 地 域 圏(Bestuur Regio Utrecht)、2 つの自治 体間協力 (Regio Amersfoort,
Gewest Gooi en Vechtstreek)
北ホラント州、フレヴォラント州、アム ステルダム市やアルメール市を含む 36 自 治 体 、 ア ム ス テ ル ダ ム 都 市 地 域 圏 (Stadsregio Amsterdam) 南ホラント州、ロッテルダム市、 ハーグ市、ロッテルダム都市地域 圏(Stadsregio Rotterdam)、ハーグ都 市地域圏(Stadsgewest Haaglanden)、 3 つの自治体間協力(Drechtsteden,
Holland Rijnland, Intergemeentelijk Samenwerkingsorgaan Midden-Holland) 活動 居住、労働、エコロジー、 水、インフラの調整による 空間的経済発展を目的と して、計画、交通、経済開 発分野で連携。 国内および国際的な競争力の強化を目的 に、質が高く安全で持続的な居住・生活・ 企業活動が行える環境を創出。連携分野 は交通・運輸、経済、都市化、ランドス ケープ、持続可能な発展。 公共交通(Stedenbaan+)、都市戦略 (Verstedelijkingsstrategie)、ランドス ケープ(Metropolitaan Landschap)、 経 済 ア ジ ェ ン ダ(Economische Agenda)、デルタポート(Deltapoort) 共 通 空 間 ビ ジ ョン ノースウィング・ユトレヒト 発展ビジョン2015-2030(2009年) (Ontwikkelingsvisie Noord- vleugel Utrecht 2015-2030) アムステルダム大都市圏発展シナリオ(2007 年) (Ontwikkelingsbeeld Noordvleugel 2040/ Amsterdam Metropolitan Area Development Scenario 2040) サウス・ウィング都市化プログラ ム2010-2020 (2010 年) (Verstedelijkingsprogramma Zuidvleugel 2010-2020) 州 主体 ユトレヒト州 北ホラント州 フレヴォラント州 南ホラント州 (provincie) 計画 構造ビジョン 構造ビジョン 構造ビジョン 構造ビジョン 都市地域圏 (city-region) 圏域・ 主体 ユトレヒト都市地域圏ほ か共同規約連携組織 アムステルダム都 市地域圏ほか共同 規約連携組織 共同規約連携組織 ロッテルダム都市地域圏、ハーグ 都市地域圏ほか共同規約連携組織 計画 -(注3) -(注3) - -(注3) 基礎自治体 (Gemmente) 圏域・ 主体 ユトレヒト市ほか州内自 治体 アムステルダム市 ほか州内自治体 アルメール市ほか 州内自治体 ロッテルダム市、ハーグ市ほか州 内自治体 計画 構造ビジョン 土地利用計画 構造ビジョン 土地利用計画 構造ビジョン 土地利用計画 構造ビジョン 土地利用計画 (注1)本表では 2012 年 2 月時点で存在している主体、存続または策定中の計画を示している。網掛けはフォーマルな主体および計画 を示す。 (注2)中央省庁の名称は国土空間戦略策定時。その後の再編で名称・所管が変更になっている(例えば、旧 VROM の空間計画業務は インフラ・環境省へ引き継がれている)。 (注3)都市地域圏で策定されていた地域構造計画は 2008 年新空間計画法で法的位置づけが失われたが、その後も実態をなしているケ ースもある(例:ハーグ都市地域圏)。 (出典:計画文書、オランダ中央統計局(CBS)ウェブサイト、広域連携組織のウェブサイト等より著者作成)
はなく、北部/南部(Wing)、都市地域圏をベースとした動 きが鮮明となった15)。
他方、コック委員会の報告書に基づいて、オランダにお ける経済的エンジンとしてランドシュタットのビジネス環 境とアクセシビリティを高めるため、インフラ整備を主と したRandstad Urgent(Randstad Urgency)プログラムが推進さ れている。各プロジェクトの推進にあたっては国と地方政 府との共同責任体制がとられており、また市民社会や民間 企業が第三者の事務局長として関わることになっている(14)。 このような一連の動きの影響を受けつつ、北部・南部ラ ンドシュタットでは広域都市圏連携が進められてきている。 北部では、RSA をベースとした連携がノース・ウィングへ と発展したが、2001 年にはユトレヒトが枠組みから離脱し たことによって、北部はアムステルダムを中心とする圏域 ( の ち の ア ム ス テ ル ダ ム 大 都 市 圏(Metropoolregio Amsterdam(MRA)、Amsterdam Metropolitan Area))とユトレ ヒトを中心とする圏域(ノースウィング・ユトレヒト (Noordvleugel Utrecht(NVU)、North-Wing Utrecht))に分かれ る形となった。
