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大 須賀 直子 ・真 野千佳 子

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(1)

学 生 に よ る翻訳 サ イ トの利 用 実 態 と問題 点 大 須賀 直子 ・真 野千佳 子

The Negative Effects of Using Translation Sites on College Students' Language Learning

Naoko OSUKA, Chikako MANO

Abstract

As computerization continues to expand dramatically in society, it is also affecting the way we learn and teach English. While there are many benefits of using computers in the EFL classroom, there seem to be some problems cropping up that should not be overlooked. This paper focuses on one of them: students' use of translation sites on the Internet. When we input Japanese sentences into machine translation (MT) systems without considering structural differences between Japanese and English, they often output nonsensical English translation. Nevertheless, a lot of students tend to use them for their English writing assignments. If students depend on MT systems excessively, and don't try to learn to think and write by themselves, their progre . ss in English will be hindered.

This paper analyzes how college students use translation sites on the Internet, based on a survey of 279 students in June 2002. Then the efficacy of using the sites for writing in English is examined, and finally a classroom activity designed to encourage students to avoid depending on MT systems is introduced.

1.は じ め に

コ ン ピ ュー タ化 の波 は英 語 教 育 現 場 に も大 き く押 し寄 せ、 各 大 学 で も多 くの コ ン ピ ュー タ を設 置 し、

コ ン ピュ ー タ を 使 っ た英 語 授 業 、 い わ ゆ るCALL、 を導 入 す る大 学 も急 速 に増 え て い る よ うで あ る。

JACET'(大 学 英 語 教 育 学 会)が2000年 に行 な った 大 学 英 語 教 育 実 態調 査 に よ る と、 回 答 した 大 学 の う ち71.1%が 「英 語 教 育 に使 え る コ ン ピュ ー タ室 が あ る」 と答 え て い る。 大 学 生 個 人 を見 て も、 筆 者 らが2002年7月 に約300人 を対 象 に行 な った ア ンケ ー トで は、 約8割 近 くの学 生 が 「自分 で 使 え る コ ンピ ュー タが 自宅 に あ る」 と答 え た。

この よ う に コ ン ピュー タ が身 近 に な り、 イ ンタ ー ネ ッ トで世 界 中 ど こ にで も瞬 時 につ な が る よ う に な った こ と は、 英 語 教 育 の 可能 性 を大 き く広 げ つ つ あ る こ と は確 か な のだ が 、一 方 で見 過 ごせ な い問 題 も出 て きて い る。 そ の ひ とつ が学 生 に よ る安 易 な無 料 翻 訳 サ イ トの利 用 で あ る。 日本 語 で書 い た文 を そ の ま ま無 料 翻 訳 サ イ トに か け る と、 間違 い だ らけ の、 往 々 に して 意 味 不 明 な独 特 の英 文 が 出力 さ れ るが(添 付 資 料 参 照)、 こ こ数 年 学生 の 書 く英 作 文 に そ の よ うな 英 文 が 目立 つ よ う にな って きた 。

(2)

機 械 翻 訳 自体 は、 国際 コ ミュニ ケ ー シ ョンを 容 易 に して くれ る ツー ル と して今 後 の発 展 が大 い に期 待 され るべ き もの で あ る。 しか し、 現 時 点 で は、 まだ そ の シス テ ム は 発展 途 上 段 階 に あ り、 特 に 日英 翻 訳 に関 して は機 械 翻 訳 の 第 一 人 者 と 目 され る成 田一・(2000)も 認 め るよ うに そ の 品質 は か な り低 い レ ベ ル で あ る。 筆 者 らが 検 証 を 行 な った と こ ろで も、無 料 の 日英 翻 訳 サ イ トは どれ も誤 翻 訳 が多 く実 用 に資 す る とは思 え なか った 。

ま た 、CALLを は じめ とす る メ デ ィア を 使 って の英 語 教 育 の 目的 を 考 え て も、 学 生 の安 易 な 翻 訳 サ イ ト利 用 に は 問題 が あ る。 町 田他(2001)が 述 べ て い る よ うに 、 そ の 目的 は 「英 語 を 媒 体 に した情 報 を判 断 ・選 択 ・整 理 し、 新 た な 情 報 を 創造 し伝 達 す る 」主 体 的 な能 力 を育 成 す る こ と で あ る と考 え られ るが 、 この場 合 、 逆 に機 械 に依 存 す るよ うな 学習 態 度 を生 み 出 して い る と言 え よ う。 そ もそ も、

英 語 力 の充 分 で な い学 生 が 自分 で 考 え よ う とせ ず に この よ うな サ イ トに頼 る こ と は、 学 生 の英 語 力 向 上 とい う観 点 か ら して も、 弊 害 の方 が 大 き い と危 惧 さ れ る。Swain&Lapkin(1995)が 主 張 して い るよ うに、 英 語 力 習 得 には 自分 で 英文 を組 み立 て る とい う統 語 プ ロセ ス を積 み 重 ね る こ とが 重 要 だ か らで あ る。

以 上 を踏 ま え、 本 稿 で は 、 ア ンケ ー ト調 査 の結 果 に基 づ い て学 生 に よ る翻 訳 サ イ トの 利 用 実 態 を 明 らか にす る と と もに、 翻 訳 サ イ ト利用 の有 効 性 を検 証 し、 さ らに学 生 に よ る安 易 な 利用 を 防 ぐた め の 具 体 的 な ア ク テ ィ ビテ ィを 紹介 す る こ と と した い。

2.学 生 に よ る 翻 訳 サ イ トの 利 用 実 態 1)調 査 の概 要

学 生 が 実 際 に どの よ うに翻 訳 サ イ トを利 用 して い る の か を調 べ る た め に、2002年6月 に本 学 国 際学 部 他 計4つ の大 学 に お い て、279名 の 大 学生 を 対 象 に筆 者 らが そ れ ぞ れ の 担 当 授 業 内 で ア ンケ ー ト調 査 を 実 施 した。 質 問紙 は選 択 式 の8問 と記 述 式 の1問 の計9問 か ら成 って いた6

