九州大学学術情報リポジトリ
Kyushu University Institutional Repository
電力系統の需給運用における太陽光発電出力予測に 関する研究
野見山, 史敏
https://doi.org/10.15017/1398396
出版情報:Kyushu University, 2013, 博士(工学), 課程博士 バージョン:
権利関係:Fulltext available.
電力系統の需給運用における 太陽光発電出力予測に関する研究
野見山 史敏
i
目 次
第1章 序 論 … … …… …… …… … …… … …… …… …… … …… … …… …… …… … - 1- 1.1 研究 背景 … …… …… …… … …… … …… …… …… … …… … …… …… …… - 1- 1.1.1 太 陽光 発 電設 備の 導入 の 背景 …… …… …… … …… … …… …… …… - 1- 1.1.2 太 陽光 発 電出 力予 測の 必 要性 …… …… …… … …… … …… …… …… - 1- 1.1.3 太陽 光 発電 出力 予測 の 現状 …… …… …… … …… … …… …… …… … - 4- 1.2 研究 概要 … …… …… …… … …… … …… …… …… … …… … …… …… …… -10- 1.3 論文 の構 成 …… …… …… … …… … …… …… …… … …… … …… …… …… -15-
第2章 1 地点 に おけ る数 日先 の 全天 日 射量 の幅 の予 測 手法 …… …… …… … … -17- 2.1 予測 手法 … …… …… …… … …… … …… …… …… … …… … …… …… …… -17- 2.1.1 天 気別 の デー タセ ット 分 割 … …… …… …… … …… … …… …… …… -18- 2.1.2 ベ ータ 分 布を 用い た時 期 別の デ ータ セッ ト分 割 … … …… …… …… -18- 2.2 全天 日射 量 予測 幅モ デル …… … …… …… …… … …… … …… …… …… … -21- 2.2.1 天 気別 デ ータ セッ トに 基 づく 全 天日 射量 予測 幅 モデ ル … …… …… -21- 2.2.2 時 期別 デ ータ セッ トに 基 づく 全 天日 射量 予測 幅 モデ ル … …… …… -25- 2.3 第2 章の ま とめ …… …… … …… … …… …… …… … …… … …… …… …… -29-
第3章 1 地点 に おけ る翌 日の 全 天日 射 量予 測手 法 … …… … …… …… …… … … -32- 3.1 予測 手法 … …… …… …… … …… … …… …… …… … …… … …… …… …… -32- 3.1.1 予 測対 象 …… …… …… … …… … …… …… …… … …… … …… …… … -33- 3.1.2 天 気種 別 ・時 期別 のデ ー タセ ッ ト分 割 … …… …… … …… …… …… -36- 3.1.3 二 進木 を 用い た説 明変 数 の値 で のデ ータ セッ ト 分割 …… …… …… -40- 3.1.4 因 子分 析 を用 いた 線形 予 測式 作 成手 法 … …… …… … …… …… …… -42- 3.1.5 予 測の 手 順 … …… …… … …… … …… …… …… … …… … …… …… … -44- 3.2 シミ ュレ ー ショ ン … …… …… … …… …… …… … …… … …… …… …… … -45- 3.2.1 数 値シ ミ ュレ ーシ ョン 条 件 … …… …… …… … …… … …… …… …… -45- 3.2.2 シ ミュ レ ーシ ョン 結果 …… … …… …… …… … …… … …… …… …… -46-
ii
3.3 第3 章の ま とめ …… …… … …… … …… …… …… … …… … …… …… …… -47-
第4章 広 域に お ける 全天 日射 量 予測 手 法 …… …… … …… … …… …… …… … … -52- 4.1 予測 手法 … …… …… …… … …… … …… …… …… … …… … …… …… …… -52- 4.1.1 日 照時 間 デー タ分 析に よ る地 点 のグ ルー ピン グ … … …… …… …… -53- 4.1.2 広 域に お ける 全天 日射 量 予測 モ デル …… …… …… … …… …… …… -56- 4.2 日照 時間 デ ータ 分析 によ る 地点 の グル ーピ ング …… … …… …… …… … -60- 4.2.1 日 照時 間 デー タの 相関 分 析に よ る地 点の グル ー ピン グ … …… …… -60- 4.2.2 日 照時 間 デー タの 平均 絶 対偏 差 によ る地 点の グ ルー ピ ング …… … -64- 4.3 広域 にお け る全 天日 射量 予 測モ デ ル …… …… … …… … …… …… …… … -70- 4.3.1 全 天日 射 量予 測モ デル の 統合 …… …… …… … …… … …… …… …… -70- 4.3.2 全 天日 射 量の 予測 シミ ュ レー シ ョン …… …… …… … …… …… …… -74- 4.4 第4 章の ま とめ …… …… … …… … …… …… …… … …… … …… …… …… -77-
第5章 太 陽光 発 電出 力へ の簡 易 換算 手 法 …… …… … …… … …… …… …… … … -78- 5.1 太陽 光発 電 出力 簡易 換算 手 法 … …… …… …… … …… … …… …… …… … -78- 5.2 太陽 光発 電 出力 簡易 換算 式 … … …… …… …… … …… … …… …… …… … -80- 5.2.1 実 測デ ー タに 基づ く太 陽 光発 電 出力 換算 の定 式 化 … …… …… …… -80- 5.2.2 全 天日 射 量か ら太 陽光 発 電出 力 への 簡易 換算 係 数 … …… …… …… -84- 5.3 第5 章の ま とめ …… …… … …… … …… …… …… … …… … …… …… …… -88-
第6章 結 論 … … …… …… …… … …… … …… …… …… … …… … …… …… …… … -89-
付 録 … … …… … …… …… …… … …… … …… …… …… … …… … …… …… …… … -92-
参考文献 …… …… …… … …… …… …… … …… … …… …… …… … …… … …… …… -93-
謝 辞
- 1 -
第 1 章 序論
1.1
研 究 背 景
1.1.1
太 陽 光 発 電 設 備 の 導 入 の 背 景
地 球 温 暖 化 の 緩 和 を 目 的 と し た 低 炭 素 社 会 の 構 築 が 世 界 的 な 重 要 課 題 と な っ て い る 。 日本 に お いて は 、 経済 産業 省 が2008年5月に 策定 し た 「長 期 エ ネル ギー 需 給 見通 し 」[1]
にお いて 、2020年お よ び2030年の エネ ル ギー 需給 見通 し を示 し、同 年7月 に閣 議決 定 し た「低 炭素 社 会づ く り 行動 計画 」[2]に おい て 、低炭 素社 会 への 道 筋 を示 して い る 。その 中 で 、 太 陽 光 発 電 (PV:photovoltaics) の 導 入 量 に つ い て は 、2020年 に2005年 の 約10 倍 (約1400万kW)、2030年に は2005年 の 約40倍 (約5300万kW) に す るこ と を 目 標に し てい る 。さ ら に 、2009年4月 に政 府・与党 会 議 、経 済 対策 閣僚 会 議 合同 会議 が 発表 した
「経 済危 機 対策 」[3]で は、太陽 光 発電 の 導入 量を2020年 に2005年の 約20倍( 約2800万kW) へと 目標 が 前倒 し され た( 図1.1)。
