論文内容要旨
論文題名 20㎜以上30mm未満の大腸腫瘍におけるEMRとESDの治療成績の検討
掲載雑誌名 日本大腸検査学会雑誌 第34巻 第1号 22-30頁 2017年
専攻名 内科系内科学(消化器内科学分野)(昭和大学横浜市北部病院) 櫻井 達也
内容要旨
大腸腫瘍の内視鏡治療内視鏡治療において,polypectomyやEMRで病理評価のために無 理なく一括切除ができる限界は20mmといわれている.2012年4月に日本で大腸ESDが 保険収載されたこともあり,一括切除率の高さから20mmを超える病変をESDで治療する ことが増えたが,治療難度や偶発症の高さから依然としてEMRで対応する場面も少なく ない.今回、EMR/ESDの選択が問題となる20mm以上30mm未満の大腸腫瘍に対して、
内視鏡治療の成績を評価することとした。昭和大学横浜市北部病院で2009年4月から 2015年3月までに内視鏡治療(EMR/ESD)を行った20mm以上30㎜未満の大腸腫瘍756例 (EMR446例,ESD310例)に対して,治療成績および遺残再発症例の経過について比較検討 した.
一括切除率はEMRで55.6%,ESDで98.4%であり,有意にESDで高かった.穿孔率は EMR1.6/ESD2.3%,後出血率はEMR1.8%/ESD1.3%であり,いずれにおいてもEMR/ESD間 で有意差を認めなかった.ESDの保険収載前後でEMRの一括切除率は49.5%から61.4%へ と有意に上昇し,ESDでも96.2%から99.5%へと有意に上昇した.術前診断における肉眼 型診断別にEMRとESDで治療成績を比較すると、平坦隆起病変(0-Ⅰs)では一括切除率に 有意差を認めなかったが、LST(laterally spreading tumor)ではEMRの一括切除率が有意に低 かった(EMR48.0%, ESD99.0%)。遺残再発はESDでは0例で,EMRで多分割となった症例 のみから26例認められた.SM浸潤が疑われた2例を除き内視鏡的な追加治療で対応でき ている.SM浸潤が疑われた2例のうち1例はEMRでの分割切片中でSM高度浸潤が確認 でき、追加腸切除となった。もう1例は深達度が不明で断端陰性であったため、後日手術 治療を行ったところ、最終病理診断での深達度はMP癌であった。観察期間内で過剰手術 となった症例はなかった。
30mm未満の大腸腫瘍では多くの病変がEMRで対応可能だったが,その選択には術前の内 視鏡診断が重要である.