システム技術開発調査研究 18-R-2
遺伝学的検査の信頼性・互換性向上及び標準化に関する調査研究 報 告 書
平成19年3月
財団法人 機械システム振興協会 委託先 財団法人 バイオインダストリー協会
目 次
序 はじめに
1 調査研究の目的
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1 2 調査研究の実施体制
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1 3 調査研究成果の内容
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4
第1章 我が国の臨床検査機械システム産業の欧米諸国との技術的差別化
及び市場優位性に関する調査・検討
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4 1.1 発現解析法の実用化に向けた基盤技術の開発動向
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4 1.2 欧米における最新の研究開発動向
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6
1.3 欧米における遺伝子関連検査に係る政策論的取組み、及び標準物質
の開発を巡る動向
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・11 1.4 遺伝子発現検査の標準化
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・17
1.4.1 予備検討
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・17 1.4.2 戦略的に取り組むべき具体的な課題
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・18 第2章 ヒト遺伝子発現解析データの相互比較の可能性に関する調査・検討
・・・・・・・26 2.1 遺伝子RNAの合成
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・26
2.1.1 完全長mRNAの直接合成
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・26
2.1.2 発現ベクターの構築
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・30
2.1.3 cDNAの調製と発現ベクターへの導入
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・31
2.1.5 RNAの試験管内合成
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・41 2.1.6 PCRによる目的遺伝子の増幅:Tベクターへの組み込み
・・・・・・・・・・・・・42 2.1.7 PCRによる目的遺伝子の増幅:pET-9a改変ベクターへの組み込み
・・・45 2.1.8 RNAの合成:メチレンブルー染色
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・47 2.1.9 主要な実験手順の詳細
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・51 2.2 発現解析実験
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・56
2.2.1 試料
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・56 2.2.2 実験方法
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・56 2.2.3 実験結果
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・57 2.2.4 考察
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・69 2.3 核酸参照物質(標準物質)の整備
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・71
2.3.1 概要
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・72 2.3.2 背景、必要性及び目的
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・72 2.3.3 RNA候補及び技術的課題
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・73 2.3.4 参照RNA物質の整備:保存性の検討、純度検定、SIトレーサブル
な絶対量測定法開発の検討
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・75 2.3.5 mRNAのpoly(A)+鎖長が標識効率に及ぼす影響の検討
・・・・・・・・・・・80 2.3.6 遺伝子発現の絶対的評価のための調査検討
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・81 2.3.7 RNAの半連続合成法の確立
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・81 2.3.8 RNAの大量合成および迅速精製法の確立
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・82 2.3.9 RNAの超大量合成
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・83 2.3.10 対象とすべき遺伝子
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・83 2.3.11 技術戦略マップ上の位置づけ及び研究体制(案)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・84 4 調査研究の成果(まとめ)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・85 5 調査研究の今後の課題及び展開
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・91
5.1 今後の課題:政策提言
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・91
5.2 今後の展開:核酸標準物質の整備
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・92
5.3 遺伝子発現解析検査の標準化研究
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・92
〔資料編〕
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・99 参考資料-A 委員会議事録
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・101 参考資料-B 遺伝子関連検査(Genetic Testing)に関係する欧米の機関、
プロジェクト等
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・115
序
わが国経済の安定成長への推進にあたり、機械情報産業をめぐる経済的、社会的諸条件は急速 な変化を見せており、社会生活における環境、防災、都市、住宅、福祉、教育等、直面する問題の解 決を図るためには、技術開発力の強化に加えて、ますます多様化、高度化する社会的ニーズに適応 する機械情報システムの研究開発が必要であります。
