岡 監 第 3 3 号 平 成 2 0 年 5 月 2 日
特定非営 利活動法人市民オンブズマ ンおかやま 代表者代 表 重 田 龍 三 様
岡山市監査委員 広 瀬 慶 隆
同 石 川 敬 之
同 柴 田 健 二
同 三 宅 員 義
岡山市職員措置請求に係る監査の結果について(通知)
平成20 年3月11日付けで地方自 治法(昭和22年法律第67号 )第242条 第1項の規 定に基づき提出された岡山 市職員措置請求書について,監 査した結果を 同条第4項 の規定により下記のとおり 通知する。
記
第1 請求 の受付
1 請求 人の住所 名称
岡 山市乙多見347番地
特 定非営利活動法人市民オン ブズマンおかやま 代 表者代表 重 田 龍 三
2 請求 書の提出日
平 成20年3月11日
3 請求 の要件審査
本件 請求は,地方自治法第24 2条所要の法定要件を満たして いるものと認 め,監 査を行うものとした。
請求 人が提出した「岡山市職員 措置請求書」及び「措置請求補 正書」による 請求は ,次のとおりである。
1 岡山 市長に対し,財団法人岡山 市シルバー人材センター,髙谷 茂男,及び岡 山市の 財団法人岡山市シルバー人 材センターに対する金1億1, 600万円の 補助金 の支出負担行為の決裁者に 対して,岡山市に対し各自金1 億1,600 万円及 びこれに対する当該補助金 の支出の日の翌日から支払い済 みまで年5分 の割合 による金員を支払うよう請 求することを求める。
2 措置 請求の理由
(1)請 求人は岡山市に所在する特 定非営利活動法人である。
(2)平 成19年9月,岡山市が1 00%出資する財団法人岡山市 シルバー人材 セン ター(以下「シ ルバー財団」という。)が多額の欠損と借 入金を生じさせ てい ること,シルバー財団は財 団法人岡山市公園協会(以下「 公園協会」と いう。)から5,000万円・財団 法人厚生会(以下「厚生会 」という。)か ら4 ,700万円の融資を得て 金融機関からの借入金を返済し たが両団体か らの 借入金の返済時期が迫って いることが,発覚した。
(3)岡 山市は,平成19年9月定 例岡山市議会に,シルバー財団 に対して1億 2, 000万円の運営費貸付金 を貸し付ける内容を含む補正予 算案(第一次 補正 予算案という。)を提出し,岡山市議会はこれ を可決した。ただし,市議 会は 可決にあたって,第三者で 組織する経営検討専門委員会の 検討を経て, 市議 会保健福祉委員会が支出を 了承するまでの間,前記貸付金 の支出を凍結 する ことを要請した。岡山市長 は経営検討専門委員会の検討を 経て,平成1 9年 11月定例市議会において 市議会保健福祉委員会に前記貸 付金執行の凍 結の 解除を求めたが,市議会は 凍結解除に応じなかった。
(4)岡 山市長は,平成20年3月 7日,岡山市議会に,前記補正 予算のうちシ ルバ ー財団に対する貸付金の部 分を減額修正するとともに,シ ルバー財団に 対し 1億1,600万円の補助金(以下「本件補助金」という。)を支出する とい う内容を含む補正予算案(以下「第二次補 正予算案」という。)を提出し た。
(5)岡 山市議会は上記補正予算案 を平成20年3月26日可決し た。
岡 山市は,同月28日ころ, 本件補助金をシルバー財団に交 付して支出し た。
シ ルバー財団は,同月28日 ,上記交付された補助金1億1 ,600万円 のう ち,
ⅱ 厚生会に借入金の一部弁済 として金3,000万円,
ⅲ 某産廃業者(1社)に未払 い金の一部弁済として金2,6 00万円 を支 払った。
(6)本 件補助金の支出は,以下の 理由により違法である。
ⅰ 現 在岡山市から同財団に対す る補助金交付の根拠規定となっ ている「岡山 市シ ルバー人材センター運営費 補助金交付要綱」(及び,「高齢者 生活援助サ ービ ス及び高齢者活用子育て支 援事業費補助金交付要綱」及び 「地域高齢者 社会 参加促進事業費補助金交付 要綱」)によれば,市が同財団 に交付する補助 金の 使途は特定の補助事業にか かる特定の経費に限定されてい る。従って, 同財 団の一般的資金不足の救済 を目的とする補助金の交付は, 現行の要綱を 逸脱 している。
