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『毘沙門天王経』並びに『金光明最勝王経』 の構造と内容について (2)

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79 佛教文化学会紀要 第 28 号 令和元年 12 月

『毘沙門天王経』並びに『金光明最勝王経』

の構造と内容について (2)

石 井 正 稔  

1.はじめに

『毘沙門天王経1』は、中国唐代に漢訳された、国の息滅災厄や自然災害 等を鎮める為に訳された経典2と位置付けられている。しかし、その内容は、

さとりの獲得やその方法、財福や寿命長久等の利益を毘沙門天がかなえてく れるということが主に説かれており、上記のような位置付けの要素は、経典 中にみられない。

筆者はこれまで、この『毘沙門天王経』について取り上げ、経典の漢訳 された時代背景や経典の内容について考察してきた。3そして、前回『金光 明最勝王経4』中にみられる『毘沙門天王経』と対応する経文箇所の構造と 内容について比較し検証をおこなった(拙稿:「『毘沙門天王経』並びに『金 光明最勝王経』の構造と内容について (1)」5)。

その結果、これら両経典はその構造を比較するとほぼ対応関係にあり“ 同 じ原典 ”或いは“ 同じ系統の原典 ”から漢訳された可能性が考えられると 指摘した。

更に『毘沙門天王経』は、単に増広されただけでなく密教的な要素は勿論、

「四天王護国品」中に説かれている経文の移動や削除がされるなどの大幅な 変化があり、経典の構造が非常に整理された印象を受ける。しかし、前稿で は、主に経典の構造部分の考察にのみ留まっており、内容についての詳細な 検討は不十分であった。

そこで本論では、引き続き両経典の対応箇所について取り上げ、特に内 容部分の更なる検討を加へていく。故に本論は前稿の補足的な位置づけにな ることをご了承願う。

(2)

2.両経典について

 まず、本論で取り上げる両経典の基本的な情報を確認していく。

不空訳『毘沙門天王経』

不空三蔵(七〇五〜七七四)によって七六三〜七七一年頃に漢訳されて おり、弘法大師空海(七七四〜八三五)をはじめ、円仁(七九四〜八六四)、

宗叡(八〇九〜八八四)、円珍(八一四〜八九一)等の入唐僧により日本へ 請来されている。

漢訳本のみ現存しており、原典は不明である。また、大正蔵一頁程度の 非常に短編な経典である。

義浄訳『金光明最勝王経』

義浄(六三五〜七一三)によって七〇三年に新しく請来した梵本から漢 訳されている。サンスクリット原典6、漢訳本7、チベット訳本8が現存して いる。

『毘沙門天王経』と対応している経文については、『金光明最勝王経』「四 天王護国品十二 」中にみられる。この「四天王護国品」は、『金光明経』を 読誦することによって、四天王の国土を守護することが説かれている。

そして、「四天王護国品」後半部に多聞天が自身の如意宝珠陀羅尼とその 効力について説く場面があり、この箇所が『毘沙門天王経』と対応関係にある。

また、この対応箇所はサンスクリット原典になく、義浄訳の漢訳本と一 部のチベット訳本(脚注◎表記)にのみ説かれている。

3.経典の対応箇所と比較方法

前稿では両経典の構造部について、以下の二つの検証方法を用いて考察 をおこなった。

〇両経典の内容を項目(大項目)に分割。

比較する両経典(特に『毘沙門天王経』)は非常に短編であり、また各品 や章等の区切りがない。そこで、説かれている内容に項目を付与し区切りを 入れる作業をおこなった。

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『毘沙門天王経』 並びに 『金光明最勝王経』 の構造と内容について (2)

『毘沙門天王経』では、(1) 毘沙門天の成就法・(2) 画像を用いた毘沙門天 成就法・(3) 印契の説示・(4) 毘沙門天呪とその利得9。以上、四つの大項目 に分割ができる。

「四天王護国品」では、(1) 如意宝珠陀羅尼法・(2) 画像を用いた薜室囉末 拏10大王現身法の二つの大項目に分割ができる。※項目名は、説かれてい る内容から筆者の判断で付与した。

〇『毘沙門天王経』・『金光明最勝王経』「四天王護国品」対照表の作成(以下、

対照表)。

※以降から「『毘沙門天王経』・『金光明最勝王経』「四天王護国品」対照表」

を合わせて参照していただきたい(本論末掲載)。

対照表は、両経における構造と内容の大まかな流れを記しており、また 両経の対応箇所を矢印であらわしている。対照表の左が『毘沙門天王経』、

右が「四天王護国品」になる。この対照表を基に両経典の比較検証を試みた。

引き続き本論でも、対照表を用いて両経典の内容を比較していく(対照 表の詳細は脚注参照11)。比較方法は、『毘沙門天王経』の内容展開に則り、

大項目 (1)、(2) の順に取り上げ対応箇所を検証していく。尚、『毘沙門天王経』

が漢訳本のみ現存の為、本論でも両経典の漢訳本を用いて対比をおこなって いく。本論には【書き下し】、脚注に【原文(漢文)】を掲載する12

また、経典の真言ないし呪文部分は、『毘沙門天王経』は【漢訳】と【還梵】、

「四天王護国品」は【漢訳】と【チベット訳】をそれぞれ本論に掲載する13

4.両経典の内容比較について 4—1. 大項目 (1) の内容

まず、両経典の大項目 (1) である『毘沙門天王経』(1) 毘沙門天の成就法、

「四天王護国品」(1) 如意宝珠陀羅尼法についての構造展開について確認して いく。両経典大項目 (1) の構造展開については以下の通りになる。

〇 (1) 毘沙門天の成就法:

