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空撮画像を用いた写真測量による屋根上積雪深の測定精度

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Academic year: 2021

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空撮画像を用いた写真測量による屋根上積雪深の測定精度

-機体の種類および画像枚数と測定精度との関係-

Accuracy of roof snow depth by photogrammetry using Aerial images - Dependence of kinds of UAV and number of the images on the accuracy -

千葉隆弘(北海道科学大学)

Takahiro Chiba

1.はじめに

近年,SfM(Structure from Motion)のような画像処理技術の進歩によって,撮影した被写体 をメッシュ化した立体モデルとして生成するソフトウェアが普及しており,デスクトップ PC でも比較的容易にその立体モデルが生成できるようになった.一方,CCDカメラを搭載した小 型UAVが急速に普及し,空撮画像・動画が手軽に撮影できるようになった.これらのSfMと 小型 UAV を組み合わせて写真測量を行うことも可能であり,土砂・雪崩災害の調査に活用さ れている 1)2).建築物における屋根上積雪深の測定に写真測量の技術を活用できれば,安全を 確保し難い屋根上において長時間かけて実測するよりも手軽で詳細な積雪分布のデータが得ら れる可能性がある.筆者らは,これまでに様々な建築物を対象に屋根上積雪深の写真測量を行 い,その測定精度を検証してきた3)4)5)

本研究では,機体の大きさやCCDカメラの仕様が異なるいくつかの小型UAVが販売された ことから,機体の違いおよび空撮画像の枚数と屋根上積雪深の測定精度との関係を検証した.

2.研究方法

本研究では,北海道科学大学体育館HIT Arenaを対象に屋根上積雪深の写真測量を行った.

HIT Arenaの概要を図1に示す.平面規模は,約60m×約70mであり,高さは約18mである.

図中の空撮画像をみると,HIT Arenaのメインアリーナ屋根には高さ3mのハイサイドライトが 設置されており,屋根が階段状となってい

る.冬期の主風向が西北西であることから,

風下側の下段屋根には,毎冬期,吹きだまり が形成される.本研究では,その下段屋根に 2本の測線(測線AおよびB)を設定し,写 真測量の測定精度を検証するための実測を 行った.実測には10mm目盛りのスノーゾン デを用い,測定間隔は0.5mとした.

本研究で使用した小型UAVを写真1に示 す.dji製のPhantom4,Phantom3,およびMavic の3機を使用した.これら3機に搭載されて いるCCDカメラの仕様を表1に示す.セン サーの仕様をみると,いずれも CMOS であ り,撮像素子の大きさは,Phantom4が最も大 きく,Phantom3と Mavic は同じである.視

野角は,Phantom4とMavicが同程度であり, 図 1 HIT Arenaの概要

北海道の雪氷 No.37(2018)

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Phantom3 がやや広角となっている.画素数 に つ い て は ,Phantom4 が 20.0M pixel, Phantom3とMavicが12.4M pixelである.こ のように,Phantom4 に搭載されているカメ ラの性能が高い状態である.なお,CCDカメ ラは,いずれの機体においても,その姿勢を 制御するジンバルを介して機体に取り付け られており,機体の振動や姿勢の影響がな く,フォーカスが合った鮮明な画像が撮影で きる.空撮は,積雪なしとありの状態で合計 2回行い,空撮日は,積雪なしが2017年9月 7日,積雪ありが2017年12月11日である.

空撮方法については,撮影高さを 30m にす るとともに,カメラの向きは真下とし,機体 を前後左右にゆっくり飛行させながら HIT Arena全体にわたって2秒インターバルでお よそ12 分間撮影した.すなわち,空撮画像 は360枚程度とした.

空撮画像を用いて立体モデルを生成するソフトウェアには,AgisoftのPhotoscanを用いた.

立体モデルの精度に関する設定は様々であるが,本研究では,2 日間で一連の処理が終了でき るような設定で立体モデルを生成した.なお,本ソフトウェアは,隣り合う画像が60%以上重 複していることが条件となるが,画素の空間座標を自動的に推定した後に被写体をメッシュ化 するものであり,画素数が多いほどメッシュサイズが小さくなるという特徴を有する.

