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センタレスプローブ情報システムの開発に

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(1)

この事業は、競輪の補助金を受けて実施したものです。

URL : http://keirin.jp/

センタレスプローブ情報システムの開発に 関するフィージビリティスタディ

報 告 書

平成 1 9年 3 月

財団法人 機械システム振興協会 委託先 財団法人日本自動車研究所

システム開発

1 8- F -5

(2)

センタレスプローブ情報システムの開発に関するフィージビリティスタディ

目次

はじめに

1. スタディの目的 --- 1

2. スタディの実施体制 --- 2

3. スタディの内容 --- 7

第1章 センタレスプローブの活用--- 11

1.1 センタレスプローブの概要--- 11

1.2 センタレスプローブの開発課題--- 13

1.3 センタレスプローブの活用--- 17

第2章 センタレスプローブ処理アルゴリズムの開発--- 21

2.1 センタレスプローブ処理アルゴリズムの概要--- 21

2.2 渋滞情報生成アプリケーションの基本動作--- 23

2.3 渋滞情報生成アプリケーションの機能仕様--- 30

2.4 渋滞情報生成アプリケーションの処理ロジック--- 35

第3章 情報伝達アルゴリズムの開発--- 43

3.1 情報伝達アルゴリズムの概要--- 43

3.2 情報伝達アルゴリズムの要件--- 44

3.3 アプローチ--- 47

3.4 設計--- 49

第4章 シミュレーションによる評価--- 61

4.1 評価用シミュレーションプラットフォームの概要--- 61

4.2 評価用シミュレーションプラットフォームの機能仕様--- 64

4.3 クラスコンポーネントの設計と実装--- 66

4.4 評価用シミュレーションシナリオ--- 76

4.5 センタレスプローブ処理アルゴリズムの シミュレーションによる評価--- 81

4.6 情報伝達アルゴリズムのシミュレーションによる評価--- 95

第5章 車載機の開発--- 105

5.1 車載機の概要--- 105

5.2 車載機ソフトウェアの設計--- 107

5.3 車載機ソフトウェアの実装--- 111

5.4 車載機の評価試験--- 114

(3)

第6章 車載機によるフィールド実験評価--- 119

6.1 フィールド実験の概要--- 119

6.2 センタレスプローブ処理アルゴリズムの評価--- 135

6.3 情報伝達アルゴリズムの評価--- 138

6.4 その他の評価--- 146

6.5 まとめ--- 151

4. スタディの成果 --- 153

5. スタディの今後の課題及び展開 --- 159

[資料編]

参考資料-1 センタレスプローブ用語集--- A1 参考資料-2 評価用シミュレーションプラットフォーム

クラスAPIリファレンス--- A7 参考資料-3 渋滞情報生成アプリケーションログフォーマット--- A113 参考資料-4 通信シミュレーション、情報伝達アルゴリズム仕様--- A117 参考資料-5 シミュレーション結果解析スクリプトの仕様--- A133 参考資料-6 シミュレーション結果--- A139 参考資料-7 車載機設計書(機能設計、詳細設計)--- A145 参考資料-8 試験仕様書(単体試験、結合試験)--- A181 参考資料-9 ITS世界会議調査報告書--- A197

(4)

わが国経済の安定成長への推進にあた り、機械情報産業をめぐる経済的、社 会的諸条件は急速な変化を見せており、 社会生活における環境、都市、防災、

住宅、福祉、教育等、直面する問題の解 決を図るためには技術開発力の強化に 加えて、多様化、高度化する社会的ニー ズに適応する機械情報システムの研究 開発が必要であります。

このような社会情勢の変化に対応する ため、財団法人機械システム振興協会 では、日本自転車振興会から機械工業振 興資金の交付を受けて、システム技術 開発調査研究事業、システム開発事業、 新機械システム普及促進事業を実施し ております。

このうち、システム技術開発調査研究 事業及びシステム開発事業については 、 当協 会に総合システム調査開発 委員会 (委員長 :政 策研究院 リサーチフェロー 藤正 巖 氏) を設置し、同委員会の ご指導のもとに推進し てお ります。

本「センタレスプローブ情報システム の開発に関するフィージビリティスタ ディ」は、上記事業の一環として、当協 会が本スタディを財団法人日本自動車 研究所に委託し、実施した成果をまとめ たもので、関係諸分野の皆様方のお役 に立てれば幸いであります。

平 成19年3月

財団法人 機 械システム振興協会

(5)

は じ め に

ITS(Intelligent Transport Systems)はこれまで約10年間の個別システムの研究開発が中心であ ったファーストステージから、より目的志向で各種システムを融合したトータルな応用、普及を 考えていくセカンドステージに移行しつつある。その効果については、安全、環境、利便のそれ ぞれの分野でさらなる期待が持たれている。

このような中で、インターネットが与えてくれるオープンな情報通信基盤を使い、自動車が得 られる情報を多数の車から収集、統計処理して交通情報や道路環境情報、気象情報など有益な価 値ある情報として生成し、情報の共有、提供を目指す「プローブ情報システム」が注目され、国 内外で検討されてきた。これは車を「動くセンサー」と位置づけ、プローブ情報をネットワーク 社会の価値ある情報資源にしていこうというものである。

このプローブ情報システムについてはこれまで国内においても、プロトタイプの車載機による フィールド実証実験が実施され、渋滞検出アルゴリズムの有効性を検証するなどの開発が行われ てきている。これまで検討されてきたプローブ情報システムは、プローブカーから情報を収集さ せる情報センターを持ち、集約された情報を車に配信するというセンター型のプローブ情報シス テムであった。しかし、例えば道路上の安全に関する情報など特定の地域でのみ必要性があり,

かつ即時性が求められる情報については、ある事象の近辺で直接その情報が得られる何台かの車 がプローブカーとなり、信頼できる情報をアドホックなネットワークにより生成して、それを車 車間通信によってリレー式に情報を移動させることにより、必要とする別の場所にいる車に伝え ていく「センタレスプローブ情報システム」という概念がより有効ではないかという考え方が生 まれてきている。

本報告書はこの「センタレスプローブ情報システム」の考え方に注目し、財団法人機械システ ム振興協会の平成18年度委託事業として、情報収集、伝達アルゴリズムの開発、シミュレーシ ョンとフィールド実車実験によるシステムの実現性、有効性を検証するフィージビリティスタデ ィを行った結果を報告するものである。

本研究開発にあたっては、センタレスプローブ研究委員会(委員長 赤羽弘和 千葉工業大学 教授)を設置し、学識経験者、自動車メーカー、電気通信機器メーカー、関係事業者、シンクタ ンクなどの協力を得て検討を行った。この場を借りて、多数の関係者のご指導とご協力に心より 感謝申し上げる次第である。

平成19年3月

財団法人 日本自動車研究所

(6)