このような社会情勢に対応し、各方面の要請に応えるため、財団法人機械システム振興協会では、
日本自転車振興会から機械工業振興資金の交付を受けて、機械システムの調査研究等に関する補 助事業、新機械システム普及促進補助事業を実施しております。
特に、システム開発に関する事業を効果的に推進するためには、国内外における先端技術、ある いはシステム統合化技術に関する調査研究を先行して実施する必要がありますので、当協会に総 合システム調査開発委員会(委員長 政策研究院 リサーチフェロー 藤正 巖氏)を設置し、同委員 会のご指導のもとにシステム技術開発に関する調査研究事業を実施しております。
この「遺伝学的検査の信頼性・互換性向上及び標準化に関する調査研究報告書」は、上記事業の 一環として、当協会が財団法人バイオインダストリー協会に委託して実施した調査研究の成果であり ます。
今後、機械情報産業に関する諸施策が展開されていくうえで、本調査研究の成果が一つの礎石と して役立てば幸いであります。
平成19年3月
財団法人機械システム振興協会
はじめに
2003年(平成15年)4月のヒトゲノム解読終了を契機にたん白質を中心とするポストゲノム研究 が進められ、更にRNA研究や糖鎖研究等次世代ポストゲノム研究と呼ぶべき研究も進められつつ ある。こうした中で、医療・健康分野においては、ヒトの遺伝子情報と疾患との関係に関する様々な 研究の進展によって、個別化医療、予防・健康サービス、医薬品開発、機能性食品開発、食品安全 性検査等の幅広い分野での新たな製品・サービスの創出が期待されている。
一方、遺伝子情報に係る検査・解析データの信頼性と互換性は、創薬等の学術研究用途だけで はなく、個別化医療の早期実現とも密接に関連するため、国際度量衡委員会(CIPM)/物質量諮問 委員会(CCQM)を構成する先進各国の国家研究機関の計量標準化研究の専門家が中心となり、
国際臨床化学連合(IFCC)、世界保健機構(WHO)とも連携して臨床医学のトレーサビリティに関す る合同委員会(JCTLM)が2002年(平成14年)に設立された。
また、国際標準化機構(ISO)では、1995年(平成7年)に新しい専門委員会としてTC212を立ち 上げ、欧州標準化委員会(CEN)と連携してISO15193(標準物質に値を付けるための基準測定操 作法)、ISO15194(標準物質)、ISO15195(標準物質の特性を評価する基準測定試験所)、ISO 15189(日常的に臨床検査を行う試験所の質と適合能力の規範)等の臨床化学検査に固有の要件 を付加した新たなISO規格を順次制定し、臨床化学検査の国際標準化を進めている。
しかし、ヒトの遺伝子関連検査の標準化に関しては、技術革新が日々顕著で、かつ対象範囲があ まりにも広いため規格化には馴染まない等の理由で各国の取り組みが遅れていた。核酸標準物質 及び基準測定操作法の開発に関するCIPM/CCQMの活動も、現時点では基礎研究の段階を脱し ていないが、欧州では政策論的な取り組みとして、OECDベストプラクティス・ガイドラインの策定作 業及びOECD理事会勧告準備作業、上記CIPM/CCQM及びJCTLM等における臨床応用を想定 した国際的な核酸計量標準研究が加速されつつある。
産業技術の開発・実用化に関して戦略的に欧州と一線を画している米国では、横断的な合意事項 であるISO規格等よりは、内部核酸標準物質と特定企業のDNAマイクロアレイを組み合わせた測定 系を「実質的な国際標準」として国際市場で優先確立することを目的とする米国企業主導の取組とし て、「臨床検査室における遺伝学的検査標準に関する国際会議(IMCLGS)及び外部RNA標準コン ソーシアム(ERCC)」を2003年(平成15年)春より重点的に推進しており、遺伝子情報解析ツール を開発に取り組んでいる国内企業の競争力に直接的に影響しかねない状況が顕在化しつつある。
更に2005年(平成17年)10月には我が国の行政及び産業界への影響力が無視できない米国F DAが、DNAマイクロアレイを特定の疾患検査用診断試薬(DNAマイクロアレイ診断チップ)として実 用化することを目的とするMAQC(MicroArray Quality Control)プロジェクトの立ち上げと2007 年(平成19年)末のFDAガイドライン制定をWebsiteにて告知した。
FDA/MAQCプロジェクトは、2005年(平成17年)2月から10月にかけて2種類のRNAと主要7 社のDNAマイクロアレイ、計1329枚を用いた試験研究を実施し、ラットを用いた前臨床試験のデー タベース等による検討等も加えて、Nature Biotechnology 誌の2006年(平成18年)9月8日号に おいて、「異なるDNAマイクロアレイ間の遺伝子発現解析結果について“統計的には”相互比較でき る」と結論して、1年半にわたる PhaseⅠを終了した。2007年(平成19年)2月末現在、引き続き、
実用的なバイオマーカーの探索を目指す PhaseⅡの準備段階にある。
尚、当該 MAQC PhaseⅡは、FDAの担当者が主導する Clinical (臨床) WG、Regulatory Biostatics (生物統計学) WG、Toxicogenomics (トキシコゲノミックス: ラット等を用いた前臨 床毒性試験結果のヒト臨床安全性試験への外挿について遺伝子関連検査の知見に基づいて検証 する) WG、及び大学・企業関係者が主導するMAQC Titration (混合試料の解析) WGの、計4 作業部会で構成される。
上述の通り、遺伝学的検査を取り巻く環境は、米国主導で研究開発の段階から欧米及び日本市 場における実用化・関連装置産業の新規立ち上げへ向けて動きを活性化しつつあるが、国内では、
異なるプラットフォーム間のデータの相互比較を可能にするためのいわゆる標準物質開発の可能性 を示唆する先駆的な試みとして、完全長RNAを利用する発案に基づく予備試験が実施され、DNAマ イクロアレイを利用する実験・検査系における核酸(mRNA)発現量の絶対値測定の可能性を将来 的に示唆する下記知見が得られている(独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構平成1 7年度成果報告書:「遺伝子情報解析データの信頼性・互換性向上のための課題・方策に関する調 査」05001866-0、財団法人バイオインダストリー協会受託)。
・ 断片化後に蛍光標識したヒト遺伝子mRNAの濃度とハイブリダイゼーション(注、蛍光強度として 検出)の相関性に関して、純粋な合成遺伝子RNA(antisense RNA)の系では、ほぼ良好な相 関性と再現性が示唆された。
・ ただし、遺伝子の種類によってハイブリダイゼーション効率に差が認められた。
DNAマイクロアレイを利用する遺伝子情報解析は、新たな社会的ニーズとして注目されている個 別化医療等の幅広い分野に適応する新たな機械情報システムの創出と普及を根底から支える基盤 技術である。しかし、ヒトから採取した血液検体の処理方法、測定機器メーカーごとに異なる測定プロ トコル、試薬類等に解析結果が大きく左右されるため、遺伝子情報解析ツール・試薬等の生産者(メ ーカー)、使用者(検査会社、医師)及び受益者(一般の患者)の全てから遺伝子情報解析結果の信 頼性及び互換性の向上が強く求められている。
米国は、自国製DNAマイクロアレイを利用する遺伝子情報解析・検査技術を事実上の標準として 確立して他国の関連技術開発を阻止するための手段とすべく、内部核酸標準物質の普及を急いで いるが、一度でも内部標準物質の利用が臨床検査の現場に普及してしまえば、医療現場の常として
が国の臨床検査機械システム産業は実質的に米国の支配下に置かれる可能性が十分に想起され る。
しかし、遺伝子情報測定データの比較可能な範囲(遺伝子情報解析・検査技術及び測定機器シス テム)を限定して自国産業の優位性確保を画策する米国企業群に対して、当該デ-タの比較互換性 が遍く保証される標準物質が我が国独自の発案により確立されれば、米国企業群に対する我が国 企業の立場が強化される。
