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えびの・吉松地区深部電気探査報告小野吉彦

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(1)

防災科学枇術総介鮒究靴=デ 身…26{二…  1971有i3月

550,837:550,372:550,341(522.7/.8)

えびの・吉松地区深部電気探査報告

小野吉彦

地 質 調 伶 所 Ge◎electrical Survey in the

Ebino−Y◎shimatsu District

       By

    Yoshihiko◎n◎

Gθ01・批α1∫〃砂θ〃・りαρ・η,τ0〜0

Abstract

  Vertical electric s01』ndings were carried out in the Ebino−Yoshimatsu earthquake district to get the information of its underground structure.

  In this survey,72curves of vertical electric sounding(VES)were ob−

tained,t11e maximum of half e1ectrode separation being4km.From the analy・

sis of these electric data, 9eoelectric sections a1ong the survey lines are given,and the resu1ts of the survey are summarized in the present paper.

 1.緒  言

 昭和43年2月以来,富崎県えぴの町・鹿児島

県吉松町付近は一連の群発地震に見舞われた,

 そこで,このえびの・吉松地区地震の背景をな す地質構造を探るべく,地下構造調査班が編成さ れ,地質調査所を主体として一一連の総合調査が実 施された.地表地質.坑井地質・物理探査・地化 学探査等からなるもので,電気探査は特に次の諸 点に主眼をおいて実施された.

 (1〕震源分布の密な区域と考えられる加久藤盆 地およびその南部の台地の地下構造を明らかにす

る、特に,加久藤層群の底痂深度および形状の決 定ならぴにその下部構造の推定と台地下の加久藤 層群の存否および厚さの推定を行なう.

 (2〕地温異常分布区域の電気的デ タヘの反映 を調べるなど地下の状態に関する資料の収集を行 なう.

 本探査において,現場測定作業ならぴにデータ 整理作業は住鉱コンサルタソトKXの協力を得て 実施され,この結果にもとづいて筆考が解析を行 なった・現場測定期問は昭和43年9月初旬〜同

年10月中旬の1月余である.

電気探査がこの種の目的に利用されたのは松代 地震以来。度目のことであり(1)・(・),まだ,探査深

度の点その他で検討の余地はあろうかと思われた が,当時まだ地震がおさまっていない時に人工地 震を用いる地震探査を実施するわけにもゆかず,

地震探査法(屈折法)の代りに深部電気探査法が 採用されることになった・

      注一)

 2・探査区域と測線

 探査区域は霧島火山北西方に位し,宮崎県西諸 県郡えびの町およぴ鹿児島県姶良郡吉松町にまた がる.図一1に測線およぴVES点位置を示す.同 図から明らかなように,SW−NE方向にのぴる

長さ10㎞のA測線とW E方向の10KmのB測

線を主測線とし,これら両測線上に250mおき にVES点を配置させた.VES点とは垂直探査の中 心点のことである.この他,2号井試すい予定地

点付近にHD測線を,吉都線南側にHC測線を補 助測線として設け,また,同図右上隅にHF測

線を,国見山北方県境付近にHE測線を設げて参

考測線とした.VES点合計は72点にのぼる

(表 1参照).

一63一

(2)

えぴの・吉松地区地震に関する特別研究 防災科学技術総合研究報告 第26号 1971

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      肝・い〕1一π2

図一1

Fig.1.

電気探査測線およぴ測点位図 Surveyed area of e1ectr ical

Sound i ng・

VE S点  表 Taa1e

B3

A4,A36,B36

A5,A35,B5,B35

A6〜7・A33…34,B6〜7,B33〜34 A8〜11,A29〜32,B8〜11,B29〜32 A12〜15・A25〜28・B12〜15・B25〜28 A16〜24,B16〜24

HC4,HC8,H=D3

HE2 HF1,HF3

AB/2)m・x

  m

750

1.000 1.250 1.500 2,O00 3,OO0 4.000 1.000

350 250

 なお,1号井試すい予定点はB14とB15中

問点付近にあり,両試すいとも電気探査が終了し てから実施された.また,防災セ1タ観測井は電 気探査の実施時にA8〜A9付近に掘さくされた.