太 陽 光 発 電 の 普 及 施 策 と し て 、2009年11月 よ り 「 太 陽 光 発 電 の 余 剰 電 力 買 取 制 度 」 が 、2012年7月 から は「 再生 可能 エ ネル ギ ー の固 定価 格 買取 制 度 」が施 行さ れ 、太陽光 発電 の導 入 量は 著 しく 増加 して き てい る。平 成25年2月 末ま で に「 再生 可能 エ ネル ギ ー の 固 定 価 格 買 取 制 度 」 の 認 定 を 受 け た 太 陽 光 発 電 の 設 備 容 量 は1225.8万kWに も な り 、 そ の う ち125.7万kWは 運 転 を 開始 し て い る[4]( 図1.2)。 今 後 も 、 同 制 度 に より 、 電 力 系 統へ の太 陽 光発 電 の導 入量 の増 加 が予 想 され る。
1.1.2
太 陽 光 発 電 出 力 予 測 の 必 要 性
電力 系統 の 需給 運 用に は、 電力 の 供給 エ リア の総 需要 の 想定 が 必要 とな る。 想 定し た需 要を も とに 系 統用 発電 機の 発 電計 画 を策 定し 、発 電 機の 起 動・ 停止 、出 力 調整 を 行う から で ある[5]。太 陽光 発電 が 連系 し てい ない 、も しく は 少量 の み連 系し て いる 従 来
の電 力系 統 では 、 電力 系統 の運 用 者が 把 握し てい る需 要 は、 負 荷と して 使用 さ れる 電 力が ほと ん どで あ るた め、 過去 の 需要 実 績や 気象 の分 析 など に より 需要 の想 定 が可 能 とな って い る。 需 要実 績は 、リ ア ルタ イ ムで 計測 して い る系 統 用発 電機 の出 力 の総 和
- 2 -
(a) 「 低炭 素 社会 づく り行 動計 画 」(2008年7月)にも と づく 目標[6]
(b) 「経済 危 機対 策」(2009年4月)に も とづ く 目標 の前 倒 し[7]
図1.1 太 陽 光発 電設 備の 導入 目 標 前倒 し
- 3 -
図1.2 再 生 可能 エネ ルギ ー発 電 設備 の 導入 状況
(文 献[4]をもと に 作 成)
急 速に 導 入 拡 大
- 4 - によ り算 出 して い る。
こ こ で 、 太 陽 光 発 電 設 備 が 電 力 系 統 に 大 量 に 導 入 さ れ た 将 来 の 電 力 系 統 の 需 給 運 用 につ いて 考 える 。 太陽 光発 電の 出 力は 、
・ 天候 に大 き く影 響 を受 ける
・ 変動 も大 き いも の と予 想さ れる
・ 電力 系統 の 運用 者 から は制 御が で きな い
と い っ た 特 徴 を 持 つ た め 、 太 陽 光 発 電 が 電 力 系 統 へ 大 量 に 導 入 さ れ た 場 合 に は 、 電 力 の需 給バ ラ ンス が 維持 でき ず 、電力 の安 定 供 給が 損な わ れる 可 能性 があ る 。さら には 、 住 宅 用 太 陽 光 発 電 等 小 規 模 な 太 陽 光 発 電 設 備 に つ い て は 、 建 物 等 の 屋 内 配 線 に 接 続 さ れ 、 太 陽 光 発 電 シ ス テ ム 単 体 に は メ ー タ は 設 置 さ れ な い た め 、 太 陽 光 発 電 の 出 力 を 直 接 計 測 す る こ と は で き な い 。 そ の た め 、 太 陽 光 発 電 の 出 力 は 需 要 の 一 部 ( マ イ ナ ス 需 要 ) と し て 計 測 さ れ て し ま い 、 電 力 系 統 の 運 用 者 は 、 見 か け の 需 要 ( 実 需 用 - 太 陽 光 発 電 出 力 ) し か 把 握 で き な い こ と に な る 。 電 力 系 統 に こ の よ う な 太 陽 光 発 電 が 大 量 連 系 さ れ た 場 合 に は 、 こ れ ら 太 陽 光 発 電 の 出 力 が 、 電 力 系 統 の 運 用 者 が 把 握 す る 需 要 に 大 き く 影 響 を 与 え 、 従 来 の 電 力 需 要 想 定 手 法 で は 実 需 要 と の 間 に 大 き な 誤 差 が 生 じ て し ま う 。 こ の た め 、 太 陽 光 発 電 の 電 力 系 統 へ の 大 量 導 入 時 に は 、 従 来 の 電 力 需 要 想 定 に 加 え 、 電 力 の 需 要 と 同 じ く 電 力 の 供 給 エ リ ア 全 体 で の 太 陽 光 発 電 の 予 測 や 把 握 が 必 要と なる ( 図1.3)。
1.1.3
太 陽 光 発 電 出 力 予 測 の 現 状
太 陽光 発 電出 力 の地 点予 測の 一 例を 図1.4に示 す。 太 陽光 発 電の 出力 予測 は 、
・ 水平 面( 全 天) 日 射量 の予 測( 図1.4(a))
・ 水平 面日 射 量か ら 傾斜 面日 射量 へ の変 換 (図1.4(b))
・ 傾斜 面日 射 量か ら 太陽 光発 電出 力 への 変 換( 図1.4(c)~(d))
太陽 電池 パ ネル や パワ ーコ ンデ ィ ショ ナ ー(PCS:Power Conditioning System) を介 して 太 陽光 発 電出 力と なる
に分 けら れ 、多 く の研 究が 行わ れ てい る[8]-[15]。
- 5 -
図1.3 太 陽 光発 電出 力予 測の 必 要性
- 6 -
(a) 全天 日 射量 予 測
(b) 水 平面 日射 か ら 傾斜 面日 射 への 変 換
(c) 傾斜 面 日射 か ら 太陽 電池 出 力へ の 変換
(d) 太 陽電 池出 力 か ら太 陽光 発 電出 力 へ
図1.4 1 地 点に おけ る太 陽光 発 電出 力 予測 の例
- 7 -
ま た 、 電 力 供 給 エ リ ア 全 体 の 太 陽 光 発 電 総 出 力 は 、 こ れ ら す べ て の 太 陽 光 発 電 設 備 の出 力を 合 算す る こと が考 えら れ る( 図1.5)。
太陽 光発 電 出力 は 全天 日射 量( 強 度) に 大き く関 係す る こと か ら、 全天 日射 量 の予 測に 関す る 研究 な どが 多く 行わ れ てい る 。そ れら は予 測 精度 を 重視 して おり 、 気象 専 門の 事業 者 によ る 予測 や専 門的 な 理論 を 用い た予 測手 法 が多 い 。電 力系 統の 運 用者 は それ ら研 究 に基 づ き、
・ 気象 予 報を 行 う事 業者 等か ら 全天 日 射量 の予 測値 の 提供 を 受け る
・ 従来 の 研究 手 法を もと に全 天 日射 量 を予 測す る( 過 去の 気 象実 績デ ータ を もと に ニュ ーラ ル ネッ ト ワー クや ファ ジ ーを 用 いて 予測 する )
こと は可 能 であ る 。た だし 、全 天 日射 量 の予 測値 と実 績 が乖 離 した 場合 のこ と を考 慮 する 必要 が ある 。 全天 日射 量の 予 測値 と 実績 が乖 離し た 場合 に は、 発電 計画 の 変更 等 が必 要と な るた め 、電 力系 統の 運 用者 自 身が その 要因 を 分析 し 、予 測値 を修 正 する な ど 、す ぐに 系 統運 用へ 反映 させ る こと が 必要 とな る 。し か しな がら 、前者 にお い ては 、 気象 に関 す る専 門 的な 知識 が必 要 なこ と 、予 測値 のみ 提 供を 受 ける こと 、な ど から 、 系統 運用 者 によ る 要因 分析 がで き ない 。 後者 にお いて は 、例 え ばニ ュー ラル ネ ット ワ ーク を用 い た予 測 につ いて は、 多 くの 実 績デ ータ と過 去 に配 信 され た予 報デ ー タを ニ ュー ラル ネ ット ワ ーク に学 習さ せ て予 測 ツー ルを 作成 し てお り[15]、学 習内 容 が複 雑 な ため 予測 の プロ セ スも 複雑 であ り 、系統 運 用 者に よる 要 因分 析 が困 難で ある 。よ って 、
・ シン プ ルか つ 電力 系統 の運 用 者に と って 使い やす い 予測 手 法