2)翻 訳 サ イ トの認 知 度 お よ び情 報 経 路

「コ ン ピ ュー タ に翻 訳 サ イ トが あ る こ とを知 って い ま す か。」 とい う質 問 に 「は い」 と答 え た学 生 は279人 中177人 で 、 全 体 の63%で あ っ た。 さ らに表1に 示 す よ うに、CALLが 必 修 の 大 学 、 情 報 が 必 修 の大 学 、 情 報 が選 択 の 大 学 の3種 類 に分 類 して見 る と、CA:LL,必 修 の 大 学 で は81%、 情 報 必 修 の大 学 で は69%、 情 報 選 択 の大 学 で は44%の 認 知 度 で あ っ た。

表1翻 訳 サ イ トを知 って い る学 生 の割 合 CALL必 修 の大学

情報必修 の大学 情報選択 の大学

77人/95人(81%) 49人/69人(69%) 51人/115人(44%)

さ らに 「翻 訳 サ イ トが あ る こ とを ど うや って 知 りま した か。」 と い う質 問(こ の質 問 の み 記 述 式) に対 して は有 効 回 答 が149あ った が 、 そ の う ち 「友 人 か ら聞 い た」 と答 え た学 生 が72人 と一 番 多 く、

次 い で 「先 生 か ら教 え て も ら った」 が34人 、 「自分 で見 つ け た」 と答 え た学 生 が29人 で あ った(表2 参 照)。

(3)

表2ど うや っ て翻 訳 サ イ トの存 在 を知 った か 友 人か ら

先生か ら 自分で 家族か ら その他

72人 34人 29人 5人 9人 (有 効 回 答 数:149)

3)翻 訳 サ イ トの利 用経 験

「翻訳 サ イ トを利用 した こ とが あ りま す か。」 とい う質 問 に 「は い」 と答 え た 学生 は279人 中98人 で、

全 体 の35%で あ っ た。 これ も1)と 同 様 に3種 類 の 大 学 別 に 分 類 して み る と、 表3に 示 す よ う に、

CA:LL必 修 、 情 報 必 修 、 情 報 選 択 の順 に利 用 経 験 の あ る学 生 が 多 い。CAI.L必 修 の 大 学 で は半 数 以 上 の 学 生 が 翻 訳 サ イ トを 利 用 した経 験 が あ る こ とが わ か った。

表3翻 訳 サ イ トを 利 用 した こ とが あ る 学 生 の 割 合 CALL必 修の大学

情報必修の大学 情報選択 の大学

52人/95人(54%) 28人/69人(39%) 18人/115人(16%)

4)翻 訳 サ イ トの 利 用 理 由お よび 利 用 方 法

「翻 訳 サ イ トの どの 機 能 を利 用 しま した か。」 とい う質 問 に は、 利 用 経 験 の あ る学 生98人 の う ち、

56人 が 「英 文 和 訳 と和 文 英 訳 の両 方 」 と答 え、 「英 文 和 訳 」 と答 え た学 生 は15人 、 「和 文 英 訳 」 と答 え た学 生 は30人 で あ った。 この結 果 か ら英 文 和訳 と和 文 英 訳 の 両方 を使 った学生 が最 も多 い こ とが わ か っ た。 筆 者 らのCALI.授 業 担 当 経 験 か らす る と、 英 文 和 訳 に 関 して は、 イ ンタ ー ネ ッ トで検 索 した英 文 資 料 な どを翻 訳 サ イ トに か け て和 訳 させ 、 手 っ取 り早 く理 解 す るた め に 利用 して い るよ うで あ る。

翻 訳 サ イ トを英 文 和 訳 で利 用 す る こ とに も問 題 が あ る と思 われ る が、 本 調 査 で は和 文 英 訳 に 関 す る利 用 につ い て焦 点 を絞 った た め、 以 下 の質 問 はす べ て 和 文 英 訳 につ いて で あ る。

「な ぜ翻 訳 サ イ トを利 用 した の で す か。」 とい う質 問 に は 、 「英 語 で ど う表 現 して い い か わ か らな い 時 部 分 的 に参 考 にな るか ら」 と答 え た学 生 が98人 中61人 と圧 倒 的 に多 く、 次 いで 「自分 で 英作 文 す る よ り短 時 間 で で き るか ら」 が30人 で 、 そ の他 の 回答 は以 下 の よ うに な った(表4参 照)。 学 生 の多 く が 「部 分 的 に」 参 考 に した い と い う理 由 で翻 訳 サ イ トを利 用 して い る こ とが わ か った 。

(4)

表4翻 訳 サ イ トを 利 用 した 理 由 英語 で どう表 現 して い いか わ か らな い時 部 分 的 に参 考 にな るか ら

自分 で英 作 文 す る よ り短 時 間 で で き るか ら

英 作 文 は苦 手 な ので 考 え るの が 面 倒 だ か らつ い 使 って し ま う ハ イ テ ク の時 代 に便 利 な 機 能 を 利 用 しな い手 は な い

締 め切 りに遅 れ る よ りは、 形 式 さえ 整 って い れ ば 問題 な い と思 うか ら 教 師 に翻 訳 サ イ トを 使 った こ と が わか らな い だ ろ う と思 った か ら そ の他

61人 30人 11人 10人 5人 2人 12人 (複 数 回 答 あ り)

この 傾 向 は、 次 の 「どの よ うな使 い方 を しま したか 。」 とい う質 問 に対 す る回答 で も裏 づ け られ た。

表5に 示 す よ う に 「自力 で書 け る部 分 は 自分 で書 き、 難 しい部 分 の み文 単 位 で サ イ トを 利 用 した」 が 45人 、 「辞 書代 わ りに単 語 や 語 句 の み を サ イ トにか けた」 が26人 、 「日本 語 で 全 文 を 書 い て か らそ の ま ま サ イ トに か け た」 が21人 、 「本 な どか ら引 用 した 文 を そ の ま ま サ イ トに か けた」 は少 数 で あ った。

文 単 位 、 単 語 ・語句 単 位 な ど翻 訳 サ イ トを 「部 分 的 に」 利 用 した学 生 の 方 が 、 全文 を サ イ トに か け た 学 生 よ り多 い こ とが 明 らか に な った。

