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住宅の環境性能が居住者の皮膚諸要素に与える影響 に関する研究

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(1)

住宅の環境性能が居住者の皮膚諸要素に与える影響 に関する研究

著者 石田 紗英

出版者 法政大学大学院デザイン工学研究科

雑誌名 法政大学大学院紀要. デザイン工学研究科編

巻 10

ページ 1‑5

発行年 2021‑03‑24

URL http://doi.org/10.15002/00023786

(2)

法政大学大学院デザイン工学研究科紀要 Vol. 10(2021年3月) 法政大学

住宅の環境性能が居住者の皮膚諸要素に与える影響 に関する研究

RESEARCH ON THE EFFECTS OF RESIDENCIAL ENVIRONMENT ON THE RESIDENTS' SKIN CONDITIONS

石田紗英 Sae ISHIDA

主査 川久保俊 副査 出口清孝 法政大学大学院デザイン工学研究科建築学専攻修士課程

From the perspective of anti-aging, we focused on the skin, which is easily affected by the environment, and investigated the effects of living environment, attributes, behaviors, and health conditions on the skin. The results of a survey conducted on young and middle-aged people revealed that skin characteristics differed greatly depending on gender and age. It was also confirmed that people who spent more time outdoors tended to have more wrinkles and redness, and those who had more oxidative stress in their bodies tended to have more redness and worse texture. Furthermore, it was suggested that a good sanitary environment in the house may improve wrinkles and pores, and a good thermal environment may aggravate acne.

Key Words :Anti-aging, Skin, ,Attributes, Behaviors, Health condition, Environmental performance

1.はじめに

超高齢社会を迎えた我が国において平均寿命と健康寿 命の差(不健康な期間)は長く、人々の健康維持増進は 国家的な課題である。そうした中、近年老化の予防に対 する社会のニーズが高まっており、“抗加齢[1]”が注 目を集めている。ただ寿命を延ばすのではなく、いかに 健康に生きるかに焦点を当てている抗加齢は、社会の経 済効率を支えるだけでなく、個人の幸福を叶える観点か らも重要である。未来に向けてより充実した生活を送る ために、人々の美容と健康に影響を与える要因を明らか にすることへの期待は大きい。本研究の目的は、環境の 影響が現れやすい「皮膚」に着目し、人々の生活の基盤 である住環境が皮膚の状態にどの程度影響しているかを 明らかにすることである。若年層を対象に実施した長期 間のプレスタディ、中高年層を対象に実施した大規模な 全国調査を行い、これらの関係を検討した結果を示す。

2. 若年層を対象に実施した環境と皮膚に関する プレスタディ

(1)調査概要

実測調査及びアンケート調査を実施した。まず実測調 査の概要について記す。2018年4月から1年間、室内で デスクワークを行う学生を対象に、皮膚水分量・経皮水

表1 プレスタディの概要

調査期間 2018年4月21日~2019年3月31日 調査対象 ゼミ生33名(男性:22名、女性:11名)

調査場所

大学の教室内・屋外・被験者宅の寝室内 在室時空調稼動

(夏季:冷房、冬季:暖房)

調査時間 在校時(在宅時)複数回

調査項目

実測調査 環境測定:温湿度

人体測定:皮膚水分量・経皮水分蒸散量 皮膚油分量・皮膚諸要素 等

アンケート調査 属性・生活行動・住環境

表2 実測機器の一覧

調査項目 測定機器 測定方法 温湿度 TR-72wf (T&D社) 常時測定 皮膚水分量 Corneometer CM825

(Courage+Khazaka社) 右頬5 経皮水分蒸散量 Tewameter TM300

(Courage+Khazaka社) 右頬1 皮膚油分量 Sebumeter SM815

(Courage+Khazaka社) 1 皮膚諸要素

VISIA Complexion Analysis System

(Canfield Scientific社)

右半面1

(3)

分蒸散量注1)を測定した。また、春季・夏季・秋季・冬季 に 1 回 ず つ 、 顔 面 画 像 解 析 機 器 (VISIA Complexion

Analysis System)を用いた皮膚諸要素注2)の測定を行った

(中高年層と皮膚状態を比較するために本報では秋季の 測定結果を使用した)。皮膚の測定は、生活空間の移動 直後や、発汗等で皮膚が濡れている場合を避けて実施し た。尚、長期間に渡る実測のため、生活行動や空調機器 の使用等のライフスタイルには制限を与えていない。併 せて実測期間中は対象者の滞在する教室・屋外・被験者 宅の寝室内の温湿度を連続測定した。