南部ランドシュタットでは、2000 年にインフォーマルな 連携組織として、ロッテルダム、ハーグを含むサウス・ウ ィ ン グ ・ プ ラ ッ ト フ ォ ー ム(Bestuurlijk Platform Zuidvleugel(BPZ)、the South-Wing Administrative Platform)が形 成されている。これに先立ち、1990 年代初頭から、南ホラ ント州は、ランドシュタット南部地域を対象としてニュー タウンを統合し都市ネットワークとインフラ・ネットワー クを推進する構想を持っており、サウス・ウィング・プラ ットフォームも1997 年から検討していた 16)。 図-1 ランドシュタットにおける広域ガバナンス(著者作成) 3.3 ランドシュタットにおける広域ガバナンスの状況 表-1 および図-1 に、ランドシュタットの現在の広域ガバ ナンスの状況を整理した。日本において広域計画・広域連 携が必ずしも成熟していない状況を踏まえると、国・州・ 基礎自治体というフォーマルな層の間で、ランドシュタッ ト・レベルでのデルタ・メトロポリス、ウィング・レベル でのノース・ウィング・ユトレヒト、アムステルダム大都 市圏、サウス・ウィング・プラットフォームというインフ ォーマルな連携が形成されていること、空間計画に繋がる 共通ビジョンの策定にまで至っていることが特徴的である。 次章では、広域連携および共通ビジョンを必要とした背景 と、ガバナンスの形成プロセスについて見る。 4. ランドシュタットにおける広域計画とガバナンスの形 成プロセス 4.1 サウス・ウィング(Zuidvleugel, South-Wing) (1) 広域連携を必要とした背景 サウス・ウィング・プラットフォーム(BPZ)が設立さ れた2000 年当時の社会経済的背景として、アムステルダム などランドシュタット北部地域に対して、人口、経済活動 において南部地域は遅れており、インフラ、公共交通、住 宅など物的開発に対して中央政府に投資をしてもらうため に、連携する方がよいと考えられたことがある(15)。 (2) 広域計画とガバナンスの形成プロセス こうした動機に基づいて、ハーグ市長、ロッテルダム市 長、南ホラント州知事(Queens Commissioner)が共同でイニ シアチブをとり、ハーグ、ロッテルダム両都市地域圏、デ ルフト都市圏、さらにライデン、ドルドレヒト、ゴーダ各 都市圏と圏域を拡大していった。南部地域に投資を呼び込 む上で、2 大都市だけでなく、日常生活圏として繋がりが 強いこれらの地域も必要とされたためである(16)。 広域連携の目標として当初から掲げられていたのは、経 済発展とモビリティの改善であった。具体的にはインフラ と公共交通の改善であり、かつ駅周辺は経済活動の拠点と もなるという考え方に基づき、都市計画や住宅建設と公共 交通とを併せて考えるStedenbaan(City-line)と呼ばれるプロ グラムが2004 年から開始された。 このStedenbaan プログラムは、BPZ におけるフラッグシ ップ・プロジェクトであり、ドルドレヒト市長の強いリー ダーシップによって始まった。交通問題を考える上で、1 都市だけで取り組むのは不充分であるという問題意識があ ったという。プログラムの目標は、公共交通を充実させる ことによって、南部ランドシュタットの経済的競争力を強 化し、生活環境を改善することである。そのために、より 具体的でわかりやすい目標を設定し、同圏域における列車 (Sprinter と呼ばれる快速列車)の本数を、1 時間あたり 4 本 から6 本に増やすことを共通の目標とした。その方法論は、 鉄道会社への財政支援ではなく、駅周辺の居住・労働環境 を向上させることで駅利用者を増加させることであり、住 宅やオフィス開発の駅周辺への集約、駅までのアクセス利
便性や安全性の向上を通じて行うということである。 そのためには、都市政策、土地利用計画を通じた実現が 求められる。2010 年に策定された都市化プログラムでは、 新規開発の80%は 既成市街地内で行うこととされた。こ の戦略はランドスケープの保全(都市住民のレクリエーシ ョン、農業振興)、職住近接の観点からの経済アジェンダへ と展開した。このように、Stedenbaan の考え方が、都市戦 略、ランドスケープ戦略、経済アジェンダへと相互に関連 しながら広がり、連携する領域が発展してきたと言える(17)。 BPZ の組織構成は、州知事や市長からなるプラットフォ ームのもとに、交通、都市政策、経済発展、ランドスケー プの各委員会が設置されている。財源は構成団体からの拠 出金によるが、Stedenbaan は独自財源を持つ。また Stedenbaan プログラムには、BPZ のメンバーである公的機 関に加えて、鉄道会社(Dutch Railways(NS)と ProRail)も 入っている。 (3) インフォーマルな連携の実現 BPZ は、サウス・ウィングにおける課題や投資の優先順 位 を 検 討 し て 国 に 伝 え る 役 割 を 果 た し て お り 、 Randstad2040 策定に当たっても意見書を出した。また、 Stedenbaan はコンセプトであり、駅周辺への集約的開発等 は市町村の法定計画を通じて実現する必要があるが、その 場合には都市地域圏や自治体間協力組織が交渉の窓口とし て機能している。ただ、インフォーマルな連携であること から強制力はなく、実際には全ての開発が駅周辺のみで行 われているわけではない。また、駅周辺での開発に関係す る民間ディベロッパーに対しては、情報提供を行うことで、 理解を得られるよう努めている。 ロッテルダム・ハーグの2 大都市と南ホラント州との間 では対立的関係もある。南ホラント州は、両市以外の自治 体の利害を代表する役割となっているが、農業が主要産業 のため、国際的な政治都市であるハーグ市、欧州有数の港 湾を持つロッテルダム市とは必ずしも国際競争力向上の政 策が一致しない面がある。そのため、2 大都市(圏)間での連 携も行われている(18)。 4.2 アムステルダム大都市圏(MRA) (1) 広域連携を必要とした背景 既に述べたように、MRA では、都市州構想の頓挫から RSA の設立に至っていたが、発展シナリオに至る連携のき っかけとなったのは、国が第5 次国土政策文書案の中で、 ノース・ウィング圏域で2030 年までに 15 万戸の住宅を新 規に建設するという目標を提示したことによる。ここで示 された住宅をどこで開発するかを検討するため、アムステ ルダム市とその周辺自治体とで協議が必要となった。 (2) 広域計画とガバナンスの形成プロセス 協議は、2 州およびアムステルダム都市地域圏の代表、 アムステルダム、ハールレム(Haarlem)、アルメール(Almere)、 ハールレルメルメール(Haarlemmermeer)、ザーンスタット (Zaanstad)、ヒルバーサム(Hilversum)の助役からなる会議で 議論された論点について、関係自治体の助役からなるテー マ別グループで検討が進められ、市長からなる広域調整委 員会に報告されるという体制で行われた。2001 年から 2008 年までに7 回の会議が行われているが、そのテーマは住宅 の配分から、交通(第2 回)、統合的戦略の作成(第 3 回)、 地域経済と地域の競争力の向上(第4 回、第 5 回)、オフィ ス供給(第6 回)、ランドスケープと 2040 年に向けた長期 ビジョン(第7 回)へと展開していった22)。 このように連携の契機となったのは国による働きかけで あったが、実際の協議においては、アムステルダム市が中 心的な役割を果たした。アムステルダム市内には十分な開 発用地がなく、アルメールなど周辺自治体での開発に頼ら ざるを得ない事情はあったが、協議の過程では、プランナ ーが周辺市町村の意向をよく聞きながら進めていき、中心 市として高慢な態度とならないように気を配ったという(19)。 民間セクターの参画については、シナリオの策定過程で は、地域経済に関する議論で商工会議所が参加しており、 発展シナリオの策定過程では一部の民間企業も参加してい るが、全体としては限定的であった24)。 (3) インフォーマルな連携の実現 発展シナリオは、アムステルダムをいかに欧州レベルの 大都市圏として成長させるか、という目標のもとで、経済 活動、社会的統合、文化・アメニティ、ランドスケープ、 生活環境などの多様性と複合性を向上させること、土地利 用を活性化させ気候変動にも対処することを主要アプロー チとしている。このインフォーマルな連携に基づく共通ビ ジョンを実現するため、構成する州および自治体の構造ビ ジョンは発展シナリオに沿って策定することが合意されて おり、アムステルダム市の構造ビジョン(2011 年2 月策定) にある将来戦略図は、アムステルダム市域の外側の地域ま で含み、市の行政界が描かれていない。土地利用に関わる 将来構想図で、他の市町村の行政域まで踏み込んだ図を描 くことは通常困難が伴うことは想像に難くなく、その点で は画期的である。 しかし、発展シナリオで示されたオフィス供給目標は、 需要に対して過大であるという問題点があり、特に金融危 機以降のオフィス需要の低迷と空室率の上昇によって大き な問題となっている。市町村はオフィス用地を他の用途に 転換したいと考えているが、この点ではなかなか協議が進 んでいないという実態もある(20)。 4.3 ノース・ウィング・ユトレヒト(NVU) (1) 広域連携を必要とした背景 ユトレヒトはオランダ国内でも、人口および経済面で成 長が続いており、MRA や BPZ と比べると圏域での広域連 携は進んでいなかった。しかし、2005 年に当時の住宅担当 大臣から、住宅需要をどこで受け止めるかを示し、経済発 展、緑地・水管理も考慮した長期ビジョン(青写真でなく 段階的かつ柔軟性を持つビジョン)を準備するよう求めら れたこと、他の圏域での活動からの刺激もあり、NVU がラ ンドシュタットの国際的立場の向上に寄与するという認識 のもと、広域連携による発展ビジョンの策定が進められた。
