対象と視角
貸付債権の証券化を支えるものに, 貸付債権への公的保険・保証, 政府系機関の流通市場育 成等がある。 しかし, 導入時に証券化を支えてきた公的保険・保証は相対的に減少し政府の役 割は背景に退き, 年代から民間の金融保証1)とともにノン・リコース・ファイナンスが普
及してきた。 証券化商品である ( ;住宅モ
ーゲイジ担保証券) と各種 ( ;アセットバック証券) では, リ コース (償還請求権付き) からノン・リコース (償還請求権なし) へというファイナンス手法
の展開がみられたのである。 ( ;商業モー
ゲイジ担保証券) でも, ノン・リコース形式が一般的である。 ノン・リコース・ファイナンス は, 政府の役割が相対的に小さくなる現代において, 新たな証券化の基礎手法と考えられる。
アメリカ合衆国の ( ;財務会計基準審議会)
対象と視角 1. 歴史
( ) 法的なリコース・ファイナンスの展開 ( ) ノン・リコース・ファイナンスの源流
2. ローン・セールにおけるノン・リコース・ファイナンスの普及 3. 証券化とノン・リコース・ファイナンスの展開
( ) におけるノン・リコース・ファイナンス ( ) におけるノン・リコース・ファイナンスの普及 ( ) におけるノン・リコース・ファイナンスの展開 ( ) におけるノン・リコース・ファイナンスの一般化 ( ) におけるノン・リコース・ファイナンスの新展開 むすびにかえて
アメリカ式ノン・リコース・ファイナンスの展開
証券化の現代的基礎手法
掛 下 達 郎
*本論文は, 年度 科研費 , 年度松山大学特別研究の助成を受けたもので ある。
1) 金融保証とは, 債務者による債務不履行が発生した場合に, 約定通りの元利払いを保証する業務を いう。 尾崎 ( ) 2 4頁。
は, ( ;一般に認められた会計原則) を 設定する機関である。 その基準書 号によると, リコース (償還請求権) とは, 図1におけ る①借り手の債務不履行, ②期限前償還による影響, または③譲渡された債権の瑕疵による修 正について, ④債権の買い手が売り手から支払いをうける権利である2)。 ①債務不履行, ②期 限前償還, ④リコースについては, リコースまたはノン・リコース・ファイナンスの概念を示 した図1に番号通り示している。 ③譲渡された債権については, 本論文で取り上げる証券化商 品として図示している。 法的には, リコースとは, 第1次的に履行すべき者が履行しなかった 場合に, 第2次的に履行すべき者に対して履行を請求することである。
図1を用いた説明を続けよう。 一方, ノン・リコースとは, 一般的に, ⑤貸し手は当該資産 にだけリコース (償還請求) でき, ⑥借り手にはリコースできないと理解されている。 たとえ ば, 担保付き貸付の際に, 債権額が担保の時価を上回っても, 貸し手がそれ以上のリコースの 権利をもたないことを指す。 この場合には, 貸付は特定の資産等と紐付きになっており, 返済 は担保価値に限定され, 元本と利子全体に及ぶことはない。 その意味で, リコースがまったく おこわれないわけではない。 上記のように法的には, リコースとは, 第1次的に履行すべき者 が履行しなかった場合に, 第2次的に履行すべき者に対して履行を請求することである。 この 観点からは, ノン・リコースは文字どおりリコースがないことになる。
アメリカでは証券化が普及しているが, 日本では証券化はそれほど普及していない。 一方, アメリカでは伝統的な個人保証人制度は一般的ではないが, 担保制度が担保概念を拡張する方 向で発達しノン・リコース・ファイナンスが普及している。 日本ではノン・リコース形式は一 般的ではないが, 伝統的な個人保証制度と担保制度が存在している。 年代半ばには, 日本 の中小企業向け融資の2〜3割が個人保証である連帯保証人をつけているという。 筆者は, ア メリカの銀行貸付に関する保険・保証制度の展開と, 証券化を含む貸付の流通市場の発達には, 因果関係があると考えている。 少し視野を広げると, 銀行貸付に関する保険・保証制度, 担保
2) ( ) なお, ( ) (訳
頁) を参考にした。
(出典) 以下の文献を参考にして作成。 秋葉 ( ) 頁 ( )
図1 リコースまたはノン・リコース・ファイナンスの概念図
制度, ノン・リコース・ファイナンスの展開は, 互いに密接な関係をもって発展してきたと思 われる。
あらかじめその概要を示せば, 表1のように, アメリカの銀行貸付に関する保険・保証制度 は, 伝統的な個人保証人から 年代以降の公的保険・保証をへて, 年代以降の民間の金 融保証に発展してきた。 保険・保証制度においては, 第1次的に履行すべき者が履行しなかっ た場合に, 第2次的に履行すべき保証人, 保険・保証機関, 保険会社に対して履行を請求する。
これは, 法的なリコース・ファイナンスの展開である。
一方, アメリカの銀行貸付に関する担保制度は, 伝統的な物的担保から 年代以降には担 保が収益力へとその概念を拡張し, 年代以降にはキャッシュフローへとさらにその概念を 拡張してきた3)。 担保制度の展開では, 貸し手は当該資産, 収益, キャッシュフローにだけリ コースでき, 借り手にはリコースできない。 これは, 本論文の主題であるノン・リコース・フ ァイナンスの展開を支えるものである。
先の保険・保証制度の展開において, 年代に銀行貸付に関する民間の金融保証という新 しいファイナンス手法が産み出された。 担保制度の展開は, 年代から長期にわたり, ノン
・リコースという同じく新しいファイナンス手法の形成過程を支えてきた。 民間の金融保証と ノン・リコースという新しい手法は, 証券化を含む貸付の流通市場の発達を支えたのである。
本論文では, アメリカの銀行貸付に関する民間の金融保証とノン・リコースという新しいフ ァイナンス手法が, 互いに密接な関係をもって発展してきたことを考察する。 さらに, ノン・
リコース・ファイナンスの源流を探り, それがいつ大手商業銀行の各種業務で用いられたかを 明らかにしたい。 それによって, ノン・リコース形式が現代的な証券化の基礎手法であるとい う意味を考えていく。 ノン・リコース形式は, 中小企業貸付や農業モーゲイジ・ローンとその
3) 担保, 収益力, キャッシュフローへの概念の拡張については, 川波 ( ) 第 篇を参照された い。
表1 銀行貸付に関する保険・保証, 担保制度, ノン・リコース・ファイナンスの展開 保険・保証制度の展開 担保制度の展開 ノン・リコース・ファイナンスの展開 個人保証人
↓ 公的保険・保証
( 年代〜)
↓
民間の金融保証 ( 年代〜)
物的担保
↓
収益力への担保概念の拡張 ( 年代〜)
↓
キャッシュフローへの担保概念 の拡張 ( 年代〜)
プロダクション・ペイメント ( 年代〜)
↓
プロジェクト・ファイナンス
↓ ( 年代〜)
ローン・セール
( 年代〜) (注) 本論文で扱った範囲をまとめたものである。
証券化を除く, 現代アメリカのほとんどの分野の貸付と証券化において一般的なファイナンス 手法である (後の表2参照)4)。
ノン・リコース・ファイナンスに関する先行研究には, 以下のものがある。 第1節で扱うリ
コース・ファイナンスの先行研究では, 頭取の
( ) が, 詳細な事例研究をおこなっている。 第2節のローン・セールの代表的な 先行研究には, 以下のものがある。 まず, ( ) が, 誘因整合的ロ ーン・セール・モデルにより暗黙の契約を計測してローン・セール市場の始まりを説明してい る。 つぎに, 同じく ( ) が法律, 契約, 会計, 規制問題を 扱っている。 第3節のノン・リコース・ファイナンスの研究では, シカゴ連銀の (
) が, 証券化の際のリコース問題を取り上げている。 これらの先行研究においては, 本論 文の対象であるノン・リコース・ファイナンスの源流は何か, ノン・リコース形式はいつどの ように普及し主たるファイナンス手法として定着したかは必ずしも明らかではない。
アメリカの金融市場では, 伝統的に資本市場が高度に発達しており, 年代まで貸付は格 下の金融商品とみなされてきた。 しかし, 市場関係者の中には, 年頃から貸付が中心的に なったという見解がある。 貸付が中心的とは, 貸付市場が量的に資本市場を凌駕したというこ とではない。 貸付が, あたかも資本市場の一部となったという意味である。 これは,