表5翻 訳 サ イ トの 利 用 方 法

自力 で 書 け る部分 は 自分 で 書 き、 難 しい部 分 の み文 単 位 で サ イ トを利 用 した 辞 書 代 わ りに単 語 や語 句 の み を サ イ トに か け た

日本 語 で 全 文 を書 い て か らそ の ま ま サ イ トにか け た 本 な どか ら引用 した文 を そ の ま ま サ イ トに か け た

45人 26人 21人 5人 (複:数回答 あ り)

5)翻 訳 サ イ トの英 文 の 精度 に対 す る認 識 お よ び 出力 後 の修 正

表6は 「日本 語 で 書 いた 文 を 翻 訳 サ イ トにか け て 出 て き た英 語 の文 を正 し い と思 い ま したか 。」 と い う質 問 に対 す る回 答 を示 して い る。 厂あ ま り正 し くな い」 と答 え た 学 生 が53人 で 一 番 多 く、 次 い で

「間違 い だ らけ で あ る」 が22人 、 一 方 「ほ ぼ正 しい 」 は6人 、 「完 璧 で あ る」 は0人 で あ った。 確 か に 以 前 と比 べ て 、 全 文 を 翻訳 サ イ トに か け た と しか思 え な い英 文 の課 題 を提 出 して くる学生 が減 って き て い る こ とを考 え る と、 翻 訳 サ イ トと い うツ ー ル の情 報 と と も に、 「翻 訳 サ イ トの 英 文 に は 間違 い が 多 い」 と い う情 報 も学 生 の 間 で伝 わ って い る のか も しれ な い。

表6翻 訳 サイ トの英文 の精度 に対 する認識 完 璧である0人

ほぼ正 しい6人 あま り正 しくない53人 間違 いだ らけである22人 わか らない6人

(有効回答数:87)

(5)

さ らに 「翻 訳 サ イ トにか け て 出 て き た英 文 を 直 しま したか 。」 とい う質 問 に は、39人 が 「少 し直 し た」、38人 が 「た くさ ん直 した」 と 回答 し、 「全 く直 さな か った」 と答 え た学 生 は13人 で あ った(表7 参 照)。 学 生 の 多 くが 「翻 訳 サ イ トの 英 文 に は 間違 い が 多 い 」 と い う認 識 を持 って利 用 して い る とす

れ ば 当然 の 結 果 か も しれ な い 。 た だ し、 本 当 に 直 す こ とが で き て い る の か ど うか は不 明 で あ る。

表7出 力英文の修正 少 し直 した

た くさん 直 した 全 く直 さな か った

39人 38人 13人 (有効 回 答数:90)

最 後 に 「これ か ら も翻訳 サ イ トを使 お う と思 い ま す か。」 の 質 問 に は 「は い」 と答 え た学 生 が61人 、

「い い え」 と答 え た 学 生 が35人 で、 利 用 経 験 の あ る学 生 の うち 約3分 の2が 翻 訳 サ イ トに何 らか の メ リ ッ トを 感 じ今後 も使 お う と思 って い る こ とが わ か った。

6)学 生 に よ る翻 訳 サ イ ト利 用実 態 の ま とめ

以 上 の調 査 の結 果 、CALLを 必 修 と して い る大 学 で は、 翻 訳 サ イ トの認 知 度 も利 用 経 験 の 割 合 も 非 常 に高 い こ とが 判 明 した 。 逆 に、CALLも 情 報 も必 修 で な い大 学 で は、 翻 訳 サ イ トは 今 の と こ ろ あ ま り利用 され て い な い よ うで あ る。 ま た、 多 くの学 生 が、 日本 語 の 文 を無 料 翻訳 サ イ トにか け て 出 て きた英 文 に 間違 い が 多 い こ とを あ る程 度 認 識 して い る こ と も確 認 され た。 翻 訳 サ イ トが不 完 全 で あ る こ とを意 識 は しな が ら も、 自分 で ど う表 現 して い い い か わ か らな い時 な ど に部 分 的 に翻 訳 サ イ トに か け、 出 て き た英 文 を 自分 な りに直 す 形 で 利 用 して い る実 態 が 明 らか にな った。

3.翻 訳 サ イ ト利 用 の 有 効 性

実 態調 査 の結 果 で は、 筆 者 らが懸 念 して いた ほ ど に は、 学 生 た ち は翻 訳 サ イ トに全 面 依 存 して い る とい うわ けで は な い よ うで あ る。 しか し、 「間 違 い を 認 識 して い る」、 「部 分 的 に 直 して 使 って い る」

と言 って も、 学 生 が どの程 度 翻 訳 サ イ トの 不 完 全 さ を見 抜 けて い るの か、 間違 って い る箇 所 を 本 当 に 正 し く直 せ て い る の か は不 明 で あ っ た。 そ こで 、 翻 訳 サ イ トを利 用 して学 生 が書 い た英 語 の文 章 を検 討 し、 さ らに本 人 が 自力 で書 い た英 語 の文 章 と比 較 す る こ と に よ り、 翻 訳 サ イ ト利 用 の有 効 性 を検 証 す る こ と と した。

1)検 証 方 法

ま ず 「私 の夏 休 み の計 画 」 とい う題 名 の 日本 語 で 書 い た文 章 を 用意 した。 この文 章 に は、 主 語 や 述 語 の省 略、 日本 語 的表 現 、 文 と文 のつ な が りの 曖 昧 さ な ど、 翻 訳 サ イ トに か け る と誤 訳 に な りや す い 要 素 を含 ませ て お い た。 次 に、 この文 章 を そ の ま ま翻 訳 サ イ トにか けて英 文 を 出力 した。 そ して 、 こ の 日本 語 文 と翻 訳 サ イ トで 出力 され た英 文 を組 み 合 わ せ て ワー ク シー トを2種 類 作 成 した。 す な わ ち、

日本 語 文 全 文 の他 に、 一 方 は前 半 部 分 の み 翻訳 サ イ トで 出力 した 英文 を提 示 した もの と、 もう一 方 は 後 半 部 分 の み 出力 した英 文 を提 示 した もの で あ っ た。

