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細井, 浩平

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Academic year: 2022

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九州大学学術情報リポジトリ

Kyushu University Institutional Repository

LaGaO3系電解質の湿式法による薄膜化と可逆動作固 体酸化物セルに関する研究

細井, 浩平

http://hdl.handle.net/2324/1654843

出版情報:Kyushu University, 2015, 博士(工学), 課程博士 バージョン:

権利関係:Public access to the fulltext file is restricted for unavoidable reason (2)

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(様式2)

氏 名 : 細 井 浩 平

論 文 名 : 

LaGaOs

系電解質の湿式法による薄膜化と 可逆動作固体酸化物セルに関する研究 区 分 : 甲

論 文 の 要 約

燃料電池は水素等の燃料を高効率に電気エネルギーに変換できる電気化学デバイスであり、その 中でも高いエネルギー変換効率を有しているのが固体酸化物形燃料電池(SOFC)である。一方、

SOFCの逆作動にあたるのが固体酸化物形電解セル(SOEC)であり、外部から電流と水蒸気を供給 することにより、高い効率で水素と酸素を製造することが可能である。 SOFCおよびSOECはほぼ 同じ材料からなるセルが使用されていることから、 1つのシステムで可逆作動を行うことが期待さ れ、水素を介した新たなエネルギー蓄積手段となり得るが、現在、 SOFCとSOECのそれぞれに課 題が残されており、また可逆作動的に繰り返しを行うセルについては十分に検討がされておらず、

可逆作動に適するセルが開発されているとは言い難い。

SOFC作動においては耐久性、コストの観点から低温作動化が検討されているが、作動温度を下 げるとセルの内部抵抗が増加して出力が低下する。そのため、低温でも内部抵抗が小さいセルが必 要とされており、セル構成材料である固体電解質に着目した場合、固体電解質の薄膜化もしくは高 酸素イオン伝導体を使用することにより、セルの内部抵抗を低減することが求められる。しかし、

例えば高酸素イオン伝導体である LaxSri‑xGa1yMgy03(LSGM)は電極材料と反応して高抵抗相を形 成することから十分な性能を有する薄膜セルの作製は困難であった。また SOEC作動においては電 極、特に燃料極の劣化が激しいことが課題であった。燃料極には Ni系の金属電極が一般的に用い られているが、電極粒子の凝集や剥離、再酸化が起こりやすく、 Ni系金属電極に代わる材料が必要 であった。そこで本論文では、 LSGM電解質の作製プロセスの検討およびNiとの反応を抑えるた めのバッファ一層を検討することにより、薄膜電解質からなる LSGM円筒型セルの作製とその評価 を行った。また SOECにおける従来の金属系電極に代わる電極材料として、 Ce02に遷移金属をド ープしたホタル石構造を有する酸化物およびペロブスカイト型酸化物の La1‑xSrxFe03の検討を行 った。

第 1章では、これまでに報告されている薄膜の LSGM電解質を用いた SOFCとSOECにおける 酸化物電極の現在の研究状況を示すと共に本研究の位置づけ、目的を明確にした。

第 2章では、薄膜の LSGM電解質を有する円筒型セルの作製およびその評価を行った。 LSGM は電極基板由来の Niと反応しやすいため、焼成温度を低下させる必要があるが、低温で焼成する と単相が得にくく、さらに電解質の密度が低下することが過去の研究から知られていた。そこで電 解質の焼結性を向上させるために電解質材料の微粉砕を行うことで、焼成温度を低減することがで き、さらにCeo.6Mno.3Feo.102をバッファ一層として挿入して、電解質への Niの拡散を抑制出来る ことを見出した。その結果、中2mmのマイクロセルでは700℃で 988mW/cm2の最大出力を達成で き、従来の同組成のセルと比べて作動温度を 100℃以上下げられることを示した。一方、実用的な

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中lOmmの円筒型セルについても検討し、マイクロセルとほぼ同様の発電特性を得ることが出来た。