ⅱ 上 記の,「市が交付 する補助金の使途は,特定の補助事業に かかる特定の経 費に 限定され,一般的資金不足 の救済を目的としない」という 原則は,市が 交付 する補助金の全部に共通す る大原則である。この原則を崩 す補助金を支 出す ることは,将来における補 助金の濫用的な交付につながる 危険が大きい ので ,許容されるべきでない。
ⅲ 「 岡山市補助金等交付規則」 は,補助金等の交付の申請は, 対象となる補 助事 業について事業計画書,収 支予算書等を添付してしなけれ ばならない旨 を定 めているので,同規則が,「補助金は,特定の補助事業に 係る特定の経費 にあ てるために支出されるもの で,一般的資金不足の救済を目 的として支出 され るものではない」という原 則に立っていることは明らかで あり,本件補 助金 の支出は,同規則に違反し ている。
ⅳ 「 補助金等に係る予算の執行 の適正化に関する法律」は,補 助金等の交付 の申 請をしようとする者は補助 事業等の目的,内容,経費等を 記載した申請 書を 提出することと定めており ,同法もまた「補助金は,特定 の補助事業に かか る特定の経費にあてるため に支出されるもので,一般的資 金不足の救済 を目 的として支出されるもので はない」という原則に立ってい ることが明ら かで ある。従って本件補助金の 支出は,同法の趣旨にも違反し ており,この 点か らも違法である。
ⅴ 本 件補助金の大半の使途は前 記公園協会・厚生会への借入金 の返済と,某 産廃 業者への未払い金の弁済で ある。第三者に対する特定の負 債の返済にあ てる ことを目的とする補助金の 支出は,前記の法,規則,原則 に反すること が著 しいので,違法性は明らか である。
金の 支出を行う必要はない。(両団体はもともとその余剰資産 を貸し付けの財 源と しているので,両団体に対 する返済は条件を変更して長期 にわたって行 うこ とが可能であり,かつ相当 である。)
従 って本件補助金の支出はそ の必要性を欠いているので,そ の点からも違 法で ある。
ⅶ シ ルバー財団が負っていた民 間金融機関からの借入金債務に ついては,シ
( ) 。
ルバ ー財団の理事長 元岡山市水道事業管理者 がその連帯保証をして いた また ,公園協会・厚生会の代表 者ら(公園協会の代表者は現岡 山市副市長, 厚生 会の代表者は元岡山市助役 )は,シルバー財団への貸付に ついて各法人 の理 事会の承諾を得ることなく 貸付を実行しており,もし当該 貸付の回収が 不調 となった場合には,それに よって各法人に生じた損害につ き,賠償責任 を負 うべき立場にある。
従 って,
ア シルバー財団に対する1億 1,600万円もの補助金支出 の真実の目的 は ,シルバー財団の資金不足 の解消にあるのではなく,公園 協会・厚生会
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に シルバー財団への貸付金を 回収させることにある これが 実行されれば 公 園協会・厚生会はシルバー 財団から貸付金の全額返済を受 けることにな る ので,その代表者らは潜在 的に負っている前記の損害賠償 義務を免れる こ とになる。
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イ 公園協会・厚生会の貸付は 岡 山市保健福祉局長からの強 い要請により 岡 山市のシルバー財団に対す る貸付が実行されることを当然 の前提とし て ,これがなされるまでの間 シルバー財団の民間金融機関か らの借入金を 解 消させるためのつなぎ融資 としてなされたものである。こ の貸付の顕著 な 効果として,シルバー財団 の民間金融機関からの借入金債 務の連帯保証 を していた同財団理事長の保 証債務が確定的に消滅した。公 園協会・厚生 会 の貸付は,岡山市の貸付な いし補助金支出と一体のものと して意識され て 行われているので,本件補 助金の支出が行われれば,シル バー財団の理 事 長の連帯保証責任を解除す るために行われたと同一の効果 を有すること に なる。
