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食品関連未利用資源の素材化に関する調査研究

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Academic year: 2021

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食品関連未利用資源の素材化に関する調査研究

脱臭スカム(サラダ油製造副産物)の有効利用の検討

*1 *1 *1

古田正範 樋口智子 廣藤祐史

Investigation Research on Materializing of Food Related Unused Resources

Study on Effective Use of Deodorization SUKAMU(a Cooking Oil Manufacture By-product) Masanori Furuta, Tomoko Higuchi, Yushi Hirofuji

脱臭スカム中のトコフェロール(TOC)及びステロール(ST)の分析及び分離回収を目的に,HPLCによる分析及 びけん化と溶剤を用いた分別結晶による回収を試みた。その結果,大豆スカムには総量で,TOCが12.4%,STが35.8

%,菜種スカムにはTOCが12.5%,STが31.9%含まれると推察できた。けん化と溶剤法を用いた分別結晶法の適用によ りTOCとSTの割合(HPLC分析でピーク総面積値にしめるTOCとSTピーク面積値の割合)が,最初27%の大豆スカムか ら60%前後,TOCとSTの割合が最初29%の菜種スカムから70%前後の割合の結晶が得られた。しかし本方法のみでは分 別に限界があると考えられた。

1 はじめに

昨年に引き続き 「食用植物油(サラダ油)製造の , 際,生じる精製残渣(スカム)の有効利用」について 検討した。スカムは食用油(大豆油,菜種油)の製造 過程で排出され,現在は飼料として再利用されている がその量は限られ,その他の有効利用が検討されてい る。スカム中には遊離脂肪酸,ステロール,トコフェ ロール,炭化水素,グリセイリド他が含まれている

1)

が,これら有用成分の分離回収,製品への再添加によ る付加価値の向上,あるいはスカム中への機能性成分 流出の低減化による製品の機能性向上が課題となって いる。そこで今年度は抗酸化作用を有するトコフェロ ール,高コレステロール血漿の予防作用を有する植物 性ステロールの両物質のスカムからの分離回収につい て分別結晶法 の適用を試みた。

2)

2 研究,実験方法

2-1 スカム中のTOC,STのHPLCによる分析

, ( )

大豆スカム 菜種スカム中のトコフェロール TOC 及びステロール(ST)についてHPLCによる同時分析を 試みた。スカムを精秤しヘキサンに溶解して大豆スカ ム7mg/ml,菜種スカム7.7mg/ml溶液を調製,0.45μフ ィルターでろ過しHPLCで分析した。トコフェロール標 準液はCALBIOCHEM社製のα-TOC,β-TOC,γ-TOC,

*1 生物食品研究所

δ-TOCを精秤しヘキサンに溶解して各5mg/ml溶液を調 製した。ステロール標準液は和光純薬社製のブラシカ ST,スチグマST,カンペST,β−シトSTを精秤しヘキ サンに溶解して各4〜6mg/ml溶液を調製した。HPLCの 条件は下記のとおり。

カラム:YMC Jsphere ODS-M80 250mm 溶出液:メタノール/水(100/2)

流量:0.8ml/min カラム槽温度:37℃

検出器:UV210nm,0.64AUFS 注入量:10μL

2-2 スカムからのTOC,STの抽出

大豆及び菜種脱臭スカムをけん化後,不けん化物を 結晶分別することによりトコフェロール(TOC)及び ステロール(ST)の抽出を試みた。抽出のフローを図- 1に示す。脱臭スカム各々10g,1mol水酸化カリウム20 mlを蓋付きサンプル瓶にとり撹拌し室温(約15℃)に 一晩放置してけん化を試みた。反応後,ヘキサンと水 10mlを加え撹拌し,500rpm,5分間遠心分離し上層を 別のサンプル瓶に移し,水10mlで洗浄後,上層を別の サンプル瓶に移し,0℃で結晶を析出させ,再溶解,

結晶析出の操作を4回繰り返した。分別結晶の各段階

での析出量を測り,析出物約5mgを精秤し1mlのヘキサ

ンを加え溶解し0.45μフィルターでろ過しHPLCで分析

した。TOCとSTの各ピーク面積値の小計が全ピーク面

(2)

積値にしめる割合を求め析出物中の相対的割合の変化 を検討した。

図-1 スカムのけん化,結晶分別の試験フロー

3 結果と考察

3-1 スカム中のTOC,STの分析結果

トコフェロール(TOC)及びステロール(ST)の標準品 のHPLCの分析チャートを図-2に,溶出時間を表-1 に示す。γ−TOCとβ−TOCが,またスチグマSTとカン ペ STの 溶出 時 間が 近く ピー ク が重 なり 分 離しな か っ た。スカムのHPLC分析結果,表-2に示すようTOC及びS Tの含有量は大豆スカムにはTOCが12.4%,STが35.8%,

菜種スカムにはTOCが12.5%,STが31.9%含まれると推 定した。なお,スカムの分析チャートから溶出時間10 分前後にピークが見られ脂肪酸類の標準液を分析した 結果,リノレン酸(C18:3)は7.0分,リノール酸(C1 8:2)は7.8分,オレイン酸(C18:1)は8.1分,パルミ チン酸(C16:0)とステアリン酸(C18:0)は14.9分前 後にピークが検出されることが分かった。但しエステ ル化等修飾処理をしていないため高感度なシャープな ピークとしては検出されなかった。

スカム10g、1N水酸化カリウム

20ml

撹拌後、一夜放置

ヘキサン

10ml、水 10ml

添加、撹拌後、

遠心分離(1000rpm、5分)

0℃放置(2h)

析出部(P1) ろ液部

15℃再溶解後 0℃放置(約 3h)

析出部(P2)

析出部(P5)