《心真言の説示譚》→《心真言》{【毘沙門天心真言】}→《心真言の受持方法》

(4)

{〈焼香供養〉,〈毘沙門天の迎請〉−【迎請真言】,〈念誦法〉}

〇 (1) 如意宝珠陀羅尼法:

《如意宝珠陀羅尼法の説示譚》→《前行》{【護身呪】}→《薜室囉末拏大 王の請召》{【(請召)呪】}→《根本呪の受持法》{〈受持法①〉,【根本呪(如 意末尼宝心神呪)】,〈受持法②〉}

『毘沙門天王経』(1) 毘沙門天の成就法:《心真言の説示譚》14

【書き下し】そのとき、毘沙門天王、佛の前に在りて、掌を合せ、佛 に白して言さく、世尊、我れ未來の諸の有情等をして、利益し安樂し 財寶に豊饒ならしめ、國界を護持せんがための故に、自の眞言を説かん。

我がこの眞言は、眞多摩尼寶15の如く、必ず能く衆の願を滿ず。世尊、

我が説くことを聽許したまえ。佛の言さく、善いかな、善いかな。天王、

汝よく、諸の有情のために愍念したまふ。汝が意を恣にして説け。そ のときに、毘沙門天王、歡喜無量にして、即ち佛の前に於て、心眞言 を説いて曰く。16(傍線は筆者)

「四天王護国品」(1) 如意宝珠陀羅尼法:《如意宝珠陀羅尼法の説示譚》17

【書き下し】爾の時多聞天王、座より起ちて、佛に白して言く、『世尊、

我に如意寶珠陀羅尼の法有り。若し衆生有りて、受持を樂う者は功徳 無量ならん。我常に擁護して彼の衆生をして苦を離れ樂を得て、能く 福智二種の資糧を成ぜしめん。受持せんと欲する者は先ず當に此の護 身の呪を誦すべし。』即ち呪を説いて曰く、18

『毘沙門天王経』では、毘沙門天が仏前で如意宝珠と同じ効力のある自身 の心真言を説く許可を仏(世尊)に求め許され、歓喜して真言を説く場面。「四 天王護国品」では、多聞天が仏前で自身の持つ如意宝珠陀羅尼の法を説く場 面がそれぞれ説かれている。

上記の場面で、『毘沙門天王経』では、【心真言】を説く際に「世尊に真 言を説く許可を求め、許され、毘沙門天が歓喜する場面」が追加されている

(傍線箇所)。

この場面の後に「四天王護国品」では、《前行》・《薜室囉末拏大王の請召》

と如意陀羅尼を受持する為の手法が段階的に説かれていくが、『毘沙門天王

(5)

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『毘沙門天王経』 並びに 『金光明最勝王経』 の構造と内容について (2) 経』では、直ちに【心真言】が説かれる。

『毘沙門天王経』(1) 毘沙門天の成就法:【毘沙門天心真言】

【漢訳】曩謨囉怛曩二合怛囉二合曩謨吠室囉二合麼拏鼻引摩賀

薩嚩薩怛嚩二合麼鼻引四 跛哩布囉拏鼻悉 地 迦囉

騫娜娜怛娑毎二合引曩莫塞訖哩三合怛嚩二合八 𤚥室囉二合麼拏鼻引紇 哩二合乃野肓多以灑薩嚩薩怛嚩二合去引嚩憾十一怛儞也二合他去 十二唵悉地 悉地十三母蘇十四上十五左囉左囉十六娑囉娑囉上十七

羯囉 羯囉十八枳里枳里十九矩嚕矩嚕二十母嚕 母嚕二十一 主嚕主嚕二十二去引馱 野 遏貪 麼麼二十三潼底也二合末他弩鼻引嚩娑嚩二合二十四吠室囉二合麼拏鼻引野 娑嚩二合引二十五馱曩娜野娑嚩二合引二十六鼻引囉 他二十七跛哩布囉迦野 娑嚩二合引二十八(T21 No.1244 p.215a~b)

【 還 梵 】namo ratnatrayāya, namo vaiśravaṇāya mahārājāya sarvasattvānām āśāparipūraṇāya siddhikarāya skandāya(?), tasmai namaskṛtvā imāṃ vaiśravaṇāṃ hṛdayam āvartayiṣyāmi sarvasattvasukhāv ahaṃ, tadyathā oṃ simu simu sumu sumu ca caca cara cara sara sara kara kara kili kili kuru kuru muru muru curu curu, sādhaya arthaṃ mama, nityamathano bhāva svāhā, vaiśravaṇāya svāhā, dhanadāya svāhā, manorathaparipūrakāya svāhā.