シ ルバー財団も,公園協会・ 厚生会も,民間の財団法人であ り,その理事 者は 自分の経営に関する行為に ついて,法に従って保証債務や 損害賠償義務 を負 担し履行するべきである。 本件補助金の支出は,岡山市民 の負担におい てこ れらの理事者らの責任を解 除し,あわせて市保健福祉局長 の政治責任を 解消 する目的,すなわち納税者 の負担において市の元ないし現 高級官僚を救 済す る目的で行われるものであ る。
門委 員会において「本当に払う べきものかどうか精査が必要」 と述べている もの であり,かつさきに解雇さ れた経理担当主幹が「使途不明 金とされた支 出に ついて,次長の指示により 産廃業者に届けた」と供述して いるその業者 のも のであって,真実にシルバ ー財団に支払義務が存するもの かどうかきわ めて 疑わしい。
従 って,本件補助金の支出は ,その目的の上からも違法であ る。
ⅷ 前 述の経営検討専門委員会は ,岡山市が行った調査結果(シ ルバー財団に は使 途不明金は確認できないと していた。)に基づ いて,シル バー財団の破綻 につ いて理事者らに対して法的 責任を問うことは困難との見解 を示した。し かし ,岡山市は,同委員会の解 散後になってシルバー財団に7 ,600万円 の使 途不明金があることを明ら かにし,しかも同委員会の上記 「結論」を盾 にと って理事者らの法的責任を 問わないとの姿勢を墨守してい る。このよう な状 況下で本件補助金を交付す ることには公益性がないので, 本件補助金の 支出 はその点からも違法である 。
ⅸ 地 方自治法第2条第14項は,「地方公共団体は,その事務 を処理するに当 たっ ては,住民の福祉の増進に 努めるとともに,最小の経費で 最大の効果を
」 , ,
挙げ るようにしなければならな い と定め また地方財政法第4条第1 項は 「地 方公共団体の経費は,その 目的を達成するための必要且つ 最少の限度を こえ て,これを支出してはなら ない」と定めている。これらの 規定は,いず れも 地方公共団体の財政の健全 化確保の目的から規定されたも のであり,地 方自 治法第2条16項・17項 の法意に照らせば,単に執行担 当職員に対し て事 務のあり方を示すにとどま るものではなく,上記各法条の 趣旨が著しく 損な われ,社会通念上も著しく 妥当性を欠く場合には,これら の法条に違反 する 行為は違法かつ無効となる ものである。
本 件補助金の支出は,前述の とおり,市の補助金交付に関す る規則・原則 等に 違背し,必要性・公益性が ないので,経済的合理性にも法 的正当性にも 全く 欠けた行為である。従って ,本件支出は,地方自治法・地 方財政法の前 記規 定の地方公共団体の財政健 全化確保の目的を没却し,社会 通念上もきわ めて 妥当性を欠く行為であって ,前記各法条に反し違法である 。
(7)本 件補助金の支出は,前記の とおり違法なので,本件補助金 を受領したシ ルバ ー財団は岡山市に対して金 1億1,600万円の不当利得 返還義務があ る。
ま た,本件補助金の支出負担 行為の決裁をした者は,財務担 当職員として 故意 または重大な過失により前 記の違法な補助金の支出をした ものなので, 岡山 市に対して金1億1,60 0万円の損害賠償義務がある。
過失 により前記決裁者の監督を 怠って前記の違法な補助金の支 出をさせたも のな ので,岡山市に対し金1億 1,600万円の損害賠償義務 がある。 (8)よ って,地方自治法第242 条第1項の規定に基づき,証拠 書類を添付し
て, 頭書のとおり,厳正な措置 を請求する。
第3 監査 対象課
保健 福祉局高齢者福祉課
第4 請求 人への証拠の提出及び陳述 の機会の付与
1 地方 自治法第242条第6項の 規定に基づき,平成20年4月 10日に請求 人に対 して新たな証拠の提出及び 陳述の機会を与えたところ,岡 山市職員措置 請求書 及び措置請求補正書を補足 する陳述がなされた。
2 補足 の陳述の概略は,次のとお りであった。
岡山 市職員措置請求書及び措置 請求補正書に沿って陳述を行っ た。
3 請求 人が陳述を行った際,地方 自治法第242条第7項の規定 に基づき,関 係職員 を立ち会わせた。