2002年6月 に、 筆 者 らが担 当す る3ク ラス に お いて 、 この ワー ク シー トを使 って学 生 に作 業 を 行 な

(6)

わ せ た。 この3ク ラス は 、 同年4月 に実施 したTOEICミ ニ テ ス トの ク ラス平 均 点 に よ って 、 「上 級 」、

「中級 」、 「初 級 」 の 英 語 力 レベ ル に分 類 さ れ て い た。 作 業 の 内 容 は、 各 ク ラス の半 数 の学 生 に は、 日 本 語 文 の前 半 部 分 につ い て は翻 訳 サ イ トの 英 文 を 参 考 に 、 後半 部 分 に つ い て は 自力 で英 訳 させ た。 残

りの半 数 の学 生 には、 逆 に前 半 は 自力 で 、 後 半 は翻訳 サ イ トの 英 文 を参 考 に して 英訳 させ た。 そ して 、 自力 で書 い た英 文 と、 翻 訳 サ イ トを 参 考 に した 英 文 とを 比 較 して検 証 す る こ と と した。

2)検 証 結 果

学 生 が 自力 で 書 い た 英 文 と 、 翻 訳 サ イ トを 参 考 に して 書 い た 英 文 を 比 較 した 結 果 、 各 レ ベ ル ご と に 次 の よ う な 特 徴 が 見 ら れ た 。

初 級 レ ベ ル の 学 生.(対 象 者31人)

翻 訳 サ イ トの 英 文 の 間 違 い を 発 見 で き な い 。

翻 訳 サ イ トの 英 文 の 間 違 い に 気 づ い て も正 し く直 せ な い

翻 訳 サ イ トの 英 文 に 頼 り、 引 き ず られ る 傾 向 が 非 常 に 強 い 。

自 力 で 書 い て も 間 違 っ た 英 文 を 書 く

出 来 あ が っ た 英 文 の 精 度 は、 翻 訳 サ イ トを 参 考 に して も 、 自 力 で 書 い て も大 差 は な い が 、 自 力 で 書 い た 英 文 の 方 が 言 い た い こ と の 推 察 が で き る 。

中 級 レ ベ ル の 学 生(対 象 者22人)

あ る 程 度 間 違 い を 発 見 して 直 す 。

翻 訳 サ イ トの 英 文 に 引 き ず られ る 傾 向 が 所 々 で 見 られ る

(例:日 本 語 文 の 「私 た ち は い つ も 一 緒 に い ま し た 」 が 翻 訳 サ イ トで は"Wewere alwaysthesame."と 誤 訳 さ れ て い る が 、 そ れ を そ の ま ま 使 用 し て い る 学 生 が 数 人 い た 。

ま た 、 「た く さ ん 話 した い と 思 い ま す 」 は"lwanttomakealotoftalk."と 訳 さ れ て い る が 、 こ れ に つ い て も数 人 の 学 生 が そ の ま ま 使 用 して い た 。 同 様 の 間 違 い が 他 に も見 ら れ た 。)

出 来 あ が っ た 英 文 は 、 自力 で 書 い た 方 が 不 自 然 さが 少 な い 。

上 級 レ ベ ル の 学 生(対 象 者28人)

最 初 か ら翻 訳 サ イ トの 英 文 を 参 考 に し な い 学 生 が 多 い 。

参 考 に した 学 生 の 中 に は、 引 き ず ら れ る傾 向 が や や 見 られ る 。

(例:"Ienteredtoacollege."や"Myhometownisthemostrelievedplace."な 翻 訳 サ イ トの 微 妙 に 誤 っ た 英 文 や 不 自然 な 表 現 を そ の ま ま 採 用 して い る 学 生 が10人 程 度 い

た 。)

出 来 あ が っ た 英 文 は、 自力 で 書 い た 方 が 自然 で 明 快 で あ る 。

3)結 論

以 上 の検 証 結 果 か らわ か った こ とは、 翻 訳 サ イ トの英 文 は、 単 語 単 位 な どで参 考 にな って い る部 分 も少 しは あ る も の の、全 体 と して は学 生 が そ の誤 りを見 抜 きき れ て い る とは言 えず 、 従 って 、 適 切 に 修 正 で きて も い な い、 と い う こ とで あ る。 特 に、 初 級 レベ ル の学 生 に 関 して は、 英 文 の 間 違 いを ほ と ん ど見 分 け られ な い よ うで あ った。 そ して 、 翻訳 サ イ トを使 った箇 所 で は、 どの レベ ル に お いて も、

程 度 の 差 こ そ あれ 誤 りや 不 自然 さ に引 き ず られ る傾 向 が 多 く見 られ た。 ま た、 出来 あが っ た英 文 は、

レベ ル にか か わ らず 、 自力 で書 い た方 が 自然 で 間 違 い も少 な い と判 断 され た。 この よ うな こ とか ら、

(7)

無 料 翻 訳 サ イ ト利 用 の有 効 性 は全 くな い と言 わ な い まで も、 か な り低 く、 む し ろ学 生 の英 語 学 習 と い う側 面 か ら見 た場 合 に は弊 害 の方 が は るか に大 き い と結 論 づ け られ た。

4.翻 訳 サ イ トの 安 易 な 利 用 を 防 ぐ た め の 方 策 と ア ク テ ィ ビテ ィ

教 師 と して は、 こ の問 題 を 深 く認 識 した上 で 、 早 急 に何 らか の方 策 を講 じる必 要 性 が あ る と考 え ら れ る。 学 生 が 英 作 文 な どで 翻訳 サ イ トを大 部 分 で 利 用 した こ とが 明 らか な 時 に は、 その 提 出物 は評 価 対 象 に しな い な ど の強 い措 置 で の ぞ む こ と もや む を 得 な い だ ろ う。 しか し、 そ れ以 前 に まず 学 生 自身 に翻 訳 サ イ トに頼 って も メ リッ トが な い こ と に気 づ か せ 、安 易 に頼 らな い とい う意 識 を 持 た せ る こ と が大 事 だ と思 われ る。 学 生 は そ れ ほ ど深 い考 え も持 た ず に、 便 利 な ツ ール とい うこ とで つ い 利 用 して い る場 合 が 多 いか らで あ る。 そ の よ うな考 え の も と に、授 業 内 で あ る試 み を行 な って み た の で 、 そ れ につ いて こ こで 紹 介 した い。

