はじめに
1980 年代以降、ケインズ主義および福祉国家思想から 市場原理主義への思潮の変化があった。肥大化した国家 介入の非効率性を批判し、市場原理主義に基づいて「小 さな政府」を標榜し、民間活力による効率性の向上、競 争の強化による新しい社会が謳われた。
そうした世界的潮流からベトナムも例外ではなかった。
1986 年から経済のドイモイによって1、市場経済体制に 移行したベトナム政府は、国際経済参入を政治的目標と して、1995 年にWTO加盟を申請したが、それは同時に 国内の大幅な改革が要求されることでもあった。WTO /GATTは、教育を通信・運輸などと同様の「サービス」
と分類し、「貿易可能」対象とみなしているため、教育の 民営化もその一環として進行した。それを可能にしたの は、次項で分析する教育の「社会化」政策である。「社 会化」政策延長線上にある「2006 2020 年ベトナムの高 等教育の基本的包括的改革に関する決議」(以下、「ア ジェンダ」)をみると、新自由主義的手法の一挙的導入へ の転換がみられる。その特徴の一つは、私立大学2の登 場とその経営展開である。私立大学法制は未整備で、そ の形態も定まっていない。1992 年から登場してきた「民 立大学」3を廃止し、現存の「民立大学」と、一部の国立 大学を私立大学に再編しようという動きがある。アジェ ンダでは、2020 年までに、非国立大学に全学生の40%を 任せ、重点的な国立大学だけに投資するという戦略も立 てられている。
本稿は、ベトナムの経済改革とその背後にある諸要素、
とりわけWTO加盟条件などに着目しながら、民立形態の
学校の発展など多様な教育投資を促す「社会化」政策と、
その方針の具体化された「アジェンダ」を分析し、それ によって展開されているベトナムの高等教育改革政策、
改革の実情およびその課題について明らかにする。
こうした課題に関する研究書はベトナム国内では稀で、
日本で紹介されているベトナム事情は、ほとんどが経済 分析で、高等教育事情に関してはアジア経済研究所『国 際経済参入期のベトナム』のように、経済・政治的な問 題を扱う文脈の中で、教育問題が少し触れられる程度で ある。
ベトナム高等教育について、注目すべき 2 冊がある。
一つは、近田政博『近代ベトナム高等教育の政策史』で ある。近田は、フランスによる植民地化から市場経済化 まで、さまざまな政治体制の転換を経験していたベトナ ム近代史において、政治体制の転換が高等教育システム 形成にどのような影響を与えてきたのかを詳細に述べる4。 だが、近田は、比較教育学の観点から、各時期の高等教 育モデルを分析していることに止まっている。もう一つ は、デイヴィッド・スローパー、レ・タク・カン編『変 革期ベトナムの大学』5である。それは、1992 年度までの 高等教育システムを詳しく紹介するが、高等教育におけ るドイモイが行われ、高等教育が大転換するのは1992 年 以降である。すなわち、その後の高等教育ドイモイの実 態とその政策的背景に注目することが必要である。
本論に入る前に、研究上の特殊な事情について述べて おきたい。ベトナムでは、政府関係の資料が公開されて
* ゲン ティ ホアン ジエム 教育構造論講座
キーワード:ベトナムの高等教育/改正企業法/「社会化」政策/アジェンダ/大学民営化
ベトナムの教育の「社会化」政策と大学民営化の展開
Nguyen Thi Hoang Diem
*おらず、複雑な行政機構のため、教育の実態の正確な把 握を困難としている。また、「いつか外国専門家の手を借 りずに現地の専門家のみによってこうした論考が書かれ る日が来ることを期待したい」(北村友人「解説」『アジ アの高等教育改革』玉川大学出版、2006 年)と指摘され ているように、この本に収録されているベトナム人研究 者の論文も、ほとんど外国語文献に基づいている。そう した限界を超えるために、日本に集まるベトナム関係デー タを多いに参考としながら、同時に、2006 年から2008 年度にわたる 3 年間に、9 大学を含む教育行政機関の訪 問調査を行うとともに、政策的提言と実態との不整合に ついて情報を収集する手法を採用している。なお、収集 データの中には、一般公開されていないために、出所を 明示できないものもあり、また、匿名を条件としたイン タビューも含まれている。
Ⅰ 経済ドイモイと「社会化」政策
─ 2005年改正企業法がもたらしたもの ─
高等教育ドイモイの内実と課題を明らかにするため、
まず、企業法改正問題に触れておかなければならない。
他国の教育研究者にとっては首をかしげるアプローチで あろうが、大学教育法が存在せず、大学の民営化に際し ては、企業法が適用されているからである。このこと自 体が、社会主義ベトナムの大学民営化という問題を外部 者にとっては理解を難しくさせ、また新しい大きな問題 を生じさせる主要因となっている。
企業法改正が迫られた背景
ベトナムは、ドイモイ政策によって経済状況を回復さ せ、国際経済参入を目指してきた。しかし、ロシアより
も早くWTO加盟を果たしたベトナムは、それなりの犠牲
を払うことになる。交渉過程において、同じ社会主義国 の中国よりも一層厳しい条件が要求され、合意した項目 も、ほとんどは、実行猶予期間がないものであった。坂 田は、次のように分析している6。「ベトナムが推進して きた国際経済参入という観点からみると、WTO加盟は、
間違いなくひとつの重要な到達点となるが、WTOへの加 盟は、経済・貿易体制全般にかかわる条件を突き付ける が故に、国家による経済管理の在り方や財政構造、WTO
協定に沿った法制度の整備、さらには、その履行を担保 する行政や司法機能の在り方にまで大きな影響を及ぼす」
と。そうした代表的な転換の一つが、企業法の改正であ る。
ベトナムにおいては、これまで所有別企業の法律が存 在した。1990 年に国内民間企業を認める企業法と私営企 業法が制定され、1995 年には国有企業法ができた。外資 企業には、外国投資法(1987 年公布、2005 年に改正)、 国内企業には、国内投資奨励法(1994 年)が適用されて いた。こうした法制度の下では、企業のタイプによって、
法的処遇は異なっていた。しかし、WTO加盟に際して、
WTOの内国民待遇原則に沿って、各国は、国内外の差別 の象徴である投資法の改正と、国内自体の差別をなくす 企業法の改正、すなわち、「公平な競争場」の提供がベ トナムに求められたのだった。
市場経済を導入しながらも、社会主義を国是とし、依 然として実質的に国有企業を保護していたベトナムには、
その要求は、容易には受け入れ難いものであった。だが、
ベトナム政府は、発展途上国として加盟するメリットを 優先させる判断に傾いた。すなわち、躊躇すれば加盟の 時期が延び、更なる条件が積み上げられる懸念があると 判断し、要求されたことを迅速に実行する姿勢をみせる ことになった。投資法、企業法の改正は、2002 〜 2007 年期の立法プログラムに含まれており、企業法に関して は、2006 年前期国会で制定される予定であったが、この スケジュールを繰り上げて、2005 年後期国会で制定した。
この2005 年企業法こそが、ベトナム国内に大きな影響を 与えているのである。
改正された重要な項目は、適用対象と、それらに対す る国の保護である。2005 年改正企業法では、適用範囲を、
1996年法の有限責任会社、株式会社、合名会社、私営(個 人)企業に、個人による一人有限企業、企業グループを 加えた。こうして、全ての経済活動に参加している組織 が、一括されてこの法の規定によって規制され、第 5 条
「…企業の利益を保証し、企業形態間で処遇の差別を行 わない」(国の保護)とともに、すべての所有セクターに よる経営は、同じ基盤に置かれ、平等にみなされ、扱わ れるようになった。また、投資法の改正によって、国内 だけではなく、外資、内資、国有、私有の区別なく投資 家は法の下において平等に扱われ(第 4 5 条)、市場の
