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小学校国語教科書の中の児童文学に関する一考察

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Academic year: 2021

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小学校国語教科書の中の児童文学に関する一考察

一作品受容から「子どもなるもの一子ども性J を探る一

学校教育専攻 幼年発達支援コース 高 橋 美 保 子

〔問題の所在と目的・方法〕

小学校国語教科書掲載作品一教科書教材の読 み取りにおいて表れる子どもの受け止め方の特 徴やその要因を考察し,

r

子どもなるもの一子ど も性Jを探るとともに 求められる「教科書の 中の児童文学」の在り方を検討することを目的 として,本研究を行った。それは,学習材とし て扱われる教科書教材であろうとも,子どもは 読む対象としての児童文学作品として捉えてい る可能性があるのではないかと考えたからであ る。そしてその可能性は 児童文学を読むこと で「豊かな人間性Jが育まれるという深い命題 の一つの解明に繋がり,それによって,学校と いう教育空間で向かい合う子どもに対する新た な視座が得られると考えたからである。

研究方法として,教科書掲載作品の受け止め 方などを問うアンケート調査とインタビュー調 査を実施し,その結果を分析・考察していった。

1 .好き/嫌いの5段階評定にみる作品受容 まず,教科書の各作品に対する子どもの好き /嫌いの5段階評定の結果を,定量的な方法に よって分析した。その結果,全体的な流れとし て,低・中・高と学年段階が進むにつれて,教 科書教材として出会う作品群に魅力を感じなく なっていく傾向があることがわかった。さらに,

各学年には,そのような作品をより好む上位群 と,あまり好まない下位群のグループ。が存在す ることがわかったD 同一学年内の好き/嫌いの

指 導 教 官 佐 々 木 宏 子

差は 3年生と 6年生で大きくなる。この特徴 には,男子児童が作品を好まなくなっていくと いう変容が表れていると考えられた。このよう な流れの中で,全学年に好まれていたのは物語 の作品で、あった。 5・6年生になると,物語だ けでなく,それまであまり好まれなかった説明 文の作品も好む傾向が見られた。また,詩は1 年生によく好まれていたが 5年生と 6年女子

も,詩の特定の作品を好んでいた。

2 .

ベスト

3

作品の選択にみる作品受容 次に,子どもが特に好む作品‑ベスト 3選択 の結果を分析・考察した。定量的な見地から総 合的にジャンル別に捉えると 1年生は詩と童 話(物語), 2・3・4年生は物語 5・6年生 は詩と物語と説明文の中の作品を特に好む傾向 が見られた。さらに,ベスト 3選択理由記述に よって,選択した作品を何によってベストと感 じたのか,それは何故かについての解釈も併せ て試みた。すると,子どもの作品の読み取りに おいては,ある種の発達の流れや作品をベスト と感じる共通要素も多く見られたが,それは必 ずしも一般的なことではなく,個人にとっては あくまでも前提(背景)として確認されるもので あるという結論に至った。一方,担任教師の選 択結果や選択理由との比較も試みた。

2

年生『ス イミー』のように,教師の作品観が子どもの読 みに何らかの影響を与えたのではないかと思わ れる作品もあったが,子どもにこう読んで欲し

‑ 190‑

(2)

いとしづ教師の願いや,子どもはこう読んだで あろうという思惑からずれる事例も見られた。

3.

過去の学年の作品受容

さらに 3・4年生の子どもが,過去の学年 である

2

年生時の作品をどのように受け止めて いるかについて,分析・考察した。例えば『お 手紙』においては 3年生では見られなかった

「具体性を超えて認識された関係性一友達J を 感じている4年生の者が見られた。しかし,そ の感じ方は一様ではなく, 4年生の今になって,

主体的真実として作品世界が自分にとって意味 のあるものとして感じられた者

2

年生時には その時の自分なりに感じており,作品と再度出 会うことで今の価値観が作品世界に照射され鮮 明に浮かび上がってきた者 2年生時の思いが そのまま,今回の4年生時の出会いによって更生 ってきた者,自分の今の生活世界と重ね合わせ て受け止めている者など,様々であった。

4.作品受容から捉えた「子どもなるもの一子 ども性Jと求められる「教科書の中の児童文学j

これらの作品受容の考察から導き出せた「子 どもなるもの一子ども性Jとは, I多面的でダイ ナミックな存在jであり, I心が動く存在」であ った。「心が動く」要素として痛快性・愉快 性J, Iかわいそう・悲劇性J, Iやさしさ・思い やり・誰かのためにJ,I命・生きるJなどの 36 項目が挙がった。子どもは,これらの要素の何 れかに面白さを見出したり 感動し感じ入った りして「心が動くj ょうである。これらの要素 の選択は,個人の今までの経験によって得られ たと推察されるので,個によって異なり,多様 性が見られる。また これら価値観の選択・深 まり・消失などは,個人の内面で多様にダイナ ミックに行われていると推察された。そう考え る と 子 ど も な る も の 一 子 ど も 性 」 と は 多

面的な価値観をダイナミックに構築する可能 体」であるとも言える。さらに,このようなダ イナミズムの中で, I自己を見つめる存在」とし ての「子どもなるもの一子ども性Jが捉えられ た。その萌芽は,本研究では4年生で見られた。

以上のことから 教科書を媒体とする児童文 学で、あっても, I豊かな人間性Jの構成要素にな る価値観を多様に内在しているとともに, I豊か な人間性Jの前提要件であると考えられる高次 の情緒に繋がる要素も内包しているという結論 に至った。子どもに,それらの価値観が構築さ れ高次の情緒が発現されるためには,教師が,

短絡的・断定的な思惑をもって国語科の授業に 臨んではいけないと考える。「教科書の中の児童 文学」である教材作品の中枢には,いつかどこ かで子どもの内面に匙ってくるもの,つまり「豊 かな人間性」に繋がる価値観や思考体系・方法,

及び言語感覚・イメージを有しているものが求 められる。一人ひとり固有の子どもが,それら のどれを摺み得るか考え巡らしながら国語科の 授業をすることが,今,学校教育に携わる教師

には求められるのではないかと考える。

〔研究のまとめと今後の課題〕

本研究により,国語教科書掲載作品は「児童 文学」として子どもに受け止められているとい う一面が認められたが,それは全ての子どもに 共通ではない。時間の縦軸と経験の横軸の交差 によって個人の内面に閤有に生み出されるもの などにより,多様に異なっていると考えられる。

本研究における問題点として,特に,①児童 文学のジャンノレの捉え方,②研究方法,及び調 査対象者の抽出方法,③個に対応する具体的方 法や問題点にまで論及できなかったこと,④求 められる新たな教材作品について論及できなか ったことが挙げられる。今後の課題としたい。

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T1 I went to Antarctica and I swim with penguins.

キーワード検索が可能である(8).

 以上,小学校低学年用国語教科書の本文では,教科書会社聞で二社以上に

る人々に囲まれながら就学するわけではない。学校とは、単に学習をして、共同生活