実測調査開始前には対象者の性別・年齢等の属性、生 活行動や住環境について問うアンケート調査を実施した。

住環境の評価には、CASBEE健康チェックリスト注3)(以 下、チェックリスト)を用いた。プレスタディの概要、

実測機器の一覧を示す(表1・2)。

(2)研究結果

a)性別と皮膚諸要素の関係

性別と皮膚諸要素の関係を示す(図1・2)。色素沈着 に関わる項目(シミ・紫外線シミ・茶色のシミ)では、

男性の方が女性に比べて各要素の検出個数が有意に多く、

状態が悪い結果であった。要因として紫外線の曝露量の 違いが考えられる。紫外線の中でも波長が短くエネルギ ーが強い UV-B を浴びることで、表皮細胞が傷つき、色 素沈着や紅斑の原因になる[2]。本調査の対象者につい て、男性は女性に比べ紫外線対策をしている者が少ない 上に、屋外スポーツを趣味に持つ者が多い傾向にあった。

これらが原因となり、男性の方が女性よりも紫外線によ るダメージを受けている可能性が考えられる。

シワ、きめにおいても、男性は女性に比べて検出個数

が1%水準で有意に多かった。また、男性は女性に比べて

有意に水分量が少なく、蒸散量が多い結果となった。皮 膚の乾燥によってシワが形成され、きめの状態が悪化す る[3]という既往研究と同様の傾向がみられた。

さらに、毛穴、ポルフィリン(ニキビの原因となるア クネ菌の代謝物)においても男性は女性に比べて検出個

数が1%水準で有意に多かった。また、男性は女性に比べ

て油分量が有意に多かった。毛穴目立ちやニキビは過剰 な皮脂分泌が原因となる場合が多い[4]。以上より、皮 脂分泌が過剰であるという男性の皮膚特性が毛穴目立ち やニキビの原因となっていることが示唆された。

b)住環境と皮膚諸要素の関係

住環境が皮膚に与える影響を把握するため、チェック リストのスコアと皮膚諸要素のクロス集計を行った。本 報では総合・温熱・衛生スコアとシワ・毛穴のクロス集 計結果を示す。集計の際、それぞれのスコアの全国平均 点[5]を閾値として下位群、上位群の2群に区分した。

チェックリストスコアとシワ・毛穴の検出個数の関係 を示す(図3・4)。シワ・毛穴ともに、衛生スコアにお いて上位群の方が下位群に比べて要素の検出個数が有意

に少なく状態が良い結果であった。チェックリストにお いて、衛生環境はカビやにおいの発生等、住宅の経年劣 化に関する設問で評価される。調査対象であるゼミ生は、

約7割が実家暮らしで平均築年数は18年と長かった。こ れらの住宅は経年劣化が進んでいる可能性が考えられる。

住宅の経年劣化と皮膚の状態に関連がある可能性がある。

**:p<0.01,*:p<0.05, †:p<0.1, n.s.:非有意

男性(22名) 女性(11名)

400

0 200 300

100

Mann-WhitneyのU検定(シミ、紫外線シミ、赤み)

2標本t 検定(茶色のシミ、シワ)

紫外線シミ** 茶色のシミ* 赤みn.s. シワ**

シミ**

各要素の検出個数個]

図1 性別と色素沈着・シワの関係

**:p<0.01,*:p<0.05, †:p<0.1, n.s.:非有意

男性(22名) 女性(11名)

Mann-WhitneyのU検定(毛穴、ポルフィリン)

2標本t 検定(きめ)

毛穴** ポルフィリン**

きめ**

0

各要素の検出個数個]

4,000

2,000 3,000

1,000

図2 性別ときめ・毛穴・ポルフィリンの関係

総合スコアn.s.