開放が約束された( 6 条〜 12 条)。これらの条項は、外 資企業が、よりベトナムに参入しやすくなる一方、健全 に発展していると言い難い国内企業に、不安や不平を引 き起こすこととなった。しかし、政府は、グローバル化 の時代においては、競争力が無い状態で存在し、発展で きる企業・国はありえないと主張し、企業の競争心を促 している。
この経済法整備に連動して、教育にもその影響が及ぶ こととなった。国有会社の株式化、有限会社化を許可す ることが、国公立大学の一部を私立化する発想を生み出 し、集団所有と私有を同じ基盤に置くこの改正企業法が、
これまで存在してきた民立学校の私立化論争を引き起こ すことになる。その結果、2007 年までに民立大学全てを 私立大学に再編することになった。この政策的方針は、
「アジェンダ」に明記されることになるが、まず、その政 策的思想は、どのように展開されたのかを「社会化」政 策を通して検討してみよう。
Ⅱ 新自由主義的「社会化」政策と「アジェンダ」
1 ベトナムの「社会化」政策の捉え方
ベトナムの「社会化」政策は、教育社会学でいう、い わゆる「社会化」とは全く異なる概念である。ベトナム でいう教育の「社会化」というのは、「教育…における社 会の全体、人民の幅広い参加を動員し、組織していくこ と」であり、「教育活動…のために健全な社会・経済環境 を整備し、改善していく人民の各層・級の責任連帯組織
(Cong dong trach nhiem=「共同責任」)を作ること」であ る。各地方において、この責任連帯組織は、共産党部、
人民会同、人民委員会、国の諸機関、大衆団体、経済組 織、企業そして、個々人の住民のものである7とされてい る。
『ベトナムの初等教育の普遍化政策』の中で、野田は、
この「社会化」政策について、「財政面においてはベトナ ムでは国家の予算だけでは初等教育の普遍化や全日制へ の移行のためのニーズを満たすことができず、地方行政 と共に地域社会がこれを担っていく必要がある」8と評価 し、これを財政困難状況の解決案として捉えている。教 育の「社会化」の内容には、「住民参加による社会化」と
「民活による社会化」と大きく二つに分けることができる
という。前者は、保護者など住民自身、あるいは、住民 組織、大衆組織が学校建設等の教育コストを負担したり 様々な教育活動に参加したりするタイプであり、後者は、
地元の企業が教育訓練局(DOET)や学習奨励会、労働 組合等の大衆組織と協力して学校建設を支援するタイプ である9。さらに、野田は、この「社会化」政策は、「社 会主義体制に下支えされた、社会全体のアクターの参加 による『教育の社会化』」であり、「ベトナム社会主義独 持」のものとしている。
しかし、この「社会化」政策の狙いは、「社会化」とい う表現を用いながらも、その政策的本質は、野田の評価 とは異なる内容を含意していると解釈すべきだろう。「教 育の社会化」が意図していることは、以下三つの政府文 章を分析することによって明白となる。それらは、(ⅰ)
1997 年 3 月に閣僚会議を通過し、8 月に公布された「教 育・医療・文化活動における社会化の主張と方向につい て」の90 議決(以下、「90/1997 議決」)、(ⅱ)1999 年 8 月に出された「教育・医療・文化・体操における社会化 の奨励政策について」の73 議定(以下、「73/1999 議定」)、 そして、(ⅲ)2005 年 4 月に上記の二つの文書の中間総 括と2010 年までの方向付けとして賛同された「教育・医 療・文化・体操における社会化の促進について」の05 議 決(以下、「05/2005 議決」)である。ここに、新自由主 義の社会主義的レトリックをみることができる。
2 投資の多様化と受益者負担を狙う「社会化」政策 初めて政府によって教育・医療・文化活動における
「社会化」政策文書が出されたのは1997 年のことである。
教育に関する部分の主張は、以下の 3 つにまとめること ができる。すなわち、①教育の多セクター化、②受益者 負担の増加、それにしたがって、③政府の教育に対する 予算の減少である。
①については、「90/1997 議決」をはじめとし、その後 の文書の中でも「社会的公平は、「享受」(つまり人民が 国と社会に面倒見てもらうこと)によるだけではなく、
各地方、各個人がそれぞれの実際の能力に応じて社会に 還元し、貢献することによって表される」としているこ とだが、その本質は、国は人民の面倒を見ているから、
人民は国の担っている負担を自分のできるところ(もち ろん、この限界は国が定める)まで国とシェアーしなけ
れば公平とはならないという政策論理が含意されている。
これによって、国公立機関の制限的な設立と同時に、
非国公立形態である半公立、民立、私立を発展させよう とするロジックが導き出される。民間セクターが教育を 負担することとして提案された比率は、幼児教育の大部 分、小学校の10 15%、中学校の25%、高等学校の50%
(「90/1997 議決」)であった。この比率は、「05/2005 議決」
では、保育園が 80%、幼稚園が 70%、中等教育学校が 40%、中等専業学校が 30%、職訓練施設が 60%、高等教 育機関が 40%となっている。
①を図るために、これまでは国公立形態しかなかった ところに、民立を許可し、それを踏み台に私立形態を認 められるようにした。しかし、「社会化」政策では、更な る大胆な一歩を「前進」しようとする。それは、地方が 管理、運営できそうな限り民立機関の設置を許可し、さ らに、国公立中等専業学校を国営企業に管理させ、その 生産活動と教育活動を企業経費で負担させようとしてい る(「05/2005 議決」)。教育運営を企業に委ねる方策まで 採用するベトナムの教育政策展開は、いかに、急増する 進学需要に対応するものとはいえ、疑問を抱かざるをえ ない。
「73/1999 議定」の中には、いくつかの具体策が盛り込 まれた。それは、物質・土地の優先的な貸出、税金・代 金・料金の免除・削減、信用の優待(表 1 、2 参照)、よ り自主的な資源調達の許可などである。たとえば、表 1 から分かるように、学校が置かれる地域によって納税率 が違ってくるが、全対象には、設立してから納税義務発 生収入が出るまでは免税される。経済的・社会的に困難 な地域では、さらに 4 年間、それ以外の地域では 2 年間 納税義務が課されていない。次の段階、つまり、納税義 務発生後、免税される期限が切れてから全ての対象は、
税金の半額を減額される。異なるのは、期間だけである。
すなわち、特別に困難な地域の場合が 9 年間、困難は 7 年間、それ以外は 4 年間の期限が設定されている。納税 義務発生後から起算して、特別に困難な地域にある学校 は、13 年目、困難な地域は、11年目、それ以外の地域は 6 年目になって初めて100%の税金を納めるわけである。
定められた税金率は、また同じ優先順位で、15%、20%、
25%である。これに対して、優先される教育・医療・文 化機関以外の機関は、32%の所得税を納税している。
また、表 2 のように、非国公立機関では、規模拡大、
技術更新、環境・生態改善に取り組む投資事業を実施し、
そこから新たな利益ができた場合の税措置も、待遇が規 定されている。具体的に、特に困難な地域、困難な地域、
それ以外の地域の対象に対して、それぞれ、納税義務収 入ができた後の免税期間は 4 3 1、半額減税期間は、7 5 4 年間である。つまり、決まった税率を100%収める のは、それぞれ、納税義務発生後の12 8 5 年後である。
これは、できるだけ、非国公立機関に投資しようとする 人を応援する姿勢を示している。これらの奨励によっ て、非国公立機関での学生の割合がますます増え続けて いる。2000 2001年度の9.5%が 2006 2007 年度になると 13%となった10。
また、「05/2005 議決」では、「非国公立機関は、ノン・
プロフィットか、フォー・プロフィットか、どちらかの 原則のもとで運営されても良いとされている。ただ、「05 /2005 議決」において補足された箇所に基づくと、ノン・