・ 誰に で も容 易 に入 手で きる 天 気予 報 デー タを 活用 し た予 測 手法 が必 要と な る。 こ れに より 、予 測 値と 実 績が 乖離 した 場 合に お いて も、
・ 入力 デ ータ で ある 天気 予報 に 要因 が ある
・ 予測 モ デル の 一部 に要 因が あ る
など 、誤 差 の要 因 分析 が可 能と な り、 そ の結 果を 系統 運 用に 反 映で きる こと と なる 。 また 、既 存 の研 究 は地 点予 測に 関 する も のが 多く 、電 力 の需 給 運用 に必 要な 広 域に わた る予 測 につ い ては 、気 象業 務 を行 う 事業 者も 含め 検 討が 行 われ てい る段 階[16]であ るこ と、 前 述す る よう に全 ての 太 陽光 発 電出 力を 合算 す るよ う な方 法で は手 間 を要 す る( 図1.6) こと 、な どか ら、 電 力系 統 運用 者に とっ て の理 解 のし やす さ、 負 担等 を 考 慮し た予 測 手法 が 必要 とな る。
- 8 -
図1.5 電 力 供給 エリ ア全 体の 太 陽光 発 電総 出力
- 9 -
図1.6 広 域 にお ける 詳細 な太 陽 光発 電 出力 予測 手法
地点A専用 全天日射量 予測モデル 時間情報
地点Aの位置情報 地点Aにおける 全天日射量 地点Aの気象情報
時間情報 地点Bの位置情報 地点Bの気象情報
時間情報 地点Cの位置情報 地点Cの気象情報
地点B専用 全天日射量 予測モデル
地点Bにおける 全天日射量
地点C専用 全天日射量 予測モデル
地点Cにおける 全天日射量
時間情報 地点Zの位置情報 地点Zの気象情報
地点z専用 全天日射量 予測モデル
地点zにおける 全天日射量
・・・
全ての太陽光発電設備について、個別に予測値を求め、合算する
入力データ(設置地点毎に入力データが必要) (設置地点毎に予測モデルが必要)予測モデル
広域における 太陽光発電出力 地点Aにおける
太陽光発電出力
地点Bにおける 太陽光発電出力
地点Cにおける 太陽光発電出力
地点Zにおける 太陽光発電出力
図1.4(b)~(d)
- 10 -
さ らに 、 水平 面 の全 天日 射量 か ら太 陽 光発 電出 力に 変 換す る には 、 図1.4(b)~(d)に 示す ステ ッ プで は 、
・ 太陽 光発 電 設備 の 設置 状況 (設 置 方位 、 設置 傾斜 角等 )
・ 太陽 電池 パ ネル の 特性
・ パワ ーコ ン ディ シ ョナ ーの 特性
など が必 要 とな る 。し かし なが ら 、電 力 の供 給エ リア に 設置 さ れる 膨大 な量 の 太陽 光 発電 設備 す べて に つい て、 これ ら 情報 を 入手 する こと は 困難 で ある 。ま た、 入 手で き たと して も 、す べ ての 設備 につ い て変 換 を行 うこ とは 、 処理 が 膨大 とな り合 理 的で は ない 。よ っ て、 水 平面 全天 日射 量 から 、 直接 太陽 光発 電 設備 に 換算 する 簡易 な 手法 が 必要 とな る 。
1.2
研 究 概 要
本 論文 で は、 太 陽光 発電 が大 量 に導 入 され た電 力系 統 の需 給 運用 を考 慮し た 太陽 光 発電 出力 予 測手 法 を提 案す る。 研 究の 全 体概 要図 を図1.7に示 す。 電力 の供 給 エリ ア に おけ る太 陽 光発 電 の総 出力 予測 は 、供 給 エリ ア内 の複 数 のグ ル ープ (広 域) の 予測 値 を合 算し た もの で ある 。各 グル ー プの 太陽 光 発電 出力 予 測は 、“グ ルー プの 代 表地 点 の 全天 日射 量 ”、“ 太 陽光 発電 出力 換 算係 数 ”お よび “契 約 容量 ” を乗 じた もの で ある 。
本論 文で は 、ま ず は、 全天 日射 量 予測 手 法に つい て提 案 する 。
(1) 天 気 予 報 を 用 い た 、 シ ン プ ル か つ 使 い や す い2つ の 地 点 予 測 手 法
全 天 日 射 量 予 測 は 、 図1.8に 示 す よ う に 、 気 象 実 績 デ ー タ か ら 作 成 し た “ 予 測 モ デ ル ”に “ 天 気 予 報 デ ー タ ”を 入 力 デ ー タ と し て 入 力 す る こ と に よ り 、 求 め る こ と と す る 。
(1-1) 数 日 先 の 予 測 を 目 的 と し た 全 天 日 射 量 の 幅 の 予 測 手 法
数 日 先 の 予 測 は 、 火 力 発 電 機 等 の 周 辺 機 器 の 準 備 や 運 転 体 制 を 整 え る た め の も の で あ り 、 火 力 発 電 機 等 の 運 転 台 数 が 計 画 で き る こ と が 重 要 で あ る 。 よ っ て 、 実 績 値 が 予 測 値 に 対 し 、 ど の 程 度 乖 離 す る 可 能 性 が あ る か を 考 慮 す る 必 要 が あ る 。 こ の た め 、 予 測 を 幅 で 表 す こ と が 重 要 で あ り 、 全 天 日 射 量 の 幅 を 予 測 す る 手 法 を 提 案 す る 。
- 11 -
図1.7 研 究 の全 体概 要図
1地点における 全天日射量予測
数日先の予測 全天日射量の幅の
予測(第2章)
翌日の予測 全天日射量の値の
予測(第3章)
広域における 全天日射量予測
(第4章)
太陽光発電出力への 簡易 換算(第5章)
広域におけるPV総出力
広域における 代表地点の 全天日射量予測
PV出力 換算係数
PV
× × 契約容量
電力の供給エリアにおける PV の総出力予測
グループ1
グループ2 グループn
図1.8 全 天 日射 量予 測手 法の 概 要図
予測モデル
+
入力データ
⇒ 全天日射量予測 気象実績データ
気象データ 全天日射量データ
天気予報データ
- 12 -
予 測 の 幅 に つ い て は 、 過 去 の 全 天 日 射 量 の 実 績 値 よ り 算 出 し た 晴 天 指 数 の 記 述 統 計 に よ り 求 め て い る 。 具 体 的 に は 、 晴 天 指 数 を 天 気 別 に 分 類 し 、 さ ら に 天 気 別 晴 天 指 数 の 分 布 形 状 か ら 、 ベ ー タ 分 布 の 歪 度 と 尖 度 を 用 い て 時 期 別 に 分 類 し た も の を パ ー セ ン タ イ ル 法 に よ り 、 予 測 の 範 囲 ( 予 測 幅 ) を 得 て い る 。( 第2章 )
(1-2) 翌 日 の 予 測 を 目 的 と し た 全 天 日 射 量 予 測 手 法
翌 日 の 予 測 は 、 火 力 機 の 起 動 指 令 の タ イ ミ ン グ を 調 整 す る た め の も の で あ り 、 予 測 精 度 が 要 求 さ れ る 。 こ の た め 、 数 日 先 予 測 手 法 の よ う に 幅 で 表 す の で は な く 、 全 天 日 射 量 の 値 を 精 度 よ く 予 測 す る 手 法 を 提 案 す る 。
予 測 に つ い て は 、 天 気 別 ・ 時 期 別 に 分 割 さ れ た 実 績 デ ー タ を 、 二 進 木 を 用 い て さ ら に 分 割 す る こ と で 入 出 力 間 の 関 係 を 線 形 に 近 づ け 、 そ れ ぞ れ の デ ー タ セ ッ ト に 対 し 、 因 子 分 析 に よ り 、 線 形 近 似 予 測 モ デ ル を 作 成 し て い る 。 な お 、 晴 天 指 数 で は 太 陽 高 度 に 起 因 す る 日 射 の 大 気 層 を 通 過 す る 距 離 の 影 響 を 除 去 で き な い た め 、 予 測 精 度 を 高 め る 目 的 で 補 正 日 射 到 達 率 を あ ら た に 提 案 し 、 晴 天 指 数 に 代 わ り 、 予 測 対 象 と し て 用 い て い る 。( 第3章 )