3.研究結果

HIT Arenaにおけるメッシュ化された立体モデルの生成状況を図2に示す.Phantom4の場合 をみると,360枚の空撮画像から立体モデルを生成しており,HIT Arenaが適正にモデル化され ている様子がわかる.風下側下段屋根の部分をみると,テクスチャー表示およびメッシュ表示 のいずれにおいても,屋根面にあるトップライトの形状や形成された吹きだまりの分布がモデ ル化されている.また,メッシュも繊細であることもわかる.Phantom3 の場合をみると,353 枚の空撮画像から立体モデルを生成し,Phantom4と同程度の立体モデルが得られている.Mavic の場合をみると,366 枚の空撮画像から立体モデルを生成し,機体や CCD カメラのサイズが

Phantom4およびPhantom3に比べて小さいものの,これらと同程度の立体モデルが得られてい

る.このように,生成された立体モデルを目視でみた限りでは,機体の差異が立体モデルに影 響を及ぼしていない様子が伺える.

次に,測線AおよびBを対象に,立体モデルから得られた積雪面の測量値と実測値とを比較 した結果を表2に示す.なお,測量値は積雪ありの空撮画像を用いて生成した立体モデルから 取得した積雪面の座標値であり,実測値については屋根面からの相対値として測定座標を算定 した.測線Aの場合をみると,いずれの機体においても積雪面の測量値と実測値が概ね一致し ており,写真測量によって屋根上積雪深の測定が可能であることがわかる.段差壁面に近い箇 所では,測量値と実測値が完全に一致しない場合が見受けられるが,これは,空撮で撮影し難 い箇所であり,写真測量の弱点であると言える.測線Bの場合をみると,測線Aと同様の傾向

カメラ仕様 Phantom4 Phantom3 Mavic センサー 1”CMOS 1/2.3”CMOS 1/2.3”CMOS

視野角 80.0゚ 94.0゚ 78.8゚

画素数 20.0M 12.4M 12.4M

写真 1 空撮に用いたUAV 表 1 UAVに搭載されているカメラの仕様 北海道の雪氷 No.37(2018)

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を示しており,測量値と実測値が概ね一致している.

このように,本研究で用いた3機のいずれにおいても,撮影距離30m程度での空撮画像を用 いて屋根上積雪分布の写真測量が十分可能であることが明らかである.ここで,積雪面の測量 値と実測値との誤差の頻度分布を図3に示す.なお,この誤差の頻度分布は測線AとBのすべ ての測点(50点)を対象としており,誤差については実測値を真値と捉えて算定した.Phantom4 の場合をみると,明瞭な正規分布となっており,誤差の平均値μは-1.12mmで,標準偏差σが 34.1mm,RMSEが3.8mmとなった.Phantom3の場合をみると,概ね正規分布となっているも のの,Phantom4に比べてバラツキが大きい傾向を示す.μが7.11mm,σが37.0mm,RMSEが 37.3mmであった.Mavicの場合をみると,Phantom3と同様の傾向を示し,μが-3.11mm,σが 37.5mm,RMSEが37.2mmであり,σとRMSEはPhantom3とほぼ同様となった.これは,カ メラの解像度が影響しており,Phantom4の解像度が高いことから誤差が小さくなり,Phantom3

とMavicの解像度が同じであることからσとRMSEが同程度になったものと考えられる.

