1 . は じ め に
一 般 廃 棄 物 お よ び 下 水 汚 泥 等 を 溶 融 処 理 す る 過 程 で 副 産 さ れ る 溶 融 固 化 物 ( 以 下 、 ご み 溶 融 ス ラ グ と 称 す る ) は、 コ ン ク リ ー ト 用 細 骨 材 の 代 替 材 料 と し て 有 効 利 用 で き る と さ れ 、 これを 用 い た コ ン ク リ ー ト ( 以 下 、 ス ラ グ コ ン と 称 す る) に 関 す る 研 究 は 増 加 し て い る 。 し か し 、 ス ラ グ コ ン の 施 工 性 お よ び 長 期 耐 久 性 に 関 す る 研 究 は 極 め て 少 な い 。
そこで、 本研究は、 2 種類のごみ溶融スラグ を細骨材に容積で 5 0 % 置換したコンクリートを 用 い て 、 実 大 構 造 物 試 験 体 を 作 製 し 、 スラグコ ン の 施 工 性 お よ び 長 期 耐 久 性 に 関 す る 検 討 し た も の で あ る 。
ここでは、前報告(その 1 〜 4 )に引き続き、
材齢 3 年を経過した供試体コンクリートおよび 構 造 体 コ ン ク リ ー ト の 品 質 に つ い て 述 べ る 。 2 . 実 験 概 要
( 1 ) ごみ溶融スラグの概要
本 実 験 で 用 い た ご み 溶 融 ス ラ グ は 、 プ ラ ズ マ 式 溶 融 炉 か ら 一 般 廃 棄 物 を 処 理 す る 過 程 で 副 産 さ れ た も の である。 これは、 溶融処理を 行った 後、 水 砕 処 理 に よ り 固 化 さ れ 、 磁 選 処 理 に よ り メタルを除去し、破砕処理により T R A 0 0 1 6
1 )に示される M S 2 . 5 の粒度の範囲に調整( 以下、ス ラグ A と称する) したものである。さらに、高 p H 熱水による粒子表面の改質( 以下、スラグ B と称 する ) を行った計 2 種類のごみ溶融スラグにつ い て 調 べ た 。 ご み 溶 融 ス ラ グ の 品 質 を 表1に示 す 。
( 2 ) 使用材料
使 用 材 料 は 、 レ デ ィ ー ミ ク ス ト コ ン ク リ ー ト 工 場 で 通 常 使 用 し て い る も の を 用 い た 。 セメン ト が 普 通 ポ ル ト ラ ン ド セ メ ン ト , 水 が 地 下 水 , 細骨材が砂およびごみ溶融スラグ 2 種類, 化学 混和剤が A E 減水剤である。
ごみ溶融スラグを用いたコンクリートの実大施工実験
−その 5 材齢 3 年までのコンクリートの品質−
Real‑Size Model Construction of The Concrete Using Waste Slag Derived from Domestic Waste
― Part5. Quality of The Concrete from Placing to Three Year ― Daisuke SUZUKI,Yoshihisa NAKATA,Torao KEMI,Shuzo OTSUKA,
Takeshi SAITO,Masahiro SUGATA and Noriyuki TANIYAMA ものつくり大(院) ○鈴木大介
ものつくり大 中田善久 前足利工業大 毛見虎雄 日大理工(院) 大塚秀三
㈱内山アドバンス 斉藤丈士 川崎重工業㈱ 菅田雅裕 谷山教幸
( 3 ) コンクリートの調合条件と試験項目 コ ン ク リ ー ト の 調 合 は 、 試 し 練 り に よ り 定 め 水セメント比を 5 5 . 0 % とした。また、普通コン クリート(以下、普通コンと称する)の調合は、
レ デ ィ ー ミ ク ス ト コ ン ク リ ー ト 工 場 に お い て 定 められている標準調合 2 5 . 5 ‑ 1 8 ‑ 2 0 N を採用した。
なお、条件は、コンクリートの運搬時間を 3 0 分 と想定し、練上がりから 3 0 分後において目標と する品質をスランプ 1 8 . 0 ± 2 . 5 c m および空気量 4 . 5 ± 1 . 5 % とした。試験項目および方法を表2 に 示 す 。
3. 試 験 結 果 お よ び 考 察 ( 1 ) 圧縮強度
標 準 養 生 供 試 体 お よ び コ ア 供 試 体 の 圧 縮 強 度 試験結果を図1 に示す。 標準養生およびコア供 試体ともに、 材齢 1 年から材齢 3 年にかけての 圧 縮 強 度 は 、 ば ら つ き が あ る も の の ほ ぼ 同 等 な 傾 向 を 示 し た が 、 普 通 コ ン の 場 合 は 若 干 増 進 す る 結 果 と な っ た 。 また、 スラグ B は、 スラグ A を 用 い た 場 合 に 対 し 、 圧 縮 強 度 が 若 干 大 き く な る 傾 向 を 示 し た 。
( 2 ) 静弾性係数
コ ア 供 試 体 の 圧 縮 強 度 と 静 弾 性 係 数 の 関 係 を 図2に示す。 この関係は、 いずれのコンクリー トとも J A S S 5に示される関係式
