病 院図書室 15(1)3−5,1995
記 念 フ ォー ラ ム 」を
私 た ち近 畿 病 院図 書室 協議 会 は1994年 、創 立20周年 を 迎 え た。 そこで これを 記 念す る と と もに、 現 在 の病 院図 書 室を 取 巻く環 境 や状 況 の変 化、 今 後 の展望 を 広く 識 者を 招い て 考 えて みる機 会 を 持つ こ とに した。 春 の 4月 か ら 企画 案を 練 り 、会 場 の確保 や 講師 交渉 な ど の 準備 作業 を す す めて きた。 また、 私 たち 協 議 会と して は初 めて 案 内の ポ スタ ーを 作成 し、 全国 の医学 図 書 館を はじめ 地区 の ネ ット ワ ー クや図 書 館関 連 の 機関 に も配布 す るな ど、 意 図 的 に「 病 院図 書 室」 の宣 伝P R 活動を お こ な っ た。 そ して11月 9日 、京 都市 国 際交 流会 館 にお い て 記念 行 事を 迎 えた 。会 場 は岡 崎公 園 の一 角 に 位 置し 南 禅寺を 眼前 とし なが ら、 国 際 色 豊 か な人 々の集 うモ ダ ンで 美 しく20周年を 記 念 す るに ふ さ わ しい 会場で あ っ た。 また 、当 日 は秋晴 れ に も恵 ま れ、全 国 か ら約90名 もの 参加 者が あ っ た。 以下 、 そ の模 様につ い て 簡 単 に紹 介致 す る。 当 日 の記 念 行 事 は、 「 近畿 病 院図 書 室協 議 会: 創立20周 年 記念 フ ォー ラ ム」 として 、 シ ンポ ジウ ムと 記 念講 演そ して 懇 親 会の 3部 で 構成 し た。 ま ず 、啓 蒙的 な 意図を もって 企画 し た「 変化 の 中 の病 院図 書 室 」を テ ーマ とす る シ ンポ ジウ ムに は、 5人 の シ ンポ ジス トの 方 々に 講演 を お 願い し た。 次 に、 今後 の 医療 に おい て大 きな 比重 を 占め る老 人 医療を 学 ぶ た め、 特別 記 念 講 演に は柏 木哲 夫 大阪 大学 教 授 をお 招 き し た。以 下 、プ ロ グラ ムに沿 って 内 容を 紹 介す る。 1階 イベ ン ト ホー ルで 開 い た シ ンポ ジウ ム は、 司会を 星 ヶ丘 厚生 年 金病 院 の田 伏薫 先生 3 と 私 の二 人で 担 当 し、 まず 、田 伏先 生か ら シ ンポ ジ ウ ム開会 の 挨拶 があ っ た。 続 いて 、 最 初 の シ ン ポジ スト とし て、 北野 病 院の沢 田員 治 先 生 か ら「継 続 教育 ・臨 床研 修 におけ る 病 院 図 書 室の 役割 」 と題 して 、管 理 者・利 用 者 の 立 場 か ら病 院図 書室 の果 す べき 役割を 提示 し て 頂 い た。北 野病 院図 書室 の実 情を 紹 介さ れる と と もに、 医 学 情報 が役立 った ご自身 の 症 例を 具 体的 に紹 介 さ れなが ら、 図 書館 への 期待 を 語 って 頂 いた。 厳 しい 病院 経営 の中 で、 医療 の質を 維 持 し高 め るた めに は図 書室 へ大 き な期 待 がか か って い るこ とが 窺わ れた。 次 に、 国立 京 都病 院 の新島 京 先生 から は同 じ利 用 者 の立 場 なが ら、 海 外にお け る医 学図 書 館 の 例 を 「 ア メ リ カに おけ る病 院 図書 室; Mt.Sinai Hospital の図 書 館を利 用 して 」 と 題 して 紹 介 して 頂 いた。 ニ ュ ーヨ ー ク市 内 に 位 置 す る病 院 の特 色と と もに図 書 館での 体 験 を多 く の スラ イド 写真を 使 って 楽 しく紹 介 し て 頂 い た。 単 に文 献情 報 の提供 だ けでな く 創 造 的 な サ ー ビ ス も行 って い る図 書 館 の 姿 が あ っ た。 日 米 の間 で は病 院図 書室 の 規模や 条 件が 異 な る もの の、図 書 館が 果す 役 割の多 様 性 に は学ぶ 点 が多 い ようで であ る。 3番 目 に、 高 山赤 十字 病院 の木 下久 美子 氏 に は図 書 館員 の立 場 か ら、 「病 院図 書室 と図 書館 員 の 専門 性 」 につい て 報告 して 頂い た。 