プロフィット運営の機関は納税義務を免除されているよ うだが、後で分析するように、現段階では民・私立機関 の商品化論争がまだ続いている中、ほとんどの大学は納 税しているという11。つまり、ほとんどの民・私立大学 は、自らフォー・プロフィット運営だと認めており、政 府もそれを承認し、非国公立形態を奨励している。これ こそが、教育における商品化を認める証である。
表1 ノンプロフィット経営の 非国公立機関の納税率(%)
[ソース:「73/1999 議定」第12 条[a]に基づいて作成]
設置地域
\年目 1、2 3、4 5、6 7 11 12、13 14 〜
納税率
特に困難 0 0 50 50 50 100 15
困難 0 0 50 50 100 100 20
その他 0 50 50 100 100 100 25
表2 納税義務発生後の拡大投資による 新たな収入に対する納税率(%)
[ソース:「73/1999 議定」第12 条[b]に基づいて作成]
設置地域
\年目 1 2、3 4、5 6 8 9-11 12 〜
納税率
特に困難 0 0 0 50 50 100 15
困難 0 0 50 50 100 100 20
その他 0 50 50 100 100 100 25
②について、「「73/1999 議定」では、「社会化」は、「人 民の物質的・精神的発達における教育…の享受レベルを 高める」ための「社会全体・全人の広範な参加」である とされている。このロジックが含意する政策的意図は、
国が負担してきた領域に、人民の力を活用することを規 定している。すなわち、言い換えれば、教育・医療と いった公的事業を人民に任せることを許可するものであ る。現実には、その任せる度合いが、漸次に増えている。
公共サービス部門の民営化である。
「90/1997 議決」では、「国公立学校において徴収され た学費は、国から配分された予算と共に、支出の必要項 目を満たし、適切な教職員の給料を賄えなければならな い」と記されていたのに対して、「05/2000 議決」では、
次のようになっている。「根本的に学費制度をドイモイす る。予算の許される限りに配分された国の援助とともに、
学費は、教育に必要な経費、学校の再投資のための蓄積 金を担保し、通常経費を担い出す必要がある」と微妙に 内容が変わったのである。学校運営費における学費の示 す比率がますます高くなっている方向に変わった。1997 年の時点では、必要な支出要項と教職員の給料だったの に対して、2005の時点では、学費で賄う項目は、必要な 経費(=必要な支出要項)と、新しく入れられた蓄積金 の分と、通常経費(=教職員の給料+α)となった。「国 の予算とともに」というフレーズも、「予算の許される限 りに配分された国の援助」に代わった。
高等教育以下の教育課程では、その学費について「調 整する」と言及されているが、「大学、短大、中等専業 学校、職業訓練学校の学費額を上げる」と言い切ってい る(「90/1997 議決」)。この主張は、さらに「73/1999 議 定」において具体化され、「05/2005 議決」の中では、「私 費留学にわが子を海外に出せる余裕の家庭がますますそ の数が増えているのにもかかわらず、国はいまだ低い学 費政策を採り、全員のバオ・カップ(国家丸抱え)をし、
その結果いつまでも国は予算に困り、優先的な投資がで きない」と学費の増額の根拠を展開している。受益者負 担の論理が露骨に展開されている。
これに加えて、「05/2005 議決」では、「職業訓練学校 と普及教育(つまり、初等教育)をしない国公立教育機 関の一部をサービス提供業としてその機能を替える」と いう「社会化」促進方針が出された。すなわち、サービ
スを提供することによる営業利益の獲得に道を開いた。
③について、これは、①と②の実行に伴う効果である。
国が自らの予算を削減した分だけ、人民は負担が増加す ることとなる。「小さな政府」と民間の大いなる負担であ る。
財政政策だけではなく、人事政策も「社会化」される ことに注目しておくことは重要である。この施策が実施 されれば、「社会的公平の実現」という「社会化」政策 の本質が全く異なるものになることは明らかである。「国 公立機関における『正規採用』(Bien che=「編制」)と いう概念を一歩ずつ縮減し、漸次的に『長期的労働契約』
制に移していく」(「05/2005 議決」)施策も述べられてい る。つまり、公的な教育機関においても、すべての労働 者は、保険費や労働条件保証費用のかからない「契約社 員」とされる。これも、最大の経費削減手段である。こ れこそが、2005 年の「教育の社会化」政策の中間期総括、
かつ方針の更なる促進である「05/2005 議決」における 本当の狙いといえよう。
このように、教育「社会化」政策の本質は、国以外の 教育の投資主体の多様化と受益者負担、「民立機関に投資 するために国の資金、財産、経費を使わないこと」(「73/
1999 議定」)と、国の公共セクターへの投資額をできる だけ減らすところにあることが明らかである。
Ⅲ 「アジェンダ」とベトナム高等教育ドイモイをめ ぐる諸問題
1 「社会化」政策延長線上にある「アジェンダ」
ベトナムでは、これまで、「2001 2010 教育発展戦略」
(以下、「発展戦略」)による高等教育改革が展開されてき たのであるが、途中「アジェンダ」に替わったのである。
「アジェンダ」は、その中間期総括と、それに基づく路線 の部分的修正、ないしは、そのさらなる具体化という性 格をはるかに超える、新自由主義的手法による改革を加 速化する内容となっている。
この部分は公開に適さない
ため削除されています。
1.2 一挙に私立大学化
「発展戦略」は、大学の教育商品化論に反対の表明を していた。その限りで、「発展戦略」は、グローバリゼー ションには対抗的で、新自由主義的な資本主義と社会主 義市場経済とは異なる特徴を強調しようとする色合いが 強くでていた。それが、「アジェンダ」では、「『05/2005 議決』に沿って国公立機関の活動を転換し、半公立、民 立機関を私立に再編し、…大きな財閥、大企業による高 等教育機関の設立を奨励する」方針で、私立大学の設立 をダイレクトに拡大しようとするものである。
しかしながら、もちろん、政府は管理権を手放そうと はしない。私立大学には、運営母体に共産党幹部を置か ず、学費の自由徴収といった大学自主権を与えると共に、
アカウンタビリティが強調され、大学評価が課されるよ うになる。
1.3 分権・大学自主に伴う評価体制
自主権付与の目的は、「発展戦略」にも書かれている ように、「国のコントロール内に、高等教育機関の最大限 の潜在的能力を発揮し、自らの大学の教育結果に対する 責任をもたせる」という自己責任論である。この主張は、
「アジェンダ」で再確認され、大学が受け入れ定員増加 以外、財政で自主権を行使できるように、さらなる具体 的な政策も出された。とりわけ、「高等教育機関は、サー ビス・生産・経営活動、及び教育訓練・研究と技術の応 用展開の契約等からの収入源を主導的に多様化する」方 針、あるいは、「高等教育機関における研究所、科学技 術(成果を応用し生産する)企業の設立、およびこれら の施設のために、科学技術専門組織や企業の開発投資を 奨励する」という大胆な大学内企業の設置による財政獲 得方法を提案している。
一方、優先的・焦点的な投下も強調されており、ここ で国家資源の集中的投下と民間資金の導入という分権
化が両立する構造となっている。そうした新自由主義の
「分権」と「集中」の手法は、当然のことながら、投資効 果の評価というプロセスを伴う。「アジェンダ」では、高 等教育の監視機関と評価機関の設置を提唱する。
すでに、「アジェンダ」では、「コミュニティの監査・
検査役割を担保し、高等教育の質の監視における人民団 体・組織、特に各職業会の役割を発揮する」と規定して いる。「発展戦略」における高等教育改革の財政配分は、
理念的な評価配分制度の提唱止まりであったものが、「常 に、高等教育の経済的効率を評価することを組織する」