「四天王護国品」(1) 如意宝珠陀羅尼法:【根本呪(如意末尼宝心神呪)】

【漢訳】南謨曷喇怛娜 怛喇夜野南謨薜室囉末拏也莫訶囉闍也 怛 姪他 四弭四弭 蘇母蘇母 栴茶栴茶 折囉折囉 薩囉薩囉羯囉羯囉  枳哩枳哩 矩嚕矩嚕 母嚕母嚕 主嚕主嚕 娑大也額貪 我名某甲 昵 店頞他 達達覩莎訶 南謨薜室囉末拏也莎訶檀那䭾也莎訶 曼奴喇他鉢 唎脯喇迦也莎訶(T16No.665p.431a)

【チベット訳】na mo ra tna tra yā ya / na mo bai śra ba ṇā ya / ma hā rā dzā ya / ta dya thā / si mi si mi / su mu su mu / tsa ṇḍa tsa ṇḍa / tsa ra tsa ra / sa ra sa ra / ka ra ka ra / ki li ki li / ku ru ku ru / mu ru mu ru / tsu ru tsu ru / sandā ya / ā tma nāṃ / ni ta tya na / a nta rdhā tu svāhā / na mo bai śra ba ṇā ya svā hā / dha na dā ya svā hā / ma- no ra tha pa ri pū ra ya svāhā /

両経典中の真言ないし呪文の【還梵】と【チベット訳】を比較すると、『毘

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沙門天王経』では一部増広(『毘沙門天王経』【還梵】中の網掛け箇所)され ているが、ほぼ対応関係であると言えよう。そして、【心真言】が説かれた後、

《心真言の受持法》が説かれる。この受持法は更に、〈焼香供養〉・〈毘沙門天 の迎請〉・〈念誦供養〉の三つの小項目に分割が可能であり、その順序で取り 上げていく。

『毘沙門天王経』(1) 毘沙門天の成就法:《心真言の受持法》〈焼香供養〉19

【書き下し】そのとき、毘沙門天王、この眞言を説き已て、佛に白し て言さく、世尊、我れ今當に眞言を受持する法を説くべし。まず、安 悉香を取りて、白檀香・龍腦香・多蘖囉香・薫陸香・蘇合香を此の香 に和合し、我れ毘沙門天王に供養すべし、20

「四天王護国品」(1) 如意宝珠陀羅尼法:《根本呪の受持法》〈受持法②〉21

【書き下し】『呪を受持する時、先ず千遍を誦せよ。然して後、淨室 の中に於て、瞿摩を地に塗りて、小壇場を作り、時に隨いて飮食し、

一心に供養し、常に妙香を然して烟して絶えざらしめ云々…以下略。22        (傍線は筆者)

心真言の受持法として焼香供養が説かれており、「四天王護国品」中傍線 部の「常に妙香を燃やして烟を絶えざらしめ…」という経文(傍線箇所)が

『毘沙門天王経』と対応している。

但し、用いる香については、「四天王護国品」《前行》中に「應に諸香を 取るべし。所謂、安息・栴檀・龍腦・蘇合・多掲羅・薫陸なり。皆須らく等 分に一處に和合すべし。香を燒きて供養し云々…23」と説かれており、『毘 沙門天王経』では、この《前行》部分の記述を『毘沙門天王経』《心真言の 受持法》中に取り入れ、補填した可能性が考えられる。

『毘沙門天王経』(1) 毘沙門天の成就法:《心真言の受持法》②〈毘沙門天の迎請〉24

【書き下し】若し迎請せんときには、根本印を結び、二頭指を以て身 に向け、三たび招け。即ち眞言を誦すること、七遍にして頂上に印を 散ぜよ。25

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『毘沙門天王経』 並びに 『金光明最勝王経』 の構造と内容について (2)

「四天王護国品」(1) 如意宝珠陀羅尼法:《薜室囉末拏大王の請召》26

【書き下し】一靜室に於て神呪を誦して、我が薜室囉末拏天王を請ず べし。』即ち呪を説いて曰く、27

迎請(請召)法として、『毘沙門天王経』では根本印28を結び、真言を七 編唱え印を頭上で解くという印契作法が加わっているが、「四天王護国品」

では呪を唱えるのみである。

『毘沙門天王経』(1) 毘沙門天の成就法:【迎請真言】

【漢訳】怛儞也二合去引一曩謨吠室囉二合鼻音呼鼻音引曩謨 馱曩 娜馱寗寧定反引濕嚩二合去引言羯反去引縁蹉阿跛哩弭多馱甯濕嚩 鉢囉麼嚕抳迦薩嚩薩答嚩二合馨異反喞多麼麼 駄曩麼鼻音鼻音

鉢囉二合延結反娑嚩二合琰麼鼻音引蘗嗟娑嚩二合引十

(T21No.1244 p.215b)

【還梵】tadyathānamo vaiśravaṇāya namo dhanadāya, cāṇdeśvarāya ākarṣa ākarṣa aprājitacandeśvara paramakāruṇika sarvasattvahitacinya, mama dhanaṃ anu(?)paraye,śvara ākarṣa svāhā.

「四天王護国品」(1) 如意宝珠陀羅尼法:【(請召)呪】

【漢訳】南謨薜室囉末拏引也南謨檀那䭾也 檀泥説囉引也 阿掲撦 阿 鉢睚弭哆 檀泥説囉 鉢囉麼 迦留尼迦 薩婆薩埵 呬哆振哆 麼麼已名 檀那末奴鉢喇拽撦 碎閻摩掲撦 莎訶(T16No.665p.430c)

【チベット訳】na mo bai śra ba ṇā ya / ma hā dha na dā ya / tsaṇḍe śva rā ya / ā karṣa / a pa ra dzi ta /tsaṇḍe- śva ra / pa ra ma kā ru ṇi ka / sarva sa tva / hi ta tsinyā / ma ma dha na bar dho / parye śva ra svayam / ā karṣa ya- svāhā /

『毘沙門天王経』中の真言では、tadyathāとākarṣa (【還梵】網掛け箇所)