第5 監査 の実施
岡山 市職員措置請求書及び措置 請求補正書並びに関係書類等を 調査し,平成
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20年 4月10日に関係職員の陳 述の聴取を行った また 関係人調査を 行い 合議に より慎重に監査した。
なお ,関係職員が陳述を行った 際,地方自治法第242条第7 項の規定に基 づき, 請求人を立ち会わせた。
第6 関係 職員(保健福祉局)の陳述
陳述 の概略は,次のとおりであ った。
本件 補助金支出は,岡山市補助 金等交付規則に違反しておらず ,また,補助 金等に 係る予算の執行の適正化に 関する法律や岡山市シルバー人 材センター運 営費補 助金交付要綱等は,本件補 助金には適用されない。
ルバー 財団は,依然として事業資 金不足であることに変わりはな い。なお,公 園協会 ・厚生会が貸付に係る返済 方法の変更に応じるか否かは, シルバー財団 の再建 が確実であるか否かで左右 されることはなく,両団体の各 々の経営判断 に委ね られるものである。
本件 補助金支出の目的は,公園 協会・厚生会にシルバー財団へ の貸付金を回 収させ ることにあるのではない。 また,補助金の交付によって, 両団体の代表 者が潜 在的に負っているとされる 損害賠償義務を免れたとしても ,それは間接 的な効 果にすぎない。補助金の交 付目的は,公益性の高いシルバ ー事業実施の 持続を 図ることにあり,個人の責 任回避や救済のためではない。
シル バー財団や関係者の責任は 別次元の問題として処理すべき であって,そ れは, 公益性の判断に当たり,直 接それを左右するものではない 。
本件 補助金の支出は,地方自治 法,地方財政法に違反するもの ではなく,社 会通念 上極めて妥当性を欠く行為 ではない。したがって,支出は 適法である。
第7 監査 の結果及び判断
監査 の結果,岡山市長に対し, 財団法人岡山市シルバー人材セ ンター,髙谷 茂男, 及び岡山市の財団法人岡山 市シルバー人材センターに対す る金1億1, 600 万円の補助金の支出負担行 為の決裁者に対して,岡山市に 対し各自金1 億1, 600万円及びこれに対す る当該補助金の支出の日の翌日 から支払い済 みまで 年5分の割合による金員を 支払うよう請求することを求め た本件請求に ついて ,以下のとおり,請求人の 主張には理由がないものと判断 した。
1 本件 補助金支出の公益性の判断 基準について
地方 自治法第232条の2は,「普通地方公共団体 は,その公 益上必要がある 場合に おいては,寄附又は補助をすることができ る。」と規定し,補助金の支出 が許容 されるのは,公益上必要が ある場合に限定されることを明 らかにしてい る。こ の公益性の第一次的判断権 については,当該地方公共団体 に留保されて おり, 当該地方公共団体の長及び 議会は,与えられた裁量権を適 切に行使し, 当該地 方公共団体を取り巻く社会 的経済的状況と補助を行った場 合の効果など 諸般の 事情を総合的に考慮し,個 々の事案に即して認定すべきも のである。
補助 金の支出は税金を財源とす るものであるから,長及び議会 がする公益性 の認定 は,全くの自由裁量行為で はあり得ず,考慮されるべき諸 事情に照らし て客観 的に合理性が存在すること が必要である。すなわち,本件 補助金に関し ては, 以下の基準によるものと解 せられる。
② 有効性・必要性:補助事業 を実施することにより当該地方 公共団体住民 の 福祉が向上する効果が生じ ,実施しなければ同効果は生じ ないという関 係 にあること
③ 手続の適法性:補助事業の 実施にあたり,手続的な違法が ないこと ④ 財政運営上の相当性:当該 地方公共団体の財政運営上支障 がないこと なお ,請求人は補助金等に係る 予算の執行の適正化に関する法 律の趣旨にも 違反し ているため違法であるとも 主張するが,同法は本件補助金 に適用される もので はない。
2 本件 補助金の支出の合目的性に ついて (1)シ ルバー財団自体の公益性に ついて