1.スタディの目的

(1) 背景、必要性

プローブ情報システムは、自動車の持つセンサ情報を、情報通信基盤を用いて収集し、

統計処理等を施すことによって交通情報、環境情報、気象情報等、有益な価値ある情報を 生成し、情報の共有、提供を行うシステムである。

これまで、自動車の持つセンサ情報をプローブデータとして情報センタに収集し、処理 を施すことによりプローブ情報を生成するシステムの研究開発を行い、社会実験により有 用性、技術的実現性を確認してきた。このようなシステムをセンタ型プローブ情報システ ム(以下、「センタ型プローブ」)と呼ぶ。

センタ型プローブの普及、拡大のための問題点として、①通信コストが高いこと、②情 報センタ負荷が大きいこと、③不感地帯(通信ができない領域)の存在、④業界間(ステーク ホルダ)の調整が複雑など、社会実験によりクローズアップしてきた。

(2) 目的

情報センタやインフラ設備を伴う情報通信基盤を用いることなく、車車間通信を利用し て車両間で情報を流通させ、車載機だけでプローブデータの収集、プローブ情報の生成、

提供を行うプローブ情報システムをセンタレス型プローブ情報システム(以下、「センタレ スプローブ」)と呼ぶ。

センタレスプローブは車車間通信を利用するため①通信コストの問題は発生しなく、② 情報センタを活用しないため情報センタ負荷の心配もなくなる。又、将来的にセンタ型プ ローブと連携を図り、センタレスプローブがエリア毎に稠密に収集した危険情報の提供な ど安全運転支援サービス拡充や、プローブデータの収集、プローブ情報の提供エリアの拡 大が可能となる。

本スタディでは、プローブ情報システムに求められる情報の流通を、車車間通信(無線方 式)で実現するためのコア技術である情報伝達アルゴリズムの開発を行い、生成したプロー ブ情報の正確性や、必要な車両にプローブ情報が的確に提供されるかなど、センタレスプ ローブの技術的実現性の評価を行い、センタレスプローブの実用化に資する。

(7)

2.スタディの実施体制

本スタディを進めるにあたり(財)機械システム振興協会内に「総合システム調査開 発委員会」を、(財)日本自動車研究所においては、委員会組織として「センタレスプ ローブ研究委員会」、作業班として「システム開発ワーキンググループ」を組織し、

学識経験者の指導の下、産学連携の研究開発を実施した。

センタレスプローブ研究委員会 (財)日本自動車研究所

システム開発 ワーキンググループ 再委託

・情報伝達アルゴリズムの開発 慶應義塾大学 SFC 研究所

・センタレスプローブ情報処理アルゴリズムの開発 (株)アイ・トランスポート・ラボ

・車載機プラットフォームの開発 アイシン精機(株)

NECソフト(株)

・車載機ソフトの開発

総合システム調査開発委員会 (財)機械システム振興協会

委託

(8)

総合システム調査開発委員会 委員名簿

(順不同・敬称略)

委員長 政策研究院 藤 正 巖 リサーチフェロー

委 員 埼玉大学 太 田 公 廣 地域共同研究センター

教授

委 員 独立行政法人産業技術総合研究所 金 丸 正 剛 エレクトロニクス研究部門

副研究部門長

委 員 独立行政法人産業技術総合研究所 志 村 洋 文 産学官連携部門

コーディネータ

委 員 東北大学 中 島 一 郎 未来科学技術共同研究センター

センター長

委 員 東京工業大学大学院 廣 田 薫 総合理工学研究科

教授

委 員 東京大学大学院 藤 岡 健 彦 工学系研究科

助教授

委 員 東京大学大学院 大 和 裕 幸 新領域創成科学研究科

教授

(9)

センタレスプローブ研究委員会 委員名簿

(敬称略)

委員長 赤羽 弘和 千葉工業大学 工学部建築都市環境学科 教授 副委員長 砂原 秀樹 奈良先端科学技術大学院大学 情報科学研究科 教授

委員 堀口 良太 株式会社アイ・トランスポート・ラボ 代表取締役

委員 小室 健一 アイシン精機株式会社

ITS技術部第1開発グループ グループマネージャ 委員 長谷川 光洋 アルパイン株式会社 新事業製品開発部

委員 時津 直樹 インターネットITS協議会 事務局長

委員 村上 陽志 NECソフト株式会社

第一官庁ソリューション事業部第二システム部 部長 委員 植原 啓介 慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科 助教授

委員 佐藤 雅明 慶應義塾大学大学院

政策・メディア研究科 特別研究助手

委員 石田 剛朗 慶應義塾大学

デジタルメディア・コンテンツ統合研究機構 助手

委員 田中 修一 株式会社ケンウッド

戦略技術開発センタ先行技術開発部 主幹

委員 吉川 憲昭 株式会社サイバー創研 取締役

委員 渡邉 恭人 千葉商科大学 政策情報学部 助教授

委員 塚本 晃 株式会社デンソー ITS開発部第2開発室 主幹 委員 秋山 由和 トヨタ自動車株式会社 IT・ITS企画部技術室 室長 委員 山村 秀弥 株式会社豊田自動織機 NE事業室技術第一部 課長

委員 伊藤 修朗 株式会社豊田中央研究所

車両・安全・ITSセンターITS第1研究室 室長

委員 佐藤 彰典 日本電気株式会社

ITS事業推進センター シニアマネージャー

委員 熊谷 正俊 株式会社日立製作所 日立研究所情報制御第二研究部

(10)

委員 野田 茂 富士通株式会社 次世代 IT・ITSプロジェクト室 担当部長 委員 今池 正好 株式会社FEACインターナショナル 代表取締役

委員 高橋 弘行 マツダ株式会社 技術研究所情報通信グループ

委員 柏原 正信 三菱電機株式会社

自動車機器開発センター開発企画部 専任

委員 内田 吉陽 ヤマハ発動機株式会社

MC事業本部技術統括部技術開発部 主事 オブザーバ 経済産業省

事務局 加瀬川 憲道 財団法人 日本自動車研究所 ITSセンター センター長 事務局 和田 光示 財団法人 日本自動車研究所

ITSセンター企画・研究グループ 主席研究員

(11)

システム開発ワーキンググループ メンバー名簿

(敬称略)

リーダ 植原 啓介 慶應義塾大学大学院

政策・メディア研究科 助教授

委員 佐藤 雅明 慶應義塾大学大学院

政策・メディア研究科 特別研究助手

委員 石田 剛朗 慶應義塾大学

デジタルメディア・コンテンツ統合研究機構 助手

委員 堀口 良太 株式会社アイ・トランスポート・ラボ 代表取締役

委員 小出 勝亮 株式会社アイ・トランスポート・ラボ

委員 小室 健一 アイシン精機株式会社

ITS技術部第1開発グループ グループマネージャ

委員 清水 克正 アイシン精機株式会社

ITS技術部企画開発グループ 主担当

委員 春田 仁 NECソフト株式会社

第一官庁ソリューション事業部第二システム部 主任

委員 党 聡維 NECソフト株式会社

第一官庁ソリューション事業部第二システム部

委員 今池 正好 株式会社FEACインターナショナル 代表取締役 慶應義塾大学 研究員

事務局 和田 光示 財団法人日本自動車研究所

ITSセンター企画・研究グループ 主席研究員

(12)

