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Water Characteristics in the Kuril Basin of the Sea of Okhotsk, with emphasis on low density water

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Academic year: 2021

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博 士 ( 理 学 ) 渡 邊 達 郎

学 位 論 文 題 名

Water Characteristics in the Kuril Basin   of the Sea of Okhotsk, with emphasis        on low density water

(オホーツク海千島海盆域の海洋構造―特に低密度水に注目して−)

学位論文 内容の要旨

  オ ホ ー ツ ク 海 は 北 半 球 の 海氷 南限 海域で ある 事が 知ら れてい る。 また 近年の 研 究 で は 北 太 平 洋 のD。 ‑2 6.8面 付 近 に 分 布 す る 北 太 平 洋 中 層 水(NPIW) の起 源 水 の 形 成 域 で あ る と 考え られ ている 。以 上の 様に オホー ツク 海は 海洋物 理 学的 に 重 要 な 意 味 を 持 つ 海 域で ある にも関 わら ず、 観測 の難し さか ら現 在まで あ まル デ ー タ が な く 、 研 究 も 進ん でい なかっ た。 本研 究は 既存の 全て のデ ータを 使 用し て グ リ ッ ド デ ー タ セ ッ トを 作成 し、オ ホー ツク 海主 に千島 海盆 域の 海洋構 造 とそ の 形 成 機 構 を 明 ら か に した 。ま た、そ の結 果を 踏ま えて数 値実 験を 行って 、 オホ ー ツ ク 海 の 海 洋 構 造 を シミ ュレ ーショ ンし 、水 塊形 成に与 える 風成 循環・ 熱 塩循環 の効 果に ついて 議論 した 。

  ま ず 初 め に 、 主 にJODC( Japan Oceanographic Data Center)に 納 め ら れ て いる デ ー タ を 元 に し て オ ホ ーツ ク海 の水温 ・塩 分・ 溶存 酸素に 関す るグ リッド デ ータセ ット を作 成した 。範 囲は44.3−55.0゜N,144.O−154.0゜Eで、 グリ ッドサ イズは 南北 方向0.33° 、東 西方向0.50° とし た。データは季節毎(春:4一6月、

夏 :7―9月 、 秋 :10―12月 、 冬 :1ー3月 ) に 分 け て 、 各 グ リ ッ ド 毎 に デ ー 夕 密 度 に よ っ て 決 め ら れ た 影 響 半 径 ( 約200ー250k m)内 の デ 一 夕 を 重 み平均 して 各季 節・各 グリ ッド の値 を求め た。

  デ ー タ セ ッ ト を 用 い て オ ホー ツク 海と北 太平 洋の 鉛直 密度構 造を 比較 すると 、 オホ ー ツ ク 海 の 方 が 等 深 度 にお い て 全 体 的 に 密 度 が 小 さ い。 特 に千島 海盆 内の4

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00ー600m付 近 が最 も 北太 平 洋と の密 度 差が 大 きく 、 低密 度な 水 塊が 多 量に 存 在 し て い る 。 こ の 水 塊 の 密 度 は26.8ー27.0びP程度 であ り 、本 研 究で は 「 低密 度 水」 と呼 称 した 。 表層 か ら1000mまでの水塊 の量的見積もり をす る と 、太 平洋ではびp ‑2 7.3の水塊 が最も多く存 在しているの に対して、オ ホ ー ツク 海 の千 島海 盆 内で は 量的 に 多い 密度が ロ。  ‑2 6.9と27.3のニつ 見られる。後者は北太平洋系の水塊と考えられる。前者は「低密度水」であり、

全水 塊の40%以上を占めている。よって「低密度水」はオホーツク海特有の水 塊でありこの密度の水塊がオホーツク海で多量に形成されているものと考えられ る。これまで研究によると、オホーツク海では冬季の冷却によるVentilationで は げ 。>26.8の 水 塊 を 形 成 す る の は 難 し く 、 オ ホ ー ツ ク 海 のNPIWの 起 源 水がオホーツク海のどこで形成され、その密度がどの程度であるのかは明らかで な か った が、本解析に よってオホー ツク海ですで にロ゛二ニ26.8―26.9の 密度であることが示された。