という用語にも表れている。 貸付が貸借関係ではなく, 投資家からみれば, 1つの アセットクラスとして認識されたのである5)。 貸付が1つのアセットクラスとして認識される と, 流通市場で証券のように売買される。 その際に, 証券化市場を含む流通市場において, ノ ン・リコース形式が普及し, 主たるファイナンス手法として定着したのである。
本論文では, ノン・リコース形式についての先行研究を整理しながら, ノン・リコース・フ ァイナンスの源流, 普及, 定着を歴史的に考察していく。 筆者は, ノン・リコース・ファイナ ンスを証券化の基礎手法と捉えており, その源流, 普及, 定着を明らかにすることはアメリカ 型の証券化を正確に理解するために必要だと考えている6)。 本論文の構成は以下の通りである。
4) 日本では, 年3月に がノン・リコース・ローンを導入した。 翌 年4月に, 日本開発銀行と安田生命保険等が, 国内金融機関として初めて, 東京渋谷のオフイスビル建築にノン
・リコース・ローンを実施した。 これと前後して, アメリカに近いカナダ, メキシコ, ラテン・アメ リカ諸国から, 諸国, ロシア, 中国, 韓国, 南アフリカといった世界中の国々にまでノン・リコ ース・ファイナンスが導入された。
以上, 鴻・北沢編 ( ) 頁 ( ) 谷川 ( ) 頁 日本経済新聞 年4月 日 朝刊 1頁 週刊東洋経済 ( ) 頁 庄司 ( ) 頁 秋葉 ( ) 頁 内藤 ( ) 頁 ( ) 日本経済新聞 年3月 日 朝刊 1頁。
5) ( ) コフィー ( ) 頁 年1月 日の河合祐子氏 (日本銀行金融 市場局) へのインタヴュー。
6) ユーロ市場における証券化に対する, アメリカ型の証券化の特徴の1つは, 貸付債権の証券化とし て説明されてきた。 一方, ユーロ市場における証券化は, シンジケート・ローンから, 貸付=融資と
まず第1節で, リコース・ファイナンスの歴史を追跡して, ノン・リコース形式の源流を探る。
引き続く第2節では, 新しいローン・セール業務において, ノン・リコース形式が普及したこ とを考察する。 つぎに第3節では, ノン・リコース形式がローンを証券化した と各種 のファイナンスで基本的に定着したことを検証する。 最後に本論文のまとめについて述 べる。
1. 歴 史
ここでは, ノン・リコース・ファイナンスの源流を探るために, これに関連するリコース・
ファイナンスの歴史を考察する。 リコースもしくはノン・リコース形式がおもに問題になるの は, 銀行貸付が売買され債権者が変わる流通市場, 証券化市場である。 そこで, まず事業貸付 の流通市場であるローン・セール業務におけるリコース・ファイナンスの歴史を考察する。
( ) によると, ローン・セールそれ自身は, 商業銀行にとって 目新しい業務ではなく, 1世紀以上も続く古い業務である。 しかし, 年以前には伝統的な コルレス・ネットワーク内での取引, とくにオーバーライン7) (貸付の総量規制) のためのロ ーン・セールにほぼ限定されていた。
商業銀行は, ローン・セールをおこなうときに, 長い間パーティシペーション (協調融資) を利用してきた。 古い形のパーティシペーションは, 幹事行 ( ) が他の銀行のため に交渉するシンジケート団組成であった。 年 月5日には, 加盟銀行による満期1年以上 のターム・ローン額の %がパーティシペーション形式であった。 これは 年とほぼ同じ
割合だという。 年の ( ;アメリカ銀行協会) の調
査によると, 回答した銀行の %が, オーバーラインの貸付は上流のコルレス銀行向けポート フォリオの 〜 %に達していたという。 同じく %が, オーバーラインは流動性にもとづ いたローン・セールよりも一般的だと報告している。 年に売却された貸付額の %が, 上流のコルレス銀行に対するパーティシペーションであったと, は見積っている。 パー ティシペーションとは, おもに中小銀行がオーバーラインのために大手行に売却するものであ った。
各一般参加銀行は企業に個別の貸付をあたえるが, 通常, このパーティシペーション契約は, 幹事行が締結した協定にもとづいて貸借関係の譲渡の形をとっていた (後の表2参照)。 コル レス関係の下で, 一般参加行が幹事行に直接貸し出すこともあった8)。 貸借関係を譲渡する場
証券のハイブリット商品の進展を1つの特徴とする。 松井 ( ) 1 3頁。
7) オーバーライン (貸付の総量規制) とは, 単一の借り手に対する銀行の法的な貸付限度を超えた貸 付を指す。
8) 以上 ( ) ( )
合, 一般参加銀行は, 幹事行ではなく, 最終的借り手である企業にリコースできる。 このよう に古い形のパーティシペーションでは, リコース・ファイナンスが一般的であった。
すでにみたように, パーティシペーションは貸付の流通市場とみなされてきた。 連邦準備等 の公的機関は, 年代のニューディール期から民間金融機関の協調融資に加わった。 この時 期, アメリカ経済は 年の株式恐慌を皮切りに3度の銀行恐慌を経験して大不況に喘いでお り, 民間金融機関は公的機関のサポートにより新たな貸付先を必要としていた。 公的機関の協 調融資への参加は, 幹事行以外の民間金融機関が協調融資へ参加することを促した。
ここでは, まず第1項で, 法的なリコース・ファイナンスが, 公的機関のサポートによって, どのように展開されたかを考察する。 つぎに第2項で, ノン・リコース・ファイナンスが 年代にその源流をもつことを明らかにする。
(1) 法的なリコース・ファイナンスの展開
公的機関は, パーティシペーション (協調融資) の形ではなく, 民間金融機関の貸付に対し て直接, 債務保険または保証することもある。 この場合, 公的機関は融資関係者ではないが, 民間金融機関は, 第1次的に履行すべき借り手企業が債務不履行に陥った場合, 公的機関に保 険金または保証金を請求する。 民間金融機関は, 実質的にリコースと同等の権利をもつ。 すで に指摘した法的なリコース・ファイナンスの展開である。
その一例として, 年6月 日の連邦住宅法によって設立された (
;連邦住宅局) は, まず民間金融機関の住宅モーゲイジ・ローンに対して保 険を提供した。 この 保険の対象は, 大きく2つに分けられた。 第1は, 住宅の建設・購 入である。 第2は, 連邦住宅法第 章の住宅の修繕・近代化である。
第1の住宅の建設・購入に対する 保険は, 年には商業銀行がオリジネート した貸付に最も多く利用された。 銀行がオリジネートした貸付は に保険された貸付額の
%に達し, モーゲイジ・カンパニー ( %) と保険会社 ( %) がそれに続いていた。
この住宅モーゲイジ・ローンに対する 保険に, 連邦住宅法第 章の相互モーゲイジ保 険があった。 第1順位モーゲイジ, 額面 ドル以下等の条件の貸付に対して, が融 資額の %まで保険するものが代表的である (第 条 ( ), 第 条 ( )( ))。 この第 章 の適格条件に, にとって満足できる完全割賦返済条項が含まれていた (第 条 ( ) ( ))9)。
第2の住宅の修繕・近代化に対する 保険も, おもに商業銀行に利用された。 年8 月〜 年4月には, 第 章で保険された金融機関の %が銀行であった。 同じく保険され た貸付額の %, 件数の %を銀行が保有し, ファイナンス・カンパニー (貸付額の
9) 連邦が認可した ( ;貯蓄貸付組合) も同様の規制をうけ (連 邦住宅法第 章), 多くの州規制下にあるモーゲイジ貸付機関も同様の規制をうけた。
%, 件数の %) がそれに続いていた )。 年には, 第 章で保険された貸付額の
%を銀行がオリジネートしていた。 第 章による保険は, 額面 ドル以下の1家族用貸 付 )に対して, が融資額の % )まで保険した (第2条)。 第 章にくらべて, 保険対 象の額面と保険される割合が低くなっていた )。
このように, は住宅の建設・購入, さらに住宅の修繕・近代化に対する商業銀行の貸 付を保険した。 銀行は, 借り手企業が債務不履行に陥った場合, に保険金を請求する。
銀行は, に実質的にリコースと同等の権利をもつ。 法的なリコース・ファイナンスの展 開である。
(2) ノン・リコース・ファイナンスの源流
前項でみたように, 民間金融機関の貸付に対する公的機関の支払保険・保証も, 実質的に法 的なリコース・ファイナンスであった。 それでは, 一方のノン・リコース・ファイナンスは, いつからどのように用いられたのだろうか?
