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雑誌名 法政大学大学院紀要. デザイン工学研究科編

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Academic year: 2021

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(1)

保育のものさし、日常の場面 : こどもたちの居場 所から小さなコモンズを考える

著者 安達 裕紀

出版者 法政大学大学院デザイン工学研究科

雑誌名 法政大学大学院紀要. デザイン工学研究科編

巻 9

ページ 1‑3

発行年 2020‑03‑02

URL http://doi.org/10.15002/00023483

(2)

法政大学大学院デザイン工学研究科紀要 Vol.9(2020 年

3

月) 法政大学

保育のものさし、日常の場面

-こどもたちの居場所から小さなコモンズを考える-

RE-CONSIDERATION OF CHILDCARE IN DAYS MAKEING A LITTLE COMMONS WITH CHILDREN

安達裕紀

hiroki ADACHI

主査 赤松佳珠子   副査 岩佐明彦・北山恒  法政大学大学院デザイン工学研究科建築学専攻修士課程

I propose places where children can work outside as nursery schools without gardens increase.

I reconsider how to interact with the community and show that the environment that watches over the children in the community is the way of childcare in the future.

Key Words : childcare,garden,community

1.背景

(1)こどもたちの居場所の不在 

 こどもたちの居場所はどこにあるのだろうか。特に、

保育に関わる現場では、保育士の減少、散歩途中での痛 ましい事故、近隣住民からの苦情などによって保育園児 たちが日常的に外で遊ぶことに制限がかけられている。

(3)問題点 

 (2)のような保育園が増加することでこれまで以上 にこどもたちが外に出て地域と密接に関わる機会が想定 される。

 しかしそこには(1)で取り上げたように様々なしが らみがあり、実情として保育園と公園の整備だけでは不 十分だ。今日の社会の中では特にこどもたちの居場所を 確保するために地域理解というものが必要不可欠であ る。保育園と公園だけの点的な整備ではなく、こどもた ちの散歩過程で地域との関わる機会を作り、地域の日常 に少しずつこどもたちの活動が周知され許容されるよう な、こどもたちの居場所作りが要求される。

 そこで保育園と公園だけでなく、こどもたちが散歩を 行う過程、間の空間に着目し、こどもたちの生活が日常 の場面に落とし込まれ、地域一体となってこどもたちの 活動を見守る環境圏の提案を行う。

(2)増える園庭のない保育園

 待機児童問題をいかに解消するかという課題に対して 厚生労働省が主体となって推し進める児童福祉政策によ り、保育の空間が大きく変化している。その中の一つが 園庭を持たない保育園の設置である。こどもたちにとっ て必要な園庭での遊びの場を保育園周辺にある公園やそ れに付随する場所が園庭での行為を補填可能ならば園庭 を設ける必要がないのだ。つまりこれまで以上にこども たちが保育園を飛び出し外での活動を繰り広げることを 示唆している。

01 広々とした園庭を持つ保育園

02 屋上園庭を持つ保育園

03 オフィスの一角を間借りした小規模保育

01 広々とした園庭を持つ保育園

02 屋上園庭を持つ保育園

03 オフィスの一角を間借りした小規模保育

01 広々とした園庭を持つ保育園

02 屋上園庭を持つ保育園

03 オフィスの一角を間借りした小規模保育

こどもたちの居場所

地域住民 保育士

少しずつこどもが介入し、

日常にこどもがいることへの 違和感が消える

園庭のない保育園の実態を 把握する機会をつくることで 安心してこどもを預けられる

環境が整備されることで 日常的な地域との関わりを通して こどもたちを見守る目が増え負担が減る

(3)

2.敷地

(1)東京都文京区四丁目 

 園庭のない保育園は過密した都市の中で保育園を設置 する為の解決策として近年増加しているのだが、東京 23区で園庭保有率を見てみると文京区では2016年 の統計で園庭保有率が約20%に止まることがわかっ た。

 中でも大塚四丁目は2020年までに9棟の保育園設 置が予定され、そのうちの8棟が園庭を保有していない ことがわかり、対象敷地に選定した。

3.計画概要

 計画するこどもたちの居場所には大きく2つ目指すも のがある。それは①こどもたちの身体的発達、知的好奇 心を養うこと②地域にこどもたちとの関係を強要するわ けでなく、地域住民の生活のなかでこどもたちの気配を 感じ、こどもたちの課外活動が日常のありふれた風景と なることで少しずつ理解を深めること。

 そのため、新たな散歩ルートとその過程にこどもたち だけでなく、地域住民の一般利用も想定されるプログラ ムを提案する。

4.設計

(1)こどもたちの行為と導線から考える

 こどもたちの散歩中に想定される行為を対象地域から 抽出し、その行為を散歩の過程で誘発するような設計を 行う。具体的には住宅の塀や植栽など公私の境界を隔て る構築物を地域住民とこどもたちの関係を緩やかに許容 する淡い境界と再解釈し、声は聞こえるけど見えない、