と「アジェンダ」で具体化されている。そのために、「高 等教育機関の質を保証するセンターを設置し、『質(重視)
文化』を形成し、学校の社会的責任・競争能力を高め、
学校の『ブランド』を作るために、質保証活動を展開し、
『評価−公認』メカニズムを働かせる」という解法も出さ れ、現在、実行に移行されている。
だが、「社会化」政策の具体化バージョンである「ア ジェンダ」の実施過程において、以下の分析のように、
いくつか問題が発生している。
2 高等教育ドイモイの現状とその問題点
「アジェンダ」の方針では、国公立の一部と半公立12と 民立を2007 年 6 月までに私立化するものであったが、い まだにその作業が停滞しており、政策と実態のズレをみ せている。同時に、「アジェンダ」は、大学の自主権と関 連させて受益者負担を拡大していく文書でもあるが、現 場の声では、まったく進展していない13。その理由は、
教育は、グッズか否か、ノン・プロフィットか、フォー・
プロフィットか、という教育の商品化論をめぐる論争に 決着がついていないからといえよう。さらに、自主権に 伴う大学評価問題とその評価結果の使い道についての 問題も指摘できるが、著者が調べた限りでは、この問題 への批判はまったくみられない。しかし、いくつかの基 礎的な事柄について、政策サイドと当事者の間で議論と なっている点があるので、そのことについてみておこう。
2.1 学費増額をめぐる論争
学費をめぐる論争は、言うまでもなく、国の負担を減 らしたい教育訓練省、及び、大学の資金を増やしたい大 学経営者と、その結果、多くなる一方の負担を負わなけ
この部分は公開に適さない
ため削除されています。
ればならない学生・その家族、及び彼らの状況を理解し ている研究者・知識人との間において展開している。
反対派の主張としては、収入の50%前後も教育費に 充てなければならないという家庭の苦しい財政事情を考 慮し、学費を人民の負担にならないように減額しなけれ ばならないとする。Nguyen Xuan Han(ハノイ国家大学 教授)によると、教育における汚職・浪費を止められる なら、学費を上げなくてすむだけではなく、奨学金制度 も十分に整備できるに違いない14と氏は断言する。そう した政府の支出の不透明性も反対派に問題視されてい る。また、予算の金額から62.3%を教員の給料支出分と して計算し、教員数に割れば、教員一人当たりの月給は、
3100 万VNDとなる。この金額は、現在の給料の 2 倍に 相当する15と、国連の統計専門家は計算している。教育 費を増やす前に、教育における支出の透明性を図るべき と彼らは指摘している。
これに対して、学費アップ支持側は、政府による「学 費の金 額についての決 定 」70/1998議 決( 以 下、「70/
1998 議決」)によって定められた金額が、2008 年現在に おいてもまだ採用されていることは、GDPが増加し、人 民の生活が改善されている現在では、適切ではないと する。月あたりの学費が、大学180 万VND、短大 50 万 VND、中等専業120 万VNDという金額は、時価とあまり にも離れ、安すぎ16という。
さらに、「国家管理上、各経済セクターの教育に対する 貢献を明確に法律化すべき」というホーチミン市国家大 学からの意見もある。ホーチミン市国家大学副総長によ ると、現在大学の運営資金は、40%前後が国の予算から、
50%前後を学費から調達している。学費で充当する資金 は、45%がインフラ整備、35%が教員の給料、20%が管 理費用に充てられる計画であるのだが、しかし、これま で徴収された学費は、あまりにも少ないため、教員の給 料にしか充当されていない。そのため、国家大学の学費 増額計画では、2005 年 2007 年の間で、50%、2007 年以 降は、「70/1998 議決」で定められた金額より100%の増 額を提案する。この金額は、民立よりは安く、海外の大 学よりは10 倍ぐらいも安いため、妥当だと提案者である 氏は言う17。教育の質を高めたければ、それなりに投資 しなければならないと、等価交換的な意見をこの国家大 学副総長が主張している。
これらを受けて、ベトナム教育訓練省は、「ベトナム教 育と人的資源分析」という文章の中で、学費を含めた受 益者の負担義務について明記している。「教育サービスの 恩恵を受けようとする消費者は、いまや教育機関の財政 自立と教育及び職業訓練の民営化を促進するため、その 分増えた費用を負担しなければならない」18とし、それ以 来、受益者負担論が、ますます強調され続けてきている。
現在、まだ学費増額提案は検討段階にあり、公式な認 可が下ろされていないのにもかかわらず、「アジェンダ」
の趣旨を根拠に、勝手に多く徴収している大学もある。
学費の増額の理由として、各大学が出した理由は、「訓 練補充」、「実習補充」、「実験補充」である。電力大学の 場合、大学、短大、中等専業レベルそれぞれの規定学費 の月額が180 万、150 万、100 万VNDなのに対して、その
「実習・実験補充」費を320 万、200 万、200 万VND追加 して学生に要求している19。国家大学の場合、50%前後 が学生負担であるにもかかわらず、さらに増額を図ろう としている方針は、ベトナム人民の全体的な経済状況を 考えると理解し難い。だが、「妥当な投資がなければ、質 の良い人的財産が作れない!」20という人文社会科学大学 学長の断言は、おそらく、多くの大学経営者が共感する ところであろう。現場の大学経営者の望みが政府の受益 者負担政策と合致し、教育の「社会化」が更に後押しさ れ、進んできている。
2.2 私立化をめぐる問題
「社会化」政策は、受益者負担を主張するだけではな く、100%自立経費の私立大学の奨励にもつながっている。
「アジェンダ」の目標では、2020 年までに40%の学生を 非国公立に在籍させるとしている。また、草案中の『2009 2020 教育発展戦略』では、2020 年の目標値を43%とし ている21。これに向けて、上記のように、「アジェンダ」
では、一部の国公立と全ての民立を私立に転換する方針 が確認されると同時に、新しく設立される私立が奨励さ れるとした。また、「民立大学から私立大学に転換する決 定」(以下、「122/2006/QD-TTg」)によれば、2007 年 6 月 までに、私立への再編作業が完成すると明記されている。
だが、実際問題として、再編される公立・半公立・民立 にも、新設の私立にも問題点が多く指摘されている。
a 既存大学の再編問題
まず、再編される既存大学に関する問題点を、現状か らみてみよう。「アジェンダ」によって、これらの大学は、
企業経営方式に転換することが奨励されている。しかし、
再編に際して、それまでに大学が蓄積してきた資金・利 益をどう処分・配分するかについては、明確な方針もな く、法的規制も政策文書もまだ出されていない。これま でのやり方としては、公立の場合は、国の財産を換算し、
その分、国が株主の一人として投資することになる。「学 校会同」22は、おそらくこのために設置されるようになっ たと考えられる。つまり、国権利代表者の存在が、大学 形態の転換の際に必要だったということである。
半公立の場合、私立と公立の要素の割合によってどち らかに再編される23。たとえば、Ton Duc Thang大学が公 立に、Mo Ban cong(公開半公立大学)が私立に再編され た。半公立は、事実上自立経営だが、国の土地の上に建 てている。このことによって、国の投資が入っていると 判定され、行政的には国公立として扱われてきた。つま り、民立と同じく自立経営が要請されて有利と思われる が、他方で、学費の自由徴収ができない状況にある。そ のため、ほとんどの半公立にとって、再編は、国の投資 資金を返し、自営に転換する機会24ととらえられている。