シ ルバー財団は,急速に進む 高齢社会に対応するため,地域 の高齢者が共 働, 共助し合うことによって, 高齢者の就業を通じて福祉の増 進を図りなが ら自 主的に運営する法人であり ,臨時的かつ短期的又はその他 の軽易な仕事 を家 庭,事業所,公共団体等か ら引き受け,これをシルバー財 団に加入して いる 会員の希望や能力に応じて 提供することを目的とする高年 齢者等の雇用 の安 定等に関する法律第41条 に基づき岡山県知事から指定さ れた岡山市内 唯一 の法人である。シルバー財 団は営利を目的とする法人でな いことはもち ろん ,高齢者自身が高齢社会を 支える役割を担うことを援助し ようとする法 人で あり,シルバー財団自体に 高度の公益性が認められる。
(2)シ ルバー財団に対する補助の 公益性について
シ ルバー財団は,上記目的の ため岡山市の高齢者福祉施策の 一環として, 岡山 市からの出資を受けて昭和 53年に設立され,平成20年 1月末現在で は1 ,551名の会員を擁する 財団法人として存在しているが ,平成18年 度決 算を契機として不正経理等 による資金不足が発覚した。不 正経理問題が 昨年 発覚しなければ,さらに多 額の累積赤字になっていたであ ろうことは容 易に 推測される。不正経理問題 は重要な問題であり,また真相 究明の途中で
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もあ り これをおろそ かにせず 早期解 決が望まれることはいうまでも ない しか しながら,不正経理問題と シルバー財団の今後の存続問題 は別問題とし て考 えなければならない。すな わち,不正経理問題は究極にお いて誰に対し て法 的に損害賠償責任を追及す るか,刑事責任を追及するかと いう問題であ り, これに対し,シルバー財団 の今後の存続問題は,前述のよ うな高齢者福 祉の 一翼を担う者としてシルバ ー財団が適格か不適格という問 題である。
用者 に迷惑をかけるであろうこ とが推測できる。これらの混乱 ,迷惑が起こ るで あろうこと,今後の高年齢 者の増加を考慮して,シルバー 事業継続を図 るた め,シルバー財団が経営破 綻に陥ることのないよう補助金 を交付するこ とは ,岡山市にとってやむをえ ない施策であると認められる。
ま た,高年齢者等の雇用の安 定等に関する法律第41条の規 定によると, 各市 町村ごとに一つに限って県 知事から指定を受けることがで きるので,現 在の ところ,岡山市においては 現存のシルバー財団だけがシル バー事業(高 年齢 者等の雇用の安定等に関す る法律第42条第1項,第2項 ,第3項,第 4項 に規定する事業をいう。)を実施することがで きる主体であり,シルバー 事業 継続のためには,他をもっ て代え難い団体であると言わざ るをえない。 仮 に,本件補助金が支出され なかったとすると,平成20年 3月末には運 転資 金が枯渇し,シルバー事業 の継続ができない事態に至るこ とが予測され てい た。シルバー財団の経営破 綻によりシルバー事業が途絶え たとすれば, 岡山 市としても高齢者福祉施策 の見直しを余儀なくされるうえ ,会員は混乱 し, 利用者に迷惑をかけたであ ろうことは間違いない。
し たがって,本件補助金支出 は,岡山市の高齢者福祉施策の 一環として, シル バー財団による公益性の高 いシルバー事業継続により住民 福祉の維持・ 向上 を図るという行政目的に合 致すると認めることができる。
(3)基 金造成のための補助金につ いて
請 求人は,補助対象事業も補 助対象経費も特定性を欠き,岡 山市補助金等 交付 規則に違反し違法であると 主張するが,岡山市シルバー人 材センター経 営安 定化基金造成事業補助金交 付要綱によれば,補助事業は財 団法人岡山市 シル バー人材センター経営安定 化基金造成事業であり,補助対 象経費は当該 造成 事業に係る経費とされてお り,特定性に欠けるところはな い。