3.スタディの内容

センタレスプローブは、センタレスプローブ対応車載機同士が周辺の車両とネットワー クを形成し、車両間の自律的な連携によって情報を流通させ、プローブデータの収集、処 理を行い、質や精度が高いプローブ情報を生成、提供するシステムである。

本スタディでは、これらを実現するアルゴリズム、車載機の開発を行い、シミュレーシ ョン及び実証実験で評価し、センタレスプローブの有効性を確認する。

車載機に実装するシステムの概要を図 1に示す。このシステムは、車車間通信機能、車 車間通信を利用してプローブ情報を効果的に流通させるための情報流布機能、情報流布機 能によって交換されたプローブ情報に統計処理などを加え、より有用な情報に昇華させる ためのセンタレスプローブ処理機能から構成される。

センタレスプローブ処理アルゴリズム

参照 消費 供給

情報伝達アルゴリズム

車車間通信

情報流布機能 メッセージプール

メッセージ センタレスプローブ機能

図1 センタレスプローブのシステム概要

平成 18 年度は、情報流布機能とセンタレスプローブ処理機能を実現するアルゴリズム の開発と、その動作を確認するためシミュレーションによる評価を実施する。又、ここで 開発したアルゴリズムの一部を実装した車載機を開発し、小規模なフィールド実験を実施 する。以下に、スタディ内容を具体的に説明する。

(1) センタレスプローブの活用

プローブ情報システムの一形態であるセンタレスプローブの有用性、用途、及び今後の 活用について概括する。

(2) センタレスプローブ処理アルゴリズムの開発 車車間通信

(13)

センタレスプローブ処理機能は、情報流布機能によって交換された情報を車載機で処理 することによって、交通情報や環境情報、気象情報等に有益な価値ある情報を生成する機 能である。本開発では、受け取った(未完成の)プローブ情報を処理し、適切な車載機に引 き渡し処理を繰り返すことでプローブ情報として完成させるセンタレスプローブ処理アル ゴリズムを開発する。

生成するプローブ情報の種類によって、センタレスプローブ処理アルゴリズムは異なる。

平成18 年度の研究開発では、渋滞情報の生成、提供をテーマにアルゴリズムの開発を行う。

(3) 情報伝達アルゴリズムの開発

情報流布機能は、効率良く、速やかに適正な範囲に情報を伝達する機能である。このた め、どの情報をどのようなタイミングでどこに向けて送信するかコントロールすることが 鍵となる。本開発では、車車間通信による電波の輻輳を減らし、かつ的確な方向へ情報を 流通させるため、車両の移動(方向、速度など)や位置などで構成される時空間メタ情報を 活用した情報伝達アルゴリズムを開発する。

センタレスプローブでは、通信相手を明示的に指定してデータを送信する通常のインタ ーネット通信と異なり、明示的に相手を指定することなく求められる時間内に適切な範囲 に情報を伝達する必要がある。そこで、データや情報を含むメッセージに時空間メタ情報 を付加し、これによって優先付けを行いながら情報を流通させる必要がある。そのため、

メッセージ交換に必要な時空間メタ情報の検討、メッセージプールから次に送るべきメッ セージを選択するためのアルゴリズム、通信のコリジョンを削減するためのプロトコルな どの開発を行う。

(4) シミュレーションによる評価

上記(1)、(2)で開発したセンタレスプローブ処理アルゴリズムと情報伝達アルゴリズムが 実用に耐えるレベルであることをシミュレーションで確認する。

センタレスプローブ処理アルゴリズムの評価では、現実に起きている渋滞状況をどれく らい正確に表しているかという観点でアルゴリズムを評価する。具体的には、シミュレー ションで設定したパラメータ(擬似的に作り出した渋滞状況)と、センタレスプローブ処理 アルゴリズムで生成した情報の乖離率などを検証する。

情報伝達アルゴリズムの評価では、渋滞情報の提供要件(例えば半径 1km の範囲に、渋 滞を検出してから5分以内に配信など、プローブ情報が提供される範囲と配信に必要とす る時間)を満たすことを検証する。

(5) 車載機の開発

上記(1)、(2)で開発したアルゴリズムをフィールドで確認するため、一部機能を実装した 車載機の開発を行う。

(14)

(6) 車載機によるフィールド実験による評価

上記(5)で開発した車載機を使って、アルゴリズム検証のため限定的なフィールド実験を 実施する。実験では、開発したアルゴリズムの動作を確認するとともに、実験で得られた 結果をシミュレーションにより評価したアルゴリズムに反映する。

(15)

第 1 章 センタレスプローブの活用

プローブ情報システムは、自動車の持つセンサ情報を、情報通信基盤を用いて収集し、

統計処理等を施すことによって交通情報や環境情報、気象情報等、有益な価値ある情報を 生成し、情報の共有、提供を行うシステムである。現状のプローブ情報システムは、セン サ情報をプローブデータとして情報センタに集積し、加工、配信する。これに対して、情 報センタを利用しないで、車載機だけでプローブデータを収集し、プローブ情報に加工、

配信するプローブ情報システムを、(システムに情報センタが存在しないという意味で、) センタレスプローブ情報システムと命名した。以下、センタレスプローブ情報システムを センタレスプローブという。

本章では、センタレスプローブについての概要、開発課題、その活用について述べる。

1.1 センタレスプローブの概要

1.1.1 プローブ情報システムの課題

2003 年、名古屋市において、1,500 台のタクシーをプローブカーとして、データを収集、

渋滞情報、降雨情報などの提供を行うプローブ情報システムの大規模実験が行われた。図

1.1-1 に示すように、名古屋市の栄を中心に、東西10km(東は東名高速道路名古屋インター

チェンジ、西は清洲市)、南北 15km(南は熱田駅、北は小牧空港)を対象エリアとして、ほ ぼ半年間にわたりプローブデータの収集、プローブ情報の提供を行った。

図1.1-1 プローブ情報提供エリア

1,500 台のタクシーの走行によって得られた走行速度データに基づき、渋滞情報(渋滞の

場合は赤色で表示)を提供し、5分間隔で更新した(図1.1-2参照)。又、ワイパーの稼動状況

(16)