 A測線は両端部を除くと加久藤盆地の周縁部を 通過し,地形も平担となっている.B測線は大部 分霧島溶岩台地の上を走っているが,西で加久藤 盆地の平地を横切り,西方に向って次第に高くな っている.両測線とも大略カルデラ内部に存在し ているものと考えられる.HE測線は加久藤安山 岩類の比抵抗データを得るために,HF測線は四 万十層群の比低抗値のオ■ダを知るために設げら れた.HD測線は試すいデータと電気探査デ タ との比較から加久藤層群の比低抗値を決定するた めのものである.

VES点

A測線 33点  補助測点 3点 B測線 33点  参考測点 3点

3.探査カ法およぴ測定結果

今次探査では,松代地域の場合と同様に

(3)

えひの・布松地凶釆部電気探脊幸舳   小野

Schlumberger法が採用された.この方法は比抵 抗法の一一種であり,電流電極間隔に比べて十分小 さな電位電極間隔で電位差を測定するもので,電

流電極間隔ABの関数として見掛比抵抗ρaを求 めて垂直探査曲線(VES曲線)を完成し,一連

のVES曲線の解析から地下の電気構造断面を作 成してこれらのデータから地下の構造乃至状態を 推定しようとする方法である(図一2).

1l

A      M   N      8

         I       一

     帆/2r

      1          .       ■          l

      I          ■       l          W,/2→

焔12

図 2 シュラ1■ベルジャ 配置とVE S曲線 Fig・2・ Schlumberger configurat ion     and VES curve.

電位差は自然電位分をS P補償器で打消した後に 記録された.こうして,電流およぴ電位記録から 電流Iおよび電位差△Vが読み取られ,次式

   ρa=K・△V/I

を用いて見掛比抵抗ρaが算出された.こ工に,

Kは配置係数でSch1umberger法では

   K二π・AM・AN/MN     ÷π(AB/2)2/MN

である.

 電流電極として数多くの棒状鉄製電極を群設置 状にしたものが用いられて接地抵抗の低滅がはか

られ,電位電極には無成極電極か用いられた.

 VES曲線は両対数方眼紙上に横軸にAB/2

を,縦軸にρaをとって図示される(図 2等を参 照されたい).図一2にみられるように1つの

V E S曲線は数本の曲線枝から構成されている.

各曲線枝は一つの電位電極間隔に対応する.もし 大地が均質であるならぽ,曲線は直線となり,理 想的層状構造をなすならぱ,曲線枝間の食い違い は事実⊥無くなる.逆に,食い違いが大きい場合 は少くとも電位短極付近における不均質の程度が 大きい証拠となる.

 木区域で得られた代表的VES曲線の例を図一一

 電極問隔AB/2として,50,l00,150,

250, 350, 500, 750, 1,O00,1,250,

1,500,2,000,3,000,4,000mの各種が 選ほれた.すなわち,(AB/2 )  二4㎞で        n旭x

ある.一方,電位電極間隔としては,MN/2

15,75およぴ250mの3種類が用いられ,

原則としてMN/AB41/5となるようにして

測定が実施された.

 使用された探査装置は流電電源,送信装置およ ぴ受信装置からなる.流電電源としては通常AC またはDC発電機が用いられるが,本探査では特 殊な蓄電池が使用された.電流は電源から送信装 置を経て直流あるいは極低周波矩形波交流として 大地に流されるわげであるが,こ∫で使用された 送信装置は電磁開閉器を内蔵し,最大1,200V,

10Aの直流を流すことができる.

 電流,電位差の測定はともに電子管式自動平衡 型多段記録計を利用して実施された.この記録計 の最大感度は10μV/di。.である.電流はシ

ャノトを通して生ずる電位降下の形で測定され,

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図一3 ■測線代表的VES駒線

ト「l g.3. Examp−es o f t y p i c a l VE S

    curves a1ong the survey     l ineノ、

3および図一4に示す.各曲線の右舳まAB/2 の増加に伴って増大し,横軸と。15し=の角度をなす 直線に漸近することが判る.このように4ず漸近

一65一

(4)

えひノ)・1㌧松地区地震に閥する特別研究 防災科学技術総今研究幸肚 第26号 1971

葦11−11鰯 1 {. 一螂

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図一4 B測線代表的VES曲線

Fi g.4− Examp l e s o f t yp i c a l VE S

    curves a1ong the survey     l ine8.