少なくとも 年代のニューディール期から, プロダクション・ペイメント (産出物による 支払い) で, ノン・リコース形式が用いられた。 この時期, アメリカ経済は大不況に喘いでお り, 民間金融機関は新たなファイナンス手法を模索していた。 一方, 石油産業は, テキサス州 における油田開発もあり, 原油価格の暴落にみまわれた。 とくに, 中小の倒産が相次いでおり, 彼らは新たな資金調達先を探し求めていた。 このとき, が, ノン・リコース形 式のプロダクション・ペイメントを, 石油・ガスを産出するためにおこなった。 プロダクショ ン・ペイメントは, 年代の石油・ガス・鉱物資源等を開発するためにまず発達したのであ る (後の表2参照)。
プロダクション・ペイメントは, 当初, すでに産出された石油・ガスを担保とした商品担保 の比較的短期の在庫金融であった。 これは伝統的な商品担保貸付であった。 それが次第に, 産 出された石油・ガスだけでなく, 地下に埋蔵されたものを担保とした長期貸付へと発展した。
まず, ( ) がオイル・プロダクション・ローンと呼んでいるものをみてみよう。
石油・ガス会社は, 石油・ガス鉱区担保で借り入れ, 毎月の収入の一部を返済に充てた。 この
) ただし, 銀行のデータは信託会社を含む。
) 年5月 日の連邦住宅法の改正によって, 1家族用以外に対する 〜 ドルの貸付も, に保険された。 1家族用以外の貸付とは, アパートまたは多世帯住宅, ホテル, オフィス, 事 業または商業ビル, 病院, 孤児院, 大学, 学校, 製造業または工業の工場である。
さらに, 年4月3日の改正によって, ドル以下の貸付は住宅の修繕に限定された。
) 年4月1日〜 年3月 日に貸し出されたものは, 保険率が %に引き下げられた。
) 以上 ( ) ( )
( ) 原資料は
各年号 各年号。
貸付には, その鉱区の収支計画とともに, 石油・ガス埋蔵量の技術的に適正な市場価値評価が 必要とされた。 担保となる石油・ガス埋蔵額は常に貸付残高を明らかに上回り, 貸付の返済後 も融資期間と同じ収益を上げることが要求された。 言い換えると, 貸付額の2倍の埋蔵額が必 要とされた。
地下に埋蔵された石油・ガスは, 実際に産出され販売されて, 初めて企業収益となる。 地下 に埋蔵された状態では, 石油・ガスは, 借り手企業にとってバランスシート上の資産ではなく, 貸し手銀行にとって物的な担保でもない。 そのため, 将来の収益を予測して, その収益の源泉 である, 地下に埋蔵された石油・ガスを担保としたのである。 こうして, 年代に物的な担 保から収益力へと担保概念の拡張が始まった。 担保制度の展開である。
これが, 戦後の 年代に石油・ガス産業で定着した。 プロダクション・ペイメントは直訳 すれば産出物による支払いであり, 石油・ガス産業のプロダクション・ペイメントはオイル (ガス) ペイメントである。 オイル (ガス) ペイメントとは, 石油・ガスまたはそれに相当す る代金の受領権である。 産出物またはそのキャッシュフローだけが担保となることが, 後述す るプロジェクト・ファイナンスに引き継がれた。 物的な担保から収益力だけではなく, キャッ シュフローへとさらに担保概念の拡張が起こったのである。 吉原・貝塚・蝋山・神田 ( ) によると, 企業のキャッシュフローは, 税引前利益に減価償却費など内部留保額の増加分を加 えた現金の増分である。 収益力を背景にした利益だけでなく内部留保も含むため, キャッシュ フローが担保になると, 担保概念が収益力より希薄化される。 さらなる担保制度の展開である。
プロダクション・ペイメントでは, 貸し手金融機関は, 石油・ガスまたはそれに相当する代金 の受領権にだけリコースでき, 借り手企業にはリコースできない。 ノン・リコース・ファイナ ンスの展開である。 担保制度の展開が, ノン・リコース・ファイナンスの展開する方向を決定 づけたのである (以上, 表1も参照されたい)。
この石油・ガス産業のプロダクション・ペイメント, すなわちオイル (ガス) ペイメントを ( ) の説明でみてみよう。 オイル (ガス) ペイメントは, 地下に埋蔵された石油
・ガスまたはそれに相当する代金の受領権である。 年代後半には, オイル (ガス) ペイメ ントは石油・ガス産業界で広く販売された。 保険会社と同様に, 多数の銀行もオイル (ガス) ペイメントの購入に対して融資をおこなった。 石油・ガス産業界で一般に知られた, 切売り形 式のプロダクション・ペイメントをとると, 生産者は銀行から借り入れなくても法人税を節税 できる。 切売り形式のプロダクション・ペイメントの販売は通常1年または2年で, その後, 売り手はその鉱区の生産から生じる担保された収益によって買い戻す。 物的な担保から収益力 への担保概念の拡張であり, 担保制度の展開である。 買い手はしばしば銀行から融資をうけ, 売り手と銀行の金利差から利鞘を得ていた。 銀行はモーゲイジを担保に取りプロダクション・
ペイメントを譲渡された。
また, 石油・ガス鉱区を売却するとき, 売り手はしばしば留保部分のオイル (ガス) ペイメ
ントをまず保有し, それから残りの鉱区の権利を売却する。 その後, 留保部分のオイル (ガス) ペイメントは, 上記の切売り形式のプロダクション・ペイメントとよく似た銀行融資をうけた 第3者に売却された。 これによって, その鉱区を分割せずに売却するより, 通常, 売り手は鉱 区の買い手を多数集め, 高い代金を入手できる。 借り手の他の資産は彼らの借入額によってし ばしば制限されるので, 銀行は通常, 石油・ガス生産だけを返済の当てにしなければならない。
物的な担保から収益力への担保概念の拡張であり, 担保制度の展開である。 鉱区の収益が関連 する石油埋蔵量の消耗によって相殺されると, 課税所得は生じず, 純収入によって貸出を返済 することができる。
このプロダクション・ペイメントにおいて, 初期のストラクチャード・ファイナンス (仕組 み金融) 方式が導入され, ( ;特別目的事業体) )が設立され た。 図2を用いて, その仕組みを説明する。 石油会社は, まず①自ら設立する に石油 担保販売権を譲渡する。 ② は受託者に石油またはそれに相当する代金の受領権を譲渡し,
③受託者は銀行にその受領権を譲渡する。 この受領権がプロダクション・ペイメントである。
プロダクション・ペイメントを譲渡されて, ④銀行は に貸付をおこなう。 ⑤石油会社 は, この貸付を の運営その他に充当する。 ⑥石油会社は, の代理人として石油を 販売する。 ⑦購買者は受託者に代金を支払う。 ⑧受託者は にその代金を支払い, ⑨ は銀行に元利金を返済する。 このような を用いたストラクチャード・ファイナン スは, プロダクション・ペイメントでは初期の単純なものであるが, 後でみる証券化手法でも 用いられた。
その後 年の税法改正により, プロダクション・ペイメントは税務上のメリットを失い下 火になった。 しかし, プロダクション・ペイメントの特徴のいくつかは, 年代からのプロ ジェクト・ファイナンスに引き継がれた。 たとえば, ノン・リコース・ファイナンスは,
年のドーバー海峡を結ぶユーロ・トンネルのプロジェクト・ファイナンスで用いられた。
) 現代的な については, ( ) を参照されたい。
(西川・大内 ( ) 頁 図1を参考に作成)