こ の ア ク テ ィ ビテ ィ は、特 に初 級 レベ ル か ら 中級 の 下 位 レベ ル ま で の学 生 を対 象 に考 え て み た もの で あ る。 と い う の も、 中級 レベ ル以 上 の学 生 の 場 合 は、先 の検 証 結 果 な どか ら、 翻 訳 サ イ トの英 文 の 良 し悪 しを あ る程 度 判 断 しな が ら利 用 して い る こ とが わ か った か らで あ る。 そ の レベ ル の 学生 で あ れ ば、 検 証 結 果 を直 に示 して、 翻 訳 サ イ トを使 った 箇所 で は い か に 引 きず られ て 不 自然 な 英 文 に な る場 合 が 多 いか を 指 摘 す るだ けで も、 充 分 な 防止 効 果 にな る こ とが期 待 で き よ う。 しか し、 初 級 レベ ル の 学 生 の場 合 に は、 翻 訳 サ イ トが完 璧 で は な い と漠 然 とは認 識 しつ つ も、 そ の誤 りの 程 度 につ い て 深 く 気 が つ いて い るわ けで はな く、 図 らず もか な りの 程度 依 存 して しま って い る と い う構 図 が 明 らか に見

られ た。 そ こで 、 意 識 改 革 を促 す の に、 も っ と根 本 的 な対 処 法 が必 要 だ と思 わ れ た の で あ る。

ア クテ ィ ビテ ィにつ いて詳 述 す る と、 まず 主 な 目的 は、 翻訳 サ イ トの翻訳 能 力 の不 完 全 さにつ い て、

学 生 自 らに検 証 、 実 感 させ る こ とで安 易 な利 用 を 防 ぐこ とに あ った。 実 施 時 期 は2002年7月 で あ り、

対 象 者 は、本 学 国 際学 部 の初 級 レベ ル 〜 中級 レベ ル と思 われ る、CALL受 講 の1年 生2ク ラ ス とEIC (EnglishforInternationalCommunication)受 講 の2年 生1ク ラス の合 計53人 で あ っ た。

次 に方 法 で あ るが 、2枚 の ワー ク シー トを用 いて行 な った。 まず 、 以 下 の よ うな ワー ク シー ト1を 使 い、 翻 訳 サ イ トにか け るた め に選 ん だ10の 日本 語 の 短 文(添 付 資 料 参 照)そ れ ぞ れ につ い て① に 自 分 の力 で 英 作 文 を させ た。 全 員 そ の作 業 が終 了 した 後 、 ② にペ ア ご とに相 談 して、 よ りよい英 文 が で き た場 合 に は そ れ を書 くよ う に指示 し、 最 後 に ク ラ ス全 体 で議 論 して、 教 師 が ③ モデ ル 訳 を提 示 す る よ う に した。 こ の よ う に実 際 に翻訳 サ イ トを使 う前 に学 生 に 自力 で英 文 を考 え る時 間 を 与 え た の は、

後 述 す る よ う に、 事 前 に頭 の 中で 日本 語 の文 を どの よ う に英文 に転 換 す る か を考 え させ て 、 学生 に和 文 と英 文 の基 本 構 造 の相 違 につ いて意 識 を 向 け させ るね ら いか らで あ った。 特 に英 語 力 の 低 い 学 生 の 場 合 に は、 翻 訳 サ イ トで 出力 され た英 文 の 良 し悪 しを瞬 時 に判 断 す るの は難 しい と思 わ れ た の で 、 準 備 作 業 を行 な う必 要 もあ った 。 た とえ ば、 ワー ク シー ト1の(1)は 、和 文 で は主語 が省 略 され て い て も、

英 訳 す る と き に は主 語 を補 う必 要 が あ る こ と を改 め て意 識 させ るた め の もの で あ る。

(8)

〈ワ ー ク シ ー ト1>

(1)正月 は 初 詣 に 行 く。

① 自 分 の 訳:

② ペ ア訳

③ モデ ル 訳

(2)〜㈹ につ い て も同様 の作 業 。 例 文 は全 て添 付 資 料 と 同 じ。

そ の 後 、 ワー ク シー ト2を 使 って 、 実 際 に コ ン ピュ ー タ の翻 訳 サ イ トにア クセ ス させ るア クテ ィ ビ テ ィを 行 な った。 す で に 自分 で翻 訳 す る こ とを 試 み た10の 日本 語 の文 を一 つ一 つ① 翻 訳 サ イ トに入 力

させ 、 ② 出 て き た文 が正 しい か間 違 って い るか を判 定 させ た。 ③ 間違 って い る と思 った場 合 に は そ の 箇所 を 訂 正 させ、 ④ そ の よ うな誤 訳 が 出て きた 原 因 を 考 えて 記 述 させ た。 さ らに、 ⑤ 和 文 入 力 を工 夫 して 再 度 入 力 を試 み、 ⑥ 出て き た英 文 を再 検 討 させ た。1年 次 に全 員CALL授 業 経 験 が あ る2年 生 EICク ラ ス に つ いて は、 今 回 は普 通 教 室 で の 授 業 だ った た め、 ① ② を 記 入 済 み の ワ ー ク シー トを配 布 し、 ③ ④ ⑤ に つ い て の み作 業 させ た。

こ こに、 学 生 が ワ ー ク シ ー ト2に 書 い た 中 で 典 型 的 だ った一 例 を示 して、 学 生 の 回答 傾 向 を概 説 し た い。

〈ワ ー ク シ ー ト2>⑥ の 回 答 例

文:私 は甘 い も の に 目 が な い 。

翻 訳 サ イ ト:lhaveapassionsweetly.→ 判 定 ×

正:llikesweetfoods.