線を有するVES曲線は探査区域の下部に極めて 高い比抵抗層が存在する証拠となるが,反面,そ

の下部の構造についての情報を与えてはくれない.

そこで,このような高比抵抗層を電気的絶縁性基 盤あるいは簡単に電気的基盤と口乎ぴ,・一種の鍵層 とみなしてその形状.深度から地下構造を論ずる のに用いることが多い,

 幸にも,45。漸近線をもつV E S曲線の場合,

この漸近線と横軸との交点の横座標は全縦電導度 Sを表わす.全縦電導度とは基盤を被覆する各層 の縦電導度の和であり,一種の構造の指標となる ものである.こ∫に,縦電導度とは比抵抗層の厚 さと導電率の積であり,各層が等方性であるなら ぱ,全縦電導度Sは(図一5参照)・

     π      π

  S= Σ ∫{= Σ hi/ρi     己=1    6=1

となる.こ∫に,Siは各層の縦電噂度,hiはそ の厚さ,ρ1はその比抵抗である.SはVES曲        π線から決定されるので,等価比抵抗ρ・=Σhi       E=1   几/(Σhi/ρi)が何らかの方法で求められれば・

 {=1

基盤深度H= Σh。が求められることになり,

      一=1

〃 の変動がいちじるしくないときには,∫はH にほv比例するとみてよいので,しぱしぱ∫の分

8,見 8,見

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」00

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Cu㎜

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L 栂/2

10S Deρth

図一5 3層曲線と∫線

F l g.5− Th r e e 1a y e r cu r v e

    and the  ine 5.

Deρth

布図または断面図は基盤深度図の代用となる.

 また,極小比抵抗ρmin,極大比抵抗ρmaXあ るいは基盤極大深度Hmax二∫・ρmin等,図式 的に求められる特性値を定竹解析に役立たせるこ とも可能である.

 更に,AB/2を一一定としたときの見掛比低抗 デ タから水平探査曲線も作成され,地域の電気 構造の水平変化特竹を調べるのに利用された.

 図一6およぴ図一7にAおよびB測線水平探査

曲線(AB/2=100,500,2,000m)

を示す、その他の特性値曲線を図18および図 9に不す.

 A測線沿いV E S曲線の一般特性は中問層比低       注2)

抗が低い凹型比抵抗構造(H型構造 )を反映し,

特にA13〜A21区問では互に類似したVES 曲線が得られた.また,A12以西,A23〜A

29,A30〜A36区問ではそれぞれ各グルー

プを形成しているとみなされる、

 B測線の水平探査曲線は極めて変化に富み,

VES曲線もA測線に比べて複雑な様相を呈する ことから,B測線沿いに,比抵抗は水平的にも,

垂直的にもいちyるしく変化し,それだげ構造的 に複雑であることを示している.

 そのために,V E S曲線には深度方向の比抵抗 の反映のみならず,水平方向の不均質効果(横断 効果と側方効果)が重畳していて,解析をいちy るしく困難にした.横断不均質効果の例はVE S

(5)

えぴの・占松地区深部電気探査謝告 一 小野

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図一6 ノ測線水平探査曲線

F i g−6. Ho ri z on ta1p ro f i1e cu r v e s

  of the 1ine ノ .

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図一7 B測線水平探査曲線

F i g.τ Hor i zo n t a1pr o f i1e cu r ve s

  of the 1ine 」B.

    一67一

(6)

えぴの・吉松地区地震に関する特別研究 防災科学技衡総合研究報告 第26号 1971

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1−lO

10    15     図一8

    Fig.8一

    20    25    30

■測線特性値曲線

Curves of characterist ic values along the line /1・

35

100

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10    15

    図一9

    Fig.9、

   20   25   30

B測線特性値曲線

Cu r ves o f ch a r ac t e r i s t i c

val・esalongthelineB・

35

鳥㎜

(7)

えひの・[!j松地〜渠部宙気探脊幸舳   小野

曲線B19(図一4)にみられるが,この効果は 測線上随所にみられる.側方不均質効果はなかな

か検出し難いが,VES曲線A17(図一3)右

方上昇枝にこの効果があらわれているものと考え られる・こうした効果は∫値の決定精度を低下す るのみならず,時として,全く異なる構造のよう に誤って解釈する原因となる.