  次に、等密度面解析を行って、「低密度水」がどこでいつ形成されているのか を調べた。それによると千島海盆南西域の北海道沿岸域で冬季及び春季に形成さ れて いることが明 らかになった 。密度面毎に 見ていくとロ。≦26.7ではオホ ーツク海北域全体に高酸素水域が分布しており、この海域で水塊が多く形成され て い る こ と が 示 さ れ た 。2 6.7<び 。 ≦26.8で は 北西 域 に高 酸 素水 域が 分 布 し てい た 。以 上 の事 か ら大 気 の冷 却に よ るVentilationでは びP≦26.7の 水塊しか形成できず、冬季の海氷生成によるプライン排出の効果か加えられる事 に よ っ て2 6.7≦ びo≦26.8の 水 塊 が 形 成 さ れ る こ と が 示 さ れ た 。 と こ ろ が 「 低密 度 水」 の 密度 で ある2 6.8≦ び。 ≦26.9では そ れま で とは 全く 異 なる千島海盆南西域の北海道沿岸域が最も高酸素になっていた。北西域も春季に 限って高酸素を示していたが、量的・循環場的に考えて、千島海盆内の「低密度 水」は北海道沿岸域で形成されていると考えられる。

  次に北海道沿岸域でどの様な過程で「低密度水」形成が行われているのかを調 べ た 。 北 海 道 沿 岸 で は 冬 季 に 中 層 (200一600m) が ほぼ 均一 な 水温 ・ 塩分 構造 (ロ。与2 6.9)にな る事によって 多量の同質の水塊が形成されている。

この様な水塊形成はニつの水塊の混合によって説明できる。一っは、大気の冷却     ‑ 215―

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でVentilationさ れ た 低 密 度 の水 塊 (U。与26.8) で 、 冬 季に は 季節 風に よ る西岸 にお ける沈 降流 及び南 下流 のため 表層 から中 層約600mま で占 めるよう になることが示された。もうーっは冬季冷却されて高密度化した宗谷暖流である。

宗谷暖流は高温・高塩で通常は低密度水塊であるが、冬季沿岸付近の宗谷暖流は 強く冷 却さ れ高密 度水 塊(ロ 。≧26.9)になる。以上のニっの水塊が北海道 沿岸域に共に存在しており、それらが鉛直混合することによって「低密度水」が 形成される。ここで、水塊形成の成因を風成循環・熱塩循環と言った立場で考え ると、前者の水塊は風の影響によるものと言え、後者は熱塩の影響によるものと 考えられる。従って「低密度水」は風成・熱塩の両方の効果が働くことによって 形成されていると考えられる。

  最後に、前述の結果を検証するために数値実験を行った。使用したモデルはG FDLの 海洋大 循環 モデル であ る。領 域はグリッドデータセットと同様で千島海 峡・宗谷海峡は閉じた。海表面の境界条件は、風・熱塩両方入れた場合、熱塩の みの場合、風のみの場合の3通りを与え比較した。その結果数値実験では「低密 度水」の密度・分布位置を完全には再現できなかったが、風・熱塩の両方の効果 を人れた場合が最も良く再現され、両者がオホーツク海の海洋構造の形成に大き く寄与していることが確証された

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学 位論文審査の要旨 主 査    教 授    若 土 正 暁 副 査    教 授    金 成 誠 一 副 査    教 授    竹 内 謙 介 副査   助教授   大島慶一郎

学 位 論 文 題 名

    Water Characteristics in the Kuril Basin     of the Sea of Okhltskwith emphasls     On10WdenSityWater

( オ ホ― ッ ク 海千 島 海盆 域 の 海洋 構 造一 特 に 低密 度 水に 注 目 レて ― )

