• 検索結果がありません。

本邦発症 PML 患者に対する新規サーベイランスシステムの確立

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "本邦発症 PML 患者に対する新規サーベイランスシステムの確立"

Copied!
4
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

— 161 —

厚生労働科学研究費補助金 難治性疾患等政策研究事業(難治性疾患政策研究事業)

プリオン病及び遅発性ウイルス感染症に関する調査研究班 総合研究報告書

本邦発症 PML 患者に対する新規サーベイランスシステムの確立

研究分担者:三浦義治 東京都立駒込病院脳神経内科 研究協力者:岸田修二 初石病院

研究要旨 これまで国立感染症研究所での髄液JCVPCR検査陽性症例についての臨床情報を収集 するという方法と、症例相談の中心である都立駒込病院内PML情報センターで多方面からの症例 情報収集を行うという方法を併用して、日本国内発症のPML症例の疫学調査を行い、75例の症例 情報が蓄積された。このシステムの問題点を改善するために、PMLサーベイランス委員会を中心と した新規サーベイランスシステムの確立を試みた。平成26年 12月のPMLサーベイランス準備委 員会で検討、平成27年 12月のPMLサーベイランス検討委員会で検討を加え、平成 28年 6月 26 日に第1回PMLサーベイランス委員会会議を駒込病院にて開催した。次に平成28年 12月 10日に 第2回 PML サーベイランス委員会会議を駒込病院にて開催した。新規PMLサーベイランス登録 システムにて93症例の情報収集が行われ、44件の主治医承諾書取得、44件の調査票取得、40件の 脳MRI画像CD取得がなされた。近年話題となっている多発性硬化症を基礎疾患としたフィンゴリ モド使用後発症 PML の国内発症事例 3 例が登録され、多発性硬化症を基礎疾患とする進行性多巣 性白質脳症疑い症例が増加してきていることが判明した。

A.研究目的

本研究の目的は従来の PML 疫学調査システ ムの問題点に検討と改善を加えて、新規サーベ イランスシステムを構築し、PML の診断基準、

重症度分類策定、改訂のための疫学調査を行う ことである。

B.研究方法

これまで国立感染症研究所での髄液 JCVPCR 検 査 陽 性 症 例 に つ い て の 臨 床 情 報 を 収 集 す る という方法と、症例相談の中心である都立駒込 病 院 内 P M L 情 報 セ ン タ ー で 多 方 面 か ら の 症 例情報収集を行うという方法を併用して、日本 国 内 発 症 の P M L 症 例 の 疫 学 調 査 を 行 っ て き た。

こ の シ ス テ ム の 問 題 点 を 改 善 し て 新 規 サ ー ベイランスシステムを確立するために、平成26 年 12 月にPMLサーベイランス準備委員会、

平成27年12月にPMLサーベイランス検討委 員会を開催し、これを踏まえて平成 28 年 1 月 よ り 新 規 P M L サ ー ベ イ ラ ン ス 登 録 シ ス テ ム を開始した。このシステムは複数施設にサーベ イランス委員を配置し、PML症例発症施設から

の 臨 床 調 査 票 を 事 務 局 を 中 心 に 症 例 登 録 し て 情報収集を行う登録システムである。さらに平 成28年2月にPMLサーベイランス小委員会会 議を開催し、駒込病院PMLサーベイランス委 員 会 事 務 局 と 国 立 感 染 症 研 究 所 間 の よ り 迅 速 かつ有効な情報交換システムが確立し、また高 セ キ ュ リ テ ィ か つ 迅 速 で あ る 駒 込 病 院 院 内 LANサーバファイル転送システム(SmoothFile5) の利用できるようになった。

(倫理面への配慮)

PML サーベイランス委員会事務局から登録 専用の同意承諾書を診療担当医に送付し、患者 と そ の 家 族 に 対 し て 説 明 頂 い て 同 意 を 得 た の ち、担当医が同意書へ記入して事務局に提出頂 くシステムとした。患者情報は性別と年齢を記 載頂き、診療施設のカルテ番号は含まず、連結 匿名化され、倫理面での配慮がなされている。

また、都立駒込病院(サーベイランス事務局)

の単施設研究とし、他施設のサーベイランス委 員が協力する形とする。以上を駒込病院倫理委 員会にて審査し、承認を得た。

(2)