から生成した局地的な降雨情報を提供した。これらの情報は名古屋市民だけでなく、情報 提供を行う事業者にも好意的に迎えられた。

図1.1-2 プローブ情報(走行速度、及び渋滞情報)提供画面

本実験では、プローブカーからプローブデータを情報センタに上げるため、通信手段に 携帯電話サービスを使用した。又、1,500 台のプローブカーから、30秒に 1 回の頻度で上 がって来るプローブデータを集積、渋滞情報を生成し、5 分に 1 回ずつ渋滞情報などを更 新するために情報センタを設置した。プローブカーから送信されるデータ量は約20,000パ ケット/台・月で、送信に必要な通信コストとして数千円/台・月が発生した。又、情報セ ンタの運用コストは数百万円/月費やした。サービスエリアを東京 23 区内に換算すると、

情報センタの運用だけでも数千万円/月相当の費用が発生することになる。関係者の関心が 高いものの、事業としてこの費用に見合う付加価値を付ける必要性が判明した。

1.1.2 センタレスプローブとは

プローブ情報サービスの普及促進を図るため、本スタディではインフラ設備を伴う通信 基盤や情報センタを使わずに、(無線LANによる)車車間通信を使用し、車載機だけでプロ

(17)

ーブデータの収集、プローブ情報の生成、提供を行うことができるプローブ情報システム を検討した。情報センタにプローブデータを集積し、処理、配信するプローブ情報システ ムをセンタ型プローブ情報システムとすると、本スタディで検討するプローブ情報システ ムは、センタレス型プローブ情報システム、略してセンタレスプローブと呼ぶこととした。

センタレスプローブを実現するために、車載機として車車間通信機能の他に、プローブ データを処理しプローブ情報を生成する機能、プローブ情報を的確に流通させる機能を保 有する車載機が必要となる。

1.2 センタレスプローブの開発課題

1.2.1 センタレスプローブで要求される情報流通機能と情報処理機能

車両で発生したプローブデータを、すべて一つの情報センタに集めて処理する従来の方 法に対して、センタレスプローブではそれらを車載機で行わなければならない。そのため に、必要なプローブ情報は車載機間で的確に流通しなければならない。図 1.2-1 にセンタ 型プローブとセンタレスプローブの情報の流通を示している。センタ型プローブの場合、

広域の通信基盤を使用し、どのプローブカーでもアクセスポイントを経由して、いつでも 情報センタにプローブデータを送信することができる。一方、センタレスプローブの場合、

通信手段として無線 LAN を使用するので、その通信エリア(見通しがよく、マルチパスな どの電波障害が発生しない場合は 1km弱飛ぶことがあるかもしれないが、通常都市部では 100m 程度)内に、他の車両が存在するとき初めて通信が可能となる。しかも、センタ型の ように情報センタのノードが定まっていない。このような状況を考えると、センタレスプ ローブ実現のための第一の課題は、無線 LAN による車車間通信を用いて、的確に情報を 流通させることである。

図1.2-1 車車間通信を活用したプローブ情報の流通

センタレスプローブ センタ型プローブ

アクセスポイント

情報センタ Internet

×

狭域(約100m)

広域

車々間通信のエリア外へは 情報が流通できない

(18)

センタレスプローブに求められる情報流通制御は二つに大別できる。一つはプローブ情 報配信に係る情報流通制御であり、もう一つはプローブデータの収集に係る情報流通制御 である。プローブ情報を配信するとき、その配信先の車両が車車間通信のエリア内にいる 場合は問題がない。例えば、路面凍結などで、車両がスリップした情報を後続の車両に知 らせるケースで、車車間通信のエリア内に後続の車がいるときは、情報流通制御を必要と しない。しかしながら、渋滞に遭遇したとき、車車間通信の狭いエリア内を走行する後続 の車に、この先渋滞であることを伝えても余り意味がなく、渋滞を回避する選択肢を有す る車両に伝えることが肝要である。例えば、図 1.2-2 に示す交差点の手前にいる車両に渋 滞情報を提供して、初めてプローブ情報が有効に活用されたことになる。しかしながら、

車車間通信エリアはそれ程広くない。これを実現するためには車車間通信のエリアをまた いで、渋滞情報を配信しなければならない。これを実現するのが情報流通制御技術であり、

本スタディでは情報伝達アルゴリズムと呼んでいる。

図1.2-2 センタレスプローブで要求される情報流通の例(その1)

他方のプローブデータの収集に係る情報流通制御は、プローブ情報生成に係るものであ る。1 台のプローブカーが走行していて、ある道路リンクを走行する速度が極端に低下し た場合、渋滞に遭遇したと考えられる。一方で、コンビニに寄って、速度が低下したこと も考えられる。それ故、1台のプローブカーのデータだけで渋滞が発生したと判断すると、

誤ったプローブ情報を配信する可能性がある。センタ型プローブの場合は、複数の車両か ら送られてくるプローブデータから判断して、渋滞かどうか確認することができる。セン タレスプローブの場合、複数の車のデータに基づき判断するためには、1 台の車から渋滞 を示唆する情報が送信された場合、渋滞が発生したと思われる近傍に渋滞情報を留めおき、

ある時間内(例えば15分)に複数の車から同じ情報が重複して発信されたとき、渋滞情報と して配信する仕組みが必要となる(図1.2-3参照)。そのためには、一定の期間、渋滞情報を その近辺に留めおくような情報流通制御が必要となる。

渋滞だ!

渋滞だ!

ここで左折 ここで左折

交差点の手前にいる後方 車両に「渋滞情報」を提供

地域性の高い情報の流通

即時性が求められる情報の迅 速な共用

スリップ!

この先 危ない

スリップ!

この先 危ない

車々間通信のエリアをまたぐ プローブ情報の流通

車々間通信のエリア

エリアの情報流通

(19)

図1.2-3 センタレスプローブで要求される情報流通の例(その2)

二つ目の課題は、車載機だけでプローブデータからプローブ情報を生成することである。

今後出現する CPUを考えると、車載機の処理能力が不足するとは思えないが、過去の情報 を蓄積し、必要な情報を何時でも入手できる情報センタとは異なる処理が求められる。反 対に、センタ型プローブの場合は、複数のエリアの情報を処理しなければならないが、セ ンタレスの場合は、走行中の近傍エリアに限られ、又、周辺の車からリアルタイムに情報 を入手できるという特徴がある。そのため、渋滞であるらしいということが認識できたら、

周辺の画像を入手し、渋滞しているかどうか画像から確認することも可能になると思われ る。ここまでの処理に至らないとしても、センタレスプローブの特徴を生かしたプローブ 情報の処理方法の開発が求められる。本スタディはこれをセンタレスプローブ処理アルゴ リズムと呼ぶことにした。

三つ目の課題はセキュリティの確保である。現在、プローブ情報を生成するために集め るプローブデータは、嘘偽りのないプローブデータであることを、暗黙の前提としている。

しかしながら、プローブデータが社会的に活用されるようになると、それを悪用しようと する者が現れる。恣意的に悪用しなくても、システムの不具合などで、誤データを発信す る可能性もある。又、配信されたプローブ情報が歪められる可能性も考えられる。こうし たことを防ぐためには、センタレスプローブで扱う情報のセキュリティ確保が問題となる 。 以上、センタレスプローブ実用化の課題としては、以下のような整理ができる。