請 求人は,本件補助金の真実 の目的は,公園協会理事長及び 厚生会理事長 がそ れぞれの法人に対して潜在 的に負っている損害賠償責任を 免れさせるた めに ,公園協会,厚生会にシル バー財団への貸付金を回収させ ることにある と主 張する。本件補助金の目的 は,シルバー財団の経営安定化 を図るための 基金 造成にあるが,究極の目的 は,シルバー財団の継続という よりも岡山市 にお けるシルバー事業の継続に ある。シルバー財団が造成され た基金から, 借入 金の一部について弁済をす ることは,シルバー財団が負っ ている債務を 減少 させ,その経営安定化に資 するものである。また,債務弁 済により公園 協会 理事長及び厚生会理事長の それぞれの法人に対する責任の 一部が弁済額
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請 求人は,公園協会,厚生会 はともに,余剰資金からシルバ ー財団に貸付 をし たのであるから,長期貸付 金にしてもらうことが可能かつ 相当であると 主張 する。公園協会,厚生会と もに財団法人であり営利を目的 としていない 団体 であるので,現在のシルバ ー財団への貸付が長期化すれば 両法人の設置 目的 から見て正常な状態ではな いので,岡山市が請求人主張の 長期分割返済 への 協力を両法人に求めること は,不正常な状態を長期にわた って固定化す る方 策となり,適切ではないと 思われる。したがって,岡山市 がこの請求人 主張 の方法をとらず,補助金交 付の方法を選択したとしても, そこには裁量 権の 逸脱はない。
3 有効 性・必要性について
(1)本 件補助金支出の効果につい て
シ ルバー事業実施可能な唯一 の法人は岡山市においてはシル バー財団であ るか ら,これが破産等の法的整 理に追い込まれれば前述のよう に様々な影響 が予 想される。
本 件補助金額が必要十分であ るかどうかは別として,高齢者 福祉施策の一 環と してのシルバー事業を継続 させるためには,本件補助金の 支出は,これ らの 影響を未然に防止する効果 をある程度まで発揮するであろ うと推測でき る。
仮 に,本件補助金が支出され ない事態を想定すると,シルバ ー財団は破産 等の 法的整理のやむなきに至る であろうと容易に推測できる。 シルバー財団 破産 等の法的整理による影響は ,シルバー事業中止等による直 接の影響にと
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どま らず シルバー事業が岡山市の 高齢者福祉施策の一翼を担 っているため その 見直しにまで波及すること は必至である。
(2)本 件補助金額の算定について
本 件補助金額は,以下のよう に算定されている。
① 平成19年度末不足資金 2,300万円に対し,2,3 00万円 ② 平成20年4月期末不足 資金200万円に対し,200 万円
③ 公園協会,厚生会からの 借入金8,800万円,及び業 者への未払金 3,623万円の合計1億 2,423万円に対し,8,6 96万1千円 ④ 訴訟費用449万9千円 に対し,449万9千円
⑤ 基本財産の不足4,60 0万円に対し,0円
⑥ 退職給与積立金の不足1 ,500万円に対し,0円
不 足資金合計2億1,472 万9千円に対し,合計1億1, 646万円を 算定 し,端数処理を行い,1億 1,600万円としている。
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全額 補助により,その危険性を 除去しないのはなぜかという疑 問は残るもの の, 再建に向けて相当程度に必 要とされる基金が造成されてい ることは認め られ る。基本財産復元等にシル バー財団自身による自助努力を 求めることも 含め ,一応の合理性は認められ る。
ま た,③のうち,業者への未 払金3,623万円については ,その債務の 存在 自体が疑われていたが,シ ルバー財団の伝票,預金通帳, 振込依頼書, 作業 日報,業者からの請求書等 と当該業者の未収金台帳等との 照合作業によ り債 務の存在は認められる。