因:「 目 が な い 」 と い う 日本 語 特 有 の 慣 用 句 を 使 っ て い る 。

案:私 は 甘 い も の が 大 好 き だ 。

翻 訳 サ イ ト:Ilovesweettheone.→ 判 定 ○

② の よ う に、 翻 訳 サ イ トで は、 日本 語 の 発 想 そ の ま まで 入 力 す る と誤 った英 文 に 翻訳 され る場 合 が多 い が、 ほ とん どの学 生 が これ につ いて は正 し くな い文 だ と判 定 で きて お り、 ③ の 訂正 に つ い て もワ ー ク シー ト1の ア ク テ ィ ビテ ィが 頭 に残 って い た 学 生 は文 ご と正 し く直 す こ とが で き て い た。 ④ の原 因 の指 摘 に つ い て は、 こ の例 の よ う に明 らか な もの につ い て はで きて い た が、 問題 文 に よ って は見 当違 い で あ った り、 無 回 答 も目立 った 。 ⑤ の 入力 案 は、 どの 文 の 場 合 も比較 的 よ く考 え られ て い たが 、⑥ に 関 して は、 入 力 を工 夫 して もな お正 しい英 文 が 出 て こな い こ とに気 づ い て首 を か しげ る学 生 が い る 一 方、 入 力 さえ 正 し くす れ ば正 し く翻 訳 され る と過信 して い る学 生 も少 な くな か った。 特 に この 例 の よ うには っき り と間 違 って い る もので も、 見 慣 れ な い構 文 の場 合 に は正 しい と判 定 す る傾 向が 目立 ち、

や は り学 生 た ちが 翻 訳 サ イ トの誤 翻 訳 を根 本 的 に見 抜 け て い な い こ とが こ こ で も証 明 され る形 とな っ た。 この よ うな 事 例 に つ い て、 時 間 を か け て逐 一 解 説 を行 な った結 果 、 今 回 初 め て翻 訳 サ イ トの翻 訳 能 力 の 不 完 全 さを認 識 した学 生 も多 い よ うだ った。

授業 後 に、 この一 連 の ア クテ ィ ビテ ィの効 果 の ほ どを確 認 す るた め に、53人 全員 に記 述 式 の ア ンケ ー トを実 施 した。 そ の結 果 、 「翻 訳 サ イ トの翻 訳 能 力 を どの 程 度 信 用 で き る と思 い ま したか 。」、 「翻 訳 サ イ トにつ いて の ア ク テ ィ ビテ ィを行 な った 感 想 を何 で も 自由 に 書 いて くだ さ い。」 の2問 に対 す る 回

(9)

答 か ら集 約 され た 意 見 は以 下 の よ うで あ った。 翻 訳 サ イ トにっ い て否 定 的 な感 想 が 合 計 す る と76%に の ぼ ったの に対 して 、 肯 定 的 な感 想 は9%に と ど ま った。

表8翻 訳 サ イ トとそ れ を 使 っ たア クテ ィ ビテ ィに つ い て の感 想 翻 訳 サ イ トは意 外 とあ て に な らな い

入 力 を考 え 、 間 違 いを 探 さな くて は い けな いの で逆 に大 変 頼 りす ぎて は 自分 の 力 にな らな い/自 分 で や るの が一 番 自分 の 実 力 を 上 げな い とい け な い と思 った

楽 しか った/少 しは 便利 だ と思 った そ の 他/無 回 答

16人 11人 8人 5人 5人 8人

(31%) (21%) (15%) (9%) (9%) (15%)

さ ら に 「これ か ら も翻 訳 サ イ トを使 お う と思 い ます か。」 と い う質 問 につ い て は、 この 学生 た ちの 場 合 は ア クテ ィ ビテ ィ前 は 「は い」 と 「い い え 」 が ち ょう ど50%ず つ だ った が、 ア ク テ ィ ビテ ィ後 は そ れ ぞ れ36%と64%に 変 化 して い た。 上 記 の 結 果 と合 わ せ て 、 この ア ク テ ィ ビテ ィは 「安 易 に翻 訳 サ イ トを利 用 しな い」 とい う意 識 を植 え 付 け るの に有 効 だ った と考 え て よ い だ ろ う。

た だ、 翻 訳 サ イ トに関 して 肯 定 的 な 感想 は9%と 少 な か った の に、 こ の ア ク テ ィ ビテ ィ後 も まだ36

%が 「これ か ら も使 う」 と答 え た と こ ろに、 一 筋 縄 で はい か な い この 問題 解 決 の難 しさが あ る と言 え る。 使 う と回 答 した 学 生 に は そ の理 由 も記 述 させ た の だが 、 「自分 だ けで は力 不 足 だ か ら」、 「自信 が な い か ら・ 参 考 程 度 に」・ 「(自 分 の力 よ りは)少 しだ け信 用 で き る か ら」 な ど 自分 の英 語 力 の不 足 を あ げ る例 が 目立 った 。 英 語 力 の 低 い 学生 た ち は 、 翻訳 サ イ トは あ て に な らな い と思 い な が ら も、 自分 の力 不 足 を カバ ー す る手 段 と して つ い頼 りに して しま う とい うジ レ ンマ に陥 って い るよ うで あ る。 安 易 な 翻 訳 サ イ トの利 用 に歯 止 め を か け る一 方 で、 こ うい った大 学 生 た ち に いか に基 礎 英 語 力 をつ け さ せ るか を考 え る こ とが、 この 問題 か ら明 らか に な っ て きた私 た ち英 語教 師 の もう一 つ の 課題 で あ ろ う。

そ して 、 そ の こ とが ひ い て は一 番 の翻 訳 サ イ ト依 存 防止 特 効 薬 とな り得 るの は言 うま で もな い。

5.翻 訳 サ イ トを 使 っ た ア ク テ ィ ビ テ ィ の 副 次 的 効 果

上 記 の翻 訳 サ イ トを使 った ア ク テ ィ ビテ ィ に は、 翻 訳 サ イ トの 翻訳 能 力 の不 完 全 さ を学 生 に認 識 さ せ て、 そ の安 易 な使 用 を 防止 す る と い う 目的 の 他 に も、 日本 語 と英 語 の構 造 の違 い を学 生 に改 め て 認 識 させ る とい うね らい が あ った。 最 近 、 翻 訳 サ イ トを 使 わ な くて も、 初 級 レベ ル の ク ラ スの 中 で は、