予算 や 人 員、 スペ ー スな ど多 く の問 題点を 抱 え る 病院 図 書室 にお いて 図 書館 員が 果せ る独 自 の 役割 につ い て 提示 され 、情 報 の専門 家 と して の重 要 性が 強 調さ れた。 病 院 におい て図 書 館 員が 果 せ る専 門性 と は、や はり 「情 報 の 達 人 」で あ ろ うと 思 われ る。 そ の ため に は、病 院 図 書 室 Vol.15 No.l.1995 図書 館 学 の基 礎的 な知 識 の他 に、 語学 や コ ン ピ ュ ー タなど情 報 に ア クセ スする 広い 手段を 一 定 自 分 の ものと す べき必 要 性が 感じ らだ。 4番 目 には、 自 治医 科大 学図 書 館の 青木 孝 雄 氏 に 「日 本医 学図 書 館協 会 と病 院図 書室 」 と題 して 、 理事 の立 場 か ら日本 医学 図 書館 協 会 の 活動 を 中心 にお 話 し頂 い た。特 に昨 年度 は、 同 協会 が入 会基 準 の撤 廃な ど組 織上 の大 きな 変革 を 行っ た こと につ いて 、そ の意 図や 目 的 につ いて 詳 しく 説明 があ っ た。 病院 図書 室 と の協 力関 係 のあ り方 につ いて も、 既 存の ネ ッ トワ ー クと競 合 す るも ので はな く重 層的 な関 係 を 目指 した い との 見解 であ っ た。 また、 同 協 会 が 新し く作 成 され た「 日本 医学 図 書館 協会 入 会案 内 」が当 日 、参 加 者に 配布 さ れた こと か ら も、 ネッ ト ワ ーク拡 大へ の熱 意が 窺 われ た。 私 たち 病 院図 書室 の関 係 者に と って、 よ り 開刀ヽれ た日 本医 学図 書 館 協会 の姿勢 を 歓 迎 す る とと もに 、病 院図 書 室の ネ ット ワ ー ク が 拡大 し発展 し てい く こと に結 びつ くよ う 期 待 さ れ る。 そ して 、最 後 の シ ンポ ジスト とし て札 幌医 科 大学 の 辰巳 治之 先 生 には「 イ ン ターネ ット ・ コ ンピ ュ ーテ ィ ン グの紹 介と その バ ッ クグ ラ ウ ンド 」につ い てお 話 し 頂い た。 現在 、日 本で も爆 発的 に普 及 しつつ あ る イン ター ネ ッ ト は、 情 報伝達 の 形態 を 根本 的 に変え つつ あ り 、 今 後、 図書 館 の機 能 や役 割に も大 きな 影 響を 及 ぼ す と 思 わ れ る 。 先 生 は 現 在 の イ ン タ ーネ ット ・ コ ンピ ュ ーテ ィ ン グを 第 二の ル ネ サ ン ス と し て 位 置 づ け ら れ、 個 々 の コ ン ピュ ー タ・ リテ ラ シ ーの重 要性を 説か れた。 コ ンピ ュ ータを ユ ーモ アを 交え て わかり や す く 説 かれ 、 参加 者 はそ の魅 力と 必要 性を 再認 識 し たよ う に見受 け ら れた。 病 院図 書室 のよ う な小 図 書館 に と って大 き なパ ワ ーと・な りう る コ ンピ ュ ータ は、 今後 ます ま す大 きな 役割 を 果 し 、好 き嫌いを 越え た存 在 にな るだろ う と感 じ た。 以 上 、 シ ンポ ジウ ムで は今 日 の病 院図書 室 を 取 巻 く「 変化 」 の中 の状 況を 5つ の側面 で 考 え た。 そ れ は、利 用 者 から の病 院図 書室 へ 4 の大 きな 期 待、 海 外にお け る病 院 図書 室 の役 割、 担当 者 側か らの 専門 的 サ ービ スの 可 能性、 図 書 館相 互 協力 の新 しい 展開 、 コ ンピ ュ ー タ ・ ネ ット ワ ー クの拡大 と 普及 、 に 要約 さ れる だ ろ う。 こ れら はど れ。もが、 2 時間 余 りの シ ン ポジウ ムには大 きな テ ーマ であ った。 そ の た め、 終了 予 定を30分以 上 も超 過し た に もか か わ らず、 各 シ ンポ ジ ストの 先生 方 に は充 分 にお 話 し 頂け なか った のが 残念 で あ っ た。 次に 、講 演 開始 の大 幅な 遅 れを 快 く了 承 し て 頂い た柏 木哲 夫 先生 から 、「 老 いを 考 え死 を 学 ぶ 」と 題 する特 別記 念 講演 が あ った。 淀 川 キ リスト 教病 院 院長 の白方 誠 弧 先生 が 司会 の中 で ご功 績を 紹介 さ れた後 、 講 演 に入 った。 