そこで、本調査研究では、自国産業の競争優位を目指す米国企業群の上記取り組みに対峙して、
我が国独自の発案による標準物質の開発・普及を図るべく、我が国の臨床検査機械システム産業 の欧米諸国との技術的差別化及び市場優位性、及びヒト遺伝子発現解析データの相互比較の可能 性に関して調査・検討し、これらの調査・検討結果、及び専門家で構成される委員会における討議・
審議結果等を踏まえて、遺伝子発現解析検査に関連する検査機械システム市場の世界的な創生・
拡大及び健全な発展を図るために我が国が戦略的に取り組むべき課題を明らかにし(第1章)、本調 査研究の目的である核酸標準物質(参照物質)の具体的な開発方法を取りまとめた(第2章)。
平成19年3月
財団法人バイオインダストリー協会
1 調査研究の目的
本調査研究は、近い将来における実用化を見据えて最近数年の間に急遽、欧米で核酸(RNA)標 準物質開発への具体的な動きが始まりつつある現状に鑑み、核酸標準物質の開発方法について我 が国独自の視点と発想で調査・検討し、我が国主導による国内外関連市場の拡大を図ることを目的 として実施した。
2 調査研究の実施体制 2.1 実施体制
本調査研究は、財団法人機械システム振興協会の委託を受け、財団法人バイオインダストリー協 会内に「遺伝子情報解析データの信頼性・互換性向上調査委員会」を設置し、下記の体制で実施し た。
図2-1 実施体制
2.2 業務分担
遺伝子発現解析実験(3 調査研究成果の内容 第2章 2.2)に係る下記3項目について、九州 大学に業務を再委託した。
1) 合成済みのヒト遺伝子RNAを用いた外部核酸標準物質の調整 2) DNAマイクロアレイと核酸標準物質のハイブリダイゼーション操作
財団法人バイオインダストリー協会
遺伝子情報解析データの 信頼性・互換性向上調査委員会
九州大学
(再委託)
財団法人機械システム振興協会 総合システム調査開発委員会
(委 託)
2.3 財団法人機械システム振興協会総合システム調査開発委員会
表2-1 総合システム調査開発委員会 委員名簿
委員長 政策研究院 リサーチフェロー 藤正 巖
委 員 埼玉大学 地域共同研究センター 教授 太田公廣
委 員 独立行政法人産業技術総合研究所 エレクトロニクス研究部門
副研究部門長 金丸正剛
委 員 独立行政法人産業技術総合研究所 産学官連携部門
コーディネータ 志村洋文
委 員 東北大学 未来科学技術共同研究センター センター長 中島一郎 委 員 東京工業大学大学院 総合理工学研究科 教授 廣田 薫
委 員 東京大学大学院 工学系研究科 助教授 藤岡健彦
委 員 東京大学大学院 新領域創成科学研究科 教授 大和裕幸
2.4 遺伝子情報解析データの信頼性・互換性向上調査委員会
表2-2 遺伝子情報解析データの信頼性・互換性向上調査委員会 委員名簿
委員長 九州大学大学院 教授 久原 哲
委 員 三重大学大学院 教授 登 勉
委 員 浜松医科大学 教授 前川真人
委 員 徳島大学 ゲノム機能研究センター 教授 篠原康雄
委 員 東京理科大学 教授 村上康文
委 員 長浜バイオ大学 教授 大島 淳
委 員 九州大学大学院 助教授 田代康介
委 員 独立行政法人産業技術総合研究所 生物機能工学研究部門
主任研究員 川原崎 守
委 員 独立行政法人産業技術総合研究所 生命情報科学センター
研究員 藤渕 航
委 員 東レ株式会社 CR 企画室長 田中利明
委 員 タカラバイオ株式会社 ドラゴンジェノミクスセンター 副センター長 大門尚志
委 員 株式会社東芝 研究開発センター 研究主幹 石森義雄
委 員 日本ガイシ株式会社 ライフサイエンス担当部長 川瀬三雄
委 員 株式会社エスアールエル 理事 引地一昌
委 員 株式会社エスアールエル 技術開発課 担当課長 石川 博 委 員 株式会社ビー・エム・エル 臨床ゲノム開発部 次長 山口敏和
委 員 株式会社三菱化学ビーシーエル 遺伝子検査部長 山森俊治
関係者 東レ株式会社 先端融合研究所 副所長 米原 徹
関係者 東レ株式会社 先端融合研究所 主任研究員 秋山英雄
関係者 経済産業省 製造産業局 生物化学産業課 課長 徳増有治
関係者 経済産業省 産業技術環境局 知的基盤課 課長 吉田雅彦
関係者 経済産業省 製造産業局 生物化学産業課 課長補佐 荒田芙美子 関係者 経済産業省 製造産業局 生物化学産業課 標準化係長 行本治代
関係者 経済産業省 産業技術環境局 知的基盤課 高橋昌行
関係者 独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構
バイオテクノロジー・医療技術開発部 主査 古川善規
関係者 経済産業省 関東経済産業局 産業部産業振興課
バイオ産業チーム チーム長 鈴木隆文
事務局 財団法人バイオインダストリー協会 技術企画部長 堀 友繁
3 調査研究成果の内容
第1章 我が国の臨床検査機械システム産業の欧米諸国との技術的差別化及び市場優位 性に関する調査・検討
DNAマイクロアレイを用いる発現解析及び外部核酸標準物質の応用に係る海外技術動向を踏ま えて、臨床現場から早期実用化への要請が高まりつつある遺伝学的検査に関して、我が国の臨床 検査機械システム産業が欧米諸国との技術的差別化と市場優位性を将来的に維持する方策につい て調査・検討した。
海外動向調査の調査対象は、欧州における遺伝子情報解析データの信頼性・互換性向上に関わ る主要な企業、団体、国際機関(EuroGentest、JCTLM等)を主導する研究開発もしくは施策担当 者とし、調査は、面談、関連会議等への出席により行った。また、調査研究委託実施期間の全期間 に亘って、関連するウェブサイトを適宜調査した。
ついで、後述のヒト遺伝子発現解析データの相互比較の可能性に関する調査・検討結果(第2章)
も踏まえて、国内有識者で構成される専門家委員会(委員長:九州大学大学院 久原 哲教授)(表2
-1)を合計3回開催し、遺伝学的検査の信頼性・互換性向上及び標準化に向けて、我が国の臨床 検査機械システム産業が欧米諸国との技術的差別化及び市場優位性のために戦略的に取り組む べき優先課題について検討し、具体的な調査・研究計画(案)を取りまとめた(第1章 1.4)。
1.1 発現解析法の実用化に向けた基盤技術の開発動向
“バイオテクノロジー”という言葉が初めて使われたのは約90年前の1917年(大正5年)頃といわ れている。その後三分の1世紀を経て、1953年(昭和28年)にはDNAの構造が明らかになり、すぐ にも生命科学の分野で革命的な成果が得られるかの期待が一気に高まったが、その後の動きは鈍 く、更に2分の1世紀が経過した2003年(平成15年)の春、ようやくヒトゲノムの全塩基配列が明ら かになった。
一方、ゲノムの情報を利用する遺伝子工学の領域では、最も有用な実用的な手法のひとつとして、
異種のDNA同士や、DNAとRNAをアニーリングする操作(分子雑種形成:ハイブリダイゼーション)
が、創薬等の研究開発分野で利用されており、ハイブリダイゼーションと新しい基盤技術(単一細胞 分離技術、レーザー干渉技術、BeadArrayテクノロジー等)との組み合わせにより、遺伝学的検査
1917年1917年:: バイオテクノロジーという言葉がはじめて登場(米国・シカゴ)バイオテクノロジーという言葉がはじめて登場(米国・シカゴ)
1953年1953年:: DNAの構造解明DNAの構造解明 (ワトソン、クリック両氏)(ワトソン、クリック両氏)
1979年1979年:: バイオテクノロジーがはじめてベンチャー投資家の対象となる。バイオテクノロジーがはじめてベンチャー投資家の対象となる。
1996年 1996 年 : : DNAマイクロアレイによるはじめての遺伝子発現解析実験
DNAマイクロアレイによるはじめての遺伝子発現解析実験2003年 2003 年 : : ヒトゲノムの全塩基配列解明
ヒトゲノムの全塩基配列解明1953 1953
イノベーションの浸透 イノベーションの浸透
Time Time 2003 2003
遺伝子関連検査の臨床応用 遺伝子関連検査の臨床応用
・産業応用に向けて!
・産業応用に向けて!