(2) 入 力 デ ー タ 数 の 低 減 や モ デ ル の 統 合 に よ り 予 測 の 手 間 を 省 い た 広 域 に お け る 全 天 日 射 量 予 測 手 法
電 力 系 統 の 需 給 運 用 は 、 電 力 の 供 給 エ リ ア 全 体 で の 需 要 と 供 給 の バ ラ ン ス を 保 つ も の で あ る 。 よ っ て 、 電 力 の 供 給 エ リ ア 全 体 に 亘 る 太 陽 光 発 電 の 出 力 予 測 が 必 要 と な る が 、 太 陽 光 発 電 設 備 の 設 置 地 点 毎 に 出 力 を 予 測 す る こ と は 繁 雑 で あ る 。 こ の た め 、 電 力 の 供 給 エ リ ア を 複 数 の グ ル ー プ で 表 し( 図1.9)、グ ル ー プ の 代 表 地 点 の 全 天 日 射 量 を 予 測 す る こ と に よ り 、 広 域 の 全 天 日 射 量 を 求 め る こ と で 予 測 の 手 間 を 省 い た 、 広 域 に お け る 全 天 日 射 量 予 測 手 法 ( 図1.10) を 提 案 す る 。
入 力 デ ー タ に つ い て は 、 日 照 時 間 デ ー タ の 相 関 分 析 や 平 均 絶 対 偏 差 分 析 に よ り 、天 気 が 類 似 の 地 点 同 士 を グ ル ー ピ ン グ す る こ と で 低 減 し た 。 ま た 予 測 モ デ ル に つ い て も 、 全 天 日 射 量 と 他 の 気 象 項 目 と の 関 係 が 類
- 13 -
図1.9 電 力 供給 エリ アに おけ る グル ー プの イメ ージ Group 1
Group 3 Group 2
Group 4
Group 5
Group 6
- 14 -
図1.10 広 域に お ける 全天 日射 量 予測 の 提案 手法 の概 要
(複 数地 点 共通 モ デル のイ メー ジ 図)
時間情報 グループA代表地点
の位置情報
グループAにおける 全天日射量 グループA代表地点
の気象情報
時間情報 グループB代表地点
の位置情報 グループB代表地点
の気象情報
時間情報 グループC代表地点
の位置情報 グループC代表地点
の気象情報
グルーフAB共通 全天日射量 予測モデル
グループBにおける 全天日射量
グルーフC~F共通 全天日射量 予測モデル
グループCにおける 全天日射量
時間情報 グループF代表地点
の位置情報 グループF代表地点
の気象情報
グループFにおける 全天日射量
・・・
入力データ(代表地点毎にデータを入力) (複数地点共通の予測モデル)予測モデル
広域における 全天日射量 グルーフAB共通
全天日射量 予測モデル
グルーフC~F共通 全天日射量 予測モデル
- 15 -
似 の モ デ ル を 統 合 し 、 予 測 精 度 を 損 な う こ と な く 、 モ デ ル 数 の 低 減 を 図 っ て い る 。 こ れ に よ り 、 予 測 の 負 担 を 軽 減 し て い る 。( 第4章 ) さ ら に 、 得 ら れ た 全 天 日 射 量 か ら 太 陽 光 発 電 出 力 を 直 接 推 定 す る 「 太 陽 光 発 電 出 力 の 簡 易 換 算 手 法 」 を 提 案 す る 。
全 天 日 射 量 は 水 平 面 で の 値 で あ る が 、 太 陽 光 発 電 設 備 は 傾 斜 し て 設 置 さ れ て お り 、 こ の 影 響 を 考 慮 す る 必 要 が あ る 。 ま た 、 全 天 日 射 量 が 太 陽 光 発 電 出 力 と な る た め に は 、 太 陽 電 池 パ ネ ル や パ ワ ー コ ン デ ィ シ ョ ナ ー の 特 性 を 考 慮 す る 必 要 が あ る 。 し か し な が ら 、 電 力 の 供 給 エ リ ア 内 す べ て の 太 陽 光 発 電 設 備 に つ い て 、 こ れ ら を 反 映 す る こ と は 困 難 で あ る 。 こ の た め 、 全 天 日 射 量 か ら 太 陽 光 発 電 出 力 を 直 接 推 定 す る 太 陽 光 発 電 出 力 の 簡 易 換 算 手 法 を 提 案 す る 。
換 算 手 法 に つ い て は 、 全 天 日 射 強 度 と 既 設 の 太 陽 光 発 電 設 備 の 出 力 実 績 デ ー タ の 相 関 分 析 か ら 、 換 算 の 定 式 化 な ら び に 換 算 係 数 を 求 め て い る 。( 第5章 )
1.3
論 文 の 構 成
本 論 文 「 電 力 系 統 の 需 給 運 用 に お け る 太 陽 光 発 電 出 力 予 測 に 関 す る 研 究 」 の 構 成 は 以 下 の と お り 。
第1章 で は 、 研 究 の 背 景 お よ び 概 要 に つ い て 述 べ る 。
第2章 ~4章 で は 、 太 陽 光 発 電 の 出 力 の も と と な る 水 平 面 の 全 天 日 射 量 の 予 測 手 法 に つ い て 述 べ る 。
こ の う ち 第2章 で は 、 数 日 先 の 予 測 を 目 的 と し た 1 地 点 に お け る 全 天 日 射 量 の 幅 の 予 測 手 法 に つ い て 述 べ る 。
第3章 で は 、 翌 日 の 予 測 を 目 的 と し た 1 地 点 に お け る 全 天 日 射 量 予 測 手 法 に つ い て 述 べ る 。
第 4 章 で は 、 入 力 デ ー タ 数 の 低 減 や モ デ ル の 統 合 に よ り 予 測 の 手 間 を 省 い た 広 域 に お け る 全 天 日 射 量 予 測 手 法 に つ い て 述 べ る 。
- 16 -
第5章 で は 、 得 ら れ た 全 天 日 射 量 か ら 太 陽 光 発 電 出 力 を 直 接 推 定 す る 太 陽 光 発 電 出 力 の 簡 易 換 算 手 法 に つ い て 述 べ る 。
第6章 で は 、 本 論 文 の 結 論 を 記 述 し て い る 。
- 17 -
第 2 章 1地点における数日先の全天日射量の幅の予測手法
本 章 で は 、 全 天 日 射 量 の 地 点 予 測 の う ち 数 日 先 の 予 測 を 目 的 と し た 全 天 日 射 量 の 幅 の 予 測 手 法 に つ い て 述 べ る 。 数 日 先 の 予 測 は 、 火 力 発 電 機 等 の 周 辺 機 器 の 準 備 や 運 転 体 制 を 整 え る た め の も の で あ り 、 火 力 発 電 機 等 の 運 転 台 数 が 計 画 で き る こ と が 重 要 で あ る 。 よ っ て 、 実 績 値 が 予 測 値 に 対 し 、 ど の 程 度 乖 離 す る 可 能 性 が あ る か を 考 慮 す る 必 要 が あ る 。 こ の た め 、 予 測 を 幅 で 表 す こ と が 重 要 で あ り 、 全 天 日 射 量 の 幅 を 予 測 す る 手 法 を 提 案 す る 。
2.1
予 測 手 法
全 天 日 射 量 の 予 測 の 幅 に つ い て は 、 過 去 の 全 天 日 射 量 の 実 績 値 よ り 算 出 し た 晴 天 指 数 (CI:Clearness Index) の 記 述 統 計 に よ り 求 め る 。 記 述 統 計 を 用 い る こ と に よ り 、 予 測 に 含 ま れ る ば ら つ き を 考 慮 し た 予 測 値 ( 幅 ) を 得 る こ と が で き る 。 同 じ 天 気 の も と で は 、 予 測 の ば ら つ き は 、 晴 天 指 数 の 分 布 に よ っ て 記 述 す る こ と が で き る 。 分 布 状 況 さ え 判 れ ば 、 天 気 に 基 づ き 、 予 測 幅 を 得 る こ と が 可 能 と な る 。 こ こ で 晴 天 指 数 と は 、全 天 日 射 量 を 大 気 外 全 天 日 射 量[ 1 7 ]で 除 し た も の で あ り 、時 刻 と 位 置 ( 緯 度 ・ 経 度 ) に よ っ て 決 ま る 太 陽 高 度 の 影 響 を 除 外 し た も の で あ る 。 こ れ に よ り 、 気 象 の 影 響 の み を 考 慮 し た 予 測 モ デ ル を 作 成 す る こ と が 可 能 と な る 。