(2) 広域計画とガバナンスの形成プロセス(21) NVU では、2040 年まで人口増加が見込まれており、10 万戸の住宅が必要と予測された。また、アムステルダムと ユトレヒトの間の鉄道沿線は開発圧力が高いなど、スプロ ールが進行している問題もあった。これらの背景から、こ の地域の連携は空間の質、ランドスケープの質を高めるこ とを目標とし、インフラや公共交通の整備、ランドスケー プの保全なども関連づけて議論された。そこには、空間の 質を高めることが、経済発展、競争力の強化にも繋がると いう認識が共有されており、商工会議所もランドスケープ に留意するよう望んでいるという。 NVU の構成がユトレヒト州と、ユトレヒト、アーメルス フォート、ヒルバーサムを中心とした都市地域圏となって いるのは、これら3 都市によって形成されるトライアング ルが、NVU の経済発展のエンジンとなっているという認識 による。この圏域の広域連携はユトレヒト州が主導し、3 都市や都市地域圏に対して働き掛けることで形成されてき た。このうちヒルバーサムは北ホラント州に属するが、ヒ ルバーサム市、MRA、北ホラント州に照会した上で、NVU にも参加している。アムステルダム市やロッテルダム市に 比べると、広域都市圏におけるユトレヒト市の影響力は大 きくないが、経済開発を主張するユトレヒト市と、成長管 理、ランドスケープを重視するユトレヒト州との間では軋 轢があり、このことが同圏域であまり広域連携が進んでい なかった原因であった。現在では、州と市の政治家同士が 良好な関係を築いている。 (3) インフォーマルな連携の実現 発展ビジョンでは、国際競争力の向上や気候変動への対 応も考慮し、生活・労働環境の「質」の向上、経済発展と 環境保全のバランスを確保する「持続可能性」、都市化だけ でなくランドスケープも統合的に考える「空間ビジョン」 をキーワードに、NVU 内外、既成市街地内外の住宅供給目 標や、開発を行う重点地区などが示されている。アムステ ルダム大都市圏同様にNVU の枠組み外であるアルメール での開発が想定されているが、アルメール、またMRA と の協議も行われている(22)。 州や基礎自治体の法定構造ビジョンは、NVU 発展ビジョ ンに基づいて策定される。また、発展ビジョンは国土政策 として進められたRandstad2040、Randstad Urgent とも調整 が図られており、国との間で合意されたものである。商工 会議所、環境団体、住宅関係機関、農業団体などとも協議 を行っている。 4.4 ランドシュタット・レベル ランドシュタットでは、ボトムアップで共同の空間計画 を策定するには至っていないが、国際競争力を高めるため の広域ガバナンスとしてはランドシュタット評議会、デル タ・メトロポリスがある。 ランドシュタット評議会は4 州、4 大都市、4 大都市地域 圏という政府機関のみで構成されており、ランドシュタッ トを住むのに魅力がある大都市圏とすること、欧州におけ る、また国際的なランドシュタットの競争力を強化するこ とを目的としていた22)。国際競争力と生活の質をテーマに、 毎月5 名の代表者からなる委員会を開催し、EU 及び中央 政府に対する圏域の代表として活動していたが、2008 年末 に活動は終了しており、現在はブリュッセルに事務所を構 えてEU 機関などへのロビー活動を行っている。 デルタ・メトロポリスは、ボトムアップによるインフォ ーマルな組織として、アイデアの交換を行うことが主な活 動であり、ランドシュタットに関する議論の強化のための プラットフォームとしての役割や、圏域の発展に関するア イデアの創出と国や参加メンバーの政策への反映・還元に 取り組んでいる。活動は、ランドシュタットを強化し発展 させることがオランダの国際競争力を高める上で重要であ るという認識と、そのためには同地域の居住・労働環境を 向上させることが大事だという認識に基づく。メンバーは 官民に渡っていることが特徴であり、政府機関(州、自治 体、水委員会)、公的機関(住宅協会)、民間企業(鉄道会 社、金融機関、開発業者など)へと拡大している(23)。しか しロッテルダム市や北ホラント州、ユトレヒト州など幾つ かの機関は、地方政府への補助金削減の影響からデルタ・ メトロポリスを離脱しており、このことは、費用対効果の 観点から、必ずしもデルタ・メトロポリスに参加すること にメリットを見出せないことを示唆しているとも言えよう。 このように、ランドシュタット・レベルではボトムアッ プによるインフォーマルな連携は形成されているものの、 必ずしも成熟していない。その理由としては、ランドシュ タットのみを重視することに対して他地域からの反発があ るという国土戦略上の問題、ランドシュタット政府ができ れば強力な権限を持つことなるため国が消極的であること (24)、4 大都市間の結びつきはそれほど強くないという見方、 「国際競争力」という文言が曖昧で日常生活圏に近い都市 地域圏の方が連携の単位としてわかりやすい点も指摘され ている14)15)17)22)。 