が加えられているが、「四天王護国品」中でも同様の呪文が説かれている。

『毘沙門天王経』(1) 毘沙門天の成就法:《心真言の受持法》〈念誦供養〉

 ・赦儞娑の出現、問答、父王への報告、金銭授与の指示29

【書き下し】行者念誦して、常に間斷なくんば、乃至毘沙門天王の子 赦儞娑、童子の形を現じて、持誦者に告げて言はん。汝何の事ありて

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「四天王護国品」(1) 如意宝珠陀羅尼法:《薜室囉末拏大王の請召》26

【書き下し】一靜室に於て神呪を誦して、我が薜室囉末拏天王を請ず べし。』即ち呪を説いて曰く、27

迎請(請召)法として『毘沙門天王経』では根本印28を結び、真言を七 編唱え印を頭上で解くという印契作法が加わっているが、「四天王護国品」

では呪を唱えるのみである。

『毘沙門天王経』(1) 毘沙門天の成就法:【迎請真言】

【漢訳】怛儞也二合去引一曩謨吠室囉二合鼻音呼鼻音引曩謨 馱曩 娜馱寗寧定反引濕嚩二合去引縁 言羯反去引縁蹉阿跛哩弭多馱甯濕嚩 鉢囉麼嚕᢫迦薩嚩薩答嚩二合馨異反喞多麼麼 駄曩麼鼻音鼻音

鉢囉二合延結反娑嚩二合琰麼鼻音引蘗嗟娑嚩二合引十

(T21No.1244 p.215b)

【還梵】WDG\DWKƗQDPRYDLĞUDYD৆Ɨ\DQDPRGKDQDGƗ\DFƗ৆GHĞYDUƗ\DƗNDUৢD ƗNDUৢDDSUƗMLWDFDQGHĞYDUDSDUDPDNƗUX৆LNDVDUYDVDWWYDKLWDFLQ\DPDPDGKDQDূ

DQX"SDUD\HĞYDUDƗNDUৢDVYƗKƗ

「四天王護国品」(1) 如意宝珠陀羅尼法:【(請召)呪】

【漢訳】南謨薜室囉末拏引也南謨檀那䭾也 檀泥説囉引也 阿掲᧖ 阿 鉢睚弭哆 檀泥説囉 鉢囉麼 迦留尼迦 薩婆薩埵 呬哆振哆 麼麼已名 檀那末奴鉢喇拽᧖ 碎閻摩掲᧖ 莎訶(T16No.665p.430c)

【チベット訳】QDPREDLĞUDba৆Ɨya/PDKƗdhaQDGƗya/WVD৆ঌHĞYDUƗ\D /ƗNDUৢD/aSDUDG]LtaWVD৆ঌHĞYDUD/SDUDPDNƗUX৆LND/VDUYDVDWYD/KLWD WVLQ\ƗPDPDGKDQDEDUGKRSDU\HĞYDUDVYD\DPƗNDUৢD\DVYƗKƗ

『毘沙門天王経』中の真言では、WDG\DWKƗとƗNDUৢD( 【還梵】網掛け箇所) が加えられているが、「四天王護国品」中でも同様の呪文が説かれている。

『毘沙門天王経』(1) 毘沙門天の成就法:《心真言の受持法》〈念誦供養〉

 ・赦儞娑の出現、問答、父王への報告、金銭授与の指示29

【書き下し】行者念誦して、常に間斷なくんば、乃至毘沙門天王の子 赦儞娑、童子の形を現じて、持誦者に告げて言はん。汝何の事ありて

4

れ今當に眞言を受持する法を説くべし。まず、安悉香を取りて、白檀香・龍腦香・多蘖囉 香・薫陸香・蘇合香を此の香に和合し、我れ毘沙門天王に供養すべし、20

「四天王護国品」(1)如意宝珠陀羅尼法:《根本呪の受持法》〈受持法②〉21

【書き下し】『呪を受持する時、先ず千遍を誦せよ。然して後、淨室の中に於て、瞿摩を地に 塗りて、小壇場を作り、時に隨いて飮食し、一心に供養し、常に妙香を然して烟して絶えざ らしめ云々…以下略。22 (傍線は筆者) 心真言の受持法として、焼香供養が説かれており、「四天王護国品」中傍線部の「常に妙香を燃 やして烟を絶えざらしめ…」という経文(傍線箇所)が、『毘沙門天王経』と対応している。

但し、用いる香については、「四天王護国品」《前行》中に「應に諸香を取るべし。所謂、安息・

栴檀・龍腦・蘇合・多掲羅・薫陸なり。皆須らく等分に一處に和合すべし。香を燒きて供養し云々

23」と説かれており、『毘沙門天王経』では、この《前行》部分の記述を『毘沙門天王経』《心真 言の受持法》中に取り入れ、補填した可能性が考えられる。

『毘沙門天王経』(1)毘沙門天の成就法:《心真言の受持法》②〈毘沙門天の迎請〉24

【書き下し】若し迎請せんときには、根本印を結び、二頭指を以て身に向け、三たび招 け。即ち眞言を誦すること、七遍にして頂上に印を散ぜよ。25

「四天王護国品」(1)如意宝珠陀羅尼法:《薜室囉末拏大王の請召》26

【書き下し】一靜室に於て神呪を誦して、我が薜室囉末拏天王を請ずべし。』即ち呪を説い て曰く、27

迎請(請召)法として、『毘沙門天王経』では根本印28を結び、真言を七編唱え印を頭上で解くと いう印契作法が加わっているが、「四天王護国品」では呪を唱えるのみである。