第 3章では、 SOECにおける酸化物カソードとして、 Ce02に遷移金属をドープしたホタル石構 造を有する酸化物の検討を行った。 Ce02にMn,Fe, Coをドープしたところ、 Feをドープした系が 最も良好な電極特性を示した。そこで、 Ceo.6Mno.sFeo.102(CMF)を燃料極として用い、その電極特 性を詳細に検討したところ、従来の Ni系電極に匹敵する電極性能を示すことを明確にした。交流 インピーダンス測定を行いセルの内部抵抗について解析したところ、電圧の印加により IR損が大 きく低下することがわかった。 IR損の低下はCMFの部分還元による電子伝導の発現によると考え られる。一方、分極下ではCMFの電極過電圧が非常に小さくなり、 Ni系のサーメット電極とほぼ 同じ電極過電圧の大きさであった。分極下では、低温まで電極過電圧は低く抑制され、 700℃にお いても十分な電極活性を示すことを明確にした。また、 CMF電極の長期安定性についても検討を 行い、同時に行った従来の Ni系電極よりも安定であり、 90時間以上にわたって電解を行うことが でき、安定性が十分高いことを明確にした。

第 4章では、さらに優れた電極特性と可逆性を有する酸化物電極として、 La1‑xSrxFeOs0(LSF)  を燃料極に用いた SOECと可逆作動セルについて研究を行った。 LSFは 月2=10‑20atm以下の還 元雰囲気で使用した場合、一部が分解するが.F02=l0‑16atm程度であれば分解することなく、電極 として用いることが出来ることがわかった。燃料極に 20%水蒸気+80%Ar、空気極に 79%N2+21%

02のガスを流して電解特性の評価を行ったところ、セル電圧が1.5

v

における電流密度は900,800,  700℃においてそれぞれ 1.71, 1.22, 0.42 A/cm2であった。これは従来の Ni系電極と比べて 800℃ 以下では優れ、酸化物電極でありながら金属系の電極よりも活性化エネルギーが低いことがわかっ た。また Faraday則に従った水素生成も確認された。 20%水蒸気と 20%水素の条件下で SOFCと SOECの可逆作動を行ったところ、40回の繰り返し作動を行っても大きな劣化を示すことなく可逆 的に作動出来ることを見出した。 Tafelプロットから求めた交換電流密度は 700℃において 16.9 mA/cm2であり、これはNi‑SDC電極セルの 13.2mA/cm2よりも大きく、 LSFは従来のNi‑SDC電 極より活性が高いことを明確にした。

第5章では、本研究を総括し、今後の展望を示した。現在 SOFCとSOECの課題である、「低温 作動」と「燃料極劣化Jについて解決方法が必要とされているが、本論文では前者に対して「LaGa Os  系電解質の薄膜化」、そして後者に対して「酸化物電極」というキーワードで研究を行った。 SOFC は水素等の燃料を高効率に電気エネルギーへ変換出来る電気化学デバイスである。またその SOFC の逆作動を行うことにより、水から水素と酸素を高効率に作り出すことも出来る。現在の燃料電池 のシステムでは、その燃料のほとんどは化石燃料から作り出されたものであり、総合的に考えれば 燃料電池も他の発電方法と同じく C02を排出している。そこで、自然エネルギー発電による電力や 余剰電力により SOFCを逆作動させて、水蒸気電解を行うことが出来れば、クリーンなエネルギ ー・システムを構築できる。そのためには来たる将来に向けてSOFC、SOEC両作動において信頼 性の高いセルおよびシステムが不可欠である。低温作動のためにはセルの内部抵抗を極限まで小さ

くする必要があり、高酸素イオン伝導体である LaGa Os系電解質は最も期待されている材料の一つ であり、その材料を用いて単純なデイツフ・コート法により円筒型セルが作製されたことは、これ からの SOFCの研究開発への追い風となり得る。そしてこれまでは限られ材料でのみ水蒸気電解の 酸化物燃料極の検討が行われてきたが、本研究においてホタル石構造を有する Ce系酸化物も電極 材料の候補になり、材料の多様性を広げられたと共に、 Feが含まれる酸化物が水蒸気電解において 高活性である傾向があり、これら新たな材料設計指針に基づいて、更なる高活性・高耐久性の電極 材料の開発が行われることが期待される。

参照

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