5. 考察 5.1 地域の自立的発展と広域計画の役割 ランドシュタットは、日本ではひとつの地域として認識 されているが、実態として複層的な都市圏構造を有する。 それぞれの関係性を整理すると、以下のようになろう。 空間計画(土地利用計画)に直接関わる圏域としては、 新空間計画法以前に法定の地域構造計画を策定していた都 市地域圏スケールが主要な空間スケールとなっている。し かし、地域構造計画が廃止されたことで、各州や市町村の 構造ビジョンの広域上位のビジョンとして、ウィング・レ ベルのインフォーマルな広域連携が役割を増しつつある。 これらは地域の競争力向上、そのための空間的な質の向上 を背景・問題意識としたボトムアップの広域連携として形 成され、都市開発と公共交通整備を統合的に推進し、経済 発展にも繋げることを目的とした共通ビジョンの策定に繋 がっている。すなわち、地域の競争力を高めるために、連
携が必要であるという認識の共有による自発的な動きを基 盤とし、広域計画のもとで経済成長や環境保全などを統合 的に進めていくという、自立的発展の体制と取り組みが形 成されていると言えよう。 他方で、国際的観点からはランドシュタットがひとつの 地域として強化されるべきであるとの主張があり、デル タ・メトロポリスなどボトムアップの連携もあるが、実態 的にはロビー活動やシンクタンクとしての機能に留まって いる。ランドシュタット・レベルの空間政策は、国によっ て枠組みが示されており、最近の国土計画では機能的な関 係性に立脚したウィング・レベルの圏域が提示された。こ のように、ノース/サウス・ウィングは、国際的・国土政 策的な持続可能な発展を図る圏域単位としてのトップダウ ンの認識と、都市単独ではなく地域が連携して空間的な質 を高め競争力を向上させるというボトムアップの動きが統 合される圏域として形成されていると見ることができよう。 加えて、ノース/サウス・ウィングが広域連携の中心的 空間となっていることは、国際的な視点を持ちながら空間 計画分野での連携を進める上では、日常生活や経済的活動、 土地利用からみて実態的に結びつきの強い空間スケールが 望ましいことを示唆していると言えよう。 5.2 ガバナンスの形成プロセス 本節では、多核的大都市圏において多様な主体による連 携体制を構築し合意を形成するために有効なプロセス・手 法について知見を得るため、ランドシュタットにおけるガ バナンスの形成に関係主体(各層の政府、民間)が果たし ている役割と、共通ビジョン策定に至る計画論について考 察する。 (1) 国・地方政府・大都市・民間の役割 広域連携を進めるために重要な要素として、広域連携活 動を行う上でのリーダーシップの存在が指摘できる。MRA においては、アムステルダム市が協議およびプランニング の過程で主導的な役割を果たした。このように中心的大都 市が広域上位の州や他の自治体と丁寧な協議を行いながら 進めていくプロセスは興味深い。また、デルタ・メトロポ リスが4 大都市主導で始まったように、国内外において政 治的、経済的に影響力を持つ大都市がリーダーシップをと ることで、広域連携の機運が生まれ実態的な動きに繋がり やすいことが指摘できる。 州も、BPZ における南ホラント州、NVU におけるユトレ ヒト州のように、広域上位政府として連携を主導しており、 中小の基礎自治体の意見を代表するという役割も果たして いると言える。だが、NVU では、ユトレヒト州とユトレヒ ト市が友好的関係にあることが連携促進の要因となってい るが、BPZ のように州と州内大都市との間の利害対立もみ られ、広域上位政府と大都市の関係が連携に及ぼす影響は 大きい。また、ノース・ウィングが実質的に2 つの圏域に 分かれているように、大都市同士の連携も課題となる。 一方で、ランドシュタット・レベルでは実効あるガバナ ンスの形成には至っておらず、Randstad2040 や Randstad Urgent などの大都市圏計画、また MRA や BPZ の広域連携 促進において、国が果たした役割の重要性も指摘できよう。 同時に、ウィング・レベルの連携の成果や意向も反映させ ながら協働により進めている点に留意すべきである。 以上のように、ランドシュタットの事例からは、大都市 圏のガバナンスを形成する上で、広域政府(国、州)と、 圏域の中心都市である大都市によるリーダーシップが大き な役割を果たしていることが明らかになった。また、日本 では、関西圏や九州圏のように経済団体が連携を主導する 事例が多いが、オランダではデルタ・メトロポリスに企業 が参加しているもののそのイニシアチブは強くなく、政府 が主導していることが特徴である。このことで連携が行政 界を越えにくくなる可能性もあるが、NVU のように州境を 越えた自治体の参加もあり、実態に即した柔軟な枠組みの 設定もなされている。 (2) 計画論的考察 合意形成プロセスを計画論的観点からみると、BPZ の例 が興味深い。