『毘沙門天王経』(1)毘沙門天の成就法:【迎請真言】

【漢訳】怛儞也二合去引一曩謨吠室囉二合鼻音呼鼻音引曩謨馱曩 娜馱寗寧定反引濕嚩 去引 言羯反去引縁蹉阿跛哩弭多馱甯濕嚩二合鉢囉麼嚕抳迦薩嚩薩答嚩 馨異反喞多麼麼 駄曩麼鼻音鼻音鉢囉二合延結反娑嚩二合琰麼鼻音引蘗嗟娑嚩二合引十

(T21No.1244 p.215b)

【還梵】tadyathānamo vaiśravaṇāya namo dhanadāya, cāṇdeśvarāya ākarṣaākarṣa aprājitacandeśvara paramakāruṇika sarvasattvahitacinya, mama dhanaṃ anu(?)paraye,śvara ākarṣa svāhā.

「四天王護国品」(1)如意宝珠陀羅尼法:【(請召)呪】

【漢訳】南謨薜室囉末拏引也南謨檀那䭾也 檀泥説囉引也 阿掲撦 阿鉢睚弭哆 檀泥説囉 鉢囉麼 迦留尼迦 薩婆薩埵 呬哆振哆 麼麼已名檀那末奴鉢喇拽撦 碎閻摩掲撦 莎訶 (T16No.665p.430c)

【チベット訳】na mo bai śra ba ṇā ya / ma hā dha na dā ya / tsaṇḍe śva rā ya / ā karṣa / a pa ra dzi ta /tsaṇḍe- śva ra / pa ra ma kā ru ṇi ka / sarva sa tva / hi ta tsinyā / ma ma dha na bar dho / parye śva ra svayam / ā karṣa ya- svāhā /

『毘沙門天王経』中の真言では、tadyathāとākarṣa (【還梵】網掛け箇所)が加えられているが、

「四天王護国品」中でも同様の呪文が説かれている。

『毘沙門天王経』(1)毘沙門天の成就法:《心真言の受持法》〈念誦供養〉

・赦儞娑の出現、問答、父王への報告、金銭授与の指示29

【書き下し】行者念誦して、常に間斷なくんば、乃至毘沙門天王の子赦儞娑、童子の形を現 じて、持誦者に告げて言はん。汝何の事ありてか。我が父を請召する。持誦者言ふべし。我 れ三寶を供養せんが為なり、我れに財寶を受與したまへ。童子赦儞娑、須臾の間に毘沙門天 の所に還り至り、父の王に告げて言さく。持誦者、諸の財寶を求む。供養せんがための故に、

4

れ今當に眞言を受持する法を説くべし。まず、安悉香を取りて、白檀香・龍腦香・多蘖囉 香・薫陸香・蘇合香を此の香に和合し、我れ毘沙門天王に供養すべし、20

「四天王護国品」(1)如意宝珠陀羅尼法:《根本呪の受持法》〈受持法②〉21

【書き下し】『呪を受持する時、先ず千遍を誦せよ。然して後、淨室の中に於て、瞿摩を地に 塗りて、小壇場を作り、時に隨いて飮食し、一心に供養し、常に妙香を然して烟して絶えざ らしめ云々…以下略。22 (傍線は筆者) 心真言の受持法として、焼香供養が説かれており、「四天王護国品」中傍線部の「常に妙香を燃 やして烟を絶えざらしめ…」という経文(傍線箇所)が、『毘沙門天王経』と対応している。

但し、用いる香については、「四天王護国品」《前行》中に「應に諸香を取るべし。所謂、安息・

栴檀・龍腦・蘇合・多掲羅・薫陸なり。皆須らく等分に一處に和合すべし。香を燒きて供養し云々

23」と説かれており、『毘沙門天王経』では、この《前行》部分の記述を『毘沙門天王経』《心真 言の受持法》中に取り入れ、補填した可能性が考えられる。

『毘沙門天王経』(1)毘沙門天の成就法:《心真言の受持法》②〈毘沙門天の迎請〉24

【書き下し】若し迎請せんときには、根本印を結び、二頭指を以て身に向け、三たび招 け。即ち眞言を誦すること、七遍にして頂上に印を散ぜよ。25

「四天王護国品」(1)如意宝珠陀羅尼法:《薜室囉末拏大王の請召》26

【書き下し】一靜室に於て神呪を誦して、我が薜室囉末拏天王を請ずべし。』即ち呪を説い て曰く、27

迎請(請召)法として、『毘沙門天王経』では根本印28を結び、真言を七編唱え印を頭上で解くと いう印契作法が加わっているが、「四天王護国品」では呪を唱えるのみである。

『毘沙門天王経』(1)毘沙門天の成就法:【迎請真言】

【漢訳】怛儞也二合去引一曩謨吠室囉二合鼻音呼鼻音引曩謨馱曩 娜馱寗寧定反引濕嚩 去引 言羯反去引縁蹉阿跛哩弭多馱甯濕嚩二合鉢囉麼嚕抳迦薩嚩薩答嚩 馨異反喞多麼麼 駄曩麼鼻音鼻音鉢囉二合延結反娑嚩二合琰麼鼻音引蘗嗟娑嚩二合引十

(T21No.1244 p.215b)

【還梵】tadyathānamo vaiśravaṇāya namo dhanadāya, cāṇdeśvarāya ākarṣaākarṣa aprājitacandeśvara paramakāruṇika sarvasattvahitacinya, mama dhanaṃ anu(?)paraye,śvara ākarṣa svāhā.