しかし、民立大学の場合は、状況はそう楽観的ではな い。民立大学は、設立にあたり保証組織25の存在が要求 される。そのため、再編する際も、この保証組織との関 係が厄介になる。なぜなら、民立大学が蓄積してきた財 産は、保証団体にどのように配分するかが焦点となるか らである。単に保証するためだけに関わってきた団体も あれば、出資金を出さずに、名義だけ貸し出した団体も あるからである。
だが、いずれにせよ、理事会には、設立保証団体とし てその代表を置くと規定されているため、依然として、
その代表が理事となり、自らの組織の権利代表者となっ ている。また、民立大学は、原則上、団体所有である故 に、この団体に属する財産が存在することになっている。
財産の処分にあたり、この団体にどのくらい財産を分け るかが、理事会の論争の焦点になる。高等教育局長に尋 ねたところ、資金を出した者がそのまま株主になると答 えた26。出資していない保証団体の場合については回答 がなかった。教育訓練省にも、いまだ良い処方箋がない
ようである。しかし、現実問題として、共同所有の折半 方法に関する法令・政策が出されない限り、民立が引き ずる所有権問題は引き続き存在する。これは、民営方式 の固有問題でもいえよう。
b 新設私立大学の暴走
再編される大学の課題と同時に、「アジェンダ」実行過 程は、新設私立大学においても多くの課題を提起する。
私立大学は、奨励され、ある新聞は、その状況を「雨上 がりの後のキノコ」27のようだと表現している。この記 事によると、現在の大学、短大の数は、360 校であり、
その内、ここ10 年間にできた数は、その前の50 年間でで きた数と同じであるという。増加ピークは、2006、2007 年で、新設大学と昇格した大学は40 校、短大は70 校に も上っているという。需要が非常に高いベトナムでは、
このように一挙的に民立大学による大学の大衆化が進行 しているのだが、量的拡大は、必然的に、大学の質の面 に多くの課題を残すこととなった。とりわけ、教員とキャ ンパスの条件整備の問題である。
10 年間も続いているHong Bang大学は、いまだに固定 のキャンパスがなく、あちこちの施設を借りている。学 年の途中でも、別の校舎に移されることがある。固定し た十分に整備される教室がない状況下、実験室、演習室 はもちろん、図書館などがまったくない。Vien Dong短大 の図書館には、7 冊の本しかなかった。
キャンパスは、そのような形なので、十分な教職員が そろっているとは、とても考えられない。これらの大学 は、実人数よりも多く報告している。2008 年 2 月の教育 訓練省への報告で、Ky thuat cong nghe Van Xuan短大は、
教員構成を20 博士、105 修士、63 学士と述べたが、実際 の給料支給記録をみると、博士、修士、学士の人数は、
それぞれ 1 6 11である。Cong nghe thong tin GiaDinh大 学は、1 人の博士しかいなく、この博士は、副学長、財 政学部長、管理運営学部長、銀行財政学部長の多くの職 を兼任している。ある学校では、学校の理事会メンバー は、必要なポストを埋めるために、家族とその親戚の名 前が使われている。
更に、教育内容・スケジュールを立てないままの大学 もある。Phuong Dong短大には、シラバスがなく、教案も なく、非常勤講師に丸ごとその授業を任せている。Hue
工業大学は、10 専攻の学生募集が許可されたが、教育内 容がまだ決まっていない。
一方、ある程度評判がある大学は、採用可能数より超 過した学生を受け入れている。ホーチミン市Kinh te-Cong nghe短大の収容学生数は、ここ 3 年間連続 70%オーバー している。認可されていない分野・専門でも採用してし まうVan Xuan技術短大のようなケースも多くある。これ らの大学は、別の教育機関と連携をとって、自分の大学 の採用した学生があふれた場合、パートナー大学に学生 を「売る」という経営戦略をとっている。
WEF28の評価をみると、ベトナムのここ数年で進展を みせたのは、教育市場の指数だけであった。大学の質は、
国の課題として再び指摘されているが、教育市場だけが 拡大しているこの数字は、まさに現実を反映している。
c 優良企業体としての私立大学
こうした問題が発覚した大学に対して、「条件整備が不 十分な大学・短大の学生募集を一時停止」という対処処 置を取る必要があると国家の文化・教育・青少年委員会 が勧告しているのだが、それ以前の疑問は、なぜこれら の大学の設立が許可されたかということである。その理 由について、A氏29は、教育のことを「投資資金は少な いが、どんな産業よりも儲かる」「産業」30だと指摘する。
彼は、このような計算をみせた。たとえば、15 年前 50 億 VNDを数人が出資して大学を1993 年に創設していたと する。2008 年現在、その大学の財産が1000 億VNDになっ たとする。中には、土地などの価値が時価で 450 億とそ の価値が増えたものがあるとすれば、550 億のプラスが 生じたことになる。そこから当初の投資金額と納税金額 をひいていても、利潤が出てくる31。43/2006 政府の議定 は、国公立事業の一部と全ての半公立・民立を企業に転 換することが奨励されると規定している。企業としての 非国公立大学の経営は、「市場経済原理」、「株式会社化 方式」等に沿って行われているため、毎年 20 30%も利 潤が増えている。
そのため、特に外資による私立大学が増えている。一 例を挙げれば、一人有限責任会社「ベトナムBerjaya国際 大学」を作るための投資額が 35 億米ドル、RMIT大学の 投資額が、4410 万米ドルであり、膨大な投資額を獲得し ている大手もみられる。
これに対して、非国公立大学協会の会長は、「政府は、
赤いカーペットを敷いて、投資家を歓迎すべき。強い大 学、大学財団を作らないと、そのうち、外資による大学 が 市場のシェアー を占めるだろう。この状況を把握 し、教育訓練省は、更なる奨励を出すべき」32という。民 間セクター側は、教育市場のシェアーをより多く占め、
儲けようと、投資しているし、政府も、教育を民営に任 せようとして、奨励している。
一方、大学入学者の需要が供給を大幅に上回っている 現状では、どれだけ大学の質が悪くても、政府による閉 鎖・破産命令がない限り、倒産することは、100%ありえ ない。すると、教育の質保障がまた大きな課題になるだ ろう。
3 教育商品化をめぐる論争
実際に教育で儲かる人が出たベトナムでは、「教育は、
グッズなのか?」、「教育は、フォー・プロフィットか、
それともノン・プロフィットか」、そして、根本的なとこ ろで、「教育市場があるか」といった基本的な議論が、い まだに続いている。そこには、「社会主義における福祉 政策としての教育」と「市場経済における教育」という 理念と実態のズレがよく表わされている。これまでの分 析を通しても、社会主義を語ってきたベトナムにおいて、
資本主義国以上に、教育を商品化している状況が現実化 している。
教育商品化反対の論陣に入っている人々は、教育を
「市場化」することは、国の国民に対する機会の平等の 保障を放置することとなり、違憲であるとする33。教育 を商品としてとらえることは、社会主義のベトナムでは、
その理念に反するものと彼らはみている。これに対して、
元教育大臣で、現在非国公立大学協会会長であるTran Hong Quan氏は、非国公立が国予算を受けていないため、
そこで学習する人は、知識と技能を身につけられたその 分の経費を払うのは、市場経済原理の「等価交換」であ るという34。
これらに対して、中和的な言葉を見つけ出し、賛否両 論を治めようとしたのは、Pham Phu 35である。氏は、教 育が商品ではなく、「『教育サービス』は、商品である」
という考え方を提言した。この主張が受け入れられ、社 会主義の理念を堅持する人も、市場経済派の人もこの表