 4.解析結果とその考察   (i) A測線

 A13〜A21V E S曲線は互によく似た特性

を示し,図■10の両限界曲線a,b内にはさま

れて分布している。これらVES点下の電気的構

造は極めて類似していることが予想される.そこ で,この区間を標準にして解析を実施する.低比 低抗中間層の真比抵抗値のひ上う最1は境界面深度 決定に大きな影響を与えるので,この場合,次の ようにして実施した.

 解析時点では電気検層デ」タは皆無であり,ま た有ったとしても精度の悪いことがむしろ多いの で,上記諸VES曲線からρmi、値を読み取り(図

■8参照),件1、値が4.4\ρm、、\3.4Ωmと比 較的狭い範囲内に収まっていることを確認する.

このことは前記の低い貞比抵抗値が比較的安定し 自m=・十…

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図一10 ■12〜ノ21問のVE S曲線の範囲

Fig.1O. Limited portions of VES      curves between /12■■21.

ていることを示すものである.今の場合言n刷曲 線であるため,ρ2!ρm、、(ρ2は中問層比抵抗 を示す),あるいは〃∠ρ、工、i、(第一層と第二膚か らなる等価層の比抵抗,前出)となる.一方,実

測曲線と理論曲綴との比較から,極端な場合を考 えても,ρ2値がρmiρ値よりもいちじるしく低 いとは考え難い.多分,ρ2\1.5〜2.0Ωmで あろう・結局,3.4〉ρ2>1−5となる.一方,

2層およぴ3属理論曲線との重ね合せより求めた

    注3)、

擬似比抵抗ρ2値の分布状態を考慮して,ρ2一・

2.5Ωmを選んだ一

 また,ρ3,すなわち,絶縁性基盤の比抵抗値 はV E S曲線右部の上昇性から考えて100Ωm 以上であることは明らかであろう.

 上記区問で側方効果が現れているのは,側方で 臼、に基盤が浅くなっているためと考えられ,∫の 決定はこれに関して適当な補正を施して実施され た。こうして,同区問の各曲線の解析から電気構 造断面が求められた(図一11中央部参照).

 次に,V E S曲線ノ25を検討する.この曲線

はノ25点付近のVE S曲線の代表的なものとみ

なされる.その極小部は前の場合に比べてはるか に巾広く,且つ,俗i、侑は大きい・したがって,

ρ2値はρmir8Ωmとあまり違わない値である と考えられる、また■34曲線も比較的巾広い極

小部を有し,ρmir24Ωmから,上と同様な手 法でρ2筥20Ωmとひょう量された.

 このように,中問層比低抗を予め求めておいて 解析を実施し,図 11のような電気構造断面を

得た.

 同断面で,ノ25〜ノ30区問では,上述のρ2 層は6〜9Ωmと変動しているものとして取扱わ れている.その東側にみられる約20Ωm層は■

29曲線等にも見られるので,6〜9Ωm層の下 部に来るものと考えられる.

 一方,ノ25点西側(ノ22〜ノ25)では,

2.5Ωm層が存在すると解析されるが,あるいは

西から東へ向って,2・5Ωmから9Ωmまで増加

する漸移地帯とも解析される.前者の場合,2.5

Ωm層は東に向って尖滅し,その下部に9Ωm層

が横たわることになり,その底面は西方の2.50m 層の底面に連なっているものと考えられる.もし 漸移帯とみなすならぱ,図一11の断面内の境界 線ノは消え,境界線Bのみ残る(つまり下部境界 痂は両者ともほとんど一致する).

 ノ32点以東の20Ωm層下部高比抵抗層と断

面中央部の2.5Ωm層下部の高比抵抗層とは同質 であるか否か問題となる.この高比抵抗層は下部

は100Ωm以上あることが明らかであるが,上

一69一

(8)

ωoo而

えぴの・i㌔松地区地震に関する特別研究 防災科学技術総合研究報告 第26 号 1971

一凹o

20     25    30     35

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・・二=ミーこ二三7 。。

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単位1nm.