図2 プロダクション・ペイメントの概念図
ノン・リコース方式では, 当該プロジェクトの資産に限定してリコースできるが, 借り手企業 にはリコースできない。 この手法は, 先の 年代に石油・ガス産業で普及したプロダクショ ン・ペイメントから引き継がれたのである。
ただし, プロジェクト・ファイナンスでは, リミテッド・リコース (限定償還請求権付き) 方式が主流であった。 リミテッド・リコースとは, 借り手がプロジェクト契約に従わなかった 場合に, 貸し手が限定された範囲で借り手にリコースできることをいう。 この場合も, 当該プ ロジェクトのキャッシュフローに限定して償還請求できることが, プロダクション・ペイメン トから引き継がれた。 プロジェクトのキャッシュフローは, 収益力を背景にした利益だけでな く, 減価償却費などの内部留保も含む。 そのため, プロジェクトのキャッシュフローにリコー スでき, 実質的にそのキャッシュフローが担保になると, 担保概念が収益力より希薄化される。
物的な担保から収益力だけではなく, さらにキャッシュフローへと担保概念が拡張したのであ る (表1参照)。
リミテッド・リコース方式は, 巨額な資金が必要であった北海油田開発において 年に開 発された (後の表2参照)。 北海のフォーティーズ油田を開発する 社は, アラスカ油田などの大規模開発もおこなっていた。 そのため, 社の財務体力を上回る融資 をうけるために, ノン・リコースよりも償還請求の範囲の広い, リミテッド・リコースが導入 されたのである。
このときにも, を用いたストラクチャード・ファイナンスが用いられ, これはプロジ ェクト・ファイナンスでは一般的な手法となった。 このようなファイナンス手法は, 後でみる 証券化手法でも用いられた。 ただし, プロダクション・ペイメントでもそうであったが,
を用いたストラクチャード・ファイナンスを主導したのは石油会社であり, それは の設立主体にも表れていた。 大手商業銀行グループが自ら積極的に業務展開をおこなっ ていくのは, 後でみる貸付債権の証券化まで待つ必要があった。
ここでは, リコース・ファイナンスの歴史を考察し, プロダクション・ペイメントでノン・
リコース形式が用いられ, それがプロジェクト・ファイナンスの一部に引き継がれたことをみ た。 文献調査によると, ノン・リコース・ファイナンスの源流が 年代のプロダクション・
ペイメントであることは妥当である。 しかし, ノン・リコース形式は主たるファイナンス手法 とは一般的に認めらなかった )。
) 以上 ( ) 日本生産性本部 ( ) 頁 小原 ( )
頁 西川・大内 ( ) 頁 図1 ( ) 吉原・貝塚・蝋山・神
田 ( ) 頁 ( ) 原資料は ( )
2. ローン・セールにおけるノン・リコース・ファイナンスの普及
前節で, ノン・リコース・ファイナンスの源流が, プロダクション・ペイメント (産出物に よる支払い) にあったことをみた。 年代から, プロダクション・ペイメントは下火となり, プロジェクト・ファイナンスにその地位を譲った。 しかし, プロジェクト・ファイナンスにお いて, ノン・リコース形式は主たるファイナンス手法とはならなかった。 ノン・リコースが主 たる手法になるのは, 年代からの公的保険・保証が付かない新しいローン・セールからで あった (表2)。
年に, 商業銀行は約 億ドルの貸付をノン・リコース形式で売却した。 この値は, 翌 年までに %近く増加して 億ドルとなった。 ( ) は, ローン・セール市場が発達する間, ローン・セール契約には, リコースがほとんど含まれてい ないと指摘している。 年の (以下 ) によると, ローン・
セールにおけるフル・リコース (完全償還請求権付き) は 万ドルだけで, 一方ノン・リ コースは 億ドルに達した。
ノン・リコース形式は, 年代からのプロジェクト・ファイナンスでも用いられた手法で ある。 ノン・リコース形式では, 当該プロジェクトの資産に限定して償還請求できるが, 借り 手企業にはリコースできない。 この手法は, 年代からのプロダクション・ペイメントから 引き継がれた。 ノン・リコースでおこなわれた代表的なプロジェクト・ファイナンスは,
年のドーバー海峡を結ぶユーロ・トンネルである。
ただし, プロジェクト・ファイナンスでは, リミテッド・リコースが主流であった。 リミテ ッド・リコースとは, 借り手がプロジェクト契約に従わなかった場合に, 貸し手が限定された 範囲で借り手にリコースできることをいう。 この場合も, 当該プロジェクトのキャッシュフロ ーに限定して償還請求できることが, 先述のプロダクション・ペイメントから引き継がれた。
リミテッド・リコースは, 巨額な資金が必要であった北海油田開発において, 借り手の財務体 力を上回る融資をうけるために, 年に開発された )。 リミテッド・リコースは, リコース からノン・リコースへの中間的な性格をもつと考えられる (表2も参照されたい)。
ローン・セールにおけるリコース形式は, プット・オプションの形をとることもあった。 プ ット・オプションとは, 買い手が貸付を売り戻す選択権である。 買い手である機関投資家は, 借り手企業が債務不履行に陥った場合, その貸付を売り手銀行に売り戻すことができる。 すな わち, 実質的にリコースをする権利である。 しかし, 年の によると, プット・オプ
) プロジェクト・ファイナンスの原型となった, 前節のプロダクション・ペイメントの記述も参照さ
れたい。 以上 ( ) ( ) 小原 ( )
頁 ( ) ( )
ション付きのものはローン・セールの %に過ぎない。 翌 年2月の によると, 同じ く %の銀行がプット・オプション付きでローン・セールをおこなった。
また, ローン・セールを貸借関係の譲渡の形にすれば, 買い手は売り手銀行ではなく借り手 企業にリコースできる。 しかし, 年7月 日の によると, 貸借関係の譲渡の形をと った大手商業銀行7行のローン・セールは, 残高の %弱に過ぎない。 同じく 年7月の によると, 回答した銀行の %以下が, ローン・セールの際に貸借関係を譲渡しただけ であった。 翌 年9月の によると, ローン・セールの %が貸借関係の譲渡で, 残り
表2 銀行貸付の流通市場, 証券化のリコースまたはノン・リコース・ファイナンス 時 期 リコースの種類等 流通市場
プロダクション・ペイメント 事業貸付
プロジェクト・ファイナンス 流通市場
世紀〜
年代〜
年〜
年〜
年〜
年〜
年代〜
貸借関係の譲渡 ノン・リコース
連邦準備と 1)の協調融資
2)が元本の %まで保証
3)が元本の %まで保証 リミテッド・リコース4) ノン・リコース
住宅モーゲイジ・ローン
証券化
年〜
年〜
現 在 年〜
現 在
5)が元本を保険 が元本の %まで保証 ノン・リコース
6)が元本と利子を保証 ノン・リコース
農業モーゲイジ・ローン
証券化
年代〜
年〜
農務省が元本の %まで保証
7)が元本と利子を保証 商業モーゲイジ・ローンの証券化 年代〜 ノン・リコース
自動車ローンの証券化 年代〜 リコースからノン・リコースへ ホーム・エクイティ・ローンの証券化 年代後半〜
年代〜
民間の金融保証 ノン・リコース クレジットカード・ローンの証券化 年8)〜
年〜
リコース ノン・リコース
注1) とは ( ;復興金融公社) の略である。