現を用いるようになり、現在では、このフレーズが一般 的に通用し、政策文書などにしばしば用いられるように なった。氏は、ベトナムでは、教育の売買が行われてい るのは事実であるから、「教育サービス」という概念を認 めるべきと主張する。たとえば、民立・私立大学に通う 学生は100%の自己負担を行っており、すなわち、教育 サービスを購入している。国は、毎年、海外に出す研修 生一人当たり1.5 万米ドを支給し、学費が 1 2 万米ドル の外資による大学の運営も許可している。つまり、あら ゆる形で、教育サービスが売買されているため、机上の 論争よりも、現実を把握して、「教育サービス」とその市 場が存在していることを認め、それに対応する法的整備 をしたほうが利口だと氏は言う36。なぜなら、「教育サー ビス」の存在を認めない限り、事実上それを提供し、儲 かっている非国公立においては、「教育は、商品ではない ため、我々の活動は、ノン・プロフィットだ」と主張し 続け、納税を逃れようとしているからである。
一方、政府の中でも、まだ「教育サービス」に関する 論争は未決着のため、法整備がなされていない。した がって、教育市場において利益を得る人は、納税義務を 果たさずに、自由に利益を上げられる事態を生んでいる。
Pham Phuは、「セミ・フォー・プロフィット」の概念を 提供している。つまり、「教育サービスは、商品である」
ため、それを提供した人は、利潤がないと、なかなか続 けていけないため、利潤を認めようと勧める。教育は、
ノン・プロフィットの原理であるべきだが、ベトナムの 状況を考慮すると、「セミ・フォー・プロフィット」が妥 当であるという。なぜなら、利潤を認めないと、投資す る人がいなく、「社会化」政策には、誰も参加する人がい ないから37という。
これらの論争をうまく乗り越えている層はいる。各民・
私立大学のリーダーの履歴をみると、国家機関での管理 職を経験した人が多かった。2007 2008 年度から募集し 始めたFPT大学は、「裏の手があるから、申請してしばら くも経っていない間にできた」38と教育関係者の間で噂さ れている。Yersin大学の学長も多数の管理職を経て、学 長になり、上記の非国公立大学協会会長も、もと大臣で あった。更に統計を重ねれば、この数は増えるに違いな い。すなわち、現在のベトナム非国公立大学は、 天下 り先 のような存在といえよう。こうした背景を考慮に
入れれば、認可基準が甘く、法整備がなかなか整備され ていない状況が理解できる。受益者負担が徐々に激しく なったベトナムにおける教育は、一握りの個人のための 稼ぐ集団であるといっても過言ではないだろう。
4 自主権と評価 4.1 自主権問題
政府は、「アジェンダ」の中で、その自主権を許可する 方向を示したが、私立に関しては、上限を制限されている 学費枠がまだ緩和されておらず、各大学は、なお、規制 の撤廃を要求している。また、採用学生枠を自由にすると 規定されるようになったが、条件整備がネックとなって、
むしろ学生数が減ってしまう状況がある39。一方、2003 年、財政省、教育訓練省、内務省の通知によって国公立 の財政自主が規定されたが、主に「経常経費がカットさ れた以外、何も自主が与えられていない」という事態へ の不満がある。自主経営実施の結果、その名目において 2008 年は、経済大学には43.1 億VNDしか支給されなかっ た。自主権容認以前の260 億VNDと比べ、学校は、180
億VNDも損したという。その分、非正規生40の学費から
補っているが、その学費も低く、1800.000VND/学生/年 である。
こうした結果、自主であるがゆえに、学生が全て負担 することになったという矛盾を生むこととなった。さら に、自主権を与えられたからには、同時に教育品質の公 開、教育財源の公開、財政支出の公開をしなければなら ないと、評価制度の導入がうち出しされたのである。
4.2 評 価
これまでに、ベトナムの大学では、学生同士による相 互評価41という自己評価制度が存在し、その結果が奨学 金に反映されるものであった。しかし、インタビューを 行った全ての大学では、学生による教員評価が実施され るようになっていた。2006 年には評価センターが設置さ れ、2007 年からは、教育訓練省による評価実施が行われ るようになり、2008 年11月には89 大学に評価システムへ の参加が命じられた。
大学が評価システムに組み込まれる契機は、2008 年 1 月に出された教育大臣による「高等教育の質についての 結論」である。その中で、高等教育の質の要因は、①総
体的に、我々は、教育の質を管理の最大の目的としてみ なしていないこと、②学校側が積極的に質を高めていく 原動力を、政府が作れていないこと、とされている。そ の解決案として、評価が基軸であり、(A)質を保証する ための必須解法と(B)質を高めるための奨励解法、と の 2 グループに分けられている。これに基づいて、自主 権と学長の権限増加、予算配分、学費政策、教員の給与 制度、企業の参加の奨励をうまく連動させている。
インタビューの訪問先では、大学評価を強く受け止め る姿勢が印象的であった。Yersin大学も、百科大学も、
評価は、学校の改善のためであると述べている。つまり、
その結果を通じて、学校の強いところやまだ不十分なと ころを把握して、強いところを発揮したり、弱点を修正 し、改善したりするという。これは、評価センター副セ ンター長が説明してくれた評価の得点「文部省の認証書、
予算配分における優先、定員の増量、そして、社会の承 認」のなかの最後の項目を意識した上での発言であろう。
おそらく、その望みには、認証とそれに伴う権利も含ん でいるのであろう。2008 年まで 369 校中、短大178 校、
大学173 校が評価を実施している、と教育訓練省が発表 している42。
ところが、政府の狙いは、学費徴収、教員給料の決定 権を学長に与え、大学の自主を増やすようにみせかける が、実際、全てが評価結果次第という仕組みになってい る。このように、大学の自主権を認めるというロジック のよって大学を誘導しながら、新自由主義の手法である PDCAサイクルシステムが基本的に完成した。
おわりに
経済のドイモイ路線を採用した延長線で、ベトナムは 国際経済参入のためにWTO加盟を果たした。しかし、そ の結果、自国の経済体系が大幅に改定・変化せざるを得 なく、それにつれ、様々な領域に影響を与えた。とりわ け、元々「社会化」政策によって発足した教育民営化が、
改正企業法を背景にした「アジェンダ」を通してさらに 拍車をかけられた。
市場経済に任せようとしているベトナム政府でも、社 会主義的国家統制・管理の習慣を引き続き維持しながら、
片方だけを手放し、一方を引き締めている。その意味で、
ベトナムにおける新自由主義的な政策は、今後では、ど こよりも迅速に進むと考えられる。その先に、①私立大 学を含めた大学の教職員や学生の権利保護の観点からの 大学法システムの整備、②大学拡大に伴う負担の増加・
格差の拡大・競争の激化の是正、③社会主義思想と教育 商品化論の思想的調整、④グローバリゼーションにおけ るベトナム独自の高等教育システムの開発、⑤教育と研 究の分離から研究を基礎にした教育に転換といった課題 が待ち受けているであろう。
注
1 ドイモイ(Doi moi)とは、ベトナム共産党第 6 大会で 採択された、経済刷新という意味であるが、その急激 な展開によって経済領域のみならず、政治・文化・教 育など、社会全体の転換が図られることになり、様々 な分野における改革、刷新、転換の一般名詞として
「ドイモイ」という表現が使用されるようになってきた。
したがって、本論文では、経済ドイモイに連動して発 生した高等教育の刷新を「高等教育ドイモイ」と表現 する。
2 日本の「私立大学」と同じく理解しては誤解が生ず るため、ここで、ベトナムの「私立大学」を定義して おく必要がある。歴史的に、ベトナムの私立大学は、