平 気 で の1の 代 りにitを 使 っ た り、 日本 語 を片 端 か ら横 に倒 して い くよ うな英 文 を書 く学 生 も 目立 つ。 この よ うな、 自 ら も同 じよ う な間 違 いを す る学 生 が 、翻訳 サイ トの英文 の誤 りを見抜 けないの も 当然 と言 え る。 上 述 の ア ク テ ィ ビテ ィを行 な う こ と に よ り、 日本 語 と英 語 の違 い に対 す る基本 的 な理 解 を欠 い て い る学 生 に、 日本 語 か ら英語 へ の変 換 を そ の ま ま試 み た場 合 、 どれ ほ ど本 来 の 英語 とか け は な れ た もの に な るか と い う こ とを 一 つ一 つ具 体 例 か ら学 ば せ る こ と もで き るの で はな い か と考 え た の で あ る。 山 内(2001)が 述 べ て い る機 械 翻 訳 の誤 訳 の逆 活用 で あ る。 ア クテ ィ ビテ ィ後 の ア ンケ ー トで 、 こ の副 次 的 と も いえ る効 果 につ い て も確 認 す るた め に 「日本 語 と英 語 の 文 の 構 造 の違 い に つ い て 、 初 めて 気 が つ い た 点 や 再 認 識 した点 を書 い て くだ さい。」 と い う項 目を設 け た と ころ、 「英 語 に は 主語 が必 要 」、 「文 の 作 り方 、 順 序 が全 然 違 う」、 「日本 語 は言 いた い こ とが最 後 、英 語 は逆 だ と思 った」、

「日本 語 を そ の ま ま英 語 にす る の は無 理 だ と思 っ た」 と い う よ うな感 想 が多 数 見 られ た。

(10)

この結 果 は、 お そ ら く演 繹 的 にル ー ル か ら教 え こま れ る よ うな英 文法 を苦 手 と して き た 学生 に、 こ の よ うに帰 納 的 に文法 を教 え る こ との 重要 性 を示 して い る と思 わ れ る。 そ して、 上 記 の ア クテ ィ ビテ ィ が 、 そ の意 味 で一 つ の有 効 な授 業 例 で あ る こ とが 確i認され た と言 え よ う。

6.お わ り に

昨今 の 爆 発 的 な コ ン ピ ュー タ、 そ して イ ンター ネ ッ トの 普 及 に伴 い 、 情報 の受 発 信 の た め に ま す ま す 英語 の必 要性 が痛 感 さ れ る よ うに な って きた 。 そ う した状 況 の 中 で 、 日本 の知 的風 土 と言 語 的孤 立 と もあ い ま って、 テ ク ノ ロ ジー と して の 機 械 翻 訳 へ の 関 心 が 個 人 レベ ル で もか な り高 くな って き て い る(成 田,1996)。 一 口 に機 械 翻 訳 と い って も、CD‑ROM型 の ソ フ トか らイ ン タ ー ネ ッ ト上 で利 用 で き る い わ ゆ る 「翻 訳 サ イ ト」、 そ れ もウ ェブ の 翻 訳 か らメ ール 、 チ ャ ッ ト翻 訳 に い た る ま で さ ま ざ ま な タ イ プ が あ り(高 田,2001)、 値 段 も ソ フ トな ら数 十 万 す る もの か ら無 料 の 翻 訳 サ イ トま で と幅 広 い。 これ だ け種 類 が あ る以 上 、 玉 石 混 淆 な の は当 然 だ し、 これ か らます ま す テ クノ ロ ジー化 して い

く流 れ の 中で、 機 械 翻 訳 す べ て を否 定 す る よ うな 提 言 を す るつ も りはな い。

ただ 、 筆 者 らが 問題 だ と感 じて い る の は、 その 品 質 に疑 問が あ るイ ンタ ー ネ ッ ト上 め 無 料翻 訳 サ イ トを、 学 生 た ち が実 に安 易 に英 語 学 習 に利 用 して い る よ うに見 え る点 で あ る。英 日翻 訳 に関 して は、

今 回 そ の 実 力 を検 証 して い な い の で言 及 す る こ と は避 け る が、 少 な くと も 日英 翻訳 に 関 して は、 利 用 す る こ と の弊 害 は か な り大 き い と考 え られ る。 利 用 の仕 方 につ いて 、 メ ー カ ー に よ って は 、 「短 文 に す る」、 「ま わ り くどい 表 現 を避 け る」、 「主 語 や 目 的語 を 省 略 しな い」(富 士 通ATLAS)な ど、 日本 語 入力 時 の ポイ ン トを ア ドバ イ ス して い る と ころ もあ るが、 筆 者 らの検証 で は、 そ の ア ドバ イ ス に従 っ て も必 ず し も正 しい英 文 を得 られ な い こ とが 多 か った 。 そ れ ほ ど、 誤 翻 訳 が多 い翻 訳 サ イ トな の だが 、 そ の認 識 が 十分 で は な い上 に、 日本 語 と英 語 の構 造 の 違 い を深 く認 識 せ ず に 入 力 して 、 翻 訳 され た文 章 が 正 しいか 間違 って い るか につ い て も判 断 で きな い ま ま利 用 して い る学 生 が少 な くな い 。早 急 に何 らか の 対 処 法 を講 じ る必 要 が あ る の で は な いか と感 じ、 今 回 の この 問 題 提 起 と当 面 の 対 処 法 と して の ア ク テ ィ ビテ ィ紹 介 に至 った次 第 で あ る。