2) とは ( ;退役軍人庁) の略である。
3) とは ( ;中小企業庁) の略である。
4) リミテッド・リコースはプロジェクト・ファイナンスで用いられた手法で, 年代には基本的 にその流通市場は存在しない。 しかし, リミテッド・リコースはリコースからノン・リコースへの 中間的な性格をもつので, 参考までに表に含めている。
5) とは ( ;連邦住宅局) の略である。
6) とは ( ;政府抵当金庫) の略である。
7) とは ( ;連邦農業抵当金庫) の略である。
8) 年には, 証券化ではなく, クレジットカード勘定が売却されている。 本論文第3節を参照さ れたい。
9) 本論文で扱った範囲をまとめたものである。 なお, この表には各分類の主要なものしか載せてい ない。
が貸付から生じるキャッシュフローだけを売却したパーティシペーション (協調融資) であっ た。 前節で紹介した古い形ではなく, 新しい形のパーティシペーションである。 新しい形のパ ーティシペーションでは無担保融資が主流で, 買い手銀行は最終的借り手である企業に対して 何の権利ももたない。 ノン・リコース形式である )。
ノン・リコース形式でローン・セールをおこなうと, 売り手である大手行にとって有利なこ とが生じる。 銀行が資産をリコース付きで売却すれば, 一般に資産がバランスシートに残って 自己資本が必要とされ, さらに売却額は預金とみなされ準備金を積み増す必要がある (レギュ レーション )。 ノン・リコース形式で売却すると, これらの自己資本規制と預金準備規制を 回避できる。 さらに, 売却した貸付のデフォルト・リスクを買い手に転嫁できる。 新しい形の パーティシペーションの場合, 無担保融資が主流であり, 一般参加行は, 幹事行に対しても最 終的な借り手に対しても, 一般的にも法的にもリコースできないのである )。
3. 証券化とノン・リコース・ファイナンスの展開
ここでは, 年代からの証券化業務において, リコースまたはノン・リコース・ファイナ ンスがどのように導入され展開したかを確認する。 とくに, 年代の新しいローン・セール で普及したノン・リコース形式が, ローンを証券化した と各種 において, どの ように用いられたかを考察する。
一般的に, 貸付は担保融資であればその担保価値までリコースできるが, 無担保融資であれ ば何らかの資産にリコースされない。 アメリカでは, 担保付きでも無担保貸付でも, 一般的に 貸し手は借り手にはリコースできないので, ノン・リコース・ファイナンスと理解される。 証 券化された貸付は, ほとんどいつもノン・リコース形式だという )。 貸付を証券化した
/ のファイナンスにおいても, 年代から普及したノン・リコース形式が用いられた。
こうした証券化のファイナンスを検討することで, ノン・リコース形式が貸付を証券化した
/ へ波及したことを歴史的に実証する。
(1) RMBSs におけるノン・リコース・ファイナンス
住宅モーゲイジ・ローンの貸し手は, 年代末から生命保険会社がその第2位のシェアを
) 掛下 ( ), 頁, 掛下 ( ), 頁, 掛下 ( ), 頁。
) 以上 ( ) ( )
( ) ( ) ( )
( ) 原資料は
) ( )
急速に失う中で, 商業銀行は安定したシェアを保ち 年に生命保険会社を抜き去りその地位 を獲得した。 年代末からトップの貯蓄金融機関 )がシェアを急落させたが, 銀行は安定し たシェアを保ち 年に貯蓄金融機関を抜き去り, 金融機関の中でトップになった )。
貸付債権の証券化では, 住宅モーゲイジ・ローンを証券化した (
;住宅モーゲイジ担保証券) が最初のものである。 は, 高水準の超 過担保によって安全性を高められたが, それは民間金融機関の収益性を低下させた。
は, 年9月に設立された ( ;政
府抵当金庫) に支えられていた。 それは, の1つである 年の 保証付きパ ス・スルー証券の仕組みに表れていた。 図3のように, モーゲイジ・ローンのオリジネーター である民間金融機関は, ① 保険・ ( ;退役軍人庁) 保証 付き貸付を集めて, ②パス・スルー証券を発行した。 オリジネートされた 保険・ 保 証付き貸付は, %保険・保証されたわけではない。 ③ は, オリジネーターかつ発 行者である民間金融機関が投資家に対して毎月 日に元本と利子を小切手で支払う, すなわち パス・スルーすることを保証した。 は, 民間金融機関から保証料を受け取って, パス
・スルー証券のデフォルト・リスクの一部を引き受けたのである。 民間金融機関は, 借り手企 業が債務不履行に陥った場合, と に保険金・保証金を請求する。 民間金融機関は,
と に対して実質的にリコースと同等の権利をもつ。 法的なリコース・ファイナンス の展開である。 さらに, パス・スルー証券の投資家は, 第1次的に履行すべき民間金融機関が 元本と利子をパス・スルーしなかった場合に, 第2次的に履行すべき に元本と利子部 分の保証金を請求する。 これは, 投資家が に対して法的なリコースと同等の権利を得
) 貯蓄金融機関とは, と相互貯蓄銀行である。
) ホーム・エクイティ・ローンを除いたデータである。
( )
注1) 返済 が民間金融機関から投資家にパス・スルーされていることが分かる。
2) 本論文で扱った範囲をまとめたものである。
図3 住宅モーゲイジ・ローンの証券化の仕組み
たことを意味する。 法的なリコース・ファイナンスのさらなる展開である (以上, 表1参照)。
こうして, が, 年代後半から急速に発展した。 これは, 第1に, 第2次世界大 戦後のベビーブーマーが住宅を購入する世代に達し, 巨大な住宅需要が発生したためであった。
第2に, ベトナム戦争から帰還した兵士の住宅需要に加え, 彼らへの住宅提供という国策によ るものであった。
住宅モーゲイジ・ローンの売却に占める公的な保険・保証の付かない在来型モーゲイジは, 年代半ばから過半を占めた。 年9月には, がオリジネートし発行 した最初の在来型モーゲイジ・パス・スルー証券を, 大手投資銀行 が引 き受けた )。 しかし, 表3のように, 総債務残高に占める証券化率は, または に保 険・保証されたものが圧倒的に大きい。 在来型モーゲイジは 年にはわずか4%しか証券化 されていないが, ・ モーゲイジは %も証券化された。 年第3四半期には, 在 来型モーゲイジの証券化率は %に急増したものの, ・ モーゲイジの %の半分に も満たない。 ただし, 総債務残高では在来型が ・ モーゲイジの 〜 倍に達した ので, 年第3四半期には証券化残高でも在来型が ・ モーゲイジの 倍と逆転し た。 証券化を支えてきた住宅モーゲイジ・ローンへの公的保険・保証は相対的に減少し, 政府 の役割は背景に退いてきたのである。
在来型モーゲイジを金融保証する民間金融機関に, がある。
は 年に の子会社として設立され, 大手商業銀行グループが在来型モ ーゲイジをプールし証券化するのを促進した )。 民間の金融保証制度の展開である (表1参照)。
) ( ) によると, このとき, 証券化 ( ) という専門用語が,
誌のコラム で最初に使われた。 これ以前にも, 在来型モーゲイジ 担保債券があったが, 額面の2〜3倍という超過担保の問題があった。 そのため, ベビーブーム世代 に十分な住宅資金を提供できなかったのである。
) 以上 ( ) 松井 ( )