フランス領であった時期に南ベトナムでいくつか設立 された宗教系学校を表現し、統一以来用いられなく なった。その代り、私塾大学という表現が採用されて いるため、公式の法規や文章で「私立」という言葉が 出てくることは、めったにない。しかし、国公立以外 の設立形態を「私立」とするならば、ベトナムの「私 立大学」は、広義では、民立大学(Dai hoc Dan lap)・ 私塾大学(Dai hoc Tu thuc)が含むが、狭義では、私塾 大学のみを意味する。これは、民立大学の設置主体が 明確でないためでもあるが、2007 年度以降すべての民 立大学を私塾大学に再編するようと指示するよう14 / 2005 政府決議が出されている今、その過程が完了した ら、私立大学は、完全に私塾大学と一致することにな る。ただ、本論で分析したように、今現在でもその再 編作業に多数問題があり、完了する見込みがなかなか つかない。
3 2005 年教育法では、「民立大学は、 各地方共同体
(ベトナム語直訳)によって設立され、インフラが整備 され、運営費が保証される」とその形態が定義されて いる。だが、教育現場の一般認識では、民立大学とい うのは、ある保証組織の下に、裕福で教育に情熱を有 する人のグループを単位として、教育訓練省規定に基 づいて学校設立計画をたて、教育訓練省の認可を受け たものである。90 年代に、社会主義の下での私立とい う存在について多くの批判が展開された。それを反映 したアイディアである。資金を有しない社会・政治団 体が、大学を開設しようとするが出資を禁じられる個 人やグループのための建前としての保証組織(注 24 参 照)となって設立要件を満たす仕組み。民立大学の管 理主体は、教育訓練省であり、学生への扱いも、その 卒業証書も国公立大学のものと変わりがないとされて いる。なお、この矛盾が、民立大学を私塾大学に再編 する動きを加速している。
こうした理由から、民立大学は、「people founded」
(近田)よりも「Social group guaranteed」のほうが適切 と考える。つまり、ベトナム高等教育機関は、設立主 体でいうと、「Public」「Semi-public」「Non-public (Social group guaranteed and Private)」の大学がある。
4 近田政博『近代ベトナム高等教育の政策史』多賀出 版、2005 参照
5 デイヴィッド・スローパー、レ・タク・カン編『変 革期ベトナムの大学』東信堂、1998
6 坂田正三『2010 年に向けたベトナムの発展戦略 WTO時代の新たな挑戦』アジア経済研究所,2007、
p. 81
7 ベトナム政府、『教育・医療・文化活動における社 会化の主張と方向について』議決、ハノイ1997、前文
8 野田真里「ベトナムにおける『教育の社会化』政策 と地域社会の活動」、潮木守一編著『ベトナムにおける 初等教育の普遍化政策』明石書店、2008、p. 101
9 野田、同上書、p. 112
10 教育訓練省、教育統計資料。2009 2020 教育戦略第 13回草案附録より
11 インタビューI(2008 / 09 / 08)より
12 半公立は運営資金とインフラの50%ずつを国と民間 で負担する形態であると、一般的には理解されている。
だが、正確にいうと、割合の「問題では、土地、設備 などは国有で、運営財政を大学が自主的に賄うシステ ムである。日本の公設民営の形態に近い性格をもつ。
ただし、1992 年に半公立形態も容認されたのが、2005 年の教育法改正によって半公立形態は他の形態に再編 され消滅した。その際、設立当初、国の負担が多かっ たのと、運営上でも公立的要素が主な大学は、国公立 に再編され、私的な要素が多かった大学は、私立と変 更される。
13 インタビューF(2007 / 03 / 02)より
14 Sinh vien Viet Nam『学費は値上げしないばかりか、
むしろ値下げできる』Tuoitreonline、2005 /10 / 05
15 Vu Quang Viet『教育における支出: びっくり する 数字』Vietnamnet、2006 / 02 /13
16 Sai Gon Giai Phong『学費増加:すべきか、すべきで ないか?』2005 / 09 /16
17 Nguyen Phan『ホーチミン市国家大学_学費を50%増 額?』Tuoitreonline、2004 / 04 / 22
18 Ministry of Education, UNDP, UNESCO『Vietnam Education and Human Resources Analysis』Vol.1, Hanoi, 1992, p. 39
19 Tung Linh『電力大学:学費 3 倍増でも足りない?』
Vietnamnet、2008 /11/ 21
20 Nguyen Anh Tu『大学の財政自主:困難まだいくつか』
Giao duc va Thoi dai紙、教育訓練省ホームページ
21 第14回修正を経て公表されている教育訓練省による
『2009 2020 教育戦略』
22 「学校会同」というのは、2005 年教育法によって正 式的に導入された組織であり、「学校の運営方向を決 定し、学校のためのあらゆる財源を動員し、その使い 方を監視し、社会・コミュニティとの連携を取り、教 育目標を担保する」と位置づけされる。重要なはずの 組織であるが、いまだに設置していない学校もある。
その理由としては、会同の役割や活動・運営の方法が、
まだ明確でなく、検討中ということが挙げられる。
23 インタビューJ(2008 / 09 / 09)より
24 Vietnamnet『Hoa sen 最初に ジャンプ する短大』
2004 /12 / 02
25 「保証組織」というのは、注 4 にもあるように、あら ゆる社会・政治的な組織、会議、あるいは共同体など
である。一例として、農業のノーハウを教え合う「励 農会」、学生の学業を励む「励学会」がある。
26 インタビューD(2007 / 02 / 28)より
27 Hung Thuat, Thanh Ha『大学、短大:雨上がりの後の キノコのように』Tuoitronline、2008 /12 /16。
28 World Economic Forum(世界経済フォーラム)
29 ベトナム国家教育委員会高等教育担当者の一人。匿 名希望。
30 インタビューI(2008 / 09 / 08)より
31 インタビューI(2008 / 09 / 08)より
32 Vietnamnet『非国公立高等教育学校を「等価」的に 扱うべき』2004 /10 / 22
33 Nguyen Van Nam『教育収入の市場化:国民の平等権 を奪う!』Tuoitreonline、2007 / 07 / 04
34 Cam Lu『 教育市場 について多くの論争』Vietnamnet、 2005 / 01/ 07
35 ホーチミン市国家大学教授、ベトナム国家教育委員 会高等教育班副担当者
36 Pham Phu『Ve khuon mat moi cua Giao duc Dai hoc Viet Nam』、NXB Dai hoc quoc gia Tp. HCM、2005、p. 172
37 Pham Phu、前掲書、pp. 223 231
38 インタビューI(2008 / 09 / 08)より
39 インタビューH(2007 / 03 / 06)より
40 各大学が自主的に試験を行い、学生を採用するそ の各課程に在学する学生のことである。主に在職中の 人々が対象であるため、授業は、ほとんど夜間で行わ れる。
41 この評価活動は、期末に行われ、学生の学校や社会 への貢献を評価するために実施されるものである。学 校の決まった様式に基づいて学生が自己評価をし、そ してその結果が妥当かどうか同級生と担任が検討す る。これは、数値評価であり、その結果が明確に数字 で表れる。この得点は、その学期の成績にプラスされ るため、奨学金獲得においては、重要な役割を占める のである。
42 Hung Thuat『大学の質(の評価結果)の公表をまだ
待ち続ける』Tuoitreonline、2008 /12 / 26