— 162 — C.研究結果

結果1.2010年6月より国立感染症研究所に髄

液JCVPCR検査依頼があり、かつ陽性であった

症例75例の症例情報が蓄積された。

基礎疾患としては血液疾患/悪性腫瘍、膠原病 /自己免疫疾患、HIV感染症の順であった。

結果2.平成26年12月のPMLサーベイランス 準備委員会で検討の結果、新たにサーベイラン ス委員を決定し、PMLサーベイランス委員会を 組織することとなった。PMLサーベイランス委 員会事務局を都立駒込病院におき、書類事務書 類作業については、人員を配備して集中的に管 理してゆく。このシステムでは従来の国立感染 症研究所への髄液JCVPCR検体受付時の症例情 報収集に加えて、駒込病院PML情報センターへ の症例相談、指定難病登録申請、PML病理相談、

学会抄録・論文よりの情報収集、剖検輯報より の情報収集も加えて、さらに疑い(possible)症 例 に つ い て もPMLサ ー ベ イ ラ ン ス 委 員 会 を 開 催して検討し、登録してゆくこととなった。サ ー ベ イ ラ ン ス 同 意 承 諾 書 も 髄 液 検 査 の み な ら ず、MRI画像検査および病理検査も同意承諾い ただけるものを作成する。新規生物学的製剤開 発 に 伴 う 副 作 用 と し て のPMLに 関 す る 対 応 と しては、製薬会社からの直接の症例情報提供は 難しいため、製剤パンフレットの中に厚生労働 科 研PML研 究 班PMLサ ー ベ イ ラ ン ス 委 員 会 か ら の お 願 い と い う 形 の 文 書 を 作 成 し て パ ン フ レットに添付し、主治医からの連絡を待つ形と した。

結果3.平成27年度には都立駒込病院内PML 情報センターにはPMLの診断・治療に関する相 談(86件)、患者家族からの相談(10件)、製薬 メーカーからの相談(8件)、検査委託研究施設 からの相談(5件)が寄せられた。この中には 塩酸メフロキン保険外使用(倫理委員会書類)

に関する相談が多数を占めていた。また、調査 研究班事務局(金沢大学)からの紹介症例相談 が増加してきていた。髄液JCVPCR陰性症例も 増加し、脳病理検査の必要性が増加してきてい た。また、近年注目されている多発性硬化症を 基礎疾患としたPML(疑い)症例の相談があっ た。中には髄液JCVPCR陰性(他検査施設)か つ脳病理(脳生検)を自施設にて施行例もあっ た。PML相談症例(86)のうち国立感染研髄液

PCR検査依外(未施行を含む)は24件(うち10 例はPMLと診断あり)であった。

結果4.平成27年12月のPMLサーベイランス検 討委員会で検討の結果、駒込病院内にPMLサー ベイランス委員会事務局を設置し、①国立感染 症研究所を中心とした髄液JCVPCR検査②脳病 理 検 査 ③PML情 報 セ ン タ ー へ の 相 談 を 3 つ の 柱とし、さらに各サーベイランス委員を通じて 症例情報収集をする。またPMLサーベイランス の指針と関連書類を各委員に配布し、PMLサー ベ イ ラ ン ス 委 員 会 を 開 催 し て 症 例 登 録 し て ゆ くこととした。また新規に画像担当委員を追加 すること、サーベイランスの指針と関連して各 診療施設に依頼文を検討すること、重複症例へ の対策、調査票内容の検討と調査票の情報交換 方法などが課題であった。

結果5.平成28年6月26日に第1回PMLサーベ イランス委員会会議を駒込病院にて開催し、近 年 話 題 と な っ て い る 多 発 性 硬 化 症 を 基 礎 疾 患 と し た フ ィ ン ゴ リ モ ド 使 用 後 発 症PMLの 国 内 発 症 事 例2例 の 症 例 検 討 を 行 っ た 。 い ず れ も Probable PMLの診断であり、引き続き経過追跡 と検査に関する検討が必要であるものの、関連 学会への周知と主治医からPMDAへの副作用報 告の確認が重要であった。

結果6.平成28年12月10日に第2回PMLサー

ベ イ ラ ン ス 委 員 会 会 議 を 駒 込 病 院 に て 開 催 し た。多発性硬化症に対する薬剤に関連した進行 性 多 巣 性 白 質 脳 症 と 診 断 さ れ た 症 例 や 疑 わ れ る症例が増加してきていることが報告された。

25のPML疑い症例の検討を行い、サーベイラン スの問題点の検討を行った。また本年の診断基 準の改訂に伴い、新しい診断基準を用いて診断 し、これを踏まえて次回以降症例の審議をする こととなった。

結果7.新規PMLサーベイランス登録システ

ム に て93症 例 の 情 報 収 集 が 行 わ れ 、( 年 齢 : 60.1±17.1)、44件の主治医承諾書取得、44件の 調査票取得、40件の脳MRI画像CD取得がなされ た。登録に際して各診療主治医施設の倫理審査 も厳しく、時間もかかるようになってきており、