**:p<0.01,*:p<0.05, †:p<0.1, n.s.:非有意

下位群 上位群

温熱スコアn.s. 衛生スコア 200

0 600

400

下位群:n=8、上位群:n=25 下位群:n=16、上位群:n=17 下位群:n=10、上位群:n=23

2標本t 検定

ワの検出個数個]

図3 チェックリストスコアとシワの検出個数の関係

**:p<0.01,*:p<0.05, †:p<0.1, n.s.:非有意

下位群 上位群 2,000

0 1,000 1,500

500

Mann-WhitneyのU検定(衛生スコア)

2標本t 検定(総合スコア・温熱スコア)

下位群:n=8、上位群:n=25 下位群:n=16、上位群:n=17 下位群:n=10、上位群:n=23

総合スコアn.s. 温熱スコアn.s. 衛生スコア

毛穴の検出個数個]

図4 チェックリストスコアと毛穴の検出個数の関係

(4)

3.中高年層を対象に実施した環境と皮膚に関す る全国調査

(1)調査概要

本研究では、全国の工務店が提供する住宅の居住者(20 歳以上の男女約1,000名)を対象とした5年間のコホート 調査を実施している。本報では12月までに調査を終えて いる 5地点(北海道、宮城、山口、熊本、福岡)におけ るベースライン調査の結果を記す。

実測調査では、プレスタディで測定した皮膚の項目を 同様の機器で測定した。尚、全国調査では、男女ともに 対象者にクレンジングシートを用いて顔面の化粧を落と し、30分以上待機した後測定を行ってもらった。加えて、

酸化ストレス4や腸内環境注5)等、身体の健康に関する 項目も測定した。

また、プレスタディと同様に、対象者の性別・年齢等 の属性、生活行動や住環境について問うアンケート調査 を実施した。幅広い年齢層が対象であるため、健康につ いて問う設問も多く設けた。全国調査の概要を示す(表3)。

(2)研究結果

a)性別と皮膚諸要素の関係

性別と皮膚諸要素の関係を示す(図5・6)。幅広い年 齢層を対象にした場合でも、プレスタディの結果と同様 に、男性の方が女性に比べて各要素の検出個数が1%水準 で有意に多く、状態が悪い結果であった。

b)年齢と皮膚諸要素の関係

年齢と皮膚諸要素の関係を示す(図7・8)。色素沈着 に関わる項目(茶色のシミ、赤み)では、年齢間で有意 差がみられた。シミにはいくつかの種類があるが、加齢 によって増える「老人性色素班」と30~40歳頃に女性の 顔面頬部に現れることが多い「肝斑」等がシミの大部分 を占めることが知られている[6]。年齢が上になるにつ れて茶色のシミの検出個数が多い者が増えた理由として、

「老人性色素斑」「肝斑」をもつ者の割合が高かったこと が可能性として考えられる。

赤みについては様々な要因が考えられる。中高年層ほ ど紫外線の曝露量が多さゆえに、紅斑が多く生じている こと、高年者特有の皮膚特性(皮膚が薄い、乾燥傾向で あり痒みを生じやすい[7])等が要因となって炎症を起 こしていることが可能性として考えられる。

シワ、きめにおいては、高年層ほど検出個数が増える 傾向がみられた。対して、毛穴とポルフィリンは高年層 ほど検出個数が減少した。高年層の皮膚は皮脂分泌が少 なく乾燥傾向である[7]ことは一般的に知られており、

今回の対象者においても、高年層の油分量は中年層・若 年層に比べて少ない傾向であった。高年層は皮膚が乾燥 しているために、シワが多く毛穴の検出個数が少なかっ た可能性がある。このような皮膚ではニキビもできにく いため、高年者ほどポルフィリンの検出個数も少ないと 推察される。

表3 全国調査の概要 調査期間 202010月~12

調査対象 20~80代の男女231(男性:119名、女性112名)

調査場所 オフィス・レンタル会議室等の室内

調査項目

実測調査

環境測定:温湿度、放射温度、風速等 人体測定:皮膚水分量・経皮水分蒸散量 皮膚油分量・皮膚諸要素 酸化ストレス・腸内環境

アンケート調査 属性・生活行動・健康状態・住環境

**:p<0.01,*:p<0.05, †:p<0.1, n.s.:非有意

男性(119名) 女性(112名)

500

-100 200 300

100

Mann-WhitneyのU検定(紫外線シミ、赤み、シワ)

2標本t 検定(シミ、茶色のシミ)

紫外線シミ** 茶色のシミ** 赤み** シワ**

シミ**

400

0

各要素の検出個数個]