「競争力向上、住環境の向上」を、鉄道の運行 本数を増やすという具体的でわかりやすい目標に落とし込 み、Stedenbaan プログラムを軸に、他の分野へと連携領域 を拡大していった。また、MRA についても、当初は住宅問 題がきっかけであったが、そこから経済開発などへと議論 の内容を拡大していき、発展シナリオの策定に至った。 4.4 節でも述べたように、「国際競争力」は曖昧であり、 広域連携を進める上で具体的目標にブレークダウンするこ と、また初めから共通のビジョンの策定を目標に置くので はなく、連携できる分野から経験を積み、領域を拡大して いくことで成熟させていくプロセスをとることが有効であ るという知見が得られる。 5.3 インフォーマルな連携の実現手法 インフォーマルな連携は、どのように実現するかが課題 である。MRA、BPZ、NVU の事例では、州および市町村の 構造ビジョンという法定の空間計画制度によって実現する という合意が関係者間で得られていた。だが、そこに強制 力はなく、こうした「緩い」関係が、むしろ広域連携を存 続させるキーファクターでもあるとの見解も聞かれた。 他方で重要なことは、定量的な分析に基づいて情報を示 し、協議を行うという姿勢である。空間計画という各自治 体の発展を左右する分野の連携を深める上では、共通ビジ ョンの意義やその内容をできる限り客観的なエビデンスに 基づいて示す取り組みが求められる。 6. おわりに 本研究では多核的大都市圏であるオランダ・ランドシュ タットを事例に、地域の自立的発展に向けた広域計画の役 割とガバナンスの形成プロセスを明らかにした。以下に得 られた知見をまとめる。 (1) 地域の自立的発展、競争力の向上という観点からみる と、ランドシュタットにおける広域連携の中心は機能的な ウィング・レベルの圏域であり、ボトムアップの広域連携
も形成されやすい。通勤圏や商圏の一体性や経済的機能に 基づく自発的な連携を尊重しつつ、これらを国土・広域計 画において位置づけることで、複層的な空間スケールの関 係性と各圏域の役割を明確にすべきであろう。 (2) 地域の競争力向上のためには、居住・労働環境の利便 性向上、公共交通の整備と集約型都市構造、ランドスケー プなど空間の質を向上させることが重視されており、広域 空間計画の重要性が強く示唆される。合意を形成し実現を 担保するためには、最初から圏域の共通ビジョンの策定を 目標に置くのではなく、わかりやすい目標設定、できると ころから連携を成熟させていくプロセスが求められよう。 (3) 対応する政府がなく各都市が競争関係にある多核的大 都市圏では、空間的枠組み・方針の提示、連携の促進、事 業の推進において、連携の熟度に応じて国や広域上位政府 が一定の役割を果たすことも重要であろう。また、大都市 も主導的役割を果たしうるが、広域上位政府および近隣市 町村と良好な関係を構築する姿勢が求められよう。 最後に、本稿では、まだ幾つかの州や自治体で構造ビジ ョンを策定中であることもあり、各圏域で策定されている 戦略の内容については詳しく述べていない。州や広域連携 の評価のためには、これらの戦略の詳細性や法定計画との 関係性、実施過程などを詳細に分析することが必要である。 また、ランドシュタットにおける環境分野の広域連携につ いても扱っていない。これらは今後の研究課題としたい。 謝辞 本論文は、著者が参加した国土交通省国土計画局「東アジア等国土政策ネ ットワーク構想検討基礎調査」におけるオランダ調査(2010 年2 月)、および JSPS 組織的な若手研究者等海外派遣プログラム「都市の環境資源の保全お よび改善に関する若手研究者国際交流・育成プログラム」の助成を受けて 行った調査研究(2011 年1~3 月)の成果をもとにまとめたものである。ご関 係の皆様に、記して謝意を表します。 補注 (1) 1999 年に欧州委員会とEU 加盟国空間計画担当大臣によって合意された 欧州空間発展展望(European Spatial Development Perspective: ESDP)では、EU の空間発展の基本理念のひとつとして「均衡ある多核的な都市システムと 新たな都市農村関係の発展」が掲げられており、多核的空間構造がEU の持 続的発展を支えるという考え方が示されている。
(2) 本稿では、オランダ語の用語はイタリック体で表記する。