ま た 個 人 情 報 の 取 り 扱 い に 対 す る 対 策 も 重 要 であった。また、このうち新規PET検査を用い てPML病 態 の 評 価 を し え た 症 例 が 含 ま れ て い た。

(3)

— 163 — D.考察

新 規 サ ー ベ イ ラ ン ス PML 症 例 登 録 の 多 く

(78%)は国立感染症研究所髄液PCR検査担当 の中道先生経由の情報であり、有効かつ迅速な 情報収集が可能であった。また、基礎疾患が多 発性硬化症である PML に関する症例情報も登 録され、製薬企業経由の匿名発症情報との照合 に難渋した。

E.結論

PML サーベイランス準備委員会、PML サー ベイランス検討委員会を行った後に PML サー ベ イ ラ ン ス 委 員 会 に よ る 症 例 登 録 シ ス テ ム を 確立し、平成 28 年 1 月より有効な症例情報収 集が可能となり、93 例の症例登録がなされた。

多発性硬化症を基礎疾患とする PML 疑い症例 が増加しており、引き続きシステムを検討なが ら改善してゆく必要があると考えられた。

[参考文献]

1) Nakamichi K, Mizusawa H, Yamada M, Kishida S, Miura Y, Shimokawa T, Takasaki T, Lim CK, Kurane I, Saijo M. Characteristics of progressive multifocal leukoencephalopathy clarified through internet-assisted laboratory surveillance in Japan. BMC Neurol 12:121, 2012.

2) 三 浦 義 治, 岸 田 修 二. 進 行 性 多 巣 性 白 質 脳 症に伴うdementia. 神経内科 80:73-76, 2014.

F.健康危険情報

日 本 国 内 で 多 発 性 硬 化 症 の 再 発 予 防 薬 で あ るフィンゴリモド使用患者で3例、ナタリズマ ブで1例のPML発症があった。

G.研究発表 1.論文発表

1) 三浦義治, 水澤英洋. 進行性多巣性白質脳 症 . 最 新 医 学 別 冊 新 し い 診 断 と 治 療 の ABC 82:182-191, 2014.

2) 三 浦 義 治, 岸 田 修 二. 進 行 性 多 巣 性 白 質 脳 症の臨床. 神経内科84:296-304, 2016.

3) 三 浦 義 治, 西 條 政 幸. 医 療 の 進 歩 と 中 枢 神 経 遅 発 性 感 染 症 (PML). 臨 床 と ウ イ ル ス 44:53-57, 2016.

4) 石橋賢士, 三浦義治, 松村 謙, 金政祐介,

中 道 一 生 , 西 條 政 幸 , 豊 原 潤 , 石 井 賢 治 . PET imaging of 18F-FDG, 11C-methionine, 11C-flumazenil, and 11C-4DST in progressive multifocal leukoencephalopathy: a case report.

Internal Medicine, in press.

5) 三 浦 義 治 . 進 行 性 多 巣 性 白 質 脳 症 . 味澤 篤(編)長期療養時代のHIV感染症/AIDS マ ニ ュ ア ル , 日 本 医 事 新 報 社 , 東 京 , pp209-214, 2014.

6) 三 浦 義 治. 進 行 性 多 巣 性 白 質 脳 症. 金澤一郎, 永井良三(編)今日の診断指針第 7

版, 医学書院, 東京, pp703-706, 2014.

7) 三 浦 義 治 . 進 行 性 多 巣 性 白 質 脳 症 . 永 井 良 三 , 鈴 木 則 宏 , 荒 木 信 夫 , 神 田 隆 , 吉良潤一, 塩川芳昭, 西野一三, 水澤英洋(編)

神 経 内 科 研 修 ノ ー ト , 診 断 と 治 療 社 , 東 京 , pp360-363, 2015.

8) 三 浦 義 治, 池 内 和 彦. 進 行 性 多 巣 性 白 質 脳 症, 臨 床 神 経 内 科 学 改 訂 6 版, 南 山 堂, 東 京, pp303-305, 2016.

9) 三浦義治. 進行性多巣性白質脳症. JMEDJ 治療法便覧 2016~私の治療~, 日本医事新報 社,東京, 印刷中.

2.学会発表

1) 三浦義治, 岸田修二, 中道一生, 西條政幸, 山 田 正 仁 , 水 澤 英 洋 . 本 邦 に お け る 進 行 性 多 巣 性 白 質 脳 症 発 症 者 の 近 年 の 傾 向 に つ い て ー 厚労省 PML研究班報告, The features of recent PML patients in Japan. 第 55回日本神経学会学 術大会総会, 福岡,5.21-24, 2014.