予 測 の ス テ ッ プ は 、 実 績 デ ー タ の 分 析 ( 予 測 モ デ ル の 作 成 ) と 日 射 量 の 算 出 の 大 き く2つ に 分 け ら れ る 。 予 測 モ デ ル の 作 成 は 、 気 象 実 績 デ ー タ を も と に 、 天 気 と 日 射 量 の 関 係 を 導 く こ と に あ る 。
1. 実 績 デ ー タ の 抽 出 ( 気 象 庁 提 供 の 天 気 の 実 績 は3時 間 毎 に 記 録 さ れ て い る
[ 1 8 ] , [ 1 9 ]た め 、 検 討 に は9、12、15、18時 の 天 気 ( 晴 、 薄 曇 、 曇 な ど ) お よ び 全
天 日 射 量 の 実 績 デ ー タ を 抽 出 )
2. 1.で 抽 出 し た 全 天 日 射 量 実 績 デ ー タ を 、(2.1)式 に よ り 晴 天 指 数 に 変 換 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ (2.1)
ただ し、Iθは 太陽 高 度θでの 全天 日 射量
Ioθは 太 陽高 度θでの 大気 外 全天 日射 量
θ θ
I
oCI = I
- 18 -
3. 晴 天 指 数 を 天 気 種 別 ご と に 分 類 し 、天 気 種 別 ご と に 分 類 し た 晴 天 指 数 に つ い て 、 各 月 の 上 ・ 中 ・ 下 旬 で の 度 数 分 布 を 作 成
4. 3.の 度 数 分 布 を ベ ー タ 分 布 で 表 現 し 、そ の 分 布 形 状( 歪 度 お よ び 尖 度 )か ら 、 1年 を4つ 程 度 の 時 期 に ま と め る
5. そ れ ぞ れ に つ い て パ ー セ ン タ イ ル 法 を 用 い 、中 央値( 予測 値 )およ び任 意 の上 下限 値( 予測 幅) を 算 出し 作成 。な お 本論 文 では 、晴 天指 数 の分 布 の形 状等 を考 慮し 、上 下 限値 を97.7およ び2.3パ ーセ ンタ イル 値と し た( 図2.1)
に よ り 、 天 気 別 時 期 別 の 全 天 日 射 量 予 測 幅 モ デ ル を 作 成 す る こ と が で き る 。 こ の モ デ ル に 、 予 測 対 象 日 時 の 天 気 予 報 ( 天 気 種 別 ) と 時 刻 と 位 置 ( 緯 度 ・ 経 度 ) に よ っ て 決 ま る 大 気 外 全 天 日 射 量 を 入 力 す る こ と で 、 全 天 日 射 量 予 測 幅 を 得 る こ と が で き る 。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ (2.2)
2.1.1
天 気 別 の デ ー タ セ ッ ト 分 割
全 天 日 射 量 を 予 測 す る に あ た り 、 晴 の と き は 全 天 日 射 量 が 多 く 、 雨 の と き は 全 天 日 射 量 が 少 な い な ど 、 経 験 的 に 天 気 が 全 天 日 射 量 と 関 係 が 深 い こ と は 分 か っ て い る 。 し か し 、 天 気 の 種 別 ( 晴 、 曇 、 雨 な ど ) は 客 観 的 に 数 値 化 す る こ と が 困 難 で あ り 、 予 測 式に 組み 込 みに く い。 そこ で、 天 気別 に デー タセ ット を 分割 し 、簡 略化 を行 う 。
天気 の実 績 の多 く は、“快 晴 ”、“ 晴 ”、“薄 曇 ”、“ 曇 ”、“ 雨 ”であ る 。そ こ で、本 章で はそ れぞ れ で別 の 予測 モデ ルを 作 成す る 。
2.1.2
ベ ー タ 分 布 を 用 い た 時 期 別 の デ ー タ セ ッ ト 分 割
全天 日射 量 を予 測 する にあ たり 、 時期 の 違い によ り全 天 日射 量 の分 布に 違い が ある こと も考 慮 する 必 要が ある 。し か し、 時 期は 天気 と同 様 に数 値 化す るこ とが 困 難で あ り、 予測 式 に組 み 込み にく い。 そ こで 、 天気 別に 加え 、 時期 別 にデ ータ セッ ト を分 割 し、 モデ ル を作 成 する こと で簡 略 化を 行 う。
θ
θ
CI I
oI = ×
- 19 -
図2.1 晴 天 指数 の累 積度 数分 布
(文 献[20]を もと に作 成)
0.0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 1.0
0 10 20 30 40 50 60 70 80 90
100 パーセント
晴天指数
95.45%
97.7 パーセンタイル値
中央値 予測の幅
(予測範囲)
2.3 パーセンタイル値
(予測値)
- 20 -
時期 別の 分 類で は、1年を いく つ かの 時 期に 分割 して 、それ ぞれ の 時期 に対 し て予 測 モ デ ル を 作 成 す る こ と と す る 。 分 割 す る こ と で 、 ひ と つ ひ と つ の 予 測 モ デ ル の 精 度 が 向 上 す る と 期 待 で き る た め で あ る 。 し か し 、 分 割 数 が 多 す ぎ る と 、 予 測 モ デ ル が 多 く な り 繁 雑 と な っ て し ま う た め 、 実 際 の 運 用 に お い て 予 測 す る 際 の 負 担 と な る 。 こ の よ う に な ら な い た め に は 、 適 切 な 分 割 点 を 決 定 し 、 分 割 数 を 増 や し す ぎ な い よ う に す る 必要 があ る 。そこ で 、各月 を上 旬 、中旬 、下 旬に 分け る こと で1年 を36のグ ル ープ に 分 け、これ ら に属 する デ ータ セッ ト の特 徴 をも とに 分割 点 を決 め、1年を 数個 に まと め る こと とす る 。
分 割 点 を 決 定 す る に あ た っ て 、36個 の そ れ ぞ れ の グ ル ー プ に 含 ま れ る デ ー タ セ ッ ト に 対 す る 予 測 対 象yと 説 明 変 数xiと の 間 の 関 係 式 が 必 要 と な る 。 こ の 関 係 式 が 似 た 形 状 を し て い る グ ル ー プ で は 、 同 一 の 予 測 モ デ ル を 使 用 で き る と 考 え る こ と が で き る た め であ る。
分割 点は 、予測 対象yの頻 度分 布 をも と に決 める こと と する 。頻 度 分布 の形 状 は、ベ ー タ 分 布 で 表 す こ と が で き る 。 ベ ー タ 分 布 は 、 以 下 の(2.3)式 で 表 さ れ る 確 率 分 布 で あ る[21]。
𝑓(𝑥) = �
1
B(α,β)𝑥α−1(1 − 𝑥)β−1 (a ≤ 𝑥 ≤ b)
0 (otherwise) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ (2.3) ただ し、B(α, β)は ベー タ 関数 と呼 ばれ
B(α, β) = ∫ 𝑙01 α−1(1 − 𝑙)β−1𝑑𝑙 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ (2.4) と 表 さ れ る 。 ベ ー タ 分 布 は さ ま ざ ま な 形 状 を 取 り 得 る の で 、 特 性 が 不 明 の 分 布 に つ い て、 有限 区 間で の デー タ解 析に 適 して い る。
ベ ー タ 分 布 は パ ラ メ ー タ を 変 化 さ せ る こ と に よ っ て 、 様 々 な 形 状 を と る こ と が で き る た め 、 こ の パ ラ メ ー タ を も と に デ ー タ セ ッ ト を 分 割 す る こ と を 考 え る 。 こ こ で パ ラ メー タαとβは、 デ ータ から 求め た 平均μと分 散σ2を用 いて