淀 川 キ リ スト教 病院 ホ スピ スに お け る死を 迎 え る 人 々と の経 験を紹 介 さ れ、 感動 的 な多 く の 例を 教 えて 頂い た。 そ こに は 、死 を受 入 れ た人 々の 平静 な日 常生 活 があり 、家 族( 動 物 も含 めた )と の交 流や 草木 の鑑 賞 な ど、 日 常 的で ささ やか なこ とに 大 きな喜 びを 感 じて い る 姿が あ った。 老 齢化 社会を 迎 え る 中で 、 病 院 医療 の在 り方を 考え る上 だけ で な く、 老化 や死 を 迎え る自 分 自身を 考 え る上 で も、 感 銘 深い 講 演で あ った。 シ ンポ ジウ ムと特 別 講演 の充 実 し た余 韻が 残 る中 、会場 を 2階 の特 別 会議 室 に移 し懇 親 会に 入 った。 南 禅寺 の夜 景 が展 望で きる 会場 に は特別 講 演の 柏木 先生 や シ ン ポジ スト の先 生 方を はじ め、60余 名の 参加 者 と なっ た。 会 長 の 挨拶 に続 き、 日 本医学 図 書 館 協会 の関 係 者の方 々や病 院図 書 室研 究会 の石 沢 会長 から は温 かい 祝辞を 頂 い た。 更に 、医 学 図書 館 の 方 々を はじめ 会の 内外 か ら多 く の方 々が 駆 け つ け盛 上げ て 頂い た。 更 に、 各地 区 のネ ット ワー クか ら も祝電を 頂 き、 そ のご 厚 情を 忘 れ る こと はで き ない。 こ の懇 親 会で は また 、 京 都 南病 院 の筝曲 部 の皆 さん によ る 演 奏が 花を 添え 、20周 年を 記 念す るに 相応 し く和 や か な う ちに も華 やい だ会で あ っ たと 感 謝 して い る。 この 他、 当日 は キ ャノ ン販売 株式 会 社 の ゼ ロ ワ ン・ ショ ップ 京 都 支店 か ら 、Macintosh を はじ めと する数 々の OA機 器 の展 示 に 協力
し て 頂 い た。 ま た 、 書 店 や 情 報 関 連 業 界 の 方 々か ら も参 加を 得 るな ど、多 く の 方 々に こ の記 念 フォ ーラ ムを 盛 上げ て 頂い た。 更 に 、 さ さ や か な 記 念 の テ レ ホ ンカ ード も多 数 の 方 々 に購 入し て 頂 き、望 外 の喜 びで あ った 。 春 から 準備 し た今 回 の記 念フォ ーラ ムは以 上を もっ て無 事 終了 し た。 反省 点 も多 くあ る が 、 それ は 敢え て問 わ ない こ とに して 、一 つ の節 目と して や はり 開 催し て良 か った と 思っ て い る。 人 員や 予算 にお い て 暗い 材料 も多 い 現在 の病 院 図 書室 にお いて 、 果す べ き役 割や 機能 、 今後 の可 能 性や 展望 を 広い 視 野か ら考 え て み る こ と は 決 し て ム ダで は な か っ た と 思っ て い る。 その ため 、 普段 は地 味 な きら い のあ る 病 院図 書室 関係 者 の集 りを 今回 は少 し 派手 目 にな るよ う心掛 け た。 過 去20年 間 の私 た ち協 議会 の 活動 は、 日 本 5 − 病 院 図 書 室 Vol.15 Nal,1995 の病 院図 書 室の 充実 と医 療 への貢 献 に少 な か らず 寄与 で きた ものと 自負 して い る。 こ れ は もち ろ ん、 会員 各 機関 の理 解と 協力 があ っ て のこ と だが 、関 連 各団 体や 図書 館 の温か い ご 支援 と 協力を 抜 きに は考え ら れな い。こ れ か ら21世 紀 に向 け、 医学 や医 療 また その情 報 技 術 の形 態 は確 実 に変化 して い く中で 、病 院図 書 室 の新 しい 在り 方を 考え て いか なけ れ ばな ら ない と 思 われ る。 本 稿 は雑誌 『 医学 図書 館 』42巻 1号1995年 に 既 に掲 載さ れ た原 稿 に若干 の 修正を 加 え た もので あ る。 ま た その後 、今 年 に入り 阪 神大 震 災を はじ め社 会的 に は悲 惨で 不可解 な 事 件 が 続 き、 私 た ち に と っ て 大 仕 事 だ っ た こ の フ ォ ーラ ムも、 今 や遠 い過 去 の思い 出の よ う な懐 か しさを 感 じ てい る。