「四天王護国品」(1)如意宝珠陀羅尼法:【(請召)呪】

【漢訳】南謨薜室囉末拏引也南謨檀那䭾也 檀泥説囉引也 阿掲撦 阿鉢睚弭哆 檀泥説囉 鉢囉麼 迦留尼迦 薩婆薩埵 呬哆振哆 麼麼已名檀那末奴鉢喇拽撦 碎閻摩掲撦 莎訶 (T16No.665p.430c)

【チベット訳】na mo bai śra ba ṇā ya / ma hā dha na dā ya / tsaṇḍe śva rā ya / ā karṣa / a pa ra dzi ta /tsaṇḍe- śva ra / pa ra ma kā ru ṇi ka / sarva sa tva / hi ta tsinyā / ma ma dha na bar dho / parye śva ra svayam / ā karṣa ya- svāhā /

『毘沙門天王経』中の真言では、tadyathāとākarṣa (【還梵】網掛け箇所)が加えられているが、

「四天王護国品」中でも同様の呪文が説かれている。

『毘沙門天王経』(1)毘沙門天の成就法:《心真言の受持法》〈念誦供養〉

・赦儞娑の出現、問答、父王への報告、金銭授与の指示29

【書き下し】行者念誦して、常に間斷なくんば、乃至毘沙門天王の子赦儞娑、童子の形を現 じて、持誦者に告げて言はん。汝何の事ありてか。我が父を請召する。持誦者言ふべし。我 れ三寶を供養せんが為なり、我れに財寶を受與したまへ。童子赦儞娑、須臾の間に毘沙門天 の所に還り至り、父の王に告げて言さく。持誦者、諸の財寶を求む。供養せんがための故に、

(8)

か。我が父を請召する。持誦者言ふべし。我れ三寶を供養せんが為なり、

我れに財寶を受與したまへ。童子赦儞娑、須臾の間に毘沙門天の所に 還り至り、父の王に告げて言さく。持誦者、諸の財寶を求む。供養せ んがための故に、有情を利益せんとす。毘沙門天王、童子赦儞娑に告 げて言さく。汝日日金錢一百を與へて、乃し壽終に至れと。30

「四天王護国品」(1) 如意宝珠陀羅尼法:〈受持法②〉

 ・禪膩師の出現、問答、大王への報告、財物授与の指示31

【書き下し】前の心呪を誦し昼夜に心に繋げ、唯自耳にのみ聞きて、

他をして解せしむる勿れ。時に薜室囉末拏王子あり、名を禪膩師という。

童子形を現じ來たりて其の所に至り、問うて言く「何故に我が父を喚ぶ ことを須うるや」と。即ち報えて言く、「我供養三寶の事の為に財物を 須う、願わくば當に施與すべし」と。時に禪膩師、是の語を聞き已り、

即ち父の所に還り、其の父に白して言く、「今善人あり。至誠心を發し、

三寶を供養するも財物少乏をもて斯の請召を爲す」と。其の父報えて曰 く、「汝速やかに去りて、日日彼に一百迦利沙波拏を與うべし」と。32

『毘沙門天王経』では、毘沙門天王の子の赦儞娑(シャニシャ)が持誦者 の前に現れ、持誦者と問答をおこなう。持誦者が三宝を供養するために毘沙 門天から金銭を授けてもらうことを望んでおり、そのことを父王(毘沙門天)

へ報告に向かい、シャニシャが持誦者に金銭を授けるよう指示を受ける場面 が説かれている 。

「四天王護国品」でも同様な内容が説かれている。異なっている点として は、薜室囉末拏大王の子、禪膩師(ゼンニシ)が呪持者の前に現れること、

そしてゼンニシが呪持者に授けるものが “ 財物 ” と、曖昧な表記になってい る。対して、『毘沙門天王経』では授けるものが “ 金銭 ” 所謂お金と明確に 表記されている。そして、授与された金銭(財物)を用いて布施をおこなう ことが説かれている。

『毘沙門天王経』(1) 毘沙門天の成就法:《心真言の受持法》〈念誦供養〉

 ・金銭授与、布施33

【書き下し】その童子赦儞娑、日々金錢一百を送りて、持誦者に與へ

(9)

87

『毘沙門天王経』 並びに 『金光明最勝王経』 の構造と内容について (2)

て、頭の邊に安かん。その金錢に、異種の香氣あらん。先に願ひて得 たる所の者、自の受用を除きて、外、捨施を行ふべく、貯積して慳悋 を懷ふべからず。常に一切有情に於いて大悲心を起こし、嗔恚を生ず ること勿かれ。殊勝の香花、飮食燈明を以て、寂靜の處に於て、如法 に佛法僧寶を供養し、かねて復た、思惟して間斷なし。34

「四天王護国品」(1) 如意宝珠陀羅尼法:《根本呪の受持法》〈受持法②〉

 ・財物授与、布施35

【書き下し】其の持呪の者、是の相を見已りて、事の成るを得るを知 り、當に須らく獨り淨室に處し、香を燒きて臥し、床邊に於て一香篋 を置くべし。天曉に至る毎に、其の篋中を觀て、求むる所の物を獲よ。