目線だけあう、奥に入りたくなる等の壁の操作を行うこ とで散歩の過程で細やかな関係を築く道のような居場所 を作る。

(2)様々な人たちが日常的に利用する場所

 地域住民や保護者、そしてこどもたちが日頃の生活サ イクルの中のちょっとした時間で関係を築くため、地域 に必要とされるプログラムを提案する。例えば、使われ ていない公園を利用するために他の公園と利用目的を差 別化する必要がある。そこで公園までのアプローチに小 さなライブラリを設けて本を読みながら公園利用できる 場所を作る。こどもたちにとってもそこは散歩の途中で 絵本をとって先生に読んでもらうような場所になる。

100%

80%

90%

70%

60%

50%

40%

30%

20%

10%

0%

宿

東京 23 区の園庭保有率

2016 2015

文京区保育園設置の数位

10

8 9

7 6 5 4 3 2 1 0 20

18 19

17 16 15 14 13 12 11

1 9 9 7 2 0 0 1 2 0 0 2 2 0 0 3 2 0 0 4 2 0 0 5 2 0 0 6 2 0 0 7 2 0 0 8 2 0 0 9 2 0 1 0 2 0 1 1 2 0 1 2 2 0 1 3 2 0 1 4 2 0 1 5 2 0 1 6 2 0 1 7 2 0 1 8 2 0 1 9 2 0 2 0

SITE-A- 町の小さなライブラリー SITE-B- 地域食堂・住居

SITE-C- 地域児童館

SITE-D- 保育サポートセンター

1

2 3 4

5 76 98

1011 12

47

5748

5849 52 5051

13 1514 1716 20

21 22

23 24

25

2627 28 29

3130 32 3433 3635 37 5438 5539 40

41.42 43

4445 46

56

18.19 53

SITE-A- SITE-B-

対象保育園 SITE-C-

SITE-D-

SITE-E-

0 103050 100(m)

ライブラリー 食堂 サポートセンター

児童館

児童遊園

住宅

公園

ペイブメント 保健室

23区の園庭保有率

道のようでいて居場所となる環

新たに提案する散歩ルート

町から拾い上げたこどもの行為と建築への応用

園庭保有の変異

(4)

【謝辞】

 この度修士設計を行うにあたり、ご指導ご鞭撻いただ いた赤松佳珠子教授に深く御礼申し上げます。また、副 査の岩佐明彦教授、北山恒教授、デザインスタジオ11 でお世話になりました大野秀敏先生はじめ、ご指導いた だきましたすべての先生方に感謝申し上げます。また、

ご相談に乗ってくださった先輩方、お手伝いをしてくれ た後輩の皆、共に修士設計を頑張った同期達にも感謝を 申し上げたいと思います。

【参考文献】

・「コミュニティを問い直す - つながり・都市・日本社 会の未来 -」/広井良典

・「園庭をもたない保育施設における課外活動の空間的 広がりと地域資源活用」/浦田愛永/後藤春彦/山村崇

・「保育園児の散歩行動と街路環境の関係 - 名古屋市認 可保育所での散歩行動観察を通じて -」/太幡英亮/恒 川和久/生田京子/谷口元

・「遊戯道路の実態からみた道路の活用と管理の可能性 に関する研究」/上野千鶴子

・「市役所で働く人たち」/影山絋翔

5.おわりに

 こどもたちの居場所とは本来、制限されることのない 選択制のある自由な場所であるべきと考え本設計に取り 組んだ。

 今後、園庭のない保育の形は増えていくだろう。そう なった時に既存の公園だけでは園児たちの活動を担保す ることができない将来がくるはずである。一層こどもた ちの居場所となりうる場所が要求され地域の保育への理 解も重要になってくる。その近い将来の礎として大きな 町単位での保育の在り方は可能性のあるものである。

 私ごとだが自宅の近くがこどもたちの散歩ルートに なっていて、こどもたちの興味は私たち大人の視点とは 全然違って新鮮であった。短かにある風景がこどもたち の視点でガラリと変わる、地域の意識を転換していくよ うな光景を想い描く。

保育園 企業・民間

地域住民

公園

保育園への不安 保護者 意見交換の不在

互いに関わりが少ない 遊びの制限

利用の制限 図書館

保健室 食堂

サポートセンター

児童館

町の足りない要素を付加する

広がる保育の環境

本の道が続いていく道でいてたまり場のような場所

設計ダイアグラム所 公園へと抜ける隙間所

参照

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