(3) ヒアリング先は以下の通り。住宅・空間計画・環境省(Mr. Arjen van der Burg)、北ホラント州(Mr.Paul Strijp, Mr.Nadav Haran)、南ホラント州 (Ms.Gemma Smid-Marsman, Mr.Patrick Verstoep, Mr.Arijan Van de Lindeloof)、ア ムステルダム市(Mr.V.J.M. Verschuuren, Mr.A.Ton Bossink)、ロッテルダム市 (Mr.Martin Aarts, Mr.Joep Boute)(以上2010年2月)、インフラ・環境省(Mr. Arjen van der Burg)、北ホラント州(Mr.Reinoud Bakker, Mr.Nadav Haran)、南ホラン ト州(Ms.Olga Arandjelovic)、ユトレヒト州(Mr.Klaas Meester)、デルタ・メト ロポリス(Mr.Paul Gerrestsen)、サウス・ウィング(Mr.Ger de Reus)、Stedenbaan 事務所(Mr.Herman Gelissen)、ハーグ都市地域圏(Mr.Lodewijk Lacroix)、ロッ テルダム市(Mr.Martin Aarts)(以上2011 年3 月)。 (4) 8 つの都市地域圏は、ほかにアイントホーフェン(Eindhoven)・ヘルモン ト(Helmond)、アーネム(Arnhem)・ナイメーヘン(Nijmegen)、トゥエンテ (Twente)、リンブルグ(Limburg)。 (5) 新空間計画法に基づく制度については、馬場(2009)に詳しい。 (6) 構造ビジョンには政策を当該政府の公務員がどのように実現すべきか も示され、策定母体(国、州、基礎自治体)を拘束するが、法的には他の 政府層には影響を及ぼさない。 (7) 旧法の下では、基礎自治体の土地利用計画は州による承認が必要であっ たが、Wro では不要となった。だが、国及び州は、国・州の利益に関わる場 合のみ、編入計画(inpassingsplan)と呼ばれる土地利用計画を策定することが できる。また、政令・州令を発行して、基礎自治体の土地利用計画に関し て規則を定めることができる。 (8) 2010 年10 月に誕生した連立政権は「小さな政府」を掲げ、都市地域圏 を廃止する方針を打ち出している。 (9) オランダ統計局(CBS)によれば、アルメール、北ホラント州のうち Alkmaar 及びその周辺地域と北部を除いた地域、南ホラント州、ユトレヒト 州のうち南東部を除いた地域とされている。 (10) Randstad2040 では計画圏域は厳密には定められていない。Randstad2040 Facts&Figures(VROM, 2007)では付録にRandstad の境界を示す図があるが、 計画本文の図ではこの境界にとわられずに機能やネットワークが表現され ている。それは概ね、アルクマール(Alkmaar)、ホールン(Hoorn)、レリスタ ット(Lelystad)、アルメール(Almere)、アーメルスフォールト(Amersfoort)、ド ルドレヒト(Dordrecht)までを含む圏域である。 (11) 国土空間戦略、Randstad2040 については、2010 年の政権交代に伴い見 直しが進められており、インフラ・空間に関する構造ビジョンに置き換え られる予定である(2011 年6 月に素案が示された)。 (12) グリーンハートにおける広域連携としては、1996 年に創設されたグリ ーンハート・プラットフォーム(Bestuurlijk Platform Groene Hart)がある。国の 関係省庁、北ホラント、南ホラント、ユトレヒトの3 州、5 つの自治体連合、 4 大都市、水委員会、農業団体、商工会議所、環境団体などNGO が参加し ている(文献22))。 (13) インフラ・環境省へのヒアリングより。また参考文献20)。 (14) 当初は35 のプロジェクトが含まれ、現在は22 のプロジェクトが進行 中である。これらは既存の事業であるが、位置づけられることによって実 現が早まるメリットがある。Randstad2040 もこのプログラムのひとつであ った。 (15) サウス・ウィングへのヒアリングによる。 (16) サウス・ウィングへのヒアリングによる。 (17) Stedenbaan は、当初鉄道のみを対象としていたが、地域交通の観点から は他の公共交通機関も含めるべきだという考え方から、地下鉄、トラム、 バスも扱うようになり、また、オランダからベルギー、フランスに至る国 際路線の動脈を形成するデルフト~ロッテルダム間の複々線化などインフ ラ整備も若干含むことになった。これを反映して、2011 年からは Stedenbaan+と改称して推進されている。 (18) ロッテルダム市へのヒアリングでは、特に国際競争力の観点からは、 インフォーマルな広域連携は経済のダイナミックな動きに迅速に対応しづ らいことへの不満も聞かれ、政治力・経済力が強いロッテルダム市とハー グ市は、南ホラント州は不要で、自分たちだけで進めるという意向も持っ ているという。実際に両都市圏の間で独自に広域連携の動きがあり、両都 市地域圏で共通のニューズレターを発行する、ロッテルダム空港を「ロッ テルダム・ハーグ空港」と改名する、両都市地域圏の地域構造計画の将来 構造図をひとつの図にまとめて、両者が整合を図っていることを示すこと も行っている。 (19) アムステルダム市、北ホラント州へのヒアリングによる。 (20) 北ホラント州(Mr.Nadav)でのヒアリング(2011 年3 月)による。 (21) 本項の内容はユトレヒト州へのヒアリングに基づく。 (22) ユトレヒト州へのヒアリングによる。 (23) デルタ・メトロポリスの財源は、3 分の1 が公的セクター(政府、水委 員会など)、3 分の1 が市民セクター(環境団体など)、3 分の1 が民間企業 から拠出されている。なお、Gerrestsen 氏によれば、民間企業はロビー団体 としてデルタ・メトロポリスを活用したいという思惑もあったが、民間の 利益のための活動とならないように、財源負担に見られるようなバランス を重視しているという。 (24) 2010 年10 月成立の新政権は、ランドシュタット州のスケールアップを 掲げており、2011 年2 月、南ホラント州を除く3 州は、統合による効果に 関する分析を行うことを表明した(南ホラント州には北ホラント州からの 呼びかけがなく、南ホラント州は内務大臣がイニシアチブをとるよう要望 した)。しかし、これまでの同様の議論が浮かんでは消えた経緯もあり、こ の方針が実現するかどうかは、懐疑的な見方がある。 主要参考文献
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7) Rodriguez-Pose, A. (2008), “The Rise of the “City-region” Concept and its Development Policy Implications”, European Planning Studies, Vol.16, No.8, pp.1025-1046. 8) 中井検裕(2011)「分権下における広域計画」, 蓑原敬編著『都市計画-根 底から見なおし新たな挑戦へ』(学芸出版社)所収. 9) 城所哲夫・片山健介(2010)「広域都市圏形成の特徴と広域ガバナンス構築 の可能性に関する研究-地域イノベーション強化政策に着目して-」, 都市 計画論文集, No.45-3, pp.667-672. 10) 角橋徹也(2003)「オランダの西部都市圏ラントスタットの成長管理に関 する研究-多核分散型環状ネットワーク都市創生の基盤-」, 日本建築学会 計画系論文集, 第566 号, pp.55-62. 11) 角橋徹也(2009)「オランダの持続可能な国土・都市づくり」, 学芸出版 社. 12) 村山顕人他(2006)「大規模工業・港湾地区の再生に向けた空間計画の枠 組みに関する考察-イギリス・ロンドン及びオランダ・ロッテルダムの事 例分析から-」, 都市計画論文集 No.41-3, pp.719-724. 13) 馬場美智子(2009)「オランダの都市計画における地方分権と広域的観点 からの調整方法に関する考察-空間計画法の改正による国と自治体の役割 を踏まえて-」, 都市計画論文集, No.44-1, pp.87-92.
14) Bart Lambregts and Wil Zonneveld (2004), From Randstad to Deltametropolis: Changing Attitudes Towards the Scattered Metropolis, European Planning Studies, Vol.12, No.3, pp.299-321.
15) Bart Lambregts, Leonie Janssen-Jansen and Nadav Haran(2008), Effective governance for competitive regions in Europe: the difficult case of the Randstad, GeoJournal, 72, pp.4557.
16) Willem Salet (2006) “Rescaling Territorial Governance in the Randstad Holland: The Responsiveness of Spatial and Institutional Strategies to Changing
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19) VROM et al. (2006) National Spatial Strategy: Creating Space for Development (English Summary).
20) Arjen J. van der Burg and Bart L. Vink(2008), Randstad Holland toward 2040 – perspectives from national government, 44th ISOCARP Congress.
21) VROM (2008), Randstad 2040: Summary of the Structural Vision. 22) OECD(2007), OECD Territorial Review: Randstad Holland, Netherlands. 23) 金井利之・財団法人日本都市センター編著(2011)「オランダ・ベルギー の自治体改革」, 第一法規.