現 在 、 「は じめ に」 で も触 れ た よ うに、 翻 訳 サ イ トは ま だ 開発 段 階 で あ り、 特 に 日英 機 械 翻 訳 に 関 して は、 そ の実 力 は実 用 レベ ル か らは程 遠 い よ うだ。 市 販 され て い る翻 訳 ソ フ トで も、 助 詞 の用 法 の 複 雑 さや 文 脈情 報 の欠 如 な ど 日本 語 の言 語 的 特 徴 か らそ の文 脈 処 理 機 能 はお も ち ゃ レベ ル だ(成 田, 1996)と い う。 こ う した有 料 の翻 訳 ソフ ト等 につ いて も、 筆 者 らは近 い う ち に検 証 を 進 め て み るつ も

りで あ るが 、大 きな期 待 が集 ま って い る以 上 、 高 性 能 で廉 価 な ソフ トが 供 給 され る よ う にな る 日は意 外 と近 いか も しれ な い。 た だ そ うい う時代 が来 て も、 そ の翻 訳 結 果 がニ ュ ア ンス も含 め て 自分 の言 い た い こ と と合致 して い るか ど うか を見 極 め るの は本 人 で あ って、 使 い こな す の に は あ る程 度 の 英語 力 が必 要 で あ るの は 自明 の こ と と言 え る。 学 習 者 が 自分 で英 語 力 を高 め る努 力 を 放 棄 して は、 せ っか く の テ ク ノ ロ ジー の 恩 恵 に も預 か れ な い とい う こ とを認 識 させ る こ と も、 情 報 化 時 代 の 英 語 教 師 の 大事 な役 割 の一 つ で あ ろ う。

(付記)本 稿 は、 筆i者らが2002年9月 に 第41回JACET(大 学英 語 教育 学 会)全 国 大 会 にお い て 口 頭 発 表 した 内 容 に加 筆 修 正 した もの で あ る。

(11)

参考文献

Swain,M.&LapkinS.(1995)Problemsinoutputandthecognitiveprocessestheygenerate:A

steptowardssecondIanguagelearning.、4ρ ρZ勿4L勿 σ痂s'づcs,16β ノ,371‑391.

高 田 大 介(2001)「 翻 訳 サ イ トで 海 外 デ ビ ュ ー 」 『INTERNETmagazine』4』 月 号,242‑247.・

成 田 一(1997)『 パ ソ コ ン翻 訳 の 世 界 』 講 談 社 新 書1378.

成 田 一1(2000)「 日英 ・英 日機 械 翻 訳 の 実 力 」 『言 語 処 理 学 会 第6回 年 次 大 会 発 表 論 文 集 』,51‑54.

町 田 隆 哉 他(2001)r新 しい 世 代 の 英 語 教 育 一 第3世 代 のCALLと 「総 合 的 な 学 習 の 時 間 」』 松 柏 社.

見 上 晃(2002)「 英 語 教 育 改 革 の 積 極 度 に 見 る二 重 性 」 『デ ー タ に 基 づ く大 学 外 国 語 教 育 の 実 態 と 今 後 」, 第41回JACET全 国 大 会 シ ン ポ ジ ウ ム 配 布 資 料.

山 内 豊(2001)『IT時 代 の マ ル チ メ デ ィ ア 英 語 授 業 入 門 』 研 究 社.

横 山 晶 一(2001)「 イ ン タ ー ネ ッ ト翻 訳 に よ る情 報 受 発 信 」 『慶 應 義 塾 大 学 メ デ ィ ア ・コ ミュ ニ ケ ー シ ョ ン研 究 所 紀 要 』,No.51,11‑17.

参 考 ウ エ ッ ブ サ イ ト

富 士 通ATLAShttp://software.fujitsu.com/jp/atlas/point‑je.html

添付資料

1無 料 翻 訳 サ イ トの 訳 例

〉 和 文 の 主 語 が 省 略 さ れ て い る場 合

(1)正 月 は 初 詣 に 行 く。(人 間 の 代 わ り にitが 主 語 に な る 例/同 じ語 句 が 繰 り返 さ れ る 例) ItgoestotheNewYear'svisittoashrineattheNewYear.

(2)雨 の 日 は た い て い家 に い る。(本 来 主 語 で な い もの が 主 語 に な る 例) Thedayofrainisusuallyinthehouse.

(3)毎 日 、 新 聞 を 読 む 。(不 自 然 な 受 身 に な る 例) Thenewspaperisreadeveryday.

〉 和 文 の 目 的 語 が 省 略 さ れ て い る場 合

(4)私 の 父 は タ バ コ を 吸 う が 、 弟 は 吸 わ な い 。(関 係 な い 動 詞 が 使 わ れ る例) Youngerbrotherdoesnot .breatheinthoughmyfathersmokesthecigarette.

レ 和 文 の 述 語 が 省 略 さ れ て い る 場 合

(5)私 は 野 球 、 弟 は サ ッ カ ー が 好 き だ 。(主 語 と補 語 が 不 一 致 の 例) Iamfavoritebaseballandyoungerbrotherlikessoccer.

レ 日 本 語 的 表 現 の 場 合

(6)私 は 甘 い も の に 目 が な い 。(関 係 な い 単 語 が 使 わ れ る 例) Ihaveapassionsweetly.

(12)

レ 和 文 が 重 文 で 、 節 と節 の 関 係 が 不 明 瞭 な 場 合

(7)雨 が 降 っ て 、 試 合 が 中 止 に な った 。(時 制 の 不 一 致 が 生 じ る例) Itrainsandhascanceledthegame.

(8)昨 日、 私 は 宇 多 田 ヒ カ ル を み か け た が 、 元 気 そ う だ っ た 。(文 の つ な が り が お か し い 例/動 の あ と に不 用 な 前 置 詞 が 入 る 例)

IseemedtowasenergeticyesterdaythoughIsawtoUtadahical.

レ 和 文 が 複 文 の 場 合

(9)次 の バ ス は 何 時 か 知 っ て い ま す か?(本 来 主 語 で な い もの が 主 語 に な る例) Doesthenextbusknowsometime?

神 戸 は私 が い つ か 訪 れ た い を 思 っ て い る 都 市 で す 。(文 の つ な が り が お か し い 例) KobeisacityhaswhenIwanttovisitsometime.

(大須 賀 直 子 ・真 野 千 佳 子:本 学 国 際学 部 非 常 勤 講 師)

参照

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