α = µ �µ(1−µ)σ2 − 1� ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ (2.5) β = (1 − µ) �µ(1−µ)σ2 − 1� ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ (2.6)
- 21 -
と 求 め る こ と が で き る 。 し か し 、 パ ラ メ ー タαとβは 分 布 の 形 状 に 対 す る 直 接 的 な 意味 が 分 か り に く い 。 そ こ で 、 以 下 の(2.7)式 、(2.8)式 で 表 さ れ る ベ ー タ 分 布 の 歪 度 と 尖 度 を分 割の 基 準と す る。
歪度 =2(β−α)(α+β+1)12 (α+β+2)(αβ)12
・・・・・・・・・・・・・・・・・ (2.7)
尖度 =3(α+β)(α+β+1)(α+1)(2β−α)
αβ(α+β+2)(α+β+3) +α(α−β)α+β ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ (2.8) 歪 度 と 尖 度 は 確 率 分 布 の 形 状 特 性 を 表 す 指 標 で あ り 、 歪 度 は 確 率 分 布 の 形 状 が 平 均 に 対 し て ど の 程 度 偏 り が あ る か 、 尖 度 は 確 率 分 布 が ど の 程 度 な だ ら か な 形 状 を し て い るか を表 し てい る 。
2.2
全 天 日 射 量 予 測 幅 モ デ ル
九 州 地 方 を 例 に 全 天 日 射 量 予 測 幅 モ デ ル の 作 成 を 行 っ た 。 モ デ ル 作 成 に は 、 気 象 庁 提供 の気 象 実績 デ ータ をも とに 、九州 の7県 庁所 在地 に つい て、全 天日 射量 を 記録 し て いる1991~2008年 の実 績デ ータ[ 1 8 ] , [ 1 9 ]を用 い た。
2.2.1
天 気 別 デ ー タ セ ッ ト に 基 づ く 全 天 日 射 量 予 測 幅 モ デ ル
図2.2に 福 岡 市 に お け る 天 気 別 晴 天 指 数 の 分 布 を 、 図2.3に 九 州7県 庁 所 在 地 全 都 市 に おけ る天 気 別晴 天 指数 の例 を示 す 。図2.2お よ び2.3とも 同 様の 傾向 を示 して い る。“ 晴”
のケ ース に おい て は、晴天 指数 が 高い 方 にデ ータ が偏 る 傾向 が あり 、“曇 ”→“ 雨 ”に な る に つ れ 、 晴 天 指 数 の 低 い 方 に 偏 る 傾 向 が あ る 。 何 れ の ケ ー ス に お い て も 、 正 規 分 布 を 形 成 し て お ら ず 、 予 測 モ デ ル の 作 成 に は 標 準 偏 差 で は な く 、 パ ー セ ン タ イ ル 値 を 適用 する こ とが 好 まし いこ とが わ かる 。
表2.1に福岡市での、表2.2に九州7県庁所在地全都市の天気種別の晴天指数のパーセンタイ ル値を示す。先に述べたように“晴”のケースにおいては晴天指数が高い方に、“曇”および“雨”
のケースにおいては晴天指数が低い方にデータが偏る傾向が、表2.1、2.2の結果に反映されてい る。
- 22 - (a) 晴のケース
(b) 曇のケース
(c) 雨のケース
図2.2 天気別晴天指数の分布(福岡市:1991~2008年)
(文献[22]をもとに作成)
0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 1.0
晴天指数
頻度
0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 1.0 晴天指数
頻度
0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 1.0
晴天指数
頻度
- 23 - (a) 晴のケース
(b) 曇のケース
(c) 雨のケース
図2.3 天気別晴天指数の分布(九州7県庁所在地:1991~2008年)
(文献[22]をもとに作成)
0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 1.0 晴天指数
頻度
0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 1.0 晴天指数
頻度
0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 1.0 晴天指数
頻度
- 24 -
表2.1 晴天指数のパーセンタイル値(福岡市)
天気 50%
(予測値)
97.72%
(上限値) (最大) 2.28%
(下限値) (最小)
晴 0.61 0.76 (0.87) 0.26 (0.09)
曇 0.26 0.59 (0.79) 0.06 (0.01)
雨 0.09 0.36 (0.68) 0.03 (0.00)
1991~2008年の9、12、15時の全天日射量データ(気象庁提供)より算出
(文献[22]をもとに作成)
表2.2 晴天指数のパーセンタイル値(九州7県庁所在地)
天気 50%
(予測値)
97.72%
(上限値) (最大) 2.28%
(下限値) (最小)
晴 0.62 0.76 (0.90) 0.27 (0.06)
曇 0.27 0.61 (0.85) 0.06 (0.00)
雨 0.09 0.40 (0.76) 0.02 (0.00)
1991~2008年の9、12、15時の全天日射量データ(気象庁提供)より算出
(文献[22]をもとに作成)
- 25 -
この値に、太陽高度(時刻、緯度・経度により算出)によって決まる大気外全天日射量を乗じ ることで、天気種別に応じた全天日射量予測幅モデルを作成することができる。図2.4に全天日 射量予測幅モデルの例として、2009年5月1日の福岡市を対象としたケースを示す。天気をそ れぞれ(a)晴、(b)曇、(c)雨としたケースの予測中心と幅(上下限)を表している。
作成した予測幅モデルをもとに2ケースの全天日射量幅の予測を行った。対象は2009年5月 1日の福岡市(図2.5)と2009年8月1日の鹿児島市(図2.6)である。入力データには予報値 の代わりとして当日の天気実績を使用した。当日の福岡市の天気は、6、9 時が晴、12、15、18 時が快晴となっており、鹿児島市の天気は、6時が曇、9時が薄曇、12時以降(15、18時)は曇 である。(同図では、天気実績の記録の無い時刻の天気は、前に記録された天気を用いている)。
シミュレーション結果より、両ケースとも全天日射量の実績値が予測値の上下限内に納まって おり、天気が良いケースおよび悪いケースとも、全天日射量の予測ができていることを表してい る。また、天気実績の記録がある9、12、15、18時においては、全天日射量の実績値が予測値の 中心に近接しており、50%値が予測値として用いることができることも表している。
なお、予測の上下限をさらに狭くする、すなわち予測の精度を高めることができれば、誤差範 囲を狭くすることが可能となり、発電機の予備力を低減することが可能となる。天気は季節等の 時期の影響を受けることも考えられるため、2.2.2 項にて時期別の全天日射量予測幅モデルの作 成し、予測精度の評価を実施する。
2.2.2
時 期 別 デ ー タ セ ッ ト に 基 づ く 全 天 日 射 量 予 測 幅 モ デ ル
2.2.1 項では、天気別のデータセットに基づく全天日射量の予測幅モデルを作成した。天気は
季節等時期の影響を受けることも考えられるため、本項では天気別に加え、時期別の全天日射量 予測幅モデルの作成し、予測精度の評価を実施する。
