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ネギ黒腐菌核病の発生実態と防除対策上の課題

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Academic year: 2021

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(1)16. 研究 報告. ネギ黒腐菌核病の発生実態と防除対策上の課題. ネギ黒腐菌核病の発生実態と防除対策上の 課題 伊代住. 静岡県農林技術研究所. は. じ. め. に. ネギ類の黒腐菌核病(英名 White Rot「白腐れ」 )は,. 浩幸・斎藤 千温. を受けたりして減少するが,ネギ類の「におい」がない 状態では基本的に休眠し,10 年以上生存することが知 られている。そのため,罹病植物の移動はもとより,耕. 黒腐菌核病菌(Sclerotium cepivorum Berkeley)が低温. 作車両や人,根付きの非宿主植物や放牧される動物等に. 期にネギ類を特異的に侵す土壌病害として世界的に発生. よって土壌とともに移動するほか,風雨によっても耕地. ,我が国でもタマネ が問題となっており(CROWE, 2008). 内・間を容易に移動する(CROWE, 2008)。. ギ,ニンニク,ニラ,ラッキョウ,そしてネギを侵す重. 世界的に菌核直径が 0.5 mm 程度で類球形・小型のグ. 要病害である(ユリ類黒腐菌核病菌は亜種とされてい. ループと,より大きく不定形の菌核を作るグループが知. る)。本病の防除対策については,近年,本誌 2014 年 1. 。我が国においても,最近, られている(CROWE, 2008). 月号において,各種土壌消毒法や緑肥作物等の輪作によ. 片岡らによって全国に分布する黒腐菌核病菌を用いて,. る発病軽減策を取り入れた,前作発病程度に応じた総合. 菌核形状,培養性状,MCG,分子系統による解析が進. 的防除対策メニュー(小河原,2014)が紹介されたほか,. められており,MCG(菌糸体融合群)および分子系統. 2015 年 6 月号において低温期の株元 pH を積極的に上げ. において大きく A 群(大きな菌核),と B 群(小さな菌. ることによる被害軽減が紹介されている(伊代住ら,. 核)に分かれ,地理的には,A 群は東日本に分布し,B. 2015)。その後,生育期防除剤としてシメコナゾール粒. 群は全国に分布することが報告されている(片岡ら,. 剤(モンガリット粒剤)の株元散布,ペンチオピラド水. 2017;2018。現在,静岡県では B 群が確認されている)。. 和剤(アフェットフロアブル)の株元灌注処理,最近で. A 群と B 群の間で培養性状に明瞭な差が認められると. はフルジオキソニル水和剤(セイビアーフロアブル)の. いうことで,発病への影響の解析が今後進むことが期待. 散布処理などが相次いで登録され,高い防除効果が期待. される。. 植物防疫. できる実用的な総合防除体系が可能となってきている。 本稿では,近年明らかにされつつある本病害の発生実 態について触れるとともに,筆者らが取り組む総合防除 対策の策定状況と今後解決すべき課題について述べる。. I ネギ黒腐菌核病の発生実態 黒腐菌核病菌は,子嚢菌類のうちキンカクキン科に近. II 生育期防除剤を加えた黒腐菌核病の 総合防除対策 上述の通り,近年相次いで本病害に有効な生育期防除 剤が登録され,2018 年度も複数の新規剤および既存剤 が本病害対象の新農薬実用化試験に供されている。これ を土壌消毒や pH 矯正による病原力低減と組合せること. ,完全世代は未確認 いとされているが(XU et al., 2010). で,小河原(2014)が策定した総合防除対策を補完し,. で,遠くない過去に組換えが起きていることが示唆され. 甚発生圃場においても被害をほぼなくすことに成功して. ているものの,基本的にクローン生成する菌核により分. いる(図―1. 散し,被害を及ぼすと考えられている(COUCH and KOHN,. している菌核密度を土壌消毒(あるいは輪作など)によ. 2000) 。菌核は,罹病ネギ類上で形成された後,土壌中. り十分に低下させたうえで,根圏に生残した,あるいは. で傷などの刺激によって発芽したり,微生物による分解. 土寄せによってネギ近傍に到達する菌核が活動を開始. 斉藤ら,2017)。ここでは,土壌中で休眠. し,化学的防除が効きやすくなるタイミングを見計らっ Occurrence of White Rot Disease in Welsh onion Cultivation and the Issues that should be Solved for Controlling the Disease. By Hiroyuki IYOZUMI and Chiharu SAITO (キーワード:ネギ黒腐菌核病,総合防除,生育期防除,ヘソデ ィム). 16. 植物防疫. 第 73 巻第 1 号(2019 年). て,あらかじめ生育期防除剤を施用することが重要にな る。その目安は日平均地温が 20℃を下回る時期であると 考えており(図―2),静岡県で本病害の発生が最も問題 となる年明け〜春どりの作型においては,ペンチオピラ.

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