(1) 的確な情報流通技術の開発

(2) 車載機でプローブデータを集め、プローブ情報を生成する技術の開発 (3) 車車間通信に伴うセキュリティ技術の開発

1.2.2 センタレスプローブ活用に向けた環境の変化

センタレスプローブ実用化の更なる課題は、センタレス機能を保有する車車間通信車載 情報を渋滞が発生した近辺に

停滞させる

車載機は自車のプローブデータ(センサーデータ)を収集、渋滞情報に処理(加工)し、次の 車両に送る。n台の車載機で処理することにより、渋滞情報を生成する。

渋滞情報の生 時間

位置

(20)

機の普及である。現在、IT新改革戦略を推進するための政策の一つとして、「世界一安全 な道路交通社会」が掲げられ、安全運転支援システムの実用化が進められている。その中 で、車車間、路車間システムの活用が取り上げられている。又、米国における VII(Vehicle

Infrastructure Integration)や、EUのeSAFETYなど多くのプロジェクトが、車車間、路車間

通信システムの活用を検討している。センタレスプローブに必要な通信機能が、すべての 車両に装備されるのは、そんなに夢物語とは思えない。ハードとしての通信機能が装備さ れれば、センタレスプローブの効果次第で、アルゴリズムの実装は難しいとは思えない。

1.2.3 プローブ情報システムの開発課題(自動車ITS分野の技術戦略マップ上の位置付け)

2006 年3月に日本自動車研究所は、自動車 ITS技術戦略マップ検討委員会を組織し、今 後15 年を見据え、ITS分野の技術戦略マップを策定した。国又は民間において、今後取り 組まれるべき重要性が高いと思われる重要技術の絞り込みを行い、関係者がITSに係わる 技術開発を推進するための基礎資料となることを目的として、技術戦略マップは策定され た。センタレスプローブの開発課題は、報告書の「自動車ITS分野のロードマップ」にも 含まれている。関連部分を抜き出したロードマップを表 1.2-1 に示す。この中で、本年度 取り組んだテーマは、情報伝達アルゴリズムと、車両でのプローブデータ処理の高度化が 該当する。

表1.2-1 自動車ITS分野の技術戦略マップ上の位置付け

註:自動車ITS 分野の技術戦略マップ報告書(平成 18年3月、財団法人 日本自動車研究

所)の図5.2-1「自動車ITS分野のロードマップ」より抜粋

人車間・・

車々間通信 技術

②シームレス・・

走行・・

プローブ データ処理

ドライバ・・

②次世代データ蓄 積・検索技術

6.その他

路車間・・

①Car2X技術 5.情報流通

4.HMI 3.判断・操

①デジタル・・

2.蓄積 1.検知

2015-2020 2010-2015

2005-2010 -2005

小分類 中分類

大分類

人車間・・

車々間通信 技術

②シームレス・・

走行・・

プローブ データ処理

ドライバ・・

②次世代データ蓄 積・検索技術

6.その他

路車間・・

①Car2X技術 5.情報流通

4.HMI 3.判断・操

①デジタル・・

2.蓄積 1.検知

2015-2020 2010-2015

2005-2010 -2005

小分類 中分類

大分類

車両でのプローブデー タ処理の高度化

情報伝達 アルゴリズム

セキュリティ アルゴリズム

マルチホップ adhoc ルーティング シングルホップ

高速モバイル 無線ad hoc

輻輳対策 通信相手を 瞬時に特定 センター処理 車両への蓄積 車両蓄積情報の

高速検索

実空間モデリング

プローブ交通情報 予測技術

(21)

1.3 センタレスプローブの活用

1.3.1 センタレスプローブの有用性

プローブ情報システムの形態として、情報センタにすべてのプローブデータを集め、処 理して配信するセンタ型プローブと、本研究開発テーマであるセンタレスプローブがある。

しかしながら、将来的にすべてのプローブ情報システムが、センタレスプローブに置き換 わるわけではない。そこで、センタ型プローブとの対照し、我々が考えるセンタレスプロ ーブの有用性を整理する。

センタ型プローブには二つの形態がある。路車間通信を活用するものと、広域の移動体 通信サービスを活用するものである。路車間通信を活用する代表的なシステムとして VICS がある。又、広域の移動体通信サービスを活用するものとしては、2003年に名古屋で行わ れたプローブの実験システムや、H カーメーカが提供しているインターナビ・プレミアム クラブが挙げられる。

サービスエリアの広さ、情報配信の確実性、即時性、取り扱う情報量、収集と配信に発 生する費用の項目毎に、プローブ情報システムを比較する。路車間通信によるセンタ型プ ローブ(以下、路車間センタ型プローブという)は、サービスエリアは最も狭く、電波方式 で数十メートル、光方式だとデータの収受の範囲は更に狭くなる。しかしながら、サービ スエリア内の車両とは確実に交信できること、即ちその領域にいる車両から確実に情報が 収集でき、的確な情報提供が行えるというメリットがある。そのため、幹線道路に設置し て走行時間情報の収集や、前方に発生した危険な状況を告知するのに、路車間センタ型プ ローブが活用されている。しかしながら、車両と通信を行うために路側機の設置が必要な こと、一つの路側機のサービスエリアが狭いため、面的にカバーしようとすると路側機の 設置数が増え、費用がかかる。

これに対して携帯電話サービスなど、移動体通信サービスによるセンタ型プローブ(以下、

移動体通信センタ型プローブという)は、サービスエリアに関する制約は殆どない。車両が どこにいても情報が収集できるし、情報配信が可能であり、同時配信や、ドライバのリク エストにより多様なサービスの提供ができる。一方で、特定のエリアにいる車両に対する プッシュ型の情報配信は不向きである。又、通信の都度コストが発生する。移動体通信セ ンタ型プローブは、単純に走行時間を収集して渋滞情報を提供するサービスではなく、付 加価値を付けたサービス、例えば、リアルタイムの混雑状況を加味した最適経路案内とか、

ドライバの要望に応えるコンセルジュサービスなどのサービス提供に活用されている。

無線 LAN 方式を想定しているセンタレスプローブの場合、電波の交信範囲は高々数百 メートルであり、その範囲内に交信できる車両がいないと機能しない。一方で、交信でき る車両が周辺に存在する場合は、情報センタを経由することなく直接情報を交換すること ができるので、即時性に優れている。通信のコストが発生しないので、機会を捉え可能な 限りの情報交換が可能である。そのため、ローカルなエリアに存在する情報を相互に交換 するサービスに適している。代表的なものが、道路の凍結でスリップなどが生じたとき、

その情報を周辺の車両に配信するというサービスである。本スタディでは、突発的な渋滞

(22)