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500

一μo

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○   帖   1−m

図一11

Fig・11.

ノ測線電気構造断面と重力断面

Geoe l ec t r i c a1 s ec t i on and gra v i t y

P・・fil・・1・㎎th・1i・・人 部低比低抗層とこの高比低抗層の中問に数10Ωm

層があったとしても曲線上ではその層を検出する ことは困難である.もし,この層が存在すると仮 定して理論曲線と比較して極限厚を求めると          注4)

1000m以内となる.

 ノ9〜∠12区間では西方に向って,2.5Ωm 層は次第に薄くなる.この層の西側または下部に

10Ωm以下あるいは20Ωm層が存在すると考

えられる.

 さて,2.5Ωm層を加久藤層群に対比せしめる ならぱ,加久藤層群の厚さは300m前後とみな される.ノ23点以東の数Ωm層との差異は同層 群内の状態の差異,例えぱ含有水の塩分あるいは 温度差等によるものと考えられる・このように解 すれぱ,その底面は多少の起伏を伴いながらも,

ほ∫平担になっているということができる・

 2.5Ωm層は高塩分層もしくは高温層を形成し

5      10

ているものと考えられる.この主体が加久藤層群 であるならぱ,既存井戸柱状図等から明らかなよ うに,加久藤層群の下部に存在する加久藤安山岩

類を20Ωm層に対置せしめることができ,電気

構造断面では明確な境界を引くことができないげ

れども,断面中央部で2,5Ωm層の下部に 20Ωm層が存在すると考えた方が自然で あり,その厚さは1000m以内(実際には

数100m以内と考えられる)ということになる.

更に,その下部に四万十層群に当る100Ωmま

たはそれ以上の比低抗をもつ比抵抗層が存在する ことになる.西側に10Ωm層が存在するが,こ

れは20Ωm層の主体をなす安山岩類の状態の差

(変質等)を反映するものと考えてよい.

 なお,ノ12〜∠13間,ノ30〕■31間に

弱い断層か期待され得る・

  (n) B測線(図 12参照)

一500

・旧oo

lO「 1O

 .、ノ〆一弍

        .、.

   4位・nm

15    型    蛮    型    $

125、

㌔  60−oo 加・30

,oon

・looo

・20

−oo」二

○  凹   1}

図一12

Fig・12・

β測線電気構造断面と重力断面

Geoe1ec t r i ca l sect i on and grav i ty

profile a1ong the Iine 1ヨ・

(9)

えぴの・吉松地区深部電気探査報告 一 小野

 B測線の測定データの解析はノ測線の場合に比 べてはるかに厄介である一横断不均質効果の検討 を行ない,理論曲線(不均質の)等を参考にして,

曲線を修正し,その上で,通常の層状構造解析を 実施した.したカニって,■測線に比べて解析精度 は低下しているのは止むを得ない.

 西側低地でのV E S曲線はノ測線中央部で得ら れたものとかなり類似しており,この区聞でも 2.5Ωm層の存在が認められる.この層は台地を なす霧島火山溶岩下部にも連続して存在し,その

東部に続くものと推測される.しかし,812〜

813では,この層の存在は測定曲線上では確認 し得ず,ために,812〜13区問は疑問区問と なっている.この区問ではVES曲線の極小部は 顕薯ではなく,その両側で得られたVES曲線と 比べて著るしい相違を示している.この原因は主 として電気的構造の非対称性によるものと考えら れるが,それ以外にも,この区問の構造(比低抗 分布)にも関係しているものと解釈される.

 低比低抗層が上記区間の東側にも存在している

ことは,B15VES曲線の様相,B16におげ

る低いρmi。値(約10Qm)等から判断され得る.

しかしながら,この層の比低抗値の絶対値を直接,

▽ES曲線の解析から決定することは不可能であ るので守5与の比抵抗値を仮定するもしその値を

2・5Ωmであると仮定するならぽ,B18〜22

区間でいちじるしく薄くなり,その下底面はむし     注6)

ろ浅くなる.この低比低抗層を加久藤層群に対比 するならぽ,その下底面の様相から,B8およぴ

315付近で谷部を形成することになる.818

〜22区問で上記低比低抗層を5Ωm層であると 仮定しても,この層の厚みは倍となるが,基盤形 状に不自然な変化をもたらさないので,このよう な解釈も成立つ.何れにせよ,この区問には

3,000Ωmという高比低抗層が浅部に存在して

いるため,垂直的に500:1程度のはげしい比

抵抗コントラストがみられ,加うるに,水平的比 低抗コントラストが認められるので,深部比低抗 の絶対値を推測することは困難である.