請 求人は,地方自治法第2条 第14項,地方財政法第4条第 1項に規定す る最 少経費最大効果原則にも違 反しているから違法かつ無効で あると主張す る。 確かに,これらの条項に抵 触する支出は違法と評価される が,何をもっ て必 要かつ最少の限度というべ きかは,第一次的には当該地方 公共団体の社 会的 ,政策的見地からする裁量 に委ねられているものと解せら れる。本件補 助金 額は,前述のとおり算定さ れている。また,その目的,効 果との均衡も 欠い ていないと認められる。
4 手続 の適法性
(1)本 件補助金支出に関する議会 での議論について
本 件補助金に関して,その歳 入については総務委員会におい て,また,歳 出に ついては保健福祉委員会に おいて,それぞれ議論され,本 会議において 補正 予算案が可決された。
し たがって,議会において実 質的な審議が十分に行われたも のであり,民 主的 正当性があると認められる 。
(2)本 件補助金支出に関する実務 上の手続について
岡 山市は本件補助金支出のた め,岡山市シルバー人材センタ ー経営安定化 基金 造成事業補助金交付要綱を 平成20年3月26日に定め, これに基づき シル バー財団から同日に交付申 請があり,審査を行ったうえで 交付決定して いる 。また,その支出は28日 に行われており,本件補助金支 出手続過程に 不適 切なところは見受けられな い。
5 財政 運営上の相当性
6 貸付 金該当性及びシルバー財団 の返済能力について
なお ,本件補助金は形式的には 補助金の形をとっているが,そ の実質は貸付 金では ないかとの疑念が残る。
シル バー財団が定めた財団法人 岡山市シルバー人材センター経 営安定化基金 に関す る規程では,本件補助金を もって経営安定化のためシルバ ー財団は経営 安定化 基金を造成し,その目的を 達成したときは,岡山市に納付 することにな ってい る。一方,補助金交付決定 通知書岡山市指令高第1331 号の交付条件 4によ れば,「市 長が,再 建完了したと認めた場合は,当該補助 金相当額の金員 を岡山 市に納付すること。」となって いる。
この ことは,本件補助金がその 実質においては,弁済に関する 停止条件付き の貸付 金であることを窺わせるに 十分である。
仮に ,本件補助金が貸付金であ るとすれば,公益性に加えてシ ルバー財団の 返済能 力の有無を問題としなけれ ばならない。シルバー財団に返 済能力が全く ないこ とが明らかであれば,本件 補助金の支出は違法になる。
シル バー財団は,粉飾決算書を 作成し,基本財産を取り崩し, 使途不明金の 発生を 含めシルバー財団に財政的 な危機をもたらし,名誉及び信 用を傷つけた として ,3名の幹部職員を平成1 9年12月28日付けで懲戒解 雇処分してい る。
平成 20年2月28日に開催さ れたシルバー財団理事会におい て承認された 再建計 画書によれば,業務執行体 制の強化,特に経理チェック体 制の強化や経 費の削 減が図られている。
また ,シルバー事業の受注金額 は微減にとどまっている。
これ らを考慮すれば,シルバー 財団に返済能力が全くないとま では言えず, 違法と までは言い切れない。
7 結論
以上 のとおりであるから,本件 補助金の支出には違法性は認め られず,請求 人の主 張には理由がないものと判 断した。
岡 監 第 3 4 号 平 成 2 0 年 5 月 2 日
岡山市長 髙 谷 茂 男 様
岡山市監査委員 広 瀬 慶 隆
同 石 川 敬 之
同 柴 田 健 二
同 三 宅 員 義
住民監査請求に係る監査の結果に基づく意見について
平成20 年3月11日付けで地方自 治法(昭和22年法律第67号 )第242条 第1項の規 定に基づき特定非営利活動 法人市民オンブズマンおかやま から提出され た岡山市職 員措置請求書について監査 した結果,その結果に基づき必 要があると認 め,下記の とおり意見を提出する。
記
監査の結 果は別紙のとおりであるが ,財団法人岡山市シルバー人材 センター経営 安定化基金 造成事業補助金交付の目的 達成には,同財団の再建計画が 着実かつ確実 に実行され ることが不可欠と考える。
監査委員 としては,今後,適時に地 方自治法第199条第7項に基 づき監査を実
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