発生を周辺の車両に知らせることも可能と考える。又、周辺の車が協調して、渋滞や危険 な状況の発生を多面的に検出、確認することで、プローブ情報の精度、信頼度を高めるこ とができる。こうしたプローブ情報をセンタレスプローブのシステムだけで活用するので はなく、センタ型プローブに提供することが考えられる。又、プローブ情報の生成、配信 以外に、ローカルの「口コミ」情報を流通させて、ドライバの要求に応えることも考えら れる。更に、道路交通情報インフラが整備されていない地域においては、渋滞情報収集、

提供の手段となる。地震などに罹災し、整備されているはずの都市部の道路交通情報イン フラが破壊、損傷された場合、その代替手段としての活用も考えられる。プローブ情報シ ステムの特徴を比較、整理したものを表 1.3-1に示す。

表 1.3-1 センタ型プローブ情報システムとの比較

1.3.2 センタレスプローブの用途

道路ネットワークのタイプ別に、本スタディが考えるセンタレスプローブの用途を整理 する。道路ネットワークとしては、都市部の道路網、郊外の道路網、都市間高速道路網、

地方部の路線状幹線道路を取り上げる。都市部の道路網の特徴は、コンフィギュレーショ ンが縦横無尽であり、どの道路をとっても交通量が多いことである。更に、交通量を計測 するセンサや、情報提供手段が豊富である。一方、いくら都市部の道路といっても、すべ ての道路に交通量を計測するセンサが設置されているわけではない。センサを設置してあ る幹線道路は渋滞しており、幹線道路を避けて走行する車両が多い。センタレスプローブ は、非幹線道路の渋滞状況を把握し、センタ型プローブに提供することができる。

郊外の道路網は、一部の幹線道路を除き、交通量は減少する。交通量を計測するセンサ や、情報提供手段は都市部の道路網と比べると限定される。交通情報インフラが整備され ていない郊外の道路網では、渋滞の発生などを知らせる手段として、センタレスプローブ

移動体 通信 サービス

活用 路車間

通信 活用

車載機搭載車 両数に依存 狭域の情報収集、

提供は即時性、

情報量が豊富 路側機の設

置、通信費 用は発生し ない 多様なサー ビス、情報 量が豊富な サービスが 可能 センタ経由 でなく車両 間で情報を 交換するた め即時性に 優れるが、

周辺の車両 次第 情報の提供 はpush型で あるが、確 実性は周囲 の車両次第 で変わる 車載機搭載

車両が近辺 にいないと 機能しなく、

収集、提供 できるエリ アに制限が ある センタレス

プローブ

広域をカバーし た情報の収集、

提供、特に遠隔 の情報収集、同 時配信に優れる 情報の収

集、提供 毎に通信 費用が発 多様な

サービス 提供が可 広域に同 時情報提 供が可能 情報の提

供はpull 型であり、

要求しな いと情報 が提供さ れない サービス

の提供を 受けるエ リアは広 く、場所 に制限は ない

幹線道路など交 通量が多い場所 で、確実な情報 収集、提供 路側機の

設置費用 が発生 提供され

るサービ スは限定 情報提供

の即時性 が高い 情報の提

供はpush 型であり 確実性が 高い 路側機の

近辺でし か収集、

提供でき ない センタ

プロー

サービスの特徴 費用

情報量 即時性

確実性 エリア

移動体 通信 サービス

活用 路車間

通信 活用

車載機搭載車 両数に依存 狭域の情報収集、

提供は即時性、

情報量が豊富 路側機の設

置、通信費 用は発生し ない 多様なサー ビス、情報 量が豊富な サービスが 可能 センタ経由 でなく車両 間で情報を 交換するた め即時性に 優れるが、

周辺の車両 次第 情報の提供 はpush型で あるが、確 実性は周囲 の車両次第 で変わる 車載機搭載

車両が近辺 にいないと 機能しなく、

収集、提供 できるエリ アに制限が ある センタレス

プローブ

広域をカバーし た情報の収集、

提供、特に遠隔 の情報収集、同 時配信に優れる 情報の収

集、提供 毎に通信 費用が発 多様な

サービス 提供が可 広域に同 時情報提 供が可能 情報の提

供はpull 型であり、

要求しな いと情報 が提供さ れない サービス

の提供を 受けるエ リアは広 く、場所 に制限は ない

幹線道路など交 通量が多い場所 で、確実な情報 収集、提供 路側機の

設置費用 が発生 提供され

るサービ スは限定 情報提供

の即時性 が高い 情報の提

供はpush 型であり 確実性が 高い 路側機の

近辺でし か収集、

提供でき ない センタ

プロー

サービスの特徴 費用

情報量 即時性

確実性 エリア

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が機能すると考える。センタレスプローブを搭載する車両が少ないので、都市部と比べ情 報の遅延が大きくなるが、センタレスプローブで把握した情報を、センタ型プローブに提 供する活用方法も考えられる。

都市を結ぶ高速道路の交通量は多いが、往復方向の走行しかない。更に交通量を計測す るセンサや、情報提供態勢は整備されており、センタレスプローブの用途は少ない。しか しながら、どこが渋滞の先頭、末尾か知ることは難しいこと、又、提供される渋滞情報に 遅延があり、実際に走行した状況と異なることを経験することが多く、高速道路の渋滞状 況を(渋滞していない)対向車線のセンタレスプローブカーに伝達し、後方の車両へ速や かに配信するという活用方法が考えられる。

地方部の路線状幹線道路は、相対的に交通量は少ないが、朝夕の通勤ラッシュ時、特定 方向の交通量が増加する。例えば、朝と夕方では通勤ラッシュの方向は逆になる。地方部 では交通量を計測するセンサや、情報提供手段はほとんど存在しない。又、交通情報イン フラ整備の優先度が低い観光地でも、季節、曜日によるピーク時は激しい渋滞が発生し、

交通情報提供へのニーズが高い。センタレスプローブは、地方部にあって、インフラへの 依存度が低い交通情報システムとして期待できる。又、都市部であっても、災害時のロバ ストな情報通信システムとしての位置づけも考えられる。センタレスプローブの用途につ

いて表1.3-2 にまとめる。

表 1.3-2 センタレスプローブの用途

他プローブとの通信機会が少ないので、自 車情報を交通情報インフラの位置まで届け る役割が相対的に大きくなる。多少の時間 遅れは許容されるべき。

→工事・事故などによる突発的な渋滞の 検出

一部の幹線道路に 配備されている 少ない

郊外部道路網 全方向

インフラ整備の優先度が低い地域でも、観 光地など、季節・曜日によるピーク変動が 大きいところでは、交通情報へのニーズが 高い。インフラへの依存度が小さい交通情 報システムとして、期待される。

災害時のロバストな情報システムとしての 位置づけも考えられる。

→突発渋滞・通行障害検出アプリ、etc。

感知器が密に配備されていない大都市近郊 以外の路線では、IC間での渋滞状況を(渋 滞していない)対向車線のプローブに伝達 し、速やかに渋滞情報をビーコンに届ける。