図2.7 は、福 岡市 での”晴“の場 合に お ける 、1 月上 旬 、5 月下 旬 、11月上 旬 の晴 天指 数 の 分 布 を ベ ー タ 分 布 の 形 状 で 表 し た も の で あ る 。 同 図 よ り 、 時 期 に よ り 分 布 の 幅 や 中 心 が 大 き く 異 な っ て い る こ と が わ か る 。 よ っ て 、 全 天 日 射 量 の 予 測 幅 モ デ ル も 、 時 期別 に分 類 する こ とに より 予測 幅 の低 減 を図 るこ とが で きる 。この こと から 、九州 の 7 県庁 所在 地 の晴 天 指数 につ いて 、 地点 毎 にベ ータ 分布 の 歪度 お よび 尖度 の年 間 の中 央
- 26 - (a) 晴のケース
(b) 曇のケース
(c) 雨のケース
図2.4 全天日射量予測幅モデル(福岡市:2009年5月1日)
(文献[22]をもとに作成)
0 200 400 600 800 1,000 1,200
6 8 10 12 14 16 18 20
予測値(上限) 予測値(中心)
予測値(下限)
時 刻 [時]
全天日射量[W]
0 200 400 600 800 1,000 1,200
6 8 10 12 14 16 18 20
予測値(上限) 予測値(中心)
予測値(下限)
全天日射量[W]
時 刻 [時]
0 200 400 600 800 1,000 1,200
6 8 10 12 14 16 18 20
予測値(上限) 予測値(中心)
予測値(下限)
全天日射量[W]
時 刻 [時]
予 測 幅
予 測 幅
予 測 幅
- 27 -
図2.5 全天日射量の予測と実績(福岡市:2009年5月1日)
(文献[22]をもとに作成)
0 200 400 600 800 1,000 1,200
6 8 10 12 14 16 18 20
予測値(上限) 予測値(中心)
予測値(下限) 実績
時 刻 [時]
全天日射量[W]
図2.6 全天日射量の予測と実績(鹿児島市:2009年8月1日)
(文献[22]をもとに作成)
0 200 400 600 800 1,000 1,200
6 8 10 12 14 16 18 20
予測値(上限) 予測値(中心)
予測値(下限) 実績
時 刻 [時]
全天日射量[W]
- 28 -
図2.7 晴 天 指数 の分 布形 状(福 岡市 :晴 の ケー ス、1991~2008年)
(文 献[20]を もと に作 成)
0.0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 1.0
1月上旬 5月下旬 11月上旬
晴天指数
- 29 - 値で 時期 を 区分 す ると 、お およ そ
① 1 月上 旬 ~2月 中 旬、10月下 旬 ~12月 下 旬
② 2 月下 旬 ~3月 下 旬
③ 4 月上 旬 ~5月 中 旬
④ 5 月下 旬 ~10月 中 旬
と な る 。 天 気 種 別 の 中 で 頻 度 の 高 い “ 晴 れ ” と “ 曇 り ” の ケ ー ス に つ い て 、 参 考 と し て、図 2.8 に“ 晴れ ”のケ ース に おけ る 尖度 の月 別推 移 を、図 2.9 に“ 曇り ”の ケー ス にお ける 歪 度の 月 別推 移を 参考 に 示す 。
天気別に加え、時期別に作成した予測モデルをもとに予測した結果と実績値の例を図 2.10 に 示す。同図は2009年5月1日の福岡市での例であり、破線が通年で予測モデルを作成したケー ス、実線(太線)が③(4 月上旬~5 月中旬)でモデルを作成したケース、実線(細線)が実績値 である。通年の予測幅モデルを用いた場合(図2.5)と比較し、時期別の予測モデルを用いた場 合は、予測幅が約 15~23%低減されている。また、実績値がほぼ予測幅内に入っており、予測 モデルとして使用できることがわかる。
2.3
第 2 章 の ま と め
本章では、全天日射量の地点予測のうち数日先の予測を目的とした全天日射量の幅の予 測手法を提案した。全天日射量の予測の幅については、過去の全天日射量の実績値より算 出した晴天指数の記述統計により求めている。まず、晴天指数を天気別に分類し、さらに 天気別晴天指数の分布形状から、ベータ分布の歪度と尖度を用いて時期別に分類したもの をパーセンタイル法により、予測の範囲(予測幅)を得ている。これにより、実績値が予 測値に対し、どの程度乖離する可能性があるかを考慮することができる。よって、数日先 の電力需要に対し、火力発電機等の運転台数を計画し、周辺機器の準備や運転体制を整え ることが可能となる。
- 30 -
図2.8 尖 度 の月 別推 移( 晴の ケ ース 、1991~2008年)
(文 献[23]を もと に作 成)
0.0 1.0 2.0 3.0 4.0 5.0 6.0 7.0 8.0
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12
福 岡 佐 賀 長 崎 大 分 熊 本 宮 崎 鹿児島
尖度
月
図2.9 歪 度 の月 別推 移( 曇の ケ ース 、1991~2008年)
(文 献[23]を もと に作 成)
0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12
福 岡 佐 賀 長 崎 大 分 熊 本 宮 崎 鹿児島
月
歪度
平 均 都 市 に よ り
異 な る
平 均 都 市 に よ り
異 な る
① ② ③ ④ ①
① ② ③ ④ ①
- 31 -
図2.10 予 測結 果 と実 績値 の例 ( 福岡 市 :2009年5月1日)
(文 献[20]を もと に作 成)
0 200 400 600 800 1,000 1,200
6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20
予測上限 予測中心 予測下限 予測上限 予測中心 予測下限 実 績
時 刻 [時]
全天日射量[W]
通年
4月上旬
~ 5月中旬
約23%の減
約15%の減
- 32 -
第 3 章 1地点における翌日の全天日射量予測手法
本 章 で は 、 全 天 日 射 量 の 地 点 予 測 の う ち 翌 日 の 予 測 を 目 的 と し た 全 天 日 射 量 予 測 手 法 に つ い て 述 べ る 。 翌 日 の 予 測 は 、 火 力 機 の 起 動 指 令 の タ イ ミ ン グ を 調 整 す る た め の も の で あ り 、 予 測 精 度 が 要 求 さ れ る 。 こ の た め 、 数 日 先 予 測 手 法 の よ う に 幅 で 表 す の で は な く 、 全 天 日 射 量 の 値 を 精 度 よ く 予 測 す る 手 法 を 提 案 す る 。 3.1
予 測 手 法
予測については、全天日射量を予測するための入力情報として、予測対象日の1日前に容易 に得られる気象予報データを用いる。これらから求めた説明変数xi(i=1, …, n)と予測対象yの 間の関係式は非線形となるため、全てのデータセットに同一の予測モデルを用いると、複雑な予 測モデルが必要になる。そこで、データセットを線形近似できるグループに分割し、それぞれの データセットに対して線形予測モデルを作成する。このように予測モデルを作成することで非線 形性に対応し、入出力間の関係が分かりやすいモデルとなる。本手法では以下の操作を行うこと で予測モデルを構築する。本手法では、
1. 客観 的に 予 測式 に 組み 込む こと が 困難 な 天気 種別・時 期 別に デ ータ セッ トを 分 割 する
2. 二進 木(BT:Binary Trees)を用 いて 、1.で分 割さ れた そ れぞ れ のデ ータ セッ ト を さら に説 明 変数xiの値 で分 割し 、 入出 力 間の 関係 を線 形 に近 づ ける
3. 2.で分割されたそれぞれのデータセットに対して、因子分析(FA:Factor Analysis)を用い て線形近似モデルを作成する
とい う3つ の操 作 を行 うこ とで 予 測モ デ ルを 構築 する