2) 三浦義治, 岸田修二, 中道一生, 西條政幸, 雪 竹 基 弘 , 水 澤 英 洋 , 山 田 正 仁 . 近 年 の 日 本 国 内 発 症 進 行 性 多 巣 性 白 質 脳 症 患 者 の 特 徴 に ついて.第19回日本神経感染症学会総会学術集 会, 金沢,9.4-5, 2014.

3) 三浦義治. PMLのサーベイランス体制構築 と臨床試験. SSPE・PMLシンポジウム2014, 金 沢, 9.4-5, 2014.

4) 三 浦 義 治, 岸 田 修 二, 中 道 一 生, 西 條 政 幸, 三 條 伸 夫, 雪 竹 基 弘, 浜 口 毅, 水 澤 英 洋, 山田正仁. 本邦における進行性多巣性白質脳症 患 者 に 関 す る 疫 学 調 査 と 塩 酸 メ フ ロ キ ン の 効 果に関する検討―厚労省 PML 研究班報告―第 56 回 日 本 神 経 学 会 学 術 大 会, 新 潟, 5.20-23,

(4)

— 164 — 2015.

5) 三 浦 義 治, 岸 田 修 二, 池 内 和 彦, 中 道 一 生, 西 條 政 幸, 高 橋 健 太, 鈴 木 忠 樹, 三 條 伸 夫, 阿 江 竜 介, 澤 洋 文, 長 嶋 和 郎, 奴 久 妻 聡 一, 原 由 紀 子, 雪 竹 基 弘, 濵 口 毅, 水 澤 英 洋, 山田正仁. 本邦発症の進行性多巣性白質脳症患 者 サ ー ベ イ ラ ン ス の 現 状 と 課 題. ― 厚 労 科 研 PML 研究班 PML サーベイランス報告― 第 20 回 日 本 神 経 感 染 症 学 会 総 会 学 術 大 会, 長 野, 10.22-23, 2015.

6) 三 浦 義 治, 岸 田 修 二, 中 道 一 生, 西 條 政 幸, 高 橋 健 太, 鈴 木 忠 樹, 三 條 伸 夫, 阿 江 竜 介, 澤 洋 文, 奴 久 妻 総 一, 原 由 紀 子, 雪 竹 基 弘, 濵口 毅, 水澤英洋, 山田正仁. 本邦発症の進 行 性 多 巣 性 白 質 脳 症 患 者 に 対 す る 塩 酸 メ フ ロ キン治療の有効性に関する検討. 第 57 回日本 神経学会学術大会, 神戸, 5.18-21, 2016.

7) 三 浦 義 治, 岸 田 修 二, 中 道 一 生, 西 條 政 幸, 高 橋 健 太, 鈴 木 忠 樹, 三 條 伸 夫, 阿 江 竜 介, 澤 洋 文, 長 嶋 和 郎, 奴 久 妻 聡 一, 原 由 紀 子, 雪竹基弘, 濵口 毅, 水澤英洋, 山田正仁. PML の診断と治療. 第 21 回日本神経感染症学会総 会・学術大会, 金沢, 10.21-22, 2016.

8) 三 浦 義 治, 岸 田 修 二, 中 道 一 生, 西 條 政 幸, 高 橋 健 太, 鈴 木 忠 樹, 三 條 伸 夫, 阿 江 竜 介,

澤 洋 文, 奴 久 妻 総 一, 原 由 紀 子, 雪 竹 基 弘, 濵口 毅, 水澤英洋, 山田正仁. 本邦発症進行 性 多 巣 性 白 質 脳 症 患 者 に 対 す る 塩 酸 メ フ ロ キ ン治療の多数例における有効性の解析. 第 21 回 日 本 神 経 感 染 症 学 会 総 会 ・ 学 術 大 会, 金 沢, 10.21-22, 2016.

9) 三浦義治. HANDにおける臨床神経病態. 第 30 回日本エイズ学会総会・学術集会, 鹿児島, 11.24-26, 2016.

H.知的財産権の出願・登録状況(予定を含む。) 1.特許取得

なし

2.実用新案登録 なし

3.その他 なし

参照

関連したドキュメント

 仮定2.癌の進行が信頼を持ってモニターできる

32) Braga TT, Correa-Costa M, Guise YF, Castoldi A, De Oliveira CD, Hyane MI, Cenedeze MA, Teixeira SA, Muscara MN, Perez KR, Cuccovia IM, Pacheco-Silva A, Gonçalves GM, Camara NO.

参考 日本環境感染学会:医療機関における新型コロナウイルス感染症への対応ガイド 第 2 版改訂版

〈下肢整形外科手術施行患者における静脈血栓塞栓症の発症 抑制〉

It is a model category structure on simplicial spaces which is Quillen equiv- alent to Rezk’s model category of complete Segal spaces but in which the cofibrations are the

[r]

[r]