  北 太 平洋 が 世 界の 海 洋に お け るC02の 主 要な 吸 収域 の ー つで あ るこ と は よく 知 られ て い る。 そ のC02の 吸 収に 「 北太 平 洋 中層 水 」が 大 き く関 わ っ てい る ので は な いか と 最近 注 目 さ れ て い る 。 そ れ は 、 北 太 平洋 の ど こか 、 或い は 縁 辺海 の どこ か の 海面 に 中層 水 が 顔を 出 して い る とこ ろ があ り 、 そこ で 中層 水 の 起源 水 が 形成 す る際 に 大 気中 のC02 大 量に 吸 収し て 、 それ が 中層 水 の 循環 と とも に 北 太平 洋全 域に拡散 していって いるの.

で は な い か と い う も の で あ る 。 その た め 、北 太 平洋 中 層 水の 起 源を 探 り 、そ の 形成 過 程 を明 ら かに す る こと は 重要 で あ る。

  オ ホ ー ツ ク 海 は 、 地 理 的 に 近い こ と から も 、ま た 水 塊形 成 域を 有 し てい る こ とか ら も 、 北 太 平 洋 中 層 水 の 起 源 域 の 有カ な 候 補地 と して 以 前 から 注 目さ れ て はい た 。し か し なが ら 、冬 季 に は海 が 海氷 で 広 く覆 わ れて し ま うこ とや 旧ソ連と の政治的制 約から、

今 ま で に 得 ら れ た 海 洋 観 測 デ ー タは 極 め て少 な く、 北 太 平洋 と の関 連 は もち ろ んオ ホ

― ツ ク 海 自 体 に 関 し て も 我 々 の 理解 は は なは だ 貧弱 な も ので あ った 。 こ のよ う な背 景 の 下 で 本 研 究 は 始 め ら れ 、 以 下 に 示 す よ う な い く っ か の 成 果が 得 ら れた 。 (1)過 去 に 得 ら れ た 海 洋 観 測 デ ー タ を 基 にし て 、 オホ ー ツク 海 の 水温 ・ 塩分 ・ 溶 存酸 素 に関 す る グ リ ッ ド デ ー タ セ ッ ト を 作 成 した 。 個 々の 航 海に よ っ て得 ら れた 観 測 デー タ だけ で は 季 節 変 動 ・ 経 年 変 動 は も ち ろ ん、 海 洋 構造 の 実態 を 把 握す る こと さ え も不 十 分で あ     ‑ 217

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る。従って、このデータセットの作成は、今後オホーツク海について本格的に研究を 推進 して いく上 で極めて有用である。(2)データセットを用いたデー夕解析から、

オホーツク海特有の「低密度水」が、オホーツク海南西海域で冬季に形成される事を 明らかにした。また、その生因として冬季に発達する北西季節風が重要な役割を果た しており、その風によるEkntan Transportによってオホーツク海全域の表層低塩分水が 南西海域に運び込まれ、そこで沈降することによってもたらされる事を示した。(3) オホーツク海南西海域で冬季に大量に生成される低密度水とそこに貫入する高温高塩 な宗谷暖流水との混合によって、密度的に北太平洋中層水の起源になり得る水が容易 に形成し得るニとを示した。

  以上のような主テーマとは別に、本研究はいくっかの付随的だが重要な研究成果も もたらした。一っは申請者自身が参加した巡視船「そうや」による冬季流氷域での海 洋・海氷観測から、毎年冬の初めに北海道沿岸沖に近づく流氷野が実はその先端で融 解しつつ南下している、という興味ある事実を明らかにした。また、従来から大きナょ 疑問であった、日本列島沿岸域の中でオホーツク沿岸だけが、冬季に再び潮位が上昇 するという現象も、冬季オホーツク海南西海域への低塩分水の流入という観測事実に よって説明し得ることを示した。

  以上述べてきたように、本研究はオホーツク海における海洋学に多くの新知見をも たらした点で高く評価できるものである。これらのことから、審査員一同は申請者が 博 士 ( 理 学 ) の 学 位 を 受 け る の に 十 分 な 資 格 を 有 す る も の と 認 定 し た 。

参照

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