な お 、 数 日 先 の 全 天 日 射 量 の 幅 の 予 測 で は 、 一 般 的 に 用 い ら れ る 晴 天 指 数 を 予 測 対 象 と し て 用 い て い る 。 翌 日 の 全 天 日 射 量 は さ ら に 予 測 精 度 を 高 め る 必 要 が あ る が 、 晴 天 指 数 で は 太 陽 高 度 に 起 因 す る 日 射 の 大 気 層 を 通 過 す る 距 離 の 影 響 ま で は 除 去 し き れ な い こ と が わ か っ て い る 。 そ こ で 、 新 た に 補 正 日 射 到 達 率 (CIAF: Corrected Insolation Arrival Factor)を 提 案 し 、晴 天 指 数 に 代 わ り 、予 測 対 象 と し て 用 い る こ と と す る 。
- 33 -
3.1.1
予 測 対 象
数 日 先 の 全 天 日 射 量 の 幅 の 予 測 で は 、 予 測 対 象 と し て 、 晴 天 指 数 を 用 い た 。 晴 天 指 数 は 、(2.1)式 に 示 す と お り 、 全 天 日 射 量 の う ち 太 陽 高 度 に よ っ て 変 化 す る 成 分 を 除 外 し た もの と し て 、 一般 的 に 用い ら れ て い る。 し か しな が ら 、 図3.1に 示 すよ う に 、 太陽 高度 が低 い とき に は晴 天指 数が 大 きな 値 を取 りに くい 。特に 太 陽高 度の 正弦(sinθ)の 値が0.25以 下の 場 合に は、晴天 指 数が 小さ い 方に 偏在 し てい る。こ れは 、日 射 の大 気層 を 通 過 す る 距 離 が 一 因 と 考 え ら れ る 。 太 陽 高 度 の 違 い に よ り 日 射 の 大 気 層 を 通 過 す る 距離 が変 わ って く る( 図3.2)。つ まり 、同じ 大気 の状 態 だっ た とし ても 太陽 高 度が 低 い とき は大 気 層を 通 過す る距 離が 長 いた め 、晴 天指 数は 小 さく な ると 考え られ る 。
翌 日 の 全 天 日 射 量 の 予 測 は 精 度 が 要 求 さ れ る 。 そ こ で 、 日 射 の 大 気 層 を 通 過 す る 距 離の 影響 を 除外 す るた め、 全天 日 射量Iθを(3.1)式 のよ うに 表 すこ と を考 える 。
𝐼𝜃= 𝐼𝑜𝜃× �𝐼𝐼𝜋2
𝑜𝜋2�
𝑛
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ (3.1)
た だ し 、
2
Iπは 太 陽 高 度90°で の 全 天 日 射 量 、
2 oπ
I は 太 陽 高 度90°で の 大 気 外 全 天 日 射 量 で あ る 。 ま た 、nは 距 離 に 合 わ せ て 変 化 す る 減 衰 割 合 を 表 し 、 太 陽 高 度 が90°の と き に はn=1とな り、 大 気の 通過 距離 が 増加 す るとnは増 加す る。
こ の よ う に 全 天 日 射 量 を 表 す こ と で 、 日 射 の 大 気 層 を 通 過 す る 距 離 を 考 慮 し た 予 測 対 象 と す る こ と が で き る 。 本 章 で は 、I2π Io2πを 予 測 対 象 と し 、 こ れ ら を 補 正 日 射 到 達 率と して(3.2)式で 定義 する 。
n oθ
θ oπ
π
I I I CIAF= I =
2
2 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ (3.2)
ここ で、Iθ/Ioθは 晴天 指数 であ る
(3.2)式 にお い て、 日射 の大 気層 を 通過 す る距 離に 合わ せ て変 化 す る n に つい て は、
以下 のと お り導 出 を行 った 。
1. すべ ての デ ータ セ ット を天 気別 に 分類 す る
2. 天気 別の デ ータ セ ット をさ らに 太 陽高 度 の正 弦(sinθ)の値を も と に0.05 刻み で 分類 し、sinθ が 小さ い 方か らデ ー タセ ッ ト 1,…, デ ータ セッ ト 20 とす る
- 34 - (a) 0<sinθ≦0.25
(b) 0.25<sinθ≦0.50
(c) 0.50<sinθ≦0.75
(d) 0.75<sinθ≦1.00 図3.1 太 陽 高度 別晴 天指 数の 分 布
少 な い
- 35 -
図3.2 日 射 の大 気層 を通 過す る 距離 の イメ ージ
- 36 - 3. すべ ての デ ータ セ ット を天 気別 に 分類 す る
4. 天気 別の デ ータ セ ット をさ らに 太 陽高 度 の正 弦(sinθ)の値を も と に0.05 刻み で 分類 し、sinθ が 小さ い 方か らデ ー タセ ッ ト 1,…, デ ータ セッ ト 20 とす る
5. 天頂 に 最も 近い デ ータ セッ ト 20(0.95<sinθ≦1) に含 ま れる サン プル を 用い て、
デー タセ ッ ト 20 にお ける Iθ Ioθ の平 均 値 μzを 求 める
=
θ
µ θ
o
z I
E I ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ (3.3)
6. デー タセ ッ ト j(j= 1, …, 19)のそ れぞ れで 、十分 小 さ い εに対 し て以 下の 式 を満 た す nj を求 める ( 図 3.3)
ε µ
θ
θ z<
n o
jI
E I −
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ (3.4)
7. njをも とに 、 天気 別 に 、太 陽高 度 の正 弦 sinθ を独 立 変数 と す る 2 次の 近似関数 n を求 める
これ によ り 求め ら れた 天気 別 の n は以 下 のと おり 。
• 晴の 場合 :n = 1.90 sin2θ − 3.23 sinθ + 2.35
• 曇の 場合 :n = 0.48 sin2θ − 1.04 sinθ + 1.55
• 雨の 場合 :n = 0.37 sin2θ − 0.66 sinθ + 1.30
補 正 日射 到 達 率 を 用 い る こ とで 、 図3.4に 示 す よ うに 、 特 に 太 陽 高 度 の 正弦 が 小さい 部 分 で の 分 布 の 状 況 が 改 善 さ れ 、 日 射 の 大 気 層 を 通 過 す る 距 離 の 影 響 を 低 減 す る 事 が でき てい る こと が わか る。
3.1.2
天 気 種 別 ・ 時 期 別 の デ ー タ セ ッ ト 分 割
予測 モデ ル 作成 に 際し 、2章 と同 様 に 、天 気 種別・時期 別 のデ ータ セッ ト分 割 を行 っ た 。 気 象 庁 提 供 の 九 州7県 庁 所 在 地 の1991年 か ら2008年 の 全 天 日 射 量 実 績 デ ー タ[18],[19]
を も と に 算 出 を 行 っ た 補 正 日 射 到 達 率 に つ い て 、 天 気 種 別 に 分 類 し 、 さ ら に 時 期 別 に 分割 を実 施 して い る。図3.5と3.6に補 正 日射 到達 率の 時 期別 歪 度、尖度 推移 を 示す。歪 度・ 尖度 の 大き さ の違 いか ら1年 を4つ の 時期 に分 類す る と以 下 のよ うに なる 。
① 1月上 旬〜3月中 旬 、10月中 旬〜12月下 旬
- 37 - 図3.3 “n”の値
0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5
0.0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 1.0
n
sinθ
晴 曇 雨
- 38 - (a) 0<sinθ≦0.25
(b) 0.25<sinθ≦0.50
(c) 0.50<sinθ≦0.75
(d) 0.75<sinθ≦1.00
図3.4 太 陽 高度 別補 正日 射到 達 率の 分 布
- 39 -
図3.5 補 正 日射 到達 率の 歪度 の 月別 推 移
(晴 のケ ー ス、1991~2008年)
図3.6 補 正 日射 到達 率の 尖度 の 月別 推 移
(晴 のケ ー ス、1991~2008年)