図5 性別と色素沈着・シワの関係

**:p<0.01,*:p<0.05, †:p<0.1, n.s.:非有意 Mann-WhitneyのU検定

毛穴** ポルフィリン**

きめ**

0

男性(119名) 女性(112名)

各要素の検出個数個]

6,000

2,000 4,000

図6 性別ときめ・毛穴・ポルフィリンの関係

**:p<0.01,*:p<0.05, †:p<0.1, n.s.:非有意

若年層(23名) 中年層(174名)

500

-100 200 300

100

Kruskal-Wallisの検定(赤み、シワ)

一元配置分散分析(シミ、紫外線シミ、茶色のシミ)

紫外線シミn.s. 茶色のシミ** 赤み** シワn.s.

シミn.s.

400

0

高年層(34名)

各要素の検出個数個]

図7 年齢と色素沈着・シワの関係

**:p<0.01,*:p<0.05, †:p<0.1, n.s.:非有意

毛穴n.s. ポルフィリンn.s.

きめ 0

若年層(23名) 中年層(174名) 高年層(34名)

Kruskal-Wallisの検定(きめ、毛穴、ポルフィリン)

各要素の検出個数個]

6,000

2,000 4,000

図8 年齢ときめ・毛穴・ポルフィリンの関係

(5)

c)生活行動と皮膚諸要素の関係

喫煙者のうち約 80%が中年層で、大部分を男性が占め ており男女比に偏りがあったため、喫煙に関しては中年 層の男性のみで集計を行った。シワ・きめについて、非 有意であるが喫煙者の検出個数がわずかに多い傾向がみ られた(図9)。既往研究[8]でも、非喫煙者に比べ喫 煙者の皮膚のシワ・きめの状態が悪いというような同様 の傾向が確認されていることから、喫煙は皮膚の老化に 影響を与える因子であることが示唆される結果となった。

1 日の屋外滞在時間と茶色のシミ・赤みの関係を示す

(図10)。1日のうち、屋外に滞在する時間が長い群の茶

色のシミ・赤みの検出個数が有意に多い結果であった。

d)健康状態と皮膚諸要素の関係

身体の酸化ストレスと赤み、きめの関係を示す(図11)。

酸化ストレスが大きい群の方が赤み、きめの検出個数が 有意に多い結果となった。

一部の対象者には腸内環境測定を実施してもらい、腸 内環境の良し悪しと皮膚状態の関係について集計した。

腸内環境とシワ・きめの関係を示す(図12)。シワ・き めについては腸内環境が良い群の検出個数が少なく、皮 膚の状態が良い傾向がみられた。また、腸内環境が良好 である群の方が、蒸散量が有意に少ないことが明らかに なった(p<0.09)。これはLGG菌摂取で便秘・皮膚の乾 燥が改善されたとの報告[9]と類似の傾向であり、腸内 環境が良いと皮膚のバリア機能が改善し、皮膚の状態が 良くなることが示唆される結果となった。

e)住環境と皮膚諸要素の関係

プレスタディと同様の方法でチェックリストのスコア と皮膚諸要素のクロス集計を行った(図13)。結果、温 熱スコアにおいて、上位群の方が下位群に比べてポルフ ィリンの検出個数が 1%水準で有意に多い結果となった。

チェックリストの温熱環境に関する設問は、住宅内で暑 さ寒さを感じる程度を問うものが多い。今回の対象者に おける温熱スコアの平均値は23.8点と全国平均と比較し て5 点程高く、調査対象者は温熱環境が比較的良好であ る高性能住宅に住んでいる者が多いと予想される。この ような住宅では、外気温が低くなる冬でも、断熱性・気 密性が高いため、住宅内の温度は高く保たれる。一方で 住宅内の相対湿度は下がるため、住宅内で乾燥を感じや すい可能性がある。空気が乾燥した状態では皮膚も乾燥 し、皮膚のバリア機能が低下してしまう[10]。バリア 機能が低下してしまうと、角層に潤いを保持できなくな るため、水分量が低下した角層が積み重なって毛穴をふ さぎ、ニキビができやすくなる。温熱環境が良い住宅の 居住者ほどポルフィリンが多い理由として、日常的に乾 燥した環境に身を置いていることが 1つの可能性として 考えられる。このような住環境と皮膚の関係を解明する ために、現在、対象者宅の温熱環境測定を実施している。

データ取得中につき結果を本報に纏めることはできない が、今後データを入手し次第分析を行う予定である。

**:p<0.01,*:p<0.05, †:p<0.1, n.s.:非有意

2標本t 検定

**:p<0.01,*:p<0.05, †:p<0.1, n.s.:非有意 Mann-WhitneyのU検定

400

0 200

100

ワ検出個数[個]

n.s. n.s.

