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児童におけるあいさつ行動への介入が 非主張性行動の改善に及ぼす影響
専攻 人 間 教 育 コース 人 間 形 成 氏名 福 井 龍
1.問題と目的
主張性には大きく分けて 3つのタイプが あ る 。 そ の 一 つ が ア サ ー シ ョ ン 残 る 二 つは, 非主張的自己表現"と, 攻撃的自己 表現"である(平木, 1993,2008)。その中で もアサーションは,相互尊重の精神と,相互 理解を深めようという思いに裏付けられた 自己表現であるため,健康や適応上よいも のとされている。一方,不適切な自己表現の うち攻撃的自己表現は,問題性が高いため 多くの研究が行われてきた。比べて,非主張 的自己表現は,攻撃的自己表現に比べて先 行研究が少ないことが指摘されているため,
非主張性行動に主軸をおいた研究を行う必 要がある。非主張性行動からアサーティブ な主張性行動へ改善を促す方途として,本 研究では あいさつ行動"に着目した。 あ いさつ行動"はソーシャル・スキルの一種で ある。ソーシャル・スキルの欠知は,適応や 健康上の問題と関連し,ソーシャル・スキル を身につけることで健康や適応に良いとい う効果が確認されている(松本・山崎, 2012 レビ、ューより)。ただし,ソーシャル・スキ ルは,複数のスキルを同時に獲得しでもど のスキルによって,健康や適応が促進され たのか判別が難しい。そこで,本研究では,
ターゲットスキルを あいさつ行動"に限定
指 導 教 員 内 田 香 奈 子
し,小学生を対象に非主張性行動の改善を 目的とした短期的介入研究を行う。
方法としては,高橋・小関・小関(2014) の研究を参考として,介入研究を進める。
また,日本において主張性を検討するため には,他者配慮の視点が重要であるため,
他者配慮、の視点を加えて検討を行った。
2 .
方 法 対象者公立小学校
1
校に在籍する4
年生 39名(介 入群 20名,うち男子 10名,女子 10名, 統制群 19名,うち男子11名,女子8名)を 対象とした。使用した尺度
主張性:児童用主張性尺度(漬口, 1994)を利 用した。
他者配慮:他者配慮尺度(江口・演口, 2009) を用いた。
あいさつ:本研究のために新たに項目を設 定し,実施した。
他者評定によるあいさつ:介入効果を多角 的に検討するため,教師評定による評価を 行った。
介入方法
介入の前後で,質問紙調査を介入クラス,
統制クラスの 2クラスで実施した。介入ク ラスは事前評価後に 気持ちの良い挨拶"
− 10 − についての授業を実施した。その後,
2
週間 介入を実施し,最終日に事後評価を行う。最 終日に,介入クラスでも行った 気持ちの良 い挨拶"に関する授業を統制クラスでも行 い,教育的な配慮を行った。3.結果と考察
教育効果を確認するため,事前評価にお けるクラス聞の得点差や性差について確認 後,事前評価と事後評価の差を変化値とし て算出し,その変化値をもとに,クラス(介 入,統制)X性(男子,女子)の 2要因分散分 析を行った。結果,全体で相手に体を向けて 挨拶を行う項目や,男子において相手の名 前を呼んで挨拶を行う項目で教育効果が確 認された
( F i g u r e l )
。また,教師評定におい ても,相手の顔を見て挨拶を行う項目や,相 手の名前を呼んで挨拶を行う項目において 教育効果が確認された。3.5
2.5 平 均 2
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化 1.5 慨
0.5
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挨t警と名前 ‑男子 機女 平
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国 鱒
介入クラス 統制クラヌ
F i
gure 1 挨拶と名前の平均変化値得点最後に,各クラスの主張性の合計得点が 低かった児童を対象に,事前評価と事後評 価の差を変化値として算出し,その変化値 をもとに,クラス(介入,統制)X性(男子,女 子)の 2要因分散分析を行った。その結果,
相手へ適切な声量で挨拶を行う項目におい て,その教育効果が確認された。
本研究の成果として,上述の項目におい てあいさつ行動の介入効果が確認された。
さらに,非主張性傾向のある児童において は,挨拶をする時に,相手に聞こえやすい声 で挨拶を行うことへの介入アプローチを行 うと,非主張性行動の改善につながること が確認された。この結果は,最も評価すべき 点であるといえるだろう。現在までの研究 では,攻撃的な自己表現行動に対しての改 善アプローチは多く行われてきたが,非主 張性行動に関する研究やアプローチはとて も少ない。その中で,本研究において介入効 果が確認されたことをその成果として強調 したい。また,本研究では, あいさつ行動"
にスキルを絞ることによって,効果を与え たスキルを明確に示すことができた。 あい さつ"は普段から学校で教育アブローチが 行われている(文部科学省, 2007)ことから も,他の行動に比べて般化がしやすく,ま た,継続しやすいスキルであることからも,
現場への導入が行いやすい。しかしながら 様々な検討課題も残されている。そのーっ として,介入クラスと統制クラス間で結果 に大きな差が出なかった項目の存在があげ られる。このことから,今後は,介入クラス と統制クラスを別の学校に設定すること,
クラス数を増やすなどといった,改善を行 う必要があるだろう。他確認された課題も 踏まえ,プログラムの更なる改善が必要で ある。以上のように,本研究での研究結果 が,教育現場で発展し,子どもたちのコミュ ニケーション行動の育成も含めた心身の健 康や適応につながることが望まれる。