図3-1-1 発現解析法の実用化を巡る経緯及び現状
1)~4)に国内及び海外専門家に対する個別面談の結果を示す。
1) 単一細胞分離技術
安田賢二教授 (東京医科歯科大学、生体材料研究所)は、静的なゲノム(遺伝子配列情報)に対 峙する動的なものとしてエピジェネティクスの特長についての考察をした後、マイクロフルィディックス
(microfluidics、微小領域の流体力学)を利用して、特定の細胞を微小流路流動系中において1個 単位で実時間分離できることを実証した。
この技術は、基礎研究の段階ではあるが、細胞1個単位での遺伝子発現解析が実現可能である ことを示唆する画期的なものである。
2) レーザー干渉技術
Prof.Willam G.Tong (サンジェゴ州立大学 生命物理、レーザー分光専攻) は、独自のレー ザー干渉技術を駆使して従来の蛍光分析の壁を超える、超高感度遺伝子発現解析の実現可能性を 示唆した。
3) BeadArray テクノロジー
Dr.James Therrien (イルミナ株式会社、Director/Corporate Liaison, 日本担当)は、イル ミナ社製のDNAマイクロアレイを利用すれば数理統計学的に信頼性の高い値を安価で実現できるこ とを曖昧さのない明快な技術説明によって明らかにした。
4) 定量PCR
Dr.Douglas R.Storts (プロメガ社、Director/Genetic Analysis)は、プロメガ社が増幅反 応の進行に伴い蛍光強度が増加する従来法とは逆の発想(増幅反応の進行に伴い減光する)を利 用して、少ないプライマーで、多数の試料を同時に、かつ定量分析できる qPCR 及び qRT-PCR を開発・実用化したことを明らかにした。
1.2 欧米における最新の研究開発動向
ヒト遺伝子発現解析データの信頼性・互換性向上、核酸標準物質の開発及び標準化に係る海外 動向調査(欧州、第1回目)として、オランダ・アムステルダム市内で開催された Select Biosciences 主催の第2回Advances in Microarray Technology Conferenceに出席し、遺伝学的情報の網羅的 な測定を特長とするマイクロアレイ利用技術に係る応用基礎及び実用化研究の最前線に於ける現 状及び動向について、我が国の臨床検査機械システム産業が欧米諸国との技術的差別化及び市 場優位性のために戦略的に取り組むべき優先課題探索の視点で、全ての講演(28件)、ポスター発 表(56件)、及び関連企業展示ブース(28社)を精査し、重要案件については担当者との直接面談 によって、詳細かつ正確な情報を直接入手した。尚、会議への出席者約300名中、日本からの出席 者は1名のみであった。
発表講演は、Microfluidics、Bioinfirmatics、Cell Microarrays、Protein Microarrays: Capture、
Protein Microarrays: Interactions、DNA Microarrays: Polymorphisms、DNA Microarrays:
Hybridization、DNA Microarrays: Gene Expression の大分類に沿って研究・実用化最前線に特
いわゆる DNAマイクロアレイを用いる遺伝学的情報の網羅的な測定法の利用現状は、概ね予想 の範囲内(より詳細な領域に踏み込んだ改良研究の積み重ね:従ってブレイクスルーは起きにく い。)であったのに対し、約1年半前(2005年(平成17年)秋)には萌芽的な基礎研究の段階にあり、
実用化は当面想定外の感がしたプロテイン・マイクロアレイが一気に実用化段階に達し、一部製品 化に至っていた。
DNAマイクロアレイを用いる発現解析等の定量測定についても2005年(平成17年)秋には、ごく 一部の関係者が、言外にその必要性と有用性を控えめに指摘するに止まっていたが、今回は臨床 応用をはっきりと掲げて、絶対計量を目指す戦略的取り組みが、DNAマイクロアレイだけではなく、
プロテイン・マイクロアレイ、更には細胞・マイクロアレイに至るマイクロアレイ・テクノロジーの全領域 で強調されていた。
日本国内では、当該定量測定の必要性の議論はごく少数派に止まっているが、国際的には昨年、
2006年(平成18年)の3月中旬、米国臨床化学会(AACC)の San Diego 部会で DNA Probe Technology – Two Decades of Innovationと題された学術集会が開催され、発現解析等の定量測 定は既に規定の流れと見極め、5年以内に世界のトップ10の製薬企業が全て再編されるとの指摘 が展望講演で当然のごとく述べられた経緯にある。(非公開のため関係者以外はあまり認識しては いないが)国際度量衡委員会の物質量諮問委員会でもDNAの絶対計量に取り組んでいる経緯があ り、この指摘が必ずしも荒唐無稽ではないことを示唆している。特に、今回は、欧州の産業界レベル で発現解析等の定量測定に言及した点で特筆に価する。
バイオ分野、特に遺伝子情報を取り扱うバイオテクノロジー分野に関する関心が、我が国では一 時期の勢いがなくなり、バイオテクノロジーの将来性に陰りが見え始めたかの感があるが、国際的に は決してそのような兆候はなく、実用化に向けた取り組みが質的に異なる変化を伴いながら着実に かつ指数関数的に加速している状況が実例に基づき垣間見られた。
例えば、平成10年(1998年)にDr. Stephen Quake が考案し、Science誌2002年10月18日 号の表紙を飾ったIFC (Integraded Fluidic Circuits) 技術を携えて、平成11年(1999年)に設立さ れた米国のベンチャー企業であるFluidigm 社は、最近3年間に限ると前年比10倍前後で市場占有 率が伸び続けており、かつて唱えられたコンピュータ演算素子の事例(いわゆる Moore’s Law)(備 考参照)を遥かに上回っている。(図3-1-2)
備考 コンピュータ演算素子の集積度 (ビット/平方インチ) = 2 ^ ( t – 1962 ) ここで、 t は、年を表す。
尚、同社は、従来のDNAマイクロアレイを用いずに、マイクロフルィディクスと従来のTaqMan法に よる定量PCRを組み合わせて、1枚のチップで2000検体以上の定量PCRを同時に実現し、既に市 場導入を完了している。ただし、日本国内には販売拠点を持たない。今回、定量測定原理の簡易さ に着目して、Fluidigm社のExecutive Vice President (Dr. Michael Lucero) (図3-1-3) に面談し て詳細情報を収集し、網羅的定量PCR用チップ(図3-1-4) も入手した。
図3-1-2 米国Fluidigm社(http://www.fluidigm.com/index.html)の業績等
Michael Lucero, Executive VP Business Development, Fluidigm Corp.
図3-1-3 米国Fluidigm社のExecutive Vice President、Dr. Michael Lucero
図3-1-4 米国Fluidigm社の網羅的定量PCR用チップ (http://www.selectconferences.com/AMT2006/presentations/lucero.pdf)
Mike Lucero has been influential in the development of analytical tools for life science over the past decade and a half. In the 1990s, while at Applied Biosystems, he was promoted to Vice President of PCR Marketing and R&D.
Under his watch, the company introduced the world’s first instrumentation and chemistry for real-time quantitative PCR. Currently, as Executive Vice President of Business Development, he plays a leading role in defining the strategy for commercializing the company’s core technology, integrated fluidic circuits, for life science and allied fields. Mr. Lucero received a BA in biochemistry in 1985 and an MBA in 1989 from the University of California, Berkeley.