頁 ( ) ( ) ( ) 原資料は
表3 住宅モーゲイジ・ローンの証券化 (単位:10億ドル)
年 年第3四半期
総債務残高 証券化残高 証券化率 総債務残高 証券化残高 証券化率 在来型
・
%
%
%
%
計 % %
(出典) 原資料は
を育成するために, 連邦準備も規制当局として協力した。 ( ) によ ると, ノン・リコース形式の住宅モーゲイジは, アメリカ独自のもので一般的だという。 それ にもかかわらず, 連邦準備は, 金融商品として安全性において優位にある, リコース付き住宅 モーゲイジを優遇した。
( ) によると, 連邦準備は, リコース付きで売却された の1つである パス・スルー証券の売却額をも預金とみなさずに, 預金準備規制 (レギュレーション ) を 免除したという。 ただし, 公的な保険・保証の付かない在来型住宅モーゲイジをプールして, 売却銀行の保証義務がこのプール総額の %を超えないことが条件であった。 これは, 導入時 から証券化を支えてきた住宅モーゲイジへの公的保険・保証を相対的に減少させ, 政府の役割 を背景に退けることになった。 銀行は, 在来型住宅モーゲイジを担保にパス・スルー証券を発 行し, 売却時におけるモーゲイジ・プールの時価総額の %まで買い手である投資家の損失を 保証した。 これも, 民間の保証制度の展開の1つである。
パス・スルー証券の投資家は, 借り手である家計が債務不履行に陥った場合, その %部分 に相当する保証金を売却銀行に請求した。 投資家が, 売却銀行に対してリコースしたのである。
法的なリコース・ファイナンスの展開である。 保険・保証制度の展開が, リコース・ファイナ ンスの展開する方向を決定づけたのである (以上, 表1も参照されたい)。 この場合には, こ のパス・スルー証券の売却額は, 預金とみなされずに預金準備規制を免除された。 この %ル ールは, モーゲイジ・パス・スルー証券にだけ適用された。
連邦準備は, 一般にリコース付きで売却された資産に対して, 自己資本を充当するよう銀行 に要求した。 しかし, この自己資本規制をも, リコース付きで売却された住宅モーゲイジのパ ス・スルー・プールは免除された )。 ( ) によると, リコース付 きで売却された住宅モーゲイジ・ローンも, 自己資本規制を免除された。 規制対象金融機関に 直接売却, 証券化または購入された住宅モーゲイジのリスク・ウェイト )は %に半減された。
連邦政府系機関に売却または保証されたモーゲイジを担保にした のリスク・ウェイ トは %にまで軽減された。 予想される損失よりもリコース義務の上限が小さい場合には, 銀 行はこのリコースの上限まで自己資本以外の準備金を保持した。 年前後の傾向では, 資本 コストよりもリコース義務の方が小さくなっていたのである。
連邦準備は, 住宅モーゲイジがリコース形式を取った場合に, 預金準備規制や自己資本規制 を軽減することによって, モーゲイジ流通市場の成長を促進したのである )。 しかしながら,
) 同様に自己資本規制を免除されたのは, と買戻し条件付き証券の売却である。
) バーゼル委員会による自己資本規制において, 各資産の信用リスクに応じて要求される自己資本は 変動する。 最も高い自己資本が8%だとすると, この0〜 掛の自己資本を要求された。 リスク・ウ ェイトとは, この掛目 (0%, %, %, %, %の5種) を指す。
) 以上 ( ) ( ) (訳 頁)
ノン・リコース形式の住宅モーゲイジが一般的だという状況を変えるには至っていない。
において, 最初に, 民間の金融保証かつノン・リコース形式という, ファイナンス手 法が採用されたのである。 これは, アメリカの銀行貸付に関する典型的な保証制度とノン・リ コース・ファイナンスの展開である (以上, 表1も参照されたい)。
(2) CMBSs におけるノン・リコース・ファイナンスの普及
商業モーゲイジ・ローンは商業不動産担保融資であり, アメリカではノン・リコース形式が 一般的である。 商業モーゲイジ・ローンの貸し手において, 年に商業銀行が生命保険会社 を追い抜いてから一貫してトップにあった )。
商業モーゲイジ・ローンを証券化した ( ;
商業モーゲイジ担保証券) は, 年にカナダのオフィス開発大手 の手
掛けた 本社ビルのものが始まりである。 格付機関 が,
同年から の格付けをおこなった。 初期の 市場を考察する場合, 年代に破 綻した貯蓄金融機関と, 彼らの資産を整理するために 年8月に設立された (
;整理信託公社) を無視することはできない。 貯蓄金融機関の不動 産担保貸付を担保に の発行したパス・スルー証券が, 市場を牽引していたから である。 図4をみると, を中核とする政府系金融機関のモーゲイジ・プールにおける
が, 年まで過半を占めていたことを確認できる。
年2月の シリーズ 1証券は, 初めて公開して発行されたかなりの額の であった。 このシリーズ 1証券は, 貯蓄金融機関6行の保有する平均残高 万ドル, 件の貸付から構成されていた。 担保は の州とプエルトリコにあり, 不動産の種類は小売り ( %), オフィス ( %), 工場・倉庫 ( %), ホテル (9%), 養護施設 (3%), その他 (7%) と多岐にわたった。 年の シリーズ 2証券は, 行のオリジネーターが 保有する総額 万ドル, 件の貸付から構成された。 シリーズ 2証券のオリジ ネーター, 金額, 件数は 1証券をすべて上回った。 担保は同じく の州にあり, 不動産の 種類は多世帯住宅 ( %), 小売り ( %), オフィス ( %), 残りはあらゆる不動産から構 成されていた。
シリーズ 1証券はノン・リコース形式であり, これを引き受ける大手投資銀行
は取引額の %を準備金として保持した。 ただし, ノン・リコースとはいっても担 保価値までリコースでき, たとえば %の劣後債と %の準備金という形で合計 %のリコー
( ) 原資料は
( )
) ( )
スをあたえた。 これを, 元本と利子全体を借り手にリコースしないという意味で, ノン・リコ ースと呼んでいる。 アメリカの商業モーゲイジ・ローンとその証券化において, このようなノ ン・リコース形式が一般的である (表2参照)。
を保証したのは, サブプライム危機の際に注目を浴びたモノライン保険会社の ( ) である。 モノライン保険会社は, 債務者による債務 不履行が発生した場合に, 約定通りの元利払いを保証する。 この業務を金融保証という。
保証の %は, 等の資産担保取引であった。 は, 年に
や保険会社 , , , によって,
資本金1億 万ドルで設立された。 民間の金融保証制度における展開の1つである (表1 参照)。
先の住宅モーゲイジ・ローンとその証券化の場合には, 当初は公的な保険・保証が付いてい たが, 次第に公的な保険・保証の付かない在来型が主流となった。 公的な保険・保証が付かな い在来型住宅モーゲイジもそうであったが, 商業モーゲイジ・ローンとその証券化においても, ノン・リコース・ファイナンスを利用することが一般的である。 ただし, ノン・リコースとい っても, 担保価値までリコースされた。 ここで, パス・スルー証券に 保証を付 け, 商業モーゲイジ・ローンの借り手企業が債務不履行に陥った場合を考えよう。 パス・スル ー証券の投資家は, 第1次的に履行すべき民間金融機関が元本と利子を投資家にパス・スルー