−30℃放置(約

3h)

ろ液部(最終)

上層 下層

10ml

で洗浄、

上層をとる

15℃再溶解後 0℃放置(約 3h)

析出部(P3)

15℃再溶解後 0℃放置(約 3h)

析出部(P4)

ろ液部

ろ液部 ろ液部

※利用法 別途検討

図-2 標準品(TOC,ST)のHPLC分析チャート

表-1 TOC及びST標準物質の溶出時間 溶出時間(分) δ−TOC(M.W.402.7) 12.6 γ−TOC(M.W.416.7) 14.5 β−TOC(M.W.416.7) 14.7 α−TOC(M.W.430.7) 16.7 ブラシカ ST(M.W.398.7) 18.4 スチグマ ST(M.W.412.7) 21.4 カンペ ST(M.W.400.7) 21.7 β−シト ST(M.W.414.7) 23.6

表-2 スカム中のTOC及びSTの含有量 (%(w/w))

大豆スカム 菜種スカム

δ−TOC 3.8 0.8

γ−TOC 及 び 7.8 9.0 β−TOC

α−TOC 0.8 2.7

ブラシカ ST − 5.8

スチグマ ST 及 び 21.1 11.4 カンペ ST

β−シト ST 14.7 14.7

3-2 スカムからのTOC,STの抽出

析出物のHPLC分析データより,トコフェロール(TO C)とステロール(ST)の各ピーク面積値の小計が全 ピーク面積値にしめる割合を求め,析出物中の純度変 化を検討した。また,各分別段階での析出量をピーク 面積値に換算した値を比較した。大豆スカムの結果を 図-3及び図-4に,菜種スカムの結果を図-5及び図-6に 示す。この結果,析出物中のTOCとSTの割合は0℃で析

, 。

出回数を重ねれば高くなるが 3回目が最高となった

4回目ではSTの割合が増す傾向が見られた。-30℃の最

終残物はTOCの割合が42〜47%と高くなって

(3)

図-3 大豆スカム不けん化物の分別結晶

図-4 大豆スカム析出量をピーク面積値に換算

図-5 菜豆スカム不けん化物の分別結晶

いた。けん化と溶剤法を用いた分別結晶法によりTOC とSTの割合が最初27%の大豆スカムを60%前後,最初29

%の菜種スカムを70%前後の割合まで高めた結晶が得ら れたが,分別には限界があった。また得られた結晶量 は析出操作を繰り返す度に低減しており,これは結晶 やろ液を回収する際,移し替えによる濾紙や容器に付 着した損出分が大きく影響し,工業化された装置を使 用すれば回収率は高くなると考えられる。

0.E+00 5.E+09 1.E+10 2.E+10 2.E+10 3.E+10 3.E+10 4.E+10

析出量(ピー面積値換算)

大豆スカム P1 P2 P3 P4 P5 最終ロ液

析出量をピーク面積値に換算(大豆スカム)

P1:0℃(1回目) P2:0℃(2回目) P3:0℃(3回目)

P4:0℃(4回目) P5:-30℃(1回目)

その他面積総量

stピーク面積総量 tocピーク面積総量

0.0 10.0 20.0 30.0 40.0 50.0 60.0 70.0 80.0 90.0 100.0

割合(%

菜種スカム P1 P2 P3 P4 P5 最終ロ液

析出物のHPLC分析ピーク面積値割合 P1:0℃(1回目) P2:0℃(2回目) P3:0℃(3回目)

P4:0℃(4回目) P5:-30℃(1回目)

脂肪酸他%

ステロール%

toc%

0.0 10.0 20.0 30.0 40.0 50.0 60.0 70.0 80.0 90.0 100.0

割合(%)

大豆スカム P1 P2 P3 P4 P5 最終ロ液

析出物のHPLC分析ピーク面積値割合 P1:0℃(1回目) P2:0℃(2回目) P3:0℃(3回目)

P4:0℃(4回目) P5:-30℃(1回目)

脂肪酸他%

ステロール%

toc%

図-6 菜種スカム析出量をピーク面積値に換算

4 まとめ

脱臭スカム中のトコフェロール(TOC)及びステロ ール(ST)の分析及び分離回収を目的に,HPLCによる 分析及びけん化と溶剤を用いた分別結晶を試みた。

この結果,次のことが分かった。

1)ODSカラムを用いたHPLC分析で脱臭スカムのTOC及び STの総量について同時把握が可能であった。但しγ−

TOCとβ−TOCが,またスチグマSTとカンペSTの個々に は溶出時間が近接し分離しなかった。

2)大豆スカムにはTOCが12.4%,STが35.8%,菜種スカ

, 。

ムにはTOCが12.5% STが31.9%含まれると推察できた 3)けん化と溶剤法を用いた分別結晶法の適用によりTO CとSTの割合(HPLC分析でピーク総面積値にしめるTOC とSTピーク面積値の割合)が最初27%の大豆スカムか ら60%前後,TOCとSTの割合が最初29%の菜種スカムか ら70%前後の割合まで高めた結晶が得られたが,分別 には限界があった。

5 参考文献

1)神村義則監修:食用油脂入門(食品知識ミニブッ クシリーズ ,p.122-127 )

2)安田耕作他3名著:新版油脂製品の知識,㈱幸書 房発行,p.133-140

0.E+00 5.E+09 1.E+10 2.E+10 2.E+10 3.E+10

析出量゚ー換算)

菜種スカム P1 P2 P3 P4 P5 最終ロ液

析出量をピーク面積値に換算(菜種スカム)

P1:0℃(1回目) P2:0℃(2回目) P3:0℃(3回目)

P4:0℃(4回目) P5:-30℃(1回目)

その他面積総量

stピーク面積総量 tocピーク面積総量

参照

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