 B23−25では,図 12の■あるいはBの

両様に解析される.境界面Bを2.5Ωm層の下底 面とするならぱ,その東側に比低抗の不連続を考 えなけれぱならない.これは不自然に感ぜられる ので,これを無理のない形で考えるべく,比較的 安定構造を示すと考えられる東部から追跡すると

2−5Ωm層底面をノとみなすことができる.この 解析の許容差は測定デ タが十分下部まで反映し ていない(ノBが十分の長さとられていない)こ とによるものである.

 一方,東部の20〜30Ωm層はノ測線東部の

20Ωm層に対応させることか可能である.たv,

ノ測線に比べて,もっと厚いと判断される.測線 の端に近いために,電極間隔の制約により厚さの 確認がされていないが,種々の観点から理論的考 察を行なって,それ以外の区問での厚さは,最高

に見積って1,000H1,500mである.この層

はいちじるしく不連続を作ることなく,中央部に 向っても存在すると考える方が自然であろう.

 B3にみられる10Ωm層も上記20〜30Ωm

層の状態の差異によるものと解釈しておく.

 なお,2−5Ωm層等の上部にある高比抵抗層は 比較的新らしい溶岩類を主体とし,その他の火山 性たい積物を含むものと考えられる.特に,1000 Ωmをこえる高比抵抗帯域が3個所にみられる

(β10〜13,B18〜23,B25〜27)

この他にも数100Ωm層がみられるが,これら は,たい積性分の相違あるいは含水率等の状態の 差異を示すものであろう。もちろん,加久藤層群 の上部を形成することも考えられる.

 電気構造断面の低比抵抗層下底面の形状から判

断すれぱ,月12〜13付近,B16〜18付近,

323〜24等には断層の存在が期待される.ま た,各比低抗層の境界面は必らずしも地層との対 比を示すものではなく,状態の差異をも反映する ものであるため,地質的に解釈を行なうにはこの 点に留意せねぱならない.

 例えぱ,台地下の数100Ωm層下半部,327

−32にみられる60〜80Ωm層の一部あるい

は全部等を加久藤層群に包含されるならぱ,全体 として,加久藤層群下底面はB10あるいはβ 20付近で隆起構造を示しながらも,谷部を形成 するものと解釈される1その際,いちじるしく相 違する比低抗値は岩質の相違,水分の差異等によ

ってもたらされたものと考えるのがよい・

  (m) 重カデータとの比較

 比重を2.Oとした場合の等重力線図より読み取 った値をプロ7アイノレとして示す(ノおよぴB測 線沿いの)と,ノ測線ではH㎜。の小さい区間で逆 に低部となり,3測線ではH醐か大きくなるにし たがって低域に向う傾向となっている、

一71一

(10)

えびの・吉松地区地劇⊂関する特別研究 防災科学技術総合研究幸舳 第26号 197j

 ■測線では加久藤層群の低比抵抗の影響が鋭く H㎜。曲線に現われているためで,重力との比較で は∫断面の方が冊㎜断面より基盤構造を反映して いる、ように思われる.また,8測線電気構造=断面 の東側部分の見掛比抵抗値の安定性から推測して も,東部の安山岩下部の基盤面は深くなっている ものと考えられ,重力低部と一致している.

 (iV)そ の 他

 京町付近の補助VES HDによれぱ,∫=

142mhoであり,曲線重合法によって,ρ1層

の厚さ85mと判定された.ρ2を2−5Ωmと仮

定することにより,ρ2層の厚さは340m,し

たがって,その底面深度として425mが得られ る.この測度をノ18〜∠20の深度と比較すれ ぱ20〜90m深くなる一また,GS2号#の試

すい結果と比較すると,約50m深く出ている

(1/9の誤差).柱状図を参考にして,VES 曲線の解析結果を検討すると,ρ2層の比抵抗は 2.1〜2I2Ωmとなる.なお,電気検層デ タは

精度が十分でないため,VES解析には利用し得

なかった.