→渋滞区間(先頭、末尾)検出アプリ 他プローブとの通信機会が多ければ、イン フラがカバーしていない非幹線道路も含め た交通情報を収集・統合し、地区内の車両 間で共有できる。

→地区レベルの交通情報アプリ 期待されるセンタレスプローブの

位置づけと情報アプリ

ほとんどない

(道の駅など)

少ない

往復方向(時間 ピークは違う)

地方部の路線状 幹線道路

間隔が長い

(IC間に1つの ビーコン)

多い

往復方向(時間 ピークは違う)

都市間高速道路

比較的密に配備

(幹線道路中心)

多い 都市部道路網 全方向

交通情報インフラ 交通量

道路ネットワーク

他プローブとの通信機会が少ないので、自 車情報を交通情報インフラの位置まで届け る役割が相対的に大きくなる。多少の時間 遅れは許容されるべき。

→工事・事故などによる突発的な渋滞の 検出

一部の幹線道路に 配備されている 少ない

郊外部道路網 全方向

インフラ整備の優先度が低い地域でも、観 光地など、季節・曜日によるピーク変動が 大きいところでは、交通情報へのニーズが 高い。インフラへの依存度が小さい交通情 報システムとして、期待される。

災害時のロバストな情報システムとしての 位置づけも考えられる。

→突発渋滞・通行障害検出アプリ、etc。

感知器が密に配備されていない大都市近郊 以外の路線では、IC間での渋滞状況を(渋 滞していない)対向車線のプローブに伝達 し、速やかに渋滞情報をビーコンに届ける。

→渋滞区間(先頭、末尾)検出アプリ 他プローブとの通信機会が多ければ、イン フラがカバーしていない非幹線道路も含め た交通情報を収集・統合し、地区内の車両 間で共有できる。

→地区レベルの交通情報アプリ 期待されるセンタレスプローブの

位置づけと情報アプリ

ほとんどない

(道の駅など)

少ない

往復方向(時間 ピークは違う)

地方部の路線状 幹線道路

間隔が長い

(IC間に1つの ビーコン)

多い

往復方向(時間 ピークは違う)

都市間高速道路

比較的密に配備

(幹線道路中心)

多い 都市部道路網 全方向

交通情報インフラ 交通量

道路ネットワーク

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以上をまとめると、センタレスプローブの用途において、以下の特徴があると考える。

(1) 地域性の高い情報の流通に適している。

車車間通信によるローカルなネットワークは、それが形成される地理的な位置と密接な 係りを持ち、周囲の交通情報やイベント情報等の伝達に適する。

(2) 即時性が求められる情報の迅速な共有に適している。

センタ型プローブに比べて通信、情報処理のオーバーヘッドが発生しないため、即時性 の求められる危険情報、渋滞情報等の共有に適する。

(3) 周辺車両情報による自車情報の補完・高度化に適している。

周辺車両情報を共有、活用することにより、自車が持つセンサ情報の精度向上や補完に よる高度化が可能で、センタ型プローブが収集する情報の精度向上等を容易に達成する手 法として適する。

しかしながら、プローブ情報システムの形態として、センタレスプローブだけとは決し て考えていない。むしろ、センタレスプローブはセンタ型プローブでは補うことができな かったエリアの情報提供や、ローカルなコンテンツをカバーする手段として、有効に活用 できると考える。よって、真にセンタレスプローブが活用されるためには、センタ型プロ ーブとの連携、役割分担が必要となっていくものと考える。連携のイメージを記したもの

を図1.3-1 に示す。

図1.3-1 センタレスプローブとセンタ型の連携

限定された地域 で利用される地 図や渋滞情報

中継基地局か ら情報センタ

へ送信

鍵となる技術

•車々間通信とIPv6の融合

•安全な情報交換の為のセキュ リティ・認証

地域性の高い 詳細情報の流通

即時性が求められる 情報のpush型提供 周辺車両情報をまと

めて処理し、送信

センタ型車 載機から情 報センタへ

送信 情報センタ

限定された地域 で利用される地 図や渋滞情報

中継基地局か ら情報センタ

へ送信

鍵となる技術

•車々間通信とIPv6の融合

•安全な情報交換の為のセキュ リティ・認証

地域性の高い 詳細情報の流通

即時性が求められる 情報のpush型提供 周辺車両情報をまと

めて処理し、送信

センタ型車 載機から情 報センタへ

送信 情報センタ

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第2章 センタレスプローブ処理アルゴリズムの開発

本章では、車載機上で稼働し、プローブデータからプローブ情報を生成する「センタレ スプローブ情報処理アルゴリズム」について述べ、そのアプリケーションとして、本年度 の開発テーマとした「渋滞情報生成アプリケーション」の機能仕様、及び処理ロジックを 解説する。

2.1. センタレスプローブ処理アルゴリズムの概要

2.1.1 センタレスプローブ処理アルゴリズムの位置づけ

「センタレスプローブ処理アルゴリズム」とは、図 2.1-1のセンタレスプローブ情報(車 載)システムにおいて、特定の目的を持つ「センタレスプローブ情報アプリケーション」

として実装されるものの総称である。

センタレスプローブ情報システム

プローブ情報 アプリ#1

情報伝達管理モジュール

(情報伝達アルゴリズム)

プローブ情報 アプリ# n

通信 モジュール

車載器OS 車載器HW

車両情報 モジュール

GPS 各種センサ プローブ情報

アプリ#1

情報伝達管理モジュール

(情報伝達アルゴリズム)

プローブ情報 アプリ# n

通信 モジュール

車載器OS 車載器HW

車両情報 モジュール

GPS 各種センサ

センタレスプローブ処理アルゴリズムを実装したアプリ群

図 2.1-1 センタレスプローブ情報システムにおけるセンタレスプローブ処理の位置づけ

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センタレスプローブ情報アプリケーションには、様々な目的・種類のものが考えられる。

従って、1 台のセンタレスプローブ情報(車載)システムには、センタレスプローブ処理 アルゴリズムを実装した複数のアプリケーションが同時に稼働する形態となる。

2.1.2 センタレスプローブ処理アルゴリズムの一般機能

一般に、センタレスプローブ処理アルゴリズムは、以下の機能を有する。

① 自車の走行状態をモニタし、他車に伝達すべき情報を生成する。

② メッセージプールに格納されているセンタレスプローブ情報のうち、そのアプリ ケーション自身に関連する情報のみを選択的に取得する。

③ 自車情報、及び他車情報を統合し、より品質の高い情報として再構成する。

④ 自車情報、及び統合処理した情報をメッセージプールに格納する。

これらの機能は、図 2.1-2の「センタレスプローブ処理モジュール」に実装される。

車車間通信 センサ

メッセージプール

情報伝達 車両情報収集

プローブ情報

センサ情報(GPS緯度・経度,方向,速度)