Through various elements in the Doi Moi (economic reform) of Vietnam, especially paying attention to WTO entrance conditions, this study analyzes The “Socialization” policy of pressing various investment in education such as privatization and The “Agenda”
in which The “Socialization” policy is materialized, and then, clarifies facts and problems of Vietnam Higher education reform.
After adopting Doi Moi, Vietnam gained an entry into WTO, accomplishing participate into the international economy system. However, economic system could not help revising, being changed greatly as a result, and influencing various areas. For example, the conception of turning state-owned companies into joint-stock corporations and limited companies proposed the privatization in a part of national and public universities and colleges; as well as 2005 year Amended Enterprise Law, which puts the group and individual ownership on the same base, aroused the controversy of converting social group guaranteed Higher education institutions to private ones.
“Agenda concerning a basic, inclusive reform of Vietnam Higher education for 2006-2020 years” (“Agenda”) is put out based on this legal background, and it is putting into force now.
With characteristics of , privatization at a stroke, decentralization and introduction of evaluation system, this Neo-liberalism- accelerating “Agenda” is
based on the thought of The “Socialization” policy. Though it is said that this “Socialization” policy just urges the participation of the whole society into education, indeed, it aims at various investment from multi sectors, cost-sharing among beneficiaries and as its result, a decrease in the national budget for Education.
However, during execution of this “Socialization” policy- based “Agenda”, some problems can be pointed out. For examples, due to problems of proprietorship, converting social group guaranteed Higher education institutions to private ones from 2007 year cannot yet complete, showing gap between the policies and the realities. Moreover, despite of no legislated Private School Law, encouragement of privatization has driven private universities into reckless situations, as well as the problems of beneficiaries’ cost-sharing and educational commercialization theory in Vietnam Higher education market.
Key words
Vietnam Higher Education Reform, Amended Enterprise Law, “Socialization” Policy, Agenda, Privatization of Higher Education.
*Division of Study on Structure of Education
Vietnam “Socialization” Policy and Privatization of Higher Education
Nguyen Thi Hoang Diem*
本稿は、ベトナムの経済改革とその裏にある諸要素、
とりわけWTO加盟条件などに着目しながら、民立形態 の学校の発展など多様な教育投資を促す「社会化」政策 と、その方針の具体化された「アジェンダ」を分析し、
それによって展開されているベトナムの高等教育改革政 策、改革の実情およびその課題について明らかにする。
経済のドイモイ路線を採用した延長線で、ベトナム は国際経済参入のためにWTO加盟を果たした。しかし、
その結果、自国の経済体系が大幅に改定・変化せざるを 得なく、それにつれ、様々な領域に影響を与えた。とり わけ、国有会社の株式化、有限会社化を許可することが 国公立大学の一部を私立化する発想を呼び起こし、集団 所有と私有を同じ基盤に置くこの改正企業法は、これま で存在してきた民立学校の私立化論争を引き起こした。
この法的背景に基づいて、「2006 2020 年ベトナムの高 等教育の基本的包括的改革に関する決議」(「アジェン ダ」)が出され、現在にいたって実現されている。
と一挙に私立化や分権と 評価体制導入といった新自由主義的手法による改革を加 速化する内容となっている「アジェンダ」の思想的背 景は、「社会化」政策にある。「教育…における社会の全
体、人民の幅広い参加を動員し、組織していく」政策と されるこの「社会化」政策は、実質では、①教育の多セ クター化、②受益者負担の増加、それにしたがって、③ 政府の教育に対する予算の減少を狙いとしている。
この「社会化」政策の延長線上にある「アジェンダ」
の実施につき、いくつか問題点が指摘することができ る。たとえば、2007 年以降一部の国公立大学とすべて の民立大学を私立化する方針は、所有権問題によって 未だに完了されず、政策と実態のズレをみせている。ま た、私立学校法制が未着手の状況下にある私立大学の奨 励によって、市場経済化したベトナム高等教育市場にお いて、私立大学の暴走から受益者負担論や教育商品化論 等が課題として浮かんでいる。
Key words
ベトナムの高等教育,改正企業法,「社会化」政策,
アジェンダ,大学民営化
*教育構造論講座
ベトナムの教育の「社会化」政策と大学民営化の展開
Nguyen Thi Hoang Diem*