300

0

きめ検出個数[個]

n=60 喫煙習慣なし

n=27 喫煙習慣あり

n=60 喫煙習慣なし

n=27 喫煙習慣あり 6,000

4,000

2,000

図9 喫煙とシワ・きめの関係

**:p<0.01,*:p<0.05, †:p<0.1, n.s.:非有意 Mann-WhitneyのU検定

400

0 300

100 200

茶色のシミ検出個数[個]

赤み検出個数[個]

* **

**:p<0.01,*:p<0.05, †:p<0.1, n.s.:非有意 2標本t 検定

250

0 -50 50 150

3時間未満 3時間以上

n=131 n=82

3時間未満 3時間以上

n=131 n=82

図10 1日の屋外滞在時間と茶色のシミ・赤みの関係

**:p<0.01,*:p<0.05, †:p<0.1, n.s.:非有意 Mann-WhitneyのU検定

**:p<0.01,*:p<0.05, †:p<0.1, n.s.:非有意 Mann-WhitneyのU検定

n=102 酸化ストレス

n=128 酸化ストレス 350

0 -50 50 150

赤み検出個数個] 250

きめ検出個数[個]

6,000

0 2,000 4,000

n=102 酸化ストレス

n=128 酸化ストレス

図11 身体の酸化ストレスと赤み・きめの関係

**:p<0.01,*:p<0.05, †:p<0.1, n.s.:非有意

2標本t 検定

**:p<0.01,*:p<0.05, †:p<0.1, n.s.:非有意 Mann-WhitneyのU検定

300

0 200

100

ワ検出個数[個]

n.s. n.s.

きめ検出個数[個]

6,000

0 2,000 4,000

n=16 異常群

n=76 正常群

n=16 異常群

n=76 正常群

図12 腸内環境とシワ・きめの関係

総合スコアn.s.

**:p<0.01,*:p<0.05, †:p<0.1, n.s.:非有意 Mann-WhitneyのU検定

下位群 上位群

温熱スコア** 衛生スコアn.s.

0

下位群:n=42、上位群:n=132 下位群:n=37、上位群:n=137 下位群:n=71、上位群:n=103

の検出個数個]

4,000

2,000 3,000

1,000

図13 チェックリストスコアとポルフィリンの関係

(6)

4.まとめ

(1)総論

若年層を対象に実施したプレスタディ、中高年層を対 象に実施した全国調査の結果から、男性の皮膚は女性に 比べて色素沈着が多く、乾燥・皮脂過剰傾向であること、

年齢が上がるにつれて加齢に伴う色素沈着が増え、皮膚 は乾燥傾向であること等、性別や年齢によって皮膚特性 が大きく異なることが明らかになった。

ゼミ生対象のプレスタディにおいて、住宅の衛生スコ アと皮膚の状態に関連がみられた。築年数が長い住宅に 住む学生が多かったことから、住宅の経年劣化に伴い悪 化した住環境要素(例えば室内空気質等)が皮膚状態に 悪影響を与える可能性が考えられる。

中高年層を対象とした全国調査において、喫煙・屋外 滞在時間等の生活行動が皮膚の状態に影響を与えること が示唆された。さらに、身体の酸化ストレスや腸内環境 と皮膚の状態に関係性が認められた。

住宅の温熱スコアが良いとポルフィリンが増える傾向 がみられた。日常的に乾燥した環境に身を置いているこ とが1つの可能性として考えられる。

(2)今後の展望

中高年層を対象とした全国調査について、本報はあく までもベースライン調査の結果の纏めであり、住環境と 皮膚状態の因果関係の解明には至っていない。住環境が 皮膚の状態に与える影響を解明するためには、フォロー アップ調査を実施し、ベースライン調査時との環境や皮 膚、生活等、様々な要素の変化量を把握する必要がある。