図 2 各機体における3Dメッシュの生成状況

表 2 3Dメッシュから得られた測量値と実測値との比較

測線 Phantom4 Phantom3 Mavic

A

B

-0.5 0.0 0.5 1.0 1.5 2.0

-1 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12

高さzm

距離x(m)

測量値(屋根面)

測量値(積雪面)

実測値

-0.5 0.0 0.5 1.0 1.5 2.0

-1 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10111213141516

高さzm

距離x(m)

測量値(屋根面)

測量値(積雪面)

実測値

-0.5 0.0 0.5 1.0 1.5 2.0

-1 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12

高さzm

距離x(m)

測量値(屋根面)

測量値(積雪面)

実測値

-0.5 0.0 0.5 1.0 1.5 2.0

-1 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10111213141516

高さzm

距離x(m)

測量値(屋根面)

測量値(積雪面)

実測値

-0.5 0.0 0.5 1.0 1.5 2.0

-1 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12

高さzm

距離x(m)

測量値(屋根面)

測量値(積雪面)

実測値

-0.5 0.0 0.5 1.0 1.5 2.0

-1 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10111213141516

高さzm

距離x(m)

測量値(屋根面)

測量値(積雪面)

実測値

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図4に,Phantom4で得られた測量値を対象に,メッシュ化に用いた画像を50枚および200 枚とした場合において測量値と実測値とを比較した結果を示す.画像が50枚の場合,測量値と 実測値との誤差が大きく,画像が200枚の場合においては測量値と実測値が近似した.このよ うに,被写体のメッシュ化は少ない画像枚数においても可能となるものの,測定誤差が大きく なることに注意を要する.

4.まとめ

本研究では,カメラの性能が異なる 3 機の小型UAV を用いて空撮を行い,写真測量に基づ いた屋根上積雪深の測定精度を検証した.その結果,いずれの機体においても十分な精度で屋 根上積雪深を測定することができた.その要因の一つとしてジンバルの使用が挙げられ,カメ ラの姿勢を制御し,機体の振動や姿勢が空撮画像の品質に影響しなければ比較的精度が高い屋 根上積雪分布を写真測量によって得ることができる.

【参考文献】

1) 内山庄一郎,井上公,鈴木比奈子,2014SfMを用いた三次元モデルの生成と災害調査へ活用可能性に関する研 究,防災科学技術報告,81,37-60.

2) 秋山一弥,松下拓樹,中村絵美,2015:マルチコプターを用いた全層雪崩の調査,雪氷研究大会(2015・松本)

講演要旨集,78.

3) 千葉隆弘,Thomas Thiis,高橋徹,苫米地司,2016:デジタル画像を用いた写真測量による屋根上積雪深の測定精 度について,北海道科学大学研究紀要,40,35-43.

4) 千葉隆弘,苫米地司,2016:空撮画像を用いた写真測量による屋根上積雪深の測定精度について,北海道の雪氷,

35,127-130.

5) 千葉隆弘,2017:空撮画像を用いた写真測量による屋根上積雪深の測定精度に関する研究-体育施設を対象とし た撮影距離ごとの測定精度について-,日本建築学会大会学術講演梗概集(中国),B-1,21-22.

0%

10%

20%

30%

40%

頻度%

誤差(mm)

0%

10%

20%

30%

40%

頻度%

誤差(mm)

0%

10%

20%

30%

40%

頻度%

誤差(mm)

【Phantom4】

N=50 μ=-1.12mm σ=34.1mm RMSE=33.8mm

【Phantom3】

N=50 μ=7.11mm σ=37.0mm RMSE=37.3mm

【Mavic】

N=50 μ=-3.11mm σ=37.5mm RMSE=37.2mm

-100 -80 -60 -40 -20 0 20 40 60 80 100 -100 -80 -60 -40 -20 0 20 40 60 80 100 -100 -80 -60 -40 -20 0 20 40 60 80 100

-0.5 0.0 0.5 1.0 1.5 2.0

-1 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16

高さzm

距離xm 測量値(屋根面)

測量値(積雪面-50枚)

実測値

-0.5 0.0 0.5 1.0 1.5 2.0

-1 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16

高さzm

距離xm 測量値(屋根面)

測量値(積雪面-200枚)

実測値

図 3 各機体における測定誤差の頻度分布

図 4 画像枚数ごとの測量値と実測値との比較 北海道の雪氷 No.37(2018)

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図 2  各機体における 3D メッシュの生成状況

参照

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