以下、特記事項について概要を列記する。
核酸標準物質の開発に関しては、Target Hybridization Rate を規定することが必須要件になると 想起されるが、本課題に関しては、ベルギー・ブリュッセル大学の研究グループが理論的な研究に取 り組んでいる (図3-1-5)。現時点では、基礎的な検討が始まったばかりであり、今後の進展が注目 される。
図3-1-5 Target Hybridization Rateに関する研究動向
(http://www.selectconferences.com/AMT2006/presentations/posters/Session%20A/120.pdf)
本調査研究の第1回及び第2回専門家委員会でも、そもそもハイブリダイゼーションとは何か、と いう基本的な問いかけがなされており、プローブの最適化設計への挑戦とあわせて、化学反応速度 と拡散速度の比が律速となるハイブリダイゼーション効率に関する取り組みの重要性を認識した。
従来、網羅的な測定に定量測定は馴染まないとされていたが、臨床応用を戦略の要に据え定量 測定自体をビジネスモデルとして、売るべき製品の開発を待たずに起業したベンチャー企業の存在 も象徴的であった。
プラットフォームに関しても、従来のアフィメトリックス方式とスタンフォード方式の競争の狭間から、
質的な変化を遂げて登場した Bead Array Technology (図3-1-6) を利用したイルミナ社のマイク ロアレイが明らかに次代を担うと確信された。
Core BearArray
®Technology
図3-1-6 DNAマイクロアレイに臨床応用・産業応用に向けた新技術の事例:
Illumina社 Core BeadArray
TMTechnology
(http://www.illuminakk.co.jp/tech/index.shtml)
臨床的な遺伝学的検査の領域でも早晩、多種類多数個の細胞が混在する検体から、ごく微量もし くは特定の1個の細胞へと様変わりし、標準物質を利用する定量計測、平板から球面利用へ変わり つつあるプラットフォームとの組み合わせによる、新たな取り組みが主流となろう。
1.3 欧米における遺伝子関連検査に係る政策論的取組み、及び標準物質の開発を巡 る動向
ヒト遺伝子発現解析データの信頼性・互換性向上、核酸標準物質の開発及び標準化に係る海外 動向調査(欧州、第2回目)として、ベルギー・ルーブン市内、Groot Begijnhof Faculty Club 会 議場で開催されたEuroGentest プロジェクトの第3回総会及び成果報告会(非公開)に出席し、EU 及び米国が連携して取り組んでいる遺伝子関連検査に係る政策論的取組み及び標準物質の開発を 巡る動向等について関係者との直接面談によって現状を調査した。
1) 遺伝子関連検査に係るOECDベストプラクティス・ガイドラインの策定
遺伝子関連検査に係る基盤技術確立の動きに呼応して遺伝学的検査に係る政策論的取り組み
(いわゆるバイオポリティックス)も各国、地域で始まりつつあり、先進国の世界的政府間組織である 経済開発機構(OECD)ではヒト遺伝子関連検査に関する大部のベストプラクティス・ガイドライン(仮 翻訳:分子遺伝学的検査の質保証、Draft Guidelines for Quality Assurance in Molecular Genetic Testing)の最終原案が、OECDに於ける6年間の取組み成果として、昨年(平成18年)7月から9月 にかけての全世界を対象にした公開意見聴取を経て、本年(平成19年)春から夏の予定でOECD 理事会勧告として発行されることがほぼ確実となった。
本ガイドラインの詳細については、外交文書に順ずる秘匿解除の手続きが済むまで非公開となっ ているが、ヒトから採取した臨床検体について国境を越えて移動することを許容するものであり、我 が国も例外ではないが、遺伝子関連検査に対する国内体制が未構築の各国にとってはその影響は 無視できないものがあると容易に想像される。
2) OECDベストプラクティス・ガイドラインとISO国際規格の整合化への動き
先進国政府の閣僚級会議による緩やかな強制力を持つ、いわゆる紳士協定的な一面を有するO ECDの理事会勧告発行の動きに対峙して、途上国を含む140カ国が加盟する民間の機関である国 際標準化機構(ISO)でも、現時点(平成19年2月現在)では若干の不透明さが否めないが、遺伝子 関連検査に関連する規格作りに向けての具体的動きが始まるのが確実視されている。規格化の可 否が討議される場は、ISO/TC212の総会であり、本年(平成19年)5月下旬に開催予定の北京総 会がそのきっかけとなる可能性が高い。
ISOの場における審議を持ちかけたのは他ならぬ我が国であり、一昨年(平成17年)2月に正式 提案(ISO/TC212 N149)した経緯にある。ISOの各専門委員会(TC)に於ける議事録等も非公 開であるため詳細については省略するが、ISOで規格化されると、ISO規格自体は任意規格である が、欧州ではそのまま強制規格として運用されるため産業界に及ぼす影響は無視できない。我が国 でも1995年(平成7年)の閣議決定により、ISO規格との整合性を表明しており、直接的ではないに しても、実質的な影響は避けられない。
3) 欧州における最新の政策論的取組み
上述バイオポリティックス発祥の地、欧州すなわちEUでは、3年前にEUプロジェクトとして6つの ユニットで構成されるEuroGentestプロジェクト(備考参照)が立ち上がり、EUのプロジェクトであり
有力者のひとりである Dr. Joe Boone、米国・臨床遺伝学会(ACMG)の関連委員会を統括する Dr.
Sue Richard等がその運営に深くかつ積極的に関わっており、上記OECDベストプラクティス・ガイド ラインの正式発行を待って、その影響力を強めるもの想起される。
備考 EuroGentestの活動に係る主要な関係者、計6名について所属等を以下に列記する。
・ Joe Boone, National Center for Marketing, CDC, USA
米国で一貫して Genetic Testing の標準化に取り組んでいる第一人者。OECDガイドラインの 策定作業を米国代表団の代表者として取り仕切り、連携するISOの国際規格15189を制定したIS O/TC212でも実質的に会議を主導している Key personである。(写真3-1-1)
・ Elletra Ronchi, OECD, France
OECD/WPBで6年来にわたって、事務局としてOECDガイドライン策定作業を一手に取り仕切り、
理事会勧告発行を事実上主導した当事者。(写真3-1-1)
写真3-1-1 Joe Boone(前列右)、Elletra Ronchi(前列左)
・ David Barton, National University of Ireland, Dublin, Ireland.