物を得る時毎に、當に日に即ち須らく三寶に香花飮食を供養し、兼ね て貧乏に施し、皆罄盡せしむべし。停留することを得ざれ。諸の有情 に於て慈悲の念を起し、瞋誑諂害之心を生ずること勿れ。若し瞋を起 さば即ち神驗を失せん。常に心を護るべし。瞋恚せしむること勿れ。36 金銭・財物の授かり方について、『毘沙門天王経』での授かり方は “ 頭の 辺りに置く ” と、説かれているのに対し「四天王護国品」では、“ 呪持者が 薜室囉末拏大王と禪膩師のやり取りを見て、財物を授けてもらえることを確 認し、床に香篋を置いて横になり、朝に香篋の中に財物が生じる ” とあり、

財物の授かり方が詳細に生々しく説かれている。

『毘沙門天王経』(1) 毘沙門天の成就法:《心真言の受持法》〈念誦供養〉

 ・吉祥の讃の指示、功徳得益37

【書き下し】毘沙門天王、並びに諸の眷屬のために、恩徳を念ずるが 故に、常に吉祥の讃を誦して、彼の天王をして、諸の吉慶を獲しむべし。

願わくは、毘沙門天王、男女眷屬、内外の親姻、輔弼、乃至、使者及 び諸の營從、國界の有情に、佛の稱讃したまふところの、十種の福利 を、悉く皆な獲得せしめん。謂はゆる、一には淨信、二には戒、三に は聞、四には捨、五には寿、六には慧、七には形貌、八には力、九に は辯、十には色聲香味觸富貴自在なり。佛法の中において、法眼を開き、

聖果を証得し、甘露の妙法を獲得し、亦た、三十七品助佛道の法を得

(10)

せしめん。持誦者、毎日、かくのごとく、発願を作さば、毘沙門天王、

即ち歓喜を生じて、自の営従眷屬に告げん。汝等彼の持誦者、我れに 深く恭敬を生ずるを觀んと。また童子赦儞娑に告げて言さく。持誦者、

希望して我れ毘沙門藥叉王を見んと欲し、惡趣の門を閉ぢんとねがわ ば、思ふところの勝願、皆な滿足せしめ、壽無量百千歳にして、如意 寶を獲得し、虚空に飛騰し、安怛那及び伏藏を得せしめん。若は男、

若は女、及び囉惹をして皆敬愛せしめ、また、一切禽獸の語言を解せ しめ、財を豊にして、永く貧匱を離るることを得せしめんと。38

「四天王護国品」(1) 如意宝珠陀羅尼法:《根本呪の受持法》〈受持法②〉

・諸尊への讃嘆の指示、功徳得益39

【書き下し】又、此の呪を持する者は毎日の中に於て、我が多聞天 王、及び男女の眷屬を憶い、稱揚讃歎し、恒に十善を以て共に相資助し、

彼の天等をして、福力明を増し、衆善普く臻り。菩提處を證せしめん。

彼の諸の天衆是の事を見已りて、皆おおいに歡喜し、共に來たりて持 呪の人を擁衞せん。又、呪を持する者は壽命長遠にして無量歳を經、

永く三塗を離れて、常に災厄なからん。亦た如意寶珠、及び伏藏を獲 せしめ、神通自在にして、所願皆成ぜん。若し官榮を求めば、意に稱 わざるなし。亦た一切禽獸の語を解せん。40

『毘沙門天王経』では、毘沙門天が持誦者の発願(吉祥の讃)聞いて、持 誦者に種々の利益を授ける場面であるが、その際にシャニシャに「持誦者の 願い(利益)をかなえて上げなさい」と告げ、シャニシャが持誦者に利益を 授けようとしている場面が説かれている。

一方、「四天王護国品」中では、呪者が讃嘆をおこなうことで種々の利益 を得ることができると説かれている。

この場面では、両経典ともに現世利益の獲得について説かれているが、『毘 沙門天王経』では、十種の福利41の獲得、法眼を開いてさとりを開くこと、

不死の法の獲得や三十七品助仏道(さとりの智慧を得るための方法)の達成 等が加えられている。

(11)

89

『毘沙門天王経』 並びに 『金光明最勝王経』 の構造と内容について (2)

4—2. 大項目 (2) の内容

両経典の大項目 (2) の構造については、大項目 (1) ほどの変動はみられな い。以下のように構造が展開していく。

○⑵画像を用いた毘沙門天成就法:

《画像法》→《供養法》→《功徳・得益》→【護身の明】

○⑵画像を用いた薜室囉末拏大王現身法:

《画像法》→《薜室囉末拏大王の請召》→《功徳・得益》

『毘沙門天王経』(2) 画像を用いた毘沙門天成就法:《画像法》42

【書き下し】彼の持誦者、當に白月八日、及び十五日において、畫人 をして、八戒を受け、澡浴して、新淨の衣を著せしむべし。截たざる白 氎を取りて像を畫け。その彩色の中、皮膠を用いざれ、中心に釋迦牟尼 佛を畫き、説法の相に作れ。佛の右の邊に、吉祥天女の形を畫け。眼目 廣長にして顏貌寂靜にせよ。首に天冠を戴せ、瓔珞臂釧、その身を莊嚴 せり。右の手施願の手に作り、左の手に開敷蓮花を執らしめよ。43

「四天王護国品」(2) 画像を用いた薜室囉末拏大王現身法:《画像法》44

【書き下し】『世尊、若し呪を持する時、我が自身の現ずるを見るを 得んと欲せば、月の八日、或いは十五日に於て、白疊の上に於て、佛 の形像を畫き、當に木膠を用いて、雜彩莊飾すべし。其の像を畫かん 人は、爲に八戒を受けよ。佛の左邊に於て、吉祥天女の像を作り、佛 の右邊に於て、我が多聞天像を作り、并に男女眷屬の類を畫き、45