2 )より大きくな
グ ラ
ス A スラグB
率 粒
粗 (F.M.) 2.60 2.47 度
密 乾
絶 (g/cm3) 2.64 2.64 度
密 乾
表 (g/cm3) 2.66 2.67 率
水
吸 (%) 0.29 1.05 量
質 積 容 位
単 (kg/l) 1.68 1.69 率
積
実 (%) 63.6 64.0 量
分 粒
微 (%) 4.0 4.2
表1 ごみ溶融スラグの品質
る傾向を示した。 また、 材齢 3 年は、 材齢 2 年 ま で と 比 較 す る と 、 い ず れ の コ ン ク リ ー ト も 前 者 が 大 き く な る 傾 向 を 示 し た 。
( 3 ) コア供試体の中性化深さ
コ ア 供 試 体 の 中 性 化 深 さ を 図3に示す。 スラ グ A およびスラグ B の中性化深さは、 普通コン よ り 若 干 小 さ く な る 傾 向 を 示 し た 。 また、 既往 の研究による中性化速度推定式
3 )より算出した 推定中性化深さと材齢 3 年のコア供試体の中性 化深さを比較すると、 材齢 3 年では推定式より 小 さ く な る 傾 向 を 示 し た 。
( 4 ) 外観状況
目視による外観状況は、有害なひび割れおよび ポップアウトなどがなく、良好な状態であった。
4 . ま と め
ご み 溶 融 ス ラ グ を 用 い た コ ン ク リ ー ト の 実 大 構 造 物 試 験 体 に よ る 施 工 実 験 を 行 い 、 供 試 体 コ ン ク リ ー ト お よ び 構 造 体 コ ン ク リ ー ト の 品 質 を 検 討 し た 結 果 、 次 の 知 見 が 得 ら れ た 。
①圧 縮 強 度 は 、 ば ら つ き が あ る も の の ほ ぼ 同 等 な 傾 向 を 示 し た 。 また、 スラグ A と ス ラ グ B を比較すると、 スラグ B の方が若干大きくな る 傾 向 を 示 し た 。
②静弾性係数は、 J A S S 5に示される関係式より 大きくなる傾向を示した。また、材齢 3 年は、
材齢 2 年までと比較すると、 いずれのコンク
2025 30 35 40 45 50
普通コン 標準養生 普通コン コア供試体 スラグA 標準養生 スラグA コア供試体 スラグB 標準養生 スラグB コア供試体 圧縮強度(N/mm2 )
材齢
28 91 0.5年 1年 2年 3年
0.0 1.0 2.0 3.0 4.0 5.0 6.0
普通コン KDAコン KDBコン
推定式による中性化深さ
中性化深さ(mm)
材齢
材齢3年:4.97mm
0.5年 1年 2年 3年 岸谷式:t=7.2/(R2(4.6x-1.76)2)×C2
図1 標準養生供試体およびコア供試体における 圧縮強度試験結果
図3 コア供試体における中性化深さ
図2 コア供試体における圧縮強度と静弾性係数の関係
目
項 験
試 試 験 方 法
度 強 縮
圧 J I S A 1 1 0 8 度
強 縮 圧 び 及 法 方 取 採 の ア
コ J I S A 1 1 0 7
化 性
中 J I S A 1 1 5 2
表2 試験項目および方法20 25 30 35 40
25 30 35 40 45 50
静弾性係数(N/mm2 )
圧縮強度(N/mm2)
△
□ 普 ○ A B
●
■
▲ 0.5〜2年 3年
E=33.5×k
1×k
2×(γ/2.4)2×(Fc/60)1/3 γ=2.3と仮定した
リ ー ト も 前 者 が 大 き く な る 傾 向 を 示 し た 。
③中性化深さは、 普通コンとスラグ A およびス ラグ B を比較すると同等の値となった。また、
中 性 化 速 度 推 定 式 よ り 算 出 し た 推 定 中 性 化 深 さ よ り 小 さ く な る 傾 向 を 示 し た 。
今 後 は 、 さ ら に 長 期 的 な 品 質 を 確 認 す る こ と な ら び に ご み 溶 融 ス ラ グ の 品 質 に つ い て も 確 認 し て 行 き た い と 考 え て い る 。
【謝辞】
本実験を行うにあたり、ものつくり大学 高橋宏樹助教授より貴 重なアドバイスを頂きました。また、山宗化学㈱技術部 高野肇 次 長 , 三友エンジニヤリング㈱の藪内裕氏 , ㈲野口興業 , 小山レミコ ン㈱の方々ならびにものつくり大学 中田研究室 学生より多大な る協力を頂きました。ここに付記し、心より感謝の意を表します。
【参考文献】
1) 日本規格協会,T R A 0 0 1 6 一般廃棄物,下水汚泥等の溶融固化 物を用いたコンクリート用細骨材(コンクリート用溶融スラグ 細骨材),( 2 0 0 2 . 7 )
2 ) ( 社) 日本建築学会,建築工事標準仕様書・同解説 J A S S 5鉄筋コ ンクリート工事,( 2 0 0 3 . 2 )
3 ) 岸谷孝一,鉄筋コンクリートの耐久性,鹿島出版会 ( 1 9 6 3 . 2 )