注) 年は, 第1四半期を年率にしている。
(出典) ( )
( ) 原資料は
図4 商業不動産貸付の証券化残高 1989 2000年 (単位:10億ドル)
しなかった場合に, 第2次的に履行すべき に保証金を請求した。 投資家は, に法的 なリコースと同様の権利をもつことになる。 民間の金融保証かつノン・リコース形式という, 典型的な保証制度とノン・リコース・ファイナンスの展開である (以上, 表1も参照されたい)。
年代に入ると, だけでなく, 銀行や保険会社もバランスシートを再構成するため に を発行した。 資産の整理または再構成のために証券化されたので, 年には の %が経過期間の長い貸付であった。 ( ) によると, 当時, 最も一般的な のタイプは, パス・スルー証券であった。 年には, の ものを含む 不動産の種類は, 多世帯住宅 ( %), 小売り ( %), オフィス (8%) 等であった )。
民間のモーゲイジ・プールは, 年から急増し, 翌 年から政府系のものを凌駕しその 差を広げた (図4)。 年代初めに, 伝統的な貸し手が 市場から撤退し, 当初から 証券化を目的とした貸付が増加したからである。 表4のように, 当初から証券化を目的とした ものの割合は, 年の 〜 %から 年の %, 年の %まで急増した。
市場の初期の段階では, 商業不動産の所有者と開発業者が, 発行者の多数を占めて いた。 この段階では, 商業不動産の開発資金を調達するために, を発行したと考えら れる。 しかし, 市場が発達すると, を多数の借り手が利用するようになった。
) 以上 ( ) ( )
( ) 谷川 ( )
頁 片山 ( ) 頁 週刊東洋経済 ( ) 頁 庄司 ( ) 頁 尾崎 ( ) 2 4頁。
原資料は ( )
表4 CMBSs の発行 1994 2000年
1)
発行総額 ( 億ドル) 発行方法 (%) 公 開 私 募
2) 2)
2) 2)
証券化目的の貸付 (%) 売り手/買い手 (%) 証券化プログラム 銀行/貯蓄金融機関 注1) 6月までを年率にしている。
2) その他の % ( 年) と % ( 年) は, と が発行した。
(出典)
( )
( ) 原資料は
その結果, の担保構成が変化し, 複合不動産と単一の借り手ではなく, 小額貸付と多 数の借り手から貸付プールが構成されるようになった。 商業不動産の開発ではなく, こうした 単に発行体を利用した 発行は, 年までは全体の %に過ぎなかったが, 年に 同じく %, 年第1四半期には %まで急増した )。 同時に, は私募ではなく, ますます公開して発行されるようになった。 公開発行の割合は, 年の 〜 %から
年の 〜 %に増加してきた。 ただし, 年上半期には, 公開が % (私募が
%) と減少した (表4)。
最後に, の自己資本規制をみてみよう。 すでにみた のリスク・ウェイトは 0%, %または %だが, のものは %であった。 では自己資本規制が緩 和されたが, ではまったく緩和されていない。 リコース付きで売却された と その担保となる商業モーゲイジ・ローンは, 一般に自己資本規制を二重に課された。 ノン・リ コース形式で売却された は, 一般に自己資本を要求されなかった。 の場合に は, 連邦準備は主流となったノン・リコース形式を促進するような自己資本規制を採用したと いえる。
(3) CARs におけるノン・リコース・ファイナンスの展開
自動車ローンは, 自動車を担保にした融資である。 商業銀行が自動車ローンをおこなう際に, 借り手に直接融資, または自動車ディーラーを通じて間接的に融資する。 ( ) によ ると, 間接融資のときに, 銀行はディーラーにリコースすることもあるが, ノン・リコース形 式が傾向として増加してきたという )。 ノン・リコース・ファイナンスの展開である (表1参 照)。
自動車ローンを証券化した ( ;自動車ローン
担保証券) 市場では, ファイナンス・カンパニーが主役であった。 年の最初の3四半期に は, の %が5大ファイナンス・カンパニー )によって発行された。 ( を 除く) の年間発行額をみると, 年から商業銀行以外の発行者をも含んだ年間発行額では,
が 年から急増した ( ;クレジ
ットカード・ローン担保証券) とトップ争いをした。 しかし, 年には はつぎに扱
う ( ;ホーム・エクイティ担保証券) に抜かれて3番手
) 以上 ( )
( )
( ) ) ( ) (訳 頁)
) 5大ファイナンス・カンパニーとは,
である。 このうち, 4社が大手自動車メーカーの 子会社であり, 残る は中古車向けローンを買い取る消費者金融会社である。
になった。 年からは, 再び が最大となった。 ( を除く) の残高では, 年には がトップであったが, その後 がシェアを縮小させたものの 年までトップを維持した。 年からは, が を抜いて最大になった )。 自動車ローンを担保にした証券は, パーティシィペイション形式の として, 年 1月に が初めて私募発行した。 の発行額は 万ドルで, 自動車 ディーラーへの金融サービスに特化した の子会社
の貸付を証券化した。 この は, 個々の自動車ローンの金融保証に加えて, 自動 車ローンのプールにも民間の金融保証を用いた。 とよく似た方法であるが, の 場合には, 公的保険・保証ではなく, 民間の金融保証が二重に用いられたのである。 民間の金 融保証制度の展開である (表1参照)。 の安全性は高まり, その利回りは同じ満期の財 務省証券のものよりも 〜 ベーシス・ポイント高いだけであった。 年翌2月半ばにも,
が, ( ;香港上
海銀行) 傘下にあるニューヨーク所在の のために, 万ドルの を機関投資家に私募発行した。
の私募発行は, を他の銀行が購入することを意図していた。 連邦 準備筋によると, を購入した銀行がそれをノンバンクの投資家に転売する場合, オリジ ネーターである に預金準備を課すことができるという (レギュレー ション )。 この預金準備規制を回避するために, 私募発行によって, 転売をしない銀行に
を販売したのである。
さらに 年翌3月に, 同じく が, のオリジ
ネートした自動車ローンを担保にして, 万ドルのパス・スルー証券 )を初めて公開して 提供しようした。 同時に, も4億ドルの自動車ローンをパッケージにして, そのう ち1億ドルを公開市場で売り出そうとした。 しかし, 連邦準備は, 証券化後も自動車ローンは バランスシートに残り, 自己資本が必要になると示唆した。 そのため, は の 規模を縮小した。 ( ) によると, すべての自動車ローン残高の %未満しか証券化 されていないという )。
この自己資本規制を回避するために, いくつかの方策がとられた。 年5月 日に
は 万ドルの を発行したが, その際に の
) ( )
( ) 原 資 料 は
) 当初の はパーティシィペイション形式であったが, 今回はパス・スルー証券になったこと に注意されたい。
) 以上 ( ) ( ) ( ) ( )
オリジネートした自動車ローンをその子会社 に買い取らせ, これを 担保に を発行した。 子会社 は商業銀行ではないので, 連邦準 備による銀行規制をうけないのである。
同じく 年5月 日に, も, 自動車ローンを担保に1億ドルのパス・スル ー証券を販売した。 このとき, アリゾナ州にある銀行持株会社 ) の オリジネートした自動車ローンを担保に証券化をおこなった。 銀行持株会社