プローブ情報アプリケーション

完成プローブ情報

(供給)

収集プローブ情報

(参照)

センタレスプローブ処理

近隣センタレスプ ローブカー 近隣センタレスプ

ローブカー プローブ情報送信

センタレスプローブ処理 アルゴリズムを実装

情報伝達アルゴリズムを実装 生成過程プローブ情報

(参照/供給)

・情報伝達空間パターン

・到達位置 を満たす車両

生成過程プローブ情報(完成度100%未満)

完成プローブ情報(完成度100%)

プローブ情報受信

生成過程プローブ情報 完成プローブ情報

センタレスプローブカー

情報伝達管理

車載機

情報滞留・配信判定

近隣センタレスプ ローブカー 近隣センタレスプ

ローブカー

図 2.1-2 センタレスプローブ情報処理システムのモジュール構成

本年度は、後述のシミュレーション実験、及び実証実験で動作を検証する対象として、

以下に述べる「渋滞情報生成アプリケーション」を開発した。

近 隣センタレス プローブカー

近 隣センタレス プローブカー

(27)

2.2. 渋滞情報生成アプリケーションの基本動作

本年度は、以下の特徴を持つ渋滞情報生成アプリケーションを検討の対象とする。

● 地図データに依存しない渋滞情報の空間コーディング

 センタレスプローブの車載システムは、統一の仕様に限定されるものではな く、多様な仕様の機器で構成されると想定している。

 このため、車両間で交通情報を共有する場合、その空間基礎情報(空間エン コーディング)として、唯一のデジタル道路地図データを用いることができ ないため、車載機の搭載地図有無や、地図のバージョンに依存しない空間エ ンコーディング規則を定める必要がある。

● 自車両で生成した渋滞情報と、他車両から受け取った渋滞情報を統合し、より「信 頼性」の高い渋滞情報に加工し、拡散モードで配信する。

 1台の車両で渋滞情報が生成されても、例えばその車両が特殊な動き方をした ためにできた可能性も否定できず、そのまま広く流布するには信頼性の面で 問題が残る。

 このため、一定数以上の車両で生成された渋滞情報が集まるまでは、品質が 低いものとして、後述する情報伝達アルゴリズムの「収束モード」で、でき るだけ渋滞箇所に近いエリアに限定して流布させる(図 2.2-1参照)。

 一定時間内に、一定数以上の車両で生成された、即ち品質の高い渋滞情報が 生成されれば、「拡散モード」で、情報を広く配信する(図 2.2-2参照)。拡散 モードでの配信先は、渋滞情報の位置、向きに応じて、方向と範囲を決める。

渋滞区間

信頼性が高くなる までは,この周辺 で収束させる.

図 2.2-1 品質が低い渋滞情報は収束モードで伝達する

(28)

信頼性が高くなっ た情報は,上流方 向へ拡散させる.

図 2.2-2 品質が高い渋滞情報は拡散モードで伝達する

2.2.1 地図データに依存しない渋滞情報の空間コーディング

センタレスプローブ情報システムでは、複数の多様な車両によって、分散的にデータ処 理される。即ち、標準の処理装置(車載機)によって、統一的なデータ処理をするような 形態ではなく、様々な仕様の車載機がデータ処理に関わることになる。このため、渋滞情 報のような空間情報のコーディング手法として、共通の地図データに基づくリンク番号を 利用することは現実的な想定ではない。

ここでは、多様な車載機間で空間情報を共有するためのコーディング手法として、「セル マッピング1」手法を採用する。これは、図 2.2-3のように、空間を数十m程度のサイズの セルに分割して、ある場所での情報をセルに割り付けるものである。

セルは、国土基盤情報である 2 次メッシュを元にして、それをn×nに分割し、2 次メ ッシュコードの末尾に XYそれぞれの軸方向でのオフセット位置を付け加えるなどして、

図 2.2-4のようにグローバルユニークな番号が与えられている(空間コーディング)。なお、

渋滞は単なる地点情報ではなく、方向を伴っているので、渋滞情報のコーディングでは、

セル番号の更に末尾に渋滞方向を 8 方位で示した情報(図 2.2-5参照)を追加して、ある 場所での進行方向別の渋滞を表現する。

1特願2006-352170

(29)

10 ~ 30m 程度のセル

道路

情報が生成 されるセル

図 2.2-3 渋滞情報を生成する範囲(セル)

2次メッシュをn×nの セルに分割し,メッシュ コードに行・列の番号を 付加する.

i

j

Mesh#533945

Cell#533945003002

分割数 セルサイズ n=50 約200m n=80 約 125m n=100 約100m n=200 約 50m

グローバルユニークな番号

図 2.2-4 セルのグローバルユニークなコーディング

図 1.2-3  センタレスプローブで要求される情報流通の例 (その 2)    二つ目の課題は、車載機だけでプローブデータからプローブ情報を生成することである。 今後出現する CPU を考えると、車載機の処理能力が不足するとは思えないが、過去の情報 を蓄積し、必要な情報を何時でも入手できる情報センタとは異なる処理が求められる。反 対に、センタ型プローブの場合は、複数のエリアの情報を処理しなければならないが、セ ンタレスの場合は、走行中の近傍エリアに限られ、又、周辺の車からリアルタイムに情報 を入手できると
表   2.3-1   渋滞情報アプリケーションの動作設定パラメータ一覧 パラメータ名 単位  意味  1  TTInfoApp.scanInterval  秒  交通渋 滞情報 の統 合処 理を実 施す る間隔 ( 秒 ) 。交通渋滞情報の生成処理は、これに 関係な く、ア プリ ケー ション の最 小スキ ャン時間 (1 秒 ) ごとに実施される。 2  TTInfoApp.cellResolution  セルの解像度(2 次メッシュの n 等分、  n は最大で 1000 まで)。 3  TTInfo
表   2.3-2   パラメータの推奨設定値 パラメータ名 単位  推奨値  1  TTInfoApp.scanInterval  秒  1  2  TTInfoApp.cellResolution  都心部 100  郊外部  33  3  TTInfoApp.headingResolution  8  4  TTInfoApp.thresholdSpeed  km/hr  都心部 10  郊外部 20  5  TTInfoApp.thresholdDistance  m  50  6  TTInfoA
表 3.2-1   情報伝達パターンの適用例  リアルタイム・詳細交通情報  予防安全 サービス  渋滞情報  車 線 別 渋 滞情報  事 故/工 事情報  旅 行 時 間情報  路 面 危 険情報  道 路 危 険箇所情報  気象情報  プ ロ ー ブ 情報例  渋 滞 ○ ○km  右 折 車 線混雑  工事中  X か ら Yまで○分  ABS 動作  急 ハ ン ドル 急 ブ レ ーキ フ ォ グ ランプ点灯  情 報 伝 達 空 間 パ タ ーン  一般道:A 幹線道:B 高速道:C  A  一
+7

参照

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