また、全国調査においては、対象者の住環境を評価す るツールがチェックリストのみであった。この回答はあ くまでも個人の主観的な評価であり、対象者の滞在空間 の実態と乖離している可能性がある。本調査では、ベー スライン調査から 5年間に渡って対象者宅の居室内の温 湿度を測定しており、現在もデータ収集中である。対象 者を取り巻く環境を客観的に把握することで、住環境が 皮膚の状態に与える影響の定量化が可能になると考える。

謝辞:本研究は服部クリニック倫理審査委員会による審 査・承認を受けたプロトコルで実施しています。本研究 を実施するにあたり、研究室の先生方並びに学生の皆様 に多くのご協力とご指導を賜りました。また調査実施に あたっては、多くの方々にアンケート・実測調査にご協 力いただきました。ここに記して全ての関係者の皆様に 感謝の意を表します。

注釈

注1. 経皮水分蒸散量(TEWL:Transepidermal Water Loss)とは皮膚表面から大気中に蒸散する水分量で あり、皮膚のバリア機能を評価する指標である。

注2. 皮膚諸要素とは、VISIA Complexion Analysis System で検出されるシミ、紫外線シミ、茶色のシミ、赤み、

シワ、きめ、毛穴、ポルフィリンの8項目を指す。

注3. CASBEE健康チェックリストとは、住民が住環境を

主観的に評価することができるツールである。チェ ックリストは6つの環境要素(温熱・音・光・衛生・

安全・防犯)から構成されており、要素毎の集計が 可能である。

注4. 酸化ストレスとは、体内の活性酸素が自分自身を酸 化させようとする力である。通常、活性酸素の量と 活性酸素から生体を守る力(抗酸化力)のバランス がとれているが、活性酸素の産生が過剰になり、抗 酸化力のバランスが崩れた状態を酸化ストレスとい う。本研究では、尿中の8-OHdG濃度によって酸化 ストレスを評価した。

注5. 腸 内 環 境 評 価 に は 腸 内 フ ロ ー ラ 検 査 サ ー ビ ス

(Mykinso 株式会社サイキンソー製)を利用した。

多様性・短鎖脂肪酸・腸管免疫・口腔常在菌の観点 から腸内細菌の構成菌のバランスを算出し、腸内環 境の良し悪しをA~Eの5段階で評価する。D・E評 価であった場合、腸内細菌の総菌数の著しい減少、

その構成比の極端な変化を示すディスバイオーシス

(異常)状態に陥っている可能性があるとされている。

参考文献 1)日本抗加齢医学会:抗加齢医学とは、

https://www.anti-aging.gr.jp/anti/

[最終アクセス2021.1.27]

2)錦織千佳子:光線(赤外線・可視光線・紫外線)によ る 皮 膚 障 害 、 日 本 皮 膚 科 学 会 誌 、Vol.120、No.2、

pp.201-206、2010

3)岩城朱美他:睡眠時の保湿環境が中年者の皮膚に与え る影響の実態調査、人間と生活環境、Vol.24、No.2、

pp.23-35、2017

4)飯田年以他:若年層の額に多く見られる「ざらつき」

の実態調査とスキンケアによる改善、Vol.47、No.2、

pp.100-107、2013

5)一般社団法人日本サステナブル建築協会(JSBC)

: す ま い の 健 康 チ ェ ッ ク リ ス ト パ ン フ レ ッ ト 、 http://www.ibec.or.jp/CASBEE/casbee_health/files/pamphle t.pdf[最終アクセス2021.1.27]

6)渡辺晋一:後天性色素沈着症の診断と治療、日本皮膚 科学会雑誌、Vol.119、No.14、pp.3023-3028、2009 7)小林裕太:皮膚の加齢変化、基礎老化研究、Vol.32、

No.4、pp.15-19、2008

8)Ryoko Ichibori et al.Objective assessment of facial skin aging and the associated environmental factors in Japanese monozygotic twins. J Cosmet

Dermatol,vol.13,No.2,pp.158-163,2014

9)宮澤賢司他:Lactobacillus rhamnosus GG 株の摂取によ る便秘傾向な女性の排便および皮膚に及ぼす影響、日 本乳酸菌学会誌、Vol.28、No.1、2017

10) 田上八郎:アトピー性皮膚炎と皮膚のバリア機能、ア レルギー、Vol.54、No.5、pp.445-450、2005

参照

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