の証券化であれば, 銀行規制をされないのである。
の証券は, 保険会社 によっ
て額面の %が保証され, トリプル 格付けであった。 のものは, 額面の7%しか発行者 自身によって保証されておらず, ダブル 1格付け であった。 両者とも額面に対する保証の割合が低く, おもに買い手にリスクを転嫁したことに なる。 , , を金融保証するモノライン保険会社に, 先述した があ る。 民間の金融保証制度における展開の1つである (表1参照)。
連邦準備によると, ( ;規制会計原則) に基づき,
売却金融機関が資産ではなく損失の一定割合を保証するときにのみ, 自己資本を圧縮できる。
たとえば, 銀行が 万ドルの自動車ローンを売却して資産の %まで損失を保証する場合を 考えよう。 この銀行は引き続き 万ドルの資産を報告し, 最低自己資本比率が %だと, こ の貸付に対して約 ドルの自己資本が必要である。 しかし, 銀行が, 借り手である家計の 債務不履行による損失の %まで保証すれば, この銀行は 万ドルの資産を報告し, この貸付 に対して ドルの自己資本をもてばよい )。 自動車ローンとその証券化には公的な保険・
保証が付かないが, 証券の格付けを引き上げて自己資本を圧縮するために, 売却金融機関が直 接または保険会社に依頼して損失の一定割合を保証したのである。
まず, 売却金融機関が直接保証するときに, 借り手である家計が債務不履行に陥った場合を 考えよう。 の買い手は損失の %まで売却金融機関にリコースできるが, 売却金融機関, さらに家計には元本と利子をリコースできない。 ノン・リコース・ファイナンスと同様である (表2参照)。 つぎに, 保険会社が保証するときに, 借り手である家計が債務不履行に陥った場 合を考えよう。 第1次的に履行すべき売却金融機関が履行しなかった場合に, の買い手 は第2次的に履行すべき保険会社に対して損失の %まで保証金を請求できる。 法的なリコー
) 銀行持株会社は, の をうけて, 彼らが所有する銀行に貸付が残った場合でさえ, リ コース付きの貸付をオフバランスにしたこともある。
) 以上 ( ) 松井 ( ) 頁 第2 2図 第2 3図 ( )
( ) ( ) ( )
(訳 頁 注 ) ( ) 原資料は
( )
スである。 ここでも, 民間の保証かつノン・リコース形式という, 典型的な保証制度とノン・
リコース・ファイナンスの展開がみられた (以上, 表1も参照されたい)。 しかし, 売却金融 機関, そして家計には元本と利子をリコースできない。 売却金融機関が直接保証するときと同 様である。
このように預金準備規制や自己資本規制を回避しながら, 市場は発達していった。 商 業銀行は借り手に直接融資, または自動車ディーラーを通じて間接的に自動車ローンを融資し た。 市場の導入期には, 銀行子会社や銀行持株会社が, 証券化の際の銀行規制を回避す る抜け道として重要な役割を果たしたのである。
(4) HELSs におけるノン・リコース・ファイナンスの一般化
ホーム・エクイティ・ローン, いわゆる第2順位モーゲイジは, 年代にカリフォルニア で初めて導入され, 年代から急速に発達した )。 ホーム・エクイティ・ローンは, ( ) と呼ばれることもある。 ホーム・エクイティ・ローンの貸し 手は, データの公表された 年から商業銀行が一貫してトップにあった )。
ホーム・エクイティ・ローンは, リボルビング・クレジット・ラインを利用したファイナン ス手法である。 つまり, 借り手である家計の裁量で信用枠, すなわちクレジット・ラインの上 限まで借入できるリボルビング勘定であり, 返済計画が伝統的な貸付より柔軟になっている。
このホーム・エクイティ・ローンはオープン・エンド・クレジットと呼ばれている。 つまり, 借り手があらかじめ決められた額までクレジットを増やす, またはいつでも返済できるオプシ ョンがある。 これは, つぎに取り上げるクレジットカード・ローンとよく似ている。
ホーム・エクイティ・ローンを証券化した ( ;ホーム
・エクイティ担保証券) の年間発行額は, 年まで や より小さかった。 し かし, 年から は を抜いて2番手に, 年にはトップになった。 サブプ ライム金融危機後の 年には, は2桁急減し低迷した。 残高でみても, 当初 や には遠く及ばなかったが, 年から は を抜いて2番手に, 年 には最大になった )。 は, 住宅モーゲイジと同様に, ノン・リコース・ファイナンス が一般的であった (表2参照)。
) ( ) は, ホーム・エクイティ・ローンがとくに小口の顧客のための古いタイプの無担保 貸付にとって変わらなければならないと述べている。 これは, の 氏の 「 〜 ドルの貸付は困難」 というコメントをうけたものである ( )。
) ( )
) 以上 ( ) ( )
( ) 原資料は
ホーム・エクイティ・ローンが証券化されるとき, サブプライム危機の際に注目を浴びた, モノライン保険会社が金融保証業務をおこなった。 年には, が保証される割 合は, ピークの %に上昇した。 民間の金融保証制度の展開である (表1参照)。 しかし, そ の後 年第3四半期には, 保証率が %にまで低下した。 の保証業務は,
年第2四半期には , , , のモノライン保険会社4社が市場シェアの
%以上を占めた。
( ) は, 住宅ローン保険会社
( ) によって 年に設立され, 年に大手商業銀
行 の傘下に入った。 主要株主は, 大手銀行グループ と ,
投資会社 等である。 ( )
は, 保険会社や生命保険会社の共同出資によって 年に設立された。 主要株主は, 年金基金
やミューチュアル・ファンドを管理する 等である。 は,
保険会社と機関投資家によって 年に設立され, 年に大手通信会社
の傘下に入った。 年から, 欧州銀行グループ が %株主となった。 ( ) は 年に設立され, 年に が買収し
た。 年 月に, は, 住宅ローン保険会社 ( )
を中心とした投資家に買収された )。
モノライン保険会社の中でとくに注目されるのは, 大手商業銀行グループが主要株主となっ ている である。 大手銀行はまず貸付をオリジネートし, その貸付をグループ傘下の
が証券化する。 この証券化の際に, 大手銀行グループ傘下のモノライン保険会社が, 金 融保証業務をおこなうのである。
ホーム・エクイティ・ローンは第2順位モーゲイジ・ローンであり, 担保資産が入手できる か確実でないために, 年代末に至っても民間の金融保証をつけることが主流であったと考 えられる。 の買い手は, 第1次的に履行すべき発行者が履行しなかった場合に, 第2 次的に履行すべき保険会社に対して保証金を請求する。 買い手は保険会社に法的なリコースと 同等の権利を得たことになる。 ただし, 保証率は低下している (表2参照)。 ここでは, ノン
・リコース方式は一般的であるが, 民間の金融保証は小さくなったのである (表1も参照され たい)。
(5) CARDs におけるノン・リコース・ファイナンスの新展開
クレジットカード・ローンは, リボルビング・クレジット・ラインを利用した無担保融資で ある。 このクレジットカード・ローンは, 年代に証券化されていく。 年4月に,
) 以上 ( ) 〜 尾崎 ( ) 頁。