『毘沙門天王経』では、さいしょに畫人(画を描く人物)の所作法(八戒 を受けさせ澡浴し新淨衣を着させる)について説かれているが、「四天王護 国品」では、畫人については説かれていない。

そして、植物性の顔料を用いての画像法が両経典中で説かれている。画 かれる尊格、配置場所、尊容については以下の通りである。

(12)

90

・『毘沙門天王経』では、中央に釈迦牟尼佛・その右辺に吉祥天女の二尊 を画く。また、尊容についても詳細に説かれている。

・「四天王護国品」では、中央に佛(世尊)、左辺に吉祥天女、右辺に多聞 天の三尊を画く。尊容については、佛のみ説かれている(多聞天には、男女 眷属を伴わせる)。吉祥天の配置される位置が異なっている。

※『毘沙門天王経』中の《画像法》も「四天王護国品」と同じく三尊形 式の画像と思われるが、多聞天ないし毘沙門天だけ略されている。

『毘沙門天王経』(2) 画像を用いた毘沙門天成就法:《供養法》46

【書き下し】像を畫くことを得已りなば、清淨の處に像を安んじ、供 養するに塗香、花鬘、燒香、飮食、燈明を以てし、以て佛及び吉祥天女 を供養せよ。受持者は應に、下劣の心を以て恐怖を生ずべからず。應に 決定の心を以て、如法に此の吉祥天女の眞言を念誦すべし。曰く。47

「四天王護国品」(2) 画像を用いた薜室囉末拏大王現身法:《薜室囉末拏大王 の請召》48

【書き下し】座處に安置し、咸く如法ならしめ、花彩を布列し、衆の 名香を燒き、燈を然して明を續くること、昼夜歇むなく、上妙の飮食と 種種の珍奇と、殷重の心を發して、時に隨い供養せよ。神呪を受持して 輕心なること得ざれ。我を請召せん時は應に此の呪を誦すべし。』49 そして、画像法の後、清浄な場所に像を安置して塗香・花鬘・焼香・飲食・

灯明をもって供養すると、両経典とも概ね同じ内容が説かれている。

『毘沙門天王経』(2) 画像を用いた毘沙門天成就法:【吉祥天女心真言】

7

『毘沙門天王経』(2)画像を用いた毘沙門天成就法:《画像法》42

【書き下し】彼の持誦者、當に白月八日、及び十五日において、畫人をして、八戒を受け、

澡浴して、新淨の衣を著せしむべし。截たざる白氎を取りて像を畫け。その彩色の中、皮膠 を用いざれ、中心に釋迦牟尼佛を畫き、説法の相に作れ。佛の右の邊に、吉祥天女の形を畫 け。眼目廣長にして顏貌寂靜にせよ。首に天冠を戴せ、瓔珞臂釧、その身を莊嚴せり。右の 手施願の手に作り、左の手に開敷蓮花を執らしめよ。43

「四天王護国品」(2)画像を用いた薜室囉末拏大王現身法:《画像法》44

【書き下し】『世尊、若し呪を持する時、我が自身の現ずるを見るを得んと欲せば、月の八 日、或いは十五日に於て、白疊の上に於て、佛の形像を畫き、當に木膠を用いて、雜彩莊飾 すべし。其の像を畫かん人は、爲に八戒を受けよ。佛の左邊に於て、吉祥天女の像を作り、

佛の右邊に於て、我が多聞天像を作り、并に男女眷屬の類を畫き、45

『毘沙門天王経』では、さいしょに畫人(画を描く人物)の所作法(八戒を受けさせ澡浴し新淨衣 を着させる)について説かれているが、「四天王護国品」では、畫人については説かれていない。

そして、植物性の顔料を用いての画像法が両経典中で説かれている。画かれる尊格、配置場 所、尊容については以下の通りである。

経典 尊格 配置 尊容・眷属について 毘沙門天王経

釈迦牟尼佛 中央 ・説法をしている姿

吉祥天女 ・頭に冠をのせ、身を着飾り安らかな表情にする。

・右手は施願の手、左手に開敷蓮華を執らせる。

金光明最勝王経

(世尊) 中央 ・種々の装飾で飾る 吉祥天女 記載なし 多聞天 ・男女眷属

『毘沙門天王経』では、中央に釈迦牟尼佛・その右辺に吉祥天女の二尊を画く。また、尊容に ついても詳細に説かれている。

「四天王護国品」では、中央に佛(世尊)、左辺に吉祥天女、右辺に多聞天の三尊を画く。尊容 については、佛のみ説かれている(多聞天には、男女眷属を伴わせる)。吉祥天の配置される位置 が異なっている。

※『毘沙門天王経』中の《画像法》も「四天王護国品」と同じく三尊形式の画像と思われるが、

多聞天ないし毘沙門天だけ略されている。

『毘沙門天王経』(2)画像を用いた毘沙門天成就法:《供養法》46

【書き下し】像を畫くことを得已りなば、清淨の處に像を安んじ、供養するに塗香、花鬘、

燒香、飮食、燈明を以てし、以て佛及び吉祥天女を供養せよ。受持者は應に、下劣の心を以 て恐怖を生ずべからず。應に決定の心を以て、如法に此の吉祥天女の眞言を念誦すべし。曰 く。47

「四天王護国品」(2)画像を用いた薜室囉末拏大王現身法:《薜室囉末拏大王の請召》48

【書き下し】座處に安置し、咸く如法ならしめ、花彩を布列し、衆の名香を燒き、燈を然し

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