 なお,参考データとして,四万十層群に関する 比低抗データを得るためにVESを実施したが,

その結果では,100Ωmあるいはそれ以上の値であ ることが期待されでいる.

 HC測線のVE S曲線はノ8/2÷150mで100 ΩmからノB/2=1,000mで15Ωmまで下降

する型であり,まだ上昇部は現れていない、■測 線でみられる鋭敏な凹部も明確でないし,低比低 抗層の下底面はもっと深くなると予想される.

 5、おわり1こ

 えぴの・吉松地区地震ひん発地域地下構造調査 の一環として深部電気探査が実施され,ノ,B2 測線沿いの垂直探査曲線の解析にもとずいて電気 構造断面が作成された・

 加久藤層群内の低比抵抗部を2.5Ωmの値の層 とみなしてその下底面深度・形状が追跡され,そ の下部の第三紀安山岩類の厚さ等がひょう量され た.こうして,加久藤層群の厚さは300mある いはそれ以上であると推定されるが,部分的には それ以下の場合もあり得る.B測線の探査から溶 岩台地下にも加久藤層群が存在することが判明し  第三紀安山・岩類の厚さば■測線で過大に見積っ て900m以下であり,B測線ではこれよりや∫

厚めであるが,特に東側の部分で厚いものと考え

られる.

 より深部の構造に関しては階段型比抵抗分布の ために不確実な点もあるが,ノ測線東部の電気的 基盤は四万十層群または深成岩類を反映している ものと考えられる.B測線の絶縁性基盤も上の両 者の反映と考えられるが,東部ではかなり深いも のと恩われる.

 まだ,四万十層群分布地域での深部電気探査の 実績に乏しく,必らずしも満足すべき結果には達 しておらず,特に温度等の影響についての情報は 不十分であったにも拘わらず,この種の間題に対 する経験の積み重ねによって,地震発生地域の背 景を探るのに貢献することになり得るであろう。

 最後に,本調査の実施に際して,宮崎 鹿児島 県庁,えびの・吉松両町役場,えびの・加治木両 営林署等関係各機関より種々便宜を賜わり,地質 調査所木野 花岡両技官には実施ならぴに解釈に 関する助言あるいは協力を頂いた。住鉱コンサル タントK.K勝部照雄氏(現在退社,在カナダ)に は現場責任者としてのほか,関連資料の収集に努 力して頂いた.以上関係機関ならびに関係者各位 に対して,紙面を借りて深じんなる謝意を表する 次第である。

注1)本探査区域の地質調査にっいては同時期に   実施された報告を参照されたい.

 2)ρ1〉ρ2<ρ3なる3層構造をさす・

 3)等価の原理によって中問層比低抗は中間層   の厚さが十分大きいとき以外には一義的には   決定されないのが普通である.等価の原理を   考慮に入れないで求められた比低抗を擬似比   抵抗と呼んで真比低抗と区別する.

 4)ρ1<ρ2<ρ3となる層状構造をノ型構

  造といい,ρ2層が十分厚くないと検出が困   難になり,時として2層構造とみなされてし   まう.この性質を層の削滅性という.

 5)一般に垂直探査曲線の解析において,比低   抗と厚さとを同時に決定することは困難であ   る.同時決定が可能であるためには一定の条   件が必要である.

 6)この場合,B18〜22区間は加久藤層群

  の南限に近いと考えられる.

 7)ρ1<ρ2くρ3なるノ型構造では,時と

  してρ2層の存在が不明宜であることカミある.

  特にρ2層が上層に比べて,十分な厚さをも   っていないときそうである(前出)1

(11)

えひの・吉松地区深部電気探査報告   小野

        参 考文献

(1) 小野吉彦:松代地域の電気探査(I),防災科学

 技術総合研究速報焔5(1967年3月)

 PP.23〜2γ

(2)小野汽彦:松代地域の電気探査(π),防災科学

 技術総合研究報告焔18(1969年3月)

 PP.23〜28・

一73一

参照

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