EuroGentest/CREGEN(認証標準物質開発プロジェクト)の責任者。本年(平成19年)、5月に アイルランドで開催される、遺伝子関連検査用標準物質にかかる国際会議の主催者。
・ Els Dequeker, Katholieke Universiteit Leuven, Belgium
EuroGentest/Unit1(遺伝子関連検査の質保証)責任者。OECDガイドラインに準拠するISO国 際規格策定に係るEUの実質的な代表者。
・ Egbert Bakker, Leiden University Medical Center, the Netherlands
EuroGentest/Unit5(標準物質を利用する測定技術及び装置関係)の責任者。
・ Jean-Jacques Cassiman, Katholieke Universiteit Leuven, Belgium
EuroGentest の最高責任者。Playing Director の役割を自ら演じて、EU全体の利益にために強 力な指導力を発揮している。(写真3-1-2)
写真3-1-2 Jean-Jacques Cassiman (EuroGentest最高責任者)
写真3-1-3 EuroGentest General Assembly 出席者(全員)
(http://www.eurogentest.org/web/db/event/65/index.xhtml)
4) 米国における最新の政策論的取組み
米国では、CDCが中心となってCETT プロジェクト(Collaboration、 Education、 and Test Translation Program for Rare Genetic Diseases)を立ち上げて米国内の研究・技術開発、
政策論的な動向等を共有化し、臨床応用の早期実現に取り組んでいるが、EuroGentest プロジェ クトは、CETTに先んじて欧州で立ち上がった同様の取組みであり、いずれも民間企業ではなく、国 家機関主導による政策論的取組みに分類されるのが特徴である。
5) 標準物質開発を巡る現状
遺伝子関連検査の臨床応用を阻害要因は単一ではなく、政策論的、倫理的、社会的要因もある が、技術的には定量解析が最大の課題として挙げられる。定量解析には、物差しとなる核酸標準物 質が必要であり、各国の国民が望む医療(患者主体の医療)に不可欠な、画一的な定量診断の早期 実現に向けて、EuroGentestにおいても当然のこととして核酸標準物質の開発・整備が、プロジェク トの最重要目標のひとつとして位置づけられている。ただし、国際的な取組みとの整合性を重視する 各ユニットリーダーの意向が、あくまでも臨床現場に於ける応用を指向している末端の医療関係者ま
遺伝子関連検査に係る標準物質の開発プロジェクトに関していえば、欧米で過去にもいくつか小さ な取組みがあったようである。しかし、標準物質の整備を患者の細胞に依存し、予定通り細胞が集ま らなかったことにより、活動基金が枯渇し、成果を得ることなく立ち消えとなった事例も多かったと推 察された。上述のCETTではまだ顕在化していないが、EuroGentest の財政支援によるEUの臨床 遺伝子検査用標準物質整備プロジェクトであるCREGEN(責任者:David Barton)も第1期3年が 過ぎたところで、第2期 post CREGEN の立ち上げが難航している模様である。
尚、CETT及びEuroGentest/CREGENの“標準物質”は、疫学的ないし単純な統計的検証に準 拠する“暫定的な管理標準物質”であり、SIトレーサブルな本来の標準物質には該当しない。
一方、各国を代表する国家軽量・標準化機関がSIトレーサブルな本来の標準物質の開発に取り 組んでいる国際度量衡局(BIPM)/物質量諮問委員会(CCQM)では、DNA分子1個の絶対定量に 挑戦しており(図3-1-7)、進捗は早くはないものの一定の成果が得られつつある。
P-54 DNAの一次定量
分子量の測定
• ICP-OES : Inductionely Coupled Plasma – Optical Emmission Spectroscopy
• LC-IDMS : Liquid Chromatography
– Isotope-Dilution Mass Spectrometry
図3-1-7 BIPM/CCQMにおける方法論としての標準化への取組み
我が国としては、遺伝子関連検査に係る標準物質の整備に関しては進捗度を早める前提で、SIト レーサブルな本来の標準物質の開発を目指すBIPM/CCQMの取り組み方に準拠すべきと結論す る。
1.4 遺伝子発現検査の標準化
1.4.1 予備検討
第1回目(平成18年7月18日、20名出席)及び第2回目(平成18年10月25日、23名出席)専 門家委員会を開催し、発現解析法の実用化に向けた基盤技術の開発動向(第1章 1.1参照)等を 踏まえて、遺伝学的検査の信頼性・互換性向上及び標準化に係る現状、及び我が国の臨床検査機 械システム産業が欧米諸国との技術的差別化及び市場優位性のために戦略的に取り組むべき優 先課題等について検討した。
1) 遺伝学的検査の信頼性・互換性向上及び標準化に係る現状
・ 市場占有率の小さな国産のDNAマイクロアレイを使用している場合は、特に互換性が重要で ある。
・ DNAマイクロアレイの比較検討は企業独自では難しいため、標準物質の整備が望まれる。
・ NISTのDNAマイクロアレイ関係者がBIPM/CCQM/BAWGに参加し始めているのでCCQ Mでもそろそろ(遺伝学的検査の信頼性・互換性向上及び標準化が)議論の対象になると思 われる。
・ CCQMではDNAの抽出、DNA分子の定量計測の検討がされているが、後者は予定通り上 手くは進捗していないようである。
・ CCQMでは測定機器ごとのプロトコルは問題にしない。操作方法のプロトコル自体を同じにし て、いずれの器械もしくは誰がやっても誤差が少なくなる全体的なプロトコル(標準物質の開発 及び基準測定操作法の確立)を対象としている。
2) 戦略的に取り組むべき優先課題
標準物質の開発・整備 mRNA標準物質 mRNAの純度測定方法
検体採取の標準化(検体の質の保証)
検体採取後における、時間経過に伴うRNAの分解防止
検体前処理(ターゲット調整)の標準化 標識方法
重要用語の定義及び統一化 標準物質
内部標準物質 外部標準物質
ハイブリダイゼーション
革新的に新しい設計思想に基づくDNAマイクロアレイ用プローブの最適化 未知の splicing に対応できる“更新”体制の整備
実験による確認方法の構築(可能であるが、極めて難しい)
1.4.2 戦略的に取り組むべき具体的な課題
有識者で構成される第3回専門家委員会(平成19年1月17日、22名出席)を開催し、第2回目
(平成18年10月25日)専門家委員会開催後の調査・検討結果、及びヒト遺伝子発現解析データの 相互比較の可能性に関する調査・検討結果(後述)等を踏まえて、遺伝学的検査の信頼性・互換性 向上及び標準化に向けて、我が国の臨床検査機械システム産業が欧米諸国との技術的差別化及 び市場優位性のために戦略的に取り組むべき具体的な包括的課題として、「遺伝子発現検査の標 準化」について取りまとめた。(図3-1-8~図3-1-13)
国民の望む医療の形は様々であるが、医師の診断根拠として利用される検査結果(の数値)は、
全国どこで検査しても同じ値が得られるべきであり(図3-1-8)、そのためには共通の物差しが必要 である。コレステロール等、通常の生化学検査に関しては、徐々にではあるが標準物質(基準測定操 作法で値付けが行われ、国がその値の信頼性を保証しているもの。)の整備が進んでいる。しかし、
遺伝子関連検査に関しては、国内だけでなく世界中どこにも標準物質が存在していない。
勿論、特定の研究所や企業、研究者個人が研究開発等のために、何らかの“基準”となる物質を 持っていることに疑う余地はないが、相互比較がなされていないため、絶対値が算出できない。7種 類に集約されたSI(Le Systeme international d´unites)単位で値が付けられている標準物質と の比較の連鎖(トレーサビリティ)によってのみ、定量測定が可能となる。
遺伝子関連検査用の標準物質は、物質としては核酸そのもの、もしくは類似の構造を有する高分 子が想定されるため、純金属等の物理計量標準にはない困難さが伴い、開発への取組みが先送り されてきた経緯にある。困難さの理由としては、不安定、多種類、純度もしくは値付けの方法論が未 開発、等々列挙に事欠かない。想定される単位としては、mol が挙げられるが遺伝子の量が少な い(~10-12)ため、氷点降下法の利用も想定できない。
核酸参照物質(標準物質)の整備は、必須の要件ではあるが、それだけでは遺伝子発現検査の信 頼性は担保できない。遺伝子発現検査の一連の流れを概観すると、検体採取(例えば、採血)からデ ータ処理(検査結果の“数値”を得る。)まで概ね7段階の操作が行われ(図3-1-9)、それぞれの段 階で検査結果に対する不確かさが累積する。
DNAマイクロアレイ等の様々な “道具” が考案され、将来の覇権を賭けて製品として市場にも流 通しているが、“測定”に関わる不確かさは、標準物質の整備と方法論としての標準化(確立)によっ て初めて解消可能となる。一方、測定に用いる検体の質保証に関しては、米国の企業が考案したR NAに関する指標値(RIN)が唯一の参考手段として普及しているだけである。
技術的な課題は山積している(図3-1-10)が、RNA検体の質保証及び一連の実験プロトコルの 標準化によって検査データの質保証が実現できれば(図3-1-11)、遺伝子発現解析検査の臨床応 用及び産業応用が進み当該検査用機械システム市場の世界的な創生、拡大及び健全な発展が図 れる可能性が高い(図3-1-12、図3-1-13)。
遺伝子発現検査の標準化 ⇒ 国民の望む医療の提供
標準プロトコルによる 個別化医療のための診断の実現
標準プロトコルによる 個別化医療のための診断の実現
データ処理
検体R N A の 質保証 及び 解析 デ ー タ の 質保証 シ ス テ ム の 確 立
全国どこでも、同一基準による治療の選択が可能
検体採取・調整
標識・ハイブリダイゼーション
図3-1-8 遺伝子発現検査の標準化: 同一基準による医療を目指して
遺伝子発現検査の標準化
(調査・研究計画(案)の全体像)
個別化医療のための診断の実現 日本発の遺伝学的検査の質保証システム 日本発の遺伝学的検査の質保証システム RNA抽出(内部参照RNA)
検体の収集
ハイブリダイゼーション
洗浄
データ取得
データ処理 ターゲット調整
AAAA…
AAAA…
AAAA…
**
*
検体RNAの質保証体制の整備
(チェックポイント、チェック方法、基準値の設定)
• RNAの分解度判定、定量技術
• 参照RNAの大量合成技術、等 標準(リファレンス)プロトコル 標準(リファレンス)プロトコルの確立の確立
プロトコル:チップデータの質保証体制の整備
(基準プローブによる測定不確かさの基準設定)
• 外部・内部参照RNAによる特異性、感 度、再現性チェック 等
測定不確かさの基準値設定 測定不確かさの基準値設定
= +
精確な治療方針 サンプル採取
外部参照 RNAの添加
図3-1-9 遺伝子発現検査の標準化: 調査研究計画(案)の全体像
実験プロトコルの標準化
コンテンツ、アルゴリズムに強く依存 RNA抽出(内部参照RNA)
検体の収集
ハイブリダイゼーション
洗浄
データ取得
データ処理 ターゲット調整
外部参照 RNAの添加
安定発現遺伝子、鎖 長の異なる遺伝子等
産総研設計RNA やUCP-1 RNA等、
検体組織で発現し ていないRNA
基準プローブによる許 容範囲の設定
(特異性、感度など)
基準、チェックポイント(項目)
採取・輸送時の核酸安定性 RNA分解の度合い
RNA量(回収効率)
RNA純度
RT時の鎖長(合成度合い)
増幅効率 蛍光取り込み効率
測定不確かさの算出
ダイナミックレンジ(相対倍数量
:fold-change)による感度判定 複数の濃度の異なる外部参 照RNAの検出
(PMT値、シグナル値に依 存しない感度検定)
開発・整備すべき技術課題
(RNA Later, PaxGene)
内部参照RNA
3’PCR/,5’PCR比での評価 23S/18S rRNA比での評価 核酸(RNA)の定量
(吸光度測定)
外部参照RNA
3’PCR/,5’PCR比での評価 核酸(RNA)の定量 定量PCRでの増幅前後比較
(吸光度測定)
参照RNAに対する基準プローブ のデザイン
(特異性、感度、再現性の保証)
参照RNAリストの創出
(アレイDB等の活用)
・内部参照RNA:組織共通的に 安定発現する遺伝子リスト
・外部参照RNA:各組織特異的 に発現していない遺伝子とヒト cDNAクローンとの対応リスト
赤字:必須開発項目
図3-1-10 遺伝子発現検査の標準化: 技術的課題の詳細
我が国の臨床検査機械システム産業が
欧米諸国との技術的差別化及び市場優位性のために 戦略的に取り組むべき優先課題
1 1 .RNA . RNA検体の質保証 検体の質保証
・RNA標準物質 ・RNA 標準物質 (参照物質)の開発 (参照物質) の開発
・
・RNAの純度測定 RNAの純度測定
・ ・検体採取後におけるRNAの分解防止 検体採取後におけるRNAの分解防止
2 2 .実験プロトコル . 実験プロトコル の標準化 の標準化
・
・標識方法 標識方法
・遺伝子発現頻度検出用 ・ 遺伝子発現頻度検出用プローブの最適化 プローブの最適化
図3-1-11 遺伝子発現検査の標準化: 政策提言
RNA検体の質保証 RNA検体の質保証
(検体採取、検体調整の適正化)
(検体採取、検体調整の適正化)
解析データの質保証 解析データの質保証
(標識効率、遺伝子発現の絶対評価)
(標識効率、遺伝子発現の絶対評価)
遺伝子発現解析検査用機械システム市場 遺伝子発現解析検査用機械システム市場
の世界的な創生 の 世界的な創生・拡大及び発展 ・拡大及び発展
+ +
↓ ↓
図3-1-12 遺伝子発現検査の標準化: 機械システム市場の創生・拡大及び発展
図3-1-13 遺伝子発現検査の標準化: 国際標準化を含む今後の展開
第2章 ヒト遺伝子発現解析データの相互比較の可能性に関する調査・検討
互換性のある網羅的ヒト遺伝子発現解析への応用を想定した核酸(RNA)標準物質に関する調 査研究として、人工的に合成(第2章 2.1)した濃度既知の複数の純粋なヒト遺伝子完全長mRNA だけを使ったDNAマイクロアレイ発現解析及び当該合成完全長mRNAとヒトの標準組織(HeLa細 胞)から調製された総RNAが共存する条件下でのDNAマイクロアレイによる遺伝子発現解析(第2 章 2.2)を実施して、夾雑物としてのHeLa細胞総RNAの影響をも考慮した条件でプラットフォーム 間のデータ互換性について調査・検討した。
更に、遺伝子発現解析検査の臨床応用及び産業応用の促進に向けて、より高い視点で、核酸標 準物質の整備に係る7項目の課題及び具体的な方策について取りまとめた。
2.1 遺伝子RNAの合成
2.1.1 完全長mRNAの直接合成
poly (A) + tail 等の3’及び5’末端近傍領域を含む全ての配列情報が既知で、かつ検索に適し たヒト遺伝子に係る公開cDNAライブラリーが整備されていないため、下記2条件に準拠して17種類 のヒト遺伝子(表3-2-1)を選択して完全長mRNAの直接合成を試み、13種類の完全長mRNA
(表3-2-2、第2章 2.1.4)(備考参照)を得た。
1) 遺伝子は、ヒト組織(HeLa細胞)(注、ヒトのがん細胞から分離され、性質を維持しながら継代培 養されている組織。提供者の氏名を秘匿するためにHeLaと命名された。)で発現頻度が低く、
splice variantの存在が知られていないものとする。
2) 蛍光標識の方法が異なる複数のプラットフォームで検討することを考慮して、未標識の完全長セ ンスRNAとする。
備考 17種類中の4種類について配列の一部欠損が観測されたが、発現解析に利用可能な13 種類の完全長mRNAが得られた。尚、配列一部欠損の原因については、splicing の影響 等が想起されたが、詳細ついては不明。
尚、上記、完全長mRNAの直接合成は、徳島大学ゲノム機能研究センターにおいて実施した。
表3-2-1 cDNA調製に用いた primer (完全長mRNAの合成を試みた17種類)
試料 No.
遺伝子名1)
accession 鋳型2) オリゴ名 方向3) 塩基配列
GE1014 S agagccgcaggtcagtcgtg 1 L-FABP
NM_001443 肝臓
GE1015 AS aaaacaaagttcactttatt GE1016 S tgcagcttccttctcacctt 2 A-FABP
NM_001442 脂肪
GE1017 AS ctaaatctaaaaaaagttat GE1018 S tgggtcagtgtcacctccag 3 CKM
NM_001824 骨格筋
GE1019 AS aaggccaccaatgcttttat
GE1192 S caccagcaggtctacggcctccaaag 4 CKMT1B
NM_020990 脳
GE1073 AS tgcagcatagcaaggagtct GE1070 S ggctccggcttcaagatcaa 5 CKMT2
NM_001825 骨格筋
GE1161 AS gtaaagataggcaggatctacaatt GE1121 S cggggcgcggggcgctgcgg 6 SLC25 A10
NM_012140 肝臓
Ge1122 AS ggcagctcccggcatttattg GE1123 S gggcgctgaagtggagcagg 7 CYP 11A1
NM_000781 肝臓
GE1124 AS cgatggttcagctgtttattgtc GE1119 S gagttgccacagctcttctac 8 CYP 17A1
NM_000102 肝臓
GE1156 AS ctgtttatgcacatcactggc
GE1190 S cttcacctcactttaccttctcctccagc GE1191 AS tttaaagctgggaggttctgccaccaagc GE1154 S’ ggcattatctttggaggccg
9 PCK14)
NM_002591 肝臓
GE1126 AS’ ccatcttttctataaaacttcattttg GE1172 S cagctacagcacagatcagcaccatg 10 SAA2
NM_030754 脂肪
GE1173 AS ccacctcttaagcatttattagatgcc GE1174 S cattcccagcctcacatcactcacacc 11 CCL19
NM_006274 脂肪
GE1175 AS ttagttgtaaacaccaggcggctttattgg GE1178 S gacccctcacactcacctagccacc 12 CRYAB
NM_001885 脂肪
GE1179 AS gcttgataatttgggcctgcccttagc GE1180 S aggagcgtttttggagaaagctgcac 13 ITLN1
NM_017625 脂肪
GE1181 AS ctcttctgccattaacattctagctactgggtaag GE1178 S gcaggggagctccgagtgtccacag
14 ITLN2
脂肪
GE1184 S gaccttgagggagttaatgtgtaatattctagg 15 LGALS2
NM_06498 脂肪
GE1185 AS ctcggctggaagtcttttattcttttaacttg GE1186 S cagagtcactcctgccttcaccatgaag 16 SLPI
NM_003064 脂肪
GE1187 AS cattgatcaactggcacttcttgaaagcctgc GE1188 S agcattcctccaacgggcaggtctcag 17 HAI-2
AF213678 脂肪
GE1189 AS gcagaaggcagagaggaaggtttaatgagccc
1) 上段に遺伝子名(略称)を、下段にデータベースでの accession number を示す。
各遺伝子の正式名称は以下の通りである。
L-FABP: fatty acid binding protein 1, liver (FABP1) A-FABP: fatty acid binding protein 4, adipocyte (FABP4) CKM: creatine kinase, muscle
CKMT1B: creatine kinase, mitochondrial 1B
CKMT2: creatine kinase, mitochondrial 2 (sarcomeric)
SLC25A10: solute carrier family 25 (mitochondrial carrier; dicarboxylate transporter), member 10 CYP11A1: cytochrome P450, family 11, subfamily A, polypeptide 1
CYP17A1: cytochrome P450, family 17, subfamily A, polypeptide 1 PCK1: phosphoenolpyruvate carboxykinase 1 (soluble)
SAA2: serum amyloid A2
CCL19: chemokine (C-C motif) ligand 19 CRYAB: crystallin, alpha B
ITLN1: intelectin 1 (galactofuranose binding) ITLN2: intelectin 2
LGALS2: lectin, galactoside-binding, soluble, 2 (galectin 2) SLPI: secretory leukocyte peptidase inhibitor
HAI-2: HAI-2 related small protein
2) 試料No.1~9 の遺伝子については市販のRNAを逆転写したcDNAを用いた。また、どの組織 のRNAを用いたかも記載してある。試料No.10以降の遺伝子については、徳島大学病院等に おいて開腹手術をうけた患者さんからインフォームドコンセントのもとに摘出された脂肪組織から 調製したRNAを逆転写して得られたcDNAを用いた。
3) オリゴの方向をセンス(S)、アンチセンス(AS)で示した。
4) overlap extension